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カズオ・イシグロ入門

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        離婁(りろう)篇    /    孟子      

                                 

      ※  人を見わけるにはは:人を見わけるのに、瞳ほど正直なものはない。瞳
     は心の邪悪をおおい隠せない。心が正しければ瞳は澄んでいる。心が歪
     んでいれば瞳は濁っている。相手のいうことを聞くと同時に、瞳を見れ
     ば、相手はどんなに正体を隠そうとしても、隠しきれない。

 

 【樹木トレッキング 11:コメツガ】 

コメツガ(米栂、学名:Tsuga diversifolia)は、マツ科ツガ属の常緑針葉樹。日本の固有種。和名は
「葉が小さいツガ」の意味。「アメリカ産のツガ」を意味するベイツガ(米栂、アメリカツガやカ
ナダツガなどの総称)とは別種である。本州の青森(八甲田山)から紀伊半島(大峰・大台ヶ原)、
四国(石鎚山・剣山)、九州(祖母山)までの、冷温帯上部から亜高山帯にかけての山岳地帯に分
布する。特に亜高山帯の下部では純林状に密生することが多い。ツガと酷似するが、自生する高度
の違いと葉がやや小さい点で識別できる(ツガははるかに温暖地を好み、照葉樹林から落葉広葉樹
林の間の中間温帯林に分布の中心があるため、コメツガと混生することはない)。高さは20mから、
大きいものでは30mにも達する場合がある。樹皮は灰褐色で亀甲状にはがれ、トウヒ属とやや似てい
る。一方、葉はモミ属と似ている(ただし葉の付き方がモミ属とは異なる)。球果は長さ1.5-2.5cm
ほどと小型で、枝先にやや下を向いてぶら下がる。

 

      No.118

【ソーラータイル篇:生物模倣技術の応用】 

● 蝶の羽の構造をヒントに吸光度最大200%向上

11月14日、カールスルーエ工科大学(Karlsruhe Institute of Technology=KIT)の研究グループ
はるベニモンアゲハナノ構造を太陽光発電パネルに再現し、吸光度を最大で200%上昇させるこ
とに成功したことを公表。太陽光発電パネルの表面にあたる光のうち、反射されるものは未使用の
エネルギーとして失われていくことになります。インドから東南アジアにかけての熱帯域に生息、
近年では沖縄や奄美諸島でも見られるベニモンアゲハは、その羽の表面が無数の小さい穴に覆われ
るナノ構造を持ち、滑らかな表面よりも多くの光を吸収することを研究し応用する。 

ベニモンアゲハの羽は極限に近い黒色が特徴とされていますが、これは熱取得のために最適な色に
なったと同時にその構造自体も目に見えないレベルで太陽光を吸収しやすい形へと変えていった進
化の背景を特ちます。カールスルーエエ科大学では高い吸光度を特つ羽の構造を薄膜シリコンの表
面に加えたことで予想以上の結果を得る。パネルに垂直光に対し従来型と比較して9%高い吸光度
を持つが、注目すべきは入射角が低い状況での性能と言えます。入射角50°では吸光度が200
%以上高くなり、冬季の発電効率向上にもつながると予想している。ただし、吸光度の上昇度合いは
発電効率に直結しないが、太陽光発電パネル表面に細孔を作り出す前には、蝶の羽が特つ構造をナ
ルベルで穴の直径や並び方を顕微鏡で詳細に分析し、シミュレーションを使用して様々なバリエー
ションの吸光度が比較されました。細孔のサイズ(133~343nm)や並び方が不規則であるのは、吸光
度を入射角のような条件が変化しても安定させるために最適な方法あることが判明したことを背景
とする。

研究に使用されたのはアモルファスシリコンとなっており、各種の薄膜太陽光発電パネルヘと応用
が可能であることが期待されます。薄膜型のパネルは従来型と比較して吸先肩が圧倒的に薄くなる
ため、使用される原料も少なく、低コストで生産することが可能だが、発電効率が低いことが欠点
となる。この欠点が吸光度の上昇により改善するのであれば、将来的なポテンシャルは高くなる。ホ
ットスポットフリーモジュールパネル本体の発電効率を上げる技術の他に注目されているのは運営
上での効率。1年を運し発電する際に発生する問題の一つとして注目されているのはホットスポッ
ト。ホットスポットは落ち葉などがパネルの表面に付着して影となった場合、発電を行わないパネル
にも発電した電気が流れ、発電できない状態のセルを含む列が抵抗体となりその部分が発熱、セル
が破損する。ホットスポットの防止に発電回路の中にある欠陥セルを含む欠陥クラスタを回避させ
るバイパスダイオードという仕組みがある。これにより発電効率の低下や火災防止が実現されます
が、厳密に言うと、1つのセルの故障でもクラスタ全体をパスするため、パネル自体の発電効率は
下がる。

 

  

ホットスポットフリーモジュールでは、シッ欠陥セルが発生してもクラスタ全体ではなく、欠陥セ
ルのみの単体がパスされることになるため、発電効率の低下を最小限に抑えることができます。モ
ジュ(下写真:Radwanul H. Sjddique,KIT/CalTech)-ル1枚で欠陥セルが2か所に発生すると、従来型
でバイパスダイオードとなるとクラスタ2列が機能しなくなり、効率は3分の1程度に落ちること
もあり得る。ホットスポットフリーモジュールではクラスタ全体は発電を続けるため、発電効率は
最大限の時と比較しても90%以上を保つことも可能となる。太陽光発電パネル自体の技術はパネル
表面の構造からこうした発電回路の仕組みまで、改善の余地は少なくありません。限られた土地や
部分での発電量向上は今後も様々な形で継続することが期待される(出典:環境ビジネス、2017年
冬季郎、文・永井宏治氏)。 

 



【量子ドット工学篇:半導体ナノ粒子が光を電子へ変換する過程を解明】

● 高効率な太陽電池や光検出器への基礎メカニズム

12月14日、京都大学の研究グループは、直径5~6ナノメートルの半導体ナノ粒子にレーザーパ
ルス光を照射することで、光を吸収したナノ粒子内部の多数の電子が、量子力学的な相互作用によ
り特殊な状態を作り出していることを世界で初めて発見したことを公表。半導体ナノ粒子は化学合
成によって作られるナノメートルサイズの微結晶。高い発光効率を示す、すでに色鮮やかな液晶デ
ィスプレイの発光体に使用されている。ナノ粒子の多彩な色を作り出すのは「量子閉じ込め効果」
と呼ばれる量子力学的な現象で、電子を数ナノメートルの領域に閉じ込めることで生じる。この量
子閉じ込め効果を最大限に活かす研究として、光から電気エネルギーへの変換(光電変換)に利用
する応用研究が世界的に進められているが特に、ナノ粒子では1つの光子から多数の電子を生み出
すことができる「マルチエキシトン」という状態について研究が行われているが、ナノ粒子が光を
吸収して多数の電子を生み出す過程は直接的に観測することが難しく、これまで明らかでなかった。



同研究グループは、ナノ粒子の超高速な量子力学的変化を測定する手法を独自に開発し、ナノ粒子
が光を吸収した直後の状態を観測することに成功する。照射する2本のパルス光の位相を制御するこ
とで、ナノ粒子内に作り出したマルチエキシトンの量子力学的な干渉効果を測定を実現する。その
結果、マルチエキシトンが生成された直後は、レーザー周波数に追従して振動する量子力学的な状
態(コヒーレント状態)を作り出すことを初めて観測。さらに、マルチエキシトンを形成している
電子と正孔(電子が抜けてできた空孔)の個数に応じて、レーザー周波数の1倍・2倍・3倍の周波数
を持つ量子力学的な振動状態が生み出されることを世界初となる発見。これらの量子状態は、1つ
の光子から多数の電子を生み出す駆動力になるので、ナノ粒子を光吸収体として利用した太陽電池
や光検出器の高効率化につながると期待されいる。  
DOI:https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.119.247401    

【世界初 伸縮式太陽帆】 
平和のボートは1983年以来、世界を航海してきました。教育によって平和の文化を構築する運動。
2020年に海洋航行用新型クルーズ船を公表。「世界で最も環境に配慮したクルーズ船」であるオリ
バーデザインでは、クローズドループの水系、クジラ系の流体力学的な船体、伸縮自在のソーラー
セイルが特徴。従来のクルーズ船、毎日約80,000リットルの下水を発生させ、最小限処理された下
水を投棄する。日本に拠点を置くPeace Boatは、10個の開閉可能な風力発電機と10個の伸縮式太
陽光発電帆からパワーを得る、エネルギー効率が高い環境配型クルーズ船。排水ゼロで、閉鎖され
た廃棄ループと閉鎖された水ループでほぼ廃棄ゼロを目標とする。スペインに拠点を置くオリバー・
デザインは、2,000人の乗客に適合する6万トンの海洋ライナー計画策定する。余分な水を吸収して
二酸化炭素を捕獲し、堆肥としての役割を果たす5の植物デッキを備え、垂直型農場では、航海者
用野菜つくられる。2000年以前に建設された典型的なクルーズ船と比較し約40%の二酸化炭素を
削減、現在設計に対して約30%削減を見込む。さらに、この船には、運動場と750キロワットの太
陽光発電を配置し、ハイブリッドエンジンは、液化天然ガス/ディーゼル駆動する。ライナーは推
進エネルギーの200%削減と電気負荷の50%削減の設計仕様となっている。現在Peace Boatの教
育旅行の主催意外に、海洋、気候、グリーン技術研究に専用浮動研究室とし機能させる他、2020年
のオリンピック大会に間に合わせ準備している。
 


【12月16日より豪州のバイロンベイでソーラー列車運行】

屋根の上にフレキシブルソーラーパネルを備えたウィンテージキャリッジ列車は、ソーラー充電鉄
道駅とバイロンベイのリゾート地の間を移動する(世界初)。バイロンベイ鉄道会社は、百%太陽
光発電の遺産列車で、未使用のトラックを再使用する。 非営利団体のバイロンベイは30キロワッ
トのソーラーアレイ、蓄電池システム、充電ステーションを配置、バイロンベイの町との間に、3
キロ軌道をバイロンベイリゾートとして改装する。ソーラートレインは、一度に最大100人の乗客を
運ぶ6.5キロワットソーラーアレイを備え 屋上のソーラーアレイは77キロワットアワーの蓄電
池に供給、また、駅のソーラーアレイも充電に利用するシステムとなつている(バッテリーはTesla
Model Sとほぼ同じ容量、ソーラートレインは運行は約4キロワットアワー必要だが12-15回の
走行には十分な電力となる。"回生制動機能は、ブレーキをかけるたびに電車が使用済みエネルギー
の約25%を回収する使用となっている。



【インド 世界最大級の太陽光/風力接合型発電事業を計画】

11月14日、印度の新再生可能エネルギー省は、アンドラ・プラデシュ州アナンタプール地区で、世
界最大の太陽光/風力ハイブリッドプロジェクトを計画していることを公表。このメガプロジェク
トは160メガワット容量、1000エーカーの土地面積に建設される。これにより約1000億クローネ
(約1億5,500万米ドル、約181億円)を投資( 世界銀行はこのプロジェクトに資金を提供)。こ
のハイブリッドソーラー風力発電プロジェクトは、インドのソーラーエネルギーコーポレーション
(SECI)、アンドラプラデシュの再生可能エネルギー代理店、NREDCAP、アンドラプラデシュトラ
ンスコの共同開発――120メガワットの太陽光発電と40メガワットの風力エネルギー設備――となる。

世界銀行がプロジェクトに資金を提供することに同意したということは、国内の既存の火力発電所
であっても、極めて競争力が高いことを証明する。世界銀行は、今年初めにMadhya Pradesh州で750
メガワットの太陽光発電所の資金提供している。このソーラーパークのオークションは、当時の同
国で最も低い太陽光発電関税記録を破ることになる。



【読書日誌:カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』】

カズオ・イシグロ(Kazuo Ishiguro OBE, 漢字表記:石黒 一雄、1954年11月8日 - )は、長崎県出
身の日系イギリス人小説家である。1989年に長編小説『日の名残り』でイギリス最高の文学賞ブッ
カー賞を、2017年にノーベル文学賞を受賞した。ロンドン在住。1995年に大英帝国勲章(オフィサ
ー)、1998年にフランス芸術文化勲章を受章している。2008年には『タイムズ』紙上で、「1945年
以降の英文学で最も重要な50人の作家」の一人に選ばれた。作品の特徴として、「違和感」「むな
しさ」などの感情を抱く登場人物が過去を曖昧な記憶や思い込みを基に会話・回想する形で描き出
されることで、人間の弱さや、互いの認知の齟齬が読み進めるたびに浮かび上がるものが多いとさ
れる。かれの著書を手にする初めてであり、ファーストライフを終え、セカンドライフに入り、街
に出て本屋で本を手にする、あるいは、電子出版時代に突入し、偶然手にする機会が極端に減った
せいもあり見過ごす典型例でもあろう。『火花』などはテレビ評判になり紀伊国屋書店から電子ブ
ックを配信入手していることと、現在続けている作業に埋没し、図書館に行く機会も激減している
こともある。そのことが今回の購読動機――村上春樹が今回もノーベル賞を逃した小さな波紋とな
って――直接原因かもしれないが、カズオ・イシグロのインタービューテレビで見て同調感が涌き
入門することになる。



『忘れられた巨人』(The Buried Giant)は、日本生まれのイシグロが、『わたしを離さないで』
(2005年)から10年ぶりに書いた長編小説。2015年3月にイギリス・アメリカで同時出版された。
侵入するサクソン人(アングロ・サクソン人)に対抗したという伝説のアーサー王が亡くなってし
ばらく経った、現在イングランドと呼ぶ地域を時代背景に、ブリトン人の老夫婦が息子を訪ねて旅
をする話だという。本書の全体は4部に分かれていて17章あるが、各部・各章の主な話題が分かり
づらく、読者はすぐに霧と森と鬼とファンタジーと不確かな追憶の世界へいざなわれると解説され
ているが、さて、イシグロの作品の最初の旅路となる。

  イングランドと聞けば、後世の人はのどかな草地とその中をのんびりとうねっていく小道を
 連想するだろう。だが、この当時のイングランドにそれを探しても、見つけるのは苦労だった
 はずだ。あるのは、行っても行っても荒涼とした未墾の土地ばかり。岩だらけの丘を越え、荒
 れた野を行く道らしきものもないではないが、そのほとんどはローマ人がいたころの名残で、
 すでに崩壊が進み、雑草が生い茂り、途中で消滅していることも少なくなかった。川や沼地に
 は冷たい霧が立ち込め、当時まだこの土地に残っていた鬼たちの隠れ潜む場所になっていた。

 もちろん、近くには人も-こんな陰気な場所に定住するとはどんな事情があったのかと思わ
 せるが-住んではいた。きっと恐怖におののいて暮らしていたに違いない。姿は霧で見えな
 くても、異形の者の荒々しい息遣いはいたるところから聞こえてきたはずだから。ただ、鬼と
 出くわした人々がそのたびに腰を抜かしていたかと言えば、そうではない。鬼は、日常に存在
 した危険の一つにすぎず、心配すべきことはほかにもいくらでもあった。硬い地面からどう食
 べ物を得るか。薪をどう切らさずにおくか。豚を一度に十頭余りも奪っていくうえ、わが子の
 頬に緑色の吹き出物までつくる病気をどう防ぐか………

  いずれにせよ、鬼は、人間の側から挑発しないかがりさほど大きな問題ではなかった。たま
 に、鬼どうしの喧嘩でもあったのか、怒り狂って人間の村に迷い込んでくることはある。だ
 が、それはそういうものとして受け止めるしかない。いくら大声で追い払おうが、得物で立ち
 向かおうが、鬼は暴れまわり、逃げ遅れた者を傷つけ、ときには子供を霧の中へ連れ去る。理
 不尽きわまりないが、この世では理不尽なことも起こる。当時の人々はそんな諦めをもって生
 活していくしかなかった。


                カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』第1部/第1章

                                  この格つづく 

 


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