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最新無隔膜電解工学Ⅲ

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        離婁(りろう)篇    /    孟子  

                                    

      ※  兼・恵・勇をたたえる:もらってももらわなくてもよい贈り物をもらうのは、
     清兼を傷つける。与えても与えなくてもよい、贈り物を与えるのは、真の恵
     みを傷つける。捨てても捨てなくてもよい場合に命を捨てるのは、勇気の尊
     さを傷つける。 

 

     No.129 

【ソーラーフロート型海水電解水素製造システム】

● 再生可能エネルギーの低コスト水素生産型無隔膜電解槽

水電解は、ほとんど常に強酸性またはアルカリ性の環境で行われるが、pH中性電解質での操作も重要
である。なぜなら、❶強い腐食性または酸性の液体電解質と比較して安全性の問題が少なくなければ
ならず、❷pH中立環境は、通常、酸または塩基で腐食する、より低コストの触媒/低コスト資材使用
を可能にする。無隔膜電解槽の電解質への融通性は、二酸化炭素電気分解、海水の18酸/塩基生成19
は他の電解プロセスでも魅力的である。それらの利点にもかかわらず、無隔膜電解槽はまた多くの課
題残こしている。PEM電解槽と比較した場合の欠点の1つは、より高い溶液IR損失(作用電極と対極
間の電流が電圧降下ロス)のために高い電流密度(約0.5Acm-2以上)の電圧効率が低いことにある。
濃硫酸/水酸化カリウム電解質は、イオン選択性膜よりも高導電率があるものの、イオン移動距離が、
今日まで無隔膜電解槽で実証されてきた(典型的には数ミリメートル)で移動しなければならずPEM
電解槽内のナフィオン膜の厚さ(約100~ 200μm)よりはるかに長い距離である.8。手頃な価格の微
細加工とスケールアップにおいて、難しい課題となるが、狭い電極ギャップを持つ微細加工無隔膜電
解槽は注目すべき例外事例となる20。したがって、ほとんどの無隔膜電解槽では、イオン輸送の距離
の長い、電解液の大きい全オーム抵抗(Rs)、その後の大きいオーミック電圧損失のが実情である。

上図3A見られるように、5mmギャップ距離を0.5Acm-2電解中の濃縮ベースの電解質を通るイオン
輸率から生じる電圧損失は約400mV。PEM電解槽の場合、厚さ100μmのナフィオン(Nafion)膜を通
過する電圧損失が発生する前の約1.5Acm-2で動作する。水素製造技術の経済性に関する操作電流密度
の重要性を図3Bに図示、一定のηで1.59 $ kg-1のH2(LCH)生産の目標均整化コスト(75%より高発
熱量(HHV)、寿命(10年)、電流密度、電力価格、面積正規化資本コスト(CCA、$ m-2)である。
3つのタイラインのいずれかを見ると直感的な結果が得られる。特定の電解槽の動作電流密度が競合
技術の電流密度(1 / N)thの場合、面積正規化資本コストは(1 / H2)に同じ電流密度の電解槽コストを
乗じたもの。

※ 参考資料(出典:NEDO)




しかしながら、この分析が無視しているのは、低コスト電気/低CFシナリオでは、より高いオーミッ
ク/電圧損失が完全な許容範囲にある。図1Aに見られるように、電解槽効率(η)は、H2生成コス
トに影響することはない。この場合、電流効率は、製品純度/寿命許容を超える器機寿命を低下させ
ることなくできるだけ高くする必要がある。高電流密度への工場により、低CFで動作する器機で可能
な耐用年数利益を相殺する可能性のため器機寿命に対する電流密度/断続動作の影響を注意深く考慮
する必要がある。熱管理は高電流密度で懸念されることであり、無隔膜電解総は電解液が熱冷却除去
機能を果たす。図2Dに示すタイプⅡ無隔膜電解槽は、3.5 Vの印加電圧(H2のHHVに基づいてη=
42%)14 で約4 Acm-2の電流密度を達成することを実証した。 高電流密度に達するこの能力は、従
来のアルカリ電解槽と比較して、無隔膜装置にとって大きな利点となるものである。

無隔膜電解槽のその他の2つの課題は、❶製品純度と❷安全性である。市販PEM電解槽は、高純度、
典型的には99.99%のH2を生成すると同時に、H2を150bar9まで高圧圧縮できる固体電解質膜能力によ
り、O2およびH2生成ガスに対する物理的障壁として役立つ。無隔膜電解槽は、高圧液体電解質中で電
解を行うことにより高圧H2を生成することが可能であるが、電極間に大きな圧力差を維持することが
できないので、H2を電気化学的に圧縮できない。しかしながら、この利点は、ポンプ輸送コストを高
め、液相におけるH2生成物の溶解が大きくなりことから部分的に相殺される。 生成物の純度に関し
ては、99.4%13および99.8%14という高い水素純度それぞれⅠ型およびⅡ型の無隔膜電解槽で達成でき
る。これらの純度は水素の爆発限界の下限と上限、より高い純度を必要とする用途では、下限純度を
あげる必要がある。すべての無隔膜電解槽では、動作電流密度、電気分解効率、製品の溶解ロス、反
応後の製品損失、および製品純度を設計プロセス中に考慮する必要がある。H2 / O2のクロスオーバ(
混合)の他に、別の安全上の懸念として、電極間の電気放電があり、非常に小さな電極ギャップに大
きな電圧が印加されるとアーク発生の可能性があり、このような動作条件の回避が重要となる。これ
らの理由から、①センサ、インターロック、電解槽が安全動作条件下動作が大前提となる、②電解槽
の誤動作の際にO2およびH2生成物が分離状態であることを担保するフェイルセーフ(信頼性設計の1
つ)を、例えば、ポンプの故障などの設計を徹底しておく必要がある。

無隔膜電解槽のプロトタイプの規模拡大は、この技術の成功のもう1つの潜在的課題である。一般に、
現在までに実証されたタイプⅠの無隔膜電解槽は、実際にはマイクロ流体であり、パラレル化または
(限定的な方法で)面積スケーリングを介してこれらの器機の規模拡大することは可能である。さら
に、5mA cm-2.18の二酸化炭素電解に使用される平行平板電解セルについて最近示されたように、電
極ギャップが大きく、器機がより低い電流密度で動作する場合、より大きな電極が実現可能となる。
大面積(≧1 cm2)の流体透過電極は、タイプⅡの電解槽で高電流密度で運転され14.15大規模なアプ
リケーションとして、より大きなセルサイズとモジュールの開発を必要とする。両方の無隔膜電解槽
では、結合した多相流体力学のより、優れた知見を発展させたシステムの電気化学は、大量移送のモ
デリング、その場観測、最高の安全性と製品純度を持つ無隔膜電解槽設計を導く経験的研究が必要と
なる。無隔膜電解槽と従来の電解槽との比較で、スタック技術選択が表1に示す対費用効果システム
(BOS)コンポーネントのバランスに強く影響しシステムの総価格の見積りが重要となる。商用PEM
およびアルカリ電解槽のBOS備品価格は、それぞれ40%および50%であり、無隔膜電解槽の資本コス
トが既存の電解槽よりも低い場合でも、 ポンプ、コンプレッサー、相分離器などのBOS備品の高コス
ト化により、これらの利益が相殺される可能性がある。

● 開発に欠かせないその場評価:日本の撮像/受像処理技術

このように、無隔膜電解槽に関連する多くの材料関連の課題も存在する。従来の電解槽と同様に、低コ
ストおよび大量に存在する電極触媒の開発は、特に、大規模な電解槽プラントの無隔膜電解槽の設備
投資削減に重要で、プラントコストのバランス10は、総投資額の不純物耐性器機の実現した場合、不
純物耐性水素発生反応および酸素発生反応電極触媒開発を促進さす必要がある。これらの電極触媒は、
従来の電解槽で操作される触媒と比較し、局所的高電流密度および異なる流体力学的環境下でも安定
でなければならない。高速ビデオ、中性子ラジオグラフィ、および他の技術の使用によるその場撮像
技術は、これらの現象をよりよく理解に刺激的な機会を提供する。また、触媒設計には、不均一な電
流密度、局所pH勾配、および電極支持体上への電極触媒装填物の最適な配置を含む。安定した不純物
耐性電極触媒がこの用途で実現できる場合、通常は考慮されていないプラスチックや複合材料などの
低コスト材料から電解槽セルおよびモジュールの本体を構築する可能性が開かれる。結論として、膜
のない電解槽は、断続的な再生可能エネルギー源に結合された電解槽が非常に低い資本コストを有し
ていなければならない将来のH2の生産の有望な技術であるが、新しい無隔膜電解槽技術を必要とする。
これは、多くの時間と長さのスケールにまたがる複雑な問題解決に、多くの学問分野にわたる科学者
やエンジニア協働(あるいは学際/業際/官民の協働)を必要とする。

以上で、「最新無隔膜電解工学」の他面的な考察は終了した。「最新無隔膜電解工学Ⅰ」で事例紹介
した「US 9011651 B2 Apparatus and method for the electrolysis of water : 水電気分解装置および方法」(
下図参照)の同グループの無隔膜電解槽に関する特許「US 9222178 B2 Electrolyzer 電解槽」(2015年1
2月29日)が公開されいるので理解の一助に参考記載しておく。

❏ US 9222178 B2 Electrolyzer :電解槽

【概要】

高純度水素および酸素の電解生成は、電解装置のカソードおよびアノード区画内のガス圧を調節する
ことを含むことができる。装置への水の供給は、装置の表面上の少なくとも1つの開口を通るもので
あってもよい。電解装置に装置内外の大きな圧力差を与えることなく、高圧水素及び酸素ガスを生成
することができる。これは、電気分解装置全体を高圧流体に実質的に浸し、それにより装置の内外圧
力を実質的に等しくすることによって達成され得る。 この目的を達成するための2つの構造例が開示
されている。第1に、装置は、それ自体が加圧された流体含有容器内に配置され、カプセル化されて
もよい。 第2に、装置を深水環境に浸漬することができる。電気分解を行うのに使用される電気エネ
ルギーの一部は、管、例えば酸素中を流れる高圧ガス中の運動エネルギー及び運動量を捕捉し、電気
に結合された羽根車を回転させることによって電気に変換するジェネレータ。
図12A/Bは、水中に浸漬された電解槽装置の一実施形態の図

電気化学分野で電気分解や電気紡織は、30年目から塩化第二鉄の隔膜電解再生と高温アルカリ溶液
薄膜用防食で開発従事していたもので懐かしいといえばそういうことになる。この無隔膜海水電解シ
ステムもそうだが、2011年01月11日の福島第一原発事故以降、再エネ環境工学の調査研究を精力的に
行ってきて昨年後半から「エネルギーフリー社会を語ろう!」というスローガンを打ち出したがそれ
が実現できるという確信しえるというか肌身で実現できそうな予感包まれ、エキサイティングな日々
を過ごしている。思えば1995年の阪神大震災、2011年の東日本大震災時に個人的にも大きな
転機に遭遇して、ある種の武者震いのような感覚に襲われたり、強運のようなものを感じ、そして、
広大猛将かもしれないが関連する技術開発課題のすべてに手が届くような感触にとらわれている。そ
れにしても、その場撮像技術でハイビジョン、4K・8Kの貢献を考えると、日本のNHKの開発
チームがノーベル賞を授与されても良いほどの実績はあるように思うがいかに。 

 Jan. 12, 2018

   ● 今夜の寸評:AIも人間次第

AI時代に突入し色々と話題は絶えない。基本的にはホモサピエンス。機械に振り回わされることは
あっても所詮、アクセルとブレーキは人類次第である。

 


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