第50章 生に執着すれば死を招く
生死はいねば出入である。「無」から「有」に出れば生、「有」から「無」に入れば死。生も死も、
ひとしく「道」の現われで、本質的な差はないのだ。
生物には、長命なものもあれば短命なものもあるが、生死はそれぞれに自然である。だが、生物の
なかでも人間だけは、死期が来ていないにもかかわらず、みずから死を招くことがしばしばある。
れはなぜか。人間が生に執着しすぎるからなのだ。
こんなことばがある。
「寿命を全うする者は、山野を旅しても猛獣に襲われず、戦に出てもけがをしない」
たしかに、猛獣も危害を加えようがなく、刀槍も傷を負わせようがないのだ。それはなぜか。生に
執着せぬ者には、死の入りこむ余地がないからである。
勁きて死地に之く 人間は、宇宙間の四大のひとつであった。生物のなかでもっとも貴いものであ
った(25章)。にもかかわらず、あらゆる生物のなかで、人間だけが不自然な誤りをおかすので
ある。人の人たるゆえんは、「知」を有することである。この「知」にいかに処するかによって、
人は偉大とも、卑小ともなるのである。
【最新IEA報告:今後5年間で最も成長する再エネはバイオマス】
10月8日、たIEAのリポート「Renewables 2018」では、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が
いう、植物由来の液体バイオ燃料や嫌気性消化で生成されるバイオガス、それに木質ペレット加熱
システムといった、現代のバイオ燃料が業界で特に重要であり、「現在から2023年までの間に急成長
する可能性を秘めている」と報告。加えて、現代のバイオ燃料開発において、「堅牢な再生利用割合
の基準と安全で持続可能なエネルギー・システムを確実にしていくこと」が重要だと指摘している(
「今後5年間で最も成長する再エネはバイオマス」、IEA調査」日経 xTECH 2018.10.16)。
IEA Oct. 8, 2018
再エネの設備容量は2017年に178GW分が追加され、世界記録を更新。この容量はグローバルの正
味の発電容量の成長分の3分の2以上を初めて占める。内訳は太陽光発電が97GWで最も多く、そ
の半分以国によるもの。風力発電(陸上)は世界全体では2年連続で伸び悩み、水力発電は成長が
減速している。地域的には、全分野で低炭素化に取り組んでいる中国が再エネのグローバル成長を
けん引し、2023年までに欧州連合を追い抜いて再エネの最大の消費国になると予測。エネルギー消
費に占める再エネの比率では、エネルギーの最大の消費国であるブラジルがこれまでのトップであ
り、2023年には総エネルギー消費量の約45%――IEAエグゼクティヴ・ディレクターのファティ・
バイロル博士の話では、現代バイオ燃料は、再生可能エネルギー分野の見過ごされた巨人であると
と指摘――をバイオエネルギーと水力を中心とした再エネで賄うと見込む。
Oct 8, 2018
ところで、加えてBloombergは、この報告書にある別の予測シナリオに注目。そこには「2023年まで
に1.3TW(テラワット)の余剰クリーンエネルギーが導入される可能性がある、とし。、化石燃料
の使用量の減少と共に、風力、太陽光発電が増加――太陽光発電の容量は、他のすべての再生可能
エネルギー技術を合わせたものよりも約600W(ギガワット)拡大、または予測期間の終わりまで
に日本の総容量の2倍である1TW(テラワット)――達するというIEAの予想図も掲載している。
● 金沢工業大学でエネルギー・マネジメント・プロジェクト展開中
10月16日、金沢工業大学では、再生可能エネルギーや蓄電池・電気自動車(EV)・水素・熱利
用などを組み合わせて電力制御システムを構築する「エネルギー・マネジメント・プロジェクト」
を2018年春から推進している。このほど、再エネに適合した直流給電システムを構築し、キャンパ
ス内のコテージで被験者が実際に生活する実証実験を開始したことを公表。
同プロジェクトは、再エネを軸にエネルギーの地産地消に取り組み、地方再生のエネルギー・コミ
ュニティ・モデルの構築を目指す。具体的には、(1)太陽光・風力・小水力・バイオマス・地熱発
電などによる創エネ、(2)蓄電池・EV・水素へのエネルギー貯蔵、(3)直流(DC)リンクによる
効率化、(4)温泉水・地下水・バイオマスボイラー・低温発電を用いた熱利用――などを組み合わ
せ、地域内エネルギーの最適運用を目指す。
再エネを安定供給するには、従来の火力・原子力を組み合わせた集中型制御の電力システムではな
く、分散型制御の系統システムが必要となる。こうした新しいシステムを構築するとともに、蓄電
池・EV・水素や温泉水など熱の地域資源を組み合わせたベストミックスを探り、地域で電力を融通
し合うエネルギー基盤技術を構築する。地域特性も活用し、人工知能(AI)やIoTを活用した「Soci-
ety 5.0」を地方から実現することも視野に入れている。
実証実験では、金沢工業大学・白山麓キャンパスにある4つのコテージに直流給電システムを構築し、
実際にコテージで被験者が生活することで、発電から使用まで検証する。太陽光などの再エネで発
電した直流をAC-DC(交流-直流)変換せず、直流のまま直接運用することで、電力システム全体の
効率を高める。
電力が不足した場合はコテージ間で電力シェア(融通)し合い、電力の需給バランスを維持する仕
組みを構築した。電力会社の系統にも接続するが買電は最小に留め、再エネのみを利用するオフグ
リッドシステムを目指す。将来的には、ブラックアウトに耐えられることを検証する。さらに、コ
テージで蓄電した電力をEVに充電し、EVを「配電線」にみたて、電力の不足する地域に電気を届け
るようにする。
今後は、まずコテージ間のDCリンクを拡充し、その後白山麓キャンパスの産学連携拠点「イノベー
ションハブ」へ拡充する。エネルギー貯蔵に水素を利用する実験も検討し、蓄電池に貯めた電力と
水素を相互補完的に組み合わせる。低温の地熱を使うバイナリー発電、木質チップを使ったバイオ
マス発電設備を設置するとともに、キャンパス内の温泉水や地下水を含めた熱搬送も行う。温泉水
や地下水による空調制御や、DCリンクから供給される電力で照明や各種電力を賄うことで同キャン
パス内に併設される国際高等専門学校の図書コモンズのゼロエミッション化を目指す。AIやIoTを
活用して創エネ・エネルギー貯蔵・DCリンク・熱利用を効率的に組み合わせるエネルギー・マネジ
メント・システムの開発も推進する。
【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 18】
第4節 2兆円とインセンティブのための費用
これらの人の平均所得はそれぞれの階級の人数でウェイトをつけて足したものになるから、一人当
たり所得は64万円となる。したがって、990万人に84万円と64万円の差、20万円を支給
すればよいことになる。その費用は、2兆円(=20万円×990万人)にすぎない。生活保護費
が、医療費を除いて1・9兆円かかっているのだから、それとほぼ同じ費用で、すべての貧困を解
決することできてしまう。しかも、990万人のうちには子どもも含まれているのだから、それよ
り少ない金額で貧困を解消できる。
もちろん、そんなことをすれば、誰も働かなくなってしまうという批判があるだろう。この批判に
応えるためには、最低限の所得を直接補助された人々も、働きに応じて所得が増えるという制度に
しておかなければならない。例えば、月7万円給付された人々が働いてさらに5万円得たとすれば
そのじ割、3・5万円は手元に残るという制度である。その上うな制度を実際に作ったとすると、
その制度はどのようなもので、どの程度のコストがかかるだろうか。
まず、貧しい人に基礎的所得を給付するだけなら、前述のように2兆円ですむ。しかし、BIを給
付するための財政コストは直接給付するコストだけではない。それは、働くインセンティブを維持
するために、ある程度所得のある人にも基礎的所得を給付することになり、これまでなら税金を払
っていた所得層が、実質的に税を払わなくてもよくなるという意味で財政コストがかかるというこ
とである。これについては、所得の低い層に課税しないのは上いことだという賛同者もいるだろう。
また、日本の場か、中間層までの税率が低いことにより、すでに低い税率を実質的にはさらに低く
するということなので、追加的コストはそれほど大きくはない。
基本的にすべての人の年間所得は、「自分の所得×0・7+BI(84万)」となる。所得のない
人も84万円の基礎所得を保障されるが、自分の得た所得の3割を課税される。自分の所得が28
0万円になると、その3割の税=84万円を取られて、基礎所得と税が一致する。以下に示すBI
は、結婚や扶養などの有無によらずすべての成人に年84万円のBIを、各自の銀行口座に振り込
むという制度である。配偶者や子どもの扶養控除、基礎控除などほとんどの控除を廃止する。子ど
もにも3万円のBIをその母親の口座に振り込む。基礎年金は廃止し、BIで代替する。厚生年金
は、完全に独立採算制の年金に置き換える。もちろん、移行期間は考虔しなければならないが、最
終的な姿を議論することが本書の目的なので、移行期の問題は捨象する。
第5節 BIと所得階級ごとの関係
BIが、全体として財政的に成立することは説明したが、個々の所得階級にとって、これがどの
ような変化をもたらすかを考えてみよう。以下は、完全なデータとは言い難い。BI実現のための
試論的なデータ作成の努力と思っていただきたい。
変化を見るためには個々人の所得と現行の税制における税の支払額のデータが必要となる。まず、
所得階級別の人数は、下表3‐3、表3‐4のようになる。表の所得は、家計の所得ではなくて個
人の所得である。ここでの所得は労働所得か事業所得であって、年金や生活保護などの政府から給
付される所得は含まれていない。
また、結婚しているかいないかにかかわらず各自の口座に年84万円、月7万円が払い込まれ、扶
養控除などは存在しないという制度を考えている。BIの支払いは、所得階級ごとの人数を表3‐
2から推計し、20歳未満の数と20歳以上の数の比率はどの所得階層でも同じとして推計した。
喪3‐2は家計所得、喪3‐3は個人所得なので矛盾しているが、他に方法もないので、これでよ
しとした,.
表3‐3は、所得階級ごとのBI給付額および税収額の総額を見たものである。所得階級ごとの税
収の合計は、現行の制度で13・3兆円、BIでの税収は66・3兆円となる。実際の所得税収は
14・0兆円、経済全体の所得、雇用者報酬と淡白所得の合計は257・5兆円なので、30%の
BI税率では77・3兆円となるべきであり、表の所得が現実の所得を十分に捕捉できていないこ
とになる。ただし、雇用者所得には、社会保険料の雇用者負担が10%程度含まれており、捕捉さ
れていない部分からくる税収の減収分け、10兆円以下であろう。
出所:人事院「平成25年 民間給与実態調査」「平成25年 国家公務s 員給与等実態調査」,
総務省「平成25年 地方公務員給与実態調査」,
財務省「平成24年分申告所得税標本調査」,内閣府「国民経済計算 確報」.
註:①給与所得者の所得分布は「民間給与実態調査」「国家公務員給
与等実態調査」「地方公務員給与実態調査」による.さらに「申告 所得税実態調査」,財務省
「平成標本調査」により事業所得を追加 して所得分布を作成.②所得を得ている者の人数合計は
5032万人と なり,「平成22年 国勢調査」の就業者5961万人より小さいが,
主に仕事をしている者4958万人より多いので,人数は正しいと思われ庫る.しかし所得の合計
は206兆円で,国民経済計算の雇用者報酬+混合所得の257・5円とは乖離が大きく,所得が
十分に把握されていないと思われる.所得階級から個人の負担する税と国税収入を所得階級ごとに
推計したが,扶養控除などを無視して税額を推計した.
それでも所得税収入は13・3兆円と、2012年の決算税収14兆円よりやや小さい、③BIを
採用した場合の税収は所得階級ごとに推計したが,合計は66・3兆円である.一方、雇用者報酬
+混合所得の30%を計算すると77・3兆円となる。④BIの場合のネット税額とは、課税額-
BIである。BIは表3-2の所得階級ごとの人数から計算した。
所得階級ごとの人数を日本全体の20歳未満人口のシェアで割り振って所得階級ごとの子どもの人数
を求めた.⑤ここで作成した所得からは13・3兆円の税収しか得られないが,現実には14・0
兆円の税収を得ている.現実に所得に30%の税を課せば,66・3兆円×14.0÷13.3=6
9・3兆円の税収が得られるだろう、⑥所得階級別の合計所得は所得階級別の人数に所得階級の中
間の値を掛けたもの、50万円未満の中間値は225万円、100万円以下の中間値は75万円とし
た。⑦BI給付額を人口から直接推計すると,人口1億2752万人(20歳未満2260万人+
20歳以上1億192万人)より。96・3兆円(20歳未満18・1兆円+20歳以上88・0
兆円)となる.
第6節 給付水準と実行可能性
ここでは年に84万円の給付水準を考えているので、給付総額が96・3兆円となっている。給付
水準を2割減らして年67・2万円(子どもは年28・8万円)とすれば、給付総額77・3兆円
となって、BIの導入とともに廃止するべき代替財源の範囲を狭めることができる。給付総額は7
7・2兆円から、30%の比例税で生まれる77・2兆円を差し引いたマイナス0・1兆円、これ
に現行の所得税収入14・0兆円を足した13・9兆円の代替財源を見出せばよいことになる。老
齢基礎年金に16・6兆円、子ども手当に1・8兆円、雇用保険に1・5兆円、合わせて19・9
兆円支出しているわけだから、十分な代替財源があることになる。BIの実現はまったく容易にな
る。
逆に、BIの給付水準を2割上げて年100・8万円(子どもは43・2万円)とすれば、給付総
額は115・6兆円となって、給付総額115・6兆円から、30%の比例税で生まれる77・3
兆円を差し引いた38・3兆円に現行の所得税収入14・0兆円を足した52・3兆円の代替財源
を見出さなけれぼならないことになる。
要するに、BIの給付水準が低ければ導入は容易であり、高ければ困難という直感的に当然の結果
が得られる。
日本ではBIについて数量的分析がほとんどない。そのなかで、九州大学経済学研究院の浦川邦夫
准教授と京都府立大学公共政策大学院の小沢修司教授の分析は、数量的な検討を加えていることで
貴重である。浦川准教授によれば、BIが給付されても労働供給は変わらず、税率の労働供給に与
える効果もないという仮定の下でも、国が定めた生活保護基準(一人月額8万3060円)を給付
するためには四〇%の税率が必要としている(浦川邦夫「ベーシック・ンカム論に関する政治経済
学的考察」、『国民経済雑誌』第196巻第6号、2007年12月)。
一方、小沢教授は、子どもを含むすべての国民に一人当たり6月8万円のBIを給付するためには、
税率を50%にすることが必要としている(小沢修司「福祉社会と社会保障改革-ベーシックーイ
ンカム構想の新地平』終章、高菅出版、2002年)。浦川准教授の分析は、BIのレベルを高く
するとその実現は困難になることを別の形で示していることになる。小沢教授は50%の所得税で
も可能としているので、何か可能と考えるかは、多分にイデオロギーの問題となる。私は、現行の
制度と大きな変化がなく、社会保障制度の非合理を削減できることがBIの利点と考えている。
原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるいか』
この項つづく
Yuval Noah Harar (born February 24, 1976)
文面歴史観に親近感を感じ注目する。この本は読んでいないが、11月以降になる。そこでは不用
者階層と支配者階層に分断されるというが、ドイツ系ユダヤ人のカール・マルクスが想定した社会
主義社会が実現しているはずなのだが、どうなんだろう。すでに800万冊を出版されている程の
ベストセラーを記録、面白そうだが、読むのは11月以降になる。
【新弥生時代:本家超えのバカマッタケ】
10月4日、多木化学株式会社は、バカマッタケの完全人工栽培に成功したことを公表。きのこは
古くからから食べてきた食材.また、シイタケ、マイタケ、ブナシメジなど人工栽培が可能になった
ことで、いつでも食卓に並ぶようになっているが、植物と後生する「菌根菌」に分類されるきのこ
は、生た植物から栄養をもらいながら成長するという特徴から、人工栽培が難しいとされていた。
特に、マツタケ近縁種は、日本人に好まれるきのこであることから、多くの研究者が「「完全人工栽
培」に取り組んできたが、成功した例がなかったた。バカマツタケは、マツタケ近縁種のきのこで、
香り、味はマツタケ以上とも言われてきたが、マツタケより小ぶりで、赤松以外の値物(ブナ科)と
共生し、発生時期が一ケ月ぐらい早い(8月下旬~9月下旬)が特徴。そのため、地域によっては、
早松(さまつ)として珍重されてきたが一般市場に出回ることはなかった。
同社では植物に頼らない培養系でバカマツタケの完全人工栽培に取り組み、植物と共生しないこと
で培養期間が短く、「季節を問わず年中供給」できるメリットがあり、また、室内環境で栽培でき
ることは、自然環境で育ったものと異なり、「虫混入の心配がない」メリットも生まれる。約6年
間の研究期間を経て、マツタケ近縁種のきのこで初となる完全人工栽培に成功する。
研究開発の9-い段階から、バカマツタケ原基(バカマツクケの赤ちゃんのようなもの)の形成には成功
していました。しかしながら、子実体(傘をもつきのこの形態)にすることができず、原基から子実体へ
の形態変化を促すための各種シグナルを試し続けました。植物共生時の植物とのやり取りが分かって
いない中での検討でしたので、試行錯誤の連続。
2018年4月3日、検討していた実験系の中からバカマツタゲの子実体を確認(培養期間約3ケ月)。
得られたバカマツタケのサイズは、長さ約9センチメートル、重さ36グラムで、天然のものよりや
や大きいくらいでした。その後も、バカマツタケ子実体が形成(合計14本)。食味も確認。バカマ
ツタケ特有の香りも強、良好な食感が感じられるものでした。マツタケ近縁種は、植物との共生が
必須と考えられていました。今回の研究成果は、その定説を覆すものであり、学術上の大きな発見に
なります。私たちの生活にとっても、菌床栽培(一般的な食用キノコの栽培方法)の技術であることか
ら、バカマツタケが身近なキノコになることが期待されている。
すばらしい! すわ、和製#トリュフの開発も可能も夢ではないかもね?!
Buzz "愛と風のように" Music Writer:高橋信之/山中弘光