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年の瀬やこれで見納め爪楊枝

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周 穆 王 しゅうのぼくおう
ことば -------------------------------------------------------------------------------------
「人生百年、昼夜おのおの分(なか)はなり。われ昼は僕虜となり、苦はすなわち苦なり。夜は人
君となり、その楽しみ比なし。何の怨むところあらんや」
----------------------------------------------------------------------------------------
王さまと奴隷
周の国の穴という男は財産をふやすことばかり考えていた。尹家の使用人は、朝早くから夜おそく
まで休む間もなくこき使われた。なかに一人の老僕がいた。からだがもういうことをきかなかった。
だのにおかまいなしに使われた。

昼間はうんうんうなって働き、夜は疲れきってぐっすりねこんでしまう。だが、ねむれば心はのび
のびとする。老僕は夜ごとの夢に王さまとなった。人民をしたがえ、国政を統べ、りっぱな宮殿、
豪華な宴会、すべてが思いのままである。この上ない楽しさであった。そして目がさめれば、また
もとの老僕にかえるのだった。

さぞつらかろうと同情する者がいた。だが老僕はいうのだった。
「人生百年のうち、昼と夜とが半分ずつ。ひるまは下僕として、つらい仕事をさせられています。
でも夜は王さま、この上もない楽しさです。別に不満はございません」
いっぽう尹家の主人は、金もうけに身も心もすりへらし、疲れきって床につく。夜ごとの夢には下
僕となって、走り使いから立ち働きまでさせられ、何かにつけて、叱られたりなぐられたりした。
だから、あけがたまでうなされどおしだった。

尹家の主人はたまらなくなって友だちに相談した。友だちはいった。
「君は地位も財産も人よりずっと恵まれているではないか。夜、夢で下僕になるのはあたりまえだ。
楽あれば苦ありというものだ。ねてもさめてもいい思いをしようなんて虫がよすぎるな」思ようなんて虫がよすぎる主人はその友だちのことばをきいてから、下僕の仕事をへらし、自分も神経をすりへらさないよう
にしたので、主人も下僕もいくらか苦しみがやわらいだ。

※「アジア的徳制」の原基が語られている。 

【歳時記トレッキング:#方頭魚#Kanagashira#FaceHeadFish】

いや~ブログ更新も、11月18日以降2、3日に1回のペースに落ち予定していた作業時間も
1/2以上にていか(表現が逆か?)樹木トレッキングなどのトレッキングは半休止状態。さて、
今夜の季語は「方頭魚」。

とこしへの赤ここにあり方頭魚   高橋将夫

Here is eernal red that a beautful(and delicious) face-head-fish.

方頭魚。欽明台、カナガシラ(金頭、方頭魚、火魚、学名:Lepidotrigla microptera)のこと。カサ
ゴ目、ホウボウ科に分類される魚。ホウボウに似た魚で、ホウボウと同じく食用に漁獲される。
体の大きさのわりに身は少ないが、旨みと歯ごたえがある美味な白身魚で、料理法も煮付け、唐揚
げ、塩焼き、鍋料理、干物など多種多様である。小さなものは蒲鉾など魚肉練り製品の原料にも用
いられる。この魚を縁起物にしている地域もある。たとえば長崎県ではカナガシラという名が「お
金が貯まる」に通じるとされ、節分にこの魚を食べる風習がある。俳句では方頭魚。頭が角張って
いるところに注目しているす。寒くなると脂がのってくるが、白身魚で、刺身でも、煮ても焼いて
も 鍋にしても美味しいが、やはり、熱燗との金目鯛の煮つけが一番である。

 

 ● 読書日誌:カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』 No.23

     

 第5章
エドウィンはすねたようにウィスタンの隣に戻り、うかがうようにその表情を見た。ウィスタンは
まだくすくす笑いをつづけていて、口の端からは況が垂れ、目はきょろきょろとあたりをさまよっ
ていた。だが、実際は注意深く馬と敵までの距離を測っているはず、とアクセルは思った。そして
十中八九、自分と同じ結論に達しているはず、とも思った。

「ガウェイン卿一とアクセルはささやいた。「何か面倒が起こったら、妻を守るのに手を貸してい
ただけませんか」
「わが名言にかけて、アクセル殿。安心めされよ」

アクセルは感謝の意を込めてうなずいた。灰色の髪の兵士が馬から下りはじめている。その動作の
巧みさと、裏に隠れている深謀遠慮に、アクセルはふたたび感嘆した。兵士はいまウィスタンと少
年の正面に立っている。計算された正確な距離と角度を保ち、手ににぎる剣も腕に負担をかけない
持ち方だ、背後からの不意の攻撃には、馬を背中に置いて備えている。

「橋の上で会ったとき、おれたちが何を忘れていたか教えてやるよ、おじさん。サクソンの戦士が、
怪我をした少年を連れて近くの村を出た-そういう報告があったんだ」兵士はエドウィンを顎で指
し示した。「そのくらいの年の少年だそうだ。さて、おじさん、あんたと奥さんがどう関わってい
るかがわからない。狙いはこのサクソン人と少年だけだから、正直に話してくれれば、あんたらに
危害は及ばない」 
「戦士などいません、兵隊さん。わたしらはあなたにも、たぶんあなたがお仕えになっているブレ
ヌス卿にも、無関係の人間ですI
「何を言っているか、わかってるのかい、おじさん。敵をかくまえば、責任を問われる。いくらご
高齢であってもだ。一緒に旅をしているこの唖者と少年は何者なんだい」
「さっき申し上げたとおりです、兵隊さん。借金のかたに、穀物と錫の代わりにわたしどもに託さ
れました。一年働いて、家族の借金を払ってもらいます」
「ほんとうにそうかい、おじさん」
「兵隊さんが誰を探しているか知りませんが、この哀れなサクソン人ではありますまい。ここで時
間を無駄にしている間に、敵はどこかに逃げてしまいますよ」

兵士はしばらく考えていた。アクセルの声には予想外の確からしさがあって、兵士の心に迷いが生
じた。
「ガウェイン郷」と呼んだ。
「この連中はどういうお知り合いです」
「ホレスとここで休んでいたらご通りかかった。ただの素朴な村人のように思ったぞ」

兵士はもう一度ウィスタンの顔をじっと見た。「口がきけない痴呆だと?」兵士は二歩前進し、剣
を持ち上げて、切っ先をウィスタンの喉元に向けた。「だが、おれら同様、死ぬのは怖かろうよ」

兵士が初めて過ちを犯した、とアクセルは思った。相手に近づきすぎた。これでウィスタンにも―
―もちろん恐るべき危険をともないはするが――チャンスが生まれた。突然勤いて、剣が伸びてく
るまえに、その剣を持つ腕を押さえることができる………だが、ウィスタンはくすくす笑いをつづ
け、意味もなく大きな笑顔を横のエドウィンに向けた。兵士のとった行動ががウェインの怒りを掻
き立てたようだ。

「ほんの一時間前には赤の他人であったが、君にそうやって無礼な扱いを受けるのは見たくないぞ}
と大声で言った。
「あんたには関係ないことです、ガウェイン卿。引っ込んでいてください」
「そのほう、アーサー王の騎士にそのような口のきき方をしてよいのか」
「この痴呆が、姿を変えた戦士だと・・・・・・?」.丘兵隊はガウェインを完全に無視してつぶやいた。
「そんなことがあるだろうか。まあ、近くに武器はなし。どちらでもかまわんか。どっちであれ、
この剣の切れ昧でなんとかなる」
「こいつめ、よくも・・・・・・」とガウェインがつぶやいた。

不意に自分の過ちに気づいたのか、灰色の髪の兵士ははっとしたように二歩下がり、さっきとまっ
たく同じ位置に戻った。剣を腰の高さまで下げて、「少年」と呼んだ。「おれの前まで進め」
「その子はサクソンの言葉しかわかりません、兵隊さん。それに人見知りで」とアクセルが言った。
「しやべる必要はないんだよ、おじさん。ただシャツを持ち上げてくれればいい。それで、戦士と
一緒に村を出た少年かどうかわかる。少年、もう一歩前だ」

近づいてくるエドウィンに、兵士が空いているほうの手を伸ばした。少年が振り払おうとして揉み
白いになったが、所詮は大人と子供。すぐにシャツの裾がめくり上げられ、少年の胴がむき出しに
なった。あばら骨の少し下の皮膚が腫れているのが見えた。そしてその腫れを取り巻くように、小
さな乾いた血の塊が点々と並んでいるのも見えた。アクセルの左右でも、ベアトリスとガウェイン
がもっとよく見ようと身を乗り出していたが、兵士自身はウィスタンから目を離すのが怖く、まだ
見られずにいた。しばらくためらったあと、ようやく首をすばやくひねって見ようとしたが、その
瞬間を狙ったように、エドウィンが耳に突き刺さる甲高い声で叫んだ。いや、叫びというのではな
かろう。むしろ途方に暮れた狐の鳴き声のように聞こえた。

一瞬、兵士はそれに気をとられた。隙が生じ、少年が兵士の手を振り払った。アクセルはそれを見
ながら、違う、と思った。これは少年が発した声ではない。ウィスタンだ………それまでのんびり
と草を食んでいた戦士の雌馬が、突然、音に応えるように振り向き、一行を目かけて突進してきた。
兵士の馬がパニックに陥ったように背後で暴れけじめ、兵士をさらに慌てさせた。ようやく落ち置
きを取り戻しはしたが、そのとき、ウィスタンはもう兵士の剣先のはるか彼方まで逃れていた。ウ
ィスタンの馬が前を蹴敗らす勢いで近づいてくる。ウィスタンは右へ、つぎに左へ、フェイントを
かけるような動きをしたのち、もう一度あの鋭い声をあげた。馬がスビードを緩め、ウィスタンと
兵士の間に割って入った。と、つぎの瞬間、馬のその動きを利用して、ウィスタンは大木から数歩
離れた位置に楽々と移動していた。馬はそこでもう一度向きを変え、主人の後につづいた。じつに
利口な馬だ。ウィスタンはきっと馬に前を通らせ、その背に乗るつもりだろう………アクセルはそ
う思ったし、事実、馬の向こうに姿が隠れる直前、戦士の腕は確かに鞍に向かって伸ばされていた
。だが、駆け足で通り過ぎた馬の背に、騎手の姿はなかった。馬は無人のまま、さっきまで草を食
んでいた場所に戻っていった。ウィスタンは場所を動かず、静かに立っていた。いま、その手には
剣がにぎられていた。



ベアトリスから小さな驚きの声が漏れ、アクセルは妻の体に腕を回して、引き寄せた。反対側から
はガウェインのうなり声が聞こえた。このうなり声は、ウィスタンの動きの見事さへの賞賛だろう
。老騎士は地表に盛り上がったオークの根の一つに片足を乗せ、その膝に手を置いて、興味津々の
表情で見つめていた。

灰色の髪の兵士は三人に背中を向けている。向こうにウィスタンがいて、これと相対さねばならな
いのだから、そうせ、ざるをえない。さっきまであれほど落ち置き払い、戦い慣れている感じだっ
た兵士の背中に、いま狼狽があらわたった。さっきのパニックで走り去った馬があそこにいる。兵
士は、まるで何か頼るものがほしいかのように馬を見やってから、剣を土げた.

剣先が肩の高さより少し上になるようにして、両手で力いっぱい握りしめている。まだこの体勢を
とる段階ではないはず、とアクセルは思った。いまからやっていたら腕の筋肉を疲労させるだけな
のに、と。対照的に、ウィスタンは無関心に見えるほど平然としている。前の晩、鬼退治に村から
出ていったときの様子とまったく変わらない。ウィスタンがゆっくりと兵士に向かって歩いた。片
手に剣を下げ、あと数歩というところで止まった。

「ガウェイン卿」と兵士が呼んだ。

声の調子が変わっている。一後ろで動く音が開こえます。おれと組んで、この敵と依ってくれるん
ですかI
「わしはこの善良なる夫婦を守るためにおる。それ以外のことに関わるつもりはない。引っ込んで
いろ、と誰かに言われたことでもあるしな。この戦士はそなたの敵かもしれんが、わしの敵ではな
い」
「こいつはサクソンの戦士ですよ、ガウェイン卿。悪さをしにやってきてるんです。一緒にやっつ
けてくださいよ。おれは義務を果たしますが、探していた男だとすると、なんかすごいやつらしい
ですからI
「このあたりの人間ではないというだけで、この男に対して武器をとれとな?だいたい、この静か
な場所に荒っぽく乗り込んできたのはそなたのほうではないか」

しばらく静けさがあって、兵士がウィスタンに言った。

「口がきけないままでいるつもりか。こうして向かい合った以七、名乗るつもりはないのか」
「わが名はウィスタン。王の用事でこの国を訪れている東方の戦士です。あなたの主人ブレヌきる
理由を、わしはまだそなたから聞いておらんように思う」
「ならば言いましょう、ガウェイン卿。ブレヌス卿ご自身から聞かされたこととはいえ、本来、お
れみたいな下級兵士が言っていいような秘密じやないんですが、この男はクエリグを殺すよう命じ
られてこの国に来たんです。それが、この国でのこいつの任務です」

「クエリグを殺す?」ガウェイン聊は心底驚いたようだ。オークの根本を離れて前へ歩き、初めて
会った人を見るような目でウィスタンを見つめた。
「ほんとうなのか」
「アーサー王の騎士に嘘はつけません。申し上げましょう。わたしは、すでにご存じの任務に加え
て、この国を徘徊する雌竜を殺すよう王から仰せつかっています。しかし、この任務に異議を唱え
る人などおりますまい?国全体に等しく危険をもたらす萍猛な竜です。兵士殿、この任務を果たそ
うとするわたしがなぜブレヌス卿の敵になるのか、お教え願いたい」

「クエリグを殺す?本気でクエリグを殺すつもりでおるのかIガウェイン聊は叫んでいた。

「だが、それはわしに与えられた任務であるぞ。知らぬのか。わしがアーサー王その人から託され
た大事だ」
「そのことはまたの機会に、ガウェイン卿。まずはこの兵士です。おとなしく通行していたわたし
と友人たちを敵呼ばわりする者、まずはこの兵士とかたをつけさせてください」
「ガウェイン卿、助太刀してくれないんなら、たぶん、これがおれの最期です。どうぞ、ガウェイ
ン聊、アーサー王とその思い出をブレヌス聊がいかに太切にしているかご存じのはず。このサクソ
ン人相手に剣を……一」
「クエリグ退治はわしの任務だ、ウィスタン殿。ホレスとわしはやつをおびき出す周到な計画を練
っておる。誰の助けも借りぬ」
「剣を下ろせ、兵士殿」とウィスタンが兵士に言った。
「そうしたら命はとらない。それともこの場所で命を終えるつもりか」

兵士はためらっていた。だが、やがてこう言った。
「一人で討ち取れると過信したおれは愚か者だ。どうやら、そのうぬぼれの罰をここで受けること
になりそうだ。だが、剣は置かんぞ。おれは卑怯者ではないI
「そなたの王には何の権利かおるのか」とガウェインが叫んだ。「なぜはるばる遠国から人をよこ
し、アーサー王の騎士の任務を横取りさせるのか」
「お許しを、ガウェイン卿。しかし、卿がクエリグ退治を命じられてから長い年月が経っています。
当時の子供はすでに大人です。わたしが災厄の元凶を取り除ければ、この国のためにもなるでしょ
う。なぜお怒りになる」
「なぜ怒るかだと。そなたは何に頭を突っ込もうとしておるのかわかっておらぬ。クエリグ退治を
簡単だと思うか。篠猛で、それに劣らず賢い。思い上がって臨めば、怒らせることにしかならぬ。
その怒りの前に国全体が苦しむ。ここ数年、クエリグはすっかり鳴りをひそめておるというのにだ。
ことは慎重のうえにも慎重を要する。さもないと、国中の無事の民に災厄が降り注ぐ。すでに長い
年月が経った?ホレスとわしがどう時間を過ごしておったと思うのだ。どこかで一つ間違うと、
結果は重大なのだぞ」
「ならば助太刀を、ガウェイン卿」と、もう恐怖を隠そうともせずに兵士が叫んだ。
「二人でこいつを始末しましょうI

ガウェイン郷は眉をひそめて兵士を見たが、一瞬、誰なのか思い出せないように見えた。少し落ち
着いた声で言った。

「助太刀はせぬよ、兵士殿。そなたの主人はわが友ではない。むしろ、その心に秘める培い思いを
恐れておる。そなたがこの方々にもくろむ仕打ちも気に入らぬ。仮にわれらを巻き込む謀略がある
にせよ、この方々は無縁であろう」
「ガウェイン卿、おれは蜘蛛の巣につかまった蝿も同然。生と死の境で揺れています。もう一度だ
けお願いします。どういうことなのか全部わかってるわけじゃありませんが、こいつがなぜこの国
にいるか考えてください.悪さのためでなきや、なんですI
「何の用事でここに遣わされてきたかは、いま聞いた、兵士殿。杜撰きわまりない計画に怒りはす
るが、そなたと力を白わせて彼を打ち倒す理由にはならぬな」
「さあ、兵士殿」とウィスタンがなだめるような口調で言った。
「さっさと終わらせましょうか」
「ウィスタン様」と、突然、ベアトリスが言った。
「この兵隊さんに剣を差し出させ、馬で帰らせたらいけませんの。橋の上では親切にしてくださっ
たし、たぶん、悪い方ではないはずなのに」
「残念ながら、奥様、この兵士はわたしたちの知らせを持ち帰って、すぐに三十人、いや、それ以
上の兵士を引き連れて戻るでしょう。そのとき、わたしたちへの慈悲など少しも期待できません。
少年にも何かするつもりであることをお忘れなく」 
「裏切らないという誓いを立ててくださるかもしれません」
「ご親切、痛み入ります、奥さん」と、灰色の髪の兵士がウィスタンから目を離さずに言った。
「ですが、おれは悪党じゃないんで、奥さんの親切に付け込むつもりはありません。このサクソン
人の言うとおりですよ。おれを助けたら、いまこいつが言ったとおりのことをします。兵士ですか
ら、ほかにやりようがないんです。ですが、思いやりに感謝しますよ、奥さん。これがおれの最期
だとしても、そのお言葉で少しは心安らかに逝けそうです」

「まだですよ、兵隊さん」とベアトリスがつづけた。「橋の上で頼まれたご両親のことも忘れてい
ませんからね。冗談半分だったんでしょうし、わたしたちがご両親に出会うなんてこと、あまりあ
りそうにないけど、でも、もし出会えたら、兵隊さんがどれだけ会いたがっていたかを必ず伝えま
すI
「それもありがとう、奥さん。ですが、おれはいまはおセンチになっているときじゃないんで。そ
れに、どんなにこの男の評判が高くたって、おれが負けると決まったものでもないしね。おれが勝
ったら、奥さんは情けをかけたことを後悔するかもしれないよ」
「きっとそうでしょうね」とベアトリスは溜息をついた。

「では、ウィスタン様、わたしたちのた
めに最善を尽くしてください。わたしは殺し合いを見たくないので、後ろを向いています。エドウ
ィンにもそうさせてくださいませんか.あなたの言葉しか間かないでしょうからI
「お許しを、奥様」とウィスタンが言った。
「少年には、これから起こることをすべて見てもらいます。わたしも同じ年頃にそうさせられまし
た。大丈夫、戦士のおり方を見て、腰を抜かしたり吐いたりする子ではありません」
そして、少し離れたところにぽつんと立っているエドウィンにサクソン語で短く何かを言った。少
年はうなずき、大木まで歩いてアクセルとベアトリスの横に立った。大きく目を開け、瞬きすらし
ないように見えた。     
           
                          カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』  
 
                                                                       この項つづく

 Dec. 27, 2018

人の体は年齢を重ねるごとに老化していきますが、必ずしも60歳の人よりも80歳の人の方が身体
的に老化しているとは限らず、60歳の人が加齢に伴う病気を患っているかもしれない一方で80
歳でも元気で健康に生きているパターンもあるという。そんな実年齢と身体年齢の違いについて、
米国はソーク研究所の研究チームが「遺伝子を調べることで身体年齢を予測する機械学習アルゴリ
ズム」を開発したことを公表している。

それによると、特定の範囲に焦点を当てずに老化の遺伝子的兆候を発見する事業設立。当初、老化
現象の兆候を突き止める対象が全くのブラックボックス状態。同グループは、健康な1~94歳の人
々合計133人を対象に、遺伝子分析の被験者真皮成分を作り出す線維芽細胞を採取(単純で非侵
襲的な方法で採取できること、数週間から数カ月で入れ替わる他の細胞と違い、一生にわたって体
内にとどまり続ける細胞であることから、老化の兆候を含む可能性が高いと考えられていたことが
その理由)。10歳ごとに平均13人の参加者から採取された線維芽細胞は研究室内で培養されRNA-
Seq
という細胞中のRNA配列を解読、遺伝子の発現などを調べる方法で分析。その後、RNA-Seqデ
ータを分類するカスタム機械学習アルゴリズムを使用することで、平均して±4年以内の誤差で細
胞を採取した人物の年齢を予測できるようになる。

 

担当責任者(Fleischer)は、何か特定のものを見つけず、全ての遺伝子発現の変化を調べ、アルゴ
リズムに分類させる方法を採用、これまでに生物学的老化の研究で用いられてきた手法とは異なる
方法でデータを公開したことが成功の理由に挙げている。また、アルゴリズムが正しく動作してい
ることを証明に、先天的遺伝子異常を原因とする早老症の一つ、ハッチンソン・ギルフォード・
プロジェリア症候群
の患者10人からも線維芽細胞を採取し、アルゴリズムで判定を行っているが
早老症の患者は実年齢よりもおよそ10年ほど高齢という予測結果になったという。

 

今回、老化の遺伝的兆候の解明にしたことで、遺伝子発現の変化そのものと老化の因果関係がわか
ったわけではないが、その一方で、多くのデータ蓄積・学習させていくことで、特定のの身体年齢
が実年齢よりも衰えているかそうでないかが判定できるのではと考えている。このことで、実年齢
よりも身体の高齢化が進んでいる場合、早期に健全なライフスタイルへの転換促し、加齢に伴う多
くの病気を予防支援できる。さらに、老化はアルツハイマー病やその他の神経病を含む多くの病気
の早期の予防治療対象者を救済・実現と意気込む。

 Dec. 26, 2018

【肥満予防ジョキングⅠ】
あれ以来、室内ウォーキングや腕立て伏せや歯磨きを自粛させているが、歯磨きは3週間目から虫
歯対策で平常に戻し、テレビ体操を励行しているが、元基回復と共に視覚作業が増え、過食・飲酒
量が増える。肥満の弊害が気になる(肥満度は-3%維持がベターとの指針がある)。今月の26
日、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)は、甘みを与えてくれる砂糖は料理や製菓には
欠かせない、さまざまな食べ物に含まれ流通が整ったことで、現代は食べ物がどこにでも売られて
いる反面で「砂糖の過剰摂取によって私たちの健康が脅かされていると、警鐘を鳴らすレポートを
公表。

●2人に1人が糖尿病?!
それによると、2010年代に入るとエイズよりも2型糖尿病を患う人が激増。実際、1970年以来糖尿
病の発生率が3倍以上、その95%以上が2型糖尿病を患っており、カリフォルニア州だけでも成人
の11%が糖尿病を患い、48%が糖尿病予備軍状態だという。糖尿病や脂肪肝の患者が増えてい
るのは遺伝的な変化が原因とするのは誤解。私たちの環境変化によるものと指摘されている(上図
参照)。UCSFによれば、アメリカ人は毎日平均小さじ17杯分、年間でおよそ26キログラムの
糖分摂取し、入手可能な加工食品の4分の3糖添加物が含まれ、現代人が消費する糖添加物の36
36%が、清涼飲料水に含まれる液糖だとのこと。こうした糖の長期的な過剰消費はインスリン抵抗
性・高血糖・高血中脂肪・高コレステロール・高血圧を招き、やがて糖尿病・肝臓病・心臓病など
のメタボリックシンドロームを引き起こす恐れがある。なんか、石油精製会社 vs 済生可能エネル
ギー会社みたいな論争が医者 vs. 製糖会社で続いているが、過剰摂取は地球環境や社会保障費浪
費、いや私の健康寿命にも悪いわけで「人の振り見て、我が振り直せ」といういうではないか。そ
こで一句。

年の瀬やこれで見納め爪楊枝

我が家の食卓には、いつも、芋、りんご、だし巻きたまご、ブロッコリーなど小口に切り分け爪楊
枝に刺したおやつがわりに置かれ、つまみ食いしているがこれは重宝で、食べ終えた爪楊枝を眺め
この一年を感謝し、彼女に感謝している次第。

 ● 平成の一曲


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