7.述 而 じゅつじ
ことば-------------------------------------------------------
「道に志し、徳に拠り、仁に依り、芸に遊ぶ」(6)
「一隅を挙げて三隅をもって反らざれば、復せざるなり」(8)
「不義にして富みかつ貴きは、われにおいて浮雲のごとし」(15)
「子、怪、力、乱、神を語らず」(20)
「三人行えば、必ずわが師あり」(21)
--------------------------------------------------------------
15 雑炊をすすり、白湯を飲み、肱を枕にごろ寝する。こんな貧乏
ぐらしの中にも、楽しみはないわけではない。それにひきかえ、ねる
いことをして金や地位を手に入れ、派手な暮らしをするのは、わたし
からみれば空に浮かぶ雲みたいなものである。
子曰、飯疏食飮水、曲肱而枕之、樂亦在其中矣、不義而富且貴、於我
如浮雲。
Confucius said,
"Eating poor meals and sleeping without a pillow, such a life
has also pleasure. Earning money and getting a high position
by dishonest means, such a life is fleeting clouds for me."
第4部 ガウェインの追憶-そのⅡ
第15章
さっきとほとんど同じ姿勢でケルンの前に立っている。その姿勢の何
かが、またアクセルの心を刺激しただが、今度は先ほど感じた恨みの
痕跡は見当たらず、アクセルはほっとした。いまあるのは、ベアトリ
スを守りたいという強い衝動だ。容赦なく吹きつける風から守りたい。
二人の周囲 に集まりつつある黒く大きな何かからも守ってやりたい。
アクセルは立ち 上がり、ベアトリスの横に急いだ。
「山羊はしっかりつないだよ、お姫様」と言った,
「おまえの準備がよければ、そろそろドりはじめよう。あの子供だち
とわたしら自身に約束した仕事は、これですんだわけだからな」
「アクセル、わたし、あの本に吠には帰りたくありません」
「何を言っている、お姫様」
「アクセル、あなたは池の縁に行っていないでしょう。騎士さんと話
すのに忙しくて、あの冷たい水の中を見ていないでしょう」
「風のせいでくたびれたのかな、お姫様」
「水の中に、ベッドで寝ているみたいに見上げる顔があったの」
「誰の顔だい、お姫様」
「赤ん坊の,それも水面のすぐ下によ。最初は笑っていると思った。
手を振っているようにも見えたし。でも、近づいてみると、どの子も
動いていなかった」
「あの本にもたれて休んでいるとき、また夢を見たのではないかな。
あそこでおまえが眠っているのを見て、ああ、よかった、と思ったよ。
確かに わたしはガウェイン卿と話をしていたが」
「ほんとうに見たのよ、アクセル,緑の水草の間に。あの木立に戻る
のは やめましょう。あそこには何かいますよ、悪い何かが」
ガウェイン卿は斜面を見下ろしながら、空中に腕を投げた。振り返り
も せず、風に向かって叫んだ。
「すぐにここに来る。いま、もどかしげに斜面を上っている」
「ガウェイン殿のところに行こう、お姫様。マントにしっかりくるま
るんだよ,こんなところまでおまえを連れてきて愚かだった。すぐに
また風よけを見つけよう。騎士殿はどうしたのか」
二人が通りかかると、山羊が紐をしきりに引っ張っていたが、杭はび
くともせずに立っていた。アクセルは、近づいているという人影がど
こまで来ているのか見にいきたかったが、老騎士が一人に向かって歩
いてきた。つながれた山羊からさほど遠くないところで、三人は顔を
見合わせた。
「ガウェイン卿」とアクセルが呼びかけた。
「妻が弱ってきています。風をよけられて何か食べ物のある場所に戻
らねばなりません。来るときのように、馬を使わせていただけません
か」
「何事だ、これは。図々しいにもほどがある。マーリンの木立で会っ
たとき、もう上るなと言わなかったか、行くと言ってきかなかったの
は、お二人のほうではないか」
「わたしたちが愚かでした。ですが、目的がありましたから。ここで
お別れだとしても、由希を解き故たないと約束してください。せっか
くこれだけの苦労をして連れてきた山羊ですから」
「山羊を解き放つ? 山羊などわしの知ったことか。サクソンの戦士
がすぐに来るのだぞ。すごいやつだ。疑うなら、行って見てみよ。山
羊などわしの知ったことか、アクセル殿。いま目の前に貴殿を見てい
ると、あの夜を思い出すわい。今日に劣らず風の強い夜であった。貴
殿は、わしら全員が頭を垂れて立ち並ぶなかで、アーサー王をののし
っていた。頭を垂れたくもなる。貴殿を討ち果たせなどというお役目
はごめんだからな。王と視線が合わぬよう、丸腰の貴殿を剣で貫けな
どという命の下らぬよう、みな下を向いていた。だが見よ。アーサー
は偉大な王であった。そのことのさらなる証明がここにある。貴殿は
最高の騎士の居並ぶ前で王を面罵した。だが、王は貴殿にやさしく応
えられた。覚えているか、アクセル殿」
「何も覚えていません、ガウェイン卿。あなたの雌竜の息が思い出さ
せてくれません」
「わしもみなにならって目を伏せ、貴殿の首がいつ目の前に、足元に
落ち、転がっていくかを恐れていた。だが、王は貴殿にやさしく声を
かけられた。貴殿は少しも一部すら覚えておらぬのか。いまと同じ強
風の吹いていたあの夜、テントを暗い空に吹き飛ばしそうだったあの
夜、アーサー王は貴殿の罵倒にやさしい言葉で応えられた。貴殿の奉
仕に、友情に感謝された。貴殿の名を栄誉とともに記憶するよう、わ
れらに命じられた。貴殿は胸に怒りを抱えたまま去っていき、わしは
貴殿への別れをつぶやいた。聞こえはしなかったろう。ささやくよう
に言った別れだからな。それでも心よりの別れであった。わし一人で
はなかったぞ。大勝利のその日に王を面罵するなど、とんでもないこ
とをした貴殿だが、わしら全員、貴殿の怒りのいくばくかは共有して
いた。思い出せないと貴殿は言う。クエリグの息のせいか。ただ年月
が経ったせいか。あるいは、賢者たる僧をも愚か者にするこの風のせ
いか」
「そういう記憶には関心がありません、ガウェイン卿。いまのわたし
が欲しいのは、妻が語る別の嵐の夜の記憶です」
「心よりの別れであった、アクセル殿。これも白状しよう。貴殿がア
ーサー王をののしっているとき、わしの小さな一部も貴殿の声を借り
て語っていた。貴殿の仲介で成立したのは偉大な協定であった。何年
もよく保たれた。キリスト教徒と異教徒の別なく、すべての人がその
協定ゆえに安らかに眠れた。戦闘前夜でさえな。女子供が村で安全に
していると知れば、心置きなく戦える。だが、アクセル殿、それでも
戦は終わらなかった。かつては国のため、神のために戦ったわしらが、
いまは復讐に倒れた同志の復讐のために戦う。いつ終わる。赤ん坊は
戦の日々しか知らずに大きくなる。貴殿の法も、すでに違反に次ぐ違
反で法の体をなさず……」
「あの日まで、法は両者間でよく守られていました、ガウェイン卿」
とアクセルが言った。
「あれを破るのは不正義でした」
「ほう、思い出したのか」
「神ご自身が裏切られたという記憶です。この記憶だけは、霧にさら
に奪われても、わたしは文句を言いません」
「かつては、わしも霧に奪ってほしいと願ったことがあったが、すぐ
に真に偉大な王のなさりようというものを理解した。戦がようやく終
わった。違うか、アクセル殿? あの日以来、平和がわしらとともに
ある。違うか?」
「それ以上はけっこうです、ガウェイン卿。お礼は申し上げません。
いまは、横で震えているわが妻との暮らしだけを考えさせてください。
それで、馬を貸してくださるのですか、騎士殿。せめて、再会がなっ
たあの木立までだけでも? あそこに安全につなぎとめておきますか
ら」
「あら、アクセル、あの木立には戻りませんよ。なぜここを出て、あ
そこへ戻るなどと? ひょっとしたら、わたしがした約束を信用でき
なくて、霧が晴れるのを恐れているのかしら、あなた」
「馬か、アクセル殿? わしにホレスはもう必要ないと言わんばかり
な。言いすぎだ。やつに若さが味方するとしても、わしはやつなど恐
れぬ」
「そんなことは言っていません、ガウェイン卿。妻を安全なところへ
運び下ろすのに、馬をお貸しくださいとお願いしています……」 「
わしの馬か。アクセル殿は目隠ししてやれと言うか。主人の倒れると
ころを見せてやれと言うか。あれは軍馬だ、アクセル殿。金鳳花の野
で浮かれ騒ぐポニーではない。わしが倒れるも勝つも、神の御心しだ
い。軍馬として、どちらの祐禾にも慌てぬよ」
「妻を背負って旅をしろということなら、そうしましょう、騎士殿。
ですが、少なくともあの木立までの距離、馬をお貸しください」 「
わたしはここに残りますよ、アクセル。風がいくら強くても気にしま
せん。ウィスタンさんが来られるなら、わたしたちもとどまって、生
き延びるのがあの方か雌竜か、この目で確かめましょう。それとも、
やはり霧が晴れるのは見たくないのですか、あなた」
「わしは何度も見てきた、アクセル殿。血気盛んな若者が老獪さにし
てやられるところをな。何度もだ」
「ガウェイン殿、騎士であるあなたにもう一度お願いしたい。この風
が妻の体力を奪っていきます」
「わたしの約束では十分ではないの、あなた。ほんの今朝のことでは
ありませんか。霧が晴れて何が見えようとも、あなたへのいまの思い
を、わたしは失ったりしません」
「アクセル殿は、偉大な王の行いを理解せぬつもりか。凡人にできる
のは、見て、驚くことのみよ。偉大な王は、神ご自身同様、凡人が尻
込みする行いも、あえてなさねばならぬ。可憐な花の前を通りながら、
わしの目にまったく入らなかったと思うのか。この胸に押し当てたい
と思ったことも、一度や二度はある。常に金物との添い寝で我慢せよ
と言うか。誰がわしを卑怯者と呼ぶ。赤ん坊殺しと呼ぶ。あの日、貴
殿はどこにいた。われ とともにいたか? おっと、わが兜。あの木
立に置いてきてしまったわい。だが、いまさら要らぬか。鎧も脱ぎ捨
てたいところだが、下に隠れておる皮を剥がれた狐を笑われるのも瘤
だ」
しばらくは三人が三人とも勝手に怒鳴り合っていた。そこに加わる四
目の声は風の咆哮だ。だが、アクセルがふと気づくと、ガウェインと
ベアトリスはすでに口をつぐんでいて、彼の肩越しに何かを見つめて
いた。振り返ると、そこに戦士とサクソン人の少年がいた。崖の縁に
立っていた。さっきまでガウェインが立ち、何やら考えながら景色を
ながめていたのとほぼ同じ位置だ。背後の雲が厚くなっていて、まる
で二人がその雲に乗って運ばれてきたかのように思える。二人はいま
その雲に映るシルエットになっている。奇妙なほどに動きがない。戦
士は戦車を操る御者のように両手に固く手綱を握り、少年はかなり前
傾して、釣り合いをとるように両腕をいっぱいに伸ばしている。風に
新しい音が加わっていた。
「ああ、また歌っておる」とガウェインの声がした。
「やめさせてくださらんか、ウィスタ ン殿」
ウィスタンが笑い、二つの人影は動きを取り戻した。少年が引っ張る
よ うにして、三人のほうに歩いてきた。
「謝ります」と戦士が言った。
「岩から岩へ飛び跳ねるのを防ぐだけで精一杯です。勝手にやらせた
ら首をへし折りかねない」
「あの子はどうしたのかしらね、アクセル」とベアトリスが耳元で言
った。声にいつもの妻らしいやさしさが戻っていて、アクセルは深く
感謝した。
「あの犬が出てくるまえも、こんな感じだったでしょう?」
「調子外れもここまで来るとな」とまたガウェインが言った。
「一発お見舞 いしたいが、どうせ感じもせぬのだろうな」
戦士はさらに近づきながら、もう一度笑い、アクセルとベアトリスに
陽 気な笑顔を向けた。
「これは驚いた、お二人さん。いまごろはもう息子さんの村にいるも
のと思っていましたよ。なぜこんな寂しい場所においでです」
「貴殿と同じ用事だ、ウィスタン殿。わしらから大切な記憶を奪う雌
竜を退治したいという思いからだそうだ。これは毒を仕込んだ山羊で
な、この山羊にひと仕事してもらおうと計画している」
ウィスタンはその山羊を見て、首を横に振った。
「相手は強大で校揖な生き物なのでしょう? その山羊一匹では、げ
っぷの一つも出させられるかどうか」
「ここまで連れてくるだけでも天変だったんですよ、ウィスタン様」
と アトリスが言った。
「途中で騎上様にまた会って、助けていただきましたけど、それでも
大変。でも、ウィスタン様を見て、また元気が出ました。山羊だけに
頼らなくてよさそうですもの」
エドウィンの歌が鳴り響き、いまや互いの声を聞くことも難しくなっ
ていた。ロープを引っ張る動作も、ますます一心不乱だ。目指す先は、
どうやらつぎの斜面のてっぺんにある場所らしかった。ウィスタンは
ロープを鋭く引いて、言った。
「あそこの岩に行きたがっているようです。あの岩には何があるんで
すか、ガウェイン卿。石が積み重ねられていて、穴か巣か、そんなも
のを隠すにはよさそうですね]
「なぜわしに聞く、ウィスタン殿。その若い友に聞くがよい。歌をや
めてくれるかもしれぬぞ」
「このロープで卸えていますが、言うことを聞かせられないことは興
奮した小鬼以上です」
「ウィスタン殿」とアクセルが言った。
「この少年を危険から遠ざけることは、大人全員の責任です。この高
所では、みなで注意深く見守りましょう」
「そのとおりです、アクセル殿。山羊と同じ杭につながせてもらって
もよろしいですか」
戦士は、アクセルが打ち込んだ杭までエドウィンを連れていき、しゃ
がんで、少年のロープをそれに結びつけはじめた。異常とも思えるほ
ど入念な作業ぶりで、作った結び目を何度も確かめたうえ、ぐらつか
ないかどうか、杭の頑丈さまで訓べていた。その間、少年の興奮はい
くぶん静まったようだが、自分の身に起こっていることにはまったく
無頓着で、依然、斜面のてっぺんにある岩を見つめながら、飽きるこ
となくロープを引きつづけていた。歌声もやまない。けたたましさこ
そましになったが、そのしつこさは、疲れ果ててもなお行軍をやめな
い兵隊を思わせた。山羊は、続の許すかぎりエドウィンから遠ざかっ
ていた。だが、杭を共有するこの仲間に興味津々のようで、じっと目
を離さずに昆ていた。ガウェインもまた、ウィスタンの.挙手一役足
を注意深く観察していた。やがて、その目に一部の校鮒さが浮かぶの
を、アクセルは見たように思った。作業に熱中しているサクソン人戦
士にこっそり近づくと、剣を抜いて地面に突き刺した。その幅広い柄
に前腕を乗せ、体重を預けて、その体勢でウィスタンの観察をつづけ
た。きっと戦士の体格の詳細を記憶しているのだ、とアクセルは思っ
た。戦士の身長、腕の長さ、ふくらはぎの力、吊るされている左腕の
負傷の程度……。 ウィスタンは作業の結果に満足できたようだ。立
ち上がって、ガウェインに向き直った。一瞬、見交わされた二人の顔
には不穏の色が浮かんだ。だが、ウィスタンの顔が温かい笑い顔に変
わった。
『忘れられた巨人』
この項つづく
米津玄師 パプリカ 作詞・作曲:米津玄師 菅野雄真
曲りくねり はしゃいだ道
青葉の森で駆け回る
遊び回り 日差しの街
誰かが呼んでいる
夏が来る 影が立つ あなたに会いたい
見つけたのはいちばん星
明日も晴れるかな
パプリカ 花が咲いたら
晴れた空に種を蒔こう
ハレルヤ 夢を描いたなら
心遊ばせあなたにとどけ
雨に燻り 月は陰り
木陰で泣いていたのは誰
一人一人 慰めるように
誰かが読んでいる
喜びを数えたら あなたでいっぱい
帰り道を照らしたのは
思い出のかげぼうし.....
「パプリカ」(Paprikaə)は、米津玄師の作詞・作曲、プロデュース
により製作された楽曲。「〈NHK〉2020応援ソング プロジェクト」の
一環として、音楽ユニット・Foorin(フーリン。同プロジェクトでの
オーディションによりメンバーが選出された)歌唱バージョンが、NHK
総合『みんなのうた』で2018年8月より放送開始。同月15日にはシング
ルをリリース。2018年の7月19日よりYouTubeにてダンスバージョンの
PVを公開。8月1日から米津玄師による「パプリカ」のセルフカバーが、
同じくNHK総合『みんなのうた』にてオンエア開始。米津のYouTubeチ
ャンネルでも配信が開始。8月9日にはセルフカバー版ミュージック・
ビデオのフルサイズを公開。その同じ日にFoorinダンスバージョンが
1億回再生突破。米津の語ったところによれば、本曲名は「パプリカ」
の語の「音の響き」、およびパプリカという物)自体の「ポップな感じ、
かわいい感じ」から名づけたと説明。
ところで、2009年よりバンド活動と平行しながら、ニコニコ動画にて
オリジナルボカロ曲の投稿をスタート。ハチという名義で 「マトリョ
シカ(1000万回再生)」「パンダヒーロー(600万回 再生)」などの
大ヒット曲を次々と生み出し、ネットでの音楽活動が認められ、2013
年よりメジャーデビュー。これまでの動画再生回数は6億回を超え、
ビルボード音楽チャートにて7度の1位、第10回CDショップ大賞受賞。
アニメやドラマ、映画などの主題歌も手がけ、幅広い世代で支持を得
る。また、作詞、作曲、演奏、ボーカルから、CDジャケットに使われ
ているイラスト、アレンジ、プログラミング、演奏、ミックス、動画
制作などに至るまで全て1人で制作し、 イラストレーターとしてのフ
ァンも多く、ルーブル美術館の展示でイラストが 展示された事もり、
千年に1人(これは誇張されすぎと思うが)と評されるモンスター級
のアーティスト。普段は1日1食ぐらいだそう。ご飯を食べるのが面倒
くさいらしく、某ラジオの対談にて、ひとまずそこら辺にあるもの食
べられればいい。という様な感覚でご飯を食べ、基本的にコンビニで
適当に買うか、マクドナルドか ソバを適当に食べる生活をしている。
その他に、学生の時に熱中して聞いてたバンドは、 Vampire Weekend
(バンパイヤ・ウィーケンド)のデビュー・アルバム。初めて聴いた
のが、18、19歳ぐらい。スカスカでヘナチョコな感じに聴こえるけど、
独創的でメロディが美しくて、スカスカかと思いきや、必要な音しか
鳴らしていない合理性だとか、そういうのを一番最初に聴いた時に、
とんでもない衝撃を受け、アルバムに聴き浸ったと語っている。いず
れにしろ彼の歌謡楽曲をしばらく追跡してみたいと想う。
【ポストエネルギー革命序論57】
スマートスピーカの進化が止まらない
MEMSマイクに新原理、PZTでスピーカーやレンズ
MEMS(微小電子機械システム)に関する世界最大で隔年開催の国際会
議「Transducers(International Conference on Solid-State Sensors,
Actuators and Microsystems)」の特集が 9月19日、日経 xTECH(
クロステック)で掲載され目を引く。MEMSマイクロホン(マイク)は、
2010年に米Apple(アップル)の「iPhone4」に搭載されて以来、エレ
クトレットコンデンサーマイク(ECM)を携帯電話機・スマートフォ
ンから駆逐するとともに、性能を高めてきた。当初58~59dBだったSN
比(信号対雑音比)は62~63dB、65~66dBと世代を経ることに向上。
遅くとも6~7年前にはSN比は65dBに達した。一方、「Amazon Echo」
が先鞭を付けたAIスピーカが 登場し高性能化が進む。AIスピーカでは、
ユーザとマイクとが離 れ、音声認識率がユーザ体験に直結、ハイエ
ンド(デュアルバックプレート型静電)MEMSマイクのSN比が約70dB
に向上する。
MEMSマイクロフォンの基礎
MEMSマイクロフォンは、MEMS(Micro-Electro-Mechanical System;
微小電気機械システム)コンポーネントがプリント回路基板(PCB)
上に配置され、それが筐体でカバーで保護された構造をし、マイクロ
フォンに音が入るようにこのケースには小さな穴が1つ開けられてい
る。①トップカバーに穴がある場合はトップポート型、②PCB にある
場合ボトムポート型として指定される。MEMSコンポーネントは、多く
の場合機械振動板とともに設計され、半導体ダイ上にマウントされた
構造を持つ。MEMSS振動板がコンデンサを形成し、音圧波が振動板を
動き、MEMSマイクロフ ォンは通常オーディオアンプとして機能す2
つ目の半導体ダイを持ち MEMSの変化するキャパシタンスを電気信号
へと変換。アナログの出力信号を希望する場合は、オーディオプリア
ンプの出力がユーザーに供給される。デジタルの出力を希望する場合
は、オーディオプリアンプとして同じダイ上にアナログ‐デジタル変
換器(ADC)が含まれる。MEMSマイクロフォンがデジタルエンコーデ
ィングに使う共通のフォーマットがパルス密度変調(PDM)これは、
クロックと単一データライ ンのみの通信を可能とする。レシーバ側
のデジタル信号のデコーテ ィングは、データの単一ビットエンコー
ディングであることから簡素化される。
エレクトレット・コンデンサ・マイクロフォンの基礎
3mmほどのコンパクトな直径と1 mmほどの厚さである、CUIのエレト
レット・コンデンサ・マイクロフォンの多様な製品は、設計ニーズに
合わせてさまざまな構成が可能。CUIのマイクロフォンは、全方向性、
一方向性およびノイズ・キャンセル指向性を選択でき、はんだパッド、
ピン、表面マウントおよび配線終端タイプを提供。感度は-最大54~
-24 dBの範囲で、SN比は56~最大72 dBAの範囲。エレクトレット・コ
ンデンサ・マイクロフォンは、1.5、2、3および4.5 VDCの動作電圧と
最大20,000 Hzの動作周波数も特徴で、広範な家電製品、医療機器お
よび産業用アプリケーションに最適。結露や環境的汚染物質に対処す
るいくつかのECMモデルは、最大IP67の異物侵入保護(IP)等級を備
える。
このようなハイエンド品はデュアルバックプレート型静電MEMSマイク
で実現されており、音声で振動するSi(シリコン)薄膜(ダイヤフラ
ム、メンブレン)が2枚のバックプレート(メッシュのような構造の
電極)で挟まれた構造を有する(下図1)。これによって、差動読み
出しが可能になって出力が2倍になるとともに、同相ノイズが抑えら
れる。また、その構造の対称性によって静電トランスデューサーの感
度に直結するバイアス電圧を高くでき、対称出力が可能で、高い音圧
レベルでもひずみがない信号を提供でき、無線干渉に対する堅牢性も
高められるが、開口部から湿気やホコリなどの汚染がともなうが、静
電変換器の原理ではなく、圧電ベースの技術は本質的に、防水/防じ
んで、粒子に対する抵抗力を備える。
このように、電気-機械変換を行う圧電材料は,MEMSにとって非常に
重要な機能材料、 PZT(圧電素子)は鉛を含みつつも性能や扱い易さ
から,依然,圧電材料として主役の座にあり,また,パナソニックや
ソニーの振動ジャイロ,エプソンや富士フイルムのインクジェット・
プリンタ・ヘッドなど,PZT薄膜を用いたMEMSは日本が強みとする。
PZTの性能指数に圧電d定数があり,これは PZTをアクチュエータとし
て用いたときの(非拘束時の)最大変位を決める。一方,PZT を逆方
向,つまりセンサとして用いた場合,センサを拘束していないときの
電圧出力はg=d/ε(圧電出力定数)で決まる(ここに,dは圧電d定数,
εは比誘電率)。dを大きくするには,よく知られ,PZTをMPB(morp-
hotoropic phase boundary)組成(ZrとTiの比で52:48程度)で成膜。
PZTはZr(ジルコニウム)リッチで菱面体晶,Ti(チタン)リッチで正
方晶となるが,MPBはその境界を意味し、MPB組成のPZTではdが大きい
のですが,εも大きく,gが最大になるとは限らない。gを最大にする
には εを小さくするために,PZTをTiリッチで正方晶にした方がむし
ろよいとされるが----TiリッチのときPZTは正方晶(格子長がa=b<cの
直方体)となりますが,dを大きくするためには,c軸(分極方向)が
膜厚方向でないといけない。しかし,Si基板上にTiリッチの PZTを成
膜すると,どうしてもc軸が面内に寝てしまい,PZT,Siの熱膨張率が
それぞれ8ppm/K,3ppm/K程度で,PZTを成膜温度(600℃)程度から降
温し,キュリー点(350℃)を跨ぐとき,熱膨張差による歪を緩和に
より,a軸・b軸より長いc軸が横向きになってしまうため---そう単純
ではない。このため,Si基板上にTiリッチのPZTを成膜し,横に寝て
しまったc軸を後から電気的に起こす“wake up”技術を公開。ZrとTi
の比が30:70のPZTを厚さ1.7μmに成膜し,これに80Vの電圧をかける
と,ほとんどa軸配向だったものが,半分弱までc軸配向となる。dは
MPB組成のそれの半分程度だが,εが400程度と1/3程度に小さく,結
果的にセンサとして用いると,大きな電圧出力が得られる。また,ア
クチュエータとして用いると,この組成では印加電圧に対し、よりリ
ニアに動き,MPB 組成のものと比べて倍程度の印加電圧を必要とする
が実質的に使える可動範囲はそれほど見劣らないとされている。
MEMSレンズ
マイクロメカニカルシステムデバイスなどの小型機器を備えた小型の
スキャンメカニズムは、これまで考えられなかった応用にビームをス
キャンおよび集束に必要なメカニズムをダウンサイジングする。例え
ば、科学者は、脳イメージングに自由に動くマウスの頭にわずか2.15 g
の重量のMEMSスキャン小型二光子顕微鏡を取り付けを実現。また、こ
のデバイスは、内視鏡プラットフォームやMEMSベースの光学的生検実
験中にレーザー走査顕微鏡を適応させ、in vivoで癌を検出可能にする。
小型フットプリントなMEMSスキャナーは、光学アーキテクチャと並行
し、複数の自由度を組み合わせ小型化に貢献している(「光MEMS}参
照)。
❦ 1995年からMEMS事業開発調査に入って今年で24年を経て、
すべての分野でこの事業が展開していることを目にし、当時、「百見
は一触にしかず」と直感したことを想起する。万全である。
市政運営の背景の研究に没頭し、地区の敬老会、小学校・市民運動に、
秋の交通安全運動・ボランティア等々と自治会運動は盛んを通り超し、
おまけに、台風ならず車が家の生け垣に衝突。やれやれ、である。と
ころで、秋の赤十字運動の赤い羽根募金がはじまるが、ひこにゃん事
業が今年8月に民間委託され、「ひこにゃんバッジ」が募金者に配布
される。これは献金しなけりゃならない、ん。