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戀ぞつもりて淵となりぬる

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる "招き猫”と、井伊軍団のシンボルとも言える赤
備え(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編成のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」


                       

16 季 氏  き し
-------------------------------------------------------------
他の篇と趣を異にし、孔子のことばがすべて「孔子曰く」として記
され、また、三、九といった数字でまとめられる章が多い。この点
から、この篇は「斉論」系統であろうともいわれている。
寡なきを患えずして均しからざるを患え、貧しきを患えずして安か
らざるを思う」(1)
「少き時は血気いまだ定まらず、これを戒むること色に在り」(7)
「生まれながらにしてこれを知る者は上なり。学んでこれを知る者
は次なり」(9)
-------------------------------------------------------------
7.君子の自重すべきもの三つ。まだ血気の定まらぬ青年時代には、
色欲を自重する。血気盛りの壮年期には闘争欲を自重する。血気の
衰える老年期には物欲を自重する。(孔子)

孔子曰、君子有三畏、畏天命、畏大人、畏聖人之言、小人不知天命
而不畏也、狎大人、侮聖人之言。


フサザクラ:総桜、
フサザクラ科の落葉高木。山地に自生。春、葉より先
に暗紅色の花が数個ずつふさ状に垂れる。


【新樹木図鑑①×下句トレッキング:戀ぞつもりて淵となりぬる】

  筑波嶺の峯より落つるみな川 戀ぞつもりて淵となりぬる 
                        陽成院

筑波山の峰から流れ落ちるみなの川の深いところのように、私の恋
も積もりに積もって淵のように深くなったのだ。      
陽成院(868-949)は「人生始まったと思ったら終わってた」という
人物。わずか9歳で天皇となったかと思ったら政局に翻弄されて15
歳で譲位を迫られ、隠居生活を余儀なくされる。後を次いだ大叔父
(祖父の弟)は光孝天皇55歳。以後、80歳で崩御するまで65年間も
の間、上皇として隠居生活する。この上皇在任期間は歴代天皇の中
でぶっちぎりのトップ。一説によると脳に異常があり、奇行が多く
883年天皇の乳母紀全子(きのまたこ)の子源益(みなもとのみつ)
を殿上で殺害したり、馬を愛好し宮中で飼わせた記録がある。




⛨ 新型コロナウイルス感染症:長引く症状
3月13日、AFPが各国当局の発表に基づき日本時間12日午後8時 にま
とめた統計によると、世界の新型コロナウイルスによる死者数は、
263万768人に増加する----しかし、この感染症の特徴は、患者の大
半が14~21日で症状が解消するが、30日をたっても症状が消えない
患者が10%の割合で存在している。ただし、この統計は、各国の保
健当局が発表した日計に基づいたもので、ロシアやスペイン、英国
で行われた統計局による集計見直しの結果は含まれない。検査の実
施件数は流行初期と比べて大幅に増加しており、集計手法も改善し
たことから、感染が確認される人の数は増加している。だが、軽症
や無症状の人の多くは検査を受けないため、実際の感染者数は常に
統計を上回る。12日には世界全体で新たに9995人の死亡と55万3157
人の新規感染が発表された。死者の増加幅が最も大きいのはブラジ
ルの2216人。次いで米国(1760人)、メキシコ(709人)となって
いる。最も被害が大きい米国では、これまでに53万2590人が死亡、
2934万7339人が感染した。



【今夜の一冊:パンデミック・ニューディル考 Ⅴ】

  コロナショックと世界経済の状況
2019年に新型コロナウイルス(COVID-19)の最初の症例が中国で確
認されて以降、世界経済は急速に悪化。当初の震源地である中国か
ら瞬く間に世界へ流行が広がり、多くの国で感染の抑制を目的とし
た渡航制限や外出制限等が実施されることとなった。国境を越えた
人や物の交流だけではなく、国内においても人や物の交流が制限さ
れ、その結果、世界経済は急速に減速し、国際通貨基金(IMF)が
グレート・ロックダウン(大封鎖)と表現するほどの経済危機が発
生する。コロナショックでは、まず、供給面でのショックが生じ。
人同士のコミュニケーションが制限され、人の移動が滞り、生産活
動や物流が停滞し、物資の不足が生じることとなった。国際分業に
より国境を越えるサプライチェーンが形成される中、人の移動の制
限や物資の不足に伴ってサプライチェーンの途絶が発生・需要面に
もショックが生じ、感染拡大の抑制のための外出制限や自粛、渡航
制限の導入などに伴い、人同士が接点を持つ対面サービスの需要が
急減し、観光や宿泊、航空などでは前例の無い規 模で需要が縮小。
物についても耐久財の需要が急減、その需要の減少が輸出・生産の
大幅な減少をもたらすことで、需要低迷と供給低迷が相互に作用し、
経済活動が収縮することでグローバル経済からブロック経済へと変
化することになり、皮肉なことに、"コロナワクチン経済"だけがグ
ローバル経済のような様相をみせる。

(1)新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大
世界保健機関(WHO)によれば 2021年03月13日時点において、新型
コロナウイルスの累計感染者は世界全体で1億1,826万人を超え、死
者は2,624万人を上回る。国別の感染者は米国が2,928万人超と世界
最多であり、ブラジル、ロシアが続いている。この新型コロナウイ
ルス感染症は、当初、中国を中心として感染が広がっていた。
その中国における感染の中心であった湖北省を中国政府は封鎖し、
一般市民は特別な事情がない限り家を出ることができない状況とな
ったその後、世界に感染が広がるに従って、欧米やアジア、その他
の地域においても都市を封鎖し、人の移動の制限は広がりを見せ、
世界への感染拡大の中で、2020年3月11日、 WHO のテドロス事務局
長は新型コロナウイルス感染症について、「パンデミック(世界的
な大流行)とみなせる」と表明。日本においても、4月7日に安倍総
理が緊急事態宣言を発出する。

(2)世界経済のグレート・ロックダウン
この新型コロナウイルスの感染拡大で、世界経済は異次元の経済危
機に直面するが、新型コロナウイルスの感染が当初中国を中心とし
たものであった2020年 2月ごろまでは、感染症による世界経済への
影響は大きく見込まれていなかった。主要な国際機関による経済見
通しについては、2020年2月のIMFのゲオルギエバ専務理事の会見で、2
020年の世界の経済成長率は0.1%の下方修正に留まるとされたが、
3月2日に公表された経済協力開発機構(OECD)の経済見通しは、感
染が中国を中心としたものに留まる状況を前提としたベースケース
では世界の経済成長率を0.5%の下方修正、世界に感染が拡大をす
るドミノケースでは成長率の1.5%の下方修正を行う。その後、感
染が世界の他の地域に拡大するにつれ、経済危機の深刻さが認識さ
れていった。IMFのゲオルギエバ専務理事は3月23日の声明で、世界
経済は世界金融危機と同程度かそれ以上の景気後退に陥ると警鐘を
鳴らす。4月のIMFの世界経済見通しは、世界経済は 1930 年代の大
恐慌以来の景気後退に陥るとし、2020年の経済成長率の見通しは世
界でマイナス3%、先進国はマイナス6.1%、新興国はマイナス 1.0
%と、大幅に下方修正。これは、大恐慌以来の最悪の世界経済危機
となる見込みであり、IMFはグレート・ロックダウン(大封鎖)と
表現している。

図表1 IMF 世界経済見通し(2020年4月)

注. WHO Coronavirus disease(COVID-2019)situation reports https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-
2019/situation-reports/

ここで、世界経済の成長見通しの下方修正背景にあるのは。①感染
症の拡大が時差を伴い世界に拡散。当初は中国を中心とした感染で
あったが、2月 の後半以降に欧米に拡大し、同様に経済活動の下押
しも時差を有しながら拡散した結果、経済見通しも、感染症の影響
の深刻さは時差を伴いながら織り込まれた。②人同士の接触の制限
に伴う経済ショックは、供給ショックと需要ショックの双方から影
響が発生するものであり、災害や金融危機といった過去の経済ショ
ックと異なる性質を有する。災害は主に社会資本の毀損といった供
給での、また、金融危機は主に需要面でのショックで、過去のショ
ックと異なる感染症の経済危機のため、影響深度測定が困難なもの
となる。③感染の収束の時期が不透明である。収束を見通すことに
より最終的な経済影響予測がきるが、現時点においても感染の収束
の時期が不確実である。感染が拡大を続け、経済への影響も拡大を
続けている。④経済予測の性質上、リアルタイムのデータが十分で
なく、経済予測自体は過去の経済データを平滑化したものとなりや
すい特徴がある。リアルタイムのデータが限られ、前例のない経済
ショックでは危機の影響は過小評価される。

(3)世界貿易の急速な縮小
世界経済の停滞、人や物の移動の制限は貿易にも影響を及ぼしてい
る。世界貿易機関(WTO)は4月8日に 貿易見通しを公表。その見通
は、新型コロナウイルス感染拡大で 2020年の世界の財貿易は、20
19年と比して、楽観的なシナリオの場合では前年比で13%、悲観的
なシナリオの場合では同32%減少すると予測、つまりは、世界金融
危機時の貿易の減少(2009年、同12%減少)を上回る減少となる可
能性が高いと指摘。国・地域別では、ほとんどの国・地域て 2020
年の貿易量は前年比で 10%を超える減少になるとし、北米、アジ
ア地域からの輸出が深刻な影響を受けるとWTO は予測。一方、アフ
リカ、 中東、CISを含む「その他の地域」は、エネルギー資源の輸
出への依存度が高く影響は限定的と指摘する。業種別では財貿易に
おいては電子機器、自動車等の複雑なバリューチェーンが構築され
ている業種が特に影響を受け、また運輸や旅行に対する制限により、
サービス業はより深刻な影響を受ける。

図表2  世界貿易の見通し

注.楽観的シナリオ:2020年後半に貿易量が回復を開始。悲観的シ
ナリオ:貿易量の回復までより時間を要し、回復の程度も不完全と
いう前提。

(4)世界の投資の急速な縮小
貿易と同様に投資も大幅な縮小が見込まれている。新型コロナウイ
ルスの感染拡大により、中国などにおける需要減退やサプライチェ
ーンの途絶が企業の投資活動を抑制することから、2020年から2021
年の世界における海外直接投資が5%から15%減少するとの見通し
を国連貿易開発会議(UNCTAD)は3月8日に公表したが、感染が世界
に拡大するにつれ、UNCTADは投資の見通しを下方修正し、2020年か
ら2021年の世界の海外直接投資がその予測を3~4割下回るとの見通
しを3月26日に公表し、6月16日に公表された世界投資報告書におい
同様の見通しを示す。

(5)資源
新型コロナウイルスの感染拡大は資源価格にも影響を与えた。WTI
原油先物は2020年初めには61.18ドルであったが4月20日に -37.63
ドルと史上初のマイナスの価格となる。その要因は生産活動の停滞
や外出制限等により資源への需要が減退したことや、原油の貯蔵設
備が限界に近づいているという懸念から、原油現物を保有するコス
ト意識の高まりが警戒された。

(6)金融市場
新型コロナウイルスの感染拡大は実体経済へのショックだが、金融
市場も大きく影響を受ける。株価が大幅に下落し、2020年年初より
株価が3割ほど低下する時期もあり、金融市場の混乱の中で、過去
最大の株価の上げ幅、株価の下げ幅を記録。新型コロナウイルスの
感染拡大に伴う金融市場の動揺で見られた現象の一つに、現金、特
にドルの現金への需要の高まりがある。過去、経済危機においては、
安全資産、つまり金(きん)や国債といった資産への需要が増し、
価格が上昇する(国債の場合では国債金利が低下する)ことが見ら
れるが、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、貯蓄の取り崩し、
すなわち資産を売却することでのドルの現金化が見られ、いわゆる
安全資産の価格も下落し、その一方で、ドルが上昇する。その中で、
ドルの需要の拡大に対応の米国連邦準備制度はドル供給を各国中央
銀行と協調し拡大。ドル現金の需要増加に対処、ドルに交換する際
の上乗せ金利であるベーシススワップレートを見れば、ドル不足に
より急速にそのレートが低下(ドル需要により上乗せ幅が高まる)
ことが見られたこのように、世界中で経済の急速な減速が見られて
おり、実体経済、金融市場に大きな影響が発生している。このコロ
ナショックの本質は、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーシ
ョンの危機である。過去に見られた局地的な災害や金融危機といっ
た経済危機とは異なり、人と人との対面での交流が制限されること
で、供給、需要両面に甚大な影響が発生し、所得や雇用へのショッ
クにつながり経済危機の連鎖につながることに特徴がある。このよ
うに供給ショック、需要ショック、所得・雇用ショックの観点から
コロナショックを図示。


図表3 コロナショックの概念図

注:2020年3月15日に、FRBは他の5カ国の中央銀行と協調して、市
場へのドル資金の供給を強化した。その後、3月19日にこのスワッ
プラインの取り決めに、新たに9行の中央銀行を加えた。3月31日に
は、FRBは、米国債を担保とした海外中銀・当局向けのレポ取引の
実施を公表。

2.供給ショック
コロナショックの本質は、「リアル対面コミュニケーション」の制
限にある。感染抑制のリアル対面(フェイス・トゥ・フェイス)コ
ミュニケーションのコミュニケーションに制限が発生し、人や物の
移動に制限が生じ、その結果、供給制約が発生している。ここでは、
供給ショックからコロナショックを考察する。

(1)サプライチェーンの寸断
供給面については、感染症の拡大を抑止するために人や物の移動・
交流を制限することで、労働者が生産活動に従事できず、また、国
境を越えた移動が困難となり、不要不急の経済活動の停止を政府が
要請することも見られ、生産活動にも影響が生じ、輸送面において
も検問に要する時間が増加。その中で、世界的にサプライチェーン
の途絶が生じ、国際分業により国境を越えるサプライチェーンの形
成過程で、一カ国でも生産活動の停止で、他国の物資入手が不可能
となり、生産の停止が他国に波及することになる。その事例として
2020年2月の日本の貿易は、中国からの輸入が前年同期比で 47.1%
の減少となり、新型コロナウイルスの感染拡大中の中国での生産停
止が、日本の輸入の大幅な縮小に寄与し、中国からの自動車部分品
輸入は同年2月に前年同月比で 46.8%の減少が、中国からの部品供
給の停滞で日本国内の自動車生産に影響を及ぼす。

図表4 2月中旬以降の日本企業の海外生産の動向

(2)物の移動制限
このサプライチェーンの途絶の要因の一つとして、物の移動制限が
存在。国境の封鎖や旅客機のフライト停止により物流の停滞が見ら
れ、欠かせない財の入手が困難となり、その結果サプライチェーン
の途絶が発生する。物資に関する輸出制限・輸出規制も見られ、WTO
の報告書では、4月22日時点で80カ国・関税地域の新型コロナウイ
ルスの感染拡大を受けた輸出制限・輸出規制を導入。対象品目は国
により異なるが、検査キットや防護服、体温計、人工呼吸器などに
ついて輸出制限が行われた。また、食料の輸出の停止もあった。

(3)人の移動の停滞
新型コロナウイルスは人と人の接触に伴って感染が拡大をするもの
であり。そこで、感染拡大を抑制に、外出制限や移動の制限、海外
との往来の制限が各地で導入される。中国では春節で故郷に戻った
出稼ぎ労働者が職場に戻ることができず、生産活動の再開後にも、
工場の生産活動や物流に影響が見られた。また、欧州では、季節労
働者の減少による労働力の減少により農作業の人手不足が懸念され
る事態となっている。農産物の輸出大国であるフランスでは、農業
の従事者のうち8割を外国人に頼っており、 EU域外からEU域内への
渡航を原則として禁止するEUによる渡航制限の導入により、労働者
の確保に支障が生じた。

(4)対面サービスの提供の停止
感染の拡大を予防するための経済活動の停止も見られ、都市封鎖や
営業自粛に伴って不要不急のエンターテインメントサービスやレス
トランのイートイン営業が停止されるなど、感染の抑制のために供
給制約が発生しており、需要は存在するものの需要が満たされない
状況が発生する。日本においても2020年3月から、遊園地・テーマ
パークやフィットネスクラブ等の娯楽業の活動指数は急速に悪化。
東日本大震災といった災害においては生産設備や社会資本の毀損に
よる供給ショックである。新型コロナウイルスの感染拡大では生産
設備や社会資本は毀損していない。人と人の接触の制限に端を発し
て、以上のように、生産の停止、人・物の移動の制限、サービスの
提供の停止が見られ、それが世界の供給を抑制している。このよう
に過去の危機と比較して、供給ショックの特徴の違いが見られる。


図表5 日本の娯楽業関連の指数の推移

3.需要ショック
コロナショックの本質である「リアル対面コミュニケーション」の
制約は、需要面にも影響を及ぼす。感染症の拡大に伴って需要に変
化が見られており、対面での交流が必要な活動については需要の抑
制が見られ、その一方で、電子商取引(EC)のようになデジタル対
面の直接交流を必要としない活動は活況を呈す。伝統的に、サービ
ス業は生産と消費の同時性が特徴とし、製造業は、物を輸送し、ま
た、在庫蓄積・調製し、異なる場所と異なる時間での財の提供が行
われる。その一方、サービス業においては伝統的には生産と消費が
同地点で同時に発生し、感染症の拡大に伴い人同士の交流が制限さ
れる中で、特にサービス業の需要に大きな影響する一方で、この同
時性を克服するサービス拡大が見られた。
3つの分類からサービス需要動向点検すると、①生活必需品の提供。
食料や医薬品のように生活に必要な物資を提供するサービス。同時
性に伴い感染症のリスクが存在したとしても需要が変わらずに存在
し、人同士の交流の制限下においてもエッセンシャルビジネス(医
師や看護師、薬剤師、介護士などの医療・介護従事者など)として
サービスの提供が継続される。②人と同士との交流の制限が需要の
縮小をもたらすものである。典型的には観光、宿泊、外食のように、
人同士の交流が制限されることにより需要が減少するもの。外出制
限や自粛、渡航制限の導入などに伴い、人同士が接点を持つ対面サ
ービスの需要が急減。③第一や第二のサービスを代替する形で、対
面ではなくオンライン上で交流の行われるサービスが拡大。これは、
サービスの同時性を乗り越えるものである。新型コロナウイルスの
感染拡大後にはECやオンラインでの映像提供サービスなどの対面の
活動を必ずしも必要としないサービスは需要の拡大する。このよう
に、サービス業はその性質に応じて、リアル対面コミュニケーショ
ンの制約により、デジタル対面コミュニケーションが拡大----ただ
し、新型コロナウイルスの感染拡大の影響はサービス業にとどまら
ず、耐久財も消費への影響が現れている。

(1)生活必需品のサービス
食料品などの生活必需品を提供するサービスは、ロックダウンや不
要不急のサービスの営業停止を行った地域においても提供が継続さ
れている。日本の 4月の家計調査では、遊園地入場、パック旅行、
鉄道運賃等の消費が落ち込み、ゲーム機、即席麺、電子レンジ等の
消費が高まる動向を示す。


図表6 日本の消費動向(2020年4月家計調査、主な品目など)

(2)人と人との交流を通じたサービス
その一方で、人と人との交流によるサービスは需要の急減。感染症
の予防に接触を避け、イベントの中止や自粛要請も行われ、海外で
は、ロックダウンによる外出制限もあり、人と人の交流自体も縮小
する。GoogleはGoogleマップを基として人の移動状況を把握する、
COVID-19コミュニティモビリティレポートを公表。小売・娯楽、食
料品店や薬局)、公園、交通機関、職場、住宅の分類での人の滞在
を示し、各国地域で人の移動が低下、3月22日にロックダウンが始
まったニューヨーク州では、4月11日時点では外出を表す公共交通
機関が65%減り、自宅での活動の増加を示す住宅が18%増えている。
国連世界観光機関(UNWTO)は、2020年1月時点では2020年の世界の
観光が3%から4%の増加となると見込んだものの、3月5日時点で1%
から3%の減少に下方修正し、3月26日には20%から30%の減少へと
大幅な下方修正を行い、さらに5月7日には58%から78%の減少と見
通しを一段と下方修正。これは、SARSの影響を受けた2003年の減少
(0.4%減)、世界金融危機の影響を受けた2009年の減少(4%減)
を大幅に上回る。


図表7 観光客数の見通し

世界のインバウンド観光収入は2018年に1兆6,493億ドルとなり、世
界のGDPの1.9%を占めていた。日本においてインバウンド観光収入
のGDPに占める割合は2018年時点で0.9%と世界平均より低いものの、
2010年の0.3%から3倍となり急速に拡大している。インバウンド観
光収入がGDPに占める割合は太平洋島嶼国において21.4%、ギリシャ
において9.9%、スペインにおいて5.7%を占める。インバウンド観
光収入への依存が高い国は、観光需要が世界的に低迷をすることで
より大きな影響を受けている


図表8 インバウンド観光収入のGDPに占める割合(世界、日本)

インバウンド観光や空運業に限らず、観光業全般のGDPに占める割合
は、2017年時点で、スペインにおいて11.8%、フランスにおいて7.4
%と、多くの国で観光業への依存が見られており、観光需要の縮小
は経済の下押し要因となっている。



 新たな財政支出
米コロンビア大学経済学部のセイハン・エルジン教授は、世界中の
同僚と連携し、166カ国の 対応を追跡してきた。エルジン教授の試
算によると、最も積極的な対応のひとつが日本政府が打ち出した、
同国の国内総生産(GDP)の約2割にあたる 108兆円規模の政策パッ
ケージだ(日本を上回っているのは、欧州連合の基金からの利益を
受けるマルタのみ)。他国と比べると、アメリカはGDPの約14%、オ
ーストラリアは同11%、カナダは同8.4%、イギリスは同5%、コロン
ビアは同1.5%、ガンビアは同0.6%にあたる救済支出を打ち出す。
しかし、中央銀行の対応など支出以外の手段を考慮すると、この順
位は変わる。例えば、欧州の主要国では、ロックダウンによる打撃
を受けた事業者に対し、新たな融資を保証すると政府は約束。これ
には、銀行の融資を維持し、破綻を回避する意味合いを含み、米中
央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)も同様の目的で融資計
画に踏み込んでいる。こういった対応を考慮すると、フランスが最
上位となり、イギリスは47位から5位に浮上する。エルジン教授に
よると、最大規模の支出がなされたのは、より裕福で歴史が長く、
病床がより少ない国だったという。投資家が債権購入に意欲的で、
低い借入コストの恩恵を受けるアメリカや日本などの国もまた、新
たな財政支出を調達する上で有利な立場にある。一方でエルジン氏
は、支出規模が有効性に結びつくと勘違いしてはならないと指摘。
これらの政策パッケージに含まれるすべての異なる項目は、異なる
乗数効果を生み出し、異なる結果を生み出す可能性があるとする。
IMFのパオロ・マウロ財政局副局長は、企業向けの救済措置は「先
進国」でみられる傾向だと指摘。マウロ氏によると、救済総額は膨
大になる可能性はあるものの、多くの企業は計画通りに融資を返済
できることから、このような救済プログラムは比較的リスクが低い
とされる。こうした中、一部の貧しい国では、準備を進めている対
策を実行するには、国際機関やそのほかの援助者から資金を調達す
る必要がある。






図表3 新型コロナウイルスをめぐる経済政策パッケージの規模を
GDPにおける割合でみた場合の上位20カ国



 

ポストエネルギー革命序論 266:アフターコロナ時代 76

❂ pnホモ接合の硫化スズ太陽電池を作製



硫化スズ太陽電池は希少金属や有害元素を一切含まないため、クリ
ーンエネルギーの普及を担う次世代ソーラーパネルへの実装が期待
されている。東北大学多元物質科学研究所の川西咲子助教、鈴木一
誓助教らのグループは、pnホモ接合の硫化スズ太陽電池を世界に先
駆けて作製し、高い開放電圧の取り出しに成功する。硫化スズ太陽
電池を高効率化するポイントは、p型とn型の硫化スズを組み合わせ
たpnホモ接合を作ることです。しかし、容易に作製可能なp型と異
なり、n型硫化スズの作製は困難なため、pnホモ接合太陽電池の作
製例はなかった。研究グループは、2020年8月に大型化に成功した
n型硫化スズ単結晶を用いることで、pnホモ接合からなる硫化スズ
太陽電池の作製を実現し、pnヘテロ接合の硫化スズ太陽電池のチャ
ンピオンデータに匹敵する360mVの高い開放電圧の取り出しに成功し
した。これは、pnホモ接合の硫化スズ太陽電池の高い性能を実証す
るもので、今後の研究開発による更なる変換効率の向上が期待する。



  極薄グラフェン分散液で高流動性と高導電性両立
3月8日、東レは、高い流動性と導電性を両立した極薄グラフェン
分散液を開発。早期実用化を目指すとともに、電池材料や配線材料、
塗料などの用途に提案していく。同社はこれまで、安価な黒鉛原料
をベースに、極めて薄い高品質グラフェンを作製する技術を開発。
グラフェンは薄くなるほど、塗布した時の被覆性や別の材料との混
合性に優れている。一方で、薄くなれば固まりやすくなり、高濃度
にすれば粘土状となって流動性が低下する、といった課題もあった。
そこで同社は、独自の高分子材料を添加することで、粘度を自在に
制御できる分散技術を開発した。グラフェン同士の相互作用による
凝集を抑えることができ、高濃度の極薄グラフェン分散液でも高い
流動性を実現。希釈をしなくても塗布することができ、高い導電性
も維持できるという。他の材料との混合も容易である。例えば、開
発した極薄グラフェン分散液をリチウムイオン二次電池用導電材料
として用いると、正極材料と混合しやすく、正極の間にグラフェン
が入り込むことで導電性が向上する。この結果、充放電を繰り返し
行っても、導電経路劣化による電池容量の低下は抑えられ、電池の
寿命を延ばすことができる。電気自動車(EV)向け電池は、導電助
剤としてカーボンナノチューブ(CNT)が用いられてきた。今回の
開発品を用いると、CNTを採用した時に比べ電池寿命が1.5倍向上す
ることを、同社が行った評価試験により確認する。極薄グラフェン
分散液は、塗布した後の乾燥工程でグラフェンが積層し緻密膜を形
成する。このため、耐久性に優れた導電配線材料としての応用など
も可能。
注:JP6152923B1 グラフェン/有機溶媒分散液およびその製造方法
ならびにリチウムイオン電池用電極の製造方法


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