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二兎追いて一兎も得ず⑧

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫”と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
成のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

    
                                      

17 陽 貨  よ う か
--------------------------------------------------------------
「性、相近し、習、相達し」(2)
「鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん」(4)
「道に聴きて塗に説くは、徳をこれ棄つるなり」(14)
「ただ、女子と小人とは養い難しとなす」(25)
「年四十にして悪まるるは、それ終わらんのみ」(26)
--------------------------------------------------------------
23 子路がたずねた。「君子にとって大切なもの、それは勇気だと
思いますが」
 孔子は笞えた。
「なるほど。だが君子には、勇よりも義が大切だ。勇ばかり重んじて
義をないがしろにする結果は、君子にあっては反乱、小人においては
盗賊だ」

子路曰、君子尚勇乎、子曰、君子義以爲上、君子有勇而無義爲亂、小
人有勇而無義爲盗。
Zi Lu asked, "Does a gentleman value courage?" Confucius replied,
"A gentleman value justice than courage. A courageous gentleman
without a sense of justice will sow the seeds of discord.
A courageous worthless man without a sense of justice will be a
thief."
 

【ポストエネルギー革命序論 286:アフターコロナ時代 96】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散の時代」

今夜もテクがてんこ盛り①
MLBで見る最新弾道モニタリング技術



データ技術が大きく進展する中、いま、野球の指導方法も大きく変わ
りつつある。その1つが「センサー内蔵のボール」(技術事例:特開
2021-13555 センサー内蔵軟式野球ボールの製造方法)。あるいは「野
球選手解析プログラム」(特開特開2020-5876)、「動作分析装置、動
作分析方法及び動作分析プログラム」(特開2020-430)、そして「球
体の回転速度検出装置」(特開2014-160025)がある(下記参照)。
【概説】
競技者のレベルを評価する指標は、ボールの速度だけではなく、回転
速度も重要なことが知られている。特に野球の投手の評価としては、
速度と同程度かそれ以上に重要であると言われているが回転速度の検
出は、速度の測定に比較して測定器は普及していない。その理由は、
その測定が速度の検出に比べ著しく困難。例えば、従来の球体の回転
数の計測技術としては、ハイスピードカメラにより、ボールを撮像し
て回転数を計測する方法がある。ところが、このような光学的に検出
する測定方法では装置が大がかりで手軽に誰もが測定することは到底
困難である。球体の回転速度検出には遠心力の影響を避けるために、
加速度センサを球体の重心、すなわち中心に正確に固定しなければな
らない。また、3軸方向の加速度センサを用いることが必須とされて
いる。従って、センサの数が多く必要になるとともに、固定が大変で
ある。また使用中の衝撃等により、固定位置がずれることも考えられ、
中心位置に固定されているため、交換等のメンテナンスが不便である。
また、野球の投手の投げるボールの回転速度は、40rpmを超える
場合があり、このような高速回転している球体の回転速度を計測する
ことは、ジャイロセンサでは困難であるという問題がある。
本発明は、3次元空間中を回転しつつ移動する球体の回転速度を計測
する球体の回転速度検出装置で、少なくとも1軸方向の地磁気ベクト
ルを検出する磁気センサと、磁気センサが検出した検出信号を処理す
る信号処理部と、磁気センサ及び信号処理部に電力を供給する電源部
と、信号処理部において処理された磁気センサの検出データを外部の
受信装置に無線送信するための無線手段と、無線手段により無線送信
された前記磁気センサの検出データを受信する受信手段と、受信手段
が受信した前記磁気センサの検出データの周波数を解析し、回転速度
を算出する回転速度算出手段とを備え、磁気センサ、信号処理部、電
源部、前記無線手段は、球体内に固定されていることを特徴とする球
体の回転速度検出装置である。本発明の回転速度検出装置では、加速
度センサやジャイロセンサではなく、磁気センサで地磁気を検出する
ことにより、回転速度を検出する。地磁気は、場所によりその強さや
向きが変化するが、大きく移動しない限り、地磁気ベクトルの向きや
大きさは一定と考えてよい。そして、野球のボール等の球体が3次元
空間上で回転すると、球体に磁気センサを固定しておけば、その向き
は地磁気の向きに対し変化するため、磁気センサの検出値が球体の回
転とともに変化する。そして、この変化は、球体の中心にセンサを固
定しなくても検出することができ、かつ加速度センサで検出する場合
のように遠心力のような検出値の精度に大きく影響する信号が混在し
て検出されることもないため、必ずしも球体の重心位置に固定する必
要はなく、交換等のメンテナンスしやすい位置に固定することが可能
である。そして、磁気センサの検出データを信号処理回路で処理し、
検出信号を球体内の送信装置で外部の受信装置に無線送信する。送信
された信号を受信装置で受けた後、PCやスマートフォン等に内蔵さ
れた回転速度算出手段により回転速度を算出し、画面に回転速度を表
示する。なお、回転速度算出手段としては、具体的には磁気センサの
検出信号をFFT(高速フーリエ変換)処理で実現できる。


♞ 長打率高くなるバレルゾーン/フライボール革命進行中
近年メジャーリーグでは、スタットキャスト(Statcast)というシス
テムを導入したことにより、野球中継に大きな革命が起きている。あ
らゆるプレイが数値化できるようになった。スタットキャストとは、
ボールを追尾するレーダー「トラックマン」と、人の動きをカメラで
捉える「映像解析システム」を統合したITシステムである。メジャー
リーグ中継で表示されるデータは、「トラックマン」」「映像解析シ
ステム」の両データを元に表示される。トラックマンは軍事用レーダ
でボールをトラッキングするシステムで、投球されたボールの回転数
や打球の角度などが計測できる。映像解析システムでは、画像解析に
よって選手の動きをトラッキングし走塁や守備に関する数値が計測で
きる。(経由:スタットキャストとは?メジャーの最先端技術を紹介、
Baseball Geeks.2018.6.7)



「いい打撃とはフライを打つこと」という考えが浸透し、打球角度な
どを割り出せる同システムが流行。打球の角度と速度が重視され、特
に「バレルゾーン」の打球が最も長打の確率が高いと判明。これは打
球速度が98マイル(約158キロ)以上なら26~30度、116マイル(約187
キロ)以上なら8~50度で飛び出した打球のことで、これをいち早く
取り入れたアストロズが、17年にワールドシリーズを制覇すると、米
球界で一気に浸透した。MLB全体の本塁打数は16年に7年ぶりシーズン
5000本を突破すると、17年は6105本を記録。昨年は史上最多の6776本
だった。まさに、"技術を制するものはトップ制す!"を字で征く。そ
こで、大谷翔平、バレルゾーン率はリーグトップの17.7%! MLB公式
も驚愕し、彼の才能を侮ってはいけないと絶賛されている。(via
大谷翔平、絵になる塁上の"指差しポーズ"にファン興奮「これ異様に
カッコ良かった」,THE ANSWER,2021.5.9).



● 環境リスク本位制時代を切り開く
  
今夜もテクがてんこ盛り②:
イオン液体を一滴加でパワーアップ、ペロブスカイト太陽電池
4月28日。金沢大学ナノマテリアル研究所のシャヒドウザマンモハ
マド助教,當摩哲也教授の研究グループは,ペロブスカイト太陽電池
の高性能化と長寿命化に成功したことを公表。それによると、ペロブ
スカイトを塗布で製膜する前に,イオン液体をペロブスカイト前駆体
溶液に少量添加するだけで膜が数十ナノメートルサイズのナノ粒子膜
化する技術。この技術は,6年前に本研究グループが開発済。今回は
この技術を,高性能なトリプルカチオン型ペロブスカイト太陽電池作
製に応用。①最初に,イオン液体添加によりナノ粒子膜化したペロブ
スカイト膜を作製し➲ ②その上にトリプルカチオン型ペロブスカイ
トを製膜することで➲ ナノ粒子を成長核としてトリプルカチオン型
ペロブスカイトが欠陥の少ない高品質な膜に成長することを見いだし
し、この高品質化により太陽電池性能が向上し、膜の欠陥が少ないこ
とで,劣化の原因となる大気中の水などの膜に侵食を抑制し,太陽電
池の長寿命化を実現した。従来の手法で作製したペロブスカイト太陽
電池は2500時間で発電が失効するが,本研究のイオン液体を添加した
ペロブスカイト太陽電池は6000時間超でも初期性能の8割を保持し続
けることが実証した(2倍以上の耐久性を確認)。 


出典:Ionic Liquid-Assisted MAPbI3 Nanoparticle-Seeded Growth
for Efficient and Stable Perovskite Solar Cells、:April 29, 2
021、https://doi.org/10.1021/acsami.1c00677© 2021 American
Chemical Society
【要約】ペロブスカイト太陽電池(PSC)の急速な進歩に伴い、長寿命
の動作安定性が商業化の主要な要件である。この作業では、ホストIL
がシード成長アプローチを使用して、イオン液体(IL)支援MAPbI3
ナノ粒子(NP)に、元のセシウム-ホルムアミジニウム-メチルアンモ
ニウム(CsFAMAと呼ばれる)トリプルカチオンベースのペロブスカイ
ト前駆体溶液を考案。支援されたMAPbI3NPは、大きな単結晶ドメイン
を持つ高品質のペロブスカイト膜を著しく促進し、デバイスの性能と
安定性を向上させます。 MAPbI3 NP / CsFAMAベースのPSCのMAPbI3N
Pシード成長の電力変換効率(PCE)は19.44%と高く、光活性層とし
てのMAPbI3 NPおよび元のCsFAMAフィルムよりも優れている(9.52お
よび17.33%)。 IL支援MAPbI3NPs / CsFAMAベースのデバイス(カプ
セル化されていない)の長期的な光浸漬および湿度安定性は、2時間
の光照射(1日)後の初期出力のそれぞれ90%および80%を超えたま
ま。30~40%の相対湿度範囲で周囲温度で6000時間保管。 PSCにIL支
援MAPbI3NPシード成長を使用することは、安定した信頼性の高いペロ
ブスカイト光起電力デバイスの開発に向けた重要なステップである。

❏ 特開2016-222492 微粒子化ペロブスカイト膜及びそれを用いた機
能性素子 国立大学法人金沢大学 當摩哲也・モハマド  シャヒドゥザ
マン
【概要】光吸収の機能に有機と無機の材料を組み合わせたハイブリッ
ド型の薄膜太陽電池の分野において、ペロブスカイト型結晶を光発電
材料に用いた例が報告されているが、光発電変換効率のさらなる向上
や安定した性能、耐久性等の改善が要求されている。本件の微粒子化
ペロブスカイト膜は、ペロブスカイト型結晶を生成する前駆体物質と
イオン液体とを溶媒に溶解した溶液を塗布及び乾燥することで得られ
ることを特徴としているが、図1のごとく、ペロブスカイト型結晶を
生成する前駆体物質とイオン液体とを溶媒に溶解した溶液を塗布及び
乾燥することで得られる、微粒子化ペロブスカイト膜。前駆体物質は
ハロゲン化アルキルアミンとハロゲン化金属の混合物、イオン液体は
イミダゾリウム塩、溶媒はアミド系溶媒である。前駆体物質を溶媒に
溶解した溶液にイオン液体を加えることで、このイオン液体が溶媒の
急激な揮発するのを抑えつつ、従来のペロブスカイト結晶膜に比較し
て光学特性等が大きく変化した機能性の高い結晶膜となる微粒子化ペ
ロブスカイト膜の製造方法にて、ハイブリット型の薄膜太陽電池の光
発電材料に用いるナノレベルに微粒子化された機能性の高いペロブス
カイト型結晶膜を提供する。

図1 本件に係る微粒子化ペロブスカイト膜の製造プロセス

✔ 用途によるが、3.5時間/日として6000時間とすれば4.7年だが、耐
熱・耐湿など考慮しなければならない。建材(ファサード)向けソー
ラーフィルムとしては最長20年保証が欲しいところだが、ペロブスカ
イト系は商用段階に入ったとわたし(たち)は看ている。



今夜もテクがてんこ盛り③:
「再リチウム化」プロセスの開発
5月4日、今日のリチウムイオン電池に影響を与える老化メカニズム
を調査している科学者は、時間の経過に伴うリチウムの損失が性能低
下の主な原因の1つであることを観察しました。これを念頭に置いて、
彼らはバッテリーのコンポーネントと材料のリサイクルからコストと
複雑さの多くを排除することを約束する「再リチウム化」プロセスを
開発しテストする。エネルギー貯蔵技術は私たちの日常生活において
ますます重要な役割を果たしており、電気自動車の採用、リチウムイ
オン電池を製造するための材料の入手可能性、それらの安全な廃棄お
よびリサイクル戦略がますます重要となっている。欧州や他の地域で
は、電池の製造にリサイクル材料の使用を義務付ける法律が導入され
始めているが、これらを経済的に抽出することは、リサイクル業者に
とって依然として大きな課題。材料分離し再利用できるように精製す
るには、複数の高価でエネルギー集約的なプロセスを必要とする。


写真:The issues with lithium-ion battery recycling –
and how to fix them – pv magazine International、2020.10.28

フィンランドはアールト大学の研究グループは、当初、家電製品で一
般的に使用されているコバルト酸リチウムの老化メカニズムを研究し、
複雑な剥離プロセスなしで寿命を延ばしたり、コンポーネントの再利
用を可能にする方法試し、原材料にまで落とし込んでみた。バッテリ
ーの劣化の主な原因の1つは、電極材料のリチウムの枯渇であること
に気づきく。それでも構造は比較的安定しているので、再利用できる
かどうかを確認。

❐ リチウムの補充
このグループは、電池の電極にリチウムを補充するための電気分解プ
ロセスを開発し、このように処理された電極の性能を真新しい材料で
作られた電極と比較した。結果は、「電極の電気化学的再リチウム化
後に使用済みリチウムイオン電池から収集されたLiCoO2電極の再利用
」との表題で論文でジャーナルChemSusChemに公開する。
同研究グループは、再リチウム化プロセスが元の電極構造を復元する
のに役立ち、容量、レート能力、およびサイクル特性が新品のバッテ
リーよりわずかに遅れていることを示しました。さらに、同等の電解
プロセスがすでにさまざまな業界で使用されており、それらのアプロ
ーチも業界規模で調査する価値があると述べる。バッテリーの構造を
再利用することで、リサイクルで一般的な多くの労力を回避し、同時
にエネルギーを節約できる可能性がある。またこの方法は、産業リサ
イクルを開発している企業に役立つ。今のところ、アールト大学の次
の目標にグループがテストになり、主に電気自動車用電池など他の電
池化学的性質、近年の大規模生産に移動した、特にニッケルリッチカ
ソードのデザインで使用するためのプロセスを最適化させる。
注1.関連論文:Reuse of LiCoO2 Electrodes Collected from Spent
Li‐Ion Batteries after Electrochemical Re‐Lithiation of the
Electrode、First published: 19 April 2021、https://doi.org/10.10
02/cssc.202100629
 
【要約】使用済みリチウムイオン電池のリサイクルは、電池の消費量
が年々増加しているため重要だが、電極材料のリサイクルは、現在の
方法では面倒でエネルギー集約的であり、材料の一部がプロセスで失
われる。この研究では、正極回収プロセスに必要なステップ数を最小
限に抑えるための代替リサイクル方法を提案する。時効および再リチ
ウム化されたMg-TiドープLiCoO2と化学量論的LiCoO2の電気化学的性
能を調査および比較した結果、再リチウム化後、元のLiCoO2の構造が
復元され、古いLiCoO2の容量が新しいLiCoO2の容量に近くなり、材料
を回収できることがわかった。再リチウム化されたMg-TiドープLiCoO2
は、速度能力特性を新鮮な材料の速度能力からわずかに低下、半電池
で有望なサイクル性を示した。


図4.S-LCOのSEM画像(a)形成後、(b)SOH 90%、(c)SOH 70%;
(d)再リチウム化SOH 90%、(e)再リチウム化SOH 70%; D-LCO
(f)形成後、(g)SOH 90%、(h)SOH 70%; (i)再リチウム化
SOH 90%および(j)再リチウム化SOH 70%。 スケールバー:20μm
-------------------------------------------------------------
❐ Reuse of LiCoO2 Electrodes Collected from Spent Li‐Ion Ba-
tteries after Electrochemical Re‐Lithiation of the Electrode 
Lahtinen - - ChemSusChem - Wiley Online Library
❐ Battery parts can be recycled without crushing or melting |
EurekAlert! Science News、2021.4.29



今夜もテクがてんこ盛り④:豊田通商株式会社の事例
自社ビル活用型再生可能エネルギーのマネジメント
世界的に、気候変動による影響が拡大し、地球環境保全に、再エネ普
及が求められている。国際イニシアチブ「RE100」に参加する企業や
団体も年々増加しているほか、SDGsの取り組みへの関心も高まってい
る。また、日本政府は2050年に温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする
目標を発表し、国内においても、企業活動の中で、事業所や工場単位
における再エネの利用率向上に向けた取り組みが増えている。主な取
り組みとして、①再エネ由来電力の調達、②非化石証書などのJ-クレ
ジットの調達、③自社での設備導入による自家消費の3つの選択肢が
あるが、③においては、設備コストの課題や、最適なエネルギーマネ
ジメント方法が確立されておらず、普及していないことが現状課題で
ある。 豊田通商は、自社ビルである豊田支店を実証サイトとして、
屋上および駐車場に設置した太陽光パネルで発電した電力を、使用済
みの車載用電池を用いた蓄電システムに貯めて、最適に利用していく
モデルの実証を実施。特に、蓄電システムは、東電PGとNExT-eS社の
協力を得て、使用済みの車載用電池をリユースした蓄電池を導入、種
類や容量、新品・中古に関わらず組み合わせて利用できる蓄電システ
ムを開発し活用。また、エネルギーマネジメントのコアとなる、EMS
にはGC社の予測・機械学習のソリューションを採用し、エネルギーの
需給バランスのコントロールを行っている。
【実証の結果】
2020年12月から2021年3月までの実証で、豊田支店の①消費電力を最
大で 50kW抑制しつつ、②再エネの利用率を最大で年間約20%まで向上
させることが見込まれる結果となりました。また、③蓄電池を導入す
ることで、災害などの停電時の非常用電源として、最大で約1週間程
度の電力を賄えられることも確認。さらに今回の実証を通して、再エ
ネ由来電力の調達比率を高めるとともに、その自家消費分をJ-クレジ
ットとして販売検討するなど、追加で「環境価値」の創出が可能であ
ることも確認している。(自社ビルを活用した再生可能エネルギーの
マネジメント実証を実施、豊田通商株式会社)



今夜もテクがてんこ盛り⑤:
世界初IBM「2nmプロセスチップ」を製造
5月6日、IBMが、同社のナノシート技術を使用して世界で初めて2
nmプロセスのチップを製造。クラウドやAI、IoTが重要な時代、チップ
のパフォーマンスとエネルギー効率の向上に対する需要は高まり続け
る。2017年には半導体大手・TSMCの会長が「もはやムーアの法則
は有効ではない」と発言。ところが、IBMは2017年には、5nmプロセ
スチップの製造に成功している。半導体はコンピューティングの中核
を担い、電化製品やスマートフォン、輸送システムといったさまざま
な分野において重要なコンポーネントなっている。また、チップ上の
トランジスタが多いほど、同じ電力でより多くの計算を実行できる。

⌘ IBM Unveils World's First 2 Nanometer Chip Technology|YouTube



IBMは4年前の2017年に5nmプロセスチップを作成したテクノロジーを基
にして、新たに世界初の2nmプロセスチップを開発することに成功した。
2nmプロセスで製造されたトランジスタはDNA鎖よりも小さい。ところ
で、IBMが2nmプロセスチップを製造したのは、ニューヨーク州オール
バニにある半導体研究施設。2nmプロセスチップの成功により、指の爪
サイズ(150平方mm)のウェーハに500億個ものトランジスタを収めるこ
とが可能になる。たとえば、2nmプロセスチップは7nmプロセスチップ
と比較して45%高いパフォーマンスを発揮する。同じパフォーマンス
のプロセッサにおけるエネルギー消費は75%も減少すると予測され、
これにより、スマートフォンなどのバッテリー寿命が4倍に延びる可
能性がある。また、データセンターの二酸化炭素排出量の削減や、ノ
ートPC機能の高速化によるアプリケーション・言語翻訳・インターネ
ットアクセスの改善に加え自動運転車の物体検知や反応時間の改善と
いった潜在的な利点もある。今回の画期的な進歩はAIや5G、自律シス
テム、および宇宙探査の進歩を加速するために役立つ。なお、2nmプ
ロセスの開発に乗り出しているのはIBMだけではなく、TSMCも2nmプロ
セスの研究開発を進めているというから驚く(当たり前だヨという声
も機巧そうだが)。





2021.5.5

⛨ インドで新たな「変異株」見つかる
初期変異株より感染力15倍の衝撃
5月6日、新型コロナウイルスの感染爆発に見舞われているインド。と
うとう、1日あたりの感染者数は世界最多となる40万人を突破してし
た。感染力が強いとされる「二重変異株」が猛威を振るう中新たな変
異株の発見がインド国内に激震が走っている。問題となっているのは、
インドの細胞分子生物学研究所(CCMB)が発見した「N440K変異株」。
最初に確認されたインド南東部アーンドラ・プラデーシュ州の頭文字
を取って、「AP変異株」とも呼ばれている。

■ 潜伏期間が短く、3~4日で重症化
衝撃なのが、その感染力の強さだ。地元の英字日刊紙「ザ・ヒンドゥ
ー」(4日付)は〈AP変異株は初期の変異株より、少なくとも15倍も
毒性が強い〉と報じている。特徴としては潜伏期間が短く、感染する
と3~4日で重症化する恐れがある。また、N440K変異株は、二重変異
株や英国型に取って代わられつつあるが、現地の専門家が先月30日に
公開した論文(査読前)からも感染力の強さがうかがえる。

N440K変異株が人に感染しやすいかどうか、ウイルスの『複製力』と
『感染力』の2つの指標で論じている。実験ではN440K変異株の感染
力が、それ以前の株に比べ10~1000倍高い。ただし、この数字がその
まま人の感染に当てはまるわけではない。およそ1年前は複製力の強
いウイルスが席巻していたが、その後、感染力の強い変異株に取って
代わられたことが論文から分かる。N440K変異株は複製力が弱い一方、
感染力は強いとみられと左門新氏(元WHO専門委員)が解説し、さらに
この2つの“能力”に秀でた変異株が出てきたら厄介なウイルスであ
る。この先、心配されるのが、世界で接種が進むワクチンが効かない
変異株の出現。新たな変異株に対応したワクチンに作り変えるのは簡
単だが、認可までに時間を要す。それだけ集団免疫の獲得に手間取る
わけだと言う。次は一体、どんな変異株が出てくるのかという不安が
頭を過ぎる。(インドで新たな変異株が!初期変異株より感染力15倍
の衝撃、日刊ゲンダイDIGITAL、2021.5.6)

【ウイルス解体新書 ㉑】



  

 序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第1節 免疫とはなにか
第6節 エマージェンシーウイルスの系譜
6-1 人獣共通感染症とエマージング感染症
6-1-1 動物由来感染症
6-2 マールブルグ病
6-2-1 ミドリザルからの感染
6-2-2 メディアが描写したウイルス像
6-2-3 限られた設備でのウイルス分離
6-2-4 自然宿主の解明
6-2-5 最大の致死率を示したマールブルグ病の発生
6-3 ラッサ熱
6-4 エボラ出血熱
6-5 ハンタウイルス病
6-6 ヘンドラウイルス病
6-7 ニパウイルス脳炎
6-8 ウエストナイル熱
6-9 エマージング感染症はなぜ繰り返し現れるのか
6-9-1 エマージングウイルス出現の背景
6-9-1-1 生態系の変化と農業発展
6-9-1-2 人口動態と行動の変化
6-9-1-3 国際交流と貿易
6-9-1-4 技術と工業
第7節 嗅覚障害
7-1 新型コロナウイルスと嗅覚障害位Ⅰ
7-2 新型コロナウイルスと嗅覚障害位Ⅱ
7-2-1 降圧剤はCOVID-19を重症化しない
7-3 新型コロナウイルスと嗅覚回復
7-3-1 4種のアロマを1日2回嗅ぐことで嗅覚回復
第8節 新型コロナウイルス
8-1 コロナウイルスの特徴
8-2 最初のコロナウイルスの発見
8-3 重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス
8-4 中東呼吸器症候群(MERS)ウイルス
8-5 「次の新型コロナウイルス」に備える
8-6 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の出現
8-6-1 コロナウイルスの変異を理解する
2020年、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)により
引き起こされる感染症「COVID-19」が世界中に広がり始めたとき、ウ
イルス学者のDavid Montefioriは、このウイルスがヒトからヒトへと
伝播する中でどのように変化していくのか知りたいと思った。デュー
ク大学(米国ノースカロライナ州ダラム)でエイズワクチンの研究室
を率いる彼は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が偶然の変異を利用して
免疫反応から逃れる仕組みの解明にキャリアの多くを費やしてきた。
もしかするとSARS-CoV-2にも同じことが起こるかもしれないと、彼は
考えた。

 Dr.Montefiori

同年3月、Montefioriはロスアラモス国立研究所(LANL;米国ニューメ
キシコ州)の計算生物学者Bette Korberに連絡を取った。KorberはHIV
の進化の専門家で、Montefioriの長年の共同研究者でもある。彼女は
既に、世界中に広がりつつあるSARS-CoV-2の数千種類の塩基配列の中
から「ウイルスの性質を変えた可能性のある変異」を探す作業に着手
していた。SARS-CoV-2の感染拡大に伴う変化は、HIVと比べると非常に
ゆっくりしている。しかし、1つの変異がKorberの目に留まった。その
変異は、ウイルス粒子が細胞内に侵入するのを助ける「スパイクタン
パク質」をコードする遺伝子に起きていた。Korberは、同じ変異を持
つCOVID-19患者の検体をいくつも目にした。2万9903塩基からなるウイ
ルスRNAの遺伝暗号中の1つの塩基がコピーミスにより変化した結果、
スパイクタンパク質の614番目のアミノ酸であるアスパラギン酸(生
化学的略号ではD)がグリシン(同じくG)に置き換わる。ウイルス学
者たちはこれをD614G変異と呼んだ。そして4月、KorberとMontefiori
らは、bioRxivサーバーに投稿したプレプリント論文において「D614G
の頻度が驚くべきペースで増加している」と警告した1。D614Gは欧州
のSARS-CoV-2の系統の中でみるみるうちに優勢となり、米国をはじめ
カナダやオーストラリアにも定着していた。彼らの論文は、D614Gが
「SARS-CoV-2の中でも感染しやすい型」であり、自然選択の産物とし
て出現したと断定した。

出典:コロナウイルスの変異を理解する、Nature ダイジェスト、Nature
Portfolio

8-6-2 変異株N440K型ウイルス
SARS-CoV-2のいくつかの亜種が世界中で出現しており、COVID-19パン
デミックを終わらせる努力を脅かし続けている。最近のデータは、パ
ンデミックの第2波にある、インドのいくつかの地域でN440Kスパイク
置換を伴う変異体の有病率を示す。ここでは、最初にインドから提出
されたシーケンス内のN440Kバリアントの有病率を分析し、さまざまな
クラスターにまたがるその広がりの上昇傾向を特定。次に、このバリ
アントのプロトタイプの複製適合性と感染力を、以前に流行していた
他の2つの株と比較します。 N440Kバリアントは、一般的なA2a株より
も10倍高い感染性ウイルス力価を生成し、Caco2細胞でははるかに一
般的ではないA3i株のプロトタイプよりも1000倍以上高い力価を生成。
同様の結果がCalu-3細胞でも検出され、N440K変異体の効力の増加が確
認されている。興味深いことに、A3i株は最高のウイルスRNAレベルを
示したが、培養上清中の感染力価は最低であり、RNA含有量とサンプル
の感染力の間に相関関係がないことを示す。N440K変異は、インド全土
のいくつかのウイルス配列で報告されており、N440K変異体により達
成されるより高い感染力価は、そのより高い感染率につながる可能性
があると予測している。近い将来、より多くのシーケンスデータが利
用可能になると、このバリアントの潜在的な広がりをより詳細に理解
するのに役立つ。
出典:N440K variant of SARS-CoV-2 has Higher Infectious Fitness、
doi: https://doi.org/10.1101/2021.04.30.441434、April 30, 2021.

第9節 人類はどのような手段を持っているのか
9-1 ワクチン
9-2 治療薬
9-3 公衆衛生対策
9-4 「ワンヘルス」にもとづく発生監視
第10節 ウイルスとともに生きる
10-1 バイオハザード対策の発展史
10-2 高度隔離施設の現場へ
10-3 病原体の管理基準
10-4 根絶の時代から共生時代
11-1 バイオハザード対策の発展史
11-2 高度隔離施設の現場へ
11-3 病原体の管理基準
11-4 根絶の時代から共生の時代へ



風蕭々と碧い時代:

● 今夜の寸評:


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