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ようこそ! ”どこでも未来ブログ"へ ⑩

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Cumbre Vieja volcano

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。




【ポストエネルギー革命序論 356: アフターコロナ時代 166 】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
●環境リスク本位制時代を切り拓く
環境リスク本位制時代を切り開く



【男子厨房に立ちて「環境リスク」を考える ㊷】

富士に雪来たりならば台風来ずと言うではないか。ということで誕生
日前から越冬スケジュールを立てるがまだ日程が決まらないのが1件
あるが、先日、草刈り(根切りも含め)したもののはや雑草が芽吹く
ように伸びている。機械我利りを2回行うことに。そういえば、「草
取カギカマ | 熊谷鍛冶屋」の広告がブラウザで張り付く(このように
最近は広告が自動で張り付き、フルタイム使用するユーザには負荷が
かかり困ってなんとかしたいがその時間もないほどクタクタに疲れて
いる)。来年の春からこれに切り換え試行する。



ところで、新米のご飯を頂けるるようになり、冷めてからもおいしい
といわれる滋賀県産の「みずかがみ」ことしはじめてたべる。「こし
ひかり」も旨いが、炊き方などにより微妙に変化するで個人的には、
「つちのやさしい薫り」が口の中で弾け、"世界-"と唸る。ただつく
り手は、農薬・肥料・育成などの規制(①化学合成肥料の使用量を通
常の半分以下に。②農薬の使用量を通常の半分以下に。③農業濁水を
流さない)があり、刈り取りの負担や収量などの理由で敬遠される。。
後者は「ゲノム編集技術」などで倒れにくくする、収量が多い高品質
改良や刈り取り機器の改良で対応できると考えるから頑張って欲しい
ものだ。



※1.「奨励品種の特性概要」滋賀県ホームページ
※2.「水稲新品種『みずかがみ』の環境こだわり米栽培技術指針」
   滋賀県農業技術振興センタ

ところで、お米離れるれが止まらない。農林水産省『食料需給表』に
よると、1962年度の日本人1人当たりの米の消費量は118.3キロだった。
それが2019年度には53.0キロにまで落ち込み、日本の長い米の歴史の
なかで、わずか60年足らずで消費量が半減した。日本の伝統的な食文
化である「和食」は2013年にユネスコの無形文化遺産に登録され、ご
飯を中心に一汁三菜(主食・主菜・副菜・汁物)の基本バランスを重
視した食事は、海外ではむしろ健康的な食事として人気が高まってい
るなかで空洞化? が進行している。個人的にはAI炊飯器の進化があ
り考えられないこと。ランチは酢飯納豆プラストッピングで済ませる。
ただ、納豆のネバネバは酢飯とあえれば解消されるが、専用容器から
取り出し始末が煩瑣なのが難点。いっそ、急速冷凍し粉砕し容器に入
れておけば、ネバネバが嫌なユーザは、酢飯ごと電子レンジで解答し
次の行程に移れるようしてみてはと思うが、これは家庭のフリーザー
で保存し加熱すれ良いので問題は解決できるだろう。後は「ご飯のお
とも商品」の開発次第。それにしてもランチの未来には一転の曇りも
見つけられない。


via Materials Science News - Chemistry News

今夜は、「オールバイオマスシステム」から木材利用事業について考
える。10月20日,材料科学関連の査読付き科学誌「Matter」で、メリー
ランド大学の研究グループは、木材を従来の23倍硬くする加工方法を
開発したことを公表。この方法で加工された硬化木材を用いてナイフ
を作れば、ステンレススチール製のナイフよりも3倍切れ味が鋭いナ
イフをくつることが可能となる。
食事に使用するナイフといえばステンレススチールやセラミック製の
ものがほとんど、これはどちらも人工材料であるため、高温の炉で鍛
造する必要があり地球環境に優しいものではない。プラスチック製の
ナイフも存在するが、これは切れ味が悪い(廃棄処分には800℃超の高
温処理が必要)。



実験では、木製の釘を使って釘を痛めることなく3枚の板を打ち合わ
せることに成功、「板を貫通する鋭さ」と「打ち合わせても破損しな
い頑丈さ」を実証。また、木製の釘の場合は「錆びにくい」という利
点も有る、


via Matter Available online 20 October 2021

硬化木材の加工方法は主に2段階プロセスに分かれる。①まず、木材
を化学薬品に漬けて100℃で熱し、リグニンを抜く。②木材は硬い材
質だが、リグニンを除去すると柔らかくなり、低反発の粘土のような
材質に変化。③次に、圧力と熱を加えるためにホットプレス処理し、
木材から水分を除去して緻密化。④適切形状加工したのち、鉱油でコ
ーティングすることで材料の長寿命化できる。セルロースは水を吸収
するが、コーティングを施すことで硬化木材を水(撥水化)に強いも
のに仕上げることが可能。
研究チーム考案の硬化木材の加工プロセスは他の人工材料の製造方法
と比べてもエネルギー効率が高く、環境への影響も少ないと見られて
おり、研究チームは硬化木材を用いることで、将来的に引っかき傷や
摩耗に強いフローリングの床を実現できると期待を寄せている。

【参考文献】
1.木材をゴムのように弾力性がある素材に変える技術;Highly Ela-
stic Hydrated Cellulosic Materials with Durable Compressibility
and Tunable Conductivity, ACS Nano 2020, 14, 12, 16723–16734
Publication Date (Web):July 27, 2020 Publication,
2.ガラスよりも軽くて丈夫な透明の木材;Solar-assisted fabrica-
tion of large-scale, patternable transparent wood, Science Adv--
ances • 27 Jan 2021 • Vol 7, Issue 5
3.木材を鋼鉄より強く&熱を反射して空気を冷たく保つ新素材;
A radiative cooling structural material,Science • 24 May 2019 •
Vol 364, Issue 6442 • pp. 760-763



via セルロースナノファイバーの素材供給拠点形成及び市場可能性調
 査事業報告書, 株式会社北海道二十一世紀総合研究所, 2017.3

✔ 目新しい技術ではないが、グリーン技術の普及とオールバイオマ
 スシステム事業には書かせないアイテムである。


図1.ハロゲン混合型有機無機ペロブスカイトにおける従来の光誘起
相分離モデル:光照射によって結晶中の臭化物イオン(Br−)とヨウ化
物イオン(I−)が入れ替わりBrリッチ相とIリッチ相が形成することで
発光波長が変化すると考えられている。光照射で生成した電荷がBrリ
ッチ相からIリッチ相に移動することでエネルギーを損失している。

✺ ハロゲン混合型ペロブスカイト構造の変化を観測
神戸大学分子フォトサイエンス研究センタらの立川貴士准教授の研究
グループは、ハロゲン混合型ペロブスカイトに光を照射すると、結晶
構造が局所的にひずみ、これによって発光波長が大きく変化すること
を突き止め、サブÅレベルのわずかな構造変化は、結晶表面の格子欠
陥を高分子材料で被覆し、不活性化すれば抑制できることを発見する。
有機物と無機物のイオンからなる有機無機ペロブスカイトは、効率の
高い太陽電池材料として注目されている。ハロゲン化物イオンの種類
や組成を変えると、発光色を調整することができる。
一方、CH3NH3PbBr1.5I1.5などのハロゲン混合型ペロブスカイトは、光を
照射することによって、ハロゲン化物イオンの空間分布が変化する「
光誘起相分離」が生じ、発光波長が変化すると考えられる。
今回、CH3NH3PbBr1.5I1.5に光を照射し、各ナノ結晶が発光する状況を蛍
光顕微鏡で観測した。この結果、光を照射すると長波長側に新たな発
光ピークが出現するを発見。そこで、ペロブスカイト結晶内部でどの
ような構造変化が生じているかを大型放射光施設「SPring-8」のBL08W
における高輝度放射光を用い、X線全散乱測定を行う。そこから、光を
照射してもハロゲン化物イオン(Br-とI-)の位置は大きく入れ替わら
ず、発光特性の変化は相分離によるものではないことを突き止める。


図2.ハロゲン混合型ペロブスカイトの発光挙動と新たな光誘起構造
変化モデル;(A)紫外光照射下で撮影したハロゲン混合型ペロブスカ
イトの分散液。(B)発光スペクトルの変化。光照射により長波長発光
種が生成。暗闇下で元の発光スペクトルに戻る。(C)PDF解析から得
られた構造変化モデル。八面体ユニットの空間配置がわずかに変わる
ことで発光色が可逆的に変化する。

さらに、詳細な解析を行った結果、Pb2+イオンとハロゲン化物イオン
からなる八面体ユニットが、光照射によってわずかにひずみ、結晶構
造の対称性が変化していることを見い出す。第一原理電子状態計算か
らも、対称性の破れを伴う原子配置の変化が、発光の長波長化を引き
起こしていることが明らかにした。観測した局所的な構造変化は、光
誘起相分離の初期過程とみられ、結晶中の格子欠陥によっても促進さ
れる。そこで、結晶表面を高分子材料で被覆して不活性化したところ、
発光変化を抑制できることが分かった。
via “Dynamic Symmetry Conversion in Mixed-Halide Hybrid Perov
skite upon Illumination
”;ハロゲン混合型ハイブリットペロブスカ
イトにおける光誘起動的対称性変換、ACS Energy Letters
DOI:10.1021/acsenergylett.1c01798

✔ 今回初めて観測されたハロゲン混合型ペロブスカイトの構造変化
 挙動は、デバイス性能に大きく影響する光誘起相分離現象のメカニ
 ズム解明につながる知見。また、この特徴を活かすことで、光刺激
 により、発光特性や強誘電性を高速に制御できる新たなオプトエレ
 クトロニクス素子の開発が期待される。
 ハロゲン混合型ペロブスカイト (CH3NH3PbBr1.5I1.5) に光照射すると、
 微少な結晶構造変化が起きて発光挙動が変化するという発見。光照
 射を止めると元に戻る(回復する)挙動も確認。地味ですが本質的
 で、面白い研究。暗時の単斜晶系 P21/m (#11) から光照射による
 Pm (#6) への変化、前者は原子座標が 4f, 2a, 2b, 2c, 2d, 2e の
 最大 6 種類あるのに対し、後者は 2c, 1a, 1b の 3種類に限定さ
 れ、結晶化学的には光照射によって系全体の対称性はむしろ上がる。

 暗時の単斜晶系 P21/m (#11)から光照射による Pm (#6) への変化
 だが、前者は原子座標が 4f, 2a, 2b, 2c, 2d, 2e の最大 6 種類
 あるのに対し、後者は 2c, 1a, 1bの 3種類に限定されるため、結
 晶化学的には光照射によって系全体の対称性はむしろ上がっている
 ことになる。論文中では off-centering という表現で「八面体ユ
 ニットがわずかに歪み」とあるが、このような状態では典型的なヤ
 ーン・テラー歪みが発現してバンド狭窄が起き、より可視光吸収に
 有利に働くことが予想される。


図1 Cl-bSOとCl-cPPは中間層を形成
✺ 二酸化錫電極上に原子的にコヒーレントな中間層を備えたペロ
  ブスカイト太陽電池;Perovskite solar cells with atomically
  coherent interlayers on SnO2 electrodes,
【概要】韓国 Seok らの蔚山科学技術大学と浦項工科大学浦項加速器
研究所のグループは、ペロブスカイトと電荷輸送層の界面に高濃度の
欠陥(ペロブスカイト層の約100倍)、特に深いレベルの欠陥が含まれ
デバイスの変換効率が大幅に低下するが、これらの界面欠陥を減らす
ため、表面の不動態化に焦点を合わせ、ペロブスカイト膜をコーティ
ングで、電子輸送層の表面処理剤が溶解する可能性があり、ペロブス
カイトと電子輸送層との間の界面の表面を不動態化することは困難で
あったが、もし電子輸送層とペロブスカイト層との間にコヒーレント
界面を形成できれば界面欠陥が問題にならない可能性がある。


図3 Cl-bSOおよびSnO2にCl-cPPを適用した後の2次元GI-WAXDパターン、
HR-TEMおよびフォトルミネッセンス

1.この界面層は原子コヒーレンス特性を持っており、ペロブスカイ
 ト層の電荷抽出と移動を促進し、界面欠陥を減らすことができる。
 このコヒーレント界面層の存在により、研究者は電力変換機能を備
 えたペロブスカイト太陽電池を製造できる。標準照明下での効率は
 25.8%(25.5%として認定)。
2.さらに、500時間の連続光の後でも、カプセル化されていないサ
 ンプルでは、初期効率の約90%を維持できる。欠陥を最小限に抑え
 るために、メタルハライドペロブスカイトと電子輸送層の間の界面
 を設計するためのガイダンスを提供。


図4 異なる電極に基づくPSCの性能に関する研究


図2 ペロブスカイト前駆体溶液を適用する前後で、SnO2電極のスズ
原子の周りの局所的な幾何学的環境

コロイド分散液による SnO2 下地層 (ETL) の上に中間層 (coherent
interlayers)として FASnClX 層を形成することで高効率化を実現。断
面プロファイルについては、ToF-SIMS による深さ方向への元素分布
測定を行い、SnO2 下地層からは多量の 1735Cl (原子量:34.97) が確認
されている。FAPbI3 系ペロブスカイト太陽電池の最高効率 η=25.8%
(25.5% by Newport) 論文。



“メタネーション”で脱炭素は進むか
二酸化炭素を逆に生かして燃料に変え、
排出量を“実質ゼロ“にできる技術とは
2050年の脱炭素化を掲げた日本。その中で注目されている技術に「メ
タネーション」がある。二酸化炭素を逆に生かして燃料に変える、そ
の技術とは ?
今年1月25日に大阪ガスが開いた記者会見。坂梨興企画部長は「脱炭
素化技術であるメタネーションを軸とした都市ガス原料の脱炭素化や、
再生可能エネルギー導入を軸とした電源の脱炭素化により、2050年に
当社グループ事業におけるカーボンニュートラル実現に挑戦する」と
述べる。大阪ガスが脱炭素化の新技術の軸とした「メタネーション」。
温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を取り込み、水を分解して取
り出した水素(H2)と合成して、メタン(CH4)をつくり出す技術。
つくり出されたメタンは、都市ガスの原料に使われる。都市ガスを燃
やして出る二酸化炭素を相殺できるので、実質ゼロにできる計画。



□ ヨーロッパではすでに一部実用化
メタネーションはヨーロッパなどですでに一部実用化されている。ド
イツの大手自動車メーカー、アウディが開発した乗用車は、メタンが
主成分の天然ガスを燃料にしている。アウディは、ドイツ北部にメタ
ネーションの工場を自社で建設。風力発電で電力を得て、水を電気分
解して水素を生成し、二酸化炭素と合成しメタンをつくる。それを都
市ガスに使うほか、天然ガス車の燃料として使用し、車社会での脱炭
素化を目指す。



□ 大阪ガス 「2030年ごろ」技術確立目指す。
日本では、大阪ガスが長年、メタネーションの技術の研究に取り組ん
できた。今回「実用化に向けた大きな一歩」だとするポイントがある。
これまで水から水素を取り出す過程では、特殊なセラミックスを使っ
ていたが、安価な金属を使うことに成功。国内で初めてコストを9割
も削減できるようになった。大阪ガスエネルギー技術研究所の大西久
男氏は「金属をベースとしたもので、大型化しやすくコストダウンも
しやすい。実用化に向けて一歩進められた」と話す。大阪ガスにとっ
て、メタネーションには利点もあると言う。同じくクリーンな水素と
は異なり、都市ガスのパイプラインなどの設備をそのまま使えるため、
巨額のインフラ投資をしなくても導入できるという。大阪ガスは、メ
タネーションの技術を25年の大阪・関西万博で活用する計画を明ら
かにした。坂梨企画部長は「われわれの技術をこのタイミングで告知
し、中長期的に脱炭素社会に貢献していく姿勢を見せられたら」と話
す。既存の設備をそのまま使えるという意味では、水素などより早く
実用化できそうな気もするが、大阪ガスでは30年ごろに技術を確立し
たいと言っています。ただ、最大の課題はやはりコスト。現状では、
都市ガスにした場合7~9倍の価格になってしまう。開発には日立造
船や資源大手のINPEXなども取り組んでいるので、ブレークスル
ーが起きるのを期待している。 via
おはBiz NHKニュース 2021.2.16



 


【概要】
儒教は宗教というより、単なる倫理道徳として理解されがち。古い家
族制度を支える封建的思想という暗いイメージもつきまとうが、その
本質は死と深く結びついた宗教であり、葬儀など日本人の生活の中に
深く根を下ろしている。
本書は、死という根本の問題から儒教を問い直し、その宗教性を指摘
する。そして孔子以前に始まる歴史をたどりながら、現代との関わり
を考える。全体を増補し、第6章「儒教倫理」を加えている。
【著者:加地伸行】
1936年(昭和11年)、大阪に生れる。1960年京都大学文学部卒業。高
野山大学、名古屋大学、大阪大学、同志社大学を経て、立命館大学フ
ェロー、大阪大学名誉教授、文学博士。専攻、中国哲学史(本データ
はこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)
これまでの儒教論は衒学的(pedantic, academic, donnish)だと松
岡正剛氏は評論する(松岡正剛の千夜千冊)。曰く、そもそも儒教は、
「死」に深く結びついている。だから儒教はあくまで人生ゴールイン
のための宗教なのである。魯迅はそこを批判し、死人などにかかわる
儒教の後進性に眉をひそめたが、いいなおせば、儒教が「死と死後を
めぐる宗教」であることを訴えいると書く。死という不可解な現象を
説明しようとした古代に最初に「原儒」(シャーマン、巫祝)者たち
が----原儒は、人間の本性が死によって、精神の主宰する「魂」と、
肉体の主宰する「魄」とに分離すると考え、この「魂」と「魄」との
分離をもう一度統合することができ、生死の本来がまっとうし----人
間の本性が蘇ると考える。そこで「尸」(し➲かたしろ:形代)を
もうけ、魂魄が寄り憑きやすいようにする。たいていは木の板ででき
ていて、そこに死者の姓名や事績などを書き、この木の板は「神主」
とか「木主」と呼ばれる。のちのち仏教にとりこまれて「位牌」にな
る。こうした魂魄の統合のための儀礼を司っていたのが原儒であると
書く。古代中国では、こうした招魂儀礼は各一族や各家族がとりおこ
なうべきもので、儒の思想は、社会の単位である血族の系譜と結びつ
き「家」のための規範(宗教)である。招魂再生原儒はそれを扶助す
る人たちであったが、やがて古代社会に、原儒の特殊化や多様化や階
層化し、「大儒」と「小儒」に分かれ。「大儒」は君子や貴族ととも
に内祭を担当し、「小儒」はさまざまな葬礼の仕事にたずさわって、
外祭に当たるようになった。内祭のものを「史」、外祭のものを「事」
とよぶ。そのうち大儒と小儒の分掌がしだいに混乱していくが、紀元
前六世紀ごろ孔子が登場。「儒」の根本を問うて、この混乱を新たに
組み立てなおすことを思いつく。血族や家族が「家」にまつわる死者
を慰撫する原儒の本来からして、生前に「孝」を積んでおくことが有
効であると考えられ、古代中国の生命論全域にわたった。

 生には、これを事うるに礼をもってし、死には、これ を葬るに
 礼をもってし、これを祭るに礼をもってす。

                      『論語』為政篇

つまり孔子は、生死の上に「孝」をおき、その「孝」のために「礼」
を組み合わせた。これらはしかし、原儒の時代はまだ習俗にすぎなか
ったので、それを孔子は、「社会の規範」にまで高めることを主張し
た。ノモス(規範)にした。そのため、「孝」と「礼」を包含するコ
ンセプトとして「仁」が高められることになった。
              (中略)
仁と孝、および礼と楽とが並びあうと、だいたいの儒教コンセプトが
出揃い、それとともに、孔子以前から編集されてきた『詩経』『礼記』
『書経』が基本テキストとして重視され、深掘りする読み方が見えて
くる。のちの儒教ではここに『春秋』と『易経』が加わり五経とされ
る。ここまでくると、これらはすべて儒教のリベラル・アーツとなる。
古代中国社会は官僚が中心の社会であり、社会をつくりあげる官僚は、
「教養としての儒教」を修得することにもなる。孔子の死後、弟子は
分散する。直弟子の曾子や子夏も、曾子の弟子の子思も、子夏の弟子
の子游も一応は活躍したが、さすがに孔子の教えは分散し。百年ほど
をへて孟子と荀子が登場して、時代が春秋から戦国に移り、儒教は論
争激しい「諸子百家」のひとつになる。それは、儒教が儒学として問
われるということでもあり、さらには秦の始皇帝による「焚書坑儒」
で、「儒」は決定的な迫害をうける。
古典のテキストもすたれたが、それが漢代になると、文帝のころから
やっと文芸復興の兆しがおる。最初は『詩経』あたりが復活し、やが
て武帝の時代に董仲舒が出て、「教化を明かして民性を導くこと」を
説き、古典のテキストの読み方こそが求められ。やっと孔子に光があ
たる。武帝は儒教を国教としたことで、儒教・儒学は一大学問体系を
形成。テキストをめぐる学派も生まれ。大きくは「古文派」と「今文
派」とに分かれる。このように、五経博士が設置されたこと自体が、
儒教に礼教的な統治的性格が強くなり、そのぶん儒教の宗教性は、民
衆や家族の習俗のほうに向かっていく。その後の儒教は、仏教と道教
との三教併走の時代になり、儒・仏・道の三教が競いあい、つねに影
響しあう。三教それぞれに特色があった。儒教にくらべ、仏教(ブッ
ディズム)は体系的なコスモロジーや形而上学に富む。この点、儒教
の分が悪い。道教(タオイズム)にも老荘の存在の哲学があり、孔子
が「正名」を重視して、名を正しうすることを大事とみたとすれば、
荘子はあえて「狂言」を主張し、無為自然が生むものをおもしろがっ
たため、これでは儒教は嫌ったが、道教が自由気ままなものと映り、
儒教が不利となるが、けれども儒教には、家族から国家におよぶ「仁」
や「孝」の一貫性があった。三教のどれが社会のしくみにあてはまる
かという点から見れば、儒教のほうが説得力をもっている。社会がル
ールを必要とするならやはり儒教の出番であるが、民衆は現世利益の
ほうに心を奪われる。そこで儒教としては、儒・仏・道の三つに共通
するブリッジを用意する必要があった。著者の加地氏さんは、そのブ
リッジこそが「死と再生」をめぐるところであったろうと指摘し、松
岡流に以下のように解釈し、相互浸潤し変遷していくが、儒教は「科
挙」によりつねに保守していけるものとして際立たせる。

   儒教・・・子孫の祭祀による現世への再生→「招魂再生」
   仏教・・・業や因果にもとづく縁起と転生→「輪廻転生」
   道教・・・無為自然に向かう存在者の長生→「不老長生」

科挙は、漢代の「察挙」、魏晋南北朝の「九品官人法」という人物推
薦方式を、隋唐でがらりと試験方式に改めて以来、清朝にまで及ぶ。
              (中略)
それでは、このような儒教三千年の流れが、さて、いまはどうなって
いるかといえば、さっぱり使いものにならなくなる。とくに日本人に
とっては儒教はいまだに古くさい因習にとらわれたものか、あるいは
面倒な道徳や道義をもちだすものとして、なんらの現代的検討を加え
られないままに、煙たがられているが、加地氏は、儒教は、それどこ
ろか、現在の日本人の日々のなかにさまざまに生き----たとえば、日
本では死者のことを「ほとけさん」と言い、「ほとけさん」の心を鎮
めたいと言うけれど、これは仏教の考え方ではなく、もともとは儒教
の考え方で、仏教での「仏」とは成仏したもの、悟りをひらいたもの
をさすが、誰かが亡くなったからといって、ああ、あの人も「ほとけ
さん」になったというのはおかしく、「ほとけさん」は儒教における
死者の魂のことをさすはず。少なくともそういう見方が混じっている
はずだと。つまり、儒教では死者の魂は精神的な「魂」と肉体的な「
魄」とに分かれる。「魂気」と「形魄」ともいう。「魂」の偏は「気
の流れ」になっている。「魄」は偏が「白」になっていて、これは白
骨のことで、そも、「死」とはこの白骨の白さをあらわす。この「白
骨としての死」を埋めることが「葬」。死者が出て、魂魄が分離する
時期、仮の宿としての「殯」に遺体を置いて、魂が天上へ、魄が地下
に向くのを見届ける。そのうえで、これらの合体のための墓や廟を作
っていく。そこに「葬」の役割があり、そも「遺体」という言葉にし
てからが、「遺された体」という意味で、継承されるべき身体で、そ
の遺体を先祖と同じ墓や廟に祀った。こうしたことを見ていくと、現
在の仏式の葬儀や仏壇には、多分に儒教が反映しているということに
なり、祥月命日という言い方も、儒教においての三年目の喪を「大祥」
とよぶのに因む。なぜ儒教には教団組織がなく、寺院や神社のような
ものをふやさなかったのかという問題が残るが、儒教が「家の宗教」
であり、それがいまもって続いている。日本では、儒教は徳川社会に
顕著だった封建性と結びついていて、そのため女性を「家」に押し込
め、昭和の半ばまで続いたという見方があるが、それは半分は疑問で
あり、女性が結婚すると嫁いだ家の苗字を名のるというのは、実は儒
教にはない。儒教の原則は「夫婦別姓」なのである。

われわれはどこで儒教を忘れてしまったのだろうか。日本人の多くが
福澤諭吉のように嫌ったせいなのか。魯迅のように捨てたのか。それ
とも、何もかもを習合させてしまったのか。
桑原武夫が柳田国男に、こういうことを尋ねたことがある。かつて日
本には内藤湖南、狩野直喜、西田幾多郎といった強靭な学者がいたと
思うが、最近はどうも軟弱で、線が細くなったと感じるが、どういう
ふうに感じられるのでしょうか訊くと柳田は、「それは孝行というも
のがなくなったからです」と答えたと松岡氏は加地氏の著書を通し書
いて、最近の日本には儒教アジア圏の総体と多様性を語る気力が萎え
ているように思えると、圧倒する博学もって、このように結んでいる。

                          この項了

【ウイルス解体新書 83】
⛨ 最新新型コロナウイルス


第10節 ウイルスとともに生きる
10-1 バイオハザード対策の発展史
10-2 高度隔離施設の現場へ
10-3 病原体の管理基準
10-4 根絶の時代から共生時代
10-4-1 ウイルスは「脅威」だが「敵対」するものではない
10-4-2 21世紀はウイルスと共に生きる時代


Source:絵画『死の勝利』(ピーテル・ブリューゲル、1562年)
14世紀の黒死病の後も大勢のヨーロッパ人がペストによって命を落と
し、1665年の英国ロンドンでの流行は特に規模が大きかった。最後と
なる三度目のパンデミックは19世紀半ばに始まり、20世紀まで続いた。 
中世ヨーロッパでは、赤痢、インフルエンザ、麻疹、そして非常に恐
れられたハンセン病など、多くの伝染病が流行した。けれども人々の
心に最も恐怖を与えたのは黒死病だった。ピーク時の数年間、黒死病
は後にも先にもない速さで広がり、膨大な数の死をもたらした。.
via ナショナルジオグラフィック日本版サイト
--------------------------------------------------------------
□ ウイルスと人間は“共犯者”③
感染症の出現が加速している、それは石器時代に始まった
集団生活、移動の拡大、自然破壊--文明の進歩につれて広まる病原体

□ 現代のパンデミック
残念ながら、パンデミックを完全に防ぐ世界的な手段はまだない。
2019年末に新型コロナ感染症が出現して以来、監視の強化、国際的な
情報交換、ワクチン開発が必要だとする議論が高まっているとモレン
ズ氏は説明するが、危険な感染症を広めるリスクを高める活動、例え
ば、①森林伐採、②野生の生態系への侵入、③野生動物の売買や消費、
④野生動物と家畜と人間が密接に接触する行為などの制限については、
ほとんど言及されていない。

次のパンデミックを防ぐためには世界がひとつになる協力体制が必要
だと、米コーネル大学野生動物保健センターのスティーブ・オソフス
キー所長は言う。それは、「人間・家畜・野生動物の健康が密接に関
係しており、それらがみな自然環境の責任ある管理に支えられている
という認識に基づくアプローチです」(参考記事:「また新たなコロ
ナが発生するリスクの高い場所は?
研究」) この枠組みは人間と自然
の両方を守るものだが、そのためには、医師、獣医師、疫学者、動物
学者、ビジネスリーダー、先住民、農業専門家、公衆衛生専門家、環
境専門家など、多様な人々の協力が欠かせない。「私たちが自然界を
どのように扱うかは、私たち自身の未来に直結しているのです」とオ
ソフスキー氏は語る。                              この項了

  風蕭々と碧い時代

曲名:これが私の生きる道 (1996年10月) 唄: PUFFY
作詞:奥田民生   作曲:奥田民生    
歴代CDシングル売り上げ枚数ランキング:75位
累計売上:156.6万枚




● 今夜の寸評:沸騰する欲望と対峙する知恵
新型コロナで教訓は、医師、獣医師、疫学者、動物学者、ビジネスリ
ーダー、国内外国民・住民、農業専門家、公衆衛生専門家、環境専門
家から構成したパンデミック対策局室(ユニット)の創設であり、マ
イナンバーカード(=社会保障カード)に免疫履歴(➲ワクチン・
疫病治療)を組み込み、ワクチン及び抗原・抗体検査の無料化と検査・
検疫・治療の拠点構築整備である。努々特定専門家への集団的強権的
脅迫行為を排除することの是非を今回の総選挙で問うものである。


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