彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」
1.ウンリュウヤナギ
2.シダレヤナギ
3.コリヤナギ
4.キヌヤナギ
『絹柳(キヌヤナギ)』 ヤナギ科ヤナギ属の落葉小高木、学名はSalix
kinuyanagi Kimura、絹毛の密生した銀白色の花穂や葉裏などから絹
柳(キヌヤナギ)とつけられとか。関東地方以西の本州、四国、九州な
どで栽植され野生化している。朝鮮などから渡来したものと推察され
ている樹木、中部地方以北の本州、北海道に自生する近似種エゾノキ
ヌヤナギ S. petsusu Kimuraは本種より枝が細くて花穂はやや疎ら
で枝と葉共に毛が少ない。
5.ネコヤナギ
霜枯れの冬の柳は見る人のかづらにすべく萌えにけるかも
万葉集 10 1846
作者不詳
□ Solitekが温室用の12.6%効率のソーラーパネル
【ポストエネルギー革命序論 372: アフターコロナ時代 182】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
● 環境リスク本位制時代を切り拓く
温度差及び近似ゼロ温度発電モジュ-ル事業③
□ アスファルト舗装熱を利用した地下空間の有効利用
・熱化学反応型蓄電方式:熱➲メタンガス発酵➲燃料電池
・実証実験段階
本プロジェクトで想定している舗装熱を利用した発電は主に都市部で
行う事を考えている。都市部における大きな問題はやはり廃棄物 (生
ごみ)の処理である。そこで原料に標準生ごみを用いた結果のうち最
もガスの発生量が多かった長野35℃の結果を基に試算を行う。ガスク
ロマトグラフから求められた試料ガス1mL中の平均メタン濃度は約400
ppmである。1日の発生ガス量が約1,570mlであるから1日62,8000ppm
発生する。(上図クリック)
□ 道路舗装熱利用熱電素子と有機ランキンサイクル発電
・熱電素子及び有機ランキンサイクル発電
・実証実験(試用段階)
本プロジェクトではヒートアイランド,電力供給問題への解決策とし
て近年進みつつある排熱温度差発電(DTEC)に用いられる熱電発電,
有機ランキンサイクル(ORC)に基づ き路面を高温熱源として発電に
利用することを考え,この解決策について以下の 3つの視点から実現
可能性を評価する。
1.法令への適合性
2.エネルギー賦存量調査
3.コスト・環境負荷の推定
また,排熱による発電手法について今回は熱電発電,ORC の 2種類に
ついて,熱電モジュールは上海工商の TEC1-12706,ORC は IHI のヒ
ートリカバリーHR シリーズを想定しコスト,環境負荷の比較を行う。
※発電所などが使っている蒸気サイクル(ランキンサイクルシステム)
の作動媒体を、一般的な水から、より低沸点の媒体(フロンガス等)
に交換し、水を沸騰させられないような小さな温度差であっても蒸気
を発生させ、それによってタービンを回すシステム。
✔いずれにしても前事業段階であり、太陽光発電型を除き、温度差発
電型道路舗装システムはの実現時期は未定。
図1 ハイスループットフロー合成装置
□ 燃料電池の白金コストを大幅削減、高性能触媒
➲燃料電池の白金コスト大幅低減を目指す
11月15日、NEDOプロジェクトにおいて固体高分子型燃料電池(PEFC)
向けの高性能なコアシェル型触媒の合成に成功したと発表した。高効
率な合成手法の確立にも成功し、固体高分子型燃料電池の普及課題と
なっている高い白金コストの大幅な低減に寄与する。
図2 (A)TEM-EDSおよび(B)EELSライン分析図
(C)コアシェル粒子TEM画像の赤い線上を分析することで、PtとPdの
存在を検出します。図(B)の緑線はPtとPdの存在を、青線はPdの存
在を表します。得られた分布プロットを2次微分し、PtおよびPdが存
在し始める位置を決定します。赤破線はPtが存在し始める位置を、青
破線はPdが存在し始める位置を表しており、破線に囲まれた領域がPt
シェルの厚みになります。
近年は、触媒粒子の外表面(シェル)部分のみに選択的に白金を存在
させ、粒子の内部(コア)部分を他の金属で置き換えた構造を持つコ
アシェル型触媒により、白金利用効率の向上を目指す研究が活発に行
われている。しかしコアシェル型触媒の合成法として普及している「
銅-アンダーポテンシャル析出(Cu-UPD)法」は工程が非常に複雑で、
生産性が低いことが実用化に向けた障壁となっていた。そこで研究グ
ループはNEDOプロジェクトにおいて、カソード触媒の白金使用量の大
幅な削減を可能とするコアシェル型触媒を効率的に合成する技術の開
発に取り組んできた。その結果、今回、1日当たり数十種におよび各
種コアシェル型触媒の連続・自動合成が可能な、ハイスループットフ
ロー合成装置を用いてプロセス条件の最適化を迅速に実施することで、
Cu-UPD法で合成した触媒に匹敵する性能を持つ触媒の合成に成功。
さらに、今回確立した条件を2020年度に開発した合成法に応用した結
果、Cu-UPD法に匹敵する活性、構造を持つ触媒の連続合成に成功。
□ 想定ケース 1 配電網内への再エネ導入量拡大と利用最大化
蓄電池内の「再エネ価値」を担保する手法の確立へ
11月15日、日本ガイシとリコーは再生可能エネルギーの環境価値をト
ラッキング(追跡)する実証実験を2022年度から始めると発表。再生
可能エネルギーの発電から消費、さらには余剰電力の蓄電から放電に
いたるまで、全てのプロセスをトラッキングすることで、環境価値を
より簡易かつ確実に融通・取引できる仕組みの構築を目指す。
天候によって出力が変動する再生可能エネルギー電源の導入拡大に向
けて、蓄電池の活用に注目が集まっているが、再生可能エネルギー由
来電力を蓄電池に充電、放電した場合の環境価値の取り扱いや、リア
ルタイムな充放電量の調節など、トラッキングに関する仕組みや制度
の整備は今後の課題となっている。
今回の実証は、こうした再生可能エネルギーおよび環境価値のトラッ
キングの制度化や標準化を目的としたもの。日本ガイシ、恵那市、中
部電力ミライズが今年4月に設立した地域新電力の恵那電力(岐阜県
恵那市)が実証フィールドを整備する。具体的には、恵那市公共施設
の屋根や遊休地に太陽光発電設備やNAS電池の設置を行う。
□ 想定ケース 2 異なる配電網間での再エネ融通
これらの設備を活用し、実証では主に2つのケースを想定した取り組
みを実施する。
1つが、基幹系統への逆潮流を抑制し、配電網内の再エネ利用率を高
めるための実証だ。変電所以下の配電網内の再生可能エネルギー由来
電力と、需要家の消費をリアルタイムにトラッキングし、余剰分の電
力に環境価値を付与したかたちで確実にNAS電池に充電する。
2つめが、変電所以下の配電網で発生した再生可能エネルギーの余剰
電力を、再エネ由来であることを証明し、環境価値を担保したまま他
の配電網へ融通する実証だ。上位の基幹系統の送電容量に制約がある
ために、再生可能エネルギー由来の余剰電力を異なる配電網間でリア
ルタイムに融通・利用することが困難な場合に、トラッキングにより
再エネの環境価値を担保したままNAS電池に充電する。その後、系統
制約のない時間帯に異なる配電網のNAS電池間で再エネを融通するこ
とで、再エネの環境価値を失わず、地産地消の比率を高められるとい
う仕組み。
□ 世界初の自律型電動貨物船「Yara Birkeland」
想定ケース 2 異なる配電網間での再エネ融通想定ケース 2 異なる配電網間での再エネ融通
今回の実証は、こうした再生可能エネルギーおよび環境価値のトラッ
キングの制度化や標準化を目的としたもの。日本ガイシ、恵那市、中
部電力ミライズが2021年4月に設立した地域新電力の恵那電力(岐阜
県恵那市)が実証フィールドを整備する。具体的には、恵那市公共施
設の屋根や遊休地に太陽光発電設備やNAS電池の設置を行う。
1.再生可能エネルギーの余剰電力が基幹系統に流れ込む逆潮流を抑
制し、環境価値の担保された電力をNAS電池にためておくことがで
き、上位系統の送電容量に制約がある場合でも、基幹系統の安定を
乱すことなく配電網内への再エネの追加導入が可能となり、地域の
再エネ比率と地産地消率を最大化できる
2.変電所以下の配電網で発生した再生可能エネルギーの余剰電力を、
再エネ由来であることを証明し、環境価値を担保したまま他の配電
網へ融通する実証だ。上位の基幹系統の送電容量に制約があるため
に、再生可能エネルギー由来の余剰電力を異なる配電網間でリアル
タイムに融通・利用することが困難な場合に、トラッキングにより
再エネの環境価値を担保したままNAS電池に充電する。その後、系
統制約のない時間帯に異なる配電網のNAS電池間で再エネを融通す
ることで、再エネの環境価値を失わず、地産地消の比率を高められ
るという仕組み。
□ 世界初の自律型電動貨物船「Yara Birkeland」
欧州は、法制度・税制度の異なる多くの国が隣接する特徴的な市場で
あり、日本企業の海外戦略において重要な拠点の1つ。本書は、欧州
地域で事業展開する日本企業に不可欠である欧州各国の税制について
解説。EU税制の概要を整理するとともに、主要14カ国(英国、ド
イツ、フランス、オランダ、スペイン、イタリア、ベルギー、ルクセ
ンブルク、アイルランド、ポーランド、チェコ、ハンガリー、ロシア、
トルコ)の税制について法人税のみならず、所得税や間接税も含めた
税制全般を網羅的にカバー。欧州地域に関わりのあるすべての企業の
税務担当者をはじめ、国際税務を専門とする会計士・税理士において
も実務に必備の一冊。
第3章 税金を取るわけ
死と税を別にすれば、確実といえるものは何もない。
クリストファー・ブロック「ブレストンの靴職人」
(1716年)
税は文明とともに誕生した。
古代の狩猟・採集社会にも、大まかに税と呼べるものはあった。ヒト
がおよそ一万年前に定住を開始したころ、集落のリ-ダはすでに労働
力と生産力のために人びとを徴用していたのである。それ以降、税の
ない文明が存在したことはない。
しかし、われわれはどれだけ税について考え、語りあっているだろう
か? 啓蒙時代には視の倫理屈や実際面について熱心に、また徹底的
に意見を戦わせていたというのに、今日ではどういうわけか、そうい
うことがなくなっている。税とは、会計士や経済学者の専門である退
屈な領域なのだ。われわれがしぶしぶ納税義務にしたがう一方、政治
家はといえば、ここを少し増やそうか、あそこを少し減らそうかなど
と思案する程度で、それ以上を考察することはめったにないように見
える。多くの視、とりわけ所得税の倫理性について疑問の声が上がる
ことなど、あるとしてもごく稀である。いまのところ、思いきった改
革は先延ばしにされている。
この本の目的は、現代の人びとに改めて税について考え、語りあって
もらうことである。税というプリズムを通して世界----われわれを取
り巻く現在、過去、本来の世界----を見れば、さまざまなことが明白
になってくる。現状をもたらしたものは何か、この出来事を引き起こ
したものは何か、未来はどうなっていくのか! それを変えるには何
をすればいいのか。文明の形は税制によってつくられる。国家人びと
が豊かになるか貧しくなるのか。自由な立場を得るか隷属的な立場を
得るか、幸せになるかみじめになるか! の大部分は税制によって決
まるのだ。
税は権力である。国王でも、皇帝でも、政府でも、税収を失えば権力
を失う。この法則は、古代のシユメール王国の初代国王から現代の社
会民主主義国の政府まで、すべての時代に当てはまる。税は国家を勤
かす燃料である。税を制限すれば、統治力を制限することになる。古
代のメソポタミアから現代のイラクまで、どの戦争でも費用のために
なんらかの税金が集められた。
税は戦争を可能にするのである。戦争をやめたければ課税をやめれば
いい。アレクサンドロス本土からナポレオンまで、どの征服者も税基
盤の掌握を目指した。税基盤とは土地、労働者、生豪物および利益の
ことである。征服者は略奪し、課税する。「世の征服者たちにとって、
税はもっとも重要なビジネスである」と、ジョージ・バーナード・シ
ョーの戯曲に登場するシーザーはいう。チンギス・ハンは中国を征服
し、いつものごとく住民を皆殺しにするつもりでいた。それは容易な
ことではなかった。このころの中国は、いまでもそうだが、世界でも
っとも人口の多い国だったからである。だが、それほど有名ではない
イエリウ・チユツァイという摂政が、農民を生かしておけば、それだ
け多くの税金を集められると指摘した。チンギス・ハンはそれに納得
し、数百万の人びとが命拾いした。
革命や反乱にも同じことがいえる。たいていの場合、その本質に近い
ところに不公平な税制が潜んでいる。「代表なければ諜税なし」とは
アメリカ独立戦争時にうたわれたモットーである。ロシア皇帝が小作
農に課しか過酷な市税は、ロシア革命を引き起こす原囚となった。実
例としてもっともわかりやすいのは、税証明書の破棄を訴える「ブガ
ド・ラウィンの叫び」とともに始まったフィリピン竹命だろう。
スパルタクスからボアディケア、ロビン・フッド、さらにはマハトマ・
ガンジーまで、匪辱史に刻まれる大規模な反乱は、たいていは有税へ
の反発から始まっている。
税というレンズを通せば、歴史のすがたはこれまでとは異なって見え
てくる。人類にとっての重大事件では、たいていの場合、その本質に
近いところに税の物語が潜んでいる。イエスがベツレヘムで生まれた
のも、マリアとヨセフが納税のためにそこに出かけたからだった。人
類が初めて月面に降り立ったとき、その資金は税金によって賄われて
いた。税にかかわる事情は、一見まったく関係なさそうなエピソード
にも潜んでいる。たとえば、女性参政権である。女性が第一次世界大
戦中に労働力に加わり、所得税を納めるようになったことは、女性参
政権が認められるおもな要因になった。自然災害にさえ、税にかかわ
る事情がからんでいる。たとえば黒死病〔ペスト〕は、事実上ヨーロ
ッパの封建制を終わらせ、納税義務を有する労働者という新しい階級
を生みだした。大きな災害に見舞われたあとの復興努力においては、
しばしば税にかかわる事情が表にあらわれる。ロンドン大火のあと都
心再建のために投じられた資金は、ほとんどが石炭税として徴収され
た金だった(実は、この大火災は税金逃れの工夫のせいで発生したと
いわれている----炉税の徴収を免れる目的で、隣家の煙突とのあいだ
の壁をぶち抜く手口は、当時は珍しくなかった)。
たいへん有名な大建造物----ピラミッドからホワイトハウスまでの多
くは、なんらかの形で、税翁の乞えによって築かれている。なかには、
徴税を目的としてつくられたものもある。中国の万里の長城は異民族
の侵攻の防御のために築かれたと言われる----実際そうである----が、
長城沿いには百万の人が配備され中国に入荷される、あるいは中国か
ら出荷される商品にかかる関税の徴収にあたっていた。つまり、この
長城は政府収入の確保のための施設でもあった。とくにシルクロード
洽いに延びる部分はそうだった。ローマ帝国のハドリアヌスの長城も、
これとまったく同じ役割を果たしていた。
われわれが姓名を名乗るようになったのも徴税のためだった。ブリテ
ン諸島と(それほどではないにせよ)ヨーロッパでは、平民は十三世
紀までは姓を持だなかった。だが十四世紀末には姓を名乗るようにな
っていた。多くの場合、自分の職業(スミス〔Smith'鍛冶屋〕など)、
父親の名(ジャクソン〔Jackson’ジャックの息子〕、マシューズ〔
Mastthews'マシューの息子〕、マクドナルド' MacDonard'ドナルドの
息子〕、居住地の地形(ヒル〔Hill'丘陵〕、フォード〔Ford’浅瀬
〕、浅瀬しにちなんだものを選んだ。また、私自身(フリスビー、
Frisby〕、そうだが、出身の村の名前に由来するものもあった。一部
の姓はとりわけゲール人の文化においては、身体的特徴から命名され
ていた----たとえば、キャメロン〔Cameron〕は「曲がった鼻」、ケ
ネディ(Kennnedy)は「ぼさぼさ髪」、コノリー(Connolly)は「雄
々しい」という意味である。姓を名乗るようになった理由? 人頭税
の徴収の際、人びとを区別するのに便利だからだ。
中国では、姓はもっと古くから存在した。伝説によれば、その起源は
紀元前2852年、伏義という帝王の治世にさかのぼるという。しかし、
姓を名乗るようになった理由は同じ、徴税をやりやすくするためだっ
た。英語の語彙に「tax」という単語が加わったのは1300年、貨幣制
度がまずまず行き渡ったころのことだった。それ以前には古フランス
語の「task」おり、納税方法は生産物を納める現物納だった。支配者
は収穫物の一部を取り立て、貸しは労働によって返された。tax, buden'
duty、tribute' ritch' charge’ corvee'、toll' impost' tarryf'
と呼び名はいろいろあっても、原理はすべて同じである。税制と自由
が密接にかかわっていることは、言語の起源を見てもはっきりわかる。
Censorshipとtax assessment(census)は、同じラテン語の単語を起源
にする。ラテン語のcensorはもともとレ古代ローマのケンソルという
役人を指していう言葉たった。ケンソルは、風紀と、政府財政の一部
の監将校を担っていた。Censorshipもtaxactionも、その意味すると
ころは、経済Lのことにかぎらない、自由の制限にかかわっている。
リーダーは、祝詞をコントロールの手段に用いるようになる----人び
との行ないや意志決定に影響をおよぼすのである。ロシアの近代化を
図ろうとしていたピョートル大帝は、あごひげは時代遅れであると考
えた。そこで、あごひげをたくわえている者に税を課すことにした。
ロシアの民は、あごひげを剃るか、税金を支払うかの二者択一を迫ら
れた。納税者はその証としてあごひげに銅の札をぶら下げる決まりだ
った。この札には「あごひげは余分なお荷物」と刻まれていた。こう
いう税はしばしば人びとの行ないを変えるが、その変化は意図したと
おりのものとはかぎらない。たばこに課税されるとなれば、たばこを
やめる者もいれば、たばこを密売する者もいるだろう。燃村税ができ
れば、移動手段を変える者もいれば、移動そのものをしなくなる者も
いるだろう。労働に座視がかかるとなれば、もっと熱心に働くように
なる者も、海外に移り住む者も、働くのをやめる者も出てくるはずで
ある。あとのページで説明するように、税は子供を何人生むかの選択
にまで影響をおよぼす。こういう税はその根底に倫理的な問題をはら
んでいる。つまり、国家の役割とは何かという問題である。ある人び
とが理にかなった政策だと考える案について、別の人びとが、政府の
なすべき仕事を超えた、家父長制な過干渉だと考える場合もある。
今日、税はいやおうなしに取り立てられる。目につかない間接徴収、
源泉徴収、強制徴収もある,私かそういうと私の代理人は嫌な顔をす
る----強制なんてありません」と言い張るのです。武装援が無理やり
集めにくるわけではないという意味では、彼女のいうことも正しい。
私が強制というのは、納めなければ収監されるリスクがあるというこ
とだ。だが多くの場合、未納による収監のリスクを負うことを選択す
る自由すらない。というのも、税はすでに源泉徴収されているからだ。
コメディアンのクリス・ロックもこうぼやいている。「税金はこっち
が支払うわけじゃない、奴らに取られるんだ。小切手を受け取ったら
----もう取られている。支払うんじゃなくて、パクられるんだ」
古代ギリシャでは税の多くが自主的に納付されていた。その対極に位
置づけられるのがソヴィエト連邦時代のロシアや北朝鮮のような権威
主義あるいは全体主義社会で、事実上、こういう国の人びとは自分の
労働、生産物、利益の所有権を持たない。それらはすべて政府のもの
になる。今日の先進諸国はこれら二極の中間に位置している。インフ
レ(あとで説明するように、それ自体が一種の税である)を考慮に入
れないとして、あなたが平均的なアメリカ人ならば、稼ぎのおよそ3
8%が税金として取られることになる。イギリスならば45%、フラ
ンスならば、なんと57%である。これほど負担が大きくなったのは
近年のことだ。二十世紀に入るころ、税はわれわれの生活にたいした
役割を担っていなかった。政府支出(財源のほとんどは税金である)
はまだずっと少なかった。アメリカでは、政府支出の対GDP比は約
7%にすぎなかった。イギリスでは9%、フランスでは13%である。
近代、政府支出がもっとも少なかったのは1870年のスウェーデンで、
対GDP比わずか5・7%たった。税率がこれほど低かったのは第一
次世界大戦までのことだった。
【間宮陽介「市場社会の思想史」中央公論 】
1776年、アダム・スミスは『国富論』を著し、「見えざる手」による
市場社会の成立を理論化した。歴史学派・社会主義者はこの自由主義
に異議を申し立てたが、経済学の科学化は「パレート最適」を生み、
自由主義経済理論は完成したかにみえた。しかし大戦と恐慌は各国産
業を弱体化し、自由放任を補完する形での政府介入を説くケインズ理
論が世界を席捲するものの、その反動が70年代現れる。「自由」への
対応を通して経済思想史を展望。
□ 松岡正剛の千夜千冊②
アダム・スミスの登場は、「理性」よりも個人の「感情」や社会にひ
そむ「偶発性」を重視した思想の登場でもあった。それは18世紀の
理性主義からの早々の脱却であり、同時に19世紀以降の資本主義市
場の本質を予告したものだった。そうではあるのだが、そこにはまだ
まだ議論の対象になっていない問題がいくらも潜在していた。たとえ
ば、『国富論』から約半世紀後に出版されたデヴィッド・リカードの
『経済学および課税の原理』(1817)は、社会が市場によって形成さ
れるのだとしても、その生産物がどこにどのように分配されるかが未
解決だと考えた。生産物は地主・労働者・資本家に分かれ、地代・賃
金・利潤に分かれるだろうというのだ。リカードは経済の同一パイを
競いあうのでは、利潤と賃金は一方が増加すれば他方は低下する関係
になると見て、そこに階級対立が生じるだろうと予想したのだった。
理想的分配なんておこらないのではないか。リカードがこんなふうに
考えたのには、産業革命がいよいよ進行するなか、1801年にはイ
ギリス最初の工場法が施行され、1811年に織物工場の職人が機械
を壊したのがきっかけにラッダイト運動が広まっていた時期にあたっ
ていた。➲「市場の繁栄と社会の充実は重なるまい」との思い。
そして、マルクスとエンゲルスから、人間の意識というものは、社会
の生産経済活動によって歪められるもので、そこから生み出される価
値も大半が剰余価値として資本家に蓄積され、すべての労働は疎外さ
れて商品になるばかりだという、世に名高い唯物史観の構図が提供さ
れる。☈
途方もない予言や運命計算、造語や分類の奇癖、宇宙論や博物誌的な
逸脱、奔放きわまる性愛論。文明に未開なるものを対置し、未開のた
だなかに未来を、その終末まで透視する。現実の極限をめざし、極限
における伝播をのぞむ狂気のユートピア。
フーリエ,シャルル 著/巌谷国士 翻訳
現代思潮新社(2002/03発売)
フランソワ・マリー・シャルル・フーリエ(Francois Marie Charles
Fourier、1772.4.7 - 1837.10.10),フランスの哲学者、倫理学者、社
会思想家。空想的社会主義者。
--------------------------------------------------------------
☈ そして、スミスからの転換とリカードからの転位をはかったのは、
空想的社会主義者やマルクスだけでなく、フリードリッヒ・リストの
国民経済学やグスタフ・シュモラーらの後期歴史学派も輩出させた。
リストらの経済思想は、ドイツ・ロマン主義と国民国家主義が接合し
た産物である。政治思想としてはフリードリッヒ・マイネッケの歴史
学派が、歴史の総体をまるごと精神史的に掴むことを試みて、コスモ
ポリタニズム(世界市民主義)に対する国民国家主義を対置させたと
考える。
この項つづく
風蕭々と碧い時代
● 今夜の寸評:沸騰する欲望と対峙する知恵
さて、今夜もいそがしく、日曜劇場『日本沈没』(第6話)を観なが
らこの日誌を書いているというわけだが、シンギュラリティ(技術的
特異点:technological singularity)とはこういうことなのだとい
う思いに取り憑かれているほど、記事の租借に追われ、今夜も積み残
しに悩ませる。
芸術にあって、理論は大して重要でないという説があるが、これ
は讒誣も甚だしい。これは、理論が、ただ世界的に共通する価値
をもたないということでしかない。理論はいずれもただ一人のた
めの理論なのである。一人の道具なのである。彼のために、彼に
あわせて、彼によって作られた道具なのであ る。
ポール・ヴァレリイは『文学論』
(堀口大学訳)
この名言を提出し吉本は----政治的に自由でなくとも、また現実的に
苦しめられていても、文学の表現の内部では自由だということがあり
うること。そして、この表現内部での自由は、恣意的でありうる社会
のなかでの〈仮象〉であること。それゆえ、社会の外で、いいかえれ
ば文学表現の内部では、どのような政治的な価値も、現実的な効力も
かんがえられないこと。そして一般に、わたしたちは、二つ以上の至
上なものをじぶんの意識のなかで同時にもつことはできないこと、な
どだ。だから、ヴァレリイの言葉は、この場合、一般的に真理である
ような二つ以上の対象の意識を、人間は同時にもつことはできないと
いいなおせば通用するはずだ----と。もんだいは文学が言語の芸術だ
という前提から、現在提出されているもんだいを再提出し、論じられ
ている課題を具体的に語り、さてどんなおつりがあがるかという点に
この本のモチーフがあると語り、本論に入っていく。いつか十分な時
間を懸け熟読したと思っていた。今夜からその誓いを実現させて行き
たい。
Jules Valéry
アンブロワズ・ポール・トゥサン・ジュール・ヴァレリー(仏: Amb-
roise Paul Toussaint Jules Valery, 1871.10.30-1945.7.20)は、
フランスの詩人、小説家、評論家。多岐にわたる旺盛な著作活動によ
ってフランス第三共和政を代表する知性と称される。
【訃報】
今年5月20日、彦根市民の飲み水を守る会の谷口三平氏が永眠され
ました。享年九十。11月13日、佐々木浩氏の電話により知らされ、
20日(土)9時30分過ぎ、ご自宅へ彼女と二人で弔問。18年前
(2003年)に検査で腎臓機能低下と診断され、十年ごろ前から透析医
療を受けられていたが、透析医療を拒絶し、20日に眠るように尾末
町のご自宅で他界されたとの美智子奥様お話でした。何事も前向きな
明るく振る舞われ、巨星落つもなお暖かい追憶に包まれています。
合掌