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資本主義と自由②

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」




    若水や人のこゑする垣の闇     室生犀星 




〇今週の注目ポイント
・今週の4cm以上の週間高さ変動は11点。特に新潟県に4点と山形県に
 3点集中。 
・前週と比べて急激に1.0cm以上隆起した点は7点ありました。1.0cm
 以上沈降した点は33点。 文中と地図には1.5cm以上の10点を記しす。 
・今週の水平変動は、全国的に南東方向または東方向にやや活発に現
 れています。特に東北地方、北信越地方、南西諸島の変動が大きく
 現れている。 

新たなピンポイント予測を2件発出、合計3件のピンポイント予測を
だす。ユーザーの方から、ピンポイント予測についてのご質問もいた
だいているので、 本特集にて解説している。

【ピンポイント予測とは】 
「想定場所でマグニチュード6クラス以上の地震が1週間~1か月以内
に起こる」ことを予測するもの。

 




【ポストエネルギー革命序論 377: アフターコロナ時代 187】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
環境リスク本位制時代を切り開く  





The solar modules have a 221 cm2 active area.
Image: Tor Vergata University of Rome
✺ 温室用途向けの半透明ソーラーモジュール
▶2021.11.26  pv magazine International
イタリアのローマ大学トルヴェルガタ校の研究グループは、温室用に
色素増感太陽電池(DSSC)の有機太陽電池パネルを開発。パネルを使
用して、高度なアクアポニックス温室のエネルギー生産と、作物成長
のための光のフィルタリングへの影響との間のトレードオフを調査。

2メートルカバー2×40個のモジュールと温室面積で、ソーラーパ
ネル変換効率は3.88%、透明度は35%。そのアクティブエリアは221
cm2、モジュールの開口エリアは312.9cm2。モジュールが60~85℃の範
囲の温度で、光に浸された状態で1,000時間応力が加えられたときに、
かなりの安定性維持。直列接続の太陽電池単一セルの幅は、幾何学的
領域の効率の損失と透明なFTO電極抵抗率との最適化。


The panel was built with dye-sensitized solar cells (DSSCs).
Image: Tor Vergata University of Rome

光電極と対極はガラス製、銀ペースト接点はスクリーン印刷。温室で
テストしたとき、パネルは最初に平均効率2.5%、平均電圧8.9 V、平
均電流152mAを示した。その公称電力は2~3 W。数日後、電力変換効
率は約30%向上。通常、DSSCテクノロジーでは、デバイスの製造から
数日後に最高の効率が得られるソーラーモジュールは温室の温度と湿
度センサに電力供給する。DSSCからのフィルタ処理された光の下での
植物成長結果で、自然光とDSCフィルター処理光との比較で、レタス
の成長に違いが認められなかった。;
オーストラリアを拠点とするメーカGreatCell社製の二酸化チタン
(TiO2)ペーストを光電極を塗布。ワイドバンドギャップ半導体とし
て機能するTiO2の結果として得られた層は、半透明アプリケーション
用のTiO2層に従い、厚さが5μmで粒子サイズが約20 nm。モジュール
は工業用ラミネーターを使用した加熱真空ラミネーションプロセスに
より、2つのセル・ストリングをラミネーションする。2枚の厚さ4
mmの強化ガラスを外部基板として使用し、2枚の厚さ450mの低温架橋
EVAシートを封止材から構成。


❏温室用途向けの安定した半透明色素増感太陽電池モジュールおよび
パネル: Stable Semi-Transparent Dye-Sensitized Solar Modules
and Panels for Greenhouse Application, Energies, Volume 14,
Issue 19, 10.3390/en14196393
【概要】
世界は環境危機に直面しており、科学者は再生可能エネルギー源の使
用と低汚染技術の観点からグリーンでスマートなソリューションを研
究する。このフレームワークでは、太陽光発電(PV)技術は最も興味
深いものの1つ。色素増感太陽電池(DSSC)は、低コストで製造が容
易で、拡散光への応答性が高く、色の調整が容易であるという有望な
機能で知られる革新的なPVデバイス。これらすべての機能により、DSSC
テクノロジーは、光のフィルタリングとエネルギー需要のサポートと
いう2つの役割を考慮して、いわゆるアグロボルタイックフィールドに
適用するのに適している。このプロジェクトでは、温室でテストする
ために、デバイスの高い変換効率、透明性、および堅牢性を組み合わ
せることを目的として、40個のDSSCZシリーズ接続モジュールを使用。
モジュールのアパーチャ(312.9 cm2)領域の透明度が35%の場合、
221 cm2のアクティブ領域で3.9%の最大変換効率が達成された。さら
に、異なるモジュールは、60℃と85℃の2つの異なる温度条件で、最
大電力点での光浸漬下で応力が加えられ、1000時間の強力で堅牢な安
定性を示した。温室の屋根からの光をフィルターするために、製造さ
れたモジュールを組み立てて10枚のパネルを形成しました。晴れと曇
りの両方の条件で屋外と温室環境でパネル測定を実行し、効率の振る
舞いの明確な傾向を見つけた。晴天の晴天条件では、屋外条件での最
大パネル効率3.83%が得られた。
✔ 色素増感シングル太陽電池あるいはペロブスカイト太陽電池で「
コリーナ・ソーラー・オルト」(日本では「ソーラーシュアリング・
ガーデニング」と呼ばれる)事業は前商用段階にきており、プラス・
サプライチェーン(マーケティング)開発段階にある。


 

  

 

 「人相が悪い」オミクロン株はどれだけ脅威なのか 長期戦の混沌 
▶2012.12.2 東洋経済オンライン
11月24日、南アフリカから新型コロナウイルスの新たな変異株がWHO(
世界保健機関)に報告された。WHOは26日、この変異株を「オミクロン」
と名付ける。オミクロン株は、南アフリカの主要都市、ヨハネスブル
クやプレトリアなどがあるハウテン州で相次いで見つかった。この州
で最近採取された77個の検体を調べたところ、そのすべてがオミクロ
ン株。新型コロナの変異は、日本に第5波をもたらしたデルタ株のほ
か、ミュー株やラムダ株など見つかる。だが、その多くは地域的な小
流行はあったものの、世界的なパンデミックには至っていない。それ
に対し、今回のオミクロン株は、南アフリカで77例、ボツワナで4例、
香港で2例、イスラエルで1例、ベルギーで1例など、世界各国で次々と
確認されている。日本でも11月30日に国内1例目が、翌日には2例目が
確認された。そこで、『新型コロナ7つの謎』などの著者で免疫学者
の宮坂昌之さん(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教
授)に、オミクロン株についていま(12月2日現在)“わかっているこ
と・わかっていないこと”や問題点について、話を聞く。



宮坂 昌之(みやさか まさゆき、1947年〈昭和22年〉9月18日 - )は、
日本の医学者。大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授。
専門は免疫学、実験病理学。東京医科歯科大学名誉教授である宮坂信
之は双子の弟に当たる。
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1.オミクロン株は「変異が多い」
コロナウイルスの表面についている突起状のスパイクタンパク質は、
感染に必要な部分ですが、オミクロン株ではスパイクタンパク質の上
に30カ所の変異が見つかっている。しかも30カ所ある変異のうちの20
カ所は、ウイルスがヒトの細胞に直接くっつく部分であるRBD(レセプ
ター結合ドメイン)領域に集中して存在している。これまでのコロナ
よりもヒトの細胞にくっつきやすくなった可能性がある。もちろん、
その逆も考えられるが、その確率は五分五分。問題は、今回、オミク
ロン株で生じたRBD領域の変異のうちの4カ所が、“細胞に侵入しや
すくする変異”である可能性がある。

2.デルタ株が置き換わった
報道のなかには、デルタ株がオミクロン株に置き換わったという内容
を報じているところもあるが、これは間違っている可能性が高い。南
アフリカではデルタ株のピークが減って、その次にオミクロン株が増
えてきたため、そういうふうに見えるが、デルタ株とオミクロン株で
は、変異の仕方がかなり違っている。デルタ株との関連は低く、別の
コロナから変異したと考えたほうがよい。最近では、ウイルスの系統
を調べる研究も進んでいる。近いうちに、どこ由来のウイルスなのか
もわかる。気になる感染力や病原性(悪性度)についても、まだわか
っていない。わかっているのは、感染が確認された人のなかに無症状
の人がいることと、症状があっても軽いことである。つまり、ウイル
スが細胞内で増えれば、それだけ重症化の危険も高まる。現段階では、
重症化している感染者が見られない、侵入しやすいが、細胞内ではあ
まり増えないウイルスなのかもしれない。世界各地でオミクロン株に
感染した人が相次いで見つかっているが、おそらく南アフリカを起点
にして、人が各地へウイルスを運んで広げていった可能性が高い。オ
ミクロン株のこれほど大きな変異が世界中で、同時多発的に起こるこ
とは考えにくい。おそらく1カ所で発生し、それが広がりつつある。
もうひとつ気になるのが、コロナワクチンや抗体カクテル療法などの
治療薬が、オミクロン株に効くかという点。ワクチンについては、数
日前に南アフリカのハウテン州の医療機関が、オミクロン株の感染者
を調べた結果を公表。それによると、感染者の65%はワクチン未接種
者で、残りは1回接種者だった。2回の接種歴がある人では感染がな
かったが、国立感染症研究センターの情報によると、カナダや香港で
報告された感染者は、2回の接種歴があった。日本の2例目の感染者
も、ファイザー製のワクチンを9月と10月に接種している。

3.それでもかなり高い有効性
ワクチンは従来株を基に作られている。デルタ株では若干、効果が落
ちる可能性が危惧されていたが、それでもかなり高い有効性を示した
これまでの報告をみると、mRNAワクチンは変異株に対しても高い感染
予防効果、発症予防効果、重症化予防効果を見せている。これはワク
チンによって体内で作られる中和抗体だけでなく、NK細胞やT細胞な
ども十分に活性化されている。オミクロン株のスパイクタンパク質に
は多くの変異が見つかっているが、スパイクタンパク質自体は約1200
個のアミノ酸が並んでできている。そのうちの100カ所ぐらいに免疫
の目印があります。したがって、20~30個にアミノ酸の変異があって
も、残りの目印が残っていれば免疫は十分に認識してくれ、従来のワ
クチンでもしっかり効くと考えられる。これはオミクロン株だけでな
く、今後出てくるかもしれない未知の変異株に対しても同じ。新型コ
ロナに特化した治療法といえば、抗体カクテル療法だ。新型コロナに
有効な抗体を混ぜた点滴治療薬で、現在、日本国内で承認されている
のは、中外製薬・ロシュが販売するロナプリーブだ。アメリカのリジ
ェネロン社が作っている。実は今、このロナプリーブがオミクロン株
では効かない可能性が指摘されている。これは、ロナプリーブで用い
ている抗体が結合する領域に、オミクロン株の変異が起こっている。
抗体薬はウイルスのスパイクタンパクにくっつくことで、細胞に感染
するのを防ぐが、抗体がくっつくはずのスパイクタンパクが変異して
しまえば、抗体はウイルスにくっつくことができず、感染を防ぐこと
ができなくなる。一方で、グラクソ・スミスクラインがVir Biotechn-
ologyと共同で開発し、9月27日厚生労働省の製造販売承認を取得した
ソトロビマブに関しては、オミクロン株で見られる変異以外のところに
結合するので、効果はおそらくあるだろう。

4.正しく恐れることが必要
まず、オミクロン株がわれわれにとってどれくらい驚異か、冷静に見
極めることです。実際、脅威かどうかは国によっても違い、少なくと
も、日本においてはワクチン接種が進み、また抗体薬も使える状況に
ある。何より、国民の多くが今もなお感染対策をしっかり行っている。
そこは規制を緩めて感染者を増やしている他の国と大きく違う。その
うえで、第5波を超えるほどの感染拡大は考えにくい。 政府は「水際
対策強化に係る新たな措置」として、11月30日から全世界からの外国
人の新規入国を止めた。こうした対策について、オミクロン株がどう
いうものか現時点ではわからない。時間を稼ぐ必要がある。そういう
意味では、今回、政府が実施した水際対策は望ましい。「リスクマネ
ジメントの観点からすると、最悪な状態を考えなければならないが、
不必要に怖がる必要はないと感じている。実際、新たに出てきている
エビデンスを見ても、まだものすごく心配というところまではいって
いない。何より、われわれができることは、今までの感染対策を引き
続き守っていくことが大事だとうことであると指摘する。

✔ 素人にはわからないことばかりだが、唯一いえることは、汚染状
態のリアルタイム測定結果表示 ➲PCR(ポリメラーゼ連鎖反応;pol-
ymerase chain reaction)をワン・ワールドで即時公開されることで
ある。例えば、サンプリング時間+測定時間➲結果公表まで、1時
間~1分以内で結果表示できるシステムの構築である。次にワクチン、
治療の開発➲治験結果評価➲薬剤投与・接種時間短縮となる。い
ずれにしても短時間でワン・ワールドで感染抑止・根絶を実現➲無
を承知なのだが、変異株の発生抑止する必要がある。

【ウイルス解体新書 90】


序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学第
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
終 章 ウイルス感染症と戦略『後手の先』




『資本主義と自由』
フリードマン,ミルトン【著】Fridman Milton
村井 章子【訳】
日経BPクラシックス 2008 04発売
【目次】
経済的自由と政治的自由
自由社会における政府の役割
国内の金融政策
国際金融政策と貿易
財政政策
教育における政府の役割
資本主義と自由
独占と社会的責任
職業免許制度
所得の分配
社会福祉政策
貧困対策
結論



『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』
スティグリッツ,ジョセフ・E【著】〈Sitiglitz,Joseph E〉

【目次】
序 章 最も不透明な機関IMFとアメリカ財務省の偽善
第1章 国際機関が約束したグローバリズムの恩恵
第2章 破られた約束
第3章 民営化・自由化の罠
第4章 東アジアの危機―大国の利益のための「構造改革」
第5章 誰がロシアを見捨てたのか?
第6章 アメリカを守る不公正な「公正」取引法
第7章 「中国の成功」と「ロシアの失敗」
第8章 収奪者たちの論理
第9章 世界を幸せにするグローバリズムの道



 松岡正剛の千夜千冊 ⑨ 1338夜, 2009.12.29

松岡は問う、フリードマンが"政府介入撤廃リスト"をタイプライター
で打ったのは、本書を書いた1962年のことだった。47、8年前
のこと、ケネディがキューバ危機に立ち往生していた時期。というこ
とは、ソ連の社会主義的な計画経済がまだ世界に幻想をふりまいてい
て、アメリカが必死に「大きな政府」として世界と自国のプレステー
ジを上げようとしていた時期である。このように早期に本書を書き、
その後もほとんどその主張を変えず、時代のほうがだんだんフリード
マンに追いついて、世界の資本主義がフリードマンふうに染め替わっ
ていったことに驚く。フリードマンが「自由の英雄」(ジョージ・ブ
ッシュ)になったか、「国家元首を含めて過去50年間で最も影響を
与えた男」(ジョージ・シュルツ)になりえたか、「悪魔の挽き臼を
ついに動かした男」(ノーム・チョムスキー)になったかはともかく、
なぜフリードマンが早期に「小さな政府」と新自由主義の青写真を構
想できたのか、と。

彼の両親はオーストリア=ハンガリー帝国下のザカルパチア地方の出
身、正真正銘のアシュケナージ。フリードマンのどこかに "世界離散
民の苦汁"があった。19世紀末から20世紀初頭にかけて、多くのユ
ダヤ人がアメリカに希望を求めて移住したように、フリードマンの両
親もブダペストを捨てブルックリンめがけて、夢を追って大西洋を渡
ってきた。当時のブルックリンの一部はユダヤ人地区だった。父親は
仲買人をして、母親は縫製工場の女工になった。唯一の伝記のラニー・
エーベンシュタインの『ミルトン・フリードマン』(日経BP社)に
よると、フリードマン少年は鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの建て
た地域の図書館で本を読みあさり、ボーイスカウトに入り、放課後は
ヘブライ語を学んで、来たるべきバルミツバー(ユダヤ教の成人式)
に備え、16歳の1928年、ニュージャージー州のラトガーズ大学
入学し、ホーマー・ジョーンズから保険論と統計論、アーサー・バー
ンズに景気循環論、ジョン・スチュアート・ミルの『自由論』、ハイ
エクの「知識の自由」を学ぶ。

 文明社会で個人に対して力を行使するのが正当だといえるのは
 ただひとつ、他人に危害が及ぶのを防ぐことを目的とする場合だ
 けである
                ハイエク『強制からの自由』

松岡は、新自由主義者は、ミルの『自由論』、ハイエクの『隷属への
道』、フリードマンの本書『資本主義の自由』を、リバタリアニズム
の三名著と呼んでいたという。さておき、大学2年目に世界大恐慌が
おこり、フリードマンは大恐慌で覆われ。ニューディール政策の成功
と失敗をリアルタイムで見ていたことは、「市場の失敗」よりもずっ
と「政府の失敗」のほうが罪深いということを、青年フリードマンに
焼き付けたが、フリードマンの若い観念がどのように独自の経済思想
が、思想的暗示性に富んでいるのはここまででという。このあとのシ
カゴ大学に入学しノーベル賞を受賞するが、経済学者の頑固な気質と、
戦後アメリカの経済がしだいにケインズ主義から外れ、そのぶんフリ
ードマンの主張が浸透しいく幸運以上のものはなく、経歴から、何か
ソロス的なものを探し出すのも難しい。こうして、ハイエクはシカゴ
大学にいた1960年に『自由の条件』を書き、それを原稿の段階で
読んでいたフリードマンが1962年に本書『資本主義と自由』を書
く。そして、50年代と60年代がアメリカでのケインズ全盛時代だ
ったこともあり、ケインズの貨幣論をつぶさに点検し、マネーサプラ
イと物価の関係にこそ秘密があることを知り、貨幣数量説を新たに組
み立てなおすことを思いつくと、「インフレはいついかなるときも貨
幣的な現象」と確信し、1962年の『資本主義と自由』と1963
年の『合衆国の貨幣史』を上梓し、ケインズが「資本主義の欠陥が大
恐慌を生んだ」と見たのに対して、フリードマンは「資本主義が繁栄
できる環境と条件がそろっていないせいか、まちがった政策によって
歩みそこねたせいだ」と見立て、物価安定のためには、マネーサプラ
イを年間一定の割合でふやしていくという“”を発案、政府が裁量し、
マネーサプライを操作することのほうに問題があるとした。ここから
先は一瀉千里、「政府が介入すべきではない政策リスト」を仕上げる。


そこで。当然のこととして政府が経済の民主主義を掲げて、生産的な
企業を政府の管理下におくことは、府そのものが一つの大きな企業支
配者のふるまいを演ずることになり、かえって多数のライバルとの関
係をおかしくすると見通した。フリードマンはしだいに政治と経済を
両睨するようになり、変動為替相場制の提案、徴兵制の廃止、政府の
均衡予算の義務化、歳出抑制のための財政赤字の容認、教育へのバウ
チャー制度の導入といった、サミュエルソンらが目をむくような提言
を行っていきフリードマンは政策を左右する地位を築くが、1973
年にチリでピノチェト将軍が軍事クーデターをおこし、アジェンデが
殺されたのち、サンチャゴの権力中枢に“シカゴ・ボーイズ”たちを
フリードマンが送り込んだことが白日に晒され、米国の世論が二分す
る。その後のフリードマンは、教育バウチャー制度の導入、麻薬の合
法化、福祉の削減、アファーマティブ・アクションの廃止といった政
策を執拗に提言するも、ロジカルではなかった。そうこうしているう
ちに"鬼"があらわれた松岡は表現する。

ワシントン・コンセンサスとは、80年代半ばから90年代に、IMF
(国際通貨基金)、世界銀行、ウォール街、国際的金融機関、欧米の
グローバル企業などが手を組んだ非公式の協定のことをいう。命名は、
シンクタンクIIE(国際経済研究所)のジョン・ウィリアムソンに
よる。IMFと世銀がワシントンにあったこと、そこにアメリカ政府
の意図が噛んでいたことにもとづく。1989年の「中南米の経済開
発についての研究会議」のコンセンサスを拡張して、組み上げた。南
米諸国の通貨危機を操作して得られた処方箋を、グローバルに広げて
さまざまな発展途上国や各国地域に適用しようというものだ。次の1
0項目が検討された。

①財政規律、②公共支出の優先順、③税制改革、④利子率(金融自由
化)、⑤為替相場、⑥貿易政策(貿易自由化)、⑦外国直接投資(資
本自由化)、⑧民営化、⑨規制緩和、⑩所有権(財産権)。貿易の自
由化、金融の自由化、資本の自由化を迫りつつ、該当国内では規制緩
和や民営化を巧みに促進させようというのだから、これはあきらかに
フリードマンが本書で提案した多くの事項と対応していた。もしもこ
れを新自由主義のシナリオというなら、まさにワシントン・コンセン
サスこそはそのシナリオにあたる。サッチャリズムもレーガノミクス
も、この10項目のシナリオに着手したともいえる。が、これがフリ
ードマンのシナリオなのかといえば、正確にはそうとはいえない。

その後、ジョセフ・スティグリッツが世銀の上級副総裁就任時、ワシ
ントン・コンセンサスにおけるIMFの役割を批判するが、フリード
マンは犯人扱いされなかった。スティグリッツの『世界を不幸にした
グローバリズムの正体』(徳間書店)は明確にしているが、フリード
マン・リストが応用されたが、フリードマン思想をちょっとでも動か
そうとしたとたん、そこに「悪魔の挽き臼」の回転が始まりかねず、
その市場原理に忠実になろうとすればするほど、資本主義はグローバ
リズムと新自由主義をごった煮にするしかなくなって、そこからは「
たまたま」の怪物も出てきてしまうのだ。「政府の失敗」と「市場の
失敗」が顔を覗かせるという仕掛けがあるという。そここそが最大の
関心事なのだ。

(1)レッセフェールの登場とアダム・スミスの市場の思潮
(2)福祉国家の登場とフェビアン協会の思潮
(3)自由市場の復活とハイエクの「知識の自由」の思潮
  これらを継ぐのが、
(4)マネタリズムの重視とフリードマンの民営化の思潮☈


ソロス,ジョージ【著】  大原 進【訳】
日経BPM(日本経済新聞出版本部)(1999/01発売)
サイズ B6判/ページ数 358p/高さ 20cm
商品コード 9784532147198
NDC分類 333.6

【概説】自由放任主義に基づく資本主義は、今なぜ危機に陥っている
のか――。「市場の申し子」ジョージ・ソロスが世界に向けて発する
警告の書。独自の論理で世界経済を牽引するビジョンを展開する、本
書は現在の危機と経済理論全般を鋭く分析し、理論上の仮説が人間の
行動とあいまって、いかにして今日の混乱に道を開いたかを明らかに
する。また、市場の力に絶対的な信頼を寄せる結果がいくつかの重大
な不安定要因からわれわれの目をそらさせてしまった経過と、そうし
た不安定要因が連鎖反応によって現在の危機―さらにもっと悪化する
可能性もある危機―を引き起こした事情を解明する。

【目次】
第1部 概念的な枠組み(誤謬性と相互作用性;経済学批判;金融
市場における相互作用性;歴史における相互作用性;開かれた社会)
第2部 歴史の現時点(グローバル資本主義システム;グローバル金
融危機;崩壊を防ぐために;グローバルな開かれた社会へ向けて;国
際的潮流;開かれた社会の課題)
--------------------------------------------------------------
☈ ハイエクとフリードマンのまじったシカゴ学派が播いた種は、そ
の自由思想の純度とはうらはらに、エンロン崩壊もリーマン・ショッ
クもものともせず、いまなおマッドマネーと金融工学を操る市場主義
者の手のなかで、“鬼ッ子”のごとくになったままである。さてどう
する。



【概説】
貨幣、帳簿、市場……資本主義の基幹エンジンたる仕組みの歴史を紐
解く。そしてケインズ、ハイエク、フリードマンの思想へ。ほころび
始めたグローバル資本主義の未来を見据えながら、その本質に迫る。
【目次】
第1章 マネーの力(ハンス・クリストフ・ビンスヴァンガー『金と
魔術』一三七四夜;ニーアル・ファーガソン『マネーの進化史』一三
六七夜 ほか)
第2章 資本主義の歯車(ジェイコブ・ソール『帳簿の世界史』一六
七六夜;ブライアン・リアマウント『オークションの社会史』七二九
夜 ほか)
第3章 君臨する経済学(間宮陽介『市場社会の思想史』一三三六夜;
ジョン・メイナード・ケインズ『貨幣論』一三七二夜 ほか)
第4章 グローバル資本主義の蛇行(マンフレッド・スティーガー『
グローバリゼーション』一三五八夜;スーザン・ストレンジ『マッド
・マネー』一三五二夜 ほか)

松岡正剛:編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。情報文化と情
報技術をつなぐ方法論を体系化し「編集工学」を確立、企画・編集・
クリエイティブに応用する。日本文化研究の第一人者として「日本と
いう方法」を提唱、文化創発の場として私塾やサロンを主宰してきた。
膨大な書物と交際し、読書の可能性を追究した経験を軸に、書店や図
書館を編集するプロジェクトを手掛ける。
 
【参考情報】(1)ミルトン・フリードマンの邦訳著書は次の通り。
本書、『貨幣の安定をめざして』(ダイヤモンド社)、『インフレー
ションと失業』(マグロウヒル好学社)、『政府からの自由』(中央
公論社)、『実証的経済学の方法と展開』(富士書房)、『消費の経
済理論』(巌松堂出版)、『貨幣の悪戯』(三田出版会)、ローズと
の共著『選択の自由』(日経ビジネス人文庫)、『奇跡の選択』(三
笠書房)、ローズの著書『ミルトン・フリードマン:わが友わが夫』
(東洋経済新報社)。

風蕭々と碧い時代
曲名: 惜春会 (2010年)  唄: 堀内孝雄
作詞: 小椋 佳   作曲: 堀内孝雄



兎にも角にも 健やかで
また逢えたこと 悦ぼう
年に一度の 惜春会
特に話題は 無かろうと

友の訃報が また一つ
風に飛ぶ花 散る桜
残る桜も 散る桜
ふと良寛を 浮かべたり

かつてそれぞれ ライバルと
やや意識して 競い合い
今や和みの 惜春会
その場に「ちゃん」づけの 名が似合う

老い衰えに もうと言い
残る命に まだと言い
互いの過去を 種にして
或いは茶化し また讃え

幸い明日(あす)も ありそうな
また一年(ひととせ)よ 無事であれ
花を見送る 惜春会
友にさらなる 実りあれ

蝸牛(かたつむり) 登らば登れ 富士の山
悠々と 祭り創りの 日々であれ 日々であれ

蝸牛(かたつむり) 登らば登れ 富士の山

堀内 孝雄(1949年10月27日 - )は、日本の歌手、作曲家、俳優、タ
レント。アリスのメンバー。愛称は「ベーヤン」。大阪府大阪市阿倍
野区出身。血液型はO型。既婚。大衆食堂を営む家の3人兄弟の末っ子。
1971年12月25日に谷村新司と堀内孝雄が大阪市南区南炭屋町(現:中
央区西心斎橋二丁目)にあるビジネスホテル・大阪帝国ホテルの一室
にて、矢沢透が合流することを前提に「アリス」を結成。翌1972年3月
5日、シングル「走っておいで恋人よ」でデビュー。同年5月5日に矢
沢が正式に合流し、晴れて現在のアリスとなる。アリスのシングル表
題曲では「遠くで汽笛を聞きながら」「冬の稲妻」「ジョニーの子守
唄」「夢去りし街角」「秋止符」などの作曲を手掛けた。 その傍ら
でソロ歌手としても活動。「君のひとみは10000ボルト」や、滝とも
はるとのデュエット曲「南回帰線」(売上40万枚)などを大ヒットさ
せている。アリス活動停止後は、1984年にシグナルと「堀内孝雄&ケ
インズ」を結成し「逆光線」などをリリース。ソロ歌手としては「ニ
ューアダルトミュージック」と称する演歌・歌謡曲路線に転向し(作
曲は引き続き堀内が手掛ける)、「愛しき日々」「恋唄綴り」「影法
師」など数々のヒット曲を出した。歌手活動のほかにも作曲家として
楽曲の提供(山口百恵「愛染橋」、五木ひろし「山河」など)や、俳
優・タレントとしても活躍している。 

● 今夜の寸評:沸騰する欲望と対峙する知恵



 


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