彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん
【滋賀グルメ探訪:二つのマス親子丼】
朝暫くしてから、牛蒡巻き寿司が欲しいというので、道の駅「アグリの
郷栗東」でかけ買い物。途中、 大津市堅田の「びわ湖大橋米プラザの
食堂」で「ニジマス親子丼定食」(\1,700/上左写真)でランチを頂き、
「でそれにしても道は再開発で広くなりゆったりと運転でき「食・住・
職・遊・交」がバランスよく展開でき快適な環境といえば"オウミ"は、
トップ・スリーに入るんじゃないかなどと話しながら正午に帰宅。
ところで、同じ親子丼生色でもニジマスとビワマスでは異なるジャン!
と気付いたのは券売機にたった時とミスを悔やむも。結局、おいしく頂
き、また別の機会に再チャレンジ(断念)。
ニジマス(虹鱒、学名:Oncorhynchus mykiss、英名:Rainbow trout)は、
サケ科に属する魚。成魚の体長は一般的に約40cm前後であるが、大型の
ものは60-120cmにまで成長することもある。小型のニジマスは一生を淡
水で過ごす陸封型(河川残留型)、大型のニジマスは川から海へ下って
再び川へ戻ってくる降海型で、大きさだけでなく見た目も全く違う。陸
封型をレインボートラウト、降海型をスチールヘッドと別々の名前で呼
ぶのは、かつては別の魚だと考えられていた名残である。川にいる一部
の固体が海へ下るために海洋に適応した形に変態することをスモルト(
銀化)と言って、サケ科の魚に特有の現象(上左図像)。
ビワマス(琵琶鱒、学名:Oncorhynchus masou rhodurus、英: Biwa trout)
は、サケ目サケ科に属する淡水魚。日本の琵琶湖にのみ生息する固有亜
種。産卵期には大雨の日に群れをなして河川を遡上することから、アメ
ノウオ(雨の魚、鯇、鰀、江鮭)ともよばれ、体側の朱点(パーマーク)
は、体長20cm程度で消失し成魚にはない。成魚の全長は40- 50cmほどだ
が、大きいものでは全長70cmを超えることもある。サクラマスと同じく
ヤマメの亜種であり、DNAの特徴も外観もサクラマスに近いが、サクラ
マスよりも眼が大きいことと、側線上横列鱗数が21-27でやや少ない事
で見分けられる。琵琶湖固有亜種だが、現在では栃木県中禅寺湖、神奈
川県芦ノ湖、長野県木崎湖などに移殖されている。また、人工孵化も行
われている(上右写真)。
2023.04.27
村上春樹が新刊をだす(ハードカバー)。時間をかけ読み切ることにし
た。それにしてもひさしぶりであるが、新鮮な感動が生まれるかページ
を捲る。ますは触りから。
十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。
彼の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。何か大事な、
言葉にはできないことを――高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、
そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。
村上春樹が長く封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。
小説にはふたつの世界が存在する。ひとつは私たちになじみ深い現
実世界だ。生活があり、人間関係がある。そこで生きる十七歳のぼ
くにもうひとつの世界の存在を教えてくれるのは、十六歳のガール
フレンドである。彼女は、この現実にいる自分はほんものではなく、
そのもうひとつの世界、「高い壁に囲まれた街」に暮らしているの
がほんものの自分だと言う。そしてあるとき、彼女は忽然と姿を消
す。四十五歳になった「ぼく」は穴に落ち、気づくとそのもうひと
つの世界にいる。そこでは人は影を持たない。時間が存在せず、音
楽も映画もなく、図書館には本ではなく古い夢が並んでいて、冬に
なると街の内外を行き来する単角獣たちは死んでいく。人は夢を見
ないし涙を流さない。そして死なない。
かつてのガールフレンドは、だから十六歳のまま、その世界で暮ら
している。その世界で生きる決意をしたのに、語り手はなぜか現実
世界に戻ってしまう。第二部には、現実世界に生きる意味を見いだ
せない(見いだせなかった)人たちが登場する。決意と裏腹に現実
に帰された「私」もそうだし、「私」がしたしくなるもと図書館長
もそうだった。現実世界のルールから外れている少年も登場する。
彼らは現実世界でない場所を求めている。
と、作家、角田光代は誘う(「波」 2023五月号)
その地では聖なる川アルフが
人知れぬ幾多の洞窟を抜け
地底暗黒の海へと注いでいった。
サミュエル・テイラー・コールリッジ
『クブラ・カーン』
Where Alph, the sacreed river, ran
Through caverns measurreless to man
Down to a sunless sea.
Samuel Taylor Coleridge "Kublq Khan"
とは、巻頭のの引用文。
ならば、どのように翻訳されているのか?
サミュエル・テイラー・コールリッジ『クーブラ・カーン』(“Kubla
Khan”) - 「十夜録」 春日線香(詩人+α?)より
クーブラ・カーン
あるいは夢の裡なる王土にて、断章
クーブラ・カーンは宣り給う
ザナドゥの地には歓楽の宮が建立されるべきであると。
聖なるアルフの流れが彼の地を潤し
人知の及ばぬ洞窟を抜け
地の底の海へと滾り落ちる。
斯くて十哩四方の肥沃な土地は
城壁と塔により劃されることとなった。
そこでは光に満ちた園を小川がくねり流れ
花は咲き乱れ、木々は甘く匂う。
周囲を太古の森と丘に取り囲まれ
王土はまことに輝ける有様である。
されど、ああ! 胸を戦慄かせるあの深い裂け目が
杉木立の丘を斜めに引き裂いて走っているではないか!
恐ろしい眺めだ! 神々しく、不思議と心惹かれるその光景は
下弦の月に狂わされて邪悪な恋を求める
女の悲嘆の叫びをどこか思わせる!
そしてこの裂け目からは止むことのない混乱が
あたかも大地が苦しみ喘いでいるかのごとく
力強い泉水の奔流となって刻一刻と湧き立つ。
その真っ只中で断続的に荒れ騒ぐのは
木っ端微塵に粉砕された巨岩の欠片、まるで跳ね散る霰のような
あるいは脱穀機の下で粉砕された籾殻のような礫石である。
石はさまでに激しい流れに巻かれて跳ね飛び
聖なる川は盛大に飛沫を散らせていた。
五哩ばかりもくねくねと迷走を続ける奔流は
森を洗い、谷間を乱し、やがてあの
人知の及ばぬ洞窟に流れ込んだと見るや
命なき地下の大海へと消えていった。
そしてクーブラ王はその奥処に聞くのだ
遠い祖先の声、戦いを告げる鬨の声を――
おお、歓楽の宮の影が
波の間に間に漂う。
地下よりの怨嗟の声は
宮殿の機構を通して妙なる楽の音に変わる。
これぞ人の世に二つとない楽器
氷の喉を備えたクーブラ・カーンの宮殿である。
かつて私は夢想の裡に
ダルシマーを奏でる乙女に出会った。
アビシニア出の娘は
楽器の音色に乗せて
アボーラの高峰を謡ってみせた。
もしも彼女の歌声を
もう一度呼び覚ますことができるなら
言語を絶した喜びに包まれるだろう
あの響きを長く留めることができるなら
私も宙に壮麗なる宮殿を築けるはずだ。
あの輝かしい宮を! 氷の喉を!
耳を傾けた誰もが見ることになろう
そして叫ぶのだ、用心せよ! 心を奪われるな!
彼の者の炯々たる眼に、青々とした蓬髪に!
彼の周囲を三重にも取り囲み
ただ畏怖をもって眼を閉じるがいい。
彼は甘露を味わい
楽園の乳を口にしたのだから。
と、ここまできても埒があかない。
これは〈超自然詩〉の新ジャンルを開拓した英国のロマン派詩人
であり、批評家、哲学者であるサミュエル・テイラー・コールリ
ッジと同じく英国のロマン派詩人のウィリアム・ワーズワースと
の共著『抒情民謡集』を刊行し、英国のロマン主義運動の先駆け
となる。これに属する詩に、《クブラ・カーン》(1798執筆,1816
刊)や《クリスタベル》(1797‐1801執筆,1816刊) がある。前者
は楽園の原型イメージをもつフビライの宮殿と庭を詩人が想像力
で描いた幻想詩であり,後者は純真無垢なクリスタベルが魔性の
女ジェラルディーンに誘惑される堕罪がテーマの未完の怪奇詩と
されている…
ここは、床尾辰男著『「クブラ・カーン」における〈自然》と〈人工〉」
の論文を推理小説を後から読むように安直に、本書を読み進めていくこ
ととする。
<人工>は荒々しい(自然>にとり囲まれている。この詩にうたわれ
ている風景の申で<自然>と<人工>は危うい均衡を保らつつ共存して
いるのである。
以上、「クブラーカーン」の成立過程および内容の内方において<
自然>と<人工)とが共存していることを確認した。ただ、その共存
のしかたは、これらの二つの場合において少々異なっている。前者
の場合、詩的技巧という<人エ>が夢という<自然>に枠組と形式を与
え、その放縦な跳梁を抑えているが、後者にあっては、<自然>が<
人工> の圧力を撥ね返しかねないほどの存在感を主張している。
<自然>をしっかり抑えこむ<人工>と<人工>を圧倒しかねない<自然>
-実は、これらは、はからすもコールリッジの詩論を体現している
のである。彼は芸術活動において想像力に至高の地位を与えると同
時に、想像力が現実世界から遊離することを警戒した。「自然を精
神に、精神を自然に化すること」、<自然>とへ<人工>の調和・統一
をはかること----これが芸術の目的であるというのが彼の考えであ
った。
※ロマン主義➲※18世紀末から19世紀前半にヨーロッパで、その後に
ヨーロッパの影響を受けた諸地域で起こった精神運動。
※床尾達男:1940年、大阪生まれ。1968年、京都大学大学院文学研究科
博士課程修了。現在、京都府立大学文学部教授。イギリス文学(ロマ
ン主義文学)専攻
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第一部
きみがぼくにその街を敦えてくれた。
その夏の夕方、ぼくらは甘い草の匂いを嗅ぎながら、川を上流へ
と遡っていった。流砂止めの小さな滝を何度か越え、時折立ち止ま
って、溜まりを泳ぐ絹い銀色の魚たちを眺めた。二人ともしばらく
前から裸足になっていた。澄んだ水がひやりと課を洗い、川底の絹
かい砂地が二人の足を包んだI夢の中の柔らかな雲のように。ぼく
は十七歳で、きみはひとつ年下だった。
きみは黄色いビニールのショルダーバッグに、低いヒールの赤い
サンダルを無造作に突っ込み、砂州から砂州へとぼくの少し前を歩
き続けていた。濡れたふくらはぎに濡れた草の葉が張り付き、緑色
の素敵な句読点となっていた。ぼくはくたびれた白いスニーカーを
両手に提げていた。
きみは歩き疲れたように無造作に夏草の中に腰を下ろし、何も言
わず空を見上げる。小さな鳥が二羽並んで上空を素遠く横切り、鋭
い声で啼く。沈黙の中で青い夕闇の前触れが二人を包み始める。き
みの隣に腰を下ろすと、なんだか不思議な気持ちになる。まるで数
千本の目に見えない糸が、きみの身体とぼくの心を細かく結び合わ
せているみたいだ。きみの朧の一瞬の動きや、唇の微かな震えさえ
もが、ぼくの心を揺さぶる。
そんな時刻には、きみにもぼくにも名前はない。十七歳と十六歳
の夏の夕暮れ、川べりの草の上の色鮮やかな想いIあるのはただそ
れだけだ。もうすぐぼくらの頭上には少しずつ星が瞬き始めるだろ
うが、星にも名前はない。名前を持だない世界の川べりの草の上に、
ぼくらは並んで腰を下ろしている。
「街は高い壁にまわりを囲まれているの」ときみは語り出す。沈黙
の奥から言葉を見つけだしてくる。身ひとつで深海に潜って真珠を
採る人のように。「それほど広い街じゃない。でもすべてを簡単に
目にできるほど狭くもない」
その街のことをきみが口にしたのは二度目だ。そのようにして街
はまわりを囲む高い壁を持った。
ぼくはそれについて考える。移ろう影のようなもの? でも意見
は今のところ保留しておくことにする。
「で、その街で本当のきみは何をしているの?」
「図書館に勤めているの」ときみは静かな声で答える。「什事の時
間は夕方の五時頃から夜の十 時頃まで」
「頃?」
「そこではすべての時刻はだいたいなの。中巾への広場には高い時
計台があるけれど、針はつ いない」
針のついていない時計台をぼくは思い浮かべる。「で、その図昨
日館には誰でも入れるの?」
「いいえ。誰でも自由に入れるわけじゃない。そこに入るには特別
な資格が必要になるの。でも あなたは入ることができる。あなたは
その資格を持っているから」
「特別な資格って----どんな資格なんだろう?」
きみはそっと微笑む。でも質問には答えない。
「でもそこに行きさえすれば、ぼくは本当のきみに会えるんだね?」
「もしあなたにその街を見つけることができれば。そしてもし----」
きみはそこで目をつぐみ、顔を淡く赤らめる。でもぼくには声に
ならなかったきみの言葉を聴 き取ることができる。
そしてもしあなたが本当に、本当のわたしを求めているのなら---
それがそのとききみがあえて口にしなかった言葉だ。ぼくはきみの
肩にそっと腕をまわす。きみはノースリーブの淡い緑色のワンピー
スを着ている。きみの頬がぼくの肩にあてられる。しかしその夏の
夕暮れにぼくが肩を抱いたのは、本当のきみではない。きみが言う
ように、それはきみの身代わりの影に過ぎない。
本当のきみは、高い壁に囲まれた街の中にいる。そこには川柳の
繁った美しい中州があり、いくつかの小高い丘があり、単角を持つ
もの静かな獣たちがいたるところにいる。人々は古い共同住宅に住
み、簡素だが不自由のない生活を送っている。獣たちは街に生えて
いる本の葉と本の実を好んで食べるが、雪の積もる長い冬にはその
多くが、寒さと飢えのために命を落とすことになる。と、どれほど
強くぼくは望んだことだろう。そこで本当のきみに会いた
「街は高い壁に囲まれていて、中に入るのはとてもむずかしい」と
きみは言う。「出て行くこと は更にむずかしい」
「どうすればそこに入れるんだろう?」
「ただ望めばいいのよ。でも心から何かを望むのは、そんなに簡単
なことじゃない。時間がかかるかもしれない。その間にいろんなも
のを棄てていかなくちゃならないかもしれない。あなたにとって大
切なものをね。でも諦めないで。どれほど時間がかかろうと、街は
消えてなくなりはしないから」
ぼくはその街の中で本当のきみに出会うことを想像する。街の外
に美しく繁った広大な林檎の 林と、川にかかった三つの石の橋と、
姿の見えない夜啼鳥の声音を思い浮かべる。そして本当のきみが働
いている小さな古い図書館を。
「あなたのための場所はいつもそこに用意されているから」ときみ
は言う。
「ぼくのための場所?」
「そう。街にはひとつだけ空いたポジションがあるの。あなたはそ
こに収まることになる」
それはどんなポジションなのだろう?
「あなたは〈夢読み〉になるのよ」ときみは声をひそめて言う。大
事な秘密を打ち明けるように。
それを間いて、思わず笑ってしまう。「ねえ、ぼくは自分の見た
夢さえろくに思い出せないんだ。そんな人間が〈夢読み〉になるの
は、ずいぶんむずかしいだろうね」
「いいえ、〈夢読み〉は自分で夢を見る必要はないの。図書館の書
庫で、そこに集められたたくさんの〈古い夢〉を読んでいればいい
の。でもそれは誰にでもできることではない」
「しかしぼくにはできるんだね?」
きみは肯く。「そう、あなたにはそれができる。あなたはその資
格を手にしている。そしてそこにいるわたしは、あなたのその仕事
を手伝う。毎夜あなたのそばについて」
「ぼくは〈夢読み〉で、街の図書館の書庫で毎夜たくさんの〈古い
夢〉を読む。そしてぼくのそばにはいつもきみがいる。本当のきみ
が」、ぼくは示された事実を声に出して反復する。
ぼくの腕の中で、緑色のワンピースを着たきみの裸の肩が小さく
揺れる。そしてふとこわばる。
「そうよ。でもひとつだけ覚えておいてほしい。もしわたしがその
街であなたに出会ったとしても、そこにいるわたしはあなたのこと
を何ひとつ覚えてはいないってこと」
どうして?
「どうしてか、あなたにはわからないの?」
ぼくにはそれがわかる。そう、ぼくが今こうして肩をそっと抱い
ているのは、きみの身代わりに過ぎないのだ。本当のきみはその街
に住んでいる。高い壁でまわりを囲まれた、遥か遠方の謎めいた街
に ぼくの手の中にあるきみの肩はとても滑らかで温かく、本当の
きみの肩としかぼくには思えないのだけれど。
この項つづく
【再エネ革命渦論 119: アフターコロナ時代 318】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
マルチメディア革命ビジネス渦論 ④:
実験室の機能を数cmサイズに集積したマイクロ流体デバイス
JEITAの「2022年度版 実装ロードマップ」を紹介するシリーズ。今回
は、第2章「注目される市場と電子機器群」から「マイクロ流体デバイ
ス」の展望を考える。
微細加工技術によって数十μm~数百μmサイズの微小な流路や反応容器
などを形成したデバイスを指す。応用範囲は広く、化学、医療、バイオ
テクノロジー、ライフサイエンス、環境、農林水産、食品など広範。
デバイスの外形寸法は光学顕微鏡の観察用標本(プレパラート)と同じ、
75.5mm×25.5mm×1.5mm(「スライドガラス型」と呼ぶ)であることが
多く、幅を約2倍の50mmに拡大したダブルスライド型(75.5mm×50mm×
1.5mm)、さらにサイズを大きくしたマイクロタイタープレート型(127.8
mm×85.5mm)もあり、市販されている。デバイスの材料には樹脂、石英
ガラス、シリコン(Si)などがある。樹脂は材料と加工のコストが低い。
代表的なマイクロ流体デバイス用樹脂はPDMS(polydimethylsiloxane、ポ
リジメチルシロキサン)。デバイスにはさまざまな機能を備える素子
が搭載。素子には液体の流路であるチャンネル、薬液や試薬などの保管
容器であるブリスター、外部と液体をやりとりするインタフェース、複
数の試薬を混合するミキサー、化学反応の容器であるチャンバー、流体
の方向を切り替える回転バルブ、薄膜状の濾過フィルター(メンブレン
フィルター)、液体を送出するポンプなど。
感染症の解析に貢献するPCR検査と遺伝子検査、迅速検査 この項は『ウ
イルス解体新書』として、下記に転出掲載する。
【ウイルス解体新書 169】
序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第3章 パンデミック戦略「後手の先」
第1節 新型コロナパンデミックから生まれたもの
1-1 進化する感染判定技術装置
1-1-□ 感染症の解析に貢献するPCR検査と遺伝子検査、迅速検査
(1)COVID-19の流行を契機に感染症の研究が急激に拡大
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が世界的に流行する以前は、感
染症に関する研究論文の数は、非感染症に比べるとごくわずかにとどま
り、その理由は
①国民1人当たりの所得が高い国(先進国と準ずる国)では、感染症に
よる死者の割合が少ないこと
②医療リソースに対する膨大な需要が生じるものの、平常時の需要はほ
とんどなく、事業としては成立しづらく、感染症は研究開発現場におけ
る厳重な感染対策が必須であることから、非感染症に比べて研究開発の
初期投資と維持コストが高くなる。
このような状況からCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)が世界的に
流行したことで、感染症に関する研究リソースはかなりの拡大を見せた。
例えばコロナウイルス(SARS/MERS/COVID)に関する研究論文は2010年代
前半には数百件/年だったのが、2020年~2021年には数万件/年と激増。
PCR法によるDNA増幅の原理 COVID-19の流行によって一般に広く知られ
るようになった遺伝子検査技術に「PCR検査」。PCRとは「ポリメラーゼ
連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)」の略語で、酵素であるポリメラ
ーゼを使ってDNA(デオキシリボ核酸(DeoxyriboNucleic Acid))の特定
領域を連続して増やす反応である。 PCR増幅の手順を以下に示す。前提
として、温度が化学反応の種類を決めることに要留意。まず、DNAサンプ
ル(通常は2本鎖)を95℃前後に加熱して1本鎖のDNA(鋳型DNA)に分離(
この工程を「熱変性(denaturation)」とも呼ぶ)。
次に温度を55℃~60℃に下げて1本鎖のDNA(鋳型DNA)にプライマー(
増幅したい核酸に特徴的な塩基配列とその相補配列を両端に備えた短い1
本鎖のDNA)を結合させる(この工程を「アニーリング(annealing)」と
も呼ぶ)。 それから温度を72℃前後に上げ、酵素である耐熱性DNAポリ
メラーゼによるDNA合成反応を起こす。DNAポリメラーゼは反応溶液中か
ら適切なヌクレオチド(dTNP)を選択してプライマーに付加する操作を
繰り返す。このようにプライマーを伸長し、DNAを複製する(この工程
を「伸長(extention)」とも呼ぶ)。伸長は5'(ダッシュ)端子から3’
端子の方向に進む。これで1サイクルのポリメラーゼ連鎖反応が完了。2
本鎖のDNAからは2つの2本鎖DNAが、1本鎖のDNAからは2本鎖のDNAが得ら
れる。つまり、DNAの数が2倍になる。このサイクルを繰り返すことで、
サイクル数をNとすると2のN乗にDNAを増やせる(DNA増幅)。PCR法によ
り、測定限界以下の微量なDNAサンプルを増やし、遺伝子の特定が可能
な量のDNAを得る。新型コロナウイルスの感染検査でPCR検査が高い感度
を有するとされるのは、このDNA増幅工程がある。
(2)DNAに特有の塩基配列を検出
ここでは、「2.ウイルス性感染症とPCR検査、遺伝子検査」の後半部分
を簡単に説明。未知のDNAから塩基配列を読み取る代表的な手法(シー
ケンス法)は「サンガー(Sanger)法(サンガー・シーケンス法)」で
ある。ただし、サンガー法が開発された時点(1977年および1975年)で
はPCR増幅(1983年に考案、実証)が存在しなかった。現在ではPCR増幅
とサンガー法の組み合わせによるシーケンス法(サイクル・シーケンス
法)がサンガー法の主流になっており、またサンガー法自体も継続して
改良される。
(3)次世代シーケンス(NGS)技術が遺伝子検査を普及
サンガー法は、解析対象のサンプル数(総数)が少ない場合や塩基配列
が短い場合は、きわめて有効である。コストが低くて比較的簡便な手法
であり、現在でも広く使われている。一方で解析に一定の時間を要する
こと、感度があまり高くないこと、サンプル数が増えるとコストが大幅
に増加すること、などの課題を抱える。サンガー法の弱点を補うべく、
大量のサンプルを短時間で解析する手法として開発されたのが「次世代
シーケンス(NGS:Next Generation Sequencing)」法である。最初のNGS
製品は2005年に開発され、その後は継続した改良の積み重ねによって性
能は飛躍的に高まり、解析コストは急速に低下した。次世代シーケンス
装置の大手メーカーであるillumina(イルミナ)の資料「NGS超入門」に
よると、次世代シーケンス技術が登場する以前に国際プロジェクトとし
て実施されたヒトの総遺伝子解読プロジェクト「ヒトゲノム計画」(
1990~2003年)では、30億米ドルもの膨大なコストがヒトゲノム(総塩
基数が約30億、遺伝子数が約2万6000)の解読に費やされた。このプロ
ジェクトはヒトゲノムの解読コスト削減に大きく寄与し、2006年にはヒ
トゲノム(個人のゲノム)の解読コストは2000万米ドルと大幅に低下し
た。
そして次世代シークエンス技術による解析装置(次世代シーケンサー)
の登場により、翌年の2007年には解読コストは200万米ドルとさらに大
幅に削減された。次世代シーケンス技術の継続的な改良によって2014年
にはヒトゲノムの解読コストはわずか1000米ドルにまで低下したとする
。次世代シーケンス技術が遺伝子解析のコスト低減と応用範囲の拡大に
とてつもなく大きな貢献を成したことがうかがえる。
この項つづく
終 章 備えあれば憂いなし
【人口減少時代の地域再生概論 ⑪】
地方再生には地方税制を全面変革が肝だと掲載してはいるが。ここは、
税制の基本に立ち返ってみる(ブログ掲載書評『税金の世界史』参考)。
税の極端な考え方として、個人的な自由、経済的な自由の双方を重視す
るロバート・ノージック(主要著書『アナ-キー・国家・ユ-トピア』)
に代表される「リバタリアニズム」に代表される考え方があるが、"固
定的人間関係重視”での"同胞共助"に対し、"流動的人間関係重視”の
インパクトが大きい人たちには受け入れ難い。つまり、流動的人間関係
に最適なリバタリアン的価値観は、内在的に福祉に公金を使うことや景
気対策を行うことが正当化できない。
自己所有権
ジョン・ロックの『統治二論』では「万人が自分の身体の所有権を持っ
ていて、本人以外の誰もそれへの権利を持っていない」とし、日本国憲
法でも第18条で、人身の自由が規定され下、犯罪による刑罰や、容疑者
の逮捕、精神病や感染症の入院の強制などが例外となっているが、リバ
タリアンは、徴兵制にも裁判員制度にも選挙の投票義務化にも反対する
がそれらを踏まえ、私有財産権の根拠となる一方で、土地そのもののた
めに得られる分の特別の収益は、社会共有化される対象となる。
この項つづく
河出書房新社(2021/09発売)
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商品コード 9784309228303 NDC分類 345.1 Cコード C0022
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第1章 自治会・町内会のお悩み・トラブルQ&A
(11)ご近所トラブルの解決はとこまで?
Q.自治会・町内会には時に地域の困りごとやご近所トラブルの相談が
寄せられることがありますが、どこまで対応する必要があるのでしょう
か。
A.まずは相談が自治会・町内会で対応できることかどうかを判断する
必要があります。たとえば、夜道が暗く危険だから、防犯灯を明るくし
てほしいなどの相談が寄せられた時、自治会・町内会が管理者ならより
明るい電球に変えたり、交換時にLEDにするなどの対処もできます。
一方、不害者が多いから防犯カメラを設置したいという場合などは勝手
に判断できません。地域での合意形成や設置の許可を取るなど、関係機
関との調整も必要となり関や専門機関に任せるなどに留まるでしょう。
近年増加する児童虐待やDV、認知症の家族の徘徊などの問題では、
相談窓口を紹介したり、民生委員さんへ相談したり、関係機関との仲介
など、地域での連携が求められる役割となるでしょう。
(12)活動で怪我をした場合など、補償はどうなる?
Q.自治会・町内会活動で怪我をしたり、物品の破損があった場合など、
賠償責任を負うことになるのでしょうか。自治会・町内会活動の保険は
あるのでしょうか。
A.自治会・町内会活動の保険は、運動会や旅行などの行事毎に加入す
るケースのほか、年間で契約するタイプの保険商品があります。また、
地域活動の中で怪我をしたり、他人の物を壊した場合に補償する保険を
自治体が契約している場合はそこで補償を受けられます。
それぞれに適用条件も異なりますので、どんな時にどういった補償が
受けられるか確認して頂く必要があります。自治体が契約している保険
でカバーされないケースもあり、その場合は民間の保険会社の自治会・
町内会向けの保険の利用を検討してみましょう。
(13)行政の下請け、負担の増大にもう耐えられない
Q.自治会・町内会が行政の下請けのようになっていて、いろんな役割
を押し付けられ、負担が増し、本来力を入れるべき自治会・町内会の活
動にも手が回らなくなっています。
A.行政から一方的にかつ、大量に送り付けられる配布物、様々な会議
の出席や行事などへの協力要請、国勢調査など、自治会・町内会には様
々なお願いごとが持ち込まれています。こうしたことに時間をとられ、
本来やるべきこと、本当にやりたいことに手が回らないという声はよく
間きます。
こうした現状は自治体の担当課では認識されているものの、連切な対
処はなかなかなされず、全庁的な問題意識の共有にも至っていないとこ
ろがほとんどです。単会の自治会・町内会から要望しても改善が図られ
ることはほとんどなく、自治会・町内会連合会などから、自治体トップ
に是正を要請するなど、市民も交え、地域全休でこの問題を考える場を
設けていくなどの取り組みも求められるところです。
(14)連合会は負担、脱会したい
Q.自治会・町内会は単会に加え、自治会・町内会連合会で様々な役割
をさせられています。会費や分担金等も負担していますがメリットは感
じられません。叙勲などの推薦を受けるためにやっている人も多くいま
す。無駄なので脱会して単会の活動に集中したいです。
A.近年、連合会を脱退する団体も出てきています。ご指摘にあったよ
うに、加入率が低下、会費収入が減る中、会費や分担金などの負担感が
増していることなどが理由です。
本来は今こそ、連合会にこの苦境を説する積極的な取り組みが期待さ
れるところです。形式的な活動になっているなら見直しも必要でしょう。
脱会するか否かについては、よく話し合って会員の総意により決めて
ください。
この項つづく
【J-POPの系譜を探る:1989年代】
1989年は世界も、国内も"爆発する欲望の混沌時代"の幕開けであったと
思える。昭和天皇の崩御。天安門事件、ベルリンの崩壊、ジャパン・ア
ズ・ナンバーワン、日本では土地本位制によるバブルを迎え、オ-ム真
理教による坂本弁護士一家殺人事件、デジタル革命渦が拡大する。そし
て、J-POPの全世紀を迎える。今夜は、二曲に絞って投稿。先ずは、シ
ティ-ポップの元祖山下達郎、二曲目は、B'zのBad Communiction の
ごとく、”歌は世につれ、ひとにつれ”である。
● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)未来は善き縁で開かれる。
Good encounters can lead you to a better future.
映画『トップ・ガンⅡ マーベリック』をBDでみる。F-14とF/A
グラマンF-14トムキャットは、遠距離から艦隊を攻めてくる、対艦ミサ
イル装備の爆撃機の脅威から艦隊を護る任務戦闘機で、防空および空対
空戦闘が主体の戦闘機。また、F/A-18ホーネットはF-14とは異なり最初
から空対空と空対地双方の戦闘ミッションに使用。映画では敵基地攻撃
が実行されたが、こちらの被害、敵方の被害想定の模擬想定研究など、
多岐にわたる想定と課題を明確に数値化し定めておくことが重要である
ことは言うまでもない。