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最新二酸化炭素メタネーション技術 ⑤

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



     つりしのぶ越して來くるなりもらひけり

久保万太郎の後半生は、震災、戦災による転居、やっと落ち着いた
湯島で貰ったつりしのぶに涼を得、安堵の様子、句中の「なり」の
二文字に喜びと癒しの余情が残象すると菅澤陽子にこう評されてい
る、時に六十六歳の句であると。



若き勇者天をも貫き舞いあがる


  

 
  

● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
特異点真っ直中 ㉜
最新二酸化炭素メタネーション技術

特開2019-47816 バイオマス処理 ザイレコ,インコーポレイテッド
【概要】
セルロース及びリグノセルロース材料は、多数の用途で、大量に製
造され、処理され、且つ、使用される。多くの場合そのような材料
は、一度使用された後、廃棄物として廃棄されるか、又は単に、例
えば、バガス、おがくず、及び茎葉などの廃棄物であると考えられ
ている。いくつかの場合において、セルロース及びリグノセルロー
ス材料は、植物を成長させ収穫することによって得られる。

 いくつかの実施態様は、以下の特徴のうちの一つ以上を含む。供
給原料は、組換えDNA及び/又は組み換え遺伝子を有する植物を
含み得る。組換えされた植物は、例えば、タンパク質、ポリマー及
び/又は巨大分子を表し得る。方法は更に、医薬品、栄養補助食品、
タンパク質、脂肪、ビタミン類、油類、遷移、ミネラル類、糖類、
炭水化物及びアルコールなどの供給原料材料を得ることを含む。供
給原料材料は、例えば、トウモロコシの穂軸及び/又はトウモロコ
シ茎葉、麦わら、又は、遺伝子組換えされたトウモロコシ、小麦又
は大豆植物などの作物残渣を含むことができる。方法は更に、有機
体及び/又は酵素を用いて供給原料を処理すること、場合によって
は、例えば溶液又は懸濁液の形態で、糖を製造することを含む。任
意に、糖は、発酵させることができる。物理的処理は、供給原料の
照射を含むことができる。いくつかの実施態様において、照射され
た原料は、例えば、動物飼料などとして、食用材料として利用する
ことができる。所望の場合、セルラーゼなどの酵素は、例えば、栄
養価の放出を増加させるために、可食性材料へ添加することができ
る。
下図1.2のごとく、植物の野生型について改変された前記植物か
ら少なくとも部分的に得られた供給原料の物理的処理を含む、生成
物の製造方法。前記供給原料は、リグノセルロース又はセルロース
材料を含み、前記植物は、遺伝子組換えされており組換えDNAを
含む、遺伝子組み換え植物などの野生型について組換えされた植物
を含むセルロース及び/又はリグノセルロースなど供給原料材料の
使用、並びに、そこから作られる中間体及び生成物の提供。

図1.供給原料、特に、組換え植物材料から少なくとも部分的に得
られた供給原料を、有用な中間物質及び生成物へ変換するための、
一つの特定のプロセス

図2.供給原料を処理し、次に、処理した供給原料を、アルコール
を生成するために発酵工程で使用するために、上述の工程を利用す
る一つの特定のシステム

特開2023-100906 新規CRISPR酵素及び系 ザ・ブロード・
インスティテュート・インコーポレイテッド他
【概要】
推定V型CRISPR-Cas遺伝子座エフェクタータンパク質と
1つ以上の核酸成分とを含む天然に存在しない又はエンジニアリン
グされた組成物を前記遺伝子座に送達するステップを含み、ここで
エフェクタータンパク質は1つ以上の核酸成分と複合体を形成し、
及び前記複合体が目的の遺伝子座に結合すると、エフェクタータン
パク質が目的の標的遺伝子座に関連する又はそこにある配列の改変
を誘導する方法である。核酸又はポリヌクレオチド(例えばDNA
又はRNA又はこれらの任意のハイブリッド又は誘導体)を標的化
する代替的且つロバストなシステム及び技法を提供する。

特開2023-100703 植物の形質の改良を目的とした窒素固定のため
の遺伝子標的 ピボット バイオ, インコーポレイテッド
【概要】
図21のごとく、遺伝子操作された細菌は、glnDの修飾を含み、
前記修飾が、遺伝子全体の欠失、実質的に遺伝子全体の欠失、AC
Tドメインの欠失、ACTドメインの50%を超える欠失、ACT
ドメインの非活性化、およびUTaseドメインの非活性化からな
る群から選択される、glnDの修飾を含む遺伝子操作された細菌
を提供し、さらに該細菌を利用するための方法およびシステムを提
供する。

WO2021/204877 改善された部位特異的改変のための組成物及び方
法 アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【概要】
CRISPR/Cas9などのプログラム可能なヌクレアーゼは、
標的部位で挿入及び欠失(インデル)の混合物を誘導することによ
って遺伝子を破壊できる部位特異的二本鎖切断(DSB)を生成す
ることができる。しかしながら、鋳型依存相同性配向型修復(HD
R)に依存するDSB修復は、低い頻度を有し得るが、高効率の鋳
型非依存非相同末端結合(NHEJ)はエラーが発生しやすく、所
望の挿入を優先しない場合がある。 図1A~1Dは、本明細書の実
施形態で記載される例示的な方法を示す。図1A及び1Bは、「N
HEJ促進ドメイン」、例えば、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、
又はDNAリガーゼに融合されたCas9、PRimed INS
ertion(PRINS)と呼ばれる融合タンパク質を示す。図
1Aでは、「SPRINgRNA」(シングルプライム化挿入ガイ
ドRNA)は対象とする配列(「ins」)及びプライマー結合部
位(PBS)を含む。図1Bでは、融合タンパク質は、DNA又は
RNA結合ドメイン(例えば、MCP2、ZF、TALE、FBP
、Pumilio、HUH、又はSNAP)を更に含み、PBSを
伴う対象とする配列は分離ポリヌクレオチドとして提供される。図1
Cは、図1Aに示されるPRINS複合体の作用メカニズムを示す。
Cas9ヌクレアーゼは、標的ポリヌクレオチドにて二本鎖開裂を
生成する。PBS及び対象とする配列を含有するCas9複合体中
の鋳型配列を使用して、対象とする配列の複製を含む二本鎖挿入配
列を生成する。次いで、生成された二本鎖挿入配列を、NHEJに
より開裂された標的ポリヌクレオチドにライゲートすることができ
る。図1Dは、挿入及び欠失を組み合わせるための更なる実施形態
を示す。Cas9ヌクレアーゼは、標的ポリヌクレオチドに二本鎖
切断を生成する。PBS及び対象とする配列を含有するCas9複
合体中の鋳型配列を使用して、対象とする配列の複製を含む二本鎖
挿入配列を生成する。次いで、生成された二本鎖挿入配列は、NH
EJによって、第2のCRISPR/Cas複合体によって下流で
生成された別の切断にライゲートすることができる。2つのCRI
SPR/Cas複合体の間の配列は、対象となる配列に置換される。

いくつかの実施形態では、真核細胞は、植物細胞であ
る。例えば、植物細胞は、作物植物、例えばキャッサバ、トウモロ
コシ、モロコシ、コムギ又はイネのものであり得る。植物細胞は、
藻類、樹木又は野菜のものであり得る。植物細胞は、単子葉若しく
は双子葉植物のもの又は作物若しくは穀類植物、生産植物、果実若
しくは野菜のものであり得る。例えば、植物細胞は、樹木、例えば
柑橘樹木、例えばオレンジ、グレープフルーツ又はレモン樹木;モ
モ又はネクタリン樹木;リンゴ又はナシ樹木;堅果樹木、例えばア
ーモンド又はクルミ又はピスタチオ樹木;ナス属の植物、例えばジ
ャガイモ、トマト、ナス、コショウ、パプリカ;ブラシカ属(Br
assica)の植物、ラクツカ属(Lactuca)の植物、ス
ピナシア属(Spinacia)の植物;カプシカム属(Capsi
cum)の植物;綿、タバコ、アスパラガス、ニンジン、キャベツ
、ブロッコリー、カリフラワー、レタス、ホウレンソウ、イチゴ、
ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ブドウ、コーヒー、
ココアなどのものであり得る。 下図1のごとく、改善された遺伝
子編集効率のためのタンパク質、組成物、方法、及びキットを提供
する。いくつかの実施形態では、本開示は、Casヌクレアーゼと
逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、又はそれらの
組み合わせと、を含む融合タンパク質を提供する。

特開2023-23727 遺伝子組み換え植物の生産方法 国立大学法人東
海国立大学機構
【概要】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、植物の品種改良を行う
際に植物に感染させたアグロバクテリウムを高効率で殺菌すること
のできる遺伝子組み換え植物の生産方法を提供することである。
下図8のごとく、この植物の生産方法は、第1の培養液に大気圧プ
ラズマを照射してプラズマ活性化培養液を生産する工程と、植物の
種子を第2の培養液または固形培地で培養してカルスを生じさせる
工程と、カルスにアグロバクテリウムを感染させて感染体を生産す
る工程と、感染体を含有する第2の培養液または固形培地にプラズ
マ活性化培養液を混合して、アグロバクテリウムを殺菌する工程と、
を有する、植物の品種改良を行う際に植物に感染させたアグロバク
テリウムを高効率で殺菌することのできる遺伝子組み換え植物の生
産方法を提供である。
------------------------------------------------------------
生物多様性影響評価情報についての検討の概要(環境省 2010年)
 生物・環境影響調査審査の厳重化は、未来へのダメージ(庵殿保
 障政策)を防ぐ意味で重要と考えている。
※メタン発酵に係わる遺伝子編集によるアーミング発酵促進の他に
 糖を使い分けることで微生物の増殖と物質生産を独立制御する
「Parallel Metabolic Pathway Engineering(PMPE)」技術( ➲
 Metabolic engineering of Escherichia coli for shikimate pathway deri v-
 ative production from glucose–xylose co-substrate” (DO I:10.1038/s414
   67-019-14024-1 2020.1.14) が提案されている。(参考)
※とはいえ、遺伝子編集/改変技術は大変魅力的なカーボンニュートラ
 ルで、強靱で繊細な資材商品として、既存産業をボーダーレスに革新し
 ていくだろう。
                                       この項了



8月19日、米国ヒュ-スヒンを拠点とするの地熱発電スタートアップ
のフェルボエナジー社は、次世代地熱発電技術の大規模なデモンス
トレーションの成功を公表。商業規模で強化地熱システムを運用で
きることが実証されたことを受け、同社は2023年中にGoogleのデー
タセンターやインフラストラクチャーに電力供給を開始する模様。
地熱は風力や太陽光などと同様にカーボンフリーのエネルギー源と
して知られているが、発電に必要なほどの地熱を得るのは火山活動
が活発でない地域では困難。そのような地熱発電の課題を解決する
ために考案された強化地熱システムは地中深くまで掘った穴に水な
どを注入し、地熱を取り出す方式。強化地熱システムの実験は1970
年代から始まったものの、掘削の難しさやコスト面での課題が浮上
したため、20世紀末頃には実験や研究が尻すぼみになっていたとのこ
と。しかし、アメリカでは21世紀のシェールガス革命に伴って大幅
に掘削技術が進歩し、掘削コストが大幅に低下したため、かつては
困難だった「地中深くでの水平方向への掘削」が可能になる。そこ
で、当時、石油・ガス業界で掘削エンジニアのラティマー氏が大き
く進歩した現代の掘削テクノロジーを強化地熱システムに利用でき
るのではとひらめく。 2018年にはビル・ゲイツが率いるエネルギー
問題専門のファンド「Breakthrough Energy Ventures(BEV)」の支援を受
けている。
ネバダ州北部にある「Project Red」という実験区域で30日間の本格的
な試験を実施し、3.5MW(メガワット)の発電に成功。1MW当たり750
世帯に電力供給でき、Project Redで生成された電力は商業規模のも
ので、同社は、石油・ガス産業の掘削技術を適用することで、これ
まで地熱発電が行われていなかった世界中の地域で、週7日24時間
体制でカーボンフリーエネルギー資源を生産できることを証明でき
たと話す。また、Fervo Energy社は、2021年にGoogleと次世代地熱発
電システムの開発に向けた企業間契約を締結しており、今回のブレ
イクスルーにもGoogleの後押しがあった。

【展望】
今後、Fervo Energyはユタ州南西部に建設中の発電区域でもデモン
ストレーションを行う予定。期待通りに電力出力が最大化されれば
ユタ州のサイトでは2028年までに約400MWを供給できる。

【懸念】
EGSは井戸に水と化学物質を高圧で注入し、深層にある高温岩体に切
れ目をつくりそこから出た蒸気を発電に使います。この発電方法に
似ているものとして、シェールガスの採掘が挙げられる。シェール
ガスは、シェールロック層に井戸を打ち込み、そこから水圧破砕に
よって地下のシェール層に亀裂を生じさせることで取り出す。 こ
のような採掘方法をフラッキングというが、欧州や米国で「環境破
壊だ」との批判がでる。メリットのあるEGSですが、いずれはシェー
ルガスの採掘方法のようにその発電方法に物議を醸すことになるか
もしれない。


ステップアンバンチング現象の発見
半導体表面を原子レベルで平坦にする新技術
【要約】
1.従来の半導体製造技術では、SiCウェハ表面を非常に平坦にで
 きるも のの加工によるダメージ層が残ったり、ダメージ層はな
 いものの表面が荒くなったりしてデバイス特性に悪影響を及ぼす
 という課題があった。
2.SiCウェハ表面を単一のシンプルなプロセスで、ダメージ層も
 なく原子 レベルで平坦にする新技術として応用可能なステップ
 アンバンチン グ現象を発見した。
3.半導体製造工程において、化学機械研磨を含むプロセスが不要
 になり、コストと時間を大幅に削減できる可能性があると期待さ
 れる。
【概要】
早稲田大学らの研究グループは、半導体表面を原子レベルで平坦に
する新技術として応用可能な、ステップアンバンチング現象を発見。
パワーデバイス材料として使われる半導体であるSiCにおいて、ウ
ェハの表面を原子レベルで平坦にすることは、デバイス特性や新材
料作製に関して極めて重要です。SiCウェハ表面は、ステップと呼ば
れる原子1個程度の高さ(約0.25 nm)の段差を持っています。SiCを
加熱すると、表面の原子が移動することでステップが集まり、はじ
めに1~1.5 nmの高さステップを形成し、さらに高温で加熱すると数
nm~数十nmのステップになります。これはステップバンチングと呼
ばれ、ステップが次第に高くなっていくことはあっても、低くなる
ことはないと旧来考えられてきた。このたび本研究グループは、あ
る特定の条件下に置くと、一旦高くなったステップが低くなること
を見出した。これをステップアンバンチング現象と名付けました。
従来の半導体製造技術には、表面は非常に平坦にできるものの加工
によるダメージ層が残る手法や、ダメージ層はないものの表面が少
し荒くなる手法はあった。それに対して本研究の手法では、単一の
シンプルなプロセスで、ダメージ層もなく原子レベルで平坦な表面
を得ることができる。従って、半導体製造工程のコストと時間を大
幅に削減できる可能性があると期待されている。

ステップバンチング現象は、高さ0.25 nmのステップが集まって1~
1.5 nmのステップになるミニマムステップバンチング(MSB)と、
MSB後のステップがさらに集まって数nm以上の高さになるラージス
テップバンチング(LSB)に分けられます。一般的には、MSBが生じ
た後にLSBが生じるので、これらは不可逆な現象だと考えられてき
た。それに対して、本研究で明らかになったのは、LSBが生じて5~
10 nmの高さになった後、ある特定の条件下に置くと、1~1.5 nmの
低い高さに戻るという現象であり、これを本研究グループはステッ
プアンバンチング現象と名付けた。

新しく開発した手法
SiC熱分解グラフェンの研究においてSiC表面形態を制御している過
程で偶然、ステップアンバンチング現象を発見しました。4%程度
の水素を含むアルゴンガス(Ar/4%H2)雰囲気中でSiCを加熱すると
1600℃では 図3(a)のようにLSBが起こります。LSBが生じたSiCを
1400℃で保持すると、5~10 nmの高さであったステップが、図3(b)
→(c)→(d)のように次第に1~1.5 nmの低いステップの集合に分か
れていく。この一連の現象が、ステップアンバンチングです。原子
レベルで模式的に表すと、(e)の状態から(f)のように変化していく
ことに対応します。すなわち、Ar/4%H2雰囲気中で、はじめに高温
で保持した後に低温で保持することで、LSBの後にMSBが生じること
がわかった。なお、水素を含まないアルゴンガス雰囲気中で同じ実
験を行っても、ステップアンバンチング現象は起こらない。 従来
不可逆だと思われていた現象が、特定の雰囲気では可逆現象である
ことを見出したと言うことができる。これにより、1~1.5 nm程度
のステップのみからなる、原子レベルで平坦な表面を得ることを可
能になる。



図3:ステップアンバンチング現象。Ar/4%H2雰囲気中で、(a) 1600℃で10
分加熱、(b) その後1400℃で10分保持、(c) 20分保持、(d) 60分保持した試
料の表面形態。(e, f) (a)から(d)の変化の模式図。

(4)研究の波及効果や社会的影響
SiCのステップバンチング現象に関して、MSB、LSB共にこれまで多
くの議論が行われ、様々なメカニズムが提案されてきました。それ
らのメカニズムに基づくと、LSBが生じた後にMSBが生じる現象を単
純に説明することはできません。そのため、本成果は表面科学理論
に一石を投じるものと考えられます。また、一般的な半導体製造プ
ロセスにおいて、インゴットを切断してウェハとし、その表面を機
械研磨した後で、CMPと水素エッチング処理が施されます。CMPだけ
では加工ダメージ層が残り、単純な水素エッチングだけではLSBが
生じてしまう。それに対して、研磨痕の残るSiC表面に対して、Ar/
4%H2雰囲気中でまず高温で処理することで研磨痕を除去し、その後
低温で保持すれば、原子レベルで平坦な表面を得ることができる。
すなわち、本技術によって、加工ダメージ層もなく原子レベルで平
坦な表面を得られる上に、CMPを含むプロセスを削減できる可能性が
ある。これは、半導体製造工程をシンプルにすることができるため
大幅なコスト・時間の削減が可能になることも期待される。

【展望】
今後の課題 本研究では、半導体としてSiCのみを対象とした。
一方で、半導体としては窒化ガリウム(GaN)やヒ化ガリウム(Ga
As)など、他にも様々な物質があります。これらに関しても、結晶
構造が類似していることからステップアンバンチングが生じる可能
性がある。他の半導体物質への本技術の適用が今後の課題である。

【関連論文】
雑誌名:Applied Physics Letters
論文名:Step unbunching phenomenon on 4H-SiC (0001) surface during
hydrogen etching
掲載日(現地時間):2023年7月19日(水)
掲載URL:https://pubs.aip.org/aip/apl/issue/123/3
DOI:https://doi.org/10.1063/5.0153565


図: CdSe ナノ結晶表面/内部への白金イオンの選択的担持と、その光
水素発生触媒性能変化

白金単原子触媒を担体表面/内部に選択的担持
―錯体化学を用いた新しい合成戦略および触媒性能への効果―
【概要】
京都大学化学研究所の研究グループは、白金単原子触媒を担体表面
/内部に選択的に担持する方法の開発に成功。 貴金属触媒粒子を極
限まで小さくした単原子触媒は次世代の触媒として期待されていま
すが、その土台となる担体との位置関係がどう触媒性能に影響する
か、またどのような手法でその位置関係を制御できるかは知られて
いなかった。今回研究グループは、白金イオンをCdSe ナノ結晶に
担持した単原子触媒において、錯体化学を利用した白金イオンの位
置制御法を開発しました。原料となる白金錯体および溶媒を使い分
けることによって、白金イオンがCdSe ナノ結晶の表面に吸着された
状態と、結晶内部に取り込まれた状態の2 種類の担持構造を選択的
に作り分けることができることを明らかにした。さらに、白金イオ
ンがCdSe ナノ結晶表面に存在する構造の方が、光触媒水素発反応
において高い活性と安定性を示すことを明らかにした。単原子触媒
の担体に対する位置関係が触媒性能に重要であることを示すととも
に、担体内外における単原子触媒の位置を自在に制御する新しい手
法を与える。この知見をもとに、高性能な単原子触媒の設計・合成
が進展することが期待されている。本研究成果は、2023年7 月15日
(現地時刻)に国際学術誌「Nature cmmunications」にオンライン
掲載された。
【展望】
単原子触媒は、貴金属の使用量を削減し効率のよい化学反応を実現
する上で有望な物質です。本研究の結果は、単原子触媒の設計・合
成において、担体との位置関係が触媒性能に影響する重要な要素で
あることを示した。同時に、本研究では錯体化学を利用し、単原子
触媒を担体内外に自在に配置する手法を新たに開発した。これらの
知見は様々な化学反応に対する単原子触媒の理解・合成に活用され
ることが期待される。

【関連論文】
タイトル:Location-selective immobilization of single-atom catalysts
on the surface or within the interior of ionic nanocrystals using coordination
chemistry(錯体化学を利用したイオン性ナノ結晶表面ま たは内部へ
の位置選択的な単原子触媒の固定化)
掲 載 誌:Nature Communications DOI:10.1038/s41467-023-40003-8



光オン・デマンド界面重合法でポリカーボネート合成
 ポリカーボネート(PC)は、高い透明度と耐衝撃性を持つエンジ
ニアリングプラスチックとして、眼鏡レンズ、カメラレンズ、DVD、
車のヘッドライトや、防弾ガラスなどに使用されている。その工業
生産は主として、反応性の高いホスゲンとアルコールを、水と有機
溶媒の界面で反応させる界面重合によって行われています。しかし、
ホスゲンは極めて高い毒性を持つため、安全性の理由から、それを
用いない合成方法が活発に研究されてきた。近年では分子量の比較
的小さなPCであれば、ホスゲン代替物質(ジフェニルカーボネート
など)を使って合成されるようになったが、分子量の大きなハイグ
レードタイプの合成には依然、それよりも反応性の高いホスゲンが
必要。安全・安価・簡単・低環境負荷でカーボネート類の合成を可
能にする新しい化学反応の開発を目指して、神戸大学の研究グルー
プは、同グループオリジナルの光オン・デマンド有機合成法による
界面重合反応の開発に取り組んできた。水酸化ナトリウム水溶液、
クロロホルム、およびアルコールの混合溶液(気相・水相・有機相
の3相分離状態)に、酸素ガスを吹き込みながら紫外光を照射すると
界面で反応が起こり、目的とするカーボネートが高収率で得られる
ことを発見した。この新たな方法は、小規模多品種の幅広いライン
ナップのカーボネート合成に適している。
【展望】
光オン・デマンド有機合成法は、ホスゲンを用いるカーボネート合
成のほとんどに利用することが可能。また、これまで毒性の高い試
薬を用いなければならなかったために躊躇されてきた、
特殊なカーボネートや機能性ポリカーボネートなどの合成を可能に
します。これによって、様々な元素や機能性官能基を、カーボネー
ト化合物へ自在に導入でき、医薬品やポリマー材料の分子レベルで
の高性能・高機能化が達成され、より独創性および新規性の高い高
付加価値製品の開発に結びつくことが期待されます。ホスゲンを直
接用いる現行法は、大規模少品種の工業生産に適しているが、本法
は小規模多品種の化学品生産に適しており、小中規模の化学薬品製
造メーカーに大きな恩恵があると期待されます。当グループでは、
神戸大学発ベンチャー企業を立ち上げ、オリジナル化学品の生産、
受託合成、ライセンス事業の展開を予定している。
【論文情報】
タイトル“Photo-on-Demand in situ Phosgenation Reactions that Cross
Three Phases of a Heterogeneous Solution of Chloroform and Aqueous
NaOH

DOI:10.1021/acsomega.3c04290

人工照明によるウナギの摂餌活性低下を発見
7月19日、九州大学の研究グループは,水産重要種かつ絶滅危惧種
であるニホンウナギについて,水辺の人工照明が日没直後における
本種の摂餌活性の上昇を妨げることを発見。
【要点】
1.夜間の人工光による生態への影響(光害)は、世界中の動植物
 において問題となっている。
2.水辺の人工照明によって、日没直後のウナギの摂餌活性が低下
 することを発見した。
3.ウナギをはじめとした河川・農業用水路に生息する生物の保全
 に役立つと期待される。



図.水辺の人工照明の有無による釣獲頻度の変化(左図)と照明やウ
 ナギ筒の有無による行動の違い(右図)
【展望】
ウナギが受け取っていた光の明るさ、昼間の隠れ家から餌場までの
距離、餌場における隠れ家の量、餌⽣物の量や⾏動などを定量する
ことができなかった。今後、より厳密に環境を制御した野外調査や
⾏動実験を⾏い、⽔辺の⼈⼯照明によるウナギへの影響や、⼈⼯光
による餌⽣物とウナギとの相互作⽤への影響をさらに詳しく調べる。
※ニホンウナギの生活史 西マリアナ海嶺付近で生まれたウナギの
子どもは、2000キロメートル以上を旅して我々の生活圏にたどり着
き、沿岸や河川・農業用水路などで数年から十数年かけて大きく成
長する。その後、再び海を渡り、産卵場で一生を終える。
【関連論文】
掲載誌:Environmental Biology of Fishes
タイトル:The effects of artificial light at night on the foraging activity of
Japanese eels: implications of recreational fishing data(ニホンウナギの
摂餌活性に与える夜間の人工光の影響:遊漁記録からの示唆)

DOI: 10.1007/s10641-023-01450-w
※以上、今週は盛りだくさんの論文を取り上げてみた。どれ1つと
  っても興味深いものであり、この暑さは堪える。まぁ~何とかす
 るさと開き直る。



風蕭々と碧いの時

John Lennon Imagine

【 J-POPの系譜を探る:2020年代】



● 今夜の寸評:先端技術で世界一をめざし、世界に貢献。

  

 


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