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新成長経済理論考 ⑱

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ


  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
>新成長経済理論考 ⑱
● 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中


【全固体型リチウム電池特許事例 ②】


表面改質  形態制御
SEI分析(Solid Electrolyte Interphase)  全固体リチウム電池
図 二次電池負極SEI被膜の元素分布評価・化学状態評価

先回は、全固体型リチウム二次電池型負極の高付加価値のカーボンナノチューブ
シートの製造方法を考察したが、今回は正極の最新特許事例(審査請求中)を考
察してみよう。

1.特開2023-178184 常温駆動型全固体電池及びその製造方法 現代自動車株
 式会社他
【概要】
全固体電池は、正極集電体に接合された正極活物質層と負極集電体に接合された
負極活物質層、並びに正極活物質層と負極活物質層との間に固体電解質層が配置
された3段積層体で。一般に、前記負極活物質層は、黒鉛などの負極活物質の他
に、リチウムイオンの移動のための固体電解質を含む。固体電解質は、液体電解
質に比べて比重が大きい、全固体電池のエネルギー密度は液体電解質を用いるリ
チウムイオン電池に比べて低い。 前記問題を克服し、全固体電池のエネルギー密
度を高めるために、負極にリチウム金属を適用する研究が進められているが、界
面接合、リチウムデンドライトの成長などの研究的技術問題から、価格、大面積
化などの産業的技術問題まで商用化のために克服すべき障害物が多く存在する。 

近年、負極を除去し、リチウムイオン(Li+)を負極集電体上にリチウム金属
などに直接析出させる貯蔵型方式の無負極全固体電池に関する研究も進められて
いる。ただし、無負極全固体電池は、リチウムイオンが負極集電体上に均一に析
出されないため、不活性リチウム(Dead lithium)が形成されるなどの問題があ
る。本発明は、常温でも正常に充放電が可能な無負極全固体電池及びその製造方
法を提供することを目的とする。下図1のごとく、本発明の一実施例に係る全固
体電池は、負極集電体と、前記負極集電体上に位置する中間層と、前記中間層上
に位置する固体電解質層と、前記固体電解質層上に位置し、リチウムイオンを吸
蔵及び放出する正極活物質を含む正極活物質層と、前記正極活物質層上に位置す
る正極集電体と、を含み、前記中間層は、炭素材及びリチウム合金を含んでもよ
い。
前記リチウム合金は、リチウムと、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(P
d)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、
スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、及びこれらの組み合わせからなる群れから選択さ
れた少なくとも1つを含む金属との合金を含んでもよい。前記リチウム合金の粒
度(D50)は、50nm以下であってもよい。 前記中間層は、放電状態で前記
リチウム合金を含んでもよい。中間層は、前記炭素材30重量%~85重量%及
び、前記リチウム合金15重量%~70重量%を含んでもよい。
中間層は、それぞれ前記炭素材及びリチウム合金を含む複数の層から構成された
ものであってもよい。 
中間層の各層は、層間界面で互いに区分されており、前記層間界面は、リチウム
イオンは通過させ、前記リチウム合金は通過させないものであってもよい。中間
層の厚さは、3μm~30μmであってもよい。 記全固体電池は、駆動温度が
40℃以下のものであってもよい。本発明の一実施例に係る全固体電池の製造方
法は、負極集電体、前記負極集電体上に位置し、炭素材及びリチウムと合金を形
成し得る金属を含む前駆体層、前記前駆体層上に位置する固体電解質層、前記固
体電解質層上に位置し、リチウムイオンを吸蔵及び放出する正極活物質を含む正
極活物質層及び前記正極活物質層上に位置する正極集電体を含む積層体を準備す
るステップと、積層体を充電して前記金属とリチウムとの合金反応を起こすこと
により、前記炭素材及びリチウム合金を含む中間層を形成するステップと、を含
んでもよい。
前記金属は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)
銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、亜鉛(
Zn)、及びこれらの組み合わせからなる群れから選択された少なくとも1つを
含んでもよい。製造方法は、前記積層体を45℃~60℃で充電するものであっ
てもよい。製造方法は、積層体を2.5V~4.25Vの電圧範囲で、0.1C
~1Cの充電率で、SoC(State of charge)10%以下で充電して金属とリチ
ウムとの合金反応を起こすことであってもよい。 
記製造方法は、前駆体層をそれぞれ前記炭素材及び金属を含む複数の層から構成し
て、前記中間層をそれぞれ前記炭素材及びリチウム合金を含む複数の層から形成
することであってもよい。


図3.本発明に係る中間層の第2実施例
【符号の説明】
10:負極集電体 20:中間層 30:固体電解質層 40:正極活物質層 50:
陽極集電体 60:前駆体層
【発明の効果】
本発明によれば、常温でも正常に充放電が可能な無負極全固体電池を得ることが
できる。本発明の効果は、前述の効果で限定されない。本発明の効果は、以下の
説明で推論可能な全ての効果を含むものと理解されるべきである。

【発明を実施するための形態】 
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に関連する以下の
好ましい実施例を通じて容易に理解することができる。しかし、本発明は、ここ
で説明される実施例に限定されず、他の形態で具体化されてもよい。むしろ、こ
こで紹介される実施例は、開示された内容が徹底かつ完全になるように、そして、
通常の技術者に本発明の思想が 十分に伝達されるようにするために提供されるも
のである。 
図1は、本発明に係る全固体電池を示すものである。これを参照すると、前記全
固体電池は、負極集電体10、前記負極集電体10上に位置する中間層、前記中
間層20上に位置する固体電解質層30、前記固体電解質層30上に位置する正
極活物質層40及び前記正極活物質層40上に位置する正極集電体50を含んで
もよい。 
図1は、前記全固体電池の放電状態を示すものである。前記全固体電池を充電す
ると、前記正極活物質層40から放出されたリチウムイオン(Li+)は、前記
固体電解質層30を介して前記中間層20に移動する。その後、前記リチウムイ
オンは、前記負極集電体10と中間層20との間及び/または前記中間層20の
内部に析出及び貯蔵されてリチウム金属層(図示せず)を形成することができる。
前記負極集電体10は、電気伝導性のある板状の基材であってもよい。具体的に
は、前記負極集電体10は、シート、薄膜またはホイルの形態を有するものであ
ってもよい。

前記負極集電体10は、リチウムと反応しない素材を含んでもよい。具体的には、
前記負極集電体10は、Ni、Cu、SUS(Stainless steel)、及びこれらの組
み合わせからなる群れから選択された少なくともいずれか一つを含んでもよい。
従来技術で負極集電体上に炭素材、金属などを含むコーティング層を形成すると、
負極集電体上にリチウム金属を均一に析出することができるという結果が報告さ
れている。具体的には、充放電の初期にリチウムイオンと金属のリチウム化(Lit-
hiation)反応が起こって合金が形成され、前記合金がリチウムイオンの円滑な伝
導及び均一な析出を誘導するということである。ただし、前記のようなリチウム
化反応は、約45℃以上の高温でのみ起こるため、約25℃の常温では、前記の
ような無負極全固体電池が正常に駆動しない。

図2

図2は、本発明に係る中間層20の第1実施例を示すものである。本発明は、前
記従来技術の問題点を解決するために、前記負極集電体10上に炭素材21及び
リチウム合金22を含む中間層20を適用したことを特徴とする。 
前記リチウム合金22は、前記中間層20内でリチウムイオンの移動経路を提供
することができる。特に、前記中間層20は、放電状態で前記リチウム合金22
を含んでもよい。すなわち、従来技術に係る無負極全固体電池とは異なり、本発
明は、充電の初期に前記リチウム合金22を形成するためのリチウムイオンと金
属とのリチウム化反応を必要としない。したがって、本発明に係る全固体電池を
常温で充電するとき、リチウムイオンは、前記中間層20内で前記リチウム合金
22を介して円滑に移動することができる。ここで、「放電状態」とは、前記全
固体電池の容量残量が15%以下、または10%以下、または5%以下、または
ゼロとなる状態を意味する。
前記リチウム合金22は、リチウムと、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(
Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi
)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、及びこれらの組み合わせからなる群れから選
択された少なくとも1つを含む金属との合金を含んでもよい。前記リチウムと金
属の比率は特に制限されない。例えば、前記リチウム合金は、前記リチウムと金
属が0.1~99.9:0.1~99.9の重量比で合金化したものであっても
よい。
前記リチウム合金22の粒度D50は、50nm以下であってもよい。前記粒度
D50の下限は、特に制限されず、例えば、5nm以上、または10nm以上、
または20nm以上であってもよい。
前記炭素材21は、非晶質炭素(Amorphous carbon)を含んでもよい。非晶質
炭素は特に制限されないが、例えば、ファーネスブラック(furnace black)、ア
セチレンブラック(acetylene black)、ケッチェンブラック(ketjen black)な
どを含んでもよい。中間層20は、30重量%~85重量%の炭素材21及び
15重量%~70重量%のリチウム合金22を含んでもよい。リチウム合金22の
含有量が15重量%未満であると、間層20内のリチウムイオンの移動が滑らか
でないことがあり、その含有量が70重量%を超えると、分散性が低下すること
もある。
一方、具体的なメカニズムは究明されていないが、リチウム合金22は、その形
成過程で前記中間層20内に均一に分布せず、図2のように前記負極集電体10
側に移動する様子を示す。したがって、中間層20は、その厚さ方向に前記リチ
ウム合金22の含有量が高い部分と低い部分とに区分される。結果として、中間
層20のうち、リチウム合金22の含有量が低い部分ではリチウムイオンの移動
が滑らかでないことがある。
殿出図3は、本発明に係る中間層20’の第2実施例を示すものである。これを
参照すると、中間層20’は、それぞれ前記炭素材21’及びリチウム合金22’
を含む複数の層から構成されたものであってもよい。図3は、前記中間層20’
を2つの層で示しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、層の個
数は全固体電池の仕様、目的とする特性に応じて適宜調節することができる。

中間層20’の複数の層は、層間界面Aで互いに区分されてもよい。層間界面A
は抽象的または観念的な構成ではなく、各層を物理的に区分する界面を意味する。
したがって、前記中間層20’の製造過程において、各層に含まれたリチウム合
金22’が負極集電体10側に移動する挙動が見せても、前記層間界面Aを通過す
ることはできない。結果として、第2実施例に係る中間層20’は、その厚さ方
向にリチウム合金22’の含有量の分布に大きく差がないため、リチウムイオン
が円滑に移動することができる。また、リチウム合金22’が負極集電体10側
に移動して各層内にリチウム合金22’の含有量が低い部分が生じても、その距
離が短いため、全体としてのリチウムイオンの伝導度には大きな影響を与えない。 

一方、前記リチウム合金22’は、層間界面Aを通過できないだけで、前記層間
界面Aの周囲に分布しているため、リチウムイオンは前記層間界面Aを通過する
ことができる。前記中間層20の厚さは、3μm~30μmであってもよい。厚
さが3μm未満であると、リチウムイオンの均一な析出及び貯蔵が難しく、30
μmを超えると、リチウムイオンの移動が円滑でなく、全固体電池のエネルギー
密度が低くなることがある。前述のように、本発明に係る全固体電池は、放電状
態で前記中間層20にリチウムイオンを伝導できるリチウム合金22が存在する
ため、高温で充放電をする必要がない。すなわち、前記全固体電池の駆動温度は
40℃以下であってもよい。駆動温度の下限は、特に制限されず、本発明の属す
る技術分野において、通常考慮される電池の駆動温度の下限と同一または類似し
ていてもよい。前記固体電解質層30は、前記正極活物質層40から前記中間層
20にリチウムイオンを伝導する構成であってもよい。
前記固体電解質層30は、リチウムイオン伝導性のある固体電解質を含んでもよ
い。固体電解質は、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、高分子電解質、
及びこれらの組み合わせからなる群れから選択された少なくとも1つを含んでも
よい。ただし、リチウムイオン伝導度の高い硫化物系固体電解質を用いることが
好ましい。前記硫化物系固体電解質は、特に制限されないが、Li2S-P2S5、Li
2S-P2S5-LiI、Li2S-P2S5-LiCl、Li2S-P2S5-LiBr、Li2S-P2S5-Li
2O、Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-
LiBr、Li2S-SiS2-LiCl、Li2S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-SiS2-P2S5-LiI
、Li2S-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(ただし、m、nは、正の数、Zは、Ge、Zn、G
aのうち、1つ)、Li2S-GeS2、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-LixMOy(
ただし、x、yは、正の数、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのうち、1つ)、Li10GeP2S
12などを含んでもよい。 前記酸化物系固体電解質は、ペロブスカイト型(perovskite)
LLTO(Li3xLa2/3-x TiO3)、リン酸塩(phosphate)系のナシコン(NASICON)
型LATP(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3)などを含んでもよい。 前記高分子電解質は、
ゲル高分子電解質、固体高分子電解質などを含んでもよい。 
前記正極活物質層40は、正極活物質、固体電解質、伝導材、バインダーなどを
含んでもよい。前記正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する
構成である。前記正極活物質は、酸化物活物質または硫化物活物質を含んでもよ
い。 【0052】 前記酸化物活物質は、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiVO2、
Li1+xNi1/3Co1/3Mn1/3O2などの岩塩層型活物質、LiMn2O4、Li
(Ni0.5Mn1.5)O4などのスピネル型活物質、LiNiVO4、Li
CoVO4などの逆スピネル型活物質、LiFePO4、LiMnPO4、Li
CoPO4、LiNiPO4などのオリビン型活物質、Li2FeSiO4、
Li2MnSiO4などのケイ素含有活物質、LiNi0.8Co(0.2-x
)AlxO2(0<x<0.2)のように遷移金属の一部を異種金属で置換した岩
塩層型活物質、Li1+xMn2-x-yMyO4(Mは、Al、Mg、Co、
Fe、Ni、Znのうち少なくとも一種であり、0<x+y<2)のように、遷
移金属の一部を異種金属で置換したスピネル型活物質、Li4Ti5O12など
のチタン酸リチウムを含んでもよい。 前記硫化物活物質は、銅シェブレル、硫化
鉄、硫化コバルト、硫化ニッケルなどを含んでもよい。

前記固体電解質は、酸化物固体電解質または硫化物固体電解質を含んでもよい。
ただし、リチウムイオン伝導度の高い硫化物系固体電解質を用いることが好まし
い。前記硫化物系固体電解質は、特に制限されないが、Li2S-P2S5、Li2S-
P2S5-LiI、Li2S-P2S5-LiCl、Li2S-P2S5-LiBr、Li2S-P2S5-Li2O、
Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-LiBr、
Li2S-SiS2-LiCl、Li2S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-SiS2-P2S5-LiI、Li2S
-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(ただし、m、nは、正の数、Zは、Ge、Zn、Gaのうち
、1つ)、Li2S-GeS2、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-LixMOy(ただし、
x、yは、正の数、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのうち、1つ)、Li10GeP2S12など
であってもよい。
前記導電材は、カーボンブラック(Carbon black)、伝導性グラファイト(Cond
ucting graphite)、エチレンブラック(Ethylene black)、グラフェン(Graphene)
などであってもよい。 前記バインダーは、 BR(Butadiene rubber)、NBR(Nitrile but-
adiene rubber)、HNBR(Hydrogenated nitrile butadiene rubber)、PVDF(polyv-
inylidene difluoride)、PTFE(polytetrafluoroethylene)、CMC(carboxymethylce-
llulose)であってもよい。  前記正極集電体50は、電気伝導性のある板状の基材であっ
てもよい。前記正極集電体50は、アルミニウム薄板(Aluminium foil)を含んで
もよい。 

図4.
図4は本発明に係る全固体電池の製造方法を説明するための参考図である。図1
及び図4を参照すると、前記製造方法は、負極集電体10、前記負極集電体10
上に位置し、炭素材及びリチウムと合金を形成し得る金属を含む前駆体層60、
駆体層60上に位置する固体電解質層30、前記固体電解質層30上に位置する
正極活物質層40及び前記正極活物質層40上に位置する正極集電体50を含む
積層体を準備するステップと、前記積層体を充電して前記金属とリチウムとの合
金反応を起こすことによって前記炭素材及びリチウム合金を含む中間層20を形
成するステップと、を含んでもよい。
 前記積層体の各層を製造する方法は、特に制限されず、乾式または湿式で製造し
てもよい。例えば、各層の材料を粉末状態で混合した後、一定の圧力で加圧する
か、スラリーに作った後、基材上に塗布及び乾燥して製造してもよい。 前記金属
は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(A
g)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、
及びこれらの組み合わせからなる群れから選択された少なくとも1つを含んでも
よい。

前記前駆体層60をそれぞれ前記炭素材及び金属を含む複数の層から構成すると、
図3のように複数の層から構成された中間層20’を形成することができる。 【
図4を参照すると、前記積層体を充電すると、前記正極活物質層40から放出さ
れたリチウムイオンが固体電解質層30を介して前駆体層60に移動する。前記
リチウムイオンは、前記前駆体層60の金属とリチウム化反応してリチウム合金
を形成する。
前記リチウム化反応を起こすために、前記積層体の充電は45℃~60℃で行っ
てもよい。前記積層体を45℃未満の温度で充電すると、リチウム合金が形成さ
れないこともある。また、前記積層体の充電は、2.5V~4.25Vの電圧範
囲、0.1C~1Cの充電率、10%以下のSoC(State of charge)の条件で
行ってもよい。ここで、「SoC」は、充電状態を意味し、現在、使用可能な電
池の容量を総容量で割って百分率で表現したものであってもよい。前記SoCは、
電圧測定法または電流積分法によって測定することができる。前記電圧測定法は、
電池の電圧を測定し、放電曲線と対照して計算するものであってもよい。前記電
流積分法は、電池の電流を測定した後、時間に応じて積分して計算することができ
る。 

前記リチウム合金を形成するリチウムイオンは、以降、全固体電池の常温駆動時
に再び正極活物質に戻ることなく、リチウム合金として存在する。したがって、
積層体の充電をSoC10%超過条件で行うと、正極活物質に残っているリチウ
ムイオンの量が減り、電池の容量が低下することがある。また、前記のような問題
点を解決するために、リチウム合金を過量投入するか、正極活物質のローディン
グ量を高めることもできる。特に、正極活物質のローディング量を高めて正極の
容量が負極に比べて大きくなると、正極容量が全て発現しても負極の電位がリチ
ウム合金が分解する電位まで上がらないため、前記のような問題が生じることを
効果的に防止することができる。

以下、実施例を通じて本発明の他の形態をより具体的に説明する。下記の実施例は
、本発明の理解のための例示に過ぎず、本発明の範囲は、これに限定されるもの
ではない。
実施例1 図4のような積層体を準備した。具体的には、負極集電体上に炭素材及
び銀(Ag)を含む前駆体層を形成した。前記前駆体層上に、硫化物系固体電解
質を含む固体電解質層を形成した。前記固体電解質層上にニッケル-コバルト-
マンガン正極活物質を含む正極活物質層を形成した。前記正極活物質層上に正極
集電体を付着して積層体を作製した。 
前記積層体を、約50℃で、2.5V~4.25Vの電圧範囲、及び0.33C
の充電率で充電してリチウム-銀合金を含み、厚さが約5μm~10μmであり、
単層である中間層を形成した。前記中間層を含む全固体電池を実施例1として設
定した。

実施例2 前駆体層を2層から形成したことを除いては、実施例1と同様の方法で
積層体を製造した。 前記積層体を実施例1と同一の条件で充電してリチウム-銀
合金を含み、厚さが約5μm~10μmであり、2層である中間層を形成した。
前記中間層の各層の厚さは互いに同一に調節した。前記中間層を含む全固体電池
を実施例2として設定した。比較例 実施例1の積層体を比較例として設定した。


図5.
図5は、実施例1に係る全固体電池の断面を走査電子顕微鏡及びエネルギー分散
X線分光法(Energy dispersive X-Ray spectrometer、EDS)で分析した結果
である。

図6.
図6は、実施例2に係る全固体電池の断面を走査電子顕微鏡及びエネルギー分散
X線分光法(EDS)で分析した結果である。
図5のEDS結果を参照すると、実施例1は、中間層の厚さ方向に負極集電体側
に銀(Ag)元素が多く存在することが分かる。すなわち、実施例1の中間層は、
リチウム-銀合金がその製造過程で負極集電体側に移動して含有量の勾配が生じ
たことが分かる。
これに対し、図6のEDS結果を参照すると、実施例2は、中間層の厚さ方向に
銀(Ag)元素が均一に分布することが分かる。すなわち、実施例2では、層間
界面によりリチウム-銀合金の移動が抑制され、前記中間層の厚み方向にリチウ
ム-銀合金が均一に存在する。

実施例1、実施例2及び比較例に係る全固体電池を、約25℃で、SoC100
%となるように充電した。 

図7aは、比較例に係る全固体電池を充電した後、その断面をイオンビーム断面
加工機-走査電子顕微鏡(Cross section polisher-Scanning electron micro-s
cope、CP-SEM)で分析した結果である。これを参照すると、比較例は、リチウ
ムイオンが前駆体層を通過することができず、固体電解質層と中間層との間で電
着したことが分かる。これは、常温充電により、リチウムイオンが比較例の前駆
体層に含まれた銀(Ag)とリチウム化反応ができなかったためである。リチウ
ムイオンが固体電解質層と中間層との間に電着すると、樹脂状リチウムが成長して
電池の短絡が生じる可能性がある。 


図7b
図7bは、実施例1に係る全固体電池を充電した後、その断面をイオンビーム断
面加工機-走査電子顕微鏡(CP-SEM)で分析した結果である。これを参照す
ると、実施例1は、リチウムイオンが中間層に移動してその内部に電着したこと
が分かる。したがって、実施例1に係る全固体電池は、常温でも樹脂状リチウム
の成長を抑制しながら、可逆的な充放電が可能であることを確認することができ

図7c
図7cは、実施例2に係る全固体電池を充電した後、その断面をイオンビーム断
面加工機-走査電子顕微鏡(CP-SEM)で分析した結果である。これを参照
すると、実施例2は、リチウムイオンが中間層と負極集電体との間に高密度に電
着したことが分かる。これは、実施例2の中間層には、リチウム合金が均一に分
布するため、リチウムイオンが前記中間層内で円滑に移動したためである。 


図8
図8は、実施例1、実施例2及び比較例に係る全固体電池の容量を測定した結果
である。前記容量は、各全固体電池を、約25℃で、2.5V~4.25Vの電
圧範囲で充放電して測定した。これを参照すると、実施例1及び実施例2が、比
較例に比べて充電容量が高く、抵抗が低いことが分かる。これは、実施例1及び
実施例2が比較例に比べてリチウムイオンの伝導性が高く、電着特性が改善され
たためである。

図9
図9は、実施例1、実施例2及び比較例に係る全固体電池の耐久性を評価した結
果である。各全固体電池を、約25℃で、2.5V~4.25Vの電圧範囲で充
放電し、各サイクルにおける容量保持率を測定した。これを参照すると、実施例
1及び実施例2が比較例に比べて容量保持率が高いことが分かる。これは、実施
例1及び実施例2においてリチウムが均一に電着するためである。特に、実施例
2は、30回の充放電を基準として約95%に達する容量保持率を示す。これは、
図7cから分かるように、実施例2は、リチウムが中間層と負極集電体との間に
リチウムが高密度に電着して可逆性が高いためである。

以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は前述の実
施例に限定されず、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用
いた当業者の種々の変形及び改良形態も、本発明の権利範囲に含まれる。
【関係技術情報】 リチウム カーボン 負極 是津信行 橋本剛社長 CNT(カー
ボンナノチューブ)搭載の高性能バッテリーが世界を席巻する日。 2021年5月19
日、信州大学が強みを持つ炭素素材カーボンナノチューブ(CNT)を電極に使用し
た、新たな高性能リチウムイオンバッテリーを開発・製造する信州大学発ベンチ
ャー、信州ボルタ(株)が事業を開始。 


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