彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成の
軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を
合体させて生まれた。
絶え間なく降り注ぐ太陽エネルギーが『贈与経済』の源
古代より世界各地で太陽は崇められ、崇拝と伝承は信仰を形成してきましたが、
太陽崇拝は、単一神教から始まり唯一神教に終わるとされている。そして、唯一
神教は、アブラハムの宗教と呼ばれる一神教であるユダヤ教とそれを起源とする
キリスト教、イスラム教などとして発展してきた。そのユダヤ教も、古代エジプ
トで紀元前14世紀に成立したアテン信仰の影響強く受けたと言われている。さて
太陽から放出された光は、熱核融合反応により、水素がヘリウムに変換され、1
秒当たりでは約 3.6 ×1038個の陽子(水素原子核)がヘリウム原子核に変化し、
1秒間に地球軌道付近で約1.37kW/m2(太陽定数)のエネルギーを持ち、これが
地球軌道上の人工衛星が受光できるエネルギーとなり、光子の数して1平方メー
トル・秒あたり 6×1021個(10垓個)以上になり、太陽で爆発が起きると、太陽
風で大きな影響を受けるエックス線は殆どが大気で遮断され、有紫外線も成層圏
のオゾン層で90%以上がカット、可視光線、赤外光も、大気圏の反射・散乱・吸
収などにより平均4割強が減衰し地上に達し、大気を通過する距離が変わるため、
地上の各地点で受光できるエネルー密度は緯度や季節、時刻て変化し、日本付近
では最大約 1kW/m2のエネルギーとなり降り注がれる。
※アメンホテプ4世は、古代エジプト第18王朝のファラオである。それまで行な
われていたアメン=ラーを中心に据えた多神教信仰を、唯一神アトン(アテン) を
信仰する世界初と言われる一神教へ移行するという宗教の大改革を実施したこと
で知られ、「異端の王」の異名も持つ。
✺ ペロブスカイト太陽電池、高効率化と低コスト化で躍進
次世代太陽電池の本命として、ペロブスカイト太陽電池が注 目されている。
2019年ごろまでは、量子ドット型や色素増感型などと並ぶ次世代太陽電池 の一
角にすぎなかった。今では、主流の結晶シリコン(Si)型並みの効率とコストを
実現できる可能性が高まったことから、日本の官民を挙げて普及に取り組んでいる。
<ペロブスカイト太陽電池、高効率化と低コスト化で躍進
次世代太陽電池の本命として、ペロブスカイト太陽電池が注目されている。2019
年ごろまでは、量子ドット型や色素増感型などと並ぶ次世代太陽電池の一角にす
ぎなかった。今では、主流の結晶シリコン(Si)型並みの効率とコストを実現で
きる可能性が高まったことから、日本の官民を挙げて普及に取り組んでいる。日
本の大手メーカーは、ペロブスカイト太陽電池について研究開発から製品化へと
舵(かじ)を切り始めた。例えば、パナソニックは神奈川県藤沢市のモデルハウ
スにペロブスカイト太陽電池を搭載し、実証試験を進めている。期間は、2023年
9月から1年以上と長期にわたる。同社は今後5年以内、すなわち2029年までの製
品化を目標に掲げる。
※パナソニックはモデルハウスにペロブスカイト太陽電池を搭載して実証試験を 行っている(出所:パナソニック)
積水化学工業は、2025年4月にリニューアル工事が完了する予定の大阪本社におい<て、外壁に自社製ペロブスカイト太陽電池を実装する。完成すれば、建物の外壁にペロブスカイト太陽電池を常設する国内初の事例になる。
柔軟かつ軽量
ペロブスカイト太陽電池は、その名の通り「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶構
造の材料を使った太陽電池である。基板の上に薄い膜を形成する薄膜系太陽電池の一種だ。フィルムを基板にすれば、柔軟かつ軽量にできる。現在主流の結晶Si太陽電池は、結晶Siの塊(インゴット)をスライスして作製した基板上に電極を形成する。そのため、柔軟性に乏しく、軽量化に限界がある。 ペロブスカイト構
造の材料を世界で初めて太陽電池に応用して発電に成功したのは、桐蔭横浜大学
の宮坂力教授だ。同氏は2009年に論文を発表した。その潜在的な変換効率の高さ
から、次世代太陽電池の有望株として注目され、研究者が増えた。変換効率とし
て実験室レベルのセル(発電素子)で25%、モジュールで20%近くを達成した成
果も出てきた。すなわち、結晶Si型に匹敵する変換効率が射程に入った。従来、
薄膜系太陽電池は結晶Si型に比べて効率が低いという課題があったが、ペロブス
カイト太陽電池はその課題を克服できる可能性が高まっている。加えて、ロール・ツー・ロールと呼ばれる印刷技術を使った製法で効率的に量産できれば、製造コ
ストが大幅に下がる。このように高効率、軽量、低コストという強みがそろい始めたことで、太陽光発電市場のゲームチェンジャーになり得るとの認識が高まり、世界的に開発競争が活発になっている。国内では、前出のパナソニックや積水化学工業のほか、東芝やカネカ、シャープといった大手企業、エネコートテクノロジー(京都府久御山町)などのスタートアップが研究成果を公表し、製品化を目指している。
課題の耐久性も克服へ
一方、耐久性が低いことがペロブスカイト太陽電池の積年の課題で、実験室で試
作した直後から劣化が始まると長らくいわれてきた。発電性能を維持できる期間
は約5年という水準が続いた。構造上、水分や酸素、紫外線に弱いことから、屋
外で実証できないという状況だった。これでは、最短でも10年の稼働を求められ
る発電事業には採用できない。こうした状況を打破しようという動きが出ている。例えば、積水化学工業は2025
年の事業化を目指して、変換効率よりも耐久性重視で研究開発に取り組んでいる。
既に、ロール・ツー・ロールで作製したペロブスカイト太陽電池において、約10
年の耐久性を確保したという。現在、駅舎や下水処理場、火力発電所などの公共
的な施設で屋外実証を始めている。
※「ラスト・ディケイド: It's my action plan for the last decade 」とし今
年1月よりカウント・ダウンがはじている。当面、「環境工学研究所 WEEF」(
HP)の再生可能エネルギー事業のトップ「太陽光&人工光発電事業推進強化」を
課題シリーズとして掲載は始める。尚、公式ホームページの閲覧室は閉鎖中で掲
載文章から一部転載)。
マクニカと東京都,ペロブスカイトPVで実証事業開始
3月5日、マクニカは,東京都と,自治体として初となるペロブスカイト太陽電池を用いた
空気質モニタリングソリューションの実証事業を開始したことを発表。ペロブスカイト太陽電池(PSCs)は,薄く,軽く,曲がり,材料によって半透明
にすることが可能な,次世代太陽電池の大本命として注目されているが、少ない
光量でも発電することができるため,身の回りの小型電子機器や,これまで太陽
光パネルを設置できなかったようなビルの壁面,宇宙空間など,さまざまな場所
で独立電源を得ることが可能となり,大面積塗布技術によって大幅なコスト削減
が期待されている。同社は,昨年,京都大学発スタートアップのエネコートテク
ノロジーズのペロブスカイト太陽電池を採用した空気質センサーを開発,実証実
験を続けてきたが,今回東京都と協力し,エネコートと三者で,自治体として初,また実オフィス環境下においても初となる実証事業を開始することになったという。ここで使用する空気質センサーとは,空気の品質を常時チェックし,モニターす
る同社のソリューションの一つ。CO2,PM(ほこり,ちり),有害物質,および
湿度・温度の数値から,快適に過ごせる空気質空間かを可視化する(商品名AiryQonnect(エアリーコネクト)」)。今回ペロブスカイト太陽電池を組み込む
ことで,独立電源を確保し,設置場所の自由度やバッテリー交換不要といった面で,環境負荷の少ない空気質の観測が可能になることが期待されている。同社は,今後は,東京都庁の執務室内を,空気質モニタリング(CO2,温湿度,照度)の
実証の場として活用し,ペロブスカイト太陽電池搭載のIoTセンサー端末の量産
化に向けて,検討・検証を進めていくという。これを機に,持続可能なエネルギ
ー源となるペロブスカイト太陽電池の実用化と,また,空気質改善による都民の
生活品質の向上が実現できるよう,三者で積極的に取り組む。
将来の大量廃棄が懸念される太陽光パネル。そのリサイクル装置がお披露目され
た。26日に公開された太陽光パネルのリサイクル装置は、中部電力のグループ企
業が港湾運送会社と設立した「中電ソザイテラス」が運用するもので、太陽光パ
ネルが1枚およそ1分でガラスやアルミフレームなどに分解されます。太陽光パネ
ルの寿命は20年から30年程度とされるため、2030年頃には大量に廃棄されるおそ
れが指摘されています。このため廃棄されたパネルのリサイクルが大きな課題に
なっていて、事業担当者は、今後年間で最大12万枚の太陽光パネルの処理を予定
している。
✺ 低温熱分解法で太陽光パネルをリサイクル3月4日、トクヤマは,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共
同開発で低温熱分解法による廃太陽光パネルの高度リサイクル処理技術の事業化
を進めている。太陽光発電で使用する太陽光パネルは製品寿命が20~30年といい,2030年には太陽光パネルが大量廃棄されると懸念されている。リサイクル処理の
際,フレームおよびモジュール部分の解体が必要となる。フレームは解体してア
ルミとして再生可能だが,モジュール部分は,ガラス,樹脂,セル,リボンが強
固に結合しているので解体分離が非常に困難となる。そこで同社は,熱を加えて
樹脂を溶融落下させ,セラミックフィルタ内で完全に熱分解し,一度の処理でガ
ラス,樹脂,セル,リボンをきれいに分離させることを可能とした。800×1700~1800mmのパネルを1枚あたり12分かけて熱分解を行ない,コストは1W3円以下とし
ている。単結晶と多結晶に対応している。行程としては廃棄する太陽光パネルのアルミフレームを,ガラスを割らずに取り
除き,セラミックフィルタトレイを搭載した熱分解炉で樹脂の部分を溶かしていく。その際,LPガスを燃焼させた熱風をファンにて循環させる。熱風は分解炉の
下部より供給されて,太陽光パネルを酸化分解する。樹脂の燃焼エネルギーを利
用し、LPガスの消費量を低減させサーマルリサイクルする。その後処理されたパ
ネルはガラス,セル,リボンに選別機によって選別する。板ガラスは品質を保つ
ため,熱分解後に付着したセルやリボンなどをブラシによって取り除く。 これ
により,ほぼ全ての部品がリサイクル可能になり,60%を占めるガラスを板ガラ
スの原材料ほか,リサイクル材として活用することができる。同社は,低コスト
で高品質なガラス,セル,リボンのリサイクルでSDGsに貢献していく。
✺ ホットナイフ分離法で太陽光パネルを処理
3月4日、産業廃棄物の分別処理を行なう浜田は,廃棄となった太陽光パネルを「ホットナイフ式ガラス/EVA(太陽電池封止材)分離装置」によりガラスとセルシートに分離し,ガラスや金属などの素材を回収・リサイクルできる資源循環型の
リサイクルを行なっている。太陽光パネルのリサイクル方法は,現時点で確立されておらず,銀や銅などの金属,ガラスのような有用資源が回収されないまま,産業廃棄物として埋立処理さ
れており,環境負荷が高く,コストも高いという課題がある。同社では不要にな
ったパネルを産業廃棄物処理の中でもリサイクル率の高い方法で適正処理をする。ジャンクションボックスを取り出した後,アルミフレームを取り外す。アルミフレームは分離機によりメーカー・年式を問わず一律に処理が可能だという。世界唯一の特許技術とする約300℃に加熱したナイフでEVAを溶融し,ガラスを割
らずに,その他の部材ときれいに分離できる「ホットナイフ分離法」を用いている。ガラスと金属の完全リサイクルにより,環境負荷を大幅に低減可能だという。現在,1日に100枚の処理を行なっているが,最大で500枚の処理が可能。1枚の処
理に1分半かかるという。コストとしては1枚3000円。処理できるのはシリコンの
結晶パネルで,化合物パネルは協力業者に依頼する。ガラスを割らずにEVA/セル
層と分離する解体ラインで,処理したガラスはそのままの大きさで出てくる。写
真の大きさは約1100×1800の大きさだという。ホットナイフで分離したガラス以
外のシートは粉々に破砕して篩選別をする。太陽電池パネルには,曲面加工パネ
ルや両面発電パネルなどの特殊なパネルがあるが,現在,同社は一般的な片面発
電パネルだけに対応しているという。
【特許事例】
1.特許6902240 太陽電池モジュールの枠取り外し装置 株式会社 浜田他
【概要】
下図1のごとく、太陽電池モジュールPVを載置する台部2と、台部2上に載置
された太陽電池モジュールPVの上面に当接して太陽電池モジュールPVを台部
2上に固定する固定手段3と、台部2の外側に設けられ、台部2上に固定された
太陽電池モジュールPVの周囲の各枠LF・SFを外方へ押し出して各枠LF・
SFを太陽電池モジュールPVの本体PV1から取り外す押し出し手段5を有する。また、ジャンクションボックスを自動的に取り外す取り外し機も必要に応じ
て付設され、全てのアルミフレーム枠を短時間で一度に取り外すことができ、更
にジャンクションボックスの取り外しも自動的に行うことを可能とする。
図1 本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの枠取り外し装置の全体斜視
図であって、略X状ブラケットを省略した状態を図示。
【符号の説明】PV 太陽電池モジュールLF 長辺枠 SF 短辺枠 1 枠取り
外し装置 2 台部 3 固定手段 5 押し出し手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】太陽電池モジュールを載置する台部と、台部上に載置された太陽電
池モジュールの上面に当接して太陽電池モジュールを前記台部上に固定する固定
手段と、前記台部の周囲に設けられ、該台部上に固定された太陽電池モジュール
の左右の短辺枠および前後の長辺枠を外方へ押し出して各枠を太陽電池モジュー
ルの本体から取り外す爪体を備えた枠取り外し手段を有し、該枠取り外し手段が
前記短辺枠および前記長辺枠とそれぞれ当接する少なくとも前後および左右の各一対の前記爪体と、各爪体が上端に設けられた枠取り外し用部材と、該枠取り外し
用部材が立設された基台とを備え、且つ該基台上で、前記各一対の爪体同士の間
隔を、少なくとも前記左右の短辺枠方向または前記前後の長辺枠方向のいずれか
で調整可能な間隔調整機構を有しており、前記各一対の爪体によって、太陽電池
モジュールの下面側で前記各枠が外方押し出されて取り外されるようになされて
いる、太陽電池モジュールの枠取り外し装置。
【請求項2】台部が中央台と周囲台とで構成され、固定手段が前記中央台に対応
する中央固定パッドと前記周囲台に対応する隅部固定パッドで構成されている、
請求項1記載の太陽電池モジュールの枠取り外し装置。
【請求項3】枠取り外し手段が、太陽電池モジュールの左右の短辺枠に対向して
前後方向に各二箇所設けられた短辺枠の取り外し用部材および爪体からなる短辺
枠取り外し手段と、太陽電池モジュールの前後の長辺枠に対向して左右方向に各
三箇所設けられた長辺枠の取り外し用部材および爪体からなる長辺枠取り外し手
段で構成されている、請求項1または請求項2記載の太陽電池モジュールの枠取
り外し装置。
【請求項4】各枠取り外し用部材がそれぞれシリンダーによって外方へ作動する、請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載の太陽電池モジュールの枠取り外し装置。
【請求項5】長辺枠の左右二箇所の枠取り外し用部材および爪体が、中継ギアを
介して互いに逆回転する二本のボールネジ上にそれぞれ装着された左右一対の長
辺枠用移動体上に立設され、前記ボールネジの正逆回転によって、前記左右一対
の長辺枠用移動体が遠近移動して、前記左右二箇所の長辺枠の枠取り外し用部材
および爪体の間隔が調整可能となされた左右長辺枠方向間隔調整機構を有する、
請求項1~請求項4のうちのいずれか一項記載の太陽電池モジュールの枠取り外
し装置。
【請求項6】枠取り外し用部材および爪体の前後短辺枠方向の間隔を調整する機
構であって、一または複数本の起動ボールスプラインと、該起動ボールスプライ
ンに各一対のベベルギアを介して直角に接続された三本の従動ボールネジと、各
一対の中継ギアを介して前記三本の従動ボールネジと逆回転する三本の末動ボー
ルネジと、前記各従動ボールネジおよび各末動ボールネジ上にそれぞれ装着され
た短辺枠用移動体を備え、前記起動ボールスプラインを回動させることで、各従
動ボールネジおよび各末動ボールネジが互いに逆回転して前記短辺枠用移動体が
遠近移動するようになされ、各短辺枠用移動体上に前記枠取り外し用部材および
爪体が立設されることで、これら部材の前後短辺枠方向の間隔が調整可能となさ
れている、前後短辺枠方向間隔調整機構を有する、請求項1~請求項4のうちの
いずれか一項記載の太陽電池モジュールの枠取り外し装置。
【請求項7】請求項5記載の長辺枠方向間隔調整機構における左右の長辺枠用移
動体にベース体が一体に設けられ、該ベース体上に請求項6記載の前後短辺枠方
向間隔調整機構が設けられている、請求項6記載の太陽電池モジュールの枠取り
外し装置。
【請求項8】 更に、太陽電池モジュール下面のジャンクションボックスを取り
外す取り外し機を備え、該取り外し機は、枠取り外し装置の左右いずれか一側に
設けられ、左右用シリンダーによって、枠取り外し装置に対して接近自在に設置
され、且つ上下用シリンダーで上下動する前後一対のストロークシャフトと、こ
れらストロークシャフトの下端に一体に設けられたフォークカッターと、該フォ
ークカッターおよび前記ストロークシャフトを前後移動させる前後用シリンダー
を備えている、請求項1~請求項7のうちのいずれか一項記載の太陽電池モジュ
ールの枠取り外し装置。
※ 完全リサイクル(都市鉱山事業)方式を前提として私(たち)は事業創出を
研究している。
金のナノ粒子でできた高色彩性カラーフィルムの開発
3月21日、静岡大学の研究グループは,直径50nm程度の金ナノ粒子を自己組織
化的に集積させた膜を作製し,シリコーンの一種である無色透明なPDMS(ポリジ
メチルシロキサン)を滴下することにより金ナノ粒子固有の発色を示したカラーフィルムとなることを発見した。
【要点】
1.直径50nm(ナノメートルは10億分の1メートル)程度の金のナノ粒子をおよ
そ、100億個並べた膜で作製
2.金のナノ粒子固有の発色を示し、高い色彩性を有するカラーフィルム
3.ステンドグラスのように半永久的に色褪せないカラーフィルム
4.フレキシブル性と伸縮性を有したカラーフィルム
【概要】
小野 篤史 教授の研究グループは、直径50nm程度の金ナノ粒子を自己組織化的に
集積させた膜(集積させたナノ粒子数はおよそ100億個)を作製し、シリコーン
の一種である無色透明なPDMS(ポリジメチルシロキサン)を滴下することにより
金ナノ粒子固有の発色を示したカラーフィルムとなることを発見しました。
このカラーフィルムは金でできているため、顔料や染料といった着色剤とは異な
り色褪せることがありません。
PDMSは加熱温度によってフレキシブル性と伸縮性を有したり、ガラスのように硬
くもなります。金ナノ粒子の大きさや形状に応じて、青色、緑色、マゼンタ色な
ど様々な色のカラーフィルムの作製に成功しました。本研究で得られた研究成果は、今後、フレキシブルディスプレイや宇宙などの過酷環境下においても使える
ようなカメラのカラーフィルタへの応用につながると期待される。
【今後の展望と波及効果】
今後、大面積に製造できる装置が開発されれば、実用展開が期待される。近年の
カメラやディスプレイの高画素化に伴い、カラーフィルタの微細化も求められて
おり、本技術はそのブレークスルーとなり得る。また、従来のステンドグラスに
対してフレキシブル性を付与できるため、曲面など任意の場所に適用され、汎用
性が格段に向上する。
【論文情報】
掲載誌名:ACS Applied Optical Materials
論文タイトル:Highly Chromatic Plasmonic Color Film by Sterical Dispersion of Au Nanoparticles in Polydimethylsiloxane
著者:Ayana Mizuno and Atsushi Ono
DOI:https://doi.org/10.1021/acsaom.3c00401
静岡大学工学部小野篤史教授・コメント
金は金色というのが一般常識ですが、なぜ金色なのかということを考えることが
重要なことだと思います。その光物理を理解すると金ナノ粒子が金色とは異なる
色を呈することも理解でき、さらに応用することができます。不思議だな、面白
いなと皆さんに興味を持っていただけるような研究を今後もしていきたいと思い
ます。