彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」
。
【季語と短歌:7月1日】
明日あさ逝くもラスト・ディケイドも向日葵よ
【毎度おやじ鍋:塩鯖の檸檬鍋】
滋賀は鯖が旨いことは勿論、免疫強化に貢献するビタミンDをはじ
め、脳や神経の機能を活性化させるDHA・1、血中コレステロールや中
性脂肪を減らすEPA・2を豊富に含むさば。昧がしっかりしているので
ビワマスと双璧の鍋具材。
📚 最新海水淡水化システム・装置技術②
【関連特許技術】
3.特開2024-1944 溶媒駆動装置および溶媒駆動モジュール 株式
会社アシュマラボラトリーズ②
【概要】
【0008】 吸水性駆動ゲル812aを用いる場合には、駆動溶液
とは異なり、浸透圧差に基づいた自発的な水の移動現象ではなく、高
分子ゲルの強い吸水力により、文字通り水が駆動される。図12に示
す例では、移動水は膨潤した吸水性駆動ゲル812b内に吸収される。
このため、吸水性駆動ゲル812bから淡水(浸透水L2)を得るに
は、膨潤した吸水性駆動ゲル812bに対して熱や圧力等の外部刺激
PWを与える必要がある。また、図示されているように、淡水の分離
工程の際に半透膜モジュール814dから吸水性駆動ゲル812bを
一時的に取り外す必要性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】 前述したように、FO法には、駆動媒体に溶液を用い
る駆動溶液法と、吸水性ゲルを用いる駆動ゲル法との2つの方式があ
る。これらのうち駆動溶液法では、駆動溶液から淡水を分離するため
に、溶解度、熱、電気・磁気等のエネルギーが必要である。また、駆
動溶液には有害なものが多く、半透膜を通して逆流し、海水側に漏え
いして環境汚染を引き起こしかねない。
【0012】 また、駆動ゲル法では、高吸水性の高分子ゲルを利用し
ているため、ゲルの吸水性も高いが保水性も高い。このため、駆動溶
液の場合と同様に、駆動ゲルから淡水を分離するために、熱、圧力等
の外部刺激、すなわち、エネルギーが必要となる。また、淡水の分離
工程の際に、駆動ゲルを半透膜モジュールから一時的に取り外す必要
があり、分離工程が複雑となる。
【0013】 本発明は、FO法による溶液処理において、溶液から駆
動装置に引き出した溶媒を駆動装置から容易に分離することができる
溶媒駆動装置および溶媒駆動モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】 本発明の一態様は、半透膜を介して対象溶液に含まれる
第1の溶媒を浸透圧差によって引き出すための溶媒駆動装置であって、
ゲル化剤で形成された3次元網目構造体と、3次元網目構造体に保持
された第2の溶媒と、3次元網目構造体に保持された駆動微粒子と、
を有する駆動ゲルを備える溶媒駆動装置である。
【0015】 このような構成によれば、ゲル化剤で形成された3次元
網目構造体に第2の溶媒および駆動微粒子が保持された駆動ゲルによ
って第1の溶媒の駆動を行う。すなわち、この駆動ゲルと対象溶液と
を半透膜を介して配置することで、駆動ゲルと対象溶液との間の浸透
圧差によって対象溶液の第1の溶媒(例えば、水)が駆動ゲルの3次
元網目構造体に引き出される。駆動ゲルの3次元網目構造体は、溶媒
と強く結合する性質(例えば、溶媒が水の場合には保水性)と、溶媒
と弱く結合する性質(例えば、溶媒が水の場合には離水性)とを有す
るため、この溶媒と弱く結合する性質を利用して駆動ゲルに含まれる
溶媒を移動させて、駆動ゲルからの溶媒の分離が行われる。
【0016】 上記溶媒駆動装置において、ゲル化剤は、寒天、アガロ
ース、およびアガロース誘導体の群から選択された少なくともいずれ
か1つであってもよい。これにより、食品由来の環境性に優れた駆動
ゲルが構成される。
【0017】 上記溶媒駆動装置において、駆動微粒子は、糖類分子、
アルコール類分子、および塩類イオンの群から選択された少なくとも
いずれか1つであってもよい。これにより、食品由来の環境性に優れ
た駆動ゲルが構成される。
【0018】 上記溶媒駆動装置において、駆動ゲルは、繊維または繊
維状材料による補強部材をさらに有する構成であってもよい。ゲルは
流体と固体との中間的な物質であるため、機械的な強度不足になる可
能性がある。駆動ゲルに繊維または繊維状材料による補強部材が含ま
れることで、駆動ゲルの機械的強度が向上する。
【0019】 上記溶媒駆動装置において、駆動ゲルは、上方から下方
に向けた方向、および半透膜の近位から遠位の方向の少なくともいず
れか一つの方向に駆動微粒子の濃度が漸減する構成であってもよい。
駆動ゲルにおいて駆動微粒子の濃度が高いほど、半透膜を介して溶液
から溶媒を引き出す駆動能力は高くなるが、引き出された溶媒の移動
速度は低くなる。一方、駆動ゲルにおいて駆動微粒子の濃度が低いほ
ど駆動微粒子の漏出が少なくなる。このため、駆動ゲルの上方から下
方に向けた方向、および半透膜の近位から遠位の方向の少なくともい
ずれか一つの方向に駆動微粒子の濃度を漸減させる構成にすると、対
象溶液から引き出された第1の溶媒(例えば、水)が駆動ゲルに浸透
し、移動するにしたがい、駆動微粒子の漏出が抑制され、溶媒の移動
速度が高まることになる。
【0020】 上記溶媒駆動装置において、半透膜の近位から遠位の第
1方向に複数の駆動ゲルが設けられ、第1方向に複数の駆動ゲルのそ
れぞれにおける駆動微粒子の濃度が漸減する構成であってもよい。こ
のように、複数の駆動ゲルのそれぞれにおける駆動微粒子の濃度が第1
方向に漸減することで、対象溶液から引き出された第1の溶媒(例え
ば、水)が第1方向に配置された複数の駆動ゲルへ順に浸透するにし
たがい、駆動微粒子の流出が抑制され、溶媒の移動速度が高まること
になる。
【0021】 本発明の一態様は、ケースと、ケースに設けられた半透
膜と、ケースに収容され、半透膜と接する上記溶媒駆動装置と、を備
えた、溶媒駆動モジュールである。このような構成によれば、ケース
に半透膜と上記溶媒駆動装置とを収容した溶媒駆動要素のモジュール化
が行われる。【0022】
上記溶媒駆動モジュールにおいて、ケースの下面には、半透膜を介し
て対象溶液から溶媒駆動装置に引き出された第1の溶媒を下方へ出す
ための下面開口部が設けられていてもよい。これにより、溶媒駆動モ
ジュールに対象溶液を導くことで、ケースの半透膜を介して対象溶液
から引き出された第1の溶媒(例えば、水)がケースの下面開口部か
らケース外へ分離されることになる。【0023】
上記溶媒駆動モジュールにおいて、ケースの上面には、半透膜を介し
て対象溶液から溶媒駆動装置に引き出された第1の溶媒を上方へ出す
ための上面開口部が設けられていてもよい。これにより、溶媒駆動モ
ジュールに対象溶液を導くことで、ケースの半透膜を介して対象溶液
から引き出された第1の溶媒(例えば、水)がケースの上面開口部か
らケース外へ分離されることになる。
【発明の効果】【0024】
本発明によれば、FO法による溶液処理において、溶液から駆動装置
に引き出した溶媒を駆動装置から容易に分離することができる溶媒駆
動装置および溶媒駆動モジュール提供できる。
【発明を実施するための形態】(第1実施形態:溶媒駆動装置)
<溶媒駆動装置(その1)>
先ず、第1実施形態に係る溶媒駆動装置について説明する。 図1(a
)および(b)は、溶媒駆動装置(その1)の構成を例示する模式図
である。図1(a)には全体模式図が示され、図1(b)には(a)
のA部の拡大模式図が示される。
図1に示す溶媒駆動装置1Aは、半透膜20を介して対象溶液に含ま
れる第1の溶媒を浸透圧差によって引き出すための装置であって、駆
動ゲル10を備える。駆動ゲル10は、ゲル化剤で形成された3次元
網目構造体11と、3次元網目構造体11に保持された第2の溶媒の
例である水12と、3次元網目構造体11に保持された駆動微粒子
13と、を有する。【0028】
【符号の説明】1A…溶媒駆動装置(その1)1B…溶媒駆動装置(
その2)1C…溶媒駆動装置(その3)10…駆動ゲル 10a上面
10b…下面 11…3次元網目構造体 12…水13…駆動微粒子
3次元網目構造体11を形成するゲル化剤としては、寒天、アガロー
ス、およびアガロース誘導体の群から選択された少なくともいずれか
1つが用いられる。また、駆動微粒子13としては、糖類分子、アル
コール類分子、および塩類イオンの群から選択された少なくともいず
れか1つが用いられる。これにより、食品由来の環境性に優れた駆動
ゲル10が構成される。【0029】本実施形態では、一例として、3次元網目構造体11を形成するゲル
化剤として寒天、駆動微粒子13として代表的な糖類分子であるショ糖
を用いている。駆動ゲル10は、ゲル化剤である寒天と、駆動微粒子
13であるショ糖とを精製水中で加熱撹拌してゾル状態に調整した後
(以下、「ゾル状調製物」とも言う。)、ゾル状調製物を所定の型枠
に注入し、冷却することで作製される。【0030】このような駆動ゲル10を備えた溶媒駆動装置1Aを構成することに
より、対象溶液から溶媒を駆動することができる。すなわち、この駆
動ゲル10と対象溶液とを半透膜20を介して配置することで、駆動
ゲル10と対象溶液との間の浸透圧差によって対象溶液の溶媒が駆動
ゲル10の3次元網目構造体11に引き出される。【0031】例えば、海水を対象溶液として、海水の淡水化を行う場合、駆動ゲル
10において、(1)ゲルの3次元網目構造体11内の駆動微粒子が
海水以上の浸透圧を誘起する。(2)水がゲルの3次元網目構造体11
内を移動可能である。(3)駆動微粒子13がゲルの3次元網目構造
体11内に束縛される。の3つの条件を満たせば、FO法の駆動溶液
と同様に、駆動ゲル10であっても浸透圧差に基づいた海水淡水化が
可能となる。しかも、駆動微粒子13は駆動ゲル10の3次元網目構
造体11内に束縛された状態なので、淡水の分離工程が不要となる。【0032】上記の一例のように、図1で示す塊状の駆動ゲル10は、
寒天とショ糖とを精製水中で加熱撹拌してゾル状態にした後、ゾル状
調製物を冷却することにより作製される。すなわち、駆動ゲル10の
-例は、ショ糖含有寒天ゲルである。寒天は、食品分野でよく知られ
たゲル化剤で多量の水が保持可能な3次元網目構造体11を有するヒ
ドロゲルを形成する。また、ショ糖はグラニュー糖として寒天と同様
に食品分野でよく知られている代表的な糖類である。寒天との親和性
が非常に高く、水と一緒に多量に寒天のヒドロゲルの3次元網目構造
体11内に保持される。【0033】ここで、ショ糖含有寒天ゲル(以下、単に「寒天ゲル」とも言う。)
が前記(1)~(3)の条件を満たす駆動ゲル10であることを以下
に説明する。(
A)ゲル内のショ糖分子の浸透圧誘起性FO法の駆動溶液としてのショ糖水溶液の浸透圧については、従来の
報告例があるが(非特許文献3)、寒天ゲルの浸透圧については、従
来の報告例はない。そこで、本願の発明者は、前述の方法で作製され
た寒天ゲルについて浸透圧実験を行い、寒天ゲル内のショ糖分子がシ
ョ糖水溶液内のショ糖分子と同様に海水よりも高い浸透圧を誘起する
ことを実験的に確認した。詳細については後述する。【0034】(B)寒天ゲル内での水の移動性寒天ゲルは、その構造から離水性という特有な性質を有している。こ
れは、寒天ゲル内に保持された水には、強く結合された水と、弱く結
合された水との2種類の水があり、後者の弱く結合された水は寒天ゲ
ル内を比較的自由に移動可能で、最終的には寒天ゲルの表面から滲出
することが報告されている(非特許文献4)。この離水性という特徴
を利用すれば、半透膜を介して海水側から寒天ゲル側に移動してきた
浸透水を、寒天ゲル内部、さらには寒天ゲル外部に移動させることが
可能である。さらに加えて、重力により、下向きに浸透水を移動させ
ることもできる。【0035】(C)寒天ゲル内でのショ糖分子の束縛性寒天ゲルはゲル化率(寒天の濃度)が高くなると3次元網目構造の網
目サイズが小さくなる特徴がある。化学、医学の分野ではこの特徴を
利用して、寒天ゲルを分離媒体として使用している。例えば、電気泳
動技術では、ゲル化率の制御された寒天ゲルを使用して、種々のサイ
ズのDNA(デオキシリボ核酸)断片が混ざったサンプルから、一定
範囲のサイズごとにDNAを分離することが行われる(非特許文献5)。
具体的には、非特許文献6によれば、寒天ゲルの濃度が5重量パーセ
ント(wt%)以上になると、寒天ゲルに捕捉されるDNA断片の最
小サイズは10~20bp(base pair、1bp=0.34nm)、
すなわち、3.4~6.8nmとなり、ショ糖分子のサイズに近くな
る。さらに、寒天の濃度を7~10wt%に高め、網目サイズをより
小さくすれば、水分子(サイズ:0.28~0.38nm)のみを透
過し、ショ糖分子をほぼ完全にゲル内に束縛し、ゲル外への流出を抑
制することが可能となる。【0036】
<正浸透実験>次に、本実施形態に係る溶媒駆動装置1Aの正浸透実
験について説明する。図2および図3は、溶媒駆動装置の正浸透実験
について説明する図である。正浸透実験として、次に示す寒天ゲルによる駆動ゲル10を製作した。すなわち、粉末寒天を使用し、調整容器内の精製水に対して濃度5重
量パーセント(wt%)になるように仕込み、その内容物を80℃~
95℃まで徐々に加熱して流動性のあるゾル状態にする。その後、ゾ
ル状調製物に対して濃度50wt%になるようにショ糖を加え撹拌し、
再度、一様なゾルに調整した後、徐々に冷却する。そして、寒天のゲ
ル化温度以上の45℃~80℃で調整容器から所定の形状の型枠に注
入し、さらに常温まで徐々に冷却して完全に固化(ゲル化)させる。
これにより、塊状の駆動ゲル10が作製される【0037】
【符号の説明】1A…溶媒駆動装置(その1)1B…溶媒駆動装置(その2)1C…溶
媒駆動装置(その3)10…駆動ゲル 10a…上面 10b…下面11…3次元網目構造体 12…水 13…駆動微
Greensleeves「西部開拓史」
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」
。
【季語と短歌:7月1日】
明日あさ逝くもラスト・ディケイドも向日葵よ
【毎度おやじ鍋:塩鯖の檸檬鍋】
滋賀は鯖が旨いことは勿論、免疫強化に貢献するビタミンDをはじ
め、脳や神経の機能を活性化させるDHA・1、血中コレステロールや中
性脂肪を減らすEPA・2を豊富に含むさば。昧がしっかりしているので
ビワマスと双璧の鍋具材。
📚 最新海水淡水化システム・装置技術②
【関連特許技術】
3.特開2024-1944 溶媒駆動装置および溶媒駆動モジュール 株式
会社アシュマラボラトリーズ②
【概要】
【0008】 吸水性駆動ゲル812aを用いる場合には、駆動溶液
とは異なり、浸透圧差に基づいた自発的な水の移動現象ではなく、高
分子ゲルの強い吸水力により、文字通り水が駆動される。図12に示
す例では、移動水は膨潤した吸水性駆動ゲル812b内に吸収される。
このため、吸水性駆動ゲル812bから淡水(浸透水L2)を得るに
は、膨潤した吸水性駆動ゲル812bに対して熱や圧力等の外部刺激
PWを与える必要がある。また、図示されているように、淡水の分離
工程の際に半透膜モジュール814dから吸水性駆動ゲル812bを
一時的に取り外す必要性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】 前述したように、FO法には、駆動媒体に溶液を用い
る駆動溶液法と、吸水性ゲルを用いる駆動ゲル法との2つの方式があ
る。これらのうち駆動溶液法では、駆動溶液から淡水を分離するため
に、溶解度、熱、電気・磁気等のエネルギーが必要である。また、駆
動溶液には有害なものが多く、半透膜を通して逆流し、海水側に漏え
いして環境汚染を引き起こしかねない。
【0012】 また、駆動ゲル法では、高吸水性の高分子ゲルを利用し
ているため、ゲルの吸水性も高いが保水性も高い。このため、駆動溶
液の場合と同様に、駆動ゲルから淡水を分離するために、熱、圧力等
の外部刺激、すなわち、エネルギーが必要となる。また、淡水の分離
工程の際に、駆動ゲルを半透膜モジュールから一時的に取り外す必要
があり、分離工程が複雑となる。
【0013】 本発明は、FO法による溶液処理において、溶液から駆
動装置に引き出した溶媒を駆動装置から容易に分離することができる
溶媒駆動装置および溶媒駆動モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】 本発明の一態様は、半透膜を介して対象溶液に含まれる
第1の溶媒を浸透圧差によって引き出すための溶媒駆動装置であって、
ゲル化剤で形成された3次元網目構造体と、3次元網目構造体に保持
された第2の溶媒と、3次元網目構造体に保持された駆動微粒子と、
を有する駆動ゲルを備える溶媒駆動装置である。
【0015】 このような構成によれば、ゲル化剤で形成された3次元
網目構造体に第2の溶媒および駆動微粒子が保持された駆動ゲルによ
って第1の溶媒の駆動を行う。すなわち、この駆動ゲルと対象溶液と
を半透膜を介して配置することで、駆動ゲルと対象溶液との間の浸透
圧差によって対象溶液の第1の溶媒(例えば、水)が駆動ゲルの3次
元網目構造体に引き出される。駆動ゲルの3次元網目構造体は、溶媒
と強く結合する性質(例えば、溶媒が水の場合には保水性)と、溶媒
と弱く結合する性質(例えば、溶媒が水の場合には離水性)とを有す
るため、この溶媒と弱く結合する性質を利用して駆動ゲルに含まれる
溶媒を移動させて、駆動ゲルからの溶媒の分離が行われる。
【0016】 上記溶媒駆動装置において、ゲル化剤は、寒天、アガロ
ース、およびアガロース誘導体の群から選択された少なくともいずれ
か1つであってもよい。これにより、食品由来の環境性に優れた駆動
ゲルが構成される。
【0017】 上記溶媒駆動装置において、駆動微粒子は、糖類分子、
アルコール類分子、および塩類イオンの群から選択された少なくとも
いずれか1つであってもよい。これにより、食品由来の環境性に優れ
た駆動ゲルが構成される。
【0018】 上記溶媒駆動装置において、駆動ゲルは、繊維または繊
維状材料による補強部材をさらに有する構成であってもよい。ゲルは
流体と固体との中間的な物質であるため、機械的な強度不足になる可
能性がある。駆動ゲルに繊維または繊維状材料による補強部材が含ま
れることで、駆動ゲルの機械的強度が向上する。
【0019】 上記溶媒駆動装置において、駆動ゲルは、上方から下方
に向けた方向、および半透膜の近位から遠位の方向の少なくともいず
れか一つの方向に駆動微粒子の濃度が漸減する構成であってもよい。
駆動ゲルにおいて駆動微粒子の濃度が高いほど、半透膜を介して溶液
から溶媒を引き出す駆動能力は高くなるが、引き出された溶媒の移動
速度は低くなる。一方、駆動ゲルにおいて駆動微粒子の濃度が低いほ
ど駆動微粒子の漏出が少なくなる。このため、駆動ゲルの上方から下
方に向けた方向、および半透膜の近位から遠位の方向の少なくともい
ずれか一つの方向に駆動微粒子の濃度を漸減させる構成にすると、対
象溶液から引き出された第1の溶媒(例えば、水)が駆動ゲルに浸透
し、移動するにしたがい、駆動微粒子の漏出が抑制され、溶媒の移動
速度が高まることになる。
【0020】 上記溶媒駆動装置において、半透膜の近位から遠位の第
1方向に複数の駆動ゲルが設けられ、第1方向に複数の駆動ゲルのそ
れぞれにおける駆動微粒子の濃度が漸減する構成であってもよい。こ
のように、複数の駆動ゲルのそれぞれにおける駆動微粒子の濃度が第1
方向に漸減することで、対象溶液から引き出された第1の溶媒(例え
ば、水)が第1方向に配置された複数の駆動ゲルへ順に浸透するにし
たがい、駆動微粒子の流出が抑制され、溶媒の移動速度が高まること
になる。
【0021】 本発明の一態様は、ケースと、ケースに設けられた半透
膜と、ケースに収容され、半透膜と接する上記溶媒駆動装置と、を備
えた、溶媒駆動モジュールである。このような構成によれば、ケース
に半透膜と上記溶媒駆動装置とを収容した溶媒駆動要素のモジュール化
が行われる。【0022】
上記溶媒駆動モジュールにおいて、ケースの下面には、半透膜を介し
て対象溶液から溶媒駆動装置に引き出された第1の溶媒を下方へ出す
ための下面開口部が設けられていてもよい。これにより、溶媒駆動モ
ジュールに対象溶液を導くことで、ケースの半透膜を介して対象溶液
から引き出された第1の溶媒(例えば、水)がケースの下面開口部か
らケース外へ分離されることになる。【0023】
上記溶媒駆動モジュールにおいて、ケースの上面には、半透膜を介し
て対象溶液から溶媒駆動装置に引き出された第1の溶媒を上方へ出す
ための上面開口部が設けられていてもよい。これにより、溶媒駆動モ
ジュールに対象溶液を導くことで、ケースの半透膜を介して対象溶液
から引き出された第1の溶媒(例えば、水)がケースの上面開口部か
らケース外へ分離されることになる。
【発明の効果】【0024】
本発明によれば、FO法による溶液処理において、溶液から駆動装置
に引き出した溶媒を駆動装置から容易に分離することができる溶媒駆
動装置および溶媒駆動モジュール提供できる。
【発明を実施するための形態】(第1実施形態:溶媒駆動装置)
<溶媒駆動装置(その1)>
先ず、第1実施形態に係る溶媒駆動装置について説明する。 図1(a
)および(b)は、溶媒駆動装置(その1)の構成を例示する模式図
である。図1(a)には全体模式図が示され、図1(b)には(a)
のA部の拡大模式図が示される。
図1に示す溶媒駆動装置1Aは、半透膜20を介して対象溶液に含ま
れる第1の溶媒を浸透圧差によって引き出すための装置であって、駆
動ゲル10を備える。駆動ゲル10は、ゲル化剤で形成された3次元
網目構造体11と、3次元網目構造体11に保持された第2の溶媒の
例である水12と、3次元網目構造体11に保持された駆動微粒子
13と、を有する。【0028】
【符号の説明】1A…溶媒駆動装置(その1)1B…溶媒駆動装置(
その2)1C…溶媒駆動装置(その3)10…駆動ゲル 10a上面
10b…下面 11…3次元網目構造体 12…水13…駆動微粒子
3次元網目構造体11を形成するゲル化剤としては、寒天、アガロー
ス、およびアガロース誘導体の群から選択された少なくともいずれか
1つが用いられる。また、駆動微粒子13としては、糖類分子、アル
コール類分子、および塩類イオンの群から選択された少なくともいず
れか1つが用いられる。これにより、食品由来の環境性に優れた駆動
ゲル10が構成される。【0029】本実施形態では、一例として、3次元網目構造体11を形成するゲル
化剤として寒天、駆動微粒子13として代表的な糖類分子であるショ糖
を用いている。駆動ゲル10は、ゲル化剤である寒天と、駆動微粒子
13であるショ糖とを精製水中で加熱撹拌してゾル状態に調整した後
(以下、「ゾル状調製物」とも言う。)、ゾル状調製物を所定の型枠
に注入し、冷却することで作製される。【0030】このような駆動ゲル10を備えた溶媒駆動装置1Aを構成することに
より、対象溶液から溶媒を駆動することができる。すなわち、この駆
動ゲル10と対象溶液とを半透膜20を介して配置することで、駆動
ゲル10と対象溶液との間の浸透圧差によって対象溶液の溶媒が駆動
ゲル10の3次元網目構造体11に引き出される。【0031】例えば、海水を対象溶液として、海水の淡水化を行う場合、駆動ゲル
10において、(1)ゲルの3次元網目構造体11内の駆動微粒子が
海水以上の浸透圧を誘起する。(2)水がゲルの3次元網目構造体11
内を移動可能である。(3)駆動微粒子13がゲルの3次元網目構造
体11内に束縛される。の3つの条件を満たせば、FO法の駆動溶液
と同様に、駆動ゲル10であっても浸透圧差に基づいた海水淡水化が
可能となる。しかも、駆動微粒子13は駆動ゲル10の3次元網目構
造体11内に束縛された状態なので、淡水の分離工程が不要となる。【0032】上記の一例のように、図1で示す塊状の駆動ゲル10は、
寒天とショ糖とを精製水中で加熱撹拌してゾル状態にした後、ゾル状
調製物を冷却することにより作製される。すなわち、駆動ゲル10の
-例は、ショ糖含有寒天ゲルである。寒天は、食品分野でよく知られ
たゲル化剤で多量の水が保持可能な3次元網目構造体11を有するヒ
ドロゲルを形成する。また、ショ糖はグラニュー糖として寒天と同様
に食品分野でよく知られている代表的な糖類である。寒天との親和性
が非常に高く、水と一緒に多量に寒天のヒドロゲルの3次元網目構造
体11内に保持される。【0033】ここで、ショ糖含有寒天ゲル(以下、単に「寒天ゲル」とも言う。)
が前記(1)~(3)の条件を満たす駆動ゲル10であることを以下
に説明する。(
A)ゲル内のショ糖分子の浸透圧誘起性FO法の駆動溶液としてのショ糖水溶液の浸透圧については、従来の
報告例があるが(非特許文献3)、寒天ゲルの浸透圧については、従
来の報告例はない。そこで、本願の発明者は、前述の方法で作製され
た寒天ゲルについて浸透圧実験を行い、寒天ゲル内のショ糖分子がシ
ョ糖水溶液内のショ糖分子と同様に海水よりも高い浸透圧を誘起する
ことを実験的に確認した。詳細については後述する。【0034】(B)寒天ゲル内での水の移動性寒天ゲルは、その構造から離水性という特有な性質を有している。こ
れは、寒天ゲル内に保持された水には、強く結合された水と、弱く結
合された水との2種類の水があり、後者の弱く結合された水は寒天ゲ
ル内を比較的自由に移動可能で、最終的には寒天ゲルの表面から滲出
することが報告されている(非特許文献4)。この離水性という特徴
を利用すれば、半透膜を介して海水側から寒天ゲル側に移動してきた
浸透水を、寒天ゲル内部、さらには寒天ゲル外部に移動させることが
可能である。さらに加えて、重力により、下向きに浸透水を移動させ
ることもできる。【0035】(C)寒天ゲル内でのショ糖分子の束縛性寒天ゲルはゲル化率(寒天の濃度)が高くなると3次元網目構造の網
目サイズが小さくなる特徴がある。化学、医学の分野ではこの特徴を
利用して、寒天ゲルを分離媒体として使用している。例えば、電気泳
動技術では、ゲル化率の制御された寒天ゲルを使用して、種々のサイ
ズのDNA(デオキシリボ核酸)断片が混ざったサンプルから、一定
範囲のサイズごとにDNAを分離することが行われる(非特許文献5)。
具体的には、非特許文献6によれば、寒天ゲルの濃度が5重量パーセ
ント(wt%)以上になると、寒天ゲルに捕捉されるDNA断片の最
小サイズは10~20bp(base pair、1bp=0.34nm)、
すなわち、3.4~6.8nmとなり、ショ糖分子のサイズに近くな
る。さらに、寒天の濃度を7~10wt%に高め、網目サイズをより
小さくすれば、水分子(サイズ:0.28~0.38nm)のみを透
過し、ショ糖分子をほぼ完全にゲル内に束縛し、ゲル外への流出を抑
制することが可能となる。【0036】
<正浸透実験>次に、本実施形態に係る溶媒駆動装置1Aの正浸透実
験について説明する。図2および図3は、溶媒駆動装置の正浸透実験
について説明する図である。正浸透実験として、次に示す寒天ゲルによる駆動ゲル10を製作した。すなわち、粉末寒天を使用し、調整容器内の精製水に対して濃度5重
量パーセント(wt%)になるように仕込み、その内容物を80℃~
95℃まで徐々に加熱して流動性のあるゾル状態にする。その後、ゾ
ル状調製物に対して濃度50wt%になるようにショ糖を加え撹拌し、
再度、一様なゾルに調整した後、徐々に冷却する。そして、寒天のゲ
ル化温度以上の45℃~80℃で調整容器から所定の形状の型枠に注
入し、さらに常温まで徐々に冷却して完全に固化(ゲル化)させる。
これにより、塊状の駆動ゲル10が作製される【0037】
【符号の説明】1A…溶媒駆動装置(その1)1B…溶媒駆動装置(その2)1C…溶
媒駆動装置(その3)10…駆動ゲル 10a…上面 10b…下面11…3次元網目構造体 12…水 13…駆動微
Greensleeves「西部開拓史」