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ナノフッ素樹脂 ⑯

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国
時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と
兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。ひこにゃんのお誕生
日は、2006年4月13日。

❏ 月面で作る蓄熱材、原材料の98%を「現地調達」8月20日、レゾナックは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、「
月の砂」を利用した月面での蓄熱/熱利用システムに関する研究を行っ
ている。現状、原材料の98%を“現地調達”できる見込み。
月面では、昼の気温は100℃、夜は-170℃と気温差が大きい上に、昼夜
が2週間ごとに入れ替わる。太陽光発電などによるエネルギー創出ができ
ない期間が長く続くため、有人活動を行うためには、安定的にエネルギ
ーを確保する手段を開発する必要があるが、レゴリスは、月面に大量に存在するガラス質の微小粒子であり、さまざ
まな企業/研究機関でレゴリスを活用したエネルギー確保手法の研究が
行われているが、レゴリスの粒子間の隙間は真空で熱が伝わらないため、
まとまった量のレゴリスとして熱伝導率や比熱を大きくしたり、蓄熱し
た熱をレゴリスから取り出すことができるシステムを構築する必要があ
るが、レゴリスの蓄熱性を改善する手法として、レーザー溶融によるガ
ラス固形化などが考えられてきた、レーザーの運搬や、溶融時に多大な
エネルギーが必要であるという課題がある。今回、レゴリスに同社製の
樹脂をコーティング(樹脂コーティングレゴリス)で、レゴリス全体の
熱伝導率や比熱を向上させることに成功した。コーティング手法は、レ
ゴリス表面にポリアミドイミド(PAI)などの樹脂層をコーティングし
た後に締め固める「レジンコーテッドサンド技術(RCS)」を用いた。
提案手法は、スクリュー混練のみでコーティング可能なため、レゴリス
を使った蓄熱材を月面で効率的かつ低コスト、低エネルギーで大量製造
できる。
樹脂とレゴリスの複合モデル(左)と樹脂でコーティングし、締め固め
たレゴリスの断面(構造X線CT分析)(右)出所:レゾナック

蓄熱性能は従来比で20倍にレゾナックは、樹脂コーティングレゴリスの構造と熱特性改善効果を検
証する月面環境を想定したFEM(有限要素法)熱シミュレーションでは、
レゴリス模擬材として山口県豊浦産の天然珪砂「豊浦標準砂」を使用し、
コーティング手法は、レゴリスの表面にPAIなどの樹脂層をコーティン
グ後に締め固めるRCSを用い、樹脂は同社のPAI製品「PAI-1000」や「PAI
-5000」、RCSを用いたフェノール樹脂を使用。混練条件は80℃/120秒、
成形条件は270℃/60分で処理する。

樹脂コーティングレゴリスの構造と熱特性改善効果 出所:レゾナック


【展望】レゾナックが宇宙関連材料の研究開発をするのは今回が初。宇宙の重要
性が増している。(気温や放射線など)宇宙という過酷な環境に耐えら
れる材料は信頼性が高い。宇宙で使えるなら地球でも使えるはずと述べ、
企業や大学との連携も視野に入れながら事業化し、5~10年以内に収益
化したいとのこと。

シリーズ:ナノフッ素樹脂 ⑩
❏ フッ素系オリゴアミドナノリングによる超純水 ⑩Ultrafast water permeation through nanochannels with a densely fluorous
interior surface.
DOI番号:10.1126/science.abd0966
Supplementary Materials ☈3. 補足説明3.6. ショ糖透過試験
反射係数値(図4C)を得るために、ショ糖は非透過性浸透圧調節物質と
して典型的に使用(27、28)。浸透圧調節物質が水透過の時間範囲内で
非透過性であるかどうかを確認するために、セクション1.16で説明した
ようにショ糖透過試験を実施しました。この試験は、ショ糖勾配にさら
された後、小胞内のF18NC6を介して浸透したショ糖の量を知るために設
計される。図S47Bに示すように、実験番号1で検出されたショ糖の量は
無視できるほど少なく、実験番号2(コントロール)の量と同程度。こ
れは、実験番号0で検出されたショ糖の量とはまったく対照的。これら
の結果は、F18NC6 を通したショ糖の透過が、少なくとも実験手順の時
間スケール (5 分~ 24 時間) では無視できるほど小さいことを示す。
このように、水透過の時間スケールは約 10 ms であるため、スクロー
スは非透過性であると考えるのが妥当だ。実験条件下で反射係数の値を
取得できる。
3.7. シュテルン・フォルマー定数の決定
Cl-透過率の計算に使用したシュテルン・フォルマー定数(KSV)は、以
前に報告された手順(27)に従って決定し。ルシゲニン(1 mM)を封入
したDPPC小胞は、1.3.1で説明したプロトコルに従って、[HEPES] = 10 mM、
[KNO3] = 100 mM、[バリノマイシン] = 10 μMを含む緩衝液を使用して
調製した。小胞懸濁液と等量の Cl– 含有緩衝液 ([HEPES] = 10 mM、[
バリノマイシン] = 10 μM、[KNO3] = (100–X) mM、[KCl] = X mM、X 
= 0、20、40、60、80、100) の混合物の蛍光強度の変化を、マイクロプ
レート リーダー (SpectraMax Paradigm) を使用して監視した。
Stern-Volmer 関係によると、ルシゲニン色素の消光の速度論は次の式
に従う。(中略)3.8. 反射係数の計算
反射係数は、浸透圧調整剤として NaCl を使用した高張液で測定した水
透過率と、不浸透性浸透圧調整剤としてショ糖を使用した高張液で測定
した水透過率の比として定義されます。(中略)DPPC 小胞に基づくすべてのナノチャネルの反射係数を以下に示す。3.9. 固有の水透過率 (Pw) と塩透過率 (Ps) の推定
フッ素系ナノチャネルの脱塩性能を評価し、既存の脱塩膜や合成水透過
性ナノチャネルと比較に、固有の水透過率 Pw (cm2 s–1) が一般的に使
用される (21、27、28)。私たちは、Kumar と彼の同僚 (27) が使用し
た方法を使用して、次のように Pf (cm2 s–1) から Pw (cm2 s–1) を計
算した。(中略)
3.10. 水の浸透に関するMDシミュレーション研究
シミュレーションはLAMMPS(2020年3月3日)(54)を使用して実施し、
初期の水の配置はPackmol(バージョン18.169)(55)によって支援された。
積分時間ステップは2fsであり、温度を300Kに維持するためにNose-Hoover
サーモスタット(56、57)が使用され、壁の動きによる加熱が防止され
た。完全周期境界条件が使用され、交差平面寸法はそれぞれ50Å、軸方向
平面寸法はチャネル長(通常約500Å)に依存した。Lennard-Jones(LJ)
および実空間電荷カットオフは12Åであり、長距離クーロン相互作用には
粒子-粒子粒子メッシュ法が使用された。
図S34はシミュレーション設計の概略図である。計算では、それぞれ内
径が 0.90、1.46、1.76 nm のナノリング F12NR4、F15NR5、F18NR6 か
らなる 3 つのチャネルを通る水の伝導を調べた (図 S33)。シミュレー
ションでは、アミド側鎖を水素原子に置き換えた。比較のために、フッ
素化されていないナノリング (H12NR4、H15NR5、H18NR6) もシミュレー
ションで調べた (図 S33)。水は最初に各出口の内側と外側に配置され
た。圧力駆動の流れは、左側の側壁を動かして左側のチャンバー内の圧
力を上昇させることによって実現され、チャネルの右側の水は右側に制
約のない自由表面を持つことができた。システム サイズが小さいため
、自由水表面は平坦のままであり、チャネルの右側の圧力はゼロと見な
されました。右側の水は、細孔と壁とのLJ(物理吸着)相互作用により、
シミュレーション中ずっとチャネルの出口に留まった。左側の圧力は、
チャンバーの中央で測定された規定の密度で水を監視および維持するこ
とで維持された。この密度は、水モデル(SPC/E)を使用したNPTシミュ
レーションによって圧力値に変換された。圧力値は、215 atm(SPC/E水
1000 kg m–3)から925 atm(SPC/E水1030 kg m–3)の範囲。ナノ秒のシ
ミュレーション時間内で測定可能な流量を達成するために高圧を適用す
ることは、ナノスケールシミュレーション(58)では確立された方法で
あり、流量と圧力降下の間には線形関係があるため、導出された関係は
標準大気圧に対しても当てはまります(図S35)。左側のチャンバーの
長さは通常 100 Å で、右側のチャンバーの水部分はこの値の約半分で
した。シミュレーションは通常 4~8 ns 実行され、データはおよそ 
3 ns にわたって収集された。質量流量は、定常流が確立された後、右
側のチャンバー内の水分子の数の変化を時間の経過とともに監視するこ
とにより計算された (図 S36)。
ナノリングの原子位置と電荷は、B3LYP/6-31G* 密度汎関数理論 (DFT) 
に基づく計算によって決定されました。ナノリング内の原子は固定され
る。このフレームワークはシステムを単純化し、伝導率に影響を与える
とは考えられなかった (32)。単純な膜として機能するように、LJ 疎水
ポテンシャル (ε = 0.042 kJ mol–1、σ = 3 Å) を持つ単純な中性剛
性 2D BCC 壁 (格子定数 2 Å) を使用した。ε 値を最大 2 桁大きくし
たテストでは、伝導に大きな影響は見られなかった。
細孔原子を記述するために使用した Lennard-Jones パラメーターは、
文献で報告されている一般的な値 (59、60) に基づいており、次の表に
示す。
チャネル内の液体の放射状構造 (図 S37) は、次のように決定された。
細孔の断面半径は 0.1 Å のビンに分割され、各ビン内の分子の平均数
は、細孔内の各分子の各酸素原子の放射状距離 (両端から 5 Å は除外し、
端の影響を軽減) を計算し、定常流を測定したすべてのステップを平均
化することによって決定した。次に、この値を各ビンの体積で割って密
を決定した。チャネル長は、リングの繰り返し単位内の等価原子間の距
離として定義され、これにより、F15NR5 および F18NR6 のナノリング
の非平面性を考慮した。ナノリング間の距離は、一対のリングの DFT 
計算の結果と、関連する LJ パラメーターの理解に基づいて決定された。
値は、ナノリングの形状に応じて 4.4 Å から 5.0 Å の間あったた。こ
の分離の選択による伝導の依存性は観察されなかった。
入口抵抗 (R) とチャネル内部抵抗 (r) により、質量流量 Q は圧力降
下 ΔP とともに ΔP = Q(rL + R) として直線的に変化すると予想され
た。したがって、ΔP/Q を L に対してプロットすると (図 S35)、勾配
から内部抵抗を決定でき、y 軸切片から端効果による抵抗を決定できる。
チャネル長が 3.5 nm の場合、チャネル内部抵抗は端効果の 3 ~ 31 
倍。この結果は、チャネルを流れる全抵抗がチャネル内部の壁構造 (フ
ッ素化による) に依存することを示唆。この感度を測定するために、フ
ッ素化チャネルの伝導が非フッ素化チャネルの伝導よりもどの程度向上
するかを計算。一般に、フッ素化によって流れに利用できる有効面積も
変化し、伝導は単位断面積あたりで測定した。この領域は、円形断面を
想定し、水の密度が 1000 kg m–3 未満に低下するチャネル半径を使用し
て定義された (図 S37)。この増加は細孔サイズに反比例し、F12NR4、
F15NR5、F18NR6 ではそれぞれ 5.3、3.7、1.5 倍。表面疎水性が流量に
与える影響を調べるため、ナノリング チャネルを仮想 12-6 LJ 壁チャ
ネルに置き換えたが、残りのシミュレーション プロトコルは同じ。仮
想壁を使用すると、シミュレーションを大幅に簡素化でき、疎水性の影
響を調べることができる。(中略)
ここで、ε は相互作用の強さ、σ はポテンシャルのゼロ交差距離、SF 
は相互作用の強さと表面の疎水性を調整するために使用されるスケーリ
ング係数。シミュレーションでは、ε と σ をそれぞれ 0.71 kJ mol–
1 と 3.10 Å に設定した。一般に、SF 値は 0.1 から 10.0 の範囲で、
強い疎水性の表面から強い親水性の表面までに対応します。さまざまな
壁-液体相互作用の強さでの流量を図 1E に示します。壁-液体相互作用
の強さが小さい値で流量が大きいことは、疎水性の壁面 (SF 値が小さ
い) では大きな流量が可能になることを示唆。さらに、さまざまなチャ
ネル直径と壁-液体相互作用の強さについて、半径方向に沿った速度プ
ロファイルをプロットした。結果を図 S46D に示します。すべてのケー
スにおいて、速度分布は半径方向に沿ってほぼ平坦であり、これは、S3
4 スリップ長の大きいチャネルでプラグフローが発生していることを示
唆している。平均速度は壁-液体相互作用が小さいほど大きく、疎水性チ
ャネル内の水の流れの抵抗が小さいことを示している。さらに、異なる
チャネル径と壁-液体相互作用強度について、半径方向に沿った水密度
プロファイル (図 S46A) とダングリングボンド分布 (図 1D) も比較し
た。O–O 距離が 3 Å 未満で O−H···O 角度が 30° 未満の場合に、水素
結合による 2 つの水分子が存在すると仮定した。他の水分子と水素結
合していない H 原子はすべてダングリングバンドと定義した。水分子
は壁面近くにいくつかの高密度層を形成し、壁-液体相互作用強度が大
きいほど、最初の高密度ピークの密度が高くなった。この水の挙動は、
ナノコンファインメント下では一般的に観察される(61)。さらに、シ
ミュレーション結果から、疎水性壁面付近に多数のダングリングバンド
が存在することが示唆された。流量と壁面付近のダングリングバンドの
数との間に強い相関関係があることから、疎水性表面付近での水クラス
ターの破壊が大きな流量の原因である可能性が示唆された。
                          この項つづく
懐かしの映画音楽『The James Bond Theme』


● 今夜の言葉:










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