彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時
代の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。
【季語と短歌:4月11日】
鶯の鳴き声聞けず行く雨や
高山 宇
2024年02月05日 水素大量製造システム構築⓵
✳️ 次世代ペロブスカイト系フィルム型太陽電池
1️⃣ 特開2025-019659 ペロブスカイト太陽電池 株式会社アイシン⓶
【要約】下図1のペロブスカイト太陽電池100は、基板1に積層さ
れる導電性の導電層2と、導電層2に積層され、光エネルギーを吸収
して電気エネルギーに変換する光電変換層32と、光電変換層32を
シールドする導電性の封止層5と、光電変換層32と封止層5との間
に配置され、光電変換層32を囲むように、導電層2及び封止層5を
接着する絶縁性の接着層4と、を有し、接着層4は、封止層5よりも
外側へ延在している延在部41を有している。性能の低下を抑制する
ことができるペロブスカイト太陽電池を提供する。
図1.実施形態に係るペロブスカイト太陽電池の概略構成を示す図
図2.図1に示すペロブスカイト太陽電池の平面図
図3.図2に示すIII-III線に沿った断面を模式的に示す図
【符号の説明】【0058】1:基板、2:導電層、4:接着層、5:
封止層、32:光電変換層、41:延在部、100:ペロブスカイト
太陽電池、423:接着領域、P:加圧跡、Z1:積層方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板に積層される導電性の導電層と、 前記導電層に積
層され、光エネルギーを吸収して電気エネルギーに変換する光電変換
層と、前記光電変換層をシールドする導電性の封止層と、前記光電変
換層と前記封止層との間に配置され、前記光電変換層を囲むように、
前記導電層及び前記封止層を接着する絶縁性の接着層と、を有し、前
記接着層は、前記封止層よりも外側へ延在している延在部を有するペ
ロブスカイト太陽電池。
【請求項2】前記接着層は、前記光電変換層が前記導電層に積層され
る積層方向において、前記光電変換層から離間している請求項1に記
載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項3】前記接着層のうち、前記導電層及び前記封止層を接着す
る接着領域には加圧跡が形成されている請求項1又は2に記載のペロ
ブスカイト太陽電池。
【請求項4】前記接着層は、凹凸を有する接着シートである請求項1
又は2に記載のペロブスカイト太陽電池。
【詳細説明】【0021】
図1に示すように、接着層4のZ1方向の面(太陽電池素子3から遠
い側の面)には、封止層5が積層される。つまり、接着層4は、太陽
電池素子3と封止層5との間に配置される。接着層4は、導電層2及
び封止層5を接着する。
【0022】〔封止層〕
封止層5は、太陽電池素子3(光電変換層32)をシールドする。
詳しくは、封止層5は、内部空間Sを封止して、水、酸素等が内部空
間Sに進入することを防止する。本実施形態では、内部空間Sには、
窒素ガスが充填されている。内部空間Sに窒素ガスが充填され、且つ、
酸素の進入が防止されることから、太陽電池素子3の劣化(酸化)が
防止される。なお、内部空間Sには、窒素ガスに代えて、希ガスとい
った不活性ガスが充填されてもよい。
【0023】 封止層5は、シート状の封止剤であり、内部空間Sへ
の水、酸素等の進入を防ぐバリア層51と、バリア層51が積層され
る封止基材52とを有する。
【0024】 バリア層51は、導電性を有する。バリア層51は、
酸化アルミニウム、酸化ケイ素といった金属酸化物、アルミニウムと
いった金属等を材料として含む。本実施形態において、バリア層51
は、封止基材52のZ2側の面(接着層4に近い側の面)に設けられ
る。封止基材52は、シート状の基材であって、PET(ポリエチレ
ンテレフタレート)樹脂等を材料として含む。【0025】
光Lが、基板1、導電層2及び電子輸送層31を介して、光電変換層
32に到達すると、光電変換層32において、光Lが吸収されて電子
とホールとが発生する。発生した電子は、電子輸送層31を介して導
電層2と電気的に接続される電極(陰極)へ移動する。また、これと
ともに、光電変換層32で発生したホールは、ホール輸送層33と電
気的に接続される電極(陽極)へ移動する。2つの電極の間に負荷(
不図示)が接続されると、ホールが負荷を経由してきた電子と結合す
る。この結果、電気が生成される。
【0026】〔接着層及び封止層の詳細構成〕
続いて、図2及び図3を参照して、接着層4及び封止層5の詳細構成
について説明する。図2は、図1に示すペロブスカイト太陽電池10
0の平面図(Z2方向に沿って見た図)であり、図3は、図2に示す
III-III線に沿った断面を示す模式図である。
【0027】 図2に示すように、接着層4は、平面視において、太陽
電池素子3よりも大きい外形寸法を有する。詳しくは、接着層4は、
平面視矩形状であって、X方向において対向する2つの第1接着端4x
と、Y方向において対向する2つの第2接着端4yとを有する。
【0028】なお、X方向は、Z方向と直交する2つの方向のうちの
一方であり、Y方向は、X方向及びZ方向と直交する方向である。以
下、X方向のうちの一方を「X1方向」と称し、X1方向と反対方向
を「X2方向」と称する。同様に、Y方向のうちの一方を「Y1方向」
と称し、Y1方向と反対方向を「Y2方向」と称する。
【0029】封止層5は、平面視において、接着層4よりも小さい外
形寸法を有する。詳しくは、封止層5は、平面視矩形状であって、X
方向において対向する2つの第1封止端5xと、Y方向において対向
する2つの第2封止端5yとを有する。
【0030】封止層5は、接着層4の一部(X方向及びY方向におけ
る中央領域)を覆うように配置される。詳しくは、封止層5は、第1
封止端5xが接着層4の第1接着端4xよりも内側(封止層5の内側)、
且つ、第2封止端5yが接着層4の第2接着端4yよりも内側(封止
層5の内側)となるように接着層4に積層される。すなわち、接着層
4は、平面視において、封止層5よりも外側(封止層5の外側)へ延
在する部分(以下、「延在部41」と称する)と、封止層5と重なる
部分(以下、「重複部42」と称する)とを有する。
【0031】 上記のように、接着層4は、絶縁性を有する。このた
め、接着層4の延在部41端先からY1方向の導電層2のZ1方向の
面には、封止端と短絡することなくバスバーBを設けることが可能に
なる。バスバーBは、隣接するペロブスカイト太陽電池(例えば、同
構成のペロブスカイト太陽電池)と電気的に接続(例えば、並列接続
)するために設けられる。【0032】
重複部42は、第1重複領域421と、第2重複領域422と、第3
重複領域423とを含む。第2重複領域422は、第1重複領域421
の外縁に沿って環状に設けられ、第3重複領域423は、第2重複領
域422の外縁に沿って環状に設けられる。【0033】
第1重複領域421は、Z方向において太陽電池素子3と対向する重
複部42の一部である。このため、以下では、第1重複領域421を
「対向領域421」と称する。対向領域421は、図1を参照して説
明したように、太陽電池素子3とZ方向において離間している。
【0034】 第3重複領域423は、ヒータ(例えば、リボンヒータ
)によって加熱及び加圧(以下、「圧着」と称する)されることにより、
導電層2及び封止層5に接着する重複部42(接着層4)の一部であ
る。このため、以下では、第3重複領域423を「接着領域423」
と称する。第3重複領域423は、例えば130℃~200℃、好ま
しくは、160℃の温度で、ヒータによって圧着される。本実施形態
では、接着領域423には加圧跡Pが形成されている。
【0035】 接着領域423が、導電層2の一部(Z方向において接
着領域423と対向する部分)及び封止層5の一部(Z方向において
接着領域423と対向する部分)を、太陽電池素子3を囲むように環
状に接着することにより、内部空間Sへの酸素、水等の進入が防止さ
れ、太陽電池素子3の劣化を防止することができる。
【0036】また、上記のように、接着層4のうちヒータによって圧
着される部分は、接着領域423のみであり、ペロブスカイト太陽電
池100のうちヒータによって圧着される部分は、接着領域423と
Z方向において対向する部分のみである。換言すると、接着層4のう
ち太陽電池素子3とZ方向において対向する対向領域421は圧着さ
れず、ペロブスカイト太陽電池100の太陽電池素子3は圧着されな
い。
【0037】したがって、上記の構成によれば、接着層4の接着時に、
太陽電池素子3(光電変換層32)に対して熱及び/又は圧力が加え
られない。このため、ペロブスカイト太陽電池100の性能の低下を
抑制することができる。また、接着時に太陽電池素子3に対して熱が
加えられないことから、より高い温度(太陽電池素子に熱を加えて接
着層を接着させる構成と比べてより高い温度)で、接着層4を加熱す
ることができる。すなわち、比較的高い温度(例えば130℃~20
0℃)を融点とする樹脂等を接着層4の材料として選択することがで
きる。比較的高い融点の樹脂等による接着は、接着性能(接着強度)
が向上する。したがって、太陽電池素子3をより確実にシールド(内
部空間Sを封止)することができ、ペロブスカイト太陽電池100の
性能の低下を抑制することができる。
【0038】また、上記の構成によれば、絶縁性の接着層4が延在部
41を有することにより、封止層5(導電性のバリア層51)と導電
層2とが絶縁され、封止層5と導電層2との間での短絡の発生を抑制
することができる。この結果、ペロブスカイト太陽電池100の性能
(エネルギー変換効率)の低下を抑制することができる。なお、Y方
向において、接着層4を介して対向する2点間の導電層2の抵抗値は、
例えば、1.5MΩ(メガオーム)である。参考として、絶縁性の接
着層4が延在部41を有しない比較例の場合、2点間の導電層2の抵
抗値は、0.4MΩ~1.0MΩであった。
以下省略
2️⃣ 特開2024-39144 車両 トヨタ自動車株式会社
【要約】本発明の一態様に係る車両1は、車体の上面に取り付けられ
た第1の太陽電池パネル10a、10bと、車体の側面に取り付けら
れた第2の太陽電池パネル20a、20bと、を備えた車両である。
第1の太陽電池パネル10a、10bを構成する太陽電池セル11の
材料が、シリコン系材料であり、第2の太陽電池パネル20a、20b
を構成する太陽電池セル21の材料が、CIS系材料又はペロブスカ
イト材料である。車体の側面に設けられた太陽電池パネルにおける発
電量を向上させた車両を提供すること。
【図1】第1の実施形態に係る車両の斜視図
【図2】太陽電池パネル10aの模式断面図
【符号の説明】1 車両 1a ルーフ 1b ボンネット 10a、
10b 太陽電池パネル(第1の太陽電池パネル) 11、21 太陽
電池セル 12 封止層 13 カバーガラス 14 バックシート
20a、20b 太陽電池パネル(第2の太陽電池パネル) FD フ
ロントドア RD リアドア
【発明の効果】
本発明により、車体の側面に設けられた太陽電池パネルにおける発電
量を向上させた車両を提供
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体の上面に取り付けられた第1の太陽電池パネルと、
車体の側面に取り付けられた第2の太陽電池パネルと、を備えた車
両であって、 前記第1の太陽電池パネルを構成する太陽電池セルの
材料が、シリコン系材料であり、 前記第2の太陽電池パネルを構成
する太陽電池セルの材料が、CIS系材料又はペロブスカイト材料で
ある、車両。
【請求項2】 前記第1の太陽電池パネルが、ルーフ及びボンネット
それぞれに取り付けられている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】 前記第2の太陽電池パネルが、左右のドアのそれぞれ
に取り付けられている、請求項1又は2に記載の車両。
3️⃣ 特開2025-17757 ホール輸送層の作製方法及びホール輸送層
株式会社アイシン ⓵
【要約】下図3のごとくペロブスカイト化合物を有する太陽電池10
のホール輸送層5の作製方法は、芳香族エーテル、芳香族ハロゲン化
物、及び、脂肪環との縮合環を有する芳香族化合物から選択される1
種以上を含む溶媒であって、引火点が40℃以上である溶媒にホール
輸送材料を溶解させるステップと、ホール輸送材料の溶解した溶液を
ペロブスカイト層4の表面に塗布するステップと、溶液を乾燥させる
ステップと、を備える。ホール輸送層を大面積に均一に作製する方法
を提供する。
図1 ペロブスカイト太陽電池の模式断面
図2 ペロブスカイト太陽電池の発電説明図
図3 ペロブスカイト太陽電池の作製手順を示す説明図
【符号の説明】【0086】
10:太陽電池、4:ペロブスカイト層、5:ホール輸送層
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ペロブスカイト化合物を有する太陽電池のホール輸送
層の作製方法であって、 芳香族エーテル、芳香族ハロゲン化物、及び、
脂肪環との縮合環を有する芳香族化合物から選択される1種以上を含
む溶媒であって、引火点が40℃以上である前記溶媒にホール輸送材
料を溶解させるステップと、 前記ホール輸送材料の溶解した溶液を
ペロブスカイト層の表面に塗布するステップと、 前記溶液を乾燥さ
せるステップと、を備えるホール輸送層の作製方法。
【請求項2】 前記溶解させるステップにおいて、 前記ホール輸送材
料の溶解量を1質量%以上5質量%以下とする請求項1に記載のホー
ル輸送層の作製方法。
【請求項3】 前記塗布するステップにおいて、 複数回に分けて、繰
り返し前記溶液を塗布する請求項1に記載のホール輸送層の作製方法。
【請求項4】 前記乾燥させるステップにおいて、 50℃以上120
℃以下の温度で前記溶液を乾燥させる請求項1に記載のホール輸送層
の作製方法。
【請求項5】 前記溶媒としてアニソールを用いる請求項1に記載のホ
ール輸送層の作製方法。
【請求項6】 請求項1~5のいずれか一項に記載の方法によって作
製されたホール輸送層であって、前記ホール輸送層の膜厚が75nm
以上400nm以下であるホール輸送層。
4️⃣ 特開2025-43180 ペロブスカイト太陽電池およびその製造方法
国立研究開発法人物質・材料研究機構
【公約】下図1のごとく、ペロブスカイト半導体層の表面に、PF6-、
BF4-、SO42-、HPO42—およびトリフルオロメタンスルホナ
ート(CF3SO3-)からなる群より選ばれる1以上を含むアニオン
を含む修飾材からなる修飾材層が形成されているとともに、修飾材層
上に電子輸送層が形成されているペロブスカイト太陽電池とする。
本発明の課題は光電変換効率が高いペロブスカイト太陽電池を提供す
ることである。
【符号の説明】11 透明基板 (透明性支持体)12 透明導電層 (
ITO膜) 13 ホール輸送層 (NiOx膜) 13a 表面補償帯、
X-nPACz層 14 ペロブスカイト層 15 修飾材層 (イオ
ン欠損修飾材層)16 電子輸送層 (PCBM膜)17 ホールブロ
ッキング層 (AZO膜)18 裏面電極 (ITO膜、金属膜)19
配線 20 光 101 ペロブスカイト太陽電池
【図2】本発明の効果のメカニズムを説明するための模式図である。
【図3】本発明の太陽電池の製造工程を示すフローチャート図である。
【図4】光電変換効率(PCE)のカチオンサイズ依存性を調べた特
性図である。
【図5】短絡電流(JSC)のカチオンサイズ依存性を調べた特性図
である。
【図6】曲線因子(FF)のカチオンサイズ依存性を調べた特性図で
ある。
【図7】外部量子収率(EQE)のカチオンサイズ依存性を調べた特
性図である。
【図8】内部量子収率(IQE)のカチオンサイズ依存性を調べた特
性図である。
【発明の効果】
本発明により、光電変換効率が高いペロブスカイト太陽電池およびそ
のペロブスカイト太陽電池の製造方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ペロブスカイト半導体層の表面に、PF6-、BF4-
、SO42-、HPO42—およびトリフルオロメタンスルホナート(
CF3SO3-)からなる群より選ばれる1以上を含むアニオンを含む
修飾材からなる修飾材層が形成されているとともに、 前記修飾材層上
に電子輸送層が形成されている、ペロブスカイト太陽電池。
【請求項2】 前記修飾材は、さらに、半径0.135nm以上
0.513nm以下の大きさのカチオンを含む、請求項1記載のペロ
ブスカイト太陽電池。
【請求項3】 前記カチオンは、NH4+、CH3NH3+、グアニジニ
ウムカチオン(Gua+)、1-メチルイミダゾリウムカチオン、1-
エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3—ジメ
チルイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる1以上からなる、
請求項2記載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項4】 前記ペロブスカイト太陽電池は、透明電極層、ホール
輸送層、前記ペロブスカイト半導体層、前記電子輸送層、ホールブロ
ッキング層および裏面電極層を有する、請求項1から3の何れか一項
に記載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項5】 第1主表面に透明電極が形成された太陽光を透過する
透明基板を準備することと、 前記透明電極上に、ホール輸送層、ペロ
ブスカイト層を順次形成することと、 前記ペロブスカイト層の表面
をイオン欠損修飾材で表面修飾処理することと、 前記表面修飾処理
の後に、電子輸送層、ホールブロッキング層、裏面電極を順次形成す
ることからなり、 前記イオン欠損修飾材は、請求項1から3の何れ
か一項に記載の修飾材を含む、ペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項6】 前記イオン欠損修飾材は、2-プロパノール(イソプ
ロパノール)、トルエン、キシレン、クロロホルム、クロロベンゼン
、1,2-ジクロロベンゼンおよびジエチルエーテルからなる群より
選ばれる1以上の溶媒を用いて、0.05mM(mmolL-1)か
ら10mM濃度に調製された前記修飾材を含む溶液からなる、請求項
5記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項7】 前記表面修飾処理の方法は、スピンコート法、ディップ
法、スプレーコーティング法、蒸着法からなる群より選ばれる1つが
用いられる、請求項5または6記載のペロブスカイト太陽電池の製造
方法。
【請求項8】 前記表面修飾処理の後、前記電子輸送層形成前に熱処理
が施される、請求項5から7の何れか一項に記載のペロブスカイト太
陽電池の製造方法。
【請求項9】 前記熱処理の温度は90℃以上110℃以下である、請
求項8記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【詳細な説明】
【0032】
式(1)中のnは2または4がより好ましく、化学式(1)中のXが
OCH3で、nが2、すなわち化学式(2)に示されるMeO-2P
ACzであることが、ベーカンシーの形成がより抑制され、光電変換
効率がより高まるので、さらに一層好ましい。
【0033】
【化1】
の温度は50℃以上120℃以下が好ましい。
【0038】
表面修飾層(イオン欠損修飾材層)15は、PF6-、BF4-、S
O42-、HPO42—およびトリフルオロメタンスルホナート(CF3
SO3-)からなる群より選ばれる1以上を含むアニオンを含む修飾材
からなる表面修飾層である。 さらに、イオン欠損修飾材層15は、
半径0.135nm以上0.513nm以下の大きさのカチオンを含
むことがより好ましい。カチオンの具体例としては、NH4+、CH3
NH3+、グアニジニウムカチオン(Gua+)、1—メチルイミダゾ
リウムカチオン、1-エチルー3-メチルイミダゾリウムカチオン、
1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオンからなる群より
選ばれる1以上を挙げることができる。ここで、参考までに、Gua+、
1—メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチルー3-メチルイミダ
ゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチ
オンの構造を各々化学式(3)、(4)、(5)、および(6)に示す。
【0039】
【化2】
【0045】
<製造方法>
ペロブスカイト太陽電池101の製造方法を、製造工程をフローチャ
ートで示した図3を参照しながら説明する。
ペロブスカイト太陽電池101は、透明基板11上にITOからな
る透明導電層12を形成する工程(S11)と、ホール輸送層13を
形成する工程(S12)と、X-nPACz層からなる表面補償帯
13aを形成する工程(S12a)と、ペロブスカイト層14を形成
する工程(S13)と、イオン欠損修飾層15を形成する工程(S14
)と、電子輸送層16を形成する工程(S15)と、ホールブロッキ
ング層17を形成する工程(S16)と、裏面電極18を形成する工
程(S17)と、配線を形成する工程(S18)を順次行って製造さ
れる。ここで、工程S12は省略することが可能で、工程S16も電
子輸送層16の材料によっては省略することが可能である。
【0046】
ホール輸送層13は、Spiro-OMeTAD(2,2´、7,7-
Tetrakis(N,N-di-p-methoxypheny
lamino)-9,9´-spirofluorene)、PTTA
(Poly[bis(4-phenyl)(2,4,6-trimet
hylphenyl)amine])、
MeO-2PACzおよびニッケル酸化膜(NiOx)などからなる。
形成方法としては、塗布形成法、キャスト法、スパッタリングなどの
PVD法を挙げることができる。
この中でも、スパッタリング法などのPVD法によって成膜される
無機のニッケル酸化膜(NiOx)は、高い光電変換効率を得る上で
ホール輸送層13に好適である。
ここで、スパッタリング法は、PVD法の中でも量産性に富み、製
造安定性も高いので、好んで用いることができる。その生産性から、
ターゲットとしてNiOを用いてRFマグネトロンスパッタリング装
置でホール輸送層13を成膜する方法を好んで用いることができるが、
ターゲットとしてNiを用い、酸素存在下でスパッタリングする方法
を用いることもできる。
ホール輸送層13の厚みは、4nm以上50nm以下であることが
好ましく、電気抵抗と層の厚さ均一性を考慮すると、10nm以上
50nm以下がより好ましい。
【0059】
具体的には、2.4mLのDMFと0.6mLのDMSOからなる
DMF-DMDO中の9mgの5-AVAl、1383mgのPbI2
(関東化学、純度98%)、433.4mgのホルムアミジニウム(
FA´)ヨウ化物塩(FAI)、93.6mgのCsI、および25.5
mgのRbIを調製し、それを表面補償帯のあるNiOx膜13の上
にスピンコートした。105℃30分アニール後、2-プロパノール
(IPA)溶媒中に0.5-10mol%/mLの5F-PHZをス
ピンコートし、ペロブスカイト層14をパッシベーションした。上記
工程を経てペロブスカイト層14を形成した。
【0060】
1-5.イオン欠損修飾材層の形成(添加剤によるペロブスカイト
表面処理)
メチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート(CH3NH3PF6)
などの表1に示す添加剤を各々6mLのIPA溶媒に溶かして作製し
た溶液をペロブスカイト層14の上に滴下し、5000rpmで50
秒のスピンコートを行った後、100℃で5-10分のアニールを行
ってイオン欠損修飾材層15を形成した。ここで、表1に1から12
の試料、a1からa5は比較例、b1およびb2は参考例を示す。
【0061】
【表1】
【0067】 表1に示した1から12および比較例a0からa5、
参考例b1とb2の試料に対してPCEを測定した結果を表2に示す。
なお、比較例a0は、イオン欠損修飾材層15を形成しなかった場合
を示す。ここで、表2には、計算により求めたアニオンのサイズと使
用したカチオンも掲示してある。アニオンのサイズは、密度汎関数で
計算され、分子端端部から端部の最大長の半分(半径)で定義した。
【0068】
【表2】
【0069】
表2からわかるように、ペロブスカイト半導体層14の表面に、PF6
-、BF4-、SO42-、HPO42—およびCF3SO3-からなる
アニオンを含む層であるイオン欠損修飾材層15が形成されている場
合は、16.9%を超えるPCEが得られている。一方、イオン欠損
修飾材層15が形成されていない比較例a0の場合のPCEは、
16.52%と低い値であった。また、イオン欠損修飾材層15のアニ
オンとしてI-(比較例a1)、FeCl4-(比較例a2)、C(N
C)3-(比較例a3)、OCN-(比較例a4)、CH3COO-(比
較例a5)を用いた場合も、PCEはそれぞれ10.43%、4.46%
、13.85%、16.25%および16.35%と低い値であった。
以上のことから、ペロブスカイト半導体層14の表面に、PF6-、
BF4-、SO42-、HPO42—およびCF3SO3-からなるアニ
オンを含む層であるイオン欠損修飾材層15が形成されているときの
効果が確認された。【0070】
次に、イオン欠損修飾材層15を形成するカチオンサイズに対する
ペロブスカイト太陽電池101の光電特性を、イオン欠損修飾材層
15のアニオンをPF6-に固定して調べた。ここで、カチオンサイ
ズは、アニオンサイズと同様に、カチオン分子の端部から端部の最大
長を計算によって求めた。
使用したカチオンは、NH4+(試料3)、CH3NH3+(試料4)、
1—メチルイミダゾリウムカチオン(試料5)、5-アゾニアスピロ
[4,4]ノナンカチオン(試料6)、1-エチル-3-メチルイミ
ダゾリウムカチオン(試料7)、1-ブチル-2,3-ジメチルイミ
ダゾリウムカチオン(試料8)と、参考例としての1-ブチル-3-
メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート(試料b1)およ
び1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファ
ート(試料b2)の8種類である。
【0071】 光電変換効率(PCE)、短絡電流(Jsc)、曲線因子
(FF)のカチオンサイズ依存性をそれぞれ図4、図5および図6に
示す。 PCEは、カチオンサイズが0.135nm以上0.513
nm以下で16%以上という高い値になっている一方、カチオンサイ
ズが0.513nmを超えると急激にPCEが下がっていくことがわ
かる。また、短絡電流(Jsc)も曲線因子(FF)もカチオンサイ
ズが0.135nm以上0.513nm以下で高い値を維持し、カチ
オンサイズが0.513nmを超えると急激に下がっていくことがわ
かる。
さらに、外部量子収率(EQE)と内部量子収率(IQE)の測定
結果をそれぞれ図7および8に示すが、カチオンサイズが0.531
nmおよび0.590nmになるとEQEもIQEも目立って低下す
ることがわかる。なお、図中のカッコ内の数字はカチオンのサイズ(
単位はnm)を表す。
以上のことから、ペロブスカイト半導体層14の表面形成されたイオ
ン欠損修飾材層15は、半径0.135nm以上0.513nm以下
の大きさのカチオンを含むとペロブスカイト太陽電池101の光電特
性がよくなることが確【産業上の利用可能性】【0072】
本発明により、光電変換効率が高いペロブスカイト太陽電池および
そのペロブスカイト太陽電池の製造方法が提供されるので、産業の発
展に大いに寄与することが期待される。認された。
この項了
※注:どのような発明でも、どのような製法でも外部への排出は避け
完全分解及び回収し分解。無毒化は前提である。
※注:変換効率が30%を超えてくるタンデム・多層型太陽電池の実用
化は、水電解水素のコスパ実現の大前提であることは言うまでもない。
有機太陽電池も然りである。