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Channel: 極東極楽 ごくとうごくらく
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混沌ゆえ鮮明に

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       タオは天と地のできる前からある。
               その状態は
               あらゆるものの混ざり合った混沌だ。
               そこには
               ほんとうの孤独と静寂に
               満ちていて、すべてが
               混ざり合い変化し続ける。
               あらゆるところに行き渡り
               すべてのものを産むのだから
               大自然の母といっても良いかも知れぬ。

               こんな混沌は名づけようもないから、
               私は仮に”道・タオ"と呼ぶんだが、もし
               この働きの特色はなにかと、訊かれれば
               「おおいなるもの」と応えよう。
               それは大きなものだから
               遠くまで行く。
               遠くまで行くから
               帰ってくる。

               このタオの偉大さを
               受けついだ天は偉大なのだ。
               その大地にいる人間だって
               タオにつながる時は偉大なんだよ。
               だってそのひとは
               大地に従っていきるからだ。
               大地は天に従っているし
               天は道(タオ)に従い
               道(タオはそれ自体。自らの動きであり、それこそ
               最も大いなる自然といえるんだ
                                  

                                                                       加島祥造 『タオ――老子』第25章

 

 【混沌の2016年】 

    

安定性を脅かす政治的、地政学的動向のユーラシアグループの年次リストが話題となっ
ている。それは昨年度のリスク・トップ10の予測の的中率があまりにも高かったから
だ。今年はどうか?予測のナンバーワンに「大西洋同盟(パートナーシップ)の空洞化」
を挙げている。世界有数の外交政策の専門家の一人によると、大西洋同盟の空洞化は、
2016年は世界が直面する最大のリスクであり、前例のない世界的な不安定性に直面
するとする。ここでいう「「大西洋同盟(パートナーシップ)」は、欧米(コア:英米)
で、パックスアメリカーナの衰退をコアとした欧州共同体の分裂連鎖を意味する。具体
的事例として、米国の中東政策――アフガニスタン、イラク、リビア、マリ、シリア、
イエメンでの失敗、英国の急速な中国の融和政策、中国経済成長の失速懸念などである。

1)大西洋同盟の空洞化:過去70年間で最も弱体化→ロシアのウクライナ介入、シリ
 アの紛争
2)欧州共同体の弱体化:格差拡大、難民、テロ、草の根民主主義の政治的圧力増大
3)中国の台頭:政治経済に与える影響が唯一ゆえもたらされる政治経済・環境問題な
 ど不確実性
4)イスラム国と同調者:フィリピンからナイジェリアの信者や同調者集めることがで
 きる世界で最も強力なテロ組織でそのターゲットは、スンニ派イスラム教徒(イラク、
 レバノン、ヨルダン、エジプト)、フランス、ロシア、トルコ、サウジアラビア、米
 国、イスラエル、全欧州諸国
5)サウジアラビア:今年王室内の不和と不安定な経済成長、イランとの国交断絶以降
 の二国間紛争の拡大懸念
6)技術者の台頭:技術世界――シリコンバレー企業からのハッカーグループとハイテ
 ク慈善家など多数かつ多様で非国家主体の前例のない政治要求の影響
7)予測不可能なリーダー:ロシアのプーチン大統領、トルコのレジェップ・タイップ・
 エルドアン、サウジアラビアの副皇太子モハメッドビンサルマン、ウクライナのペト
 ロ・ポロシェンコの指導者の予測不可能な影響
8)ブラジル:ジルマ・ルセフ大統領の政治手腕の脆弱性
9)未成熟な選挙:新興市場は、14年から15年に国政選挙の歴史的転換期に当たっ
 たが経済成長の停滞とともに民衆の不満が高まる
10)トルコ:タイップエルドアン大統領の権力集中にともなう経済不振とイスラム国と
 シリア(米国とロシアの代理戦争状態)への関与の不確実性

以上、「リスクトップ10」の概要だが、北朝鮮の水爆実験成功?などは当然入ってい
ないが、ロシア、中国リスクは評価不足のであろう。 

 

 ● アベノミクスの失敗と改憲

翻って、日本はどうだろうか?親ポスト・ケイジアン、リフレ派、創憲派のわたし(た
ち)からみれば、山田厚史 の『「分配」を言い始めた首相の焦りに透けるアベノミクス
の失敗』(ダイヤモンド・オンライン)で経産省内閣とも言われる安倍政権は、財界や
強い産業の要望に沿った政策を採用する。法人税減税、労働者の非正規化、TPP推進
、原発再稼働、円安の推進。経産省が推進する大企業寄りの政策がてんこ盛りだと指摘
した上で、日本を代表する企業が儲ければ、国民経済が豊かになる、という構図は前世
紀で終わった。競争と市場原理だけでは貧富の差が拡大するのは世界で実証済みだ。成
長がすべての人を底上げする経済ではない。一人当たりのGDPで日本は世界ランキン
グで後退するばかりだが、394万円(15年)は、決して低い額ではない。皆で分け
合えばその半額でも十分な暮らしができるとして、アベノミクスが失敗だと結んでいる
が異論なく、「デフレ脱却できず失敗」だ。問題は、同じ『山田厚史の「世界かわら版」
』の前回の「財務省完敗で消費再増税に暗雲、国債暴落危機が始まる」(2015.12.24)
で、「安倍政権・官邸、恐るべしの政治。これが政治か。軽減税率でここまで妥協する
とは。これで完全に憲法改正のプロセスは詰んだ。来夏の参議院選挙で参院33分の2を
達成すればいよいよ憲法改正。目標達成のための妥協。凄すぎる」と前橋元徹大阪市長
のツイッターを引用し改憲批判を述べ、「昨年末の総選挙で安倍政権は、公約した増税
を延期した。その直後、米国の格付け機関ムーディースは日本国債を「格下げ」した。
再延期となれば、国債信用は更に低下するだろう。その時、市場で何が起こるのか」と
結んでいる。「改憲」と「積極的平和主義」との関係はこのブログで記載しているがら、
ここでは割愛するとして、「消費税増税再延期疑念」と「国際下落」は連動するから反
対とする考え方に不同意であることもブログ掲載してきているからわたし(たち)の立
ち位置は明確で、反財務省派である。

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これに関しは同じ、ダイヤモンドオンラインで「高橋洋一の俗論を撃つ!」の『「お札
を刷って国の借金帳消し」ははたして可能か』(2015.12.17)で明確に、インフレ目標
論――2013年度末の国のB/Sで見ると、資産は総計6533兆円。そのうち、現
預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円
が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託
金105兆円、その他18兆円。負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、
政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。
運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他445兆円。先進国
と比較して、日本政府のB/Sの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額
としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合
がきわめて大きいのが特徴的だ。アバウトに言えば、しばしば政府の借金1千兆円とさ
れるが、これはグロスの数字であり、ネットの純債務は500兆円である。しかも、こ
れは政府の単体B/Sの話であり、日銀との連結B/Sで考えれば、純債務はさらに減
少する。直近の日銀の営業毎旬報告(上表)を見ると、資産として国債326兆円、負
債として日銀券94兆円、当座預金239兆円となっている。ここもアバウトに国債3
00兆円日銀券300兆円と見れば、政府と日銀の連結B/Sでの純債務は200兆円
になる――と述べ、弊害の大きい1千兆円の政府紙幣の1枚の印刷で借金を解消するよ
りインフレ目標(2~3%)の着実な達成の方が現実的※だと述べている。

※ シニョレッジ(通貨発行益)とはそれはシニョレッジを大きくすればするほど、イ
  ンフレになるということ。だから、デフレの時にはシニョレッジを増やせるが、イ
  ンフレの時には限界がある。その限界を決めるのがインフレ目標である。インフレ
  目標の範囲になるように、お札を刷ってシニョレッジを稼げという論理。

それではどうするのか?その解答もこのブログで掲載済みだ(成長戦略『双頭の狗鷲』)。

 

【植物を丸ごと透明化し観察する技術】

昨年10月28日に公表された、名古屋大学の研究グループの植物を解剖せずに、丸ご
と透明化して観察できる試薬が紹介されていた。内部の観察の際には蛍光色素で染めた
後、特殊な顕微鏡で見るが、植物の場合、葉緑体の色素クロロフィルが邪魔をして、葉
の表面しか見えなかったのを、「ClearSee(クリアシー)」という試薬で、マ
ウスの脳細胞の脂質除去技術を応用し、アルコールや界面活性剤など24種類の化合物
を組み合わせた。植物をホルマリン固定した後、この試薬に4日間浸すと、クロロフィ
ルが除去できるという技術で、ClearSee技術は植物を蛍光観察するための基本
的な技術となり、細胞レベルの現象と個体全体をつなぐシステムの解明など、世界中で
植物科学研究が加速していくことが期待されるというから、「新弥生時代」さらに進化
発展していくのだろう。これは新年早々の「メリットトップ10」の話かもしれない。

   doi:10.1242/dev.127613

【抗癌最終戦観戦記 Ⅴ】

● がん細胞だけを狙い撃ち、放射線治療が最終治験

これはちょっと物騒な装置システムだが、国立がん研究センター中央病院と総合南東北
病院(福島県)、大阪医科大(大阪府)の3病院が今月から、がん細胞だけを狙い撃ち
する放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の実用化に向けた最終段階の臨
床試験(治験)を始めるという話題。悪性脳腫瘍を再発した患者を対象に、生存率など
から治療効果を検証し、早ければ5年後に入院費などの一部保険がきく先進医療の認定
を目指す。BNCTは、がん細胞に取り込まれやすいホウ素薬剤を患者に点滴し、体へ
の影響が少ない中性子線を照射する。ホウ素は、中性子線を吸収して核分裂した際に放
射線を出し、がん細胞を内部からたたく。放射線の射程は細胞1個分ほどで、周囲の正
常な細胞を傷つけにくいとされる。

妙な気持ちになるのは、たとえば、福島原発事故で脳腫瘍の罹患者をこの装置システム
を治療するというケースも考えられるわけだから、再生医療もそうだが、何となく気持
ちが悪いがまあここは前向きに考えよう。

※ 関連特許

特開2015-217207  中性子捕捉療法装置及び核変換装置 住友重機械工業株式会社
特開2013-208257  中性子捕捉療法用コリメータ及び中性子捕捉療法装置 住友重機械工
         業株式会社 他 
特開2004-233168  中性子捕捉療法に用いる中性子遮蔽板、およびヒト以外の哺乳動物
         に対して行なう中性子捕捉療法、ならびに治療用中性子照射装置 独
                 立行政法人 科学技術振興機構

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またたくまに一日が過ぎた。何かを求めてやっているのだが、何も生み出せずに、無駄
な一日を過ごしたようで、自分が哀れで、悲しく思うことがある。またたくまに一日が
過ぎようとしている。長くて短い命だ。軽くてやりきれない一日が過ぎる。鮎川も、吉
本も、加島も見事な詩を、作品を残したというのに。自分はというと相も変わらず、求
め、比べ疲れ、一日が過すぎる。   

 

 

 


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