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百年長征と次世代船舶

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      政治は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す政治である      毛沢東

         

 


● 折々の読書  『China 2049』Ⅸ


            秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」     

                              マイケル・ピルズベリー 著
                              野中香方子 訳   

ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた
著者マイケル・ピルズベリーが、自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづ
けてきたと認めたうえで、中国の知られざる秘密戦略「100年マラソン(The Hundred-
Year Marathon) 」の全貌を描いたもの。日本に関する言及も随所にあり、これから
の数十年先の世界情勢、日中関係、そして、ビジネスや日常生活を見通すうえで、
職種や年齢を問わず興味をそそる内容となっている。 

  序 章 希望的観測
 第1章 中国の夢
 第2章 争う国々
 第3章 アプローチしたのは中国
 第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
 第5章 アメリカという巨大な悪魔
 第6章 中国のメッセージポリス
 第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
 第8章 資本主義者の欺瞞
 第9章 2049年の中国の世界秩序
 第10章 威嚇射撃
 第11章 戦国としてのアメリカ
 謝 辞
 解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
     森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣) 
 

   第2章 争う国々 

   中国の狙いは、自らの野望を悟られることなく、アメリカを説きつけて、
  技術、投資、政治的支援を手に入れ、アメリカ市場に中国製品を売り込む
  ことだった。かつてKGBは中国の真意を察知して警鐘を鳴らしたが、今
  回中国は、アメリカの情報コミュニティに自国の活性化を後押しさせるよ
  うに仕向ける方法を見つけた。中国は、アメリカの保守派にまで予を回し、
  中国をソ連に対抗するためのパートナーにしてデタントの相手国であり、
  共産主義でさえない国だと思い込ませた(注22)。

注22.例えば、中国はアメリカの上院議員ヘンリー・ジャクソンを1976年、北京に
招いた。ジャクソン上院議員については次を参照。Robert G. Kaufman,Henry M.
Jakson; A Life in Politics (Scattle; University of Washinton Press, 2000)

   中国の戦略の一つに、他国と連合うして敵を包囲すると同時に、敵の連
  合を弱めて、包囲されないようにするというものがある。戦略家を意味す
  る「縦横家」という言葉は、この戦略を体現している。これも戦国時代の
  言葉で、その時代の二つの主要な連合、「縦」の連合うと「横」の連合に
  由来する,「横」は東西に並ぶ国からなり、その国々は「保護」と「連携」
  を求めて強国の秦と手を結んだ。一方、「縦」は南北に並ぶ国々からなり、
  こちらは一致団結して強い秦に対抗しようとした。これらニつの連合は、
  数十年にわたって飴と鞭を使い分けて支持者を増やし、攻防を繰り返して
  きた。最終的に「横」、天下を取るという野望を否定し、「縦」の要求を
  飲んで、落ち着かせた。この策略によって「縦」の連合は崩壊し、秦がそ
  れらの国々を征服した。今日、中国の著述家は、アメリカの同盟体制に対
  抗しなければならないと主張するが、その裏で、中国は密かに別の同盟を
  築きつつあるのだ。

   中国を象徴するボードゲームの「囲碁」は、縦横の国々が同盟した戦国
  時代を思い出させる。このゲームの目的は、チェッカーのように敵を全滅
  させることではない,そうではなく、ふたりの対戦者は、相手の石を包囲
  するべく盤上に石を並べていく。囲碁を文字通りに翻訳すれば「囲い込む
  ゲームーである。勝つための鍵は、相手を操って自分が相手の石を包囲す
  るのを助けさせることだ。

   囲碁で勝つための二つ目の鍵は、自分の目的と意図を相手に見抜かれな
  いようにすることである。こちらの戦略を悟られないようにしながら、新
  たな場所を開拓して相手を誘い出し、密かに相手を包囲していく、包囲の
  程度が相手にわからないよう、包囲と逆包囲の配置をいくつも組み立てる。
  相手をより多く包囲したほうが勝利を収める。

   相手の戦略の要になっているのが「欺き」であることを知らずに、この
  ゲームをしているところを思い浮かべれば、アメリカが中国にどのように
  存ばれているかが少しはわかるだろう。アメリカ人は、このゲームのル-
  ルをまったく知らない,勢についても、大半の人は聞いたことさえない。
  そしてこのゲームに負けつつあることを知らない,何しろこのゲームが始
  まったことすら知らない。責められるべきは、中国の巧妙な戦略と、わた
  しや同職が長く抱いてきた幻想である。



  『キッシンジャー回想録』のなかで、キッシンジャーは中国の勢の用い方
  の五つの例を挙げている。いずれも、戦争と危機への対処の仕方に関する
  ものだ。勢の重変性を知ったことが、キッシンジャーの中国に関する考え
  方を変えた。それまでの4冊の衿書(注23)とは対照的に、この本では勢
  について繰り返し述べている。キッシンジャーは中国がアメリカとの関係
  を「戦闘的共存」と見なしていると警告し、勢の重要な側面に光をあてた
  「アメリカ人は今にいたっても、中国との国交開始を安定した友好関係の
  始まりと見なしている,だが中国の指導者は、『勢』の概念を幼い頃から
  教え込まれており、変化しつづける情勢を読むことに長けている。(中略)
  アメリカには『法に基づく国際秩序』という言葉があるが、中国の書物に
  それを尊重しようとする表現はめったに見られない。むしろ中国が求めて
  いるのは、一種の戦闘的共存を通して安全保障と進歩を見いだせる世界で
  あり、その世界では、戦闘への意欲が、共存という概念と同等の地位を与
  えられるのだ(注24)」

注23 Henry Kissinger, Diplomacy (New York: Simon & Schuster,1994): Hcnrv Ki-
ssinger, White House Yearsv(Ncxw York: Little, Brown, 1979);  Henry Kissinger.yeαrs
Renewal (New York; Touchstone 1999); amd Henry Kissingcr, years of Upheaval (Lon-
don: Wcidcnfcld & Nicolson,1982).

 注24.Kissinger, On China, 235.


   キッシンジャーは、1979年に中国がベトナムを攻撃したのも、勢の
  結果だと言う。「より広い視野で見れば、この戦争は、孫子の兵法が説く
  『勢』――時流と戦略的地形に潜在するエネルギーを、中国政府が分析し
  た結果から心から生じたものだ」
   小平は、ソ連の戦略に容認できない動きを見いだし、それを阻み、で
  きることなら逆行させたいと思っていた,そして中国は、大胆な軍事行動
  と、アメリカとかつてない緊密な関係を結ぶことによって、この目的を達
  成したのである(注25)。

注25.Kissinger, On China, 371.

   中国の戦略家が力のバランスをどのように査定し、形勢に従ってどのよ
  うに行動するかを理解するには、勢の埋解か欠かせない,彼らの形勢判断
  は主に、戦国時代に構築された眼的測定法に依拠している。そして、その
  顕著な特徴は、勢という語が、精査すべき尺度としても、指揮官や国の指
  導者の行動によって削出され操られるものとしても、用いられることだ。

   儒教の言葉、古代の漢詩、書、美術から浮かびトがってくる中国のイメ
  ージは、誤解を招きやすい。古代の中国人は分析的で数学的と言うよりむ
  しろ、創造的で思索的だったというイメージをもたらすからだ。しかし、
  ランド研究所の専門家ハーバート・ゴールドハマーは、戦国時代には、敵
  の敗北が避けられないことを示すデータを敵自身に教えて、譲歩を引き出
  す戦略家がいた、と指摘する(注26)。量的測定は、古代中国の政治に欠
  かせなかった。今もそれは同じだ。

注26. Pillsbury, China Debates the Future Securitu Environment.

   中国の軍部と諜報機関は、賦的測定によって、中国はどうすれば地政学
  hの競争相手と肩を並べることができるか、またそれらを追い抜くにはど
  のくらいの年月がかかるかを推定している,わたしはこうした評価を、人
  手しにくい中国の軍事アナリストの著作で読み(注27)、中国人が世界の
  強国の力と自国の進歩をいかに正確に評価しているかを知って驚いた。最
  も驚くべき事実は、国力の評価基準に占める軍事力の割合が10パーセン
  ト以下だったことだ。世界第二の軍事大国だったソ連の崩壊後、中国は評
  価システムの重点を、経済、対外投資、技術革新、天然資源所有へと移行
  させた。こうした中国による国力評価の結果は、経済成長の流れがこのま
  ま続けば、多極化した世界がまた一国支配の秩序に戻ることを予言してい
  る。中国の指導者は、その時に世界で最も強い国となるのは中国だと信じ
  ている。

注27.同上、chapters 6 and. 22.

   その目標を達成する鍵は、「勢」の概念だ。中国政府はこの概念をアメ
  リカとの関係のほぼすべての面に適用している。トム・ソーヤーの友達が、
  トムに騙されて柵を塗らされているとは思いもしなかったように、アメリ
  カの政策立案者は自分たちが利用されていることにまったく気づいていな
  い。

   中国の軍事関連の本に頻繁に引用される勢の事例は、紀元前208年に
  起きた「赤壁の戦い」である(注28)。この戦いには、敵を欺いたり、敵
    の判断の誤りを利用したりする戦略から、そうした戦略を賞賛する中国流
  の正義感まで、中国独自の考え方をありありと見ることができる。西洋の
  テルモピュライの戦い、カンナエの戦い、アジャンクールの戦い、ワーテ
  ルローの戦いと同様に、赤壁の戦いは、中国の軍事史と伝統に、永遠にそ
  の名を刻んだ。今日にいたるまで、赤壁の戦いとそれにまつわる一連の策
  略は、中国の軍事指導者に研究され、教科書や小説で論じられている(注
  29)。

注28 Kimberly Besio and Constantine Tung, eds.,Three Kingdoms and Chinese Chinese
Culture(Albany: State univcrsity of  Ncw York Prcss,2007); John J. Tkacik, “A Spirit-v
isit to an Ancient Land, ”Wall Street Journal,February 28, 2014,http://online.wsj.com/
news/
articles/SB20001424052702303775504579397221926892100.

注29 中国人の研究者によると、赤壁の戦いにおける南の指揮官の勝利は、南の連合軍
が「勢」を評価する際の四つの要素がもたらした。その4つとは、表面的な現象に惑わされ
ない、主たる敵を倒すために連合する、迅速な急襲をしかける、敵の弱点をつく、である。

Zhang Tieniu and Gao xiaoxing,Zhongguo  gudai haijun shi [Chinese  Ancient  Nova Histo-
ru](Bcijing; Ba yi chubanshe, 1993),46,47.
軍事科学研究院のある研究者は、赤壁の戦いの勝者は情勢が好ましくなるまで「待って、
見る」戦略を取ったことを強調する,Yue Shuiyu and Liang Jingmin, Sun Zi bingfa Yu Gao
Jishu Ahanzheng[Sun Zi's Art of War and High Technology Warfar](Bejing: Guofang daxuc
chubanshe, 1998),122.


   赤壁の戦いでは、南の弱小な王国が、北の強国に対して反乱を起こす。
  両国とも中国全土の掌握を目論んでいる。戦争が始まると、北の指揮官、
  曹操は、100万入超の軍勢を川沿いに配置した。その数は対岸に並ぶ、
  諸葛亮指揮下の南軍の兵をはるかにしのいだ。しかし、北の兵士の多くは
  川岸の戦いに慣れておらず、初戦は、川をうまく利用した南軍が勝利した。
  続いて双方は、一連の策略を用いた。それぞれの策略は、諺となって今に
  伝えられており、戦の成り行きは、中国で最も読まれている小説『三国志
  演義』に詳しく描かれている,

   その一つは以Fの通りだ,曹操は形勢の逆転を狙って、部下の蒋幹を南
  軍の指揮官のもとへ送り、降伏を引き出そうとした。蒋幹は、諸筒亮の仲
  間である周喩の幼なじみだった。蒋幹は、南軍の陣営に着くと、旧友に会
  うためひとりで来たとI阿うが、策略の達人であった周喩は、この友人の
  裏の動機を察知する。そして策略に乗るふりをして蒋幹を宴席に招き、泥
  酔したように見せかける。そして夜がふけると、「夜を徴して飲もう」と
  蒋幹を自らの陣幕へ引き入れる,机上に置いた手紙を彼が盗み見るのを予
  期してのことだ。その手紙は偽物で、北軍の主力となっている将軍、蔡瑁
  と張允が曹操を裏切って南軍に寝返ろうとしていることが書かれていた。
  周喩が予想した通り、蒋幹はその手紙を盗んで北の陣営に戻る。手紙を読
  んだ曹操は激しく憤り、蔡瑁と張允を処刑した。その結果、北軍は弱体化
  した。一方、周喩と諸葛亮は南軍を圧倒的に有利な状況に導き、新たな勢
  い、つまり「勢」を形成した。 

   別の策略では、諸葛亮は龐統に北軍を倒すための助言を求める。龐統が
  考えた計略は、自らが偽りの南軍離反者となって北軍に入り込み、その最
  も恐るべき軍備である木の船団を壊滅させるというものだ。その策略は、
  龐統が公の場でわざと南の指揮官と対なするところから始まる。龐統が南
  軍から離反したがっていると思い込んだ北軍のスパイは、北軍に投降する
  手助けをしよう、と龐統に申し出る。情報の意図的な漏洩がこの策略の要
  となる。北軍に入り込んだ暖統は酔ったふりをして、北の船団が無力なの
  は、兵士が船酔いするせいだと漏らす。敵が恐れていることを改めて指摘
  するのは、欧きの常套手段だ。曹操は以前から兵士の船酔いを案じていた
  ため、龐統に「どうすれば防げるだろう」と尋ねる。すると龐統は、30
  艘から50艘ずつ船を鉄鎖でつなぎ、間に幅広の板を渡せば、船は安定す
  るだろうし、兵士はバランスが取りやすく、船から船への移動も楽になる、
  と助言。曹操は迂闊にも龐統を信じて、この助言を受け入れた。この状態
  で一般の船に火をつければ、船団は火に包まれる。この逸話の教えは、自
  分より強力な敵も、巧みに操れば、その最大限の力を発揮させないように
  できる、ということだ。

   さて、赤壁の戦いが始まる。戦略上の重要な教えは、南の指導者が勢を
  どのように見ているかという点だ。諸葛亮は、天気を詳しく観察し、東の
  風が吹きはじめることを察知した。賢人が、勢の瞬間の到来を知れば、即
  刻、断固たる行動がとられる。諸葛亮は、その夜、襲撃開始を命じた。鉄
  鎖でつながれた北の船に放たれた火は、強風に煽られ、たちまち船団のす
  べてを飲み込んだ。こうして覇権国は、大敗の屈辱をなめたのだった(注
  30)。

注30 ある研究者は、北の指揮官の敗北は「戦略の失敗」によるものだと総括し、特に「自
分より優位な敵と向き合う時に、自らの不利を有利に変えることができなかった(中略)(北
の指揮官は)信頼するべき人間を疑い、疑うべき人間を信頼した。すなわち傲慢だったの
だ」。他の研究者は、その戦いの結果の悲惨さを強調する。北の指揮官は「わが国の歴史
上、傑出した軍事戦略家に数えられたかもしれないのに、そうはならなかった」。Pu Yingh-
ua and Hua Mingliang,Yunchou Weiwo- Zhuge Liang Bingfa[Devise Strategies Within a
Command Tent-Zhuge Kiang's Art of War ](Beijing: Wuzi chubanshe, 1996)、47.


   現在、中国全上の寺院には戦争の神が祀られている。伸の勢いが、赤壁
  の戦いのその日に訪れた。カ強い船団を失って破れた北の指揮官、曹操は、
  森へ逃げ込んだ。何度も立ち止まって休みつつ、自らの逃走を許した諸葛
  亮の無能を嘲笑した,そして、敵の軍隊は主要な道路に沿って並んでいる
  だろうし、自分が通らないよう、山道には火がつけられている、と予測し
  た。

   最後の策略が、中国史上、最も偉大なふたりの策略家の戦いの決着をつ
  けた。諸葛亮は、曹操がどう考えるかを見越して、軍隊を主要な道路では
  なく、霧が立ち込める山道に配置していたのだ。険しい山道に多くの兵が
  待ち伏せしていたために、曹操が率いる軍勢はわずか300人になった
  が、曹操はどうにか逃げおおせた。彼は自分が安全だと信じ、またしても
  諸葛亮を嘲笑したが、さらなる待ち伏せに合い、ついに敗北を喫した。
   一連の策略によって、曹操が率いる中国最大の軍は破滅した。超人的に
  賢く、絶好の機会を捉えることと真意を偽ることに熟達した諸葛亮の、陰
  謀と策略に負けたのだ。

  「たった一つの陰謀が大敗をもたらすこともある」

   今日、中国の軍部のタカ派が「赤壁の戦い]に言及する際には、この信
  念を繰り返し語る。

   多くの著作が、諸葛亮がいくつもの優れた術策を巧みに組み合わせて用
  いたことを賞賛する。彼は、流れを見極め、策を弄し、決定的な攻撃のた
  めに特別な軍隊を雇い、上層部の意見の相違を巧みに利用し、戦略的な連
  携を築いて、敵を孤立させていった(注31)。反対に曹操は教訓を生かそ
  うとせず、自分が始めた戦いで敗北を喫した。中国の著名なふたりの軍事
  研究者は赤壁の戦いの勝者が、形勢が好ましくなるまで「睨察しながら待
  つ」戦略を用いたことを強調する(注32),また別の研究者は、形勢(敵
  が内部の軋峰から衰退しはじめ、攻撃の絶好の機会となる瞬間)を決める
  うえで、スパイが一役買ったと付け加える(注33)。

注31 「たった一つの陰謀が大敗をもたらすこともある」。Central Tclcvision Station Military
Departmcnt and thc Navy Political Departmcnt Propaganda Departmcnt, San shiliu Gujin
Tan [Ancient and Modern Discussions on the Thirty-Six Decep tion](Jinan: Huanghe chuba-
nshe, 1995),166.この信念は、人民解放軍による赤壁の戦いについての解説の多くで繰り
返されている。Mao Zhcnfa,Tian xuan,Pcng xunhou,Moμlue Jia[Strategists ](Beijing:
Lantian chubanshe, 1993),119.  一部の中国の研究者は、南の連合軍の陣形が勝利を
決めたと見る, Zhang Feng,Zhongguo Lidai Conmouzhang[Chiefs of Staff in Past chinese
Dynasties](B6jing:Kunlun chubanshe, 1999),180.  「赤壁の戦いは、Grand Central village
での戦略の計画を練る会議の1年後に勃発した。それは、連合戦略を実施する最初のス
テップで、その戦略により、劣勢な南の国々が覇権国を打倒することができた」。Ren Yuan,
Ziisheng Lidai Canmouzhang [Chiefs of Staff in Past Chinese Dynasties](Changan: xibci
daxue chubanshe, 1997),58.  同様に、別の人民解放軍の著者は、南の連合が形成されな
ければ、優勢な北の敗北はあり得なかったと強調する。 Li Zhisun,Zhogguo Lidai Zhanz-
heng Gailan[An Outline of Warfare in Past Chinese Dynasties]Junshi kexue chubanshe,
1994),108.

注32  Yuc Shuiyu and Liang Jingmin. Sun Zi Bingfa Yu Gao Jishu Zhanzheng. 122.

注33  CcluraI Tclcvision Station Militarv Dcpartmcnt and the Navv PoliticaI Departmcnt
Propaganda Departmcnt, Sanshiliu Ji Gujin Tan, 174-75.


   今日のアメリカ人が知っておくべきなのは、中国が「戦国時代の兵法を
  用いるのは自分たちだけではない」と見ていることだ。つまり、アメリカ
  も同様な戦略を用いる、と考えているのである。アメリカは覇権国として
   の地位を守ろうとして攻撃的にふるまうはずだ、と彼らは予測する。ま
  た、アメリカが国際関係の緊張緩和や国連憲章、民主主義、人権を尊重し
  ようとするとき、中国は、アメリカの真意はどこにあるのかと疑う。おそ
    のかと疑う、おそらく中国のハト派と改革派のなかには、アメリカの善意
    を理解するともいるたろう。しかしタカ派には、アメリカが策略を巡らし
  ているようにしか見えない。そしてそのタカ派は、わたしたちが長く誤解
  してきたような、無力な変わり者ではないのてある。


第2章はここでおわる。中国思想史を学んだひとは読み飛ばしてもかまわないが、
歴史愛好家にはとってはそれなりに面白いかもしれない。「国家戦略思考」が嫌い
なわたしのように、常に「それは誰のために、何のために」と反質し続ける人間に
とって――例えば、カンボジアのポルポト政権の虐殺やチベットの武力併合などの
を考えると――気の重いものである。これは米国のベトナム戦争、アフガニスタン
侵攻、イ・イ戦争・イラク侵攻などの軍事介入も同様であるが、かって、毛沢東は、
「政治は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す政治である」と語っている。ま
た、ピーター・ドラッガーは「戦争は外交の敗北である」と語っているが、『宗教
の最終形態としての国家』をいかに解放いていくかという戦略思考を抜きにして語
れない。さて、次回は第2章「アプローチしたのは中国」に移る。

                              この項つづく


 

 ● 今夜の一品

【世界最高水準の環境性能の次世代船舶】

● 輸送船に900枚の薄膜太陽電池

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ルギーで賄う。

全長約200×幅37.5×深さ38.23メートル、積貨重量約2万トン、総重量約7万6400ト
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拡張に対応でき、従来線より大型化を図り最大7500台の自動車が積載できる。
さらに鉄道車両や建設機械などの運送に可能。


【ことしもこんなにいただきました。】

 

 

      


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