フォークソングは、古い歌を作り変えることができる。
ぼくは、それにのっとって曲作りをしているだけだ。
決して画期的なことじゃない。
ボブ・ディラン
【RE倶楽部:エネルギー列島滋賀版】
滋賀県は、30年までに再生可能エネルギーとコージェネレーションで電力の自給率を30%以上に
高める構想を推進中。琵琶湖の周辺に太陽光発電と小水力発電を拡大し、災害に強い社会を作り上げ
る。市民の出資による太陽光発電や、農業用水路に展開する小水力発電が続々と運転を開始する。関
西電力の原子力発電所が集中する福井県の若狭湾から、滋賀県の北部までは10キロメートルほどし
か離れていない。滋賀県民の原子力発電に対する危機感は根強いものがある。県内に再エネの発電設
備――16年3月に策定したエネルギービジョンのテーマは「原発に依存しない新しいエネルギー社
会の実現」であり、県を挙げ節電を推進して電力の消費量を減らすのと同時に、再生可能エネルギー
とコージェネレーション(熱電併給)の電源を増やし自給率を高める構想――を拡大し、原子力の依
存度を引き下げる取り組みを加速(詳細、下写真ダブクリ)。
【RE倶楽部:先端技術本位制の此岸】
● 宇宙の太陽光発電 レーザー電力伝送実験目標をクリア
「宇宙太陽光発電システム」(Space Solar Power Systems)は宇宙に浮かぶ太陽光発電所。人工衛星に
搭載した装置から太陽光(核融合)エネルギーを地上に伝送して、電力に変換して利用できる発電方
法である。地上の太陽光発電のように天候の影響を受けにくく、必要に応じて地球上のあらゆる場所
まで電力を届けることが可能になる。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は小規模なシステムを構築し
やすいレーザーを利用した伝送方法の技術開発を選択。レーザーを使って太陽光エネルギーを伝送に
は、宇宙から地上の受光装置まで位置ズレをなくす必要がある。この時に求められる精度が高度3万
6千キロメートルの位置から、地上の3.6メートル以内に制御しなければならず、角度で表すと百万
分の6.7度(0.1μRAD=マイクロラジアン)に相当。
Oct. 11, 2016
JAXAは10倍の1μRADを目指して、16年5月中旬から約1カ月かけて電力伝送の地上実証実験を
地上を繰り返し、ビーム方向制御の精度は目標の1μRADよりも少し大きい約2.5μRADに収めること
に成功。これは2200メートルのタワーの下で0.5ミリメートルのズレに相当。一方の電力伝送は
出力340ワットのレーザーをタワーの屋上から地上の光電変換装置まで送り、変換後に60ワット
(約82%減衰)の出力を目標設定し。実験では最大で74.7ワットまで出力(約78%減衰)を
高められることを実証。30年代にはメガワット級の発電システムを実用化させる国の目標を達成さ
せる予定である。
● オールバイオマスの実現へ:石炭を天然ガスに変えるメタン生成菌
今月14日、産業総合技術研究所は、単独で石炭から直接メタンを生成するメタン生成菌を発見こと
を公表。それによると、コールベッドメタンは近年、石炭層中の非在来型天然ガス資源として世界各
国で開発が進められている。コールベッドメタンの形成については、石炭層に生息する微生物の活動
がその成因の1つと考えられているが、その詳しいメタン生成メカニズムは不明であった。今回、深
部地下環境に生息するメタン生成菌がこれまで全く知られていなかったメタン生成経路を介して、多
様なメトキシ芳香族化合物からメタンを生成することを発見。さらに、このメタン生成菌が単独で、
メトキシ芳香族化合物を含む石炭から直接メタンを生成できることを実証し、この新たなメタン生成
機構をもつメタン生成菌がコールベッドメタンを含む地下の天然ガス資源の形成に地球規模で貢献し
ている可能性を明らかにするものである。
※ メタン生成菌
メタン菌、メタン生成アーキアとも言う。細胞内に核を持たない原核生物の仲間で、生物学的にはバ
クテリア(細菌)ではなくアーキア(古細菌)に分類され、酸素がない嫌気環境下で有機物分解の最
終過程を担う。メタン生成菌が利用できる基質(餌)はこれまで水素+二酸化炭素や酢酸、メタノー
ルなどのメチル化合物に限られていたが、今回、新たに多様なメトキシ芳香族化合物を利用しメタン
を生成できるメタン生成菌を発見。
この研究成果は、まず、石炭は主に植物のリグニンに由来する有機物からなり、その高分子構造内に
はメトキシ芳香族化合物が含まれ、まず石炭の構成成分であるメトキシ芳香族化合物からメタンが生
成するメタン生成菌をさがす。AmaM株を含む11種のメタン生成菌を各種メトキシ芳香族化合物と
共に培養。その結果、AmaM株とその近縁株のMethermicoccus shengliensis ZC-1株(以下「ZC-1株」と
呼称)が、30種類以上のメトキシ芳香族化合物からメタンを生成できることを発見。
メタン生成菌が初めて発見されこれまでに、150種以上のメタン生成菌を発見するも、既知のメタ
ン生成菌が利用できる基質(餌)は、①水素と二酸化炭素、②酢酸、③メタノールなどのメチル化合
物、といった単純な化合物に限られており、メトキシ芳香族化合物のような比較的炭素数の多い化合
物から直接メタンを生成できるメタン生成菌の発見は今回が初めて。また、従来のメタン生成経路(
代謝経路)も基質の種類に対応して、①二酸化炭素還元経路、②酢酸分解経路、③メチル化合物分解
経路の3種に限られていたが、AmaM株やZC-1株はこれらとは異なるメタン生成経路を介してメトキ
シ芳香族化合物からメタンを生成することを明らかにした。この新規メタン生成経路の詳細について
は未だ研究中で、①二酸化炭素還元経路と、②酢酸分解経路が混合し、並列して進行する第4のメタ
ン生成経路である可能性が明らかにされている(同図)。
※ メトキシ芳香族化合物
ベンゼン環にメトキシ基(-OCH3)が付いた化合物(上図参照)。植物のリグニンを構成する分
子の1つ。
さらに、AmaM株が単独で石炭からメタンを生成できるかどうかを調べるため、各種石炭を含む石炭
培地でAmaM株を培養。その結果、AmaM株は褐炭や亜瀝青あれきせい炭たん、瀝青れきせい炭たん
を含む培地でメタンを生成。これらの培地からは数種類のメトキシ芳香族化合物が実際に検出され、
石炭化度が低くメトキシ芳香族化合物が比較的多く検出された褐炭においてメタン生成が顕著となる
(上図)。この結果は、AmaM株のようなメタン生成菌が石炭中のメトキシ芳香族化合物を直接メタ
ンに変換することで、微生物起源のコールベッドメタンの形成に寄与している可能性を示す。さらに、
メトキシ芳香族化合物は石炭だけでなく堆積物中の有機物で最も多いケロジェンにも含まれるため、
今回発見したメトキシ芳香族化合物を利用するメタン生成菌は、石炭層だけでなく地下の天然ガス資
源の形成に貢献している可能性がある。
AmaM株のようなメタン生成菌で石炭をガス化できれば、原理的には、シェールガスやメタンハイド
レードと同様に、バイオリアクターを石炭層に液(水)中プラズマ技術などで破砕後、添加注入(イ
ンプラント)、ガス化したメタンを減圧吸収・精製したのち水蒸気とともに燃料電池で電気エネルギ
ー変換し、排出された二酸化炭素を固定(方法は様々)し貯蔵するか、メタンガスを下図の新機構案
のように、ナノカーボンに変換し、非黒鉛系の電池電極として、また、ナノカーボン繊維あるいは、
熱硬化樹脂などの他の素材とのハイブリット形ナノカーボン樹脂として利用できるかもしれない。
● メタンからナノカーボンの製造へ
【要約】
流動触媒、または流動媒体を併用する流動触媒1が収容され、低級炭化水素と酸素とが供給されて自
己燃焼可能な流動層反応器2と、流動層反応器2に接続され、流動層反応器2内に低級炭化水素と酸
素とを供給するガス供給部5と、流動層反応器2に接続され、流動層反応器2内の排ガスを外部に排
出する排ガス路8と、流動層反応器2に接続され、流動層反応器2内に流動触媒、又は流動媒体を併
用する流動触媒1を補給する補給部2aとを有するナノ炭素の製造装置を用い、流動触媒、また流動
媒体を併用する流動触媒1に低級炭化水素と酸素とを供給して流動層を形成し、低級炭化水素と酸素
との自己燃焼を伴う低級炭化水素の分解反応によって、ナノ炭素と水素とを生成することで、製造に
必要なエネルギーを低く抑えつつ、ナノ炭素を量産することができ、また二酸化炭素の発生量を抑え
ることができるナノ炭素の製造方法及び製造装置を提供するものである。
尚、図2は、本実施形態のナノ炭素の製造装置を示す概略図で、ナノ炭素の製造装置における粒子分
離部10の排ガス排出側には、排ガス路10bに代えて、水素分離部13、二酸化炭素・水分離部15、
及びガス還流路17a、17b、17cが設ける。
また、図9に示す製造装置では、第1のガス供給手段303により、流動層反応器301内に還元性
ガス302を供給して触媒の形態を金属とする。続いて、炭素原料供給手段305により、流動層反
応器301内に炭素原料304をガス状態で供給し、所定の反応温度にて触媒に繊維状ナノ炭素を成
長させる。その後、加熱手段300により、流動層反応器301内を反応温度よりも高温とすること
で、触媒兼用流動材310を形成していたバインダーを熱分解等により微細化し、流動材としての機
能を消失させる。流動機能が消失したものは、担体の凝集体又はこれらの結合体となり、微細化され、
流動層反応器301のフリーボード部301BからガスGとともに、飛散粒子308として排出ライ
ン309から外部へ排出される。排出された飛散粒子308は、粒子回収手段311により回収され
る。こうして回収された飛散粒子308から繊維状ナノ炭素が分離される。
● 金属マグネシウムと水と二酸化炭素でメタン合成
【要約】
金属マグネシウムと水と二酸化炭素とを接触させ、二酸化炭素を還元して炭化水素を製造する方法で
あって、金属マグネシウムとして、鉄、リチウム、銅、ニッケル、マンガン、カルシウム、ジルコニ
ウム及びアルミニウムから選ばれた1種また2種以上を合金元素として含有するマグネシウム合金を
用いる。アルミニウムを合金成分とするとき、マグネシウム合金における亜鉛の含有量をアルミニウ
ムの含有量未満且つ0.7質量%未満とする。この合金元素は、意図的に添加したもので、常温常圧
の条件でも、炭化水素の収量が大きい炭化水素の製造方法を提供する。
勿論、このような方法以外に、水と二酸化炭素と光合成水素だけでなく、メタン合成するバイオ工学
的方法も考えられるがここでは、以上の豊田合成株式会社の新規構案を事例研究し、今回、発見され
たAmaM株のようなメタン生成菌で「メタン精製→エネルギー変換(電気・熱)→ナノカーボン/メ
タンガス製造という太陽核融合利用によるバイオマスだけでなく、広く石炭様態のネグロマスをも包
括利用した「オールバイオマスシステム」を考案してみた。