民これを愛し、隣国これを親しみ、天下これを信ず。これ国君の信なり
民愛之, 隣国親之, 天下信之, 此国君之信
中匡 / 管子
● 半導体バブルが来るって本当 ?!
米国の半導体関連株を集めたフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は過去10年間で最高値水
準の800ポイント超で推移している。これに引っ張られるように、上値の重い東京市場でも半導体関
連株ばかりが上がっている。半導体産業で今、何が起きているのかと銘打って、週刊エコノミストが、
半導体バブルを予想し特集している(2016.10.25特大号)。
中国政府が先端半導体の製造に本腰を入れ始めた。米日韓台を中心とした世界の半導体産業の枠組みを
変える可能性がある。今年7月、中国政府などの出資により、中国最大の半導体メモリーメーカー、長
江ストレージ(長江存儲科技、湖北省武漢市)が設立された。半導体産業に特化した数兆円規模の政府
系ファンド「国家集成電路産業投資基金(通称ビッグファンド)」、清華大学系のハイテク企業グルー
プ・紫光集団(ユニグループ)、そして湖北省武漢市政府系ファンドが出資した長江ストレージは、2
40億ドル(約2・5兆円)を投じて武漢に20年に月産能力30万枚、30年に同100万枚の巨大
メモリー工場を建設する計画を打ち出している。中国はハイテク産業へのシフトや情報安全体制確立の
ため、先端半導体を国産化し、20年に向けて年平均20%で半導体産業を成長させるとの目標を打ち
出している。国内総生産(GDP)成長率が6%台に減速する中、半導体は2桁成長を約束している。
政府目標では、中国の半導体IC〈集積回路〉は20年に1460億ドル規模になる見通し。
グーグルは5月118日、米国で開催した開発者会議「グーグルI/O 2016」で、TPU(テンソ
ルプロセッシングユニット)と呼ぶ人工知能(AI)型のプロセッサーを発表した。グーグルがTPU
を開発したのは、外部から調達している既存のチップでは消費電力が大きすぎた。検索エンジンは学習
能力を備えたAIに似ている。ならばいっそのことAIに適したプロセッサーを作ろう、ということにな
る。TPUは従来のプロセッサーと比べ、性能を同じにすると消費電力は10分の1に収まるという。
グーグルは今年になってチップを発表、実は1年前に検索エンジンに実装していた。グーグルの言語検
索エンジンに比べて精度が低いのが写真や動画の検索。言語検索に比べて、画像の検索では光の強弱や
肌の色など大量の情報量を考慮した情報処理をするため、大量情報処理に、自前の半導体は不可欠。ア
マゾンも14年にイスラエルの半導体メーカーであるアンナパーナ研究所を買収し、無線ルーター(ネ
ットに接続する機器)向けの半導体チップを今年1月に発表している。現段階ではここまでだが、いず
れ用途を広げるのは必至。自前の半導体は、自社で運営するクラウドサービスや電子商取引用に使うデ
ータセンターを高性能・低消費電力にし自社が望む性能を盛り込む。
以上のように『デジタル革命渦論』の進展により半導体製造業界は依然活況であるが、供給過剰のリセ
ッションは足早にやってくることは必至。着実な舵取りが経営者に求められる。
カーボンナノチューブは、これまで数十年間にわたり、トランジスタで試験的に採用されてきたが、そ
の用途はトランジスタ用チャネルに限られていた。しかし今回、ローレンスバークレー国立研究所
(Lawrence Berkeley National Laboratory)の科学者たちが、カーボンナノチューブをゲートとして使用し
「世界最小」(同研究所)のトランジスタの開発に成功した。これまで、物理法則に基づいた実現可能
な最小のトランジスタの寸法は、5nmであると考えられていた。しかし、同研究所のAli Javey教授は、
「カーボンナノチューブのゲートを採用したことで、その限界を打ち破ることに成功した」と述べる。
同氏はデモを披露し、混合する材料を変えれば、ムーアの法則を想定以上に延長できることを実証。
Javey氏は、カーボンナノチューブをゲートに採用しただけでなく(MoS2)をチャネルに使用した。こ
れにより、LED やレーザー、太陽電池などへの適用も可能になるという。二硫化モリブデンをチャネル
に使用した理由は、ナノチューブが1つの場合、シリコンチャネルと連携できるだけの十分な強度を持
つ電界を作り出すことができないためだ。加えて、誘電率の低いゲート絶縁膜(二酸化ジルコニウム(
ZrO2))を、膜厚わずか0. 65 nmで被覆する必要があった。この手法はうまくいったが、既存のシリコ
ントランジスタに匹敵する性能を実現するために、さらに、重要な最適化手順を踏まえなければならな
い。これをクリアすれば、デジタル革命の基本特性が支配する世界が続くことを意味し、本格的なナノ
カーボンのネオコンバーテックの時代に突入するというのが、"わたしの魔方陣"なのである。
【我が家の焚書顛末記 Ⅸ:中国思想 管子】
大 匡 ――管仲の前半生――
覇者の道
桓公(小日)は鮑叔の意見に従って、管仲を迎えた。一度は自分の心をねらった人物、しかもかね
てから自分の将来性を認め、そのために友人を教育係に就任させていたという。桓公は大きな期待を
もって、管仲を宮廷に呼んだ。この会見を機に、桓公の考えは、大きく転換することになる。
管仲が進み出ると、桓公はさっそく本題に入った。
「国の安泰を求めるには、どうすればよいだろうか」
管仲がこたえた。
「あなたが天下の覇者になることです。それ以外に、国家安泰の迎はありません」
「天下の覇者だと?そこまでは9んでおらぬ。わたしは斉一国のことを聞いているのだ」
管仲はもう一度、覇者になるよう要請した。
「いや、それはできない」と桓公がこたえる。と、管仲は、
「一命をお助けいただいたことは、心から感謝しております。しかしながら、わたくしがあえて死を
選ばなかったのは、あくまで国家の安泰に微力を尽くさんがため。もし国政に参与しながら、肝心
の目的が釆たせないのでは、なんのために生きながらえたのかわかりません」
こういうなり、もはやこれまでと席を立って退出した。
だが、宮廷の門まできたところ、使者が追いかけてきて、戻るように兪した。管仲は再度、桓公の
前に進み出た。桓公は具合涵げにいった。
「わかった。国家安泰の道がほかにないのなら、わたしは畷考になるようにつとめよう」
管仲は深々と顛を下げた。そして頭をあげると、
[覇道をおつとめになるなら、わたくしも全身全霊を投げ打ってお仕えいたします」
そういって、ただちに宰相の座につき、政務の指揮をとりはじめた。
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管仲至,公問曰:「社稷可定乎?」管仲對曰:「君霸王,社稷定,君不霸王,社稷不定。」公曰:「
吾不敢至於此其大也,定社稷而已。」管仲又請。君曰:「不能。」管仲辭於君曰:「君免臣於死,臣
之幸也;然臣之不死糾也,為欲定社稷也,社稷不定,臣祿齊國之政而不死糾也,臣不敢。乃走出,至
門,公召管仲。管仲反。公汗出曰:「勿已,其勉霸乎?」管仲再拜稽首而起曰:「今日君成霸,臣貪
承命,趨立於相位,乃令五官行事。
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《解説》「大匡」は、管仲がいかにして桓公に仕えるようになったかを説明し、桓公に什えた後の管
仲の献策を、断片的に記している。ここでは、両者の出会いの部分を訳出した。このエピソードは、
管仲の性格を研究するに相応しい。解題でも触れたように、管仲にたいする褒貶はさまざまである。
そして、管仲が攻撃されるのは、この篇によるところが大きい。飽叔に仕官をすすめたのはかれ一流
の処世術であったと難ずる説もあるし、召忽とともに斉に送り返されるとき、「きみはこわくないか」
と召忽に聞いたのは、ひとつには管仲自身も不安だったからだという見方もできる。いずれにせよ、
後人をして「管仲の生や、その死するに賢る」といわしめたのは、宰相としてのその後の成果があっ
たればこそである。中国史上、最も偉大なる宰相のひとりとして名声を残した管仲の人間くさい面を
示す意味でも、この篇は興味深い。
中 匡 ――管仲と覇者桓公――
桓公はもともと管仲を信頼していたわけではない。まかりまちがえば戦場で殺されるところだった。
私怨を捨てて管仲を迎えたのは、鮑叔の推薦と管仲の名声に負けたからだ。したがって、管仲として
は、新しい主君のU頼を得ることが必要であった。そのためには、ある程度の腹芸もいるし、ときに
はゴマスリもやらねばなるまい。
ことば
[人に君たる者は、名をこれ貴しとなす。財いずくんぞ有すべけん」
「善の不善を伐つや、古より今に至るまで、いまだこれを改むることあらず」
「楽しみに沈む者は憂いに洽(あまね)し。味わいに厚き者は行いに薄い」
「民これを愛し、隣国これを親しみ、天下これを信ず。これ国君の信なり]
接待費の効用
管仲が国費の会計検査をしたところ、全支出のじつに三分の二が、賓客の接待費、経常支出は残り
の三分の一でまかなっていることがわかった。管仲はこれではいけないと思い、桓公に反省を求めた。
桓公は、
「おまえまでがそんなことをいうのか。考えてみるがいい。接待に力を入れれば、賓客たちは気をよ
くし、帰国してからわが国のことをほめそやすにちがいない。わが国の名声は、天下にひびきわたる
というものだ。
接待をおろそかにしたら、いったいどうなるか。賓客たちは気を悪くし、帰国してから悪口をいい
ふらすにちがいない。そうなればわが国は天下に汚名をさらすことになる。土地さえあれば穀物は育
つ。材木さえあれば道具はできる。だから、穀物は食べつくしてもまたとれるし、道具は使い古して
もまた手に入れることができる。なにも物惜しみすることはない。君主たるもの、なによりも重んず
べきは名声なのだ」
「ごもっともなお考えです」
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管仲會國用,三分二在賓客。其一在國,管仲懼而復之。公曰:「吾子猶如是乎。四鄰賓客,入者說,
出者譽,光名滿天下。入者不說,出者不譽,污名滿天下,壤可以為粟,木可以為貨,粟盡則有生,貨
散則有聚,君人者,名之為貴,財安可有。管仲曰:「此君之明也」。
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敵を討つには、まず味方を固めよ
桓公が管仲にたずねた。
「わが囮の人民もよく戦うようになった。いよいよ極悪非道の大国を討ちたいと思うが、どうか」
「いいえ、まだいけません。武器が不足です。罪人たちの刑罰をゆるめるかわり、戦力増強に一役
買わせるとよいかと存じます」
桓公は管仰の意見を採用し、罪人の処刑処罰をとりやめ、罪のつぐないとして、武器を供出させる
ことにした。死罪を犯した者には犀の皮でつくった甲と戟をひとふり、その他の重罪を犯した者には
胸当てと戟ひとふりを供出させた。過失によって罪を犯した者には黄金一釣を課し、理由なしに訴訟
を起こした者には罪として矢五十本をださせるようにした。
「これで武器は十分そろった。もうよかろう」
「国外の不逞の輩をこらしめるには、まず国内の人民をいつくしむことです。敵国をうち破るには、
まず家中の卿大夫の生活を安定させることです。横暴な大国を撃つには、まず小国に土地を与えるこ
とです。法を乱す不良分子をなくすには、まず賢人を抜提することです。曹の名君たちも、害のある
ものをとり除こうとするときは、まず味方の陣営を固めためたものでございます」
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公曰:「民辦軍事矣,則可乎?」對曰:「不可,甲兵未足也。請薄刑罰以厚甲兵。」於是死罪不殺,
刑罪不罰,使以甲兵贖。死罪以犀甲一戟,刑罰以脅盾一戟。過罰以金軍。無所計而訟者。成以束矢。
公曰:「甲兵既足矣,吾欲誅大國之不道者可乎?」對曰:「愛四封之內,而後可以惡竟外之不善者,
安卿大夫之家,而後可以危救敵之國。賜小國地,而後可以誅大國之不道者。舉賢良而後可以廢慢法鄙
賤之民,是故先王必有置也,而後必有廢也。必有利也,而後必有害也。」
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《卿大夫》春秋時代以前の古代中国は一種の氏族共同体であった。これを構成する諸族の長が大
夫であり、そのうちとくに有力なものが命といわれた。のちには官僚的職制となる。
目的への早道「廃するためには、まず置く」、「害するためには、まず利する」。気短かに、
目的物への直線コースをとらない。歴史で練りあげられた立体的な発想がここにある。一見、迂
遠な道が、より正確に、目的に達する道なのである。
※ 参考:「真の共生社会についての思索 ―東アジアの日本・中国・韓国を中心に― 」徐 送迎
桜美林論集 / 「桜美林論集」編集委員会 編
この項つづく
● 今夜の一枚
稲部遺跡 大規模な鉄器工房を発掘!
● 非公開情報下の国会中継
たまたま、国会中継を放送していたので、暫く観ていたが、民進党の代議士がTPP締結の可否につい
て質問していたが、余りの人を喰った政府答弁に、チャンネル切り替えてしまう。一万ページ(?)に
も及ぶ関連資料が提出されているらしいが、それも「黒塗りの伏せ書き資料」(一部)をテレビで見せ
つけられ、一体これは、どこの国の国会審議なのだと思わせるほどである。日の丸半導体メーカが沈没
していく様を「半導体不平等条約」締結(売国的行為)の様を観てきたわたし(たち)有権者をこれほど
までに馬鹿にしていることに気付かぬ代議士や国家官僚らは、有権者から手酷いしっぺ返しに合うこと
になるだろう。
※ 参考:東京都狛江市議会「TPP参加に反対し、情報公開と国会審議の徹底を求める意見書」
2015.12.18