蛟竜は水を得て、神立つべきなり。虎豹は幽を得て、威載うべきなり。
蛟龍得水,而神可立也;虎豹得幽,而威可載也。
形勢 / 管子
【RE100倶楽部:再エネの本命は小型水力 Ⅱ】
協和コンサルタンツは10月より、1メートルと小さな落差でも発電可能な相反転落差形小水力発電機の
販売を開始する(プレスリリース 2016.09.28)。反転方式は、(1)従来 発電機の磁石を回転させて発
電していた技術と異なり、磁石の外側にあるコイルちを(磁石とは逆回転〉させることで、発電機の回転
数が増え→電圧が高くなり電気として利用できやすくなる。(2)また、発電機の回転方向に発生する力
(トルク〉が、磁石とコイルの逆回転で相殺→強固な設置工事が不要とせず、簡易かつ短期間で装置の設
置を実現する。この商品昂は4年前より産学協同で研究開発、既に国内外の特許取得を終えている。
この商品の仕様では、1メートルの落差で一定の流量さえあれば 450~600ワットの発電が可能で、
1台で、家庭1軒分の電力使用量に相当する。
国内には約40万キロメートルの農業用水路が整備されてきたものの、その多くはま十分に活用されてい
ない。こうした農業用水路を再生可能エネルギー源とした高効率/小型の小水力発電機が少しずつ市場に
登場し始めている。NTNは新規事業として用水路向けのプロペラ式小水力発電機開発(下図ダブクリ)
を進めて、16年12月から販売開始する予定である。
【ワンポイントレッスン:クロスフロー型発電装置】
ここで、相反転(クロスフロー)型水力発電について考えてみよう。従来から、小水力発電用の羽根車と
して、下図に示すクロスフロー型発電装置20に係る羽根車21が知られている。このタイプは、最初に
流水が羽根車21の外側から羽根に当たって流水の圧力を羽根で捉えた後に、 内部に形成された空洞22
に流体を取り込み、再度羽根車21の内側から外側に向かう流水で羽根に当たり、外部に放出する方式で
ある。この方式において従来例では羽根車21が備える羽根23に対して流体が一度外側から羽根に当た
った後に、内部に形成された空間を流水が通過する際に乱流状態になり易く、二度目に流水が内側から羽
根に当たるときに効率良く羽根に当たらないために損失が大きいという欠点がある。
そこで、発電効率を高めるべく、従来から種々のクロスフロー型発電装置が提案されている。例えば、下
図の特許文献の垂直流路型クロスフロー水車は、液体流入管及び液体流出管を一直線上に配設し、上方か
ら下方へ下る水路上に設置できるようにする。水車室を水車外形寸法と略同容積とし、流入する液体を受
け入れる水車室受水部を設け、液体流入管と水車室受水部の間に流路仕切板を介設することで、液体が持
つエネルギーの回収効率の向上を図っている。しかしながら、これら下図のクロスフロー型の水車でも、
水車(羽根車)の内部に流入した流体が外部へ流出する際には乱流が発生する可能性があり、前出上図に
示した従来の羽根車21の場合と同様、損失が生じて回転効率が低下する問題がある。
特開2016-079892の主な目的は、フィンに当たる流体の損失を低減し、効率のよい回転運動を可能ととす
るクロスフロー型の発電装置を提供する。下図の円形プレート2の外周に沿って複数枚のフィン3が立設
され、複数枚のフィン3の内側に空洞4が形成されたクロスフロー型の羽根車5と、円形プレート2の中
心に設けられた羽根車5の回転軸6と連結された発電機7と、を備え、羽根車5は、回転軸6を回転自在
に支承した片持ち式とし、円形プレート2により、空洞4の一方の面が閉塞され、他方の面が開口され、
開口面8から、整流板9を空洞4に挿入し、羽根車5を、回転軸6を中心に回転させた状態で、整流板9
を空洞4内で静止状態に固定されている。
以上のことを踏まえて下図、株式会社協和コンサルタンツの特許の特徴を考えてみよう。
発電機構と、発電機構を支持体に係止させる係止機構とを備え、発電機構は、上下に延在し上部周壁に水
流入口が形成され下端が水流出口を形成する筒状ケーシングと、筒状ケーシング内に配設された羽根車と
を有する水車部と、発電機部とを有し、係止機構は支持体である水路に設けた堰板に水車部の筒状ケーシ
ングを係止させることを特徴とする水車発電装置が、下図特許文献が開示されている。
この水車発電装置は、発電機部の固定電機子と羽根車により回転駆動される発電機部の回転電機子との間
に、相反回転トルクを働かせるために、固定電機子の回転を防止する必要(用)があり、ひいては筒状ケ
ーシングの回転を防止する。係止機構は筒状ケーシングを堰板に強固に固定することが前提条件。この結
果、係止機構の寸法増大や、保守点検時の堰板からの離脱困難性等の不具合を生ずる。
このため、発電機構と、発電機構を支持体に係止させる係止機構とを備えた発電機構は、上下に延在し上
部周壁に水流入口が形成され下端が水流出口を形成する筒状ケーシングと、筒状ケーシング内に配設され
た羽根車とを有する水車部と、発電機部とを有し、係止機構は支持体である水路に設けた堰板に水車部の
筒状ケーシングを係止させることを特徴とする水車発電装置であって、係止機構の寸法増大や、保守点検
時の堰板からの離脱困難性等の不具合を防ぐ必要がある。
この様な課題解決に、同社の発明では、発電機構と支持体に係止させ、発電機構が、上下に延在し上部周
壁に水流入口を配置し、下端に水流出口を配置する筒状ケーシングと羽根車とで構成された水車部と、発
電機部を有し、係止機構は支持体の水路に設けた堰板に水車部の筒状ケーシングを係止させる。水車部は
筒状ケーシング内に軸心を一致させて配置・構成した軸心の延在方向に、翼の捩れ方向が互いに逆方向の
一組の羽根車を配置する。発電機部は内外二重回転電機子形発電機で構成、それぞれ連結し、係止機構が、
発電機構を支持体に固定せず係止することを特徴とし、また、堰板よりも上流側の水路と下流側の水路の
水位との間の落差を利用して発電する。
水路堰板よりも上流域の水流が堰板を乗り越え、この水流入口を通って筒状ケーシングに流入し、筒状ケ
ーシング内を下降し羽根車を互いに逆方向に回転駆動し、水流出口を通って筒状ケーシングから流出し、
水路の堰板よりも下流域を流下する。軸心を一致・配置した軸心の延在方向に対する翼の捩れ方向が互い
に逆方向の一組の羽根車が互いに逆方向に回転し、この回転が発電機部の内外二重回転電機子に伝達、
二重回転電機子が互いに逆方向に回転して発電する。発電中、二重回転電機子に働く相反回転トルクは一
致し、ひいては、内側回転電機子と電機子に連結した羽根車が形成する内側回転系と、外側回転電機子と
この電機子に連結羽根車が形成する外側回転系とに働く相反回転トルクは一致・相殺する。
この水車発電装置では、発電中、内側回転電機子と電機子に連結された羽根車が形成する内側回転系と、
外側回転電機子と相反回転トルクは一致・相殺し、筒状ケーシングには反作用の回転トルクが発生しない。
従って、係止機構は、筒状ケーシングを堰板に強固に固定する必用がなく、単に係止させれば良い。止機
構の寸法増大や、保守点検時の堰板からの離脱困難性等の不具合がなくなるという構成・構造特許である。
※ 図面は注意深く読み込まなければ了解できない(要細心)。
以上、足早に、細心の小型水力発電工学を俯瞰してきた。このことから、システムを構成する部材の機能・
品質・コストの向上展開できれば、より高性能で、高出力でいて、コンパクト化、コストダウンがかのう
であることが了解できる。それが出来る国はどこだ?言わずもがなである。凄いぞ!協和コンサルタンツ。
※ 参考:再表2014/061116 没水式発電機 株式会社協和コンサルタンツ
【我が家の焚書顛末記 11:中国思想 管子】
形 勢 ――為政者の姿勢――
事物には勢いというものがある。勢いに乗れば発展のテンポは遠く、勢いがないのは衰亡をあらわ
す。勢いは必ず形によってきまる。為政者にはそれにふさわしい形――姿勢がいる。そぴえたつ山に
もそれ相応の姿勢があるように。
ことば
「蛟竜は水を得て、神立つべきなり。虎豹は幽を得て、威載うべきなり」
「飛蓬の問(ほまれ)は、賓するところに在らず。燕雀の集まりは、道行くものも顧みず」
「心得の事は、頼むに足らざるなり。必諾の言は、信ずるに足らざるなり」
「君、君たらず。父、父たらざれぱ、子、子たらず。上その位を失えば、下その節を踰ゆ」
「今を疑う者は、これを古に察し、来を知らざる者は、これを往に視る」
「巧者は余りあり、而して拙者は足らず」
「言いてふたたぴすべからざるは、君言わざるなり。行ないてふたたびすべからざるは、君行なわざ
るなり」
威厳と恩沢
山は高くそびえたってこそ、信仰の対象となる。淵は涸れることがなくてこそ、帰依の対象となる
(犯しがたい威厳と尽きない恩沢、この両者を兼ねそなえてはじめて、君主の地位は万全となる)。
天地の法則は永久に変わらないし、四季の循環も一定している。これは今も昔も同じである。
竜は雨を将なければ威力を発揮できず、虎や豹は深山幽谷に潜んでこそ、畏怖の的となる(為政者に
も一定の姿勢があり、それをくずすと、威厳はそこなわれてしまう)。
風雨がいかに吹き荒れようとも、あえて逆らう者も、あえて非難する者もいないのは、なぜか。そ
れは、風雨が自分たちの及びもつかぬ力を持つと同時に、まったく公平無私な存在であることを、人
人がよく知っているからだ(上は威厳を保って私心のない政令を発し、下は恩沢に感じて上のために
尽くす。かくてこそ、国家の秩序は永遠に安泰となる)。
長寿と短命、貧賎と富貴、これらはみな偶然に支配されるものでない。それ相当の理由があっての
ことだ。
ものごとにはみな原因と結果がある。たとえば、人民が君主の会令を守り、君主のことばに従うの
は、その君主が威厳を保ら、名声を籾しているからである。しからぱ、君主の威厳と名声はなににも
とづくのか。
人民から収奪しなければ、かれらは進んで君玉のために尽くそうという気持になる。そうなれば、
たとえば、君主が祭礼を持っているだけで人民はその意を休して廟堂を修復するように、君主が示唆
を与えるだけで人民は進んで事に当たるようになる。かくてこそ、君主の城趾は保たれ、名声は高ま
るのである。
空飛ふらの鳴き声に、地上の人間は声を合わせて歌う。それと同じように、人民は君主の徳を謳歌
する。文王のもとに多くの人材が集まり、殷の人民が周になぴいたのは、股の紅玉が君主たるべき威
眼と恩沢とを失ったからである。
《信仰の対象》原文は「祈羊り」。祈羊とは山の抑をまつるためにいけにえとして供える山羊。
信仰する者が必ずやってくるという意味。
《帰依の対象》原文は「沈玉極る」。沈玉とは水の精をまつるために水底に沈める玉。淵が深
ければこれを信じあがめる人が必ずくるという意味。
《祭器》原文は「蜀」。蜀は兪樾の説によると「櫝(とく)」の誤り。櫝とは祭器をいれる箱の
こと。ここは兪樾に従った。
《雁》原文は「鴻鵠」、鴻は雁の大きなもの、ひしくい。鵠は白い雁、くぐい。
------------------------------------------------------------------------------------------
山高而不崩,則祈羊至矣;淵深而不涸,則沈玉極矣,天不變其常,地不易其則,春秋冬夏,不更其節,
古今一也。蛟龍得水,而神可立也;虎豹得幽,而威可載也。風雨無鄉,而怨怒不及也。貴有以行令,
賤有以忘卑,壽夭貧富,無徒歸也。銜命者,君之尊也。受辭者,名之鉉也。上無事,則民自試。抱蜀
不言,而廟堂既修。鴻鵠鏘鏘,唯民歌之。濟濟多士,殷民化之,紂之失也。
------------------------------------------------------------------------------------------
末節にとらわれるな
枯れ草が風にとぱされても、見返る者はいない。燕や雀が嘔いでも、だれも相手にしない。・・・・・・・
君主たるもの、末節に拘泥していては、大業は成し遂げられない。いかに祭祀を手厚くしたところで、
損本の政策が適切を欠くならば、神の助けは杓られない。玉璧幣帛だけではなんの役にも立だないの
だ。
行政のテクニックを政治そのものと同一視してはならない。弓の名人・羿が極めたのは射弓の技術
だけではない。馬術の名手・造父の達したのは手綱をとる技術だけではない。車造りの達人・奚仲が
秀でたのは造車の技術だけではない。三人とももっと本質的な道を会得していたのである。同様に、
政治にあっては、個々の行政上のテクニックよりも、治政の根本を把捉することがなによりも肝要で
ある。
遠方から人材をMしかかえるには、迎えの使者をだすだけでは不十分だ。まへ近くの者を手なづけ
るには口でおだてるだけではききめはない。ふだんから陰徳を栢んでいる君主なら、人材はむこうか
ら集まってくる。
すこしぐらいの起伏があろうとも、平原は平原であろ。すこしばかりの窪みがあろうとも高山は高
山である(要は根本にある。根本さえ把握しているかぎり、多少の失敗は意に介する必要はない。だ
が、この反対に、根本を見失っていると、部分的には成果をあげても、大業は成就しないのである)。
《玉璧幣帛》神に供えるいけにえと玉。ともに祭祀のときに侵う。
《羿》弓の名人。が天下を冶めていたとき、空に十個の太同が哺き、人々は暑さに苦しんだ。
羿は命をうけ、九個を弓で射落としたという。
《造父》周の穆王の御者。馬術の名手として有名であった。
《奚仲》夏の国の車大工で、車をつくらしては、天下に府を並べる者がいなかったという。
根本を把握せよ 人間のかぎられたエネルギーを、どこに集中するか、という問題を管
子は提起している。派生的なものや表面的な現象に心を労することは、からまわりであり、
無益である。なにが基本的なものであり、なにが宋一であるかを見抜くことが、大人と小人、
上手と下手の分かれ目であろう。
-------------------------------------------------------------------------------------------
飛蓬之問,不在所賓;燕雀之集,道行不顧。犧牷圭璧,不足以饗鬼神。主功有素,寶幣奚為?羿之道,
非射也;造父之術,非馭也;奚仲之巧,非斲削也。召遠者使無為焉,親近者言無事焉,唯夜行者獨有
也。平原之隰,奚有於高?大山之隈,奚有於深?
-------------------------------------------------------------------------------------------
【世界の朝食:今日は中国】
● Typical Chinese Breakfast
最近、「積極的な先端技術への投資」という言葉を目にすることが多くなったような気がする。これは、
わたし(たち)にはリバイバルかなと言う思いがするが、最初に「先端技術本位制」を定義し口にしたの
はわたし(たち)が始めてである。オイル・ショックの経験を踏まえ、「地下化石燃料本位制」→「先端
技術本位制」→「環境リスク本位制」の世界の政治経済の幻想的基軸に由来することを思い出させた。あ
れから40年、瞬く間の40年、昭和はさらに遠くなりにけりである。