49 革命の機熟 / 沢火革(たくかかく)
※ 革とは、あらためること。革命、革新、変革の革であり、古いもの
を変えて新しいものを創り山す過程である。卦の形から見れば、火
(離)と水(兌)が消しあう形、また中女(離)と少女(兌)つま
り上下が対抗激突する形でもある、「革」は、この矛盾相剋を解決
郷決する形である。それには小細工を弄したり私欲で動いたりして
はならない。多少の混乱は避けられないが、あくまで正道を守るべ
きである。革新は単なる変化ではない。そこには積極的な価値が含
まれているのだ。醜い手段によって目的を汚すことなく、「離」の
示す明知と勇気で、より高い段階に飛躍すべき時である。
Mar. 12, 2017
● サウジの魔法が消える時
サウジアラビアのキル・サルマン・ビン・アブドゥル・アジズ・アル=サウドと大代表は日曜日に4
日間の日本訪問を開始、46年ぶりにサウジアラビアの国王が訪問となる。国内最大の原油供給国で
あるサウジアラビアは、原油価格の下落に伴い、経済への依存度が高まる中、石油依存度を下げるた
めの構造改革を進めている。このイニシアチブには、国営石油会社Saudi Aramcoの部分的民営化が計
画されているとのこと。経済協力プラン「日・サウジ・ビジョン2030」は、昨年10月に第1回閣僚級
会合がリヤドで開催。同ビジョンは、サウジのムハンマド副皇太子が同4月に打ち出した、石油依存
体質からの脱却や雇用拡大を目指す同国の成長戦略「サウジ・ビジョン2030」を日本が支援し、日本
の成長戦略とのシナジーを目指す。今回、サウジのサルマン国王が国王として46年ぶりに来日した
のに合わせ、第2回会合が開かれ、ビジョン2030は13日に安倍晋三首相とサルマン国王が首脳会談で
合意発表。同プランでは、日本とサウジの41省庁・機関が参加し、エネルギー、医療、農業、イン
フラ、投資、文化など、9分野を協力の重点分野として設定、先行プロジェクトとして政府間で11件、
官民・民間同士で⑳件のプロジェクトの覚書に署名する予定。
ところで、サウジアラビアの経済成長の停滞の主要因は、石油依存にある。これが強みでありえたし、
戦後の、特に、欧米の石油資本支配からの脱した石油輸出国機構(OPEC:Organization of the Petroleum
Exporting Countries)の勝利以降は現代中東史の主役であったが、デジタル革命を背景とした先進国の
脱石油依存・地球温暖化対策などのエネルギー政策により、皮肉にもその失速も急テンポとなってい
る(アラブの魔法が消えた時)の。今後を見据えた時、これまでの欧米列強国の介入が薄まり安定化
に繋がり、先進的な平和憲法と世界最高水準の科学技術力をもつ日本国との協働により、2030年に
は経済低迷を脱し安定を持続していけるのではと夢想する(大国による武(軍事)力・経済(財政)
力による干渉・介入がなければの話)。
Firsthand Account Of Self-Driving Nissan LEAF Trip In London
● 日産リーフ ロンドンで自動運転のデモンストレーション走行
ロンドンで人気ある自動運転型電気自動車リーフが、ロンド運東部の決められたコースで路上テスト
運転を行っている(上下の写真ダブクリ参照)。その報告によると、この完全自律型 "ProPILOT"シ
ステム搭載車には、4つのレーザー、5つのレーダー、12台のカメラを体にシームレスに配置統合
され、20センチメートルの精度で障害物を検知する。正面の3つのディスプレイの1つは衛星ナビ
ゲーター、もう1つはフロントカメラの映像モニタで、残りは、歩行者・車両・障害物の位置情報モ
ニタが内部配置されている。メディア関係者を乗せたデモンストレーション走行中、自動車事故に遭
遇したものの、自動的に回避し、所定のコースを無事完走したが、昨年4月にテスラが半自律型自動
操縦車が試験走行したことから比べ進歩していることが認識されたものの、若干の改良点も残件し、
同社は20年までに完全自律型自動車の事業展開を果たすために、今後、完全自律型 "ProPILOT"シ
ステムをさらに8つのモデルに拡張する。
Mar. 9, 2017
Why London is a self-driving nightmare for the Nissan Leaf
Mar. 13, 2017
【RE100倶楽部:そんな手があったのか】
● 低温廃熱を工場間でオフライン輸送
百℃程度の低温廃熱は発生場所における用途が限定されること等から大部分が捨てられている。そこ
で、産業分野での大幅な省エネを実現に、これらの低温廃熱を、発生源とは時間・空間的に異なる利
用先の熱源として活用する蓄熱システムの開発が進められいる。具体的には、工場等で発生する廃熱
を蓄熱材に貯蔵し、熱の利用先までトレーラーやトラック等で運搬しようともの。
13日、産業技術総合研究所らの研究グループは、従来型の熱輸送システムでは、糖類等の融解熱を
利用する固液相変化材を蓄熱材として用いているが、①蓄熱密度が低いため重量や容積が大きくなる
こと、②高価であること、PCM(Phase Change Material――水(氷)、パラフィンなどの液相と固相の2相間
での凝固・融解に伴う潜熱を利用する蓄熱材。水やレンガなどの顕熱を利用する蓄熱材に比べ蓄熱が大きい
ことが特長――の固液相変化時の潜熱を利用するため蓄放熱温度がPCMの相変化温度(融点)に限定
されること、輸送時には蓄熱槽からの放熱でPCMが一部相変化し潜熱ロスが発生すること等が課題と
なっていた。
そこで、産業技術総合研究者が、2008年に開発した80~120℃程度の低温廃熱の蓄熱が可能な高性能
無機系吸放湿材「ハスクレー」(産総研で開発された、Si(ケイ素)-Al(アルミニウム)を主成分
とする低結晶性粘土と非晶質アルミニウムケイ酸塩の複合体からなる高性能吸放湿材。非晶質アルミ
ニウムケイ酸塩の“ハス”(HAS:Hydroxyl Aluminum Silicate)と低結晶性の層状粘土鉱物の“クレイ”
(Clay)との造語)をベースに、高蓄熱密度化と、低コスト化が実現可能な改良型ハスクレイの量産製造
技術の開発と、同蓄熱材を搭載した蓄熱システムの開発に取り組んできました((下表)。この蓄熱シ
ステムは、ハスクレイへの水の吸着/脱着反応により放熱/蓄熱を行い、蓄熱槽を乾燥状態で維持す
れば潜熱ロスは発生せず、相変化で蓄熱・放熱を行う方式ではなく、PCMを用いた蓄熱システムと比
較し、熱利用温度域が限定されないのが等が特長。
従来のハスクレイ以上の蓄熱性能を有し、低コストで製造が可能な蓄熱材の量産製造技術の確立とと
もに、従来型の熱輸送システムに対して2倍以上の蓄熱密度(500kJ/L以上)を実現する可搬コンパ
クト型蓄熱システムの開発に成功する。コンパクト化の実現で、中型トラックでの搬送が可能となり
3月13日から23日までの予定で、熱輸送の実用化検証試験を開始する。実運用時の蓄放熱性能や
経済性評価、省エネルギー効果量等の評価を行い、低温廃熱に適応可能な蓄熱・熱利用技術を確立す
る。
Oct. 8, 2008
エネルギーを運ぶってか、そんな手もあったのかと驚く。新奇な高性能で廉価な蓄熱材!?面白い。
● 水素の輸送コストを低減する、高効率な分離膜
同様に、9日には、産総研らの研究グループは、有機ハイドライドから燃料電池自動車(FCV)用の
超高純度水素を分離精製する大型の炭素膜モジュール開発の成功を公表。1時間当たり1m3(立平方
メートル)の水素精製能力を持ち、一度の分離操作でFCV用の超高純度水素のISO規格純度を達成でき
る。有機ハイドライドを利用した水素ステーションの運用コスト低減への貢献が期待できるとしてい
る。新しいエネルギーとして注目されている水素。普及に向けた課題の1つが低コストな貯蔵・輸送
技術の確立だ。水素は常温では圧力をかけても液化せず、-253度という極低温が必要になる。そこで
化学反応を利用して水素を液化し、貯蔵・輸送しやすくする技術・手法の確立に期待が掛かっている。
その1つが「有機ハイドライド法」と呼ばれる芳香族化合物に水素を結合させて水素化物をつくりだ
す手法だ。例えばトルエンと水素を化学反応させると、メチルシクロヘキサンという液体になる。こ
れは常温・常圧でそのまま運べるため、通常のタンカーやローリーの利用が可能になり、大量貯蔵や
長距離輸送に向く。共同研究グループは、メチルシクロヘキサンをエネルギーキャリアとし、これを
利用できる水素ステーションの研究開発を進めてきた。
開発した中空糸炭素膜
この研究では、新規分離技術として無機膜の一種である炭素膜を採用し、高性能炭素膜の開発。その
結果、一度の分離でFCV用水素規格を達成可能な非常に高い水素選択性(水素/メタン選択性は3,000
以上、水素/トルエン選択性は30万以上)を有する炭素膜の開発に成功する。 この高性能炭素膜は、
下図に示すように水素だけが選択的に透過できる均質な細孔である。また、有機ハイドライド型水素
ステーションでの運用条件として想定する90℃での水素/トルエン混合ガス供給時においても優れた
選択性を維持し、500時間以上にわたる安定した分離性能を確認。さらに、膜分離システム計算の結
果、従来精製技術に比べて大幅な省エネ化が実現できる見通。また、パラジウム膜等の既存の水素分
離用無機膜と比較すると、この炭素膜は中空糸型で支持膜が不要の自立膜であるため、膜コストが安
く、かつコンパクトな精製装置の実現が可能。続いて、この炭素膜の大型モジュール化を実施。
一般的に無機膜の大型モジュール化では、膜性能のばらつきや欠陥(ピンホール)の発生等により、
スケールが大きくなるほど分離性能が低下することが知ら、無機膜の実用化における大きな課題。こ
の研究では、炭素膜製造方法の改善、シール方法の開発、モジュール構造の最適化等に取り組んだ結
果、1m3/h規模の水素精製能力の大型炭素膜モジュールを開発することに成功。優れた水素分離性
能を有し、スケールアップしても欠陥を生じず、炭素膜本来の優れたガス分離性能が維持される。ま
た、水素/トルエン分離試験で、FCV用水素規格を満足する高純度水素を安定的に製造できることを
確認できたとのこと。この研究も革新的素材(マテリアルイノベーション)、面白い。
1.もし表面が曇っているようであれば
自ら望んでその上うなタイプの画家になったわけではないし、その上うなタイプの人間になっ
たわけでもない。私はただ様々な事情に流されるままに、いつの間にか自分のための絵画を描く
ことをやめてしまった。結婚して、生活の安定を考慮しなくてはならなかったことが、そのひと
つのきっかけになったわけだが、そればかりではない。実際にはその前から既に私は「自分のた
めの絵画」を描くことに、それほど強い意欲を抱けなくなってしまっていたのだと思う。私は結
婚生活をその口実にしていただけかもしれない。私はもう若者とは言えない年節になっていたし
何かが――胸の中に燃えていた炎のようなものが――私の中から失われつつあるようだった。そ
の熱で身体を温める感触を私は次第に忘れつつあった。
そんな自分自身に対して、どこかで私は見切りをつけるべきだったのだろう。何かしらの手を
打つべきだったのだろう。しかし私はそれを先送りにし続けていた。そして私より先に見切りを
つけたのは妻の方だった。私はそのとき三十六歳になっていた。
2.みんな月に行ってしまうかもしれない
「とても悪いと思うけど、あなたと一緒に暮らすことはこれ以上できそうにない」、妻は静かな
声でそう切り出した。そしてそのまま長いあいだ押し黙っていた。
それはまったく出し抜けの、予想もしなかった通告だった。急にそんなことを言われて、目に
するべき言葉をみつけられないまま、私は話の続きを待った。それほど明るい続きがあるとも思
えなかったが、次の言葉を待つ以外にそのときの私にできることはなかった。
我々は台所のテーブルを挟んで座っていた。三月半ばの日曜日の午後だった。翌月の半ばに
我々は六回目の結婚記念日を迎えることになっていた。その日は朝からずっと冷たい雨が降って
いた。彼女のその通告を受けて私がまず鍛初にとった行為は、窓に顔を向けて、雨の降り具合を
確認することだった。ひっそりとした穏やかな雨だ。風もほとんどない。それでもじわりと肌に
凍みる寒さを遠んでくる雨だった。春はまだまだ遠くにあることをその寒さは敦えてくれた。雨
降りの奥にはオレンジ色の東京タワーが霞んで見えた。空には一羽の鳥も飛んでいない。鳥たち
はどこかの軒下でおとなしく雨宿りをしているのだろう。
「理由は訊かないでくれる?」と彼女は言った。
私は小さく首を横に振った。イエスでもノーでもない。何をどう言えばいいのか、考えがまる
で思い浮かばなかったから、ただ反射的に首を振っただけだ。
彼女は襟ぐりの広い、藤色の薄手のセーターを着ていた。白いキャミソールの柔らかいストラ
ップが、浮き上がった鎖骨の隣にのぞいていた。それは特別な料理に用いる、特別な種類のパス
タみたいに見えた。
「ひとつ質問があるんだけど」、私はそのストラップを見るともなく見ながらようやくそう言っ
た。私の声はこわばって、明らかに潤いと展望を欠いていた。
「私に答えられることなら」
「それは、ぼくに責任かおることなのかな?」
彼女はそれについてひとしきり考えた。それから、長いあいだ水中に潜っていた人のように、
水面に顔を出して大きくゆっくりと呼吸をした。
「直接的にはないと思う」
「直接的にはない?」
「ないと思う」
私は彼女の言葉の微妙な音調を測ってみた。卵を手のひらに載せて重さを確かめるみたいに。
「つまり間接的にはある、ということ?」
妻はその質問には答えなかった。
「何日か前に、明け方近くにある夢を見たの」と彼女はそのかわりに言った。「現実と夢との境
目がわからないくらい生々しい夢だった。そして目覚めたとき、こう思ったの。というか、はっ
きり確信したの。もうあなたとは一緒に暮らしていけなくなってしまったんだと」
「どんな夢?」
彼女は首を振った。「悪いけど、その内容はここでは話せない」
「夢というのは個人の持ち物だから?」
「たぶん」
「その夢にはぼくは出てきたの?」と私は尋ねた。
「いいえ、あなたはその夢の中には出てこなかった。だからそういう意味でも、あなたには直接
的な責任はないの」
私は彼女の発言を念のために要約した。何を言えばいいのかわからないときに相手の発言を要
約するのは、私の昔からの癖みたいになっている(それは言うまでもなく、しばしば相手を苛立
たせる)。
「つまり、君は何日か前にとても生々しい夢を見た。そして目が覚めたとき、ぼくとはもうこれ
以上一緒に生活できないと確信した。でもその夢の内容をぼくに教えることはできない。夢は個
人的なものごとだから。そういうこと?」
彼女は肯いた。「ええ、そういうことなの」
「でも、それでは何の説明にもなっていない」
彼女は両手をテーブルの上に置き、目の前のコーヒーカップの内側を見下ろしていた。その中
におみくじでも浮かんでいて、そこに書かれた文句を読み取っているみたいに。彼女の目つきか
からすると、それはかなり象徴的で多義的な文章であるようだ。
夢はいつも妻にとって大きな意味を持っていた。彼女はしばしば見た夢によって行動を決定し
たり、判断を変更したりした。でもいくら夢を大事にするといっても、生々しい夢をひとつ見た
だけで、六年間にわたる結婚生活の重みをまったくのゼロにできるものではない。
「夢はもちろんひとつの引き金に過ぎないの」と彼女は私の心を読んだように言った。「その夢
を見ることによって、いろんなことがあらためてはっきりしたというだけ」
「引き金を引けば弾丸は出る」
「どういうこと?」
「銃にとって引き金は大事な要素であって、引き金に過ぎないというのは表現として適切じやな
いような気がする」
彼女は何も言わずに私の顔をじっと見ていた。私の言わんとすることがうまく理解できていな
いようだった。私白身にも実際はうまく理解できていなかったが。
「君はほかの誰かとつきあっているの?」と私は尋ねた。
彼女は肯いた。
「そしてその誰かと寝ている?」
「ええ、すごく申し訳ないと思うんだけど」
誰と、どれくらい前から、とたぶん質問するべきなのだろう。しかし私はそんなことはとくに
知りたくなかった。そんなことは考えたくもなかった。だから私はもうコ茨窓の外に目をやって、
雨が降り続く様子を眺めた。どうしてそのことに今まで気がつかなかったんだろう?
妻は言った。「でもそれはいろんなものごとのうちのひとつに過ぎないの」
私は部屋の中を見渡した。長いあいだ見慣れた部屋のはずだったが、そこは私にとって既によ
そよそしい異郷の風景に変貌していた。
ひとつに過ぎない?
ひとつに過ぎないというのは、いったいどういうことなのだろう?と私は真剣に考えた。彼女
は私以外の、誰か他の男とセックスをしている。でもそれはいろんなものごとのうちのひとつに
過ぎない。いったい他にどんなことかおるのだろう?
妻は言った。「私が数日のうちによそに行くから、あなたは何もしなくていいのよ。私が責任
をとらなくちやいけないことだから、もちろん私が出て行く」
「ここを出たあとの行き場所はもう決まっているの?」
彼女はそれには答えなかったけれど、行き場所の心づもりはあるようだった。おそらく前もっ
ていろんなことを準備してから、この話を切り出したのだろう。そう考えると、私は暗闇の中で
足を踏み外したような強い無力感に襲われた。私が知らないところでものごとは着実に進展して
いたのだ。
妻は言った。「なるべく早く離婚の手続きを進めるから、できたらそれに応じてほしいの。勝
手なことを言うみたいだけど」
私は雨降りを眺めるのをやめて、彼女の顔を見た。そしてあらためて思った。六年間同じ屋根
の下で暮らしていても、私はこの女のことをほとんど何も理解していなかったんだと。人が毎晩
のように空の月を見上げていても、月のことなんて何ひとつ理解していないのと同じように。
こんなことあるよなぁ~。関係の濃淡はあれど、いや、関係の濃淡を決めるのは自分しかないのだか
ら、「関係の絶対性」と叫んでもみても、それはもう謎だ。
この項つづく