成公16年( -575) 鄢陵(えんりょう)の戦い / 晋の復覇刻の時代
※ 宋の大夫華元の提唱した和平運動が効を奏して、成公十二年(-579)の夏、晋・
楚両国は宋の国都西門外で盟を結んだ。いわゆる「宋の盟」である。南顧の憂
いがなくなった晋は、そこで西方、狄を伐ち、さらに秦を伐って、これを麻隧
燧(陝西涇陽県)に破った。それから三年たって、楚の共王は司馬の子反の意
見を容れ、盟約に背いて北上、鄭、衛二国を侵した。鄭は反撃して楚の新石地
方を奪取し、晋は呉と鍾離(安徽省鳳陽県)に会して(呉が中原の国と血盟し
た始まり)、楚を伐つ気構えを示した。情勢不利とみた楚は、にわかに汝陰を
鄭に割譲したので、鄭は晋に背いて楚と同盟し、楚のために宋を伐った。衛は
晋のために鄭を伐った。かくて中原の平和はわずか三年にして破れて、晋・楚
はふたたび戦場に椙まみえるに至った。
【経】 十有六年六月丙寅、朔、晋侯(厲公)、欒黶をして来たりて師を乞わ
しむ。甲午、晦、晋侯、楚子(共王)・鄭伯(成公)と鄢陵(鄭の地、河南省
鄢陵県)に戦う。楚子・鄭師敗績す。楚、その大夫の公子側(子反)を殺す
♞ さらに、エネルギータイリング事業が加速!
Dubai The Sustainable City(Wikipedia)
● 6MW分の太陽光を分散設置、ドバイ「サステナブル・シティ」
8月14日、中国の大手太陽光パネルメーカーであるトリナ・ソーラーが、アラブ首長国連邦(UAE)
のドバイで開発中のスマートコミュニティ「サステナブル・シティ(Sustainable City)」で、約2万
4千枚の同社製パネルを採用した分散型の太陽光発電所が稼働を開始したことを公表。サステナブル・
シティは、ドバイ都心から約30km南方に位置し、面積は500万平方フィート(約46ha)。最終的に2
千人の居住人口を見込むDiamond Developers社がマスターデベロッパーとして開発を進める中東で最
大規模のスマートコミュニティである。500戸の住宅、170室のホテル1棟、モスク、学校、オフィス
や商業施設などを建設、環境に配慮した省エネ性能の高い建築物が特徴で、サステナブル・シティの
グリーン建築物の評価基準としては、北米の『LEED』やアブダビの『Estidama』よりも高い(日経
BP総研 クリーンテック研究所 2017.08.15)。
トリナ・ソーラーは、サステナブル・シティに約4万枚の両面ガラスでフレームのないタイプのパネ
ル(「Duomax」)を供給する。現在、開発の第1段階として約2万4千枚のパネルを設置し、約6
MW分が稼働を開始する。第2段階で残りの約1万5千枚を設置する。すべての太陽光パネルが稼働
すると出力が約10MWW、年間の発電量は約16GWhを見込む。温室効果ガスについては、年間に8
千トンの排出量を抑制できる。トリナ・ソーラー社の説明では、砂漠気候という厳しい条件に適合す
る、 ❶フレームレス設計のため、フレームに溜まる砂やホコリ清掃不要、❷両面ガラスにより耐久
性や信頼性が高い仕様となっている。
尚、従来、マスダールシティでは敷地内にメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設し、発電した
電力をコミュニティ内に配電するといった、中央集中型のエネルギーシステムでの利活用が多かった。
サステナブル・シティでは、こうしたセントラルタイプのメガソーラーはなく太陽光パネルが生み出
すエネルギーは主に各住宅やビルで使用する、居住者がコミュニティ内の資産を区分所有し、収益を
共有する、などの特徴がある。Diamond Developers社によると、「サステナブル・シティ全体の開発
投資は、4年で回収する計画」という。地元メディアは、サウジアラビアやエジプトなどから、同様
のスマートコミュニティをもっと大きな規模で開発して欲しいといったプロジェクトの依頼も同社に
寄せられているという。
● 旅客船では日本で初めて オフグリッド電力船が日光で就航
8月10日、日光・中禅寺湖に導入される新型の遊覧船「男体」に、太陽光発電を主電源としたオフグ
リッド電力システム「パーソナルエナジー」が搭載された。太陽光発電を主電源としたオフグリッド
電力システムは、船内に設置される52カ所のコンセントと客室内LED照明、Wi-Fi サービスの電源
をすべてオフグリッド電力で供給でき、停泊中ゼロ・エミッション(CO2排出量ゼロ)を実現。
太陽光発電を利用した船用電力システムは、既に一部の船舶に採用されているが、発電量が天候に左
右されるため、安定的な電力供給に課題があった。一方、従来のディーゼル発電機は、スマートフォ
ンなどの充電電源として安定した電力を供給することに課題があり、ACアダプターの損傷や電源不安
定による電気機器の故障を引き起こす恐れがある。
船用電力システムに慧通信技術工業(神戸市)のオフグリッド電力システム「Personal Energy(パー
ソナルエナジー)」を搭載した。合計4.2kWのCIS化合物型太陽光パネル(175W/枚・24枚)と、オ
リビン酸リン酸鉄Liイオン蓄電池を組み合わせた。蓄電池の最大交流出力は3kW、最大直流入力は4
kW、容量は2.4kWh。データセンターなどで使用される通信用インバーターを採用し、常時安定した
電圧、周波数の交流を供給できるという。曇天や雨天などの悪天候時に太陽光発電からの電量が不足
する場合、船内発電機からの電力をオフグリッド電力システムで整流して供給する。このほかにも新
型遊覧船では、主機関エンジンのCO2排出量を従来エンジンと比べて50~60%に低減。出力は245kW×
2基。定員は400人(うち客席312席、特別展望室)。全長24m×幅員8.8m(上表ダブクリ参照)。
Aug. 14, 2017
● 米国でもプラグイン自動車の普及拡大を後押し
8月14日、日産とBMWは、サンディエゴガス&エレクトリック(SDG&E)社と連携して、日産LEAF
または、BMWi3を購入するSDG&E社の顧客に10,000ドルの割引、但し、9月30日までの神聖期限付
き。さらに、カルフォルニア州が行っているプラグイン購入払い戻し 2,500ドルと、同じく連邦政府
の税控除の 7,500ドルを申請すれば合計で消費者は20,000節約できるほか、電力会社に対し、電気自
動車運転者は年間最高200ドルの払い戻し請求ができる。SDG&E社によると電力の43%が再生可能
エネルギーが占めることになる話す。
● ペロブスカイトとシリコンを組みわせたのタンデム構造で変換効率 23.9%!
8月8日、ベルギーの IMECなどが、ぺロブスカイトとシリコンを組みわせたのタンデム構造の太陽
電池モジュールを開発。従来のシリコン太陽電池を上回る23.9%の変換効率を達成したと公表。
次世代の太陽電池として実用化が期待されている、ペロブスカイト太陽電池。シリコン系の太陽電池
より高い変換効率を実現できるポテンシャルを持ちながら、低い製造コストを実現できると見込まれ
ている。ペロブスカイト太陽電池は、さまざまな光学的および電子的特性を実現するように設計でき
る特徴がある。そのため、シリコンセルのスペクトル吸収範囲を補うような特性に設計したペロブス
カイト太陽電池やモジュールを組み合わせ、標準的なシリコン太陽電池の効率を高めるという手法も
期待しうる。ベルギーの研究開発機関であるIMECとEnergyville、ドイツ、ベルギー、オランダの薄膜
太陽電池の研究開発コンソーシアムのSollianceは、シリコン太陽電池の上にぺロブスカイト太陽電池
を積層した、開口面積4cm2のタンデム構造のモジュールを改良し、モジュール変換効率を23.9%
を達成。このタンデム構造のモジュールで、従来のシリコン太陽電池の変換効率を上回るのは初めて。
既にIMECは2016年にSollianceと共同で、4端子のタンデム構造を持つ裏面電極型の単結晶シリコンの
上に、ペロブスカイトを積層したモジュールを発表している。このモジュールの開口面積も同じく
4cm2だが、変換効率は20.2%だった。今回はこのモジュールに次の改良を加え、同じ開口面積で
変換効率23.9%を達成。
池モジュールの変換効率を15.3%に向上 ペロブスカイトモジュールの上に反射防止膜を加え、さらにシリコン太陽電池セルとの間に屈
折率整合液を挟み、積層構造を光損失を最小化できるよう工夫
尚、IMECによると、ペロブスカイトとシリコンセルの組み合せには、まだ大きな伸びしろが残され
ている。理論上は30%を超える変換効率の実現が期待できる。
※ 関連技報
What are perovskite?
Reducing hole transporter use and increasing perovskite solar cell stability with dual-role polystyrene mi-crogel particles, DOI:10.1039/C7NR02650A Electrospray-Assisted Fabrication of Moisture-Resistant and Highly Stable Perovskite Solar Cells at Am-
bient Conditions, DOI:10.1002/aenm.201700210
23.6%-efficient monolithic perovskite/silicon tandem solar cells with improved stability, DOI:10.1038/ne-
nergy.2017.9
※ この「Four-terminal tandem Perovskite / siliconSolar cells」は後日小考する。
【ZW倶楽部とRE100倶楽部の提携 Ⅶ】
● 最新太陽電池技術/国内特許篇
❏ 特開2017-132900 ポリマー及びそれを用いたペロブスカイト型太陽電池
【概要】
ペロブスカイト型太陽電池の基本構造は、通常、透明電極の上に、n型バッファ層、光吸収層(ペロ
ブスカイト層)、p型バッファ層及び金属電極をこの順に積層する。n型バッファ層とペロブスカイト
層との間にメソポーラスチタニア層(電子輸送層)を備えることもある。このうち、p型バッファ層
には、一般的には、有機半導体の正孔輸送性材料が用いられる。しかし、従来のペロブスカイト型太
陽電池は、その光電変換効率が十分とは言えず、現在、ペロブスカイト型太陽電池の光電変換効率の
熾烈な高効率化競争が国内外で展開されている。なかでも、光電変換効率の高効率化のためにはp型
バッファ層として用いられる優れた有機半導体材料の開発が高効率化の鍵を握る。これまでに、いく
つかの正孔輸送性材料の開発されているが、ペロブスカイト型太陽電池として有用と言えるほどの化
合物は報告されていない。現在は、色素増感型太陽電池用の正孔輸送材料として開発されたSpiro-
OMeTADを正孔輸送材料に使用しているが、1gあたり8.8万円程度(Merck)と高価であり、PTAA
(ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン])とよばれるトリフェニルアミン
骨格をもつポリマー材料もp型バッファ層用の正孔輸送材料に用いるが、同様に1gあたり34.2万円程
度(Aldrich)と高価である。さらに、これらの材料をp型バッファ層用の正孔輸送材料として用いる
場合、添加物としてLiTFSI塩(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を用いる必要
があり、これが素子の劣化の原因の一つになってしまうと考えられている。これらの現状から、他
にp型バッファ層として優れた光電変換特性を示す材料が求められている。ペロブスカイト型太陽電
池のp型バッファ層として優れた光電変換特性を示し、かつ安価な化合物として、下式(1)で表され
る繰り返し単位及びその類似構造体から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有するポリマー。
好ましくは、最低空軌道のエネルギー準位(LUMO)が-3.60~-2.00eVであり、最
高被占有軌道のエネルギー準位(HOMO)が-5.45~-4.90eVである、ポリマーを提供
する(詳細は下図/表ダブクリ参照)。
❏ 特開2017-133077 ペロブスカイト膜の製造方法
【概要】
ペロブスカイト型複合酸化物の製造方法には、鉛系強誘電体膜を形成技術として、、❶物理気相成長
法、❷化学気相成長法、❸ゾル-ゲル法、❹MOD法等が挙げられており、さらに、❺ミストCVD
法も挙げられているが、これら手法により、基板上に形成された膜は、熱処理しなければならず、特
に正方晶系ペロブスカイト構造とするためには、600℃~800℃で結晶化アニールを施す必要が
ある。また、正方晶ペロブスカイト膜をミストCVDで製造した例はなく、ミストCVD法は、最近
になってα-Ga2O3系半導体の製法として検討されているミストCVD法とは異なり、ミスト化し
た原料溶液を基板上に塗布した後、熱処理する方法である。また、ペロブスカイト型複合酸化物の製
造方法として、❶スピン塗布法、❷化学気相成長(CVD)法、❸スパッタ法などが挙げられ、❹さ
らに、ミスト化した強誘電体材料溶液を基板上に塗布し、熱処理するミストCVD法も挙げられてい
るが、これらの方法により、堆積して得たペロブスカイト型複合酸化物は、そのままでは実用に足る
特性を示さないため、アニール処理して結晶化する必要がある。
そして、❶高温でアニール処理した場合、界面において反応が起こったり、薄膜構成原子が拡散ある
いは離脱したり、薄膜構成原子の酸素が離脱するなどして、ペロブスカイト構造の特性が劣化すると
いう問題がある。そこで、アニールの代わりに、連続発振レーザービームを照射することが検討され
ているが、このようなレーザを照射する方法も、酸化物層に照射されたレーザの熱が、酸化物層の下
に配置されたベース層を介し逃げやすく、酸化物層の温度を選択的に十分に高めることが困難であり、
酸化物が十分に結晶化されなかったり、ベース層が酸化されたりするという問題がある。❷また、ペ
ロブスカイト膜をミストCVDで実際に製造した例示はない。そして、ミスト化した原料溶液を基板
上に塗布し、熱処理する方法がミストCVD法として特許文献2に記載されているとおり、最近にな
ってα-Ga2O3系半導体の製法として検討されているミストCVD法とは異なる。
ペロブスカイト構造体の❶前駆体溶液を霧化または液滴化し、❷得られたミストまたは液滴をキャリ
アガスで基体まで搬送し、❸ついで、ミストまたは液滴を熱反応させて基体上にペロブスカイト構造
体を成膜した後、❹低温でアニール処理をすれば、良質なペロブスカイト構造を有するペロブスカイ
ト膜を容易に形成できることを知見し、さらに、このような方法が大気圧下で実現可能であり、得ら
れたペロブスカイト膜が、良好な物性を有していること等も知見し、このような製造方法が上記した
従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出だす。このように、良質なペロブスカイト構造
を有するペロブスカイト膜を、簡便且つ容易に、工業的有利に製造にあたり、γ-ブチロラクトンを
含むペロブスカイト構造体の前駆体溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリ
アガスで成膜室内に設置されている基体まで搬送し、ついでミストまたは液滴を熱反応させて基体上
に前記ペロブスカイト構造体を成膜した後、アニール処理する。そして、得られたペロブスカイト膜
を光電変換素子に適用する方法提供する(詳細は下図ダブクリ参照)。
【符号の説明】
1 ミストCVD装置 2 キャリアガス源 3 流量調節弁 4 ミスト発生源 4a 原料溶液
4b ミスト 5 容器 5a 水 6 超音波振動子 7 成膜室 8 ホットプレート 9 供給管
10 基板
※ 関連技報
・Strongly Enhanced Photovoltaic Performance and Defect Physics of Air-Stable Bismuth Oxyiodide (BiOI),
DOI: 10.1002/adma.201702176 Jul. 17, 2017(Non-toxic alternative for next-generation solar cells | Univer-
sity of Cambridge )
● 今夜の寸評:パチンコ・おばけ屋敷・信長が観光スポットに
観光省によると、2017年月の訪日外客数は、前年同月比16.8%増の268万2千人。2016年7
月の229万6千人を38万人以上上回り、単月として過去最高となった公表。多くの市場で
夏期休暇シーズンを迎え、旅行需要が高まる中、航空路線の新規就航や増便、訪日クル
ーズの就航が訪日者数増加の追い風となった。さらに、この時期の需要獲得に向けて進
めてきた訪日旅行プロモーションも訪日意欲を後押しした。市場別では、東アジア4市
場(韓国、中国、台湾、香港)が単月として過去最高を記録。11市場(シンガポール、
フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、
スペイン)が7月として過去最高となった。祝日の変動や減少などを受けて、東南アジ
アを中心に需要が伸び悩んだ市場もあったが、ピークシーズンを迎えた東アジア4市場
が全体を大きく牽引したことも影響し、訪日外客数全体としては堅調に推移したとのこと。
ところで、観光左にも変化が起きているという。珍しいところでいえば、秋葉原のパチ
ンコ店、東京タワーのおばけ屋敷、さらに、「信長の野望」の影響か織田信長に興味を
しめしているという。三重県の「信長の城」に観光客が殺到するかもしれない。ところ
で、観光産業は風評被害脆い。安全衛生が重要なキーワードでもある。