告子(こくし)篇 / 孟子
※ 天与の爵位と世俗の爵位:爵位には、天与のものと世俗のものと
がある。仁・義・忠・信、つまり、変わることなく善を楽しむ心、
これが天与の爵位である。公・卿・大夫のたぐいは世俗の爵位で
ある。むかしの人は、まず第一に天与の爵位を身につけたから、
それにともなって世俗の爵位を手に入れることができた。いまの
人は、世俗の爵位を手に入れるために天与の爵位を得ようとする。
だからいざ目的を述すれば、天与の爵位のほうは見向きもしなく
なる。了簡ちがいもはなはだしい。そういう座中はやがて世俗の
爵位まで失うにちがいない。
【樹木トレッキング 20:アカマツ】
マツの双葉はあやかりものよ、枯れて落ちても二人連れ
こぼれ松葉をかき集め 乙女の如き君なりき
こぼれ松葉に 火を放ち 童のごとき我なりき
童と乙女 寄りそいぬ ただ玉ゆらの 火をかこみ
うれしく二人 手をとりぬ 甲斐なきことを ただ夢み
入り日の中に たつてぶり ありや なしやと ただ ほのか
海辺の恋のはかなさは こぼれ松葉の 火なりけむ
佐藤春夫『海辺の恋』
ここで詠われている「マツ」は、「赤」なのか「黒」なのか、佐藤春夫は和歌山、谷崎潤一郎は東京の
生まれなので、海岸風景のためクロマツとなるが、アカマツは内陸部なのだが東北・北陸地方では海岸
にもアカマツも生育しわからぬが、佐藤がスタンダールの長編小説『赤と黒』(Le Rouge et le Noir)を
も意識していた詩とも考えにくい。さて、アカマツ(Pinus densiflora)はマツ科マツ属の常緑針葉樹で、
複維管束亜属(いわゆる二葉松)に分類され、別名メマツ(雌松)とよばれる。日本に産する2葉のマ
ツはアカマツとクロマツの2種だけである。アカマツは幹が赤かっ色なのでアカマツと名づけられた。
芽のりん片もかっ色、クロマツは同様に幹が黒いからで、その芽は白い。この2種の間には自然に合い
の子ができる。
目に触れる機会の多いマツである。文字通り樹皮が赤いのでこの名が付いている。クロマツと非常によ
く似ているが、葉がやや細く柔らかく、手で触れてもクロマツほど痛くない。そのためクロマツが「雄
松」と呼ばれる。また、成長すると樹皮が鱗状に剥がれるのはクロマツと同じだが、アカマツではこれ
がより薄く、赤っぽくなる。樹皮は赤褐色で、傷をつけると粘りのある樹液が出て、後に淡黄色の塊に
なる。葉は、針状で2本ずつ束生し、基部は灰褐色の鞘状の鱗片がある。ヤニ臭がある。日当たりの良
い場所を好み、種から初めの2~3年は生長が鈍いが以後急に伸びる。
日本産のマツの中でもっとも広い範囲に分布し、天然状態では本州・四国・九州・朝鮮半島・中国東北
部などに分布するほか、北海道にも植林されている。温暖地に多いが、クロマツに比べかなり寒冷な気
候にも耐え、八ヶ岳山麓の美しの森山(海抜約1,500メートル)にも、大規模な群落が見られる他、
北海道南部でも天然林化しているものがある。クロマツが耐潮性が強く海岸線付近に多く生育するのに
対して、アカマツはどちらかといえば内陸に産する。マツ属一般にそうであるように、明るい場所を好
む陽樹であり、不毛な土地にも耐えることができる。安定した極相林の中では子孫を残すことができな
い、典型的な先駆植物である。このため、いわゆる里山に於いては、日当たりのよく栄養の乏しい尾根
筋に植えられることが多かったが、現在の荒廃した里山ではその数を大幅に減らしている。アカマツ林
は、マツタケの生産林でもある。アカマツとマツタケは相利共生の関係であり、マツタケが生えるよう
な環境の方が生えない環境のものより寿命が長いとされる。さらに、シベリアから欧州にかけての広い範囲に分
布し、シベリアアカマツ(欧州アカマツ)の近縁と考えられている。
樹形をコントロールしやすく、庭木として栽培される他、盆栽としても利用。材には松脂を多く含み、
火付きがよく火力も強いため薪の原料として重視された。化石燃料が普及した現在でも、陶芸の登り窯
にくべる薪やお盆の松明などに使われ、京都の五山送り火でも、大量のアカマツの薪が組まれて焚かれ
る。また、主に建材として使用され、建物の梁、敷居の摩擦部、和室の床柱などに使用される。 また、
土の中でも腐りにくいという特徴を持つ事から土中杭としても利用。 ヤニがでやすく、やや狂いが生じ
やすいので利用しやすい木材とは言い難い側面がある。アカマツ林には常時人の手が入り、燃料として
落ち松葉や枯れ枝が持ち出されていたので、林床が貧栄養で乾燥した他の植物の侵入できず遷移を止め
る役割を担う。アカマツだけでなくマツタケもこのような環境を好み、マツタケ山では、手入れを現在
も行っている。ブログ掲載した「ゴヨウマツ」など、マツ科の一部の種子は松の実として食すが、アカ
マツの種子は風で分散し比較的小さく食用には向かない。ところが、ヤニを集め乾燥した塊を松脂(し
ょうし)、葉は松葉(しょうよう)と言い、生薬として用いる。民間療法では、松脂を和紙に塗って貼
ると筋肉痛や打撲に、また生葉を浸した松葉酒を服用すると低血圧、冷え性に効用があるとされ、生松
脂を蒸留した液がテレピン油で、残留物がロジンとなる。葉を食べてしまうマツカレハの幼虫がつく。
対策は、冬に地表近くの幹に藁を巻いてやると(菰巻き)、このケムシが越冬に潜り込んで来るので、
まとめて燃やしてしまうことで駆除されている。
No.152
【ネオコンバーテック篇:東大 肌に貼るディスプレー開発】
伸縮させても壊れにくく、肌に貼って文字などを表示できる薄型ディスプレーを、東京大の染谷隆夫教
授らの研究チームが開発した。研究成果は、米国で17日(日本時間18日)に開催される米科学振興
協会年次大会で発表。例えば、肌に長時間貼れるセンサーと組み合わせ、自宅にいる患者の心電波形を
測って送信。波形や病院の医師の診察結果を、患者の手に貼ったディスプレーに表示できる。在宅医療
などへの応用が期待される。東京大と大日本印刷が開発した、試作したディスプレーは、縦3.8セン
チ、横5.8センチ、厚さ約1ミリのゴムシート上に、極小の発光ダイオード(LED)384個を並
べた構造。数字や絵文字などが赤く表示される。従来は曲げ伸ばしを繰り返すと、LEDと配線の接続
部が断線しやすかった。力が一点に集中しないように素材を工夫し、1万回伸縮させても断線しにくく
なった。共同で研究した大日本印刷(東京)は、通信機能を小型化するなど改良を進め、3年以内の実
用化を目指す。
❦ どこが違うのか 特開2015-149364 伸縮性デバイスおよびその製造方法
【概要】
伸縮してもトランジスタ特性劣化を生じ難い伸縮性デバイスの提供をにあって、下図のごとく樹脂基板
上に1つまたは複数の半導体素子が形成され、該半導体素子を有機高分子材料からなる内側封止層で覆
って構成した半導体搭載基材が、エラストマーからなる伸縮性樹脂フィルムに埋設され、伸縮性樹脂フ
ィルムに半導体素子に接続される導電回路が形成され、半導体搭載基材の周囲が外側封止層で覆われた
伸縮性デバイスであり、外側封止層が半導体搭載基材を直に囲うエラストマー製の第1封止層と、該第
1封止層の外側に形成され、伸縮性樹脂フィルムの一部を兼ねるエラストマー製の第2封止層を備え、
第1封止層のヤング率が第2封止層のヤング率よりも大きくされ、第2封止層に半導体搭載基材に近い
側から遠い側にヤング率のグラデーションが形成されていることを特徴とする。
【符号の説明】
A…伸縮性デバイス、1…伸縮性樹脂フィルム、2…ゲート配線(導電回路)、3…ソース配線(導
電回路)、5…半導体搭載基材、6…ドレイン配線(導電回路)、7…樹脂基板、7A…素基板、8
…ゲート電極、9…酸化膜、10…修飾膜、11…有機半導体層、12…ソース電極、13…ドレイ
ン電極、15…内部封止層、20…内部被覆層、20A…内部コート膜、21…レーザー光、22…
泡抜き孔、23…フッ素コート層、24…ダミー基板、27…分離溝、28…第1コート層、28A
…第1予備封止層、29…構造体、30…第2コート層、31…第1封止層、32…第2封止層、
35…保護層、37…ビアホール、有色基板…40、57…第1導体、58…第2導体、59…第3
導体、60…絶縁膜、41…レーザー光。
❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.7
● 経済とは経世済民
日本の経済をしなやかで持続可能なものにすること。この国の豊かな自然の中で、個性あふれる
地域の場所文化と地域資源を活かしつつ、きちんとお金がまわり人びとが安心して暮らせる世の中
を育んでいくにはそれしかない。そのためには「経済界」が動かないとなかなか日本はよい方向に
変わっ ていかないというのが基本的な考えです。
原発は危険で事故が起きたときのリスクがあまりに大きく、けっして経済性も見合わない。そし
て、自分からは見えないだれかにツケをまわして今の宴を楽しめればいいというふうにさえ映る原
発を擁護し推進しようとする考え方は、私のこのような地域の自立を基本に据える考え方にはそぐ
わないのです。今回の「3・11」で原発の問題点が明らかになったわけですから、このまま黙っ
ていたら私も「原発イエス」というに等しくなってしまいます。
しかしながら、「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」というのは、単に反原
発運動をやろうという会議ではありません。あるいはまたお互いの意見を調整して妥協点を落とし
どころにしようというものでもありません。お互いの考えを実践して、5年、10年とかかるかもし
れない けれども、気がついたら目本に原発がなかった、
そういうふうに現実を変えていく方法論的な議論を深めようというのが主眼です。
この会の活動としては大きく2つの柱を掲げています。
まず1つ目は、賢いエネルギーの使い方を学び実践していくことで、更なる省エネルギーを進め
ていくことです。省子不は経済活動の足かせだとか、快適な生活をあきらめる我慢だとかでは決し
てなく、むしろ新しいビジネスチャンスであり、より豊かな暮らしへの工夫だと思います。この国
の知恵と技術は、世界に貢献できる素晴らしい可能性を持っています。大企業に後れをとることな
く中小企業も取り組んでいくことが大切です。省エネにより、まずは発電手段としての原発が不要
になります。そしてそれと並行して、化石燃料の削減と低炭素社会への転換を、地域の活性化と自
立につなげながら進めていくことです。
2つ目の柱は、可能な限り再生可能エネルギーを中心として、地域のエネルギー自給体制を小さ
くてもよいから同時多発的に全国に構築していくことです。つくっていくのも地域の人たちであっ
てほしいわけです。これからやろうという地域の人たちのサポートになるような地域の情報やノウ
ハウを提供する場でもありたいと考えています。「小さくともよいから」というのは決して否定的
な意味ではなく、「小さいからこそできる」ことがあるはずです。小さいが自分の会社なら、小さ
いが自分の地域の仲間となら、自分が決心すればできることがあるはずです。そして、そのような
小さな取り組みを無数に増やしていく。
「再生可能エネルギーが発電量に占める比率は水力を外すとIパーセントしかないから当てになら
ない」という意見をよく耳にします。けれども、それはまったくの間違いです。「うちの会社は10
パーセントになった」「俺の町は5パーセントになった」という積み重ねが大事です。そういう小
さなユニットが全国に無数に生まれたら、トータルすると非常に大きな比率になるはずです。
日本をほんとうに変えようとするなら、小さくとも自分たちにできることを一人でも多く実践し、
実現し、積み重ねていくしかない。それこそがこれからのやり方だと信じて疑いません。
顔の見える関係で成り立つ地域のコミュニティは、そこが住めなくなったからといって他所に移
すことなどできません。小田原でかまぼこ屋を営む私の会社は、万が一、小田原が汚染さたら他の
場所でかまけこ屋をやることはできないでしょう。その土地の自然、風土、歴史、そして人のつな
がりがあってその地域は成り立っているのですから。
個性豊かな地域が連なる日本、その独自性と多様性こそ、この国の魅力であり、価値であると思
います。
私たちは、「ここは私の土地」「これはわが社の工場」「これはうちの店」と言いますが、所詮、
借り物ではないでしょうか。自分たちの未来から借りているもの。借りたものは汚さず少しでもき
れいにして返す。それが日本人の心根ではないでしょうか。
経済とはもともと経世済民、世の中を治め、人を幸せにする単なる道具。経済人としてそれぞれ
の地域でしっかりとした考えで会社の経営に取り組む。子不経会議はそんな経営者の集まりであり
たいと思っております。
このエネ経会議の活動は、確かに「3・11が直接の、そして大きなきっかけで始まったもので
はありますが、その底流には、資源や環境という地球規模の制約条件と、人口の減少と高齢化とい
う不可避のわが国の社会構造の変化を踏まえ、地域の自立を通じて、この国のありようをより持続
可能なかたちに変えていきたいという思いが流れています。
エネルギーのことはエネルギーにとどまらない夢のある話なのです。 この項つづく
14日、米南部フロリダ州パークランドの高校で、銃乱射事件があり、地元捜査当局によると、生徒ら
17人が死亡している。「人命は地球より重し」(福田赳夫)の名言を前にして、人の命を計ると世界
のGDP×17倍以上となる。開いた口がふさがらない。半自動銃も核兵器も持たずと宣言する勇気を
と叫びたい。