尽心(じんしん)篇 / 孟子
※ 恥を知ることが第一歩:孟子曰く、「万物みなわれに備わる。身に反
みて誠ならば、楽しみこれより大なるはなし。強恕して行なう。仁を
求むるにこれより近きはなし」。恥を知ることは、人間にとって大切
なことである。手練手管を弄する人は、それを恥と思っていないのだ。
人より劣っていることを恥と思わないで、どうして人並みになれよう
か。
※ 認められても、認められなくても:孟子が宋句践(そうこうせん)に
言った。「あなたは遊説がお好きなようだから 遊説の心得をお教えし
よう。それはつまり、自分の説が他人に認められても恬淡であれ、認
められなくともまた、恬(てん)淡であれ、ということです」
「恬淡であるにはどうすればよろしいのですか」
「自分の徳を大切にし、義であることに喜びを感じていれば、恬淡に
なれる。士は貧乏しても義を忘れず、栄達しても道からはずれない。
貧乏しても義を忘れなければ、自尊心が保たれる。栄達しても道から
はずれなければ、人民の信望があつまる。むかしの人は朝に立てば、
恩沢を人民に施し、野にあるときは、修養に励んで世に知られた。つ
まり貧乏なときには一身に旅費を積み、栄達してからは天下に善政を
行なったのだ」
【サーマルタイル篇:最新熱共振式発電技術】
2月15日、マサチューセッツ工科大学の研究グループは、熱電変換素子を用いたシステム―
―昼夜間の周囲温度の周期的変動を使用――で電力収穫するという全く斬新的なもの。サーマ
ル・レゾネーター(thermal resonator:熱共振器)あるいは熱共振式発電装置(thermal resonator-
type generates electricity)を発明したことを公表。
❦ 何が違うのか
「熱共振器」と呼ばれる装置は、温度差を電力に変換することて動作する従来の熱電発電器を
改良、2つの異なる温度入力を必要とせず、代わりに、熱のゆっくりとした放射を担保する特
別な材料(下記参照)を使用するため、デバイスの片側の温度は常に他の温度より遅延。
図1 超高温浸透材料の作製と特性評価 (Ni / OD)、Ni / G / OD(左から右)を含浸したニッ
ケル発泡体用の電子顕微鏡像。 スケールバー:上段(100μm)、下段(1μm)。 (Cu / OD)、および
Cu / G / OD(左から右)を含浸させた銅発泡体の写真である。 スケールバー:上段(100μm)、
下段(1μm)。 c複合材の熱伝導率の関数としての標準PCM(OD)およびその金属フォーム複
合材と比較した超高熱浸透材の有効熱浸透率の向上を示す散布図。エラーバーは95%の信頼区
間を表す。
【概要】
材料科学は材料の熱伝導率を最大化/最小化の技術進歩はめざましいが、熱伝導率と容量積に
関する熱エネルギーと環境との結合についての研究は十分でなかった。ここでは、グラフェン
と銅-ニッケル合金化学蒸着処理し2層を組み合わせ導電率を高めた後、相変化材料(蓄熱材)
のオルトデカンを含浸注入することで膨大な熱量蓄え放出できるように熱浸透率を最大にする
材料設計行う。次に、日間周囲温度サイクル(24時間サイクル)――これらの材料は、広範
囲の周波数の熱変動から永続的に発電可能な熱共振器で周囲エネルギーを理想的に収穫できる
――を利用し初期試験を実施。理論と実験からこれらのデバイスシステムの収穫量が熱量の熱
伝導率に比例する確認。日間周波数の持続的なエネルギー収穫を測定し、約10℃の日中の温
度差から350ミリボルト、1.3ミリワットいう高い出力――シンプルで小型の環境センサや
通信システムに電力を供給に十分な電力――が得られた。
以降、説明図のみを掲載しておく。
※ Titol: Ultra-high thermal effusivity materials for resonant ambient thermal energy harvesting ,
Nature communicationsvolume 9, Article number: 664 (2018) ,doi:10.1038/s41467-018-03029-x,:
https://www.nature.com/articles/s41467-018-03029-x
図2.効果的な熱浸透性のためのマスタープロット。 文献およびこの研究で測定された相変化
材料の有効熱浸透率のマスタープロット(括弧内の参照番号は6,34,35,36,37)。 結果は、体
積固有の潜熱および熱伝導率が直接的または間接的に報告される等方性および周囲相変化材料
(転移温度T *が 20〜40℃の間に生じる)に限定される。 楕円に囲まれた4つのデータ点は、
グラフェン修飾、元のニッケル/銅にODを注入。
図3.超高熱浸透材料の熱共振器への応用。 熱共振器の一般的な回路図。 ヒートエンジンは、熱(赤;
TH = T0 + TA)と冷(青;T)の間の時間(t)で振動する入力温度の変動を変換する2つの熱質
量(1と2) C = T0 -TA )- 空間的な温度差、ΔTt)熱機関によって電力(P)に変換される。
bサーマル・レゾネータの動作とモデリングの詳細を示すサーマル・サーキット。入力、温度変
動、T amb (t) システムの熱抵抗を調整することによって適用され、空間温度差に変換され
る(k1、k2、L1 、L2 )容量 (ρ1 C p1 ρ2 C p2)。c、d このワークで構成されテ
ストされたデバイスに似たサーマル・レゾネータの一般的な回路図で、サーマル・マス1として
高い熱伝導率PCMと、2として無視できるサーマル・マスが組み込まれています。熱電(TE)
で置き換えられ、デバイス全体の予想される温度分布が示されている。 熱質量2は、環境温度
(高温、低温または低温)に迅速に反応します。熱質量1は、振動の中央温度付近の相転移温
( T*)を有し、主としてこの温度で存在する。 e熱質量1としてODを組み込んだ熱共振器の
パワープロファイル(黒色)と入力温度プロファイル(青色、緑色)。 時間平均電力出力(
P avg)および温度振動振幅( TA)もまた提供される。 f熱質量1としてCu / G / ODを組み込ん
だ熱共振器のパワープロファイル(黒色)と入力温度プロファイル(青色、緑色)(補足7 )。
時間平均電力出力( P avg )および温度振動振幅(TA)もまた提供される。 熱質量1の熱浸透
率の関数としての熱共振器の時間平均出力(Pavg)(方法、補足6 )。原点を通り抜けた切片
によるデータの線形近似も示され、近似の傾きは111であり、単位は軸によって決定される。6
つのラベルされていないデータポイントは、発火性の高い順に、発泡スチロール、ネオプレン
フォーム、木材、PVC、テフロン(登録商標)、およびネオプレンゴムに対応する。 PCM(OD、
Ni / G / OD、Cu / G / OD)については、熱浸透率は補足式(16)
図4.周囲温度および過渡温度浴の例。 温度プロファイル(左)とFFTデータ(右)を昼間の
温度サイクルに使用。 bウェアラブル温度センサー(Sensirion製のBluetooth TMインターフ
ェース付きSHTC1スマートガジェット)の温度プロファイル(左)とFFTデータ(右)。 c Dell L
atitude E6330ラップトップの排気口から得られた温度プロファイル(左)とFFTデータ(右)
図5.個人温度変動に対する共振器の理論的および実験的設計 熱共振装置の設計と性能(Q)
を導くヒートマップ。無次元発振周波数 (v)周囲温度浴の熱質量拡散時間スケール(R)の比
とに基づいて決定される。b実験(赤色)および理論(黒色)からの優勢熱質量の長さ(L1)の
2乗の関数としての熱共鳴装置の時間平均パワー出力(Pavg)(Methods、補足10)。 入力され
た角度温度発振周波数(ωf)は、個人の温度振動の頻度に対応しており(図4b)、すべての
システムに適用され、補足図13
図66.電力に最適化され調整された日中の熱共振器の実践への削減。 サーマルマス1の熱抵抗
と熱容量に関連する量の関数としての昼間の温度変動から収穫可能な電力密度(pavg)のヒート
マップ。ヒートマップは、昼間の温度振動周波数 ω=7×10^-5s-^1、R«、温度振動量TA = 10℃であ
る。灰色の三角形 (∇、灰色の三角形(△)灰色の四角形、および黄色の星は、理想的に調整
された乾燥土壌、湿潤土壌、OD、およびNi / G / OD熱共振器にそれぞれ対応する。 b中空のテ
フロン(登録商標)シリンダー(高さ= 7.6cm、直径= 12.7cm)および4cm×14cm×2.5cmのアル
ミニウムヒートフィンから構成された日周熱共鳴装置(略図、左;写真、右) cm^ 2 Bi 3 Te 3の
熱電対として直列に配線された熱電対。 中空のテフロン(登録商標)シリンダーは、相変化材
料としてNi / G / ODを積み重ねた(直径26cm、直径8cm)。純粋なODを含む制御装置も同じ寸
法で構築された(方法、補足11 )。スケールバー:2.5cm。 c 2016年5月17日から6月2日の間
、米国マサチューセッツ州ケンブリッジで16日間にわたり日周熱共鳴装置が配置された過渡的
な周囲環境の温度プロファイル。d日周熱共鳴装置の閉回路電圧プロファイルcに示す周囲境界
条件に曝される。 e cで示される周囲境界条件にさらされた場合の日周熱共鳴装置の電力プロ
ファイル。
以上、蓄熱材と熱電変換素子のコラボデバイスシステムのような「熱共振式発電装置」の発明
報告を俯瞰し、いまいち納得仕切れていない感が残りつつも、先日の「赤外線アンテナ式熱電
熱電変換素子」といい、前回より化学的領域に近い熱電素子も、次々と既存の発想を飛び越え
光、熱、温度サイクルをエネルギー変換させる技術に驚き、エネルギータイリング事業が本格
化することをまた確認する。
❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.10
● 対談1 新しい現実をつくる
『脱拝金主義で脱原発を』 原毅 城南信用金庫理事長
Aug. 3, 2012
新しい電力の仕組みは地域をハッピーにする
吉原 ありがとうございます。スマートグリッドやさまざまな技術が発達して、電力の独
占はもう時代に合わなくなっているということですね。独占はむしろ地域の弊害になっい
く。自由化して、一人ひとりが小水力とか、太陽光とか、風力とか、さまざまなエネルギ
ーをスマートグリッドを使ってネットワーク化することによって、安くて安全な電力にし
ていく。国民の手に電力を取旦尻す。そのほうが経済が活性化すると思います。小水力、
風力、太陽光、MO発電、バイオガス、そういったものをやりますと、中小企業のものづ
くりが活性化するわけです。地元に新しい産業がどんどん生まれる。民主党政権のときの
技野経産相が言っていました。脱原発にしたほうが経済は活性化する、そして雇用も増え
るんだと。
鈴木 新しい電力の仕組みをつくっていくということは、単に子不ルギーだけのことで
はなくて、地域にいかにお金をまわすかだと思うんですね。
吉原 そうなんです。地域を活性化するんです。
鈴木 中央集権的な集中型から分散型へ、そういう流れをつくっていく、今回はいいチヤ
ンスだと思います。
吉原 独占しなければいけないのは、たとえば国防などがありますが、いま、いろんなか
たちで規模の経済が関係ないようないろんな子不ルギーが発達していますから、そういう
意欲も技術も封じて、古い原子力にしがみつくのは子孫にまでツケを回すだけで感心しま
せん。原子力なんかに頼る必要はまったくないわけですね。今回の福島の事故でアメリカ
のNRC(原子力規制委員会)では「アメリカでは新規の原発計画は一切認めない」と明
快に方針を打ち出しているわけです。現在稼働中のものについても更新を認めないといっ
ています。
その理由は使用済み核燃料が各原発の建屋の中のプールにいっぱいあって、これがいかに
危険かということが今回の事故でわかっだからたというんです。日本でもまったく同じで
各原発の建屋の中のプールにあふれ返っています。その一部を青森県の六ケ所行に移して
、そこで再処理するという計画です。再処理してプルトニウムを取り出してつまり核燃料
サイクルによって核燃料が増えていくという説明をしてきたわけですが、経産省の幹部も
NHKの番組で「国民を欺くことはもう無理だ」とそこまで認めているわけです。ところ
が、これをやめてしまうと六ケ所行がだめになる。そうすると原燃をはじめ債務保証して
いるところをも含めてみんな資金が止まって倒産してしまう。そこに天下っている人たち
が困ってしまう。こういうふうに原発はお会まみれなんです。
鈴木 そこにお金を出している銀行さんも困るわけですね。
古原 よい例がJALなんてすが、、倒産しましたが、会社更生法で復活してちゃんと飛
行機を飛ばしてやっています。だから、電力会社もつぶして、もう一回新しいかたちにし
て再生させれば、電気が止まるというようなことはないんです。それを阻むのはいままで
やってきた人たちの既得権益だけなんです。お金は人の幸せにつながる大切なものなのに
人のこころを惑わせる麻薬でもあるというのは、まさにそこなんてすね。たとえ間違って
いることでも、お金が給むとやめられなくなり、人のこころを奪って暴走させてしまうわ
けです。自分だけのことにとらわれてしまう。
昔から二宮尊徳の報徳思想、道徳がなければ経済は成り立たないんだということです。
そういうことが経営者のこころに根付かないと、地域とお金が自分だけのためにあると錯
覚してしまう。だから、みんながハッピーになるようにこころかけて仕事をしないと。そ
のためにも、だれもが正しいと考えるような正しい情報に基づいて仕事しないといけない
と思います。まず、やるべきことは、竹中さんじゃないですけど、電力を自由化してだれ
でも発電をして、発電したのを供給できる、そういうルートをつくっておく。それによっ
て みんなそれぞれの工場の廃熱、牛や馬を飼ったときのバイオガス、そういったものが
エネルギルギーとして再生できるようになる。ところが、いま、そういうルートがないか
ら、そういう資源がみんな無駄になってしまうわけですね。
鈴木 地産地消のご当地電力ということでいいますと、昨年、小田原に「ほうとくエネル
ギー株式会社」が誕生して、つい先日、えねるぎー会議と共同で「小田原電力、はじまり
ます。」と題してローカルエネルギー・ミーティングを開きました。映画『第4の革命』
のカール・フェヒナー監督を招いて、ほうとく手不ルギー株式会社、多摩電力合同会社し
ずおか未来えねるぎー株式会社、それから地元で個人が始めた片浦電力の事例紹介などを
含めて、吉原さんが言われるように「電力を自分たちの手に取り戻す」試みが動き出しま
した。
吉原 それは楽しみですね。いま、雇用を生み出し、みんながハッピーになる世の中にす
るには新しい産業を起こさなければ駄目だというので、ベンチャー支援が叫ばれて、ベン
チャー・キャピタルが注目されているようですが、信用全市の存在を忘れては困ると言い
たいですね。どちらも必要なんです。特にお金儲けより仕事を通じて「みんなハッピー」
に貢献したいというベンチャーが増えましたから、信用金庫の存在が高まってくると思っ
ています。2012年を国運が「国際協同組合年」に定めたのは、1928年の世界金融
恐慌、87年10月19日のブラックマンデー、08年のリーマンショックと3度もお金の暴走に
揉闘された苦い反省から、ようやく「金融や株式市場といった資本主義社会はとても危う
いものだ」と気づいたからだと思います。ご承知のように株式会社は利潤の追求を目的と
しています。株主総会では一部の投資家の意見で決議されます。大多数が反対しても株式
を多く持つ少数の投資家が「イエス」といえばそれが通ってしまいます。そうした金と力
に任せた株式会社のやり方はおかしいだろう、というところから、お互いに助け合う協同
組合が生まれました。信用金庫は協同組合主義による金融機関です。最後にこれからの社
会にふさわしい経済の骨組みを考えていただく材料の1つとして、アダム・スミスが『国
富論』の中でいった言葉を紹介させていただきます。「株式会社は株主の利益のみを追求
する傾向があるため、国家にとっては株式会社が増えることは、道徳的な問題も含めて望
ましくない」。本来あるべき会社というのは、トップが責任を持って従業員のことを考え
、長期的に維持していくべきで、会社とは自分の幸せと同時にみんなの幸せのためにある
のだと、アダムースミスはいっているわけです。
鈴木 まったく同感です。本日は有意義なご意見をたくさんありがとうございました。
吉原 こちらこそよい機会を与えていただいて感謝しています。
2012年3月12日 城市信用金庫本店にて
この項つづく