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魅力的な地域分散指向

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

       ※ まず豊かな生活を: 耕作を正常に行なわせて、租税を軽くすれば、人民の
       生活は豊かになる。さらに、季節による調整と、分に応じた節倹を行な
              えば、財貨は使いきれないほどになる。火と水は生活に欠かせない大切
       なものだ。にもかかわらず、たとえ夜中でも、隣家の戸を叩いて無心す
       れば、必ずわけてくれる。なぜならば、火と水はいくらでもあるからだ。
       聖人が天下を冶めれば、食禄は火や水と同様に豊富になろう。そうなれ
       ば、人民の中に、仁愛を忘れる特など一人もいなくなる。

     ※ 偏向はいけない:楊朱は利己主義だ。一本の髪の毛を技けば天下の利益
       になるという場合でも、けっして抜こうとはしない。墨翟は「兼愛」を
       主張する。天下の利益とあれば、昆の毛一本どころかわが身のすべてを
       犠牲にする。子莫(魯の賢人)は両者の折衷意見である。これは中高を
       守ることであって、聖人の道に近いといえる。しかし、ただ機械的に折
       衷するだけで、時と場合を考えないとしたら、やはり楊・墨と同様、偏
       向のそしりをまぬかれない。偏向がいけないのは、道をそこなうからだ。
       一つのことに固執して他のすべてを捨てさるからだ。

       【解説】いずれにせよ極端に走るのはよくない。中庸を守るべきだ。し
       かし「中尉を守ること」がまた一つの極端となることもある。要は臨機
       応変の柔軟な態度だ。


【ジャパネスク 程々の家】

日本の感性を大切にしながら、凝りすぎない。造りすぎず、飾りすぎない。ジャパネスクハウス
「程々の家」は、その絶妙なバランスを追求しました。どっしりと低く構えた佇まい。陰翳が織
りなす美しさ。日本の「粋」が、ここにある。



 

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.11   

   ● 対談2 新しい現実をつくる  

   『エネルギーは集中型か分散型かではなく、ミックスでいく』

                         藻谷浩介 日本政策投資銀行特任顧問

 

1964年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。アメリカ・コロンビア大学経営大学院修了。M
BA取得。88年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)人行後、2012年から現職。特定非営利
活動法人ComPus地域経営支援ネットワーク理事長,2011年度内閣官房「東日本大震災
復興構想会議専門委員会」委員、内閣府・財務・経産・国交・総務二厚生労働・文科省等の委員
を務める。海外59カ国を巡歴(米国についでは50州すべてを訪問)している。人口成熟問題、中
心市街地、産業振興、市町村合併、地域金融、観光振興、地域再生などをテーマにしている。著
書に『里山資本主義」一(角川書店/2013)『デフレの正体』(角川書店/2010)『実
測!ニッポンの・地域力』(日本経済新聞出版社 2007)など多数。

  地域分散型エネルギーの大きな可能性

  鈴木 藻谷さん、今日はわざわざ小田原までお越しいただきましてありがとうございます。
 早速ですが、私どもエネ経会議アドバイザーの一人としてお知恵を拝借したいと思います。
 エネ経会議の大きなポイントは、地域でエネルギーをこしらえていく、できれば再生可能エ
 ネルギーを中心としたエネルギーの自給体制を地域の人たちが、地域で中心になって、小さ
 くともよいから循環を起こしていく。それをサポートするような援護の活動をしたいと考え
 ております。そこで、地域と自立という観点から、いま、揺れ動いている原発を中心とした
 体制、つまり中央集権的なエネルギーの仕組みが、今後、どのようになっていくかについて、
 お考えをお聞かせください。

 藻谷 わかりました。中央集権、拠点集中型のエネルギー供給から、なるべく地域ごとに分
 散して多重なエネルギー供給に切り替えていかないといけない、ずっと前から多くの識者が
 このようにおっしやっていたのに、私自身がいま一つ、その重要性を理解できていなかった
 んですが、福島第二原発事故でよくわかりました。原発そのものの問題だとか、放射性廃棄
 物の問題については、たまたまその分野に仕事上のかかわりがあって、20年以上前から「
 日本では廃棄物処理の目途が立たず、後年度負担も膨大になる一方なので、原発はできるだ
 け早くとめるべきだ」と思っていました。私と同じ認識を、原発事故を機会に得た人も多い
 と思います。

 ところが、エネルギーの地域自立についてはですね、恥ずかしながらそういう考えを前々か
 ら問く機会があったにもかかわらず、ほんとうにその意味がわかったのは事故の後なんです。
 「何事であれ規模の利益を追求したほうがいい」という単純な経済学の考え方は、現実の世
 の中に出してみると妥当しない分野が多いわけですが、エネルギー分野もそうであるという
 ことに恥ずかしながら思い至っていませんでした。ですが、電源を分散してしまったほうが、
 エネルギーの利用効率もよいし、安全性も高まる。それから負のコスト、廃棄物というマイ
 ナス面のコストも、地域ごとに負担して自覚して減らそうとするべきなのに、電気の世界で
 はすべての面において拠点集中をやりすぎました。

 鈴木 分散型にすると効率が悪い、コストが高くなる、よくそういうことがいわれます。狭
 い意味での経済的なお金の計算からすると大枠で括ってしまったほうがエネルギーも電気も
 安く供給できる、こういう考え方をおっしゃる人がいまだにいらっしゃいますが、地域で自
 立型のエネルギーをやっていくとすると、中央集権的なやり方に比べて具体的にどのような
 メリットがあるのでしょうか。
 藻谷 集中のほうがよい、分散のほうがよい、どちらか極端にすると効率がよくなるという
 ことではなくて、妥当な解はミックスなんです。



 鈴木 そうですね、ミックスですね。
 藻谷 ただ、現状はほとんど拠点集中ですから、まずは分散した電源を多重に増やしていか
 ないとミックスになっていきません。ホテルの冷暖房にたとえて考えてみましょう。昔建て
 られたホテルはみなセントラルヒーティングでした。ところが、最近増えている宿泊専用の
 ホテルは部屋に個別に冷暖房機を設置しています。個別空調のほうがコストが安いからです。
 第一に家電製品の技術革新で、大規模なセントラルヒーティングよりも、個別に機械を買う
 ほうが、初期投資も修理も安い時代になりました。第二に、個別空調だと稼働していない部
 屋はスイッチを切れる。満室でも午後3時から次の目の午前10時までフルに人がいるような
 ことはありません。使っている部屋だけ稼働させればよいから効率がよいわけですね。就業
 時間が定まっているオフィスではいまだに空調は一括管理なのが普通ですが、ホテルの部屋
 は個別管理のほうが良かったわけです。この話に典型的に表れているように集中管理が効率
 的だという計算は、全員が同時に同じ行動を取ることを前提にしているわけです。しかし、
 実際の世の中はそうなっていないんです。

 鈴木 なるほど、おっしゃる通りです。
 藻谷 地域も一つのホテルのようなもので、全員が同じような時間に同じような電気の供給
 を要求するかというと、そうではないんです。この話には時間帯だけではなく電気の質とい
 う問題もあります。企業ユーザーにはびくとも揺るがない安定した電力供給が必要だという
 ところがありますし、ご家庭では少々のことでは困らないところが多い。電圧がふらつけば
 スーパーコンピューターなんかはぶっ壊れるかもしれないけれども、ノートパソコンはバッ
 テリーーを内蔵していますから何の問題も起こらない。事実、新幹線の中で供給されている
 電源などはかなり不安定ですが、それによってパソコンが変調をきたすことはないわけです。
 だから、過剰な品質、過剰な安定供給たったこれまでの電力会社のやり方を、相手の状況に
 応じてカスタマイズするだけでも、単純にコストが下がることが予測できるわけです。つま
 り、集中電源方式のほうがいいというのは、実際には存在するいろんな変数を切り落とした
 ものすごく単純な机上の計算なんです。
 同じように、自然子不ルギーを活用しようとすると、「大規模集中型のエネルギーに比べて
 自然エネルギーなどは屁でもない」という議論になるのは、実は農業の構造にそっくりなん
 です。

 鈴木 大規模農業と個人営農との違いですね。
 藻谷 その通りです。スーパーに行けば、世界の大規模農場から大量の石油を費やして輸送
 してきた食材がずらりと並んでいて、いつ行っても買えますけれども、裏では大量に廃棄が
 起きています。食材の歩留まりが悪いだけではなくて、輸送費だとか管理費なども膨大にか
 かっています。
 ところで、特に大都市圈以外に住んでいる日本人には、庭に菜園を待ってある程度の農産物
 を自給している人が多い。農業地帯であれば、近所の農家からのおすそ分けもあります。か
 なり極端な市場経済論者でも、この農産物の自給行動を「無駄だ、効率のためには全部店か
 ら買うべきだ」とは批判しませんね。だって、おいしいものが食えるし、自分でつくるのは
 楽しいし、安心だし、廃棄の無駄もなくなる。輸入品を買うより、農業用資材だの種だのに
 お金がかかるかもしれないけれども、喜んでホームセンターなどに通う人が多いのは事実で
 す。
 電気に置き換えても同じです。地域や自宅で小規模な発電を行なうのは、いろいろとお金が
 かかるかもしれないけれども、自分がつくった電気を自分で使える楽しさや、災害時の安心
 を考えれば、喜んで払う人は多いでしょう。その結果として、送電ロスや余剰発電が減り、
 国全体では効率が上がるかもしれません。

 鈴木 いざというときに備えた保険みたいに……。
 藻谷 そう、家庭菜園も、家庭での発電も、楽しみであると同時に、安心を買う保険なんで
 す。集中生産されたものを彼方から運んでくるのに比べて、無駄がなくなっていくうえ、い
 ざというときのリスクも減らすことができます。

 鈴木 確かに家庭では、楽しいとか、環境によいとか、そういうことで行動を決めることが
 できますね。ですが、私ども企業の経営者からすると、なかなかそういう動機では話を進め
 にくい。
 藻谷 おっしやる通りです。つい家庭の話から入りましたが、家庭の電力使用量は全体の3
 割程度といわれていますからね。ですが、付け加えておきますと、同じ家庭でも家の大きさ
 によって、電気を使っている量がまったく違います。電気代は月に5000円程度という家
 庭が東京では普通ですが、5万円、10万円という家庭もあるのです。ということで、所得に
 余裕があって広い家に住んで大量に電気を消費している人が、保険だと思って電源を多重化
 することによって、家庭用電力需要はかなり縮む可能性があるわけです。ついでに、家電製
 品の最新型への取り替えや、家屋の断熱改修ないし建て替えも、ドラスティックな効果があ
 るといわれています。



 鈴木 そうですよね。
 藻谷 ですから、家庭用の節電は、一定以上の高い電気料金を払っている層への値上げなど
 を認めることで、一番最初にやるべきです。
 他方で企業を考えてみますと、食品産業とかが典型だと思いますが、ぎりぎりでやっている
 多くの会社では余分な儲けなんかありませんから、ちょっと電気代が上がるだけで赤字に転
 落するところがほとんどだと思います。鈴廣さんのようにちゃんとやっておられる会社でも、
 内情は大変でしょう。

 鈴木 中小企業はどこでもそうです。
 藻谷 そこらへんにしわ寄せするべきなのか、そんなふうに杓子定規な節電でよいのかとい
 うことです。それに対する答えは2点あフて、1つ目は鈴廣さんが「これ以上できないと思
 ったが試しに一所懸命やってみたらさらに2割削減できた」とおっしゃっているように、抜
 本的改革以外の余地は中堅、中小の企業にもまだかなりあるはずなんです。
 そこはぜひ、やっていただきたい。

 鈴木 おっしゃる通りです。私たちエネ経会議は全国に300社の仲間かおりますが電気が
 足りないといわれたなかで、どうしたらエネルギーを賢く使えるかというとき、皆さん思っ
 てはいるんだけれども、具体的に何をしているのかというと、まだまだ余地があるんですね。
 ある程度の規模以上の企業さんだと、施設とか設備とかエネルギー専門の部署にスタッフが
 おりますけれども、中小企業だとオヤジが全部やっておりますから、そこまでまわる知恵も
 ないし、勉強する時間もありません。自分たちも意識をしっかり持って、サポートできる体
 制があれば、たぶん、できることはあると思います。
 藻谷 2つ目になりますが、一礼一礼では無理でも地域で数十礼、数百礼が集まったという
 単位だったら、もっとできることがあるんですね。企業の方はこれまで努力していますから
 「下げしろ」が少ないんですが、それでもお互いに情報を交換していくことで、イノベーテ
 ィブにやれる余地はあると思います。

 鈴木 再生可能子不ルギーなんてほんの数パーセントなので、そんなものは未来永劫頼りに
 ならないという議論があるわけですが、確かに現在は数パーセントかもしれませんが、地域
 とか自分の会社とかに目を向けると、「うちの会社は再生可能エネルギーにトライし始めた
 ばかりだけど、もうI割やってるよ」とか、「地域の仲間と協力してうちの町では30パーセ
 ントやった」とか、そういう小さな単位、つまり自分も関われる小さな単位であれば、でき
 ることってあると思うんですよね。

 藻谷 再生エネルギーなんて微々たるものだというのは、具体的にやる前から決め付けてい
 るわけです。再生エネルギーは何パーセントになるというのはマクロな計算なんですね。で
 すが、簡略化した計算と現実というのは相当違う。たとえば塩とグラニユー糖を100ミリ
 リットルずつ買って、混ぜると200ミリリットルになるかといえば、容器をトントントン
 とやればお互いに結晶の隙間に入って180ミリリットルま容量が減るかもしれません。軽
 く1割ぐらいは違いが出てくるわけですね。他の例で考えてみると、インターネットを定額
 で提供なんかしたら、サーパーのキャパシティオーバーでみんな赤字になるだろうという計
 算が、定額制が登場する前には十分に成り立っていたんだろうと思うのですが、結局は定額
 制が当たり前になっています。やる前にわずかの努力もしないでいて、計算してこうだとい
 う話は、だいたい、その通りにはいかない。

 実際、ドイツなんかは日本よりもかなり日照時間が短いし、地燕エネルギーもないわけです。
 そういう国より自然エネルギー比率が低いというのはおかしい。また、ドイツの隣国のオー
 ストリアには、木質ペレットを燃やすことで相当程度のエネルギーを自給している地域もあ
 ります。日本のほうが降水量も多いし森林も多いのだから、これまた同じことはできるはず
 です。ただオーストリアの場合には、製材所が非常に多く、本質ペレットの原料となる木屑
 がダダで大量に発生しているという事実があります。鉄筋コンクリートや新建材ではなく国
 産材で建物をつくることが普及しているからですが、日本でもそこまで徹底していけば状況
 は大きく変わります。

 鈴木 なるほど。多様なエネルギー開発を地域でやると、地域内での資源の有効活用や、地
 域内での資金循環の拡大というプラス而もあるわけですね。それに比べて、原発に関係する
 お金の流れ方にはどうも俯に落ちないところが多いのではないでしょうか。そこを変えてい
 かないと、エネルギー自給に伴フて地域にお金もまわって自立していくという流れにつなが
 っていかない。
 藻谷 原発に関していえば、お金の流れをブラックボックスに入れてしまって、電気の利用
 者はそのコントロール自体も他人に任せてしまっているわけです。だから、ほんとうに安い
 のかというと安くない。しかも多大な運営経費が地元に落ちるかといえば、現場での雇用の
 担い手は他所から流れ込んだ下請労働者で、福島の原発地帯も若狭の原発地帯も、地元の人
 口は事故前から減少の一途でした。同じく多額のはずの地元対策費も、箱モノ投資や広告費
 にまわって、建設会社やマスコミ経由で東京に還流してしまっています。

 鈴木 地域ごとに小規模なエネルギー開発を行なえば、一見効率は落ちるかもしれないけれ
 ども、地域でもっと仕事がまわったりとか、お金がまわったりとか、そういう効果もありま
 すよね。
 藻谷 そうです。そのような正の効果の分配に加えて、廃棄物処理や騒音対策といった負の
 分配も地域内でやったほうが効率的です。ゴミ処理が典型ですが、計算上は集中的にまとめ
 てやるほうが効率がいいはずのところ、それだとゴミが限りなく出てたいへんなことになる
 ので、東京などでは各区ごとに焼却施設を設けて量を減らす努力をさせています。

 鈴木 どこかでまとめてやっちやうと、多くの人にとっては他人事になってしまうわけです
 ね。だから、エネルギーのことも他人事でお金さえ払っておけば済むとなってしまう。
 藻谷 その究極の姿が原発で、国全体で考えれば、たいへんなコストが発生しているのがわ
 かりそうなのに、立地地域限定の問題であるということにして、大都市圈住民は目をつぶっ
 ている。原発を再稼働しろというのであれば、それこそ東京の真ん中に使用済み核燃料の最
 終処分場を設けるべきでしょう。それが嫌なのだったら、再稼働など求められたものではな
 い。話をプラスの効果のほうに戻せば、各地域ごとに1割でもエネルギーを自給できるシス
 テムをつくることによって、無駄なエネルギー使用が減ると同時に、エネルギーの問題がよ
 り自分事になっていく。

 鈴木 自分事として受けとめないと始まらないわけですよね。
 藻谷 地域単位の活動の非常によいところは、すべてが自分事としてやれること。自給自足
 というのではないのですが、まず自分たちの足で立って考えて、そのうえで周りと連携して
 やるべきことは当然連携してやる。しかし、その際にも自分が責任ある主体として自分の頭
 で考えて行動していて、責任も取るということになっていかないといけません。地域の自立
 というのは、国民個人個人の自立というのと似ているんです。

 鈴木 自分でこうだと言えるように考える……。
 藻谷 そういうことなんです。地域も個人も、複雑な分業のなかで生きているのだから、い
 まさら単独で自給自足して生きていけるわけはないのだけれども、周囲と協調・協力しつつ
 も、判断の際には自分の二本足で立たなければなりません。エネルギーの場合、地元産の風
 力エネルギーが3割、あるいは4、5割までいけるなら、そのときベース電源は何にするの
 か、これも地域がもっと主体的に考えて、きちんと責任を取ってやるべきなのです。ペース
 電源として有望な地熱発電一つを取っても、地域ぐるみで進めなければだれもやりませんよ。
 自分の地誠にたまたま地熱がある。これを何とかしたいと考える地元民が、いろいろと工夫
 をして、地域の人でコンセンサスつくって……。 

 鈴木 いろんな資源があるから、地域のある意味のテーラーメイドのシステムができていく。
 藻谷 自分のものだと思うとね、コストもかけるし、問題も自分で解決する。島根県の浜田
 の人たちが始めた浜田電力(中国ウィンドパワー(株))、これは非常にいいと思う。何か
 いいかというと、浜田の人たちが浜田のためにやっているからいい。だから、騒音だの景観
 だの問題があっても地元の人が一緒にやっていると話し合いで解決がついてしまう。そうや
 って電力が地域の収入になればいい。



 鈴木 浜田電力をやっているのは私たちのメンバーです。
 藻谷 これはぜひ全国に広げてほしいやり方ですよね。風力ですから、取り組める地域も多
 い。それに対して地熱は、いろいろと制約が多くなります。一番大きな問題は、温泉に影響
 が出るんじゃないかという風評があるために適地でもコンセンサスが取りにくいことでしょ
 う。ですが、地熱発電は地下2500メートルあたりから300度といった超高温の蒸気を
 取り出して行なうもので、それで地上の温泉に影響が出ることは原理的にありえません。逆
 に取り出した地熱の影響で、周囲に湧いていた温泉が熱くなりすぎてしまった例はあります
 が、これを防ぐには使用後の蒸気を完全に元の場所に返せばいいのです。ただし、地熱が、
 100パーセント天然であるのは事実なので、余った地熱を温泉の加熱に利用するシステム
 をつくれば、むしろ「天然温泉」の湯量が激増することにもなります。

行動経済学者の藻谷浩介の『里山資本主義』の書評をこのブログで掲載したことがあるが(この
一冊のみ)、いかなる内容が展開されるか楽しみである。

                                   この項つづく

【現代工学連続講座:熱設計Ⅱ】

これを書き留める切っ掛けは、日経 xTECH(クロステック)の『クールな熱設計』が実に止まっ
たため。半導体製造分野に関わった30数年前に「熱との戦い」がやがて大きくクローズアップ
されると同僚のとの何気ない話から強く意識したことに始まる。同シリーズの「深刻になる熱暴
走、劣化が進み部品が壊れる」の「問題1:半導体の熱暴走」ではつぎのよう解説する。

 これから先、一番深刻になるであろう問題は「熱暴走」である。既にいろいろなところで見ら
 れ、特にFPGAを使うケースで目立ってきた。

 半導体は微細化がどんどん進み、65nm、30数nmなどといった技術になってきているが、それ
 により、リーク電流が増えてきている。CMOSの消費電力Pdは次式で表すことができる。

  Pd=A×Nt×f×C×V2+Nt×Ileak×V

  Aはゲートの活性化率で、ゲートの遷移する確率を示す。Ntは素子の数で、今、非常に増えている
  ものだ。fは動作周波数、Cは一つのゲートが持つ電気的な容量、Vは電圧、そしてIleakはリーク電
  流である。

 集積度が上がると、Ntはどうしても増えてしまう。fは急激ではないものの、基本的には増え
 ていく。従って、AとVを落としていくことになる。Vについては2乗で効くため、低電圧にす
 ると電力をかなり抑えられる。

ところが、微細化が進むと式の第2項目が効いてきき。リーク電流に比例する項目であり、スイ
ッチがオフなのにトンネル効果で電流が流れたり、絶縁層が薄い所に徐々に電流が流れる、厄介
なのはリーク電流の温度依存性の強さ、温度が高くなるとリーク電流が急激に増える。下図(a)
は、米Intel社のサーバー機向けプロセサの消費電力に占めるリーク電力の割合を表したグラフ。
例えば1990年代後半までは消費電力が100W近くあっても、リーク消費電力はその中の数Wレベル
にあったが、このグラフの最新データである2006年では、消費電力120W中の数10Wがリーク消費
電力となる。

 

つまり、このように導出される。リーク電流は接合(ジャンクション)温度(Tj)の指数関数と
して表され、接合温度が高くなり、チップの温度が上がってくると、電流値が増え→チップの温度
は、どちらかといえば、このスイッチング電力(式の第1項目)で上がる。そうするとリーク電
力(式の第2項目)も増えてやがて収拾がつかなくなり(この定式化が正しければ)→熱暴走温度
を計算できる(上図(b))。スイッチング電流を増やしていくと、ジャンクション温度が上がり、
途中からはリーク電力が急激に増え暴走すると説明される。このシリーズは、「劣化が進み部品
が壊れる」「熱疲労で壊れる」の問題を解き明かし、「発熱量の範囲の考え方」「部品温度上限
の種類」が説明される。

ところで、話相手とは、二十年前、若くして他界したギタリストでもあった木村敏昭である。

 ● 今夜の一曲


 『嘘よ』                                          唄  前川    清

                                        作詞 久野征四郎
                                       作曲 弾    厚作

泣いたって泣いたって
何もない世界さ一世の花の
夢は消えてただ一人
泣けば悩みを忘れるなんて嘘よ嘘よ
にじむネオンにギターの音
燃えたって燃えたって
帰れない世界さ幼き頃の
夢は枯れて夜に咲く
泣けばあなたを忘れるなんて嘘よ嘘よ
酔えばなおさら切ないものよ
信じても信じても
寄る辺なき世界さ
つれない仕打ちに傷つさながら夜の花
明日はいいことあるだなんて嘘よ嘘よ
明日は昨日の繰り返し

 


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