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今津ざぜん草の里

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

             ※ 舜ならどうするか:弟子の桃応(とうおう)が孟子にたずねた。
           「舜が天子のとき、皐陶は司法官でした。もし舜の父の回収が
                     人を殺したとすれば、皐陶はどうするでしょう」「捕えるほか
                     あるまい」「舜はとめないのですか」「とめようがないだろう。
                     人殺しを捕えるのは、昔から法令で定められていることだ」「
                     舜はどうするでしょう」「天子の位を捨てることなど、破れ草
                     履を捨てるくらいにしか思わなかった人だ。ひそかに父を背負
                     って逃れ、どこかの海辺に隠棲し、その暮しに満足して天下の
                     ことなど忘れてしまうだろう」


                   【解説】 舜の態度は、見方によっては無責任ともいえる。しかし孟
                              子の持論からすれば、親に孝養をつくす心で天下を治めるのである
                     から、親を見殺しにして天子の地位にとどまることは、それ自
                     体矛盾していることになる。

                 ※ 何が風格をつくり出すか:孟子は范から斉都に帰って来たとき、
           斉の王子を箔かけて、賛嘆の念をこめて言った。「食べる物で
           体質が変わり、住む財界で気質が変わるというが、環境の力は
           まことに大きい。あの王子にしても、素質は庶民と変わりない
           はずだが」
 
           さらに続けて言った。

           「王子の衣食住は、庶民とほ.とんど変わりがない。ところが
           王子は、あんなに大きく見えた。というのもで玉子の住んでい
           る世界がそうさせるのた。まして、仁の世界に身を置いてだら
           どうだろう。こんな話がある。魯君が宋を訪れたとき、垤沢(
                     てったく)の町に到着して門前で呼ばわった。すると門衛が言
           った。わが君ではないが、驚くほど声が似ている、と。これは
           ほかでもない、二人とも控む世界が同じだからだ」

 阿志都弥神社・行過天満宮

【奥琵琶湖トレッキング 森の精霊 達磨草】

朝8時に車を走られ奥琵琶湖は今津弘川に向かう。目的は今津の里の座禅草。伊吹が朝靄突き銀
色に輝き、琵琶湖は河口の雑木の奥で広がり海となる。見事である。メタセコイヤの林道を抜け
るとものの1時間もすれば今津弘川である。現場では三々五々と観光客が集まってくる。休憩所
でおみやげと、軽食(♂きつねうどんと♀炊き込みご飯セット)を頂き、正午過ぎ帰宅する。



❦ 今津のザゼンソウ群落 

今津のザゼンソウ群落は、滋賀県高島市にあるザゼンソウの群生地。国内南限のザゼンソウ自生
地として知られる。饗庭野の湿地帯に高密度で広く群生するが、日本列島では高島市が南限とな
る。1981年に今津中学の生徒が理科授業の観察時に発見。環境庁の自然環境保全基礎調査の特定
植物群落に選定(1986年)および滋賀県自然環境保全条例の緑地環境保全地域に指定(1989年)
されている。毎年2月下旬に周辺で「ザゼンソウまつり」が開催される。

● 発熱する花

ザゼンソウ(座禅草、学名:Symplocarpus renifolius Schott ex Tzvelev)は、サトイモ科ザゼンソウ
属の多年草。仏像の光背に似た形の花弁の重なりが僧侶が座禅を組む姿に見えることが、名称の
由来とされ、花を達磨大師の座禅する姿に見立てて、ダルマソウ(達磨草)とも呼ばれている。
冷帯、および温帯山岳地の湿地に生育し、開花時期は1月下旬から3月中旬。開花する際に肉穂
花序(にくすいかじょ)で発熱が起こり約25℃まで上昇する。そのため周囲の氷雪を溶かし、い
ち早く顔を出すことで、この時期には数の少ない昆虫を独占し、受粉の確率を上げている。開花
後に大型の葉を成長させる。ザゼンソウの発熱細胞には豊富にミトコンドリアが含まれているこ
とが明らかになっているが、発熱の詳細な分子メカニズムは、現在のところ分かっていない。動
物における発熱には、「脱共役タンパク質」が関わっていることが突き止められているが、この
タンパク質は、発熱しない植物にも幅広く存在しており、ザゼンソウの発熱に関与しているかは
不明である。発熱時の悪臭と熱によって花粉を媒介する昆虫(訪花昆虫)であるハエ類をおびき
寄せると考えられている。全草に悪臭があることから英語では Skunk Cabbage(スカンクキャベ
ツ)の呼び名がある。



一つの肉穂花序には約100個の小花(両性花)がある。個々の小花は雌性先熟の開花システムを
持ち、雌性期(雌蕊のみが成熟して露出した期間)と短い両性期(雌蕊と雄蕊が同時に露出する
期間)を経て、雄性期(雄蕊のみが露出した期間)の順で性表現を変える。花序での発熱は雌性
期と両性期で顕著であり、雄性期に至ると急速に発熱は低下する。この植物は自家不和合であり
、昆虫などによる送粉(花粉の運搬)を必要とする。しかしながら気温の低い時期に開花するた
め、訪花昆虫の活動は低調であり、そのため種子の結実率は低い。多くの種子は野ネズミによっ
て食害されるが、一部は野ネズミの貯食行為によって運ばれる。種子はそれによって散布され、
被食を逃れて発芽することが出来る。このように、個ノマの小花は雌性先熟の開花システムを持つ。
発熱は雌性期と両性期で顕著であり、雄性期になると急速に低下すし、外気温か氷点下で仏炎萄
は凍結していても、肉穂花序は20℃前後に保てる能力を持つ発熱する植物――暖かい所を昆虫
に提供し、受粉の為の昆虫を呼び寄せる(虫媒花)で、花の温度を高めて、昆虫を呼び寄せる匂い
をより多く発散させ、低い気温から、雌しべの受粉器官を守り、雪がとけない今津の群生地では
風媒で繁殖するとのこと。またその分布は、北アメリカ東部(カナダのノバスコシア州とケベッ
ク州南部からアメリカ合衆国ミネソタ州にかけて、南限はノースカロライナ州とテネシー州)お
よび北東アジア(北東シベリア、中国北東部および日本)。

また、田中澄江が『花の百名山』で伊那山地の守屋山を代表する花の一つとして紹介し、『新・
花の百名山』で北信五岳を代表する花の一つとして紹介。守屋山の北側の長野県諏訪市の有賀峠
付近には「ザゼンソウの里公園」があり、兵庫県美方郡香美町では開花時期に合わせて、「ザゼ
ンソウ祭り」を開催する。さらに、19世紀米国の薬局方では、ドラコンティウム(dracontium)
の名で呼吸器系疾患、神経症、リューマチ、浮腫の治療に用いられた。北アメリカとヨーロッパ
では、しばしば観賞用植物としてウォーターガーデンに植えられている。北米先住民はザゼンソ
ウをよく薬草、調味料、魔術的なお守りとして用いた。日本のレッドリストの「分布上重要種」
指定を受けている。

 

❦ 発熱する植物          岩手大学教授 伊藤 菊一(きくかつ)

一般に植物の体温は外気温の変化とともに変動するものと考えられているが、驚くべきことに、
ある積の植物には、自ら発熱し、その体温を積極的に調節できるものが存在する。例えば、我が
国の寒冷地に自生し、早春に花を咲かせるザゼンソウ(Symplocarpus renifolius Schott ex Tzvelev)
は氷点下を含む外気温の変動にも関わらず、その体温を20℃内外に維持できるサトイモ科の発熱
植物である。

このような発熱植物の最初の記述は、今からおよそ200年以上も前のフランスの博物学者ラマルク
(Jean-Baptistede Lamarck)によるヨーロビアン・アルム・リリーに関する報告である、その後、
ヒトデカズラ、ザゼンソウ、ソテツ、ハス、デッドホースといった発無能力を有する捨物が発見
され、「発熱捨物」とでも呼ぶべき-・群の植物の存在が明らかになりつつある。

 Apr. 23, 2015

○ザゼンソウの発熱現象-一一生物進化の過程で獲得した巧妙な仕掛け引仕組み

ザゼンソウは、北米太陰東部および北東アジアに分布するサトずモ科に属する多年生横物である
本植物は湿地に群落を形成して自生し、その地上部には√サトイモ科に特徴的な仏炎芭と肉穂花
序と呼ばれる器官を有している。これまでに、サーモグラフィーによる温度解析から本縫物の肉
穂花序が特異的に発熱していることが判明している(図1A)。ちなみに、ザゼンソウと同様、
湿地に自生し早春に花を咲かせるミズバショウもサトイモ科に属する縫物であるが、ザゼンソウ
のような発熱現象は観察されない。植物分類学においては、ミズバショウはザゼンソウに最も近
縁の植物種であると信管づけられているが、その発熱能力に大きな差異があることは非常に興味
深い。また、ザゼンソウはサトイモ科の植物に見られる“雌雄異熟”と呼ばれる特徴を示す。こ
れは、自家受粉を避けるため、雌期と雄期が時期的に分けられていることを指すが、非常に興味
深いことに、ザゼンソウの肉穂花序における発熱は、雌期にのみ観察され、その体温は氷点下を
含む外気温の変動にもかかわらずほぼ20℃内外に維持されることが明らかになっている(図1B)。
また、-15℃の寒冷環境で発熱しているザゼンソウの発熱量を他の生物と比べてみると、その発
熱量は、飛行中のハチの筋肉や、ハムスターの発熱組織(褐色脂肪組織)と比較できる程である
(図2)。

このようなザゼンソウの発熱の意義については、(1)開花・受粉プロセスの低温障害からの回
避、(2)寒冷環境における肉穂花序の生育の促進、(3)訪花昆虫を誘引するための揮発性物
質の効果的拡散、等の仮説が提案されている。これまで国内外で報告されている発熱桶物の中で
外気温度が氷点下まで低下するような寒冷環境下で積極的に発熱し、かつ、その体温を自立的に
調節できる但湿性を有する植物は、ザゼンソウ以外には例がない。従って、木棺物の発熱現象に
は、生物進化の過程で獲得した温度制御システムに関する巧妙な仕掛け・仕組みが含まれている
はずである。



● ザコザゼンソウ発熱制御システムの理解に向けた研究戦略

上述したように、ザゼンソウの発熱植物としての特徴は、①寒冷環境における高い発熱能力、お
よび、②外気温の変動にもかかわらずその発熱器官である肉穂花序の温度を一定に保つ恒温性、
にある。これらの特徴を考慮した上でザゼンソウの発熱制御システムをモデル化したものが以下
の図である(図3)。ザゼンソウの発熱器官である肉穂花序は外気温の変動にも関わらずその体温
を20℃内外に維持するが、このような恒湿性に関わるメカニズムにおいては、外気温の変動をモ
ニタリングする温度センサーに相当する機能が必要である。あるとともに、その発熱レベルを制
御する発熱装置が内在していることがえられる。また、環境温度変化から生じる熱情報に基づい
て発熱量を調節するタイミング等を統御するザゼンソウ型“温度制御アルゴリズム(算法)”と
でも呼ぶべき制御プログラムが存在していることが推定される。これらの3つの因子、すなわち
“温度変化モニタリング≒“発熱装置”、および、“温度制御アルゴリズム”が有機的に連携す
ることにより、本植物の恒湿性が保証されていることが予想される。以下、それぞれの機能に関
する最新の知見を説明するとともに、これらの機能の応用の可能性についても論じてみたい。

●ザゼンソウは鋭敏な温度モニタリングシステムを有している

群落地に自生しているザゼンソウの肉穂花序の温度は、気温の低下とともにある種の体温振動を
示す(図4A)。肉穂花序の温度データを用いたフーリエ変換による周波数解析を行うと、肉穂
花序の体温はほぼi時間を周期として規則的に振動していることが明らかとなった(図4B)。
興味深いことに、群落地から人工気巣窟に移し、気温を一定に保った条件では、このような体温
の振動現象は観察されない(図5A)。この結果は、外気温の変動が肉穂花序における体温振動の
引き金になることを示唆している。


しかしながら、一過的に外気温を変動させる条件においても肉穂花序における体温振動は観察さ
れないことから(図5B)、外気温そのものの変化が体温振動を誘導しているのではないことが示
唆された。それでは、肉穂花序の体温振動はどのようにして発生するのであろうか?この問いに
対する答えは、人工気象室の気温をステップ的に上下させ、肉穂花序の温度をモニターするという
極めて単純な実験から明らかになった。すなわち、ザゼンソウの肉穂花序は、外気温の変化を直
接的に認識しているのではなく、外気温の変化に伴う肉穂花序そのものの温度変化をモニターし
てその発熱量を調節していたのである。つまり、外気温か変動しても、肉穂花序自身の温度が変
化しなければ、体温振動は発生しないが(図5B)、外気温の変動とともに肉穂花序の温度が変化
するような場合には、必ずほぼ1時間を周期とする体温振動が観察された(図6AおよびB)。

興味深いことに、このような肉穂花序の体温変動に対する発熱応答は、肉穂花序の体温が低下あ
るいは上昇するいずれの場合においても、ほぼ同様のカーブが描かれることから(図6Aおよび
B)、肉穂花序における温度変化のモニタリングとその後の発熱応答のプロセスは、定量的な関
係にあることが明らかとなった。それでは、肉穂花序が自らの体温変動をモニターして、その発
熱量を制御できるのであれば、肉穂花序は一体どの程度の温度差を認識できるのであろうか?こ
れは、植物の温度センサーとも呼べる因子の“闇値”の問題である。

肉穂花序で観察されるほぼ].時間を周期とする体温振動は、肉穂花序の温度が0,6℃上昇あるい
は低下した際に明確に観察される(図6AおよびB)。この実験において用いた温度センサーの
精度が土O、3℃であることから、肉穂花序は±0.9℃の温度変化に応答してその体温を制御してい
ると考えることができる。この結果は、ザゼンソウが極めて鋭敏な温度センサー分子を有してい
ることを示唆している。現在我々はこのセンサー分子の検索を進めているところであり、近い将
来、ザゼンソウの有する鋭敏な温度モニタリングシステムを分子レベルで説明できるものと考え
ている。



●ザゼンソウから得られた新しく有用な発熱遺伝子

上述したように、ザゼンソウは精密な温度モニタリングシステムを有しており、これが本植物の
優れた温度調節機能を保証していると考えられるが、一方で、本植物が有する高い発熱能力も見
逃すことができない。一般に、ヒトを含む哺乳動物においては、“非ふるえ熱産生”と呼ばれる
発熱現象が存在し、発熱担当細胞である褐色脂肪細胞のミトコンドリア内膜に存在する脱共役タ
ンパク質(UCP:uncoupling protein)が呼吸鎖によりプロトン濃度勾配として蓄えられたエネルギ
ーを熱として放逸することが知られている。一方、ザゼンソウを含む発熱植物におけるUCPの存
在は全く不明のまま残されていた。そこで、発熱している肉穂花序からUCP関連遺伝子をスクリ
ーニングしたところ、2種類の異なるUCP因子をコードする遺伝子の固定に成功し、それぞれ、
SfUCPaおよびSfUCPab)と命ることとした。興味深いことに、SfUCPa遺伝子は、哺乳動物のUCP
と同様の6回膜貫通型のUCP分子をコードしていたが、SfUCPabは5番目の膜貫通ドメインが特
異的に欠失した新規の蛋白質をコードしていることが明らかとなった(図7)。これまで報告さ
れているUCP分子の中で、5番目の膜貫通ドメインを欠くようなUCP分子はザゼンソウから得ら
れたSfUCPbが初めてである。

また、ザゼンソウにおけるSfUCPaおよびSfUCPb遺伝子の発現および機能を検討したところ、発熟
している肉穂花序において主に発現している分子は新規因子のSfUCPbであり、その脱共役活性も
SfUCPaより高いことが明らかとなった(表1)。

このように、寒冷環境下で高い発無能力を有するザゼンソウにおいては、従来、哺乳動物で報告
されているUCP分子種とは異なる構造を有する蛋白質をコードする発熱関連遺伝子が存在するこ
とが明らかとなったわけである。これは、まさに、寒冷地にひっそりと自生している野生植物に
こそ、有用な遺伝子が眠っていることを示す一つの証左と言える。現在、6回膜貫通型UCP分子
の第5番目の膜貫通ドメインが欠失した蛋白質において、その脱共役活性(発熱誘導機能)が増
大する詳細な分子メカニズムの解析が進行中である。

●1時間周期の温度制御アルゴリズム

これまでに述べてきたように、ザゼンソウの温度制御システムは、およそ1時間を周期とする規
則的な体温振動により制御されている。このユニークな制御システムの中には、±0.9℃の温度変
化に応答する鋭敏な温度センサやザゼンソウ型UCP分子とでも呼ぶべき新しい発熱因子(SfUCPb)が含
まれている。以上の点を考慮して、現在我々は、問題とするザゼンソウの温度制御アルゴリズム
について、“時間軸依存型体温振動モデル”と名付けた新しいモデルを提案している(図8)。
このモデルにおいては、温度センサーが常時肉穂花序の温度変化をモニタリングしており、肉穂
花序の温度が閥値(±0.9℃)以上になった場合には、その情報がSfUCPbを含む一連の発熱装置の
活性を制御してその体温を一定に保とうとするレすなわち、およそ1時間を周期とする体温振動
プロセスにおいては、体温のモニタリングと、発熱レベルの制御という2つの素過程が含まれて
いることになる。そして、最終的には、何回かの体温振動の結果、肉穂花序の体温変化が闇値未
満になった際には、その発熱レベルが一定になり、体温が安定することになる。

現在のところ、1時間を周期とする肉穂花序における計時システムには不明な点が多いが、この
体温振動周期は、これまで報告されているおよそ24時間を周期とするサーカディアンリズムなど
とはその振動周期が全く異なることから、未知の計時システムが存在している可能性があり、今
後の大きな研究課題である。また、ザゼンソウの体温制御システムの特徴は、その発熱器官であ
る肉穂花序が、温度センサー器官としても機能していることである。我々哺乳動物における体温
調節は、交感神経系を介した制御下にあることが知られているが、神経系を待だない植物におい
ては、個別の器官あるいは細胞が独立して環境変動に対する応答を行っている可能性が高い。し
かしながら、もちろん、この問題については、発熱細胞レベルでの温度応答メカニズムを明らか
にすることが必須であり、今後さらなる研究の深化が必要である。

 ●「発熱モデル植物」としてより一層の戦略的な研究開発を

上述したように、これまで研究対象としてあまり顧みられることのなかった野生植物であるザゼ
ンソウは、予想外に鋭敏な温度センサー機能を有しており、また、その熱産生の原因蛋白質の一
つと考えられる高い機能活性を有するUCP分子の構造にもユニークな特徴が認められる。さらに、
これらザゼンソウ型体温調節システムの構成要素を統御する計時機構と関連した制御アルゴリズ
ムの存在が推定される。これらの特徴は、各種産業あるいは国民生活への貢献という視点からも、
大いに価値があるものと考えられる(図9)。すなわち、現在、温度制御に関わる工学的なデバ
イスにはPID制御と呼ばれる比例・積分・微分的計算に基づいた制御システムが汎用されている
がザゼンソウ型アルゴリズムにおいてPID制御方式に比べて大きなメリットが見出されれば、生
物の機能を模倣した革新的な熱制御技術に発展する可能性がある。我々は既にザゼンソウから抽
出・再構築した制御アルゴリズムを搭載した工学的制御装置の開発に成功しており、現在、岩手
大学21世紀COEプログラムにおける農工連携研究により、精力的な研究開発の推進を図っている
ところである。また、ザゼンソウから得られた新規UCP分子の構造から推定される基本的な特徴
は従来型UCP分子と比較して、生体内エネルギーを熱エネルギーとしてより効率良く変換する機
能を有する点にある。従って、本分子の馥能特性の利用により、低温回避作物の分子育種や肥満
等の医療分野における応用展開なども考えられ、関連する研究を進めているところである。さら
にザゼンソウが持つ高感度の温度センサ分子の同定や体温制御に関わる計時機構の分子メカニズ
ムなど、基礎研究としても非常に魅力的な課題である。

ザゼンソウは我が国の寒冷地ではそれほど珍しい植物ではない。しかしながら、これまでの国内
外における報告を見る限り、地球上に自生する数ある植物の中で、寒冷環境で発熱し、かつ、そ
の体温を調節できる植物は、ザゼンソウ以外には報告例がない。また、地球レベルでの本植物の
分布も、北東アジアおよび北米大陸東部に限局されていることから、本植物は、単なる山野草と
しての位置づけではなく、「発熱モデル植物」としてより一層の戦略的な研究開発を行うべき有
用資源植物であることを強調して本稿を閉じたい(2005.10.25)。

 ざぜんそうの里 きつねうどん 4百円

  日本基督教団今津教会

 

 Feb. 1, 2018

● iPhone7習得日誌

ロングドライブ用にと車載充電器を通販で取り寄せ試用(70%→100%までの高速充電)、
なるほど早い。それではと、モバイル型プロジェクタ(上写真)を物色する、これは内緒。

 


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