Quantcast
Channel: 極東極楽 ごくとうごくらく
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2435

春の心はのどけからまし

$
0
0

      
                                     

7 軍  争

つまり戦闘の心得である。この場合も「正」と「奇」の組合せ、「静」と「勣」の運用によ
って、合理的に勝利することが強調される。

「民の耳目を一にする」

古来の兵書に「多数の兵士を統率するには、口でいっても聞こえないから合図の鳴物を使い
遠くからでは見えないから目印の施旗を用いる」とある。合図の鐘、太鼓、目印の旅旗とい
うものは、大勢の耳目を一つにするためのものである。これによって大軍を統一し、勇猛な
者でもひとりで抜け駆けすることを許さず、臆病な者でも勝手に追げだせないようにするの
だ。これが大勢の人間を統率する秘訣である。
鐘鼓や旅旗はまた別の用い方がある。すなわち夜戦には大いにかがり火をたき太鼓を打ち、
長唄には旅旗を多くたてるのだ。こうすれば味方は実際以上に多く見え、敵の耳目をまどわ
すことができ、敵の士気をくじき、とくに敵将の心理を撹乱することができる。

「敵を制御する四つの法」

人間の気分は、朝は精気がみちており、昼はだれ気味、夕方は休息を求めるものであるが、
士気もこれと同じように状況によって変化するものである。戦上手はこの士気の変化を見定
め、精気のみちた敵は避け、だらけたり士気の衰えたりしている敵を撃つ。これが「気を治
める」ということである。味方の内部を掌握しておいて敵の乱れを窺い、味方は静かに準備
しておいて敵が軽はずみにやってくるのを待つ。これが「心を治める」ということである。
地の利を得た場所に陣を布いて遠来の敵を待つ、余裕をもって敵の疲れを見守る、こちらは
腹いっぱい食べて敵の飢えを待つ。これが「力を治める」ということである。
十分な準備と自信をもって攻撃してくる敵、堂々たる陣を張って守る敵に対しては、正面衝
突を避け、奇策を用いて意表を衝く。これが「変を治める」ということである。

【樹木トレッキング 25:ソメイヨシノ】

世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし   在原 業平  

世の中に桜と云うものがなかったなら、春になっても、咲くのを待ちどおしがったり、散る
のを惜しんだりすることもなく、のんびりした気持ちでいられるだろうに。
If there were not anything called cherry blossoms in the world, even if it is spring, I will
be able to stay relaxed without waiting for blooming or forgetting to scatter.


散ればこそいとど桜はめでたけれ憂き世になにはひさしかるべき (反歌)

染井吉野(学名: Cerasus ×yedoensis (Matsum.) Masam. & Suzuki ‘Somei-yoshino’)は、エドヒ
ガン系の桜と日本固有種のオオシマザクラの雑種の交配で生まれた日本産の園芸品種のサク
ラ。遺伝子研究の結果、ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種が交雑してでき
た単一の樹を始源とするクローン。日本では、サクラは固有種を含んだ10類の基本の野生
種を基に、これらの変種を合わせて百種以上の自生種があり、さらにこれらから育成された
園芸品種が二百種以上あり、分類によっては六百種ともいわれる品種が確認されているが、
ソメイヨシノは明治の中頃からこれらの多品種のサクラのうち圧倒的に多く植えられた品種
であり、今日では、メディアなどで「桜が開花した」というときの「桜」はソメイヨシノ(
の中の、気象台が定めるなどした特定の株)を意味するなど、現代の観賞用のサクラの代表
種となっている。と、いうから複雑だ。

 

 

● 事件背景と告発の意味 11

第2章 信教の自由・プライバシーと監視社会-テロ対策を改めて考える   

第9節 新しい監督の仕組み――ムスリム監視に関する司法の取り組みを例に

青木 アメリカでは司法による監督の勤きも出始めています。ムスリムに対する監視をめぐ
る訴訟では、裁判所が新たな監督の枠組みを作る動きがみられます。

ムスリム監視事件の和解に盛込まれた警察の監視活動を監督するシステム

井桁 少し話を戻して、途中でマリコ・ヒロセ氏から、地元警察の監視活動に対する監督は
通常の法執行業務と異なるため容易ではないという話がありました。それとの関連で少し伺
いたいのですが、ニューヨーク市費が行っていたムスリムの監視に関しては、ひとつの訴訟
が和解で終結し、その際警察の監視活動を監督するシステムが盛り込まれたとも伺っていま
す。その点を少しご説明いただけますか。

 Jun. 4, 2016
Mariko Hirose

ヒロセ 和解はラザ事件という訴訟で取り交わされました。ラザ事件は、ムスリムに対する
監視プログラムについて提起された三つの訴訟のひとつです。三つの訴訟とは、私たちが提
起したラザ事件、ニュージャージー州で提起されたハッサン事件、そしてハンチュー事件で
す。
ハンチュー事件については少し解説が必要です。ハンチュー事件とは、1970年代に提訴
されたクラスアクション、すなわち原告が政治的信念や信仰に基づき自由な言論を行うすべ
ての人々を代表して起こした訴訟でした。ワイズナー氏が先ほど述べた通り、当時、ニュー
ヨーク市費が政治的な活動などを不当に監視していることが発覚し、裁判となりました。
1985年に和解により、ニューヨーク市費が監視捜査をする際には、政治的な言論の自由
を尊重しなければならず、そのための監督体制を作ることを約した合意が取り交わされまし
た。
2011年にAP通信によってムスリム監視の報道がなされた際、ハンチュー事件の代理人
は、和解当時の§意に基づき、詳細な情報を提供するようニューヨーク市費に対して申し立
てを行い、その後ムスリム・コミュニティに対する監視はハンチュー事件で取り交わされた
合意事項に違反するとして訴えを提起したわけです。裁判所によってハンチュー事件とラザ
事件は併合して審理されており、和解に際しても併せて協議されています。



井桁 警察のムスリムに対する監視活動に関して、どのような和解内容が盛り込まれたので
しようか。
ヒロセ いくつかあります。そのうちのひとつは、ニューヨーク市賢がウェブサイトに掲載
していた「西洋における過激化」(Radicalization in West)という報告書を削除するというもの
です。この報告書は、テロリズムの思想とイスラム教の信仰を危険な方法で混同させること
で、ムスリム・コミュニティにテロリスト予備軍の焙印を押すものでした(36)。ニューヨ
ーク市費は、今後のテロ捜査に当たってはこの報告書に依拠しないことを明らかにするべく、
ウェブサイトから報告書を削除することに合意しました。

もうひとつの重要な内容は、ハンチューハロ意で設けられた枠組みを強化することです。た
とえば、言論の自由や信教の自由に干渉する調査を開始する前に検討すべき考慮要素や、捜
査の手法ごと(37)の期間制限が設けられました。特筆すべき点け、捜査の開始の是非を決
定する委員会に、市民代表法律家(Civilian Representative)と呼ばれる民間の法律家が加えら
れた点です。これにより捜査プログラムの決定プロセスをモニタリングし、嫌疑なきムスリ
ム監視プログラムのような事態を防ぐことが期待されます。

井桁 ムスリム監視をめぐるもうひとつの訴訟であるハッサン事件についてもご説明いただ
けますか。
ヒロセ これはニュージャージー州で行われた訴訟です。ニューヨーク市費の監視プログラ
ムは、ニューヨーク市から川を挟んだニュージャージー州にも及んでいました。この事件は
第三巡回区連邦控訴裁判所において、訴えを却下していた原審を差し戻し、本案審理を求め
る素晴らしい決定が下されました。
連邦控訴審は、ニューヨーク市費の差別的捜査は具体的で審理に値するものであり、また宗
教に依拠した差別を行う際には極めて高度な正当化事由が必要であると判示しました。この
決定にあたって控訴審は、今回の監視プログラムが第二次世界大戦中の日系アメリカ人の強
制収容に酷似しているとして、私たちは過去と同じ過ちを繰り返すべきではないと判示した
のです。

井桁 テロ対策の必要性ということは考慮されなかったのでしょうか。
ヒロセ ニューョーク市警は、監視は宗教差別ではなくテロ対策を目的とするものであると
主張しました。これに対し裁判所は、テロ対策だとしても、宗教に基づきコミュニティすべ
てを監視した以上、宗教に基づく差別を禁止したアメリカ合衆国憲法の平等条項に違反する
疑いがあるとして、本案審理を進めるのに十分であると述べました。

 Hiroshi Miyashita

第10節 日本やEUの取り組み

井桁 ここまで主にベン・ワイズナー氏とマリコ・ヒロセ氏に、アメリカにおける監督のシ
ステムを伺いました。続いて日本やEUにおける監督システムを伺います。
宮下氏に伺います。日本では政府や警察による監視活動を制御するために、どのような監督
システムがあるのでしょうか。
宮下 国連が2013年12月に決議(38)をひとつ採択しております。デジタル時代のプラ
イバシー権という決議でありまして、これには日本も賛同しています。この決議は、スノー
デン事件を受けて行われたものです。決議内容には、国連のすべての加盟国は、監視活動に
対して独立して効果的な監督機関を設けるべきであるとする条項が含まれています。

井桁 これは国連総会決議ですか。
宮下 国連総会の決議です。その後、2014年には国連総会に報告書なども出されており、
国連の特別報告者という方も任命されております。この特別報告者が日本を含む各国の国連
決議の実施状況について調査しております。
では、日本の状況はどうでしょうか。日本の警察捜査機関の監視活動を監督する機関はある
のでしょうか。実はあるといえばあります。今年(2016年)の1月にできたばかりの個
人情報保護委員会です。委員長は堀部政男先生、私の恩師であります。堀部先生は、昨年(
2015年)のルイス・ブランダイス・プライバシー賞を受賞しておられます。今年のルイ
スーブランダイス・プライバシー賞受賞者は、国連の特別報告者であるケナタッチ教授です。
この個人情報保護委員会、今年の1月にできたばかりですので、チェック機能がどれだけ働
いているかはわかりません。

気を付けなければならないのは、この日本における監督委員会というのは、原則として、民
間部門による監視活動に間するものについてのみ監督を行っているということです。では公
的部門はどうでしょう。実は、ほとんどメディアで取り上げられておりませんが、つい先月
(2016六年5月)、センシティブな情報を保有する行政機関(警察、防衛、外務等)に
対し、個人情報保護委員会の監督権限を及ばせることを可能にするための、行政機関等の保
有する個人情報保護に間する法律の改正案が成立しました(39)。ところが、その法律の中で
は、あくまで匿名情報のみを監督することができるとされており、一般的な捜査活動に対し
ては監督活動が及ばないことになっております。国連の決議を履行するためには、すべての
行政機関に対して第三者の監督機能を特つことが必要だと思います。

脚注

(36)具体的には過激化に至る段階を以下の4つに分け、すべてのムスリムはいずれかのステ
ージにあるとしていた。ステージー1:前過激化(Pre-Radicalization)、ステージ2:自己規
定(Self-ldentification)、ステージ3:教化(lndoctrinatjon)、ステージ4:聖戦主義化(Jihadization)。
この理論に基づき、すべてのムスリムがどのステージにあるかを把握するために監視が正当
化されていました。日本語の文献としては、松本裕之『ムスリムの過激化対策を考える~ア
メリカでの実例、インタビューから~』警察楽論集65号7号102頁以下がある。

(37)和解ではテロ対策捜査を大きく、捜査の端緒(Checking of Leads)ゴ予備的調査(Preliminary
lnquiriesy)、本格捜査(Full lnvestigation)の三つの階層に分け、それぞれの段階でなしうる捜
査手法を細かく規定している。

(38)United NationsGenera1 Assembly,Resolution 68/167 The Right to Privacy in the DigitaI Age,
December 18, 2013.

(39)行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の剔出並びに
活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律(
平成28年法律第51号)。                 

                                   この項つづく

 No.186

【黒の革命篇:最新白金代替水素発生電極技術】

今夜は、最新全固体型電池技術を掲載する予定を変更して、太陽光発電などの再エネによる
最新水素製造技術を掲載することに。



先月30日、筑波大学数理物質系の伊藤良一准教授らの研究グループは、腐食耐性に優れ水素
発生効率の高い卑金属電極開発したことを公表。この卑金属電極は、白金などに代わる安価
な水素発生電極になることが判明。水素製造時における純度とエネルギー変換効率に優れて
いる固体高分子電解質膜(PEM)水電解に着目した(下記、特許事例2件参照)。この方法
は電極に用いる白金のコストが課題となってお、代替材料の研究を行ってきた。同グループ
は0.5Mの硫酸水溶液中で、グラフェンで卑金属表面を完全に覆う手法が報告されているが水
素発生能力が極めて小さいという課題があったが、今回、部分的にナノサイズの穴が開いた
グラフェンを用い、❶卑金属と水素イオンが直接接して化学反応を起こし、❷水素が発生す
る面積を最小限に抑えると同時に、大部分をグラフェンで覆うことにより、腐食を極めて小
さく抑えることのできる構造体にする(上図参照)。孔の開いたグラフェンで保護された多
孔質卑金属合金(ニッケルモリブデン多孔質体)は、化学気相蒸着(CVD)法で、ワンステ
ップ作製➲量産性に優れている。具体的には、超臨界水熱合成法を用いて合成した酸化ニッ
ケルモリブデンナノファイバーに、粒径20nmのシリカナノ粒子を混ぜて固めたシートを、
水素雰囲気下で加熱還元しながらナノ多孔質構造を形成➲グラフェンで保護していないニッ
ケルモリブデン電極と、ナノサイズの穴が開いたグラフェン/ニッケルモリブデン電極は、
白金/炭素(白金10wt%)よりも、還元電流値が大きくなり、水素発生能力に優れているこ
とが分かった。



また、電源のオンオフに相当する試験も行った。グラフェンで保護していないニッケルモリ
ブデン電極は、オンオフを1000回繰り返したところ、❶還元電流値はほぼゼロに減少し電極
も溶解。❷これに対して、ナノサイズの穴を開けたグラフェン/ニッケルモリブデン電極と、
マイクロサイズの孔を開けたグラフェン/ニッケルモリブデン電極も、還元電流値は減少し
たが、最大68%の性能値を維持していた。マイクロサイズの孔が開いた電極は溶出が激しく
溶解。これらの結果から、ナノサイズの孔のグラフェンで卑金属表面を保護すれば、寿命と
性能を両立できることを確認する。同グループによれば、今回の研究成果は水素発生電極に
加え、固体触媒や燃料電池用電極、スーパーキャパシター、蓄電池といったエネルギー関連
材料にも広く応用できる。

 

❏ 特開2016-204745  水素製造装置および水素製造方法 エクセルギー・パワー・
システムズ


【概要】

水素は、化学工業及び石油精製などに使用される工業ガスだけでなく、環境負荷物質を生成
しないクリーンエネルギーとして、水素エネルギーとして期待されているが、その製造方法
として、熱化学的方法と電気化学的方法がある。

❶熱化学的方法:水蒸気改質法、部分酸化法、自己熱改質法がある。水蒸気改質法は、天然
ガスやナフサなどの化石燃料を高温・触媒の存在する環境下で水蒸気と反応させて合成ガス
を得る方法である。例えば、石炭等の化石燃料を流動層によりガス化を行い、シフト反応で
水素ガスを生成する技術が広く知られている。また、赤熱したコークスに水蒸気を吹き付け
て一酸化炭素と水素ガスの混合気体を得る方法が知られているが、これらの方法は、半導体
の製造工程で必要とされる高純度の水素ガスを得るには適していない。 

❷電気化学的方法:電気エネルギーを用いて水の電気分解による水素を生成する方法がある。
中でも、太陽光、風力および水力等の自然エネルギーから得られた電力を利用して水素を製
造する方法は、二酸化炭素を発生しないため、環境負荷が一番小さいといわれている。電気
化学的方法は、従来から、➀アルカリ水電気分解法と➁固体高分子電解質水電気分解法があ
る。固体高分子電解質水電気分解法は固体高分子電解質膜中のプロトンの導電性を利用した
方法である。

一方、アルカリ水電気分解法は、電気エネルギー(電力)を化学エネルギー(水素または酸
素)に変換しているが、総合熱効率は低い。また、従来のアルカリ水電解法の場合は水素ガ
スの発生と酸素ガスの発生が同時に起こり、水素と酸素が同時に発生して、水素と酸素が混
合するおそれがある。さらに、アルカリ水電気分解法は、製造されるガスが、水素と酸素の
比率が2:1となるブラウンガスであり、取り扱いに安全性の確保が必要となる。この様な
問題に、水の電気分解で発生した水素ガスと酸素ガスの混合ガスから、ガス分離膜を利用し
て、水素ガスを分離する方法が提案されている)が、製造コストが高くなる。

高純度の水素ガス得る別法として、固体高分子電解質膜を利用した水素ガス製造装置が提案
されている。この方法は、固体高分子電解質膜の両面に白金系触媒を担持した多孔質炭素電
極を接合し、これを挟持する電極板に通電することにより、陽極側で純水が分解され、酸素
ガスが発生する。酸素ガスと同時に生成されたH+イオンは、電場の働きによって固体高分子
電解質膜内を移動して、陰極側においては電子を得て、水素ガスが発生する。この方法は熱
効率が高いが、触媒や電解質膜などの高価な材料を使用するため、高コストであり、装置の
大型化は難しい。

また、固体高分子電解質膜を備えた電解セルに電流を通電し、純水を電気分解して水素ガス
と酸素ガスとを製造する水素・酸素発生装置が提案されている。この装置によれば、純水製
造ユニットで製造された純水を電解セルの固体高分子電解質膜ユニットの陽極室に供給する。
このとき陽極室の圧力を陰極室と同程度の加圧状態とし酸素ガス溶解度を高水準に維持し、
これにより酸素発生量の少ない低電流負荷率運転時でも陽極室から取り出される水の酸素ガ
ス溶解度を高水準とし、酸素分離タンク内で水に溶解する酸素ガスの量を抑え、陽極室の内
圧低下を抑える技術が提案されている。

取り扱いに安全性の確保が必要性なブラウンガスが発生することなく、水素ガスと酸素ガス
を分離して、水素ガスを製造する方法として、固体高分子電解質膜を利用した方法が提案さ
れているが、固体高分子電解質膜を利用した電解セルは、高コストであるばかりでなく、水
素ガスと酸素ガスの圧力差が大きいと電解セルが損傷するおそれがあるり特に、低負荷運転
で電解セルの差圧が増大し、電解セルが損傷するおそれがある。

水の電気分解法は、水素ガスと酸素ガスを分離が電極間の距離が長くなり、電気抵抗が大き
く、電解電位が高く熱発生しエネルギー損失が大きくなる。また、大気圧下で電気分解する
と、水素ガスと酸素ガスは大気を押す仕事を行い、エネルギーロス(熱損失)を発生し、発
生する水素ガスが高圧力状態で保持されれば、水素ガスの利用に際して昇圧の必要がなく、
エネルギーロス防ぐことができる。撥水性樹脂を被着した水素吸蔵合金蔵を用いたニッケル
水素電池の技術が提案されているが、水素吸蔵合金表面が撥水剤により覆われると、電解液
由来の水素吸蔵合金の酸化が抑制され、電極の寿命は改善されるものの、この方法では、電
極と電解液との接触面積が少なくなるので反応が進まなくなり、反応効率が低下。また撥水
剤は電子導電性に乏しいため、電極の内部抵抗が上昇しエネルギーロスが大きくなる。

以上のように、寿命特性を向上させるために、出力特性を犠牲にしなければならず、出力特
性とサイクル寿命特性はトレードオフの関係にあったが、これらを課題整頓すれば次のよう
になる。

(1)水素ガスと酸素ガスを分離して、ブラウンガスの発生を抑えて安全性の確保を図りつつ高
純度の水素ガスを得ること。
(2)水素ガスと酸素ガスの使用状況(運転状況)に差が生じても、装置が損傷することがない
こと。
(3)エネルギーロスが小さいこと(効率が高いこと)。
(4)出力特性を維持しつつ、電極の長寿命化を図ること。

以上のことを踏まえ、下図のように第1電極と、撥水剤を塗布した部分を有する水素吸蔵合
金と撥水剤を塗布しない部分を有する水素吸蔵合金とを造粒した複合粒子を含んでいる第2
電極と、電解液とが密閉容器に収納されていて、電解液が電気分解することにより第1電極
から発生する酸素ガスと、第2電極から発生する水素ガスを個別に密閉容器から取り出すこ
とで安全性が高く、運転状況により損傷することがない、効率の高い水素ガスの製造装置を
提供できる。


【符号の説明】

1  水素吸蔵合金 2  撥水剤 5  造粒助剤 6  導電剤 7  複合粒子 10  水素製
造ユニット 11  陽極 12  陰極 13  隔離シート 14  密閉容器 15  電解液 
17  水素ガス流出口 19  直流 電源 25  調節弁 31  バッファータンク 34 
酸素ガス流出口 35  調節弁 36  電解液 37  気泡(酸素ガス) 50  電極スタック 51  正
極(第1電極) 52  負極(第2電極) 53  中間電極(第3電極) 54  セパレータ 55  交流電源
56  第1ダイオード 57  第2ダイオード 60  水素製造ユニット 61  密閉容器 63  電解液 64 
直流電源 70  ガス取り出し口 71  遮断弁 72  吸引ポンプ 73  貯蔵タンク 

【図3】本発明の第1の実施形態の水素製造装置の機器構成系統図
【図4】水素製造ユニットの構成を説明するための模式図
【図5】図3のバッファータンクの構成を説明するための模式図
【図6】電極の構成を説明するための図
【図7】電極の構成のバリエーションを説明するための図

尚、本件で使用される負極材料の水素吸蔵合金は、例えば、AB5型の希土類-ニッケル合金
で、MmNiCoMnAlのミッシュメタルを含んだ5元系合金、あるいは、超格子水素吸
蔵合金といわれるLaMgNi系などが例示されており、好適な水素吸蔵合金の表面に撥水
剤が分散配置構造(下図1)が例示されている。


さらに、負極材料のカーボン系導電剤添加の好適事例として、グラファイト、ソフトカーボン、
ハードカーボン、ガラスカーボン、アセチレンブラック(AB)、ファーネスブラック、チャ
ンネルブラック、サーマルブラック、ケッチンブラック(KB)、気相成長炭素繊維(VGC
F)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、活性炭、などが例示されている。

 ❏ 特開2017-210638 水電解用炭素触媒及びその製造方法、及び該炭素触媒を用
いた水電解用触媒インキ並びに水電解装置 東洋インキSCホールディングス株式会社





【概要】

水素は、化学工業及び石油精製などに使用される工業ガスだけでなく、環境負荷物質を生成
しないクリーンエネルギーとして、水素エネルギーとして期待されているが、その製造方法
として、熱化学的方法と電気化学的方法がある。
窒素を含有し、X線光電子分光法(XPS)によって測定した、触媒表面の全元素に対する窒
素原子のモル比をNとし、触媒表面の全窒素量に対する、XPSのN1sスペクトルのピーク
分離により求めたN1型窒素原子量の割合とN2型窒素原子量の割合の合計(%)を(N1+N2)
としたときの、表面末端窒素量{N×(N1+N2)}が1.0~13.0であることを特徴
とする水電解用炭素触媒より、コスト、資源量などの観点より使用量低減が求められる貴金属
触媒の代替として、高い電子伝導性及び比表面積の大きい炭素担体を含む安価な水電解用炭素
触媒、及び該炭素触媒を用いた水電解用触媒インキ並びに水電解装置を提供する。

 ● 今夜の一枚

4年後の2022年に、スタートアップオリオンスパン社は1人約10億円、12日間滞在の宇
宙高級ホテルを起動に載せたいと考えている。これは驚きだ。

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2435

Trending Articles