表があれば浦がある。陽があれば陰がある。その変化と発展の法則を見きわめることが勝利
への第一歩であろ。
「敵の来たらざるを恃(たの)むことなく、われのもって待つあるを恃む」
智者が方策を練る場合は、必ずアメとムチを使い分ける。アメで誘えばらくらくと目的を達
することができ、ムチを与えておけば、災いを未然に防ぐことができる。敵国を屈伏させよ
うとする場合にはムチを加え、疲れさせようとする場合は次々と事をおこして奔走させ、味
方につけようとする場合にはアメで誘う。つまり戦争に際しては、常にこちらの意のままに
敵を勁かすことが感荷である。戦争においては、敵が来ないであろうことを特みにするので
はなく、敵が来られないような、わが備えを恃みとすることである。敵が攻めないであろう
ことを恃みとするのではなく、敵に攻める隙を与えないような、わが備えを特みとすること
である。
※ここでは、「願望」と「備え」の「notA or B」の「不戦」「非戦」を能動的に行う第
三(オルタナ)の選択(日本国平和憲法)を備忘しておく。
【樹木トレッキング 27:オオヤマザクラ】
山越えて空わたりゆく遠鳴の風ある日なり山さくら花
第4章 プラザ合意は、日本を貶める罠だったのか?
第6節 冷戦で西側が勝利したのは、経済パフォーマンスの差
1985年にゴルバチョフがソ連共産党書記長となり、ペレストロイカ(政治・経済の立て
直し改革)を推進しますが、1989九年にはポ-ランド、ハンガリー、チェコスロバキア
などで共産党体制が崩壊,1989年ドイツ国民らもハンガリーなどから一斉に国境を越え
て西ドイツに脱出するようになり、1989年11月には東西ドイツを分断していた「ベル
リンの壁」が崩されることになります。そして同年12月、マルタ島でゴルバチョフ書記長
とアメリカのブッシュ大統領が会談し、第二次世界大戦以降、国際社会に大きな影響を与え
てきた東西冷戦が終結しました。
冷戦が西側の勝利に終わったのは経済パフォーマンスの差であった、といってもいいと思い
ます。資本主義国のほうが社会主義国よりも経済パフォーマンスが良かったために勝利した
のです。もし、資本主義国の経済パフォーマンスが悪く、失業者を増やしていたら資本主義
国が勝ったかどうかはわかりません。資本主義が積極的に勝ったというより、共産主義の経
済運営よりは効率が良く、失業者の増加も少なく抑えることができたため、負けずにすんだ
というのが実態でしょう。
資本主義は問題の多い制度ですから、運営がまずいと恐慌になってしまう可能性があります
。しかし、社会主義より修正が利きやすいので、うまく運営すれば社会主義より経済パフォ
ーマンスが良くなります。資本主義は100点ではないけれども、落第点ではないレベルで
す。社会主義と資本主義の違いは「ミクロ経済学の領域」への政府の介入の度合いの差です。。
官僚がミクロに介入して賢く運営しようとするのが社会主義です。一方、官僚はマクロのこ
とだけをやり、ミクロのことは分権化して市場に任せるのが資本主義です。
官僚が細かいことまで賢く運営するのは極めて困難です。どんなにスーパーマンのような官
僚でも、末端の取引のことまで全部わかるはずがありません。データを集めるだけでも大変
で、それだけで頭が痛くなってしまうような世界です。官僚がミクロのことまで全部取り仕
切ることはできないと考えて、分権して市場に任せるのが資本主義です。私はもともと理系
の人間なので、理科の法則で物事を考えます。社会主義がうまくいかないことは、物理の発
想で直感的にわかっていました。
物理学には、分子の1つひとつの動きをすべて運動方程式で記述できれば、世の中の物事が
完璧にわかるという「ラプラスの悪魔」という命題があります。頭の中で考えると実現可能
であるかのように思えます。しかし、現実には計算することが多すぎて、その命題を解くこ
とは実行不可能であることが証明されています,どんなに高速のスーパーコンピュータを使
っても時間がかかりすぎて計算できないのです。
また、物理学には「二体問題」というものもあります。2つの問題はうまく解くことができ
るのですが、3つ、4つと増えるにつれて計算がものすごく大変になり、三体問題、多体問
題は特別なケースを除いて解けないことがわかっています。
物理学では、すべてのことについての計算はできないので、全体のざっくりした法則を研究
対象とするようになりました。そのような物理学の法則を知っていましたので、経済学を最
初に習ったときに「社会主義はうまくいかないだろう」と感じました。左派経済学者の人た
ちは、物理学の法則はあまりご存知ないでしょうから、社会主義が可能であると思ったので
しょう。社会主義体制下で官僚がやるべきことは10個や20個