まず「地形」から説きおこしてはいるか、この篇名に、さしたる意味はない。後半は、敗北
の原因、将の責任と役割にふれている。
味方・敵・地の利
将たる者にとって、部下は赤ん坊と変わらない。そうあってこそ、部下は深い谷底であろう
と一緒におりて行こうという気持をおこすのである。将たる者にとって、部下は愛児と変わ
らない。そうあってこそ、部下は生死をともにしようという気持になるのである。しかしな
がら、部下を厚遇するだけで思いどおり使えず、可愛がるだけで命令できず、乱れていても
治めることができないならば、親が子供を甘やかしすぎるようなもので、戦争の役には立だなくな部
下を統率し、その力を把握することは、敵の力を知ることと同様、勝利の大きな要因である。部下の
実力を十分知っていても、敵のあなどりがたい力を認識していなければ、勝敗の確率は五分と五分
である。 敵の力は破り得るという自信があっても、わが部下の実力を十分に認識していな
い場合も同様である。さらに、敵の力は破り得るという自信があり、わが部下の勝つべき実
力を認識していたとしても地の利か悪いということを知らないならば、これもまた勝敗の確
率は五分と五分である。
戦上手は、敵、味方、地形、この三つを完全に掌握しているから、一度行動を開始すれば迷
うことなく、ことがおこっても決してたじろがない。敵味方、双方の力量を正しく量り、天
の時と地の利とを得て戦う者は、常に不敗である。
★この一節の前半は、前節からの脈絡がない。おそらく後世、混入したものであろうが、こ
れはこれとして「将と部下」という意味で示唆にとんでいる。
Wikipedia
【下の句トレッキング:みずにもやはき足裏はある】
ストローをためらひがちにのぼりくるみずにもやはき足裏はある 柳澤美晴( 『おやすみ、メアリー・スー』より)
❦ 主に二次創作で、もとの作品にはいないオリジナルキャラクターであるにも関わらず「優秀」
「特別」が行きすぎたキャラクターのことを「メアリー・スー」と呼ぶ。(作者の自己陶酔)Mary
Sue(メアリー・スー)とは、理想化されたオリジナルキャラクターを揶揄する語。
【黒の革命篇:最新高品位長尺グラフェンの連続製造プロセス技術】
4月17日、マサチューセッツ工科大学の研究グループは、高品位長尺グラフェン機能膜の
連続製造プロセスの開発したことを公表。この開発により、塩、より大きなイオン、タンパ
ク質またはナノ粒子を含む様々な分子などの濾過膜――グラフェンをシームレスにし、基板
を完全に覆い、高品位膜用途向――として脱塩、生物学的分離などに使用できる。
● 成長するグラフェン
グラフェンは理想的なろ過膜で、1枚のグラフェンは原子的に細い鶏籠網状の炭素原子がパ
ターン結合材料は非常に丈夫で、最小の原子のヘリウムも浸透できない。グラフェン膜を製
作し、所望の分子をろ過するサイズに調整する小さな穴/ナノ細孔制御技術開発――化学気
相堆積法では、最初に銅ホイルのサンプルを加熱し、炭素と他のガスの組み合わせを堆積さ
せ、グラフェン膜はバッチ方式で製造されているが、商用向けの製造方式にするには技術的
な課題を抱える。
薄膜の連続処理には工業的アプローチのロールツーロール方式と化学蒸着製造技術を組み合
わせ、高品位グラフェンを大量/高速製造する必要がある。このシステムは、小さな炉を通
過するコンベアベルトに接続された2つのスプールで構成。❶まず第1のスプールでは、幅
が1センチメートル未満の長尺銅箔ストリップを広げ、炉に入る段階で、ホイルは最初の1
本のチューブに送られ、次にスプリットゾーン・チューブに送られる。ホイルが第1のチュ
ーブを所定組成のメタンおよび水素ガス雰囲気の加熱処理することで、グラフェンは小さな島
状に形成開始しやがて一様となり連続シートを形成、オーブンの外に出るまでに、グラフェンは、ピ
ザの連続的なベッド状でホイルを完全被覆した状態される。❷次に、このグラフェンが炉を出ると
グラフェンは第2のスプールで連続的供給、毎分5センチメートル速度で高品位グラフェン
を製造(最長運転の約4時間で、最長約10メートルのグラフェン)。同研究グループは、
わたし(たち)が「作り込み」という作業を繰り返すことで好適制御条件を見出している。
Posted: Apr 18, 2018
● フレキシブルで工業的製造設計
次に、グラフェンをロールツーロール法で中間製品をハーバード大学で開発された方法でポ
リマーメッシュまたは支持体をエッチングし銅を除去する。また、メタンと水素ガスの成分
比率を変え、プロセス処理速度と相関を求め、電子アプリケーションから膜アプリケーショ
ンまで、グラフェンの調整操作に関して大きな柔軟性を見つける。今後、ロールツーロール
方式で、ポリマー鋳造や現在手作業で行われている工程を含め製造方法を確立する予定で、
エンドツーエンドプロセスとして、より多くのオペレーションを製造ラインに統合する必要
があり、グラフェン膜技術の信頼と関心が高まれば商品化できると期待を寄せている。
❑ A Scalable Route to Nanoporous Large-Area Atomically Thin Graphene
Membranes by Roll-to-Roll Chemical Vapor Deposition and Polymer Support Casting
※ACS Appl. Mater. Interfaces, 2018, 10 (12), pp 10369–10378 DOI: 10.1021/acsami.8b00846
Publication Date (Web): March 19, 2018
【要約】
グラフェンのスケーラブルで費用対効果の高い合成と統合は、ナノ多孔質原子状薄膜(NAT
M)などの大面積アプリケーションを実現する上で不可欠です。ここでは、ロールツーロー
ル化学蒸着(CVD)による大面積グラフェンの高速連続連続合成と、階層的に多孔性のポリ
マー支持体の鋳造とを組み合わせた、NATMの製造へのスケーラブルな経路を報告する。ま
ず2つのゾーンのロールツーロールグラフェンCVDリアクタを設計し構築した。グラフェン
CVDリアクタは、可動フォイル基板をアニーリングおよび成長雰囲気に順次露出させ、ゾー
ン間の鋭い等温遷移を行います。反応器設計の構成上の柔軟性により、グラフェンの品質に
影響を与える重要なパラメータの詳細な評価と、高速のロールツーロールグラフェン製造で
考慮すべきトレードオフが可能になります。このシステムでは、5cm / min以上の速度で均一
な高品質単層グラフェン(ID / IG <0.065)を合成します。最適化されたグラフェンから製造
されたNATMは、ポリマー鋳造および後処理を経て、従来合成されたグラフェンから製造され
た膜と同等の性能を有するサイズ選択的分子輸送を示す。したがって、この研究は、タンパ
ク質脱塩および小分子分離を含む用途のための、NATMのスケーラブルな製造プロセスの実
行可能性を確立する。
❑ High-speed roll-to-roll manufacturing of graphene using a concentric tube
CVD reactor
Scientific Reports volume 5, Article number: 10257 (2015) doi:10.1038/srep10257
【要約】
ロールツーロール化学気相成長のための同心管(CT)反応器の設計を提示する(CVD)によ
るフレキシブル基板への適用、および銅上のグラフェンの連続生産への応用ホイル。CTCVD
反応器では、薄い箔基材を内管の周りに螺旋状に巻き付け、同心管の間の隙間を通って平行
移動する。ベンチスケールのプロトタイプマシンを使用します銅基板上のグラフェンを25mm
/分~500mm / minとし、プロセスパラメータが均一性とカバレッジに及ぼす影響を調べる連
続的に動くフォイル上のグラフェン低速では、高品質の単層グラフェンは形成された;高速で
は、小さなグラフェンドメインの急速な核形成が観察されるが、凝集CTCVDシステムにおけ
る限られた滞留時間によって防止される。我々は、平滑な等温還元雰囲気と炭素含有雰囲気
との間の移行は、高品質のロール・トゥ・ロール・グラフェンに不可欠であるCVD。フォイ
ル品質と微細構造がグラフェンの均一性をどのように制限するかについて議論する巨視的な
次元。CTCVDのスケーリングと再構成の手段2次元材料製造の一般的な要件に基づく設計。
さて、どの程度の膜強度があるのかわからないが、まずは、半導体製造で使用する超純水製
造装置の機能膜に応用し、ゼロウェスト、省エネ、コスト削減ための研究をスタートさせた
たいね。
【関連資料及び特許事例】
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❑ US 9394174 B2 Alkyne-assisted nanostructure growth
【要約】
ナノチューブを含むナノ構造体の形成および処理に関する。いくつかの実施形態は、比較的
穏やかな条件(例えば、低温)を使用してナノ構造成長のためのプロセスを提供する。場合
によっては、本発明の方法は、ナノ構造形成の効率(例えば、触媒効率)を改善し、揮発性
有機化合物および/または多環芳香族炭化水素を含むナノ構造形成中の望ましくない副生成
物の生成を低減することができる。そのような方法は、ナノ構造形成に関連するコストを低
減するとともに、環境および公衆衛生および安全性に対するナノ構造製造の有害な影響を低
減することができる。
高橋洋一 著 『戦後経済史は嘘ばかり』
終 章 TPPも雇用法も、世間でいわれていることはウソだらけ」
第1節 自由貿易は戦争を「抑止」するものであり、止めるべきではない
これまで、戦後から平成までの日本経済の歩みについて、何か「間違った常識」で、何か「
物事を正しく見る眼」なのか、経済理論とデータ検証をベースとしつつ解き明かしてきまし
た。本書の最後に、現在も様々に取り沙汰されている2つの経済的事象について、経済史の
視点も交えながら考えてみたいと思います。テーマは「自由貿易」と「雇用問題」について
です。
最初に、「自由貿易」について見ていきましょう,
私がときに不思議に思うのは、我が国でよく「自由貿易」に対する反対意見が声高に叫ばれ
ることです。最近のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)反対の議論の中にも、ずいぷん
と理解に苦しむ論調を見かけました。
もちろん、「自由貿易」で自分たちの利益・権益が侵されるおそれを感じている人々は反対
するのでしょう。また、「プラザ合意はアメリカの仕組んだ罠だ」などということを真面目
に信じている人も、そういう陣営に与するかもしれません。どの国にも自由化反対論者はた
くさんいて、グローバリズムに対する根強い反対意見はあります。しかし、そういう人たち
は、自由貿易の歴史的背景や理論に触れたことがあるのでしょうか。ことに日本人は、戦後、
自由貿易の恩恵を大いに享受してきています。その日本人の1人として、歴史や理論を知っ
たうえで本当に「自由化反対」などといえるのか、どうにも不可思議に思えるのです。
歴史的に振り返って見ると、自由貿易が推進された理由は、戦争の抑止と密接に関連してい
ます。1929年の世界恐慌以降、世界経済はブロック化の方向に進みました。ブロックの
権益を守るため、ブロック問で摩擦や対立が起こりました。また、高い関税や資源の輸出制
限が掛けられ、それが第二次世界大戦につながった要因の1つと考えられています。資源を
持たざる国である日本は、このような経済状況に大いに苦しみました。戦争の反省をもとに、
世界の国々は貿易自由化を進めることになりました。戦後の貿易自由化は、経済目的で始ま
ったものというより、戦争を防ぐために始まったものなのです。そして実際に、2国間の貿
易が進み、相互依存が強くなるほど戦争の確率は低下してきたように考えられます。
私は「国際平和五角形(ペンタゴン)」と呼んでいるのですが、戦争を防ぐ国際平和の5要
件というものが示されています。
(1)同盟関係を持つこと
(2)相対的な軍事力
(3)民主主義の程度
(4)経済的依存関係
(5)国際的組織加入
これらの5要件はいずれも戦争を起こすリスクと関係があります。この中の(4)に、経済
的依存関係という要件が含まれています。私は国際政治研究のためにプリンストン大学に留
学していたときに、「民主主義国家同士は、稀にしか戦争しない」という民主的平和諭の権
威であるマイケル・ドイル教授(現コロンビア大学)から、次のような本があることを教え
てもらいました。ブルース・ラセット教授(エール大学)とジョン・オニール教授(アラバ
マ大学)によって2001年に出版された "Triangulating Peace”という本です。同書の中で
国際平和の5要件と戦争リスクの減少の関係が示されています。
リスク
(1)きちんとした同盟関係を結ぶこと 40%減
(2)相対的な軍事力が一定割合(標準偏差分、以下同)増すこと 36%減
(3)民主主義の程度が一定割合増すこと 43%減
(4)経済的依存関係が一定割合増加すること 33%減
(5)国際的組織加入が一定割合増加すること 24%減
貿易を進めることは(4)に該当します。経済的依存関係が増えると戦争リスクが43%減少
するというのです。このようなことを知れば、どんなに反対意見が強くても、貿易自由化は
止めるべきではないことが、よくわかります。自由化は戦争を抑止する方向に働くからです。
関税率を下げるとWin-Winになるのが経済学の常識 また、2国間の自由貿易が増えると、
両国に利益をもたらし、Win-Winの関係になる、ということは、経済学の中でも最も確度
の高い命題でもあります。摩擦が生じることはありますが、全体として見ればWin-Winで
すから、経済学者で自由貿易に反対している人はいません。
もちろん、Winの大きさは追います。日米貿易でアメリカのWinのほうが大きくて、日本の
Winのほうが小さいケースも、その逆も出てきます。しかし、日本がマイナスになることは
ありません。両者がWinになるというのは、自由貿易の定理のようなものです。
TPP交渉は関税率引き下げの交渉ですが、関税率を下げるとどうしてメリットがあるのか
は、経済学の理論を知ると理解しやすくなります。
まず、関税がかかっていないシンプルなケースを考えてみます。
図6を見て下さい。横軸のQは数量、縦軸のPは価格で、Dは需要曲線、Sは供給曲線です。
価格が下がるほど買いたい人が増えますので、需要の数量は増えていきます,需要曲線Dは
右府下がりになります。反対に、価格が上がるほど売りたい人が増えますので、供給量は増
加します。供給曲線Sは、右府上がりとなります。SとDの両者が交わった点が、取引され
る価格です。仮にこの価格をCとします,消費者の中には、Cより高い価格でも買ってもい
いと思っている人もいます,そういう人は、Cの価格で買うことができると「得」をします。
これを「消費者余剰」といいます。図でいうと、三角形A・C・Fが消費者余剰になります。
次に供給者のことを考えてみます。供給者の中には、価格Cよりも安い値段でも売ってもい
いと思っている人もいます。そういう供給者にとっては、価格Cで売ることができれば「得」
をします。これを「供給者余剰」と呼びます。図では、三角形C・E・Fが供給者余剰です。
消費者余剰(三角形A・C・F)と、供給者余剰(三角形C・E・F)を足した部分が、
この取引をすることによるトータルの利得です。では、関税をかけるとどう変わるのか(図
7)。図の供給曲線がSからS’の位置に移勤します。関税分だけ値段が上昇しているとい
うことです。
関税がかかったケースでは、消費者余剰と供給者余剰が変化します。消費者余剰は三角形A・
B・G、供給者余剰は三角形B・D・Gです。その下の平行四辺形D・E・H・Gの部分が
関税です。関税は国の取り分です。この取引によるトータルの利得は、三角形A・B・G(
消費者余剰)、三角形B・D・G(供給者余剰)、平行四辺形D・E・H・G(税金)の合
計です。さて、関税がかかつていないケースと、関税がかかっているケースのトータルの利
得の面積を比べてみて下さい。両者を比較すると、関税がかかっているケースでは、三角形
G・H・Fの部分だけ面積が小さくなっていることがわかります。この部分を「デッドウェ
イトロス」といいます。国全体のトータルではロスが出るということです。「デッドウェイ
トロス」の部分はどうしても取り戻すことができません。関税を課すことによって絶対にカ
バーできないロスが生じるのです。関税を引き下げれば、デッドウェイトロスの分を取り戻
せます。誰の利益になるかはわかりませんが、全体では利益が増えます。マクロで見ると関
税引き下げが必ず得をするというのは、この理論が根拠になっています。関税を引き下げれ
ば、得をする人もいますし、損をする人もいます。農業従事者にとっては大きな損失が出る
かもしれません。しかし、国全体で見ると、関税引き下げはデッドウェイトロスがなくなる
分だけ必ず得をするのです。
個々の利害関係者が集まって「私は得をする」「私は損をする」という議論を繰り返してい
ても、実りのある結論にはなりません。国全体のトータルで取り分を大きくしましょう、と
いうのが関税を引き下げていく自由貿易の考え方です。あとは、関税引き下げによって利益
を失ったり、失業したりする人に対して、どう手当てをするかです,全体のパイが増えるわ
けですから、消費者と供給者の両方から少しずつ税金をとって、困っている人に分配する方
法もあります。TPPについていえば、内閣立居は、政府統一試算としてマクロ経済効果を
3・2兆円としています。おそらく内開府は「デッドウェイトロス」の計算をしているのだ
と思います。そうでなければ、数値など出すことはできません。関税をかけることによって
発生するデッドウェイトロスがなくなることが、TPPのマクロ経済効果です。自由貿易の
公理のようなものですから、どんな反対論者でも、この理論を論破することは無理です。
如何なる自由貿易あるいは自由貿易主義なのかと突きつめれば、わたし(たち)はこのブロ
グでも掲載しているように「歴史的自由貿易主義」の立場にあり、「自由貿易」とは「共同
体間の相互協議貿易」のことをさし、高橋の主張するような数式(公式)主義(=観念主義)
ではないことを、また、現実的には覇権的な軍事的/財政的な力(=バイアス/不公正)が
伴なうこともここでは、まず表明しておき読み進めていこう。
この項つづく