『呉子』
春秋戦国時代に著されたとされる兵法書。武経七書の一つ。『孫子』と併称される兵法書。前四
世紀楚の宰相であった呉子の言を集録したものという。
2.治 兵(ちへい)
統率の原則はなんであろうか。部下が戦いやすいような条件を作ってやることであり、必死の気
持をおこさせることだ。
「人をして戦いを軽しとせしむ」
武侯がたずねた。「用兵の基本は何であろうか?」
呉起はこたえた。
「まず、四軽・二言・一信をきわめることであります。」
「それは何のことか?」
「地が馬を軽く感じ、馬が車を軽く感じ、車が人を軽く感じ、人が戦いを軽く感ずるようにしむ
ける。これが四軽です。
地形の険易をよく見極めて馬を走らせるならば、大地は馬を軽々と走らせてくれるでしょう。馬
の飼育を適切にするならば、馬は車を軽々と牽くでしょう。車の手入れをよくするならば、車は
人を軽軽と乗せるでしょう。同様に武器、武装を充実するならば、人は戦うことを苦にしません。
勝ち進めば重い賞を与え、敗退すれば重い刑罰を与える。そして、これの実施を保証するものは
あくまでも約束をたがえず、哀切らないという信である。これを二重・一信と申すのです。
これを実行すれば、勝利を得ることができます。」
状況管理 理想的な管理システムとは、人間を管理することではなく、人間が進んで勁くような
状況をつくりだすことだといわれる。この一節は、まさにそれである。勁きやすい条件の整備だ
けでなく、既述感、自発性など、「やる気」をおこさせる状況にはさまざまなものがある。、
連載が終了した『エネルギー革命元年』を最新事業開発の考察を継続しながら、新しい事業開発
の考察として『再生医療』の事業開発を掲載していくことにする。ところで、再生医療開発の考
察として『再生医療』の事業開発を掲載していくことにする。ところで、再生医療こと、再生医
学( Regenerative medicine)とは、人体の組織が欠損した場合に体が持っている自己修復力を上
手く引き出し、その機能回復の医学分野である。
No.6
【目 次】
・はじめに
・臨床ラッシュ 他人由来の細胞で治験へ 難病治療に広がる可能性/インタビュー 岡野栄之
(慶応義塾大学医学部長)/ロボットで脊髄損傷を治療 脳と神経のループを再構築
・パーキンソン病 インタビュー 高橋淳 京都大学iPS細胞研究所教授(神経再生学)
・3大疾病 がん 再生医療の「オプジーボ」? 免疫細胞を増強する新治療
・3大疾病 脳卒中 細胞が「薬」になって脳を刺激 慢性期脳梗塞の新治療法
・3大疾病 心筋梗塞 ヒトの「心筋」シート化 2018年度に治験開始へ
・毛髪再生 再生医療でフサフサ? 資生堂、京セラが参入
・カナダ・トロントリポート 官民の資金で成長後押し
・関連銘柄24 再生医療で広がる市場 迫る医療の「産業革命」
【3大疾病 心筋梗塞 ヒトの「心筋」シート化 2018年度に治験開始】
大阪大学の渾芳樹教授は他人のE-PS細胞で作製したシートで重症心不全患者を治療
する治験を2018年度に始める。渡辺勉(医療ジャーナリスト
心筋梗塞(こうそく)などによってダメージを受け心不全に陥った心臓を他人のiPS細胞(人
工多能性幹細胞)を使って治療する世界初の臨床試験(治験)を大阪大学大学院医学研究科心臓
血管外科の澤芳樹教授らのグループが2018年度にも始める計画だ。心臓移植や人工心臓でしか助
からない重症心不全患者にとって、体に負担の少ない治療法になると期待されている。
治験は心筋梗塞など虚血性心疾患によって心不全になった重症患者が対象になる予定だ。
澤教授らは京都大学iPS細胞細胞研究所から提供を受けた免疫拒絶反応が起きにくいiPS細
胞胞ストックを利用して心不全の再生医療に挑んでいる。すでに、心筋への分化誘導もでき、分
化誘導された心筋だけを取り出す精製技術も開発している。
「ハートシート」を応用
従来の太ももの筋肉細胞を使ったハートシートによる心不全の治療は、07年に臨床研究が始まり
、12年に医療機器メーカーのテルモが治験を開始。15年9月に再生医療製品として薬事承認され
て、16年1月から保険適用になった。高額医療制度の適用を受ければ教十万円で治療を受けられ
る。すでに50例を超える実績がある。人工心臓から離脱でき、日常生活を送れるまでに回復した
患者もおり、8割を超える患者の症状が改善している。
「なぜ、弱った心臓の機能を回復しているのかのメカニズムはよくわかっていない。私は『ハー
トシート』から弱った心筋を活性化する物質(サイトカイン)が出ていると考えている。機能が
弱ってしまった心筋や死んでしまった心筋を『復活』させているのではない」と、澤教授は「ハ
ートシート」の限界を指摘する。
一方、iPS細胞から作る心筋シートにも課題はある。免疫拒絶反応が起こりにくいiPS細胞
ストックとはいえ、拒絶反応は避けられない。有効な免疫抑制剤も数多くあるが、細胞移植に関
する拒絶反応の対応に関しては初の経験になるので、拒絶反応についての基礎研究も行っている。
また、シートの作製には教低徊の心筋の幼若縦胞が必要になる。再生医療製剤化には大量の細
胞培養技術を持ち、製薬の安全基準を満たす施設、システムのある大手製薬企業との連携が不可
欠で、3月中にも提携する予定だとしている。
❦ 5月16日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った「心筋シート」を重症心不全患者に
移植する臨床研究を厚生労働省が了承し、年度内にも実施される見通しとなった。再生医療の切
り札とされるiPS細胞の本格利用に向けた一歩となる。だが有効性や安全性、費用などの面か
ら、本当に実用的な冶療になるのかも問われ始めている(中日新聞、2018.05.17)。
❑ 特開2018-068165 細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方
法及びその装置
【概説】
新たな医療分野として再生・細胞医療が注目されており、骨、軟骨、皮膚等の比較的単純な構造
を持つ組織については、実用化され臨床応用の段階にまで進んでいるが、心臓、腎臓、肝臓等の
複雑な三次元構造を有し、多種細胞により組織化されている組織は、細胞を培養することのみで
組織化することが困難であり、実用化には至っていない。生体外で細胞を取り扱う場合、プラス
チックディッシュやガラスシャーレ等の培養容器を用い、二次元的に細胞培養を行う方法が一般
的である。一般的な接着性細胞である場合、細胞は培養容器に播種された後、培養容器へ接着し、
その後に伸展していく事で扁平な形状を示す。そして、その培養容器に細胞が接着していないス
ペースがある場合、細胞は成長や増殖等により、それらスペースを埋めるように二次元的に拡が
っていくが、生体は三次元体であり、三次元的に細胞培養を行う方法が望まれてきた。そこで近
年、細胞を三次元的に取り扱う研究が進み、いくつかの三次元培養方法が報告され始めた。
下図4のように、被覆細胞製造装置1は、内部で細胞の表面への被膜形成が実行される処理内槽
33を備える。処理内槽33の一部は液透過性膜37で構成されている。処理内槽33は、処理
外槽34に配置される。処理内槽33と処理外槽34との間には、貯液空間42が形成される。
貯液空間42には、液搬送部5によって処理液が供給される。貯液空間42に貯液された処理液
は、水頭圧によって、液透過性膜37を介して処理内槽33内に逆流する。このように、被覆細
胞の製造のような細胞の表面処理において、細胞へのダメージを低減し、細胞の回収率を向上し、
かつ表面処理品質を向上する。
【符号の説明】
1 被覆細胞製造装置 2 基台 3 液配置部 4 表面処理部 5 液搬送部 6 入出力
装置 7 制御装置 8 容器台 9 液温調ユニット 11a~11c 容器配置溝 12a~
12d ノズル退避溝 13a~13c 処理液容器 14 第1処理液 15 第2処理液
16 洗浄液 18 門型構造体 19 横梁部 20 X軸ステージ 21 X軸キャリッジ
22 X軸駆動部 23 Z軸ステージ 24 X軸キャリッジ 25 Z軸駆動部 26 ノ
ズルアタッチメント 27a~27c ノズル 28a,28b,28c 吸排ポンプ 31
揺動ユニット 32 処理容器 33 処理内槽 34 処理外槽 35 蓋 36 筒状部
37 液透過性膜 38 フランジ部 41 収容凹部 41a 周壁 41b 底壁 41c
拡大部 42 貯液空間 43a,43b 隙間 44 支持部 45 外側給液口 46 内
側給液口 47 給液路 48 排液口
❦ WO2016/076368 心筋細胞シート テルモ株式会社他
❦ 特開2016-096732 シート状細胞培養物の製造方法 テルモ株式会社
No.198
【ソーラータイル事業篇:最新太陽電池技術】
❏ 特開2018-085497 光電変換素子 ペクセル・テクノロジーズ株式会社
【概説】
今回は、有機無機混成ペロブスカイト系太陽電池の最新技術を掲載する。周知のように、太陽電
池は固体型太陽電池のpn接合型が商品化され広く市場で使用されている。このpn接合型太陽
電池は、❶シリコン結晶や❷アモルファスシリコン薄膜、❸非シリコン系の化合物半導体の多層
薄膜が用いているが、これらは、高温/真空下で製造し製造コストダウンに限界があり、低温で
より低コスト化望まれている。その有力な候補として色素増感型太陽電池――透明導電性基板上
に形成された二酸化チタンナノ粒子を代表とする金属酸化物半導体ナノ粒子からなる多孔質半導
体微粒子層に、増感色素を担持させた光作用極基板(光電極)と、導電性基板上に白金などの対
極層を形成した対極基板(対向電極)とを互いに対向させて配置し、該基板間に電解質溶液を満
たし、電解質溶液を封止した構造――があるものの、液体電解液を使用し、増感色素として有機
色素/有機金属化合物のルテニウム色素を使用するために過酷な環境下では十分な耐久性が得ら
れない問題がある。
一方、電解液/増感色素を使用しない有機薄膜太陽電池もあるが、色素増感型に比べて光電変換
効率が低く、耐久性に懸念や、製造の工程が煩雑で製造工程の簡略化必要である。また、有機無
機ペロブスカイト化合物/無機ペロブスカイト化合物は、光吸収材として色素増感太陽電池と同
じルテニウム色素を多孔質半導体微粒子(酸化チタン)層に吸着させているため、色素の脱着や
分解に起因する太陽電池の耐久性に難をもち、有機無機ペロブスカイト化合物型も色素増感型と
同様に電解液を使用し耐久性が得られない。さらに、多孔質半導体微粒子層に有機無機ペロブス
カイト化合物を吸着させ、電解液も有機系色素も使用しない固体型光電変換素子が開示されてい
るが、多孔質半導体微粒子層がn型で、有機無機ペロブスカイト化合物がp型となる太陽電池と
考えられ、低コストで耐久性も改善できるが、光電変換素子層構成の簡略化する必要がある。
次に、多孔質半導体微粒子層を用いず、n型として有機無機ペロブスカイト化合物、p型として
無機ペロブスカイト化合物を接合した固体型が開示されているが、物理接合の光電極/対向電極
で太陽電池の耐久性に難がある。また、一対の透明電極基板間に強誘電体のチタン酸ジルコン酸
鉛ペロブスカイト酸化物単層の太陽電池が開示されているが、強誘電性を示すペロブスカイト酸
化物は可視光を吸収せず光変換効率が低い。また、太陽電池構成は単純だが、常温製造でない真
空製造するため製造コストが高くなる。この様に、従来の有機無機ペロブスカイト型光電変換素
子は、変換効率や耐久性の向上は認められるもののコスト面に難がある。さらに、最後に金ある
いは銀などの対向電極を蒸着で付与し組み立てているが、光電極と対向電極を物理的重ね合わせ
のため信頼性に問題をもつ。
【要約】
下図のように、少なくともどちらか一方が透明である対向する導電層2を有する光電極基板1と
導電層2を有する対向電極基板1とその間にハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を構
成要素とする光電変換層4を有するペロブスカイト型光電変換素子において、ペロブスカイト型
光電変換素子が少なくとも一層の接着層5を有する。ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化
合物が一般式R-M-Xn(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子またはカル
コゲン原子、nは整数である。)で表されるペロブスカイト構造にすることで、構造的にも単純で
製造コストが安い光電変換素子の作製が可能となる。また優れた光電変換効率を有し、耐久性に
も優れた光電変換素子を作製することが、さらに、大面積のセルやモジュールあるいは太陽電池
の製造が可能となる。
【符号の説明】
1 電極基板 2 導電層層 3 バッファ層 4 光電変換層 5 接着層 6 正孔輸送層
7 微粒子層 8 導電性光電極 9 導電性対向電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくともどちらか一方が透明である対向する導電層を有する光電極基板と導電層
を有する対向電極基板とその間にハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物又はハライド系
有機無機混成ペロブスカイト化合物とハライド系無機ペロブスカイト化合物からなる光電変換層
を有するペロブスカイト型光電変換素子において、前記ペロブスカイト型光電変換素子が少なく
とも一層の接着層を有することを特徴とするペロブスカイト型光電変換素子。
【請求項2】前記接着層が、少なくとも一種類のポリマー、重合性モノマー及び/又は重合性オ
リゴマー化合物およびこれらの混合物から選ばれた接着剤を含有する接着層であることを特徴と
する請求項1に記載のペロブスカイト型光電変換素子
【請求項3】前記接着層が、少なくとも一種類のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物
無機ペロブスカイト化合物または正孔輸送化合物を含有する接着層であることを特徴とする請求
項1または2に記載のペロブスカイト型光電変換素子。
【請求項4】前記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物が一般式R-M-Xn(但し、
Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子、nは整数である。)で表
されるペロブスカイト構造を有することを特徴とする請求項1~3に記載のペロブスカイト型光
電変換素子。
【請求項5】前記ペロブスカイト型光電変換素子が少なくとも一層の導電層、及び/又はバッフ
ァ層及び/又は電子輸送層を有することを特徴とする請求項1~4に記載のペロブスカイト型光
電変換素子。
【請求項6】前記ペロブスカイト型光電変換素子が少なくとも一層の導電層、及び/又は正孔輸
送層及び/又はバッファ層を有することを特徴とする請求項1~5に記載のペロブスカイト型光
電変換素子。
【請求項7】前記ペロブスカイト型光電変換素子の導電性材料が、金属化合物、金属酸化物、有
機導電性化合物から選ばれた導電性材料であることを特徴とする請求項1~6に記載のペロブス
カイト型光電変換素子。
【請求項8】前記ペロブスカイト型光電変換素子が、光電極基板、導電層、バッファ層、電子輸
送層、微粒子半導体層、少なくとも一層のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物を有す
る光電変換層、正孔輸送層、導電層、対向電極基板が順次積層されたペロブスカイト型光電変換
素子であり、前記ペロブスカイト型光電変換素子が少なくとも一層の接着層を有することを特徴
とする態様1~7に記載のペロブスカイト型光電変換素子。
May 9, 2018
【オーストラリアで訓練中のオスプレー墜落事故調査報告】
2017年8月5日に発生したオスプレー(MV-22)墜落事故(オーストラリアのクイーンズランド州
沖での海兵隊員海兵隊3名死亡――2017年8月5日、第31海兵機動展開隊VMM-265に所属する米海兵
隊のMV-22オスプレイ1機が、オーストラリア東海岸のショールウォーター湾で強襲揚陸艦USSボ
ノム・リシャール(LHD-6)から離陸後に墜落した。23名は救助されたが3名が行方不明となった
―の調査報告がなされた。
Wikipedia
訓練中に水陸両用のドック・グリーン・ベイの右舷に当たり9分後海底(180フィート)に沈ん
だ。死亡事故の原因はオスプレイーの着艦操作過程の危険事象と事故発生時の緊急脱出訓練の欠
如にある。前者はオスプレー固有のホバリング時の2つのローターブリードアンバランスにあり、
後者は、訓練機会のアジャストメントの義務化にある。いずれにしろオスプレーの見直しが前提
になると考えるがいかに。
『洋楽篇:朱夏に天命帯びぬミレニアム』
Everything You Want – Vertical Horizon
Breathe – Faith Hill
Knew I Loved You – Savage Garden
I Try – Macy Gray
Back Here – BBMak
I Need You – LeAnn Rimes
Blue (Da Ba Dee) – Eiffel 65
Take A Picture – Filter
Shackles (Praise You) – Mary Mary (Blocked)
Higher – Creed
Kryptonite – 3 Doors Down (Blocked)
There You Go – P!nk
Back At One – Brian McKnight (Muted)
Say My Name – Destiny’s Child
All The Small Things – Blink 182
That’s The Way – Celine Dion
Wonderful - Everclear
Meet Virginia – Train (Muted)
I Wanna Know – Joe
Absolutely (Story Of A Girl) – Nine Days
【下の句トレッキング:苦しと云はば人怪しまん】
君亡くて悲しと云ふを少し越し苦しと云はば人怪しまん 与謝野晶子『瑠璃光』
有島武郎は病没した妻の遺歌集を歌人としての与謝野晶子に贈り敬意と親しみを寄せた。晶子も
その誠意と作家の品格、高潔な人柄に惹かれ、書簡を通して思いを交わしあい、未知の世界を体
験するなか思慕の情を寄せる。ところが武郎は編集者波多野秋子と心中(「修禅する人のごとく
に世にそむき静かに恋の門にのぞまん/幾年の命を人は遂げんとや思い入りたる喜びも見で/蝉
ひとつ樹をば離れて地に落ちぬ風なき秋の静かなるかな」有島武郎/辞世の歌)。第二十歌集『
瑠璃光』には、武郎を偲び悼む挽歌十六首を収めているという(今野寿美「母性という基―晶子
の女性観・男性観」、歌壇、2018年5月号)。
生きむすべ安きをねがひらちもなき男と三とせそひぶして寝る 与謝野晶子『佐保姫』
晶子の女性観・男性観といったら、まず母、そして生涯の伴侶竟について思い巡らすほかない。
そう心得て廻らし始めたが、いくらか独特の母の存在は、実のところ晶子の人生すべてにわたっ
て根を張り、また晶子をそれなりに導いていたといえるのかもしれない。一説に、晶子が平常心
を失うかとばかりに鉄幹への思いを募らせるのを見かねて、母がそっと東京へ逃がしたのだとも
いう。わたし(今野寿美)は堺の人からそう聞いたと述べこのように結ぶ。