『呉子』
春秋戦国時代に著されたとされる兵法書。武経七書の一つ。『孫子』と併称される兵法書。前四
世紀楚の宰相であった呉子の言を集録したものという。
4.論 将(ろんしょう)
将には「死の栄」はあっても「生の辱」はない、とする法家・呉子のきびしい指導者論。それは
また敵の指導者を見抜くきびしい目でもある。
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武侯はたずねた。
第6章 中国産トマトも「イタリア産」に
第5節 イタリア、カンパニア州、サレルノ港
イタリアでは、食品業界で犯罪を噪りかえすマフィアが急増しており、これを示す「アグロマフ
ィア」という新語まで作られた。従来の活動では資金を稼げなくなってきたことと、2008年
のリーマンブラザーズの破綻による景気後退の影響で、アグロマフィアはここ10年で加速度的
に増えつづけている.イタリア検察庁内でマフィア取り締まりを担当する国家反マフィア局(D
NA)によると、2011年、マフィアの食品業界での活動の年間収入は125億ユーロに上っ
たという。これは全犯罪収入の5・6パーセントに相当する。2014年には、さらに154億
ユーロまで伸びている[13]。ある食品がスーパーで高く売られたからといって、その食品の原
材料を作っている生産者の収入が増えるわけではない。もうけているのは加工会社だ。それを知
っているマフィアは、原材料の農産物は生産せず、加工とパッケージングだけで多額の利益を得て
いる。そうやって、犯罪でもうけた莫大な資金を食品業界で洗浄しているのだ。
大手スーパーチェーンが求めているのは、とにかく安い商品だ、安ければ安いほどいい。アグロ
マフィアは、合法的に設立した企業を隠れみのにして、巧みに業界内部に入りこんでいく。そし
て、他社には決して真似できない破格の低価格で市場に商品を提供する。そのために、原価をぎ
りぎりまで低く抑える。資金洗浄のためならマフィアは手段を選ばないので、あらゆる手を使っ
て業界晨安値を実現させる。たとえば、不法労働者を安く雇ったり、製品を偽装したりする。や
がて市場はアグロマフィアの独壇場となり、マフィアの工場で次々と製品が生産される。
労働法を無視し、税金をごまかし、原材料表示や製品名を偽装しながら、加工食品を大量に生産
し、超低価格でどんどん商品を売りさばく。そうやって、マフィアは何百万ユーロという金を動
かしながら、資金洗浄を行なっている。大手スーパーは、そういう低価格の商品を店頭に並べて
販売しているのだ。
2014年、イタリア財務警察は、不正販売された食品を1万4000トン分押収した[14]。
そして翌年には、食品栗野で活動していた1000上の工場が閉鎖させられている。さて、ここ
で問題だ。南イタリアで生産されている製品で、財界でもっとも有名なものは何か? 19世紀
末にはすでにイタリアからアメリカに大量に輸出され、いまや世界中に流通しているものは何か
?イタリア系アメリカ人のマフィア映画の、ほとんどすべてに登場しているものは何か?
第5節
答えはすべて同じ。トマト缶だ。
現在、イタリアで生産された加工用トマトの60パーセントは国外に輸出されている。2016
年、国内の食品メーカーのために生産されたトマトは500万トン強で、うち44パーセントは
カットトマト缶、3Iパーセントはホールトマト缶に加工された[15]。いずれも主に南イタリ
アで生産されている。一方、濃縮トマトに加工されたのはわずか10パーセントだ。こちらは、
トマトビューレやトマトソースと同様、主に北イタリアで生産される。
南イタリアで行なわれている加エトマト事業は、主にふたつに分けられる。ひとつは、地元で収
穫されたトマトを使ってトマト缶(ホールトマト缶とカットトマト缶)を生産すること。そして
もうひとつは、中国産などの輸入濃縮トマトを一再加工」することだ。南イタリアでこれらふた
つの事業が生まれたことには、歴史的な背景がある。ホールトマト缶を作る過程では、加工され
た後のトマトの屑や、選別ではじかれた規格外トマトがどうしても出てくる。かつてモラルに欠
けたメーカーが、生産余剰トマトに屑や規格外品を混ぜてトマトペーストを作り、貧しい国に安
く輸出していたのだ[瓦]。その後、こうした屑を再利用することはなくなったという。だが、
南イタリアで輸出向けの粗悪なトマトペーストが作られていたのは事実だ。中国産濃縮トマトを
希釈したトマトペーストを輸出するようになったのは、そのときの名残と言える。
今でもナポリ近郊には、夏の収穫期はイタリア産トマトを使ってホールトマト缶を作り、農閑期
になると輸入濃縮トマトを一再加工」するメーカーがある。当然、農閑期に作られるトマトベース
ト缶にも「イタリア産一のラベルが貼られる。南イタリアのカンパニア州ナポリ近郊には、こう
して輸入濃縮トマトを再加工するメーカーがたくさん集まっているのだ。
この項つづく