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汲みて浸りて遊びきわれら

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『尉繚子』
紀元前三世紀、秦の始皇帝に仕えた兵法家・尉繚の説を収録したものといわれる。

2.兵  談(へいだん)
内部の結束を固めることこそ第一の要件であるという見地に立って、戦争についての一般論を述
べ、将帥たる資格・用兵の基本に論及する。篇名の「兵談」は「兵を論ず」の意。

勝つことと守ることは表裏一体
国都の建設は土地の地味をよく検討した上で決定すべきである。すなわち、城を築く際には、ま
ず地味、地勢等を考慮して、土地がらに相応した規模を決定する。城の規模が決定したなら、そ
の規模に対応する人口を収容する。城内の人口が決定したなら、その人口を毀うに足るだけの食
禄を確保するよう努める。城、住民、食禄、この三者が均衡よろしきを得ているなら、内部の結
束は曰く、戦っても敗れることはない。
勝つとは、外敵を打ち砕くことであり、守るとは、内部の結束を固めることにほかならない。
勝つためには、守りが万全でなければならぬ。また、守りが万全であれば、かならず勝つ。勝つ
ことと守ることとは、表裏一体の関係にある。

政治が勝敗を決定する
統率というものは、大地の底よりも奥深く、天空の高みよりも探り難く、けっして固定した形を
見せぬものだ。したがって、いったん兵を起こせば、大事においてはよく大に、小事においては
よく小に、千変万化してとどまることがない。
しかしながら、平時においては、法令禁制を明碩にし、人民を愛護し、耕地の開発を奨励するこ
とだ。国土が広く開発がゆきとどいていれば、国は豊かになり、人口が多く法制が整っていれば、
政治は安定する。国が豊かで政治が安定していさえすれば、あえて武力に訴えずとも、天下の諸
国はその勢威に服従するであろう。
「戦の勝敗を決定するものは政治である」といわれているのは、この理由に基づく。

戦争についての基本的な心構え
政治によって勝つのが、君主たる者の勝ち方である。交戦して勝つのは、将帥たる者の勝ち方で
ある。
戦争は国家の大事であるから、一時の感情に任せてこれを起こすことは、厳に慎まなければなら
ない。冷静に状況を判断して、勝算われにありと見極めれば起ち、われに利あらずと知れば退く
心構えこそ肝要である。
また、いたずらに戦争を長びかすことも、避けるべきだ。除かねばならぬ禍根が百里の近くにあ
る時は、疾風のように速やかに平定し、一日以上の日時を費してはならない。禍根が千里の遠方
にある際においても、戦争は一月の余にわたってはならず、はるかな辺境にある場合であっても、
一年を越してはならないのである。

将帥たる資格
次に、将帥たるべき資格を論じよう。つねに主体性を保ち、天文気象に支配されず、地形の不利
にも動揺せず、他人の意見に盲従せぬ人物、しかも寛大で感情に走ることなく、清廉で欲に目の
くれない人物こそ、将帥たるにふさわしい。
これに対して、精神は平衡を欠き、判断力乏しく、ひとの意見を徴する雅量を持たぬこと、これ
が将帥だりえぬ三大欠格条項である。

必勝の兵とは
次に、用兵について語ろう。軍の進学するところ、いかに曲りくねった難路であろうと、けわし
い坂道であろうと、意に介せず、山に上ろうが谷に下ろうが、これを踏破し、柏手が方陣であろ
うと円陣であろうと、撃破しなければならぬ。そのためには、軍は、山のごとく重厚に、柱のご
とく静粛に、江河の流れのごとき猛威を保ち、火の燃え拡がるがごとき敏速性と、すき開なく囲
らされた城壁のごとく、一面に垂れこめた雲のごとき迫力とを獲得しなければならない。
こうであってこそ、敵軍は、いったん集結すれば散開しようにも散開できず、いったん散開すれ
ば集結しようにも集結できず、左剔は左翼に、右翼は右真に、回着させられたままなす術も知ら
ぬ状態におちいるのである。これにひきかえわが軍は、全軍一体となって旋風のごとく敏郎を席
巻する。兵士は勇躍して気力に満ち溢れ、必勝の信念に衝き勁かされて堂々の決戦を挑むのであ
る。


【下の句トレッキング:汲みて浸りて遊びきわれら】

お茶の水あふるる水のそのほとり汲みて浸りて遊びきわれら   花山多佳子/『東京・吉祥寺』

夏草を指にまわして立つホームあなたが退きした時間を思う   萩原  伸/『八頭・丹比駅』



春ゆくどわが自転車に肩にふる黄砂、しみらに半島越えて 

歩み寄る板門店の空の下晴れわたりしや、休戦の日も

 男二人あそぶごとしよ。手をつなぎいくたび跨ぐ軍事境界線を 

半島に南北融和のきざしみゆ。二〇一八年春暮れながら 

核廃棄、核なき世どぞ今さらに聞き古したるコピーの文句 

あまさかる北緯三十八度線。けふよりはややあかるきひびき

父母兄弟ひき裂かれたる日月の何もていかに、つぐなふどいふ

ゆく春のひがなひねもす映像の、いつもおんなじ二人の笑顔

脱北に命落どせしたましひの癒ゆる日はなし。死語どなりても

拉致されて経る四十年。おどろへて待つ父母に永久なる、少女

日にちの動きにはかなる半島の わが拉致家族を置き去りにして

駅を出づれば降りはじめたり。半島に梅雨の走りどいふは降らぬか

中西洋子/『あそぶごとし』(「歌壇」2018年07月号)

※しみらに:終日

藍ふかき夜空にたかくひき絞る越中おわら男(を)盛りのこゑ   中西洋子/『渚の書』

  

 

【未来の仕事論Ⅱ:人工知能化の波 野外型農作業】

6月4日、11年に設立さrたスイス企業のecoRobotix社は、人工知能(AI)式除草ロボットで 
農家がより効率的/持続可能な除草剤の使用で、安全な食品生産支援する実証試験――❶人工知
能とロボットで除草剤を正確に噴霧し、従来の20分1に削減。❷太陽電池と蓄電池で無人で最
大12時間自律運転。❸軽量設計(130キロ)で、土壌圧縮を抑制し、堅牢性/信頼性に優れ
❹大幅な経費削減を実現できた。世界の除草市場は数十億ドルと見込まれてる――に成功した。
この事業は、1つの事例で、野外での種まき、植え付け、収穫、耕耘など自動化の応用展開がで
き。このため、労働力集約型の日本の農産物(林産物)の生産の生産性向上に貢献するものであ
り、営農/営林者の人口減少/高齢化対策にも貢献できる。このように考えれば、ロボテスクに
はじまる人工知能化はむしろ日本のような複雑な地形向きであるだろう。

 May 30, 2018

【サーモタイル事業篇:熱電変換性能最大化ナノ構造の設計法】

6月15日、東京大学らの研究グループは、機械学習により熱電変換性能を最大にするナノ構造
設計に成功する。環境発電などの応用に向けて、熱電変換への期待が高まっているが、変換効率
の向上には、電気伝導率とゼーベック係数が大きく、熱伝導度が低い材料が必要となる。ナノ構
造化により、これらの相反する要求の実現を目指した研究が盛んに行われていたが、これまでの
研究で、経験的に構造を選択、それを評価するアプローチが多く、構造を「最適設計」する手法
はなかった。機械学習と熱電物性計算を組み合わせることことで、パワーファクターの増大と熱
伝導度の低減を同時に達成して熱電変換性能を最適にするナノ構造の設計手法を確立。この手法
では、ベイズ最適化と熱電物性計算を交互に実施し、膨大な候補構造から熱電変換性能が最大に
なるナノ構造を高い最適化効率で決定できる。有望な熱電変換材料は広く研究されているグラフ
ェンナノリボンにナノ細孔を導入する問題を例にとってこの手法を適用したところ、パワーファ
クターの増大と熱伝導度の低減という、一般に相反するものを同時に達成できることを確認。得
られた最適構造は、ナノ細孔が非周期的に並ぶような非直感的なナノ構造であり、グラフェンナ
ノリボンの性能指数を大幅に向上できることを示す。



この手法は対象を選ばず、さまざまな熱電変換材料のナノ構造設計に適用できるため、今後の熱
電材料の開発における新たな手法として、その性能向上に貢献することが期待され、それにより、
低コストで高性能の熱電デバイスが開発され、環境発電などを通じて、スマート社会に必要不可
決な自立発電技術の発展をできるものと期待される。



【ソーラータイル事業篇:宇宙開発と軽量太陽電池パドル】

JAXAでは、太陽電池の研究開発30%以上の変換効率を有する「薄膜3接合太陽電池セルアレイ
シート」を開発。この薄くて軽くて効率もいい太陽電池セルを今までの重くて厚いアルミハニカ
ムパネルに貼り付けただけでは あまりメリットがないということで、さらに開発したのが出力
質量比150w/kgの性能をもつ軽量太陽電池パドル。薄膜3接合太陽電池セルアレイシート、フレー
ム型パネル、展開用ヒンジ、保持解放機構で構成されています。 軽量化を実現するためにこれ
らすべての部品を新規開発する。今は、この機構を軌道上で展開実験することを計画している。

今回搭載する軽量太陽電池パドルは、太陽電池セルアレイシートを障子紙のようにフレームパネ
ルに貼り付けたパネル5枚で構成。 この5枚が折りたたんで格納してあり、宇宙空間で展開ヒ
ンジにより最外層からパネルを一枚ずつ順に展開させていく機構となっている。この機構が4タ
イプあり、全タイプの軌道上動作検証をするために必要な5枚の搭載を計画。  今回の軌道上ミ
}ッションでは、「軽量太陽電池パドルが正常に展開完了するか」、「パドル展開後に正常に太
陽電池からの電力が供給されるか」の2項目について実証ます。パドルが正常に展開完了したか
どうかは、 各パネルに搭載した展開モニタによって確認する。

第8章 トマト加工工場の奇妙な光景
第1節 中国、新疆ウイグル自治区ウルムチ郊外、12号道路

それは、赤い屋根にガラス張りの大きな建物だった。ファサードにはカルキス(中基)の看板が
掲げられている。だが、ここはカルキスの本社ではない。本社があるのはウルムチの中心街だ。
この近代的な建築の一研究所」は、カルキスのウェブサイトにも写真が掲載されている。ウルム
チから車で121号道路を進むと、やがてこの派手な外観の建物が見えてくる。隣にはトマト加
工工場がある。

そのとき、わたしはふと疑問を感じた。今はトマト収穫期たけなわだ。なのに、工場の煙突から
煙が出ていない。あの独特な、焼けたトマトの匂いもしない。あたりは奇妙なほど静まりかえっ
ている。
ひびわれたアスファルトの細い道を進み、工場へ向かう。トマトを運搬するトラックはどこから
出入りするのだろう?車が一台も通らない。入口にも誰もいない。正門のそばに警備室があり、
アスファルトの地面には積荷の重量を測るためのトラックスケールが埋めこまれていた。だが、
今も機能しているかどうかはわからない。警備室の窓ガラスは割れ、ゲートの塗装ははげ落ち、
スケールも錆びついている。アスファルトのひび割れからは雑草が伸びている。

ここを見るかぎり、このトマト加工工場はもう使われていないようだ。いや、もしかしたら、な
かへ入ればきちんとした警備室やトラックスケールがあるのかもしれない。 ゲートは開いてい
た。車でトラックスケールの上を通りすぎると、大きな金属音が鳴りひびいた。100メートル
ほど先に古びた荷下ろし場が見える。積荷のトマトはあそこで下ろされるはずだ。間違いない、
この工場はもう使われていない。トマトの洗浄が行なわれるプラットホームやたくさんの水道管
は、すべて腐食してボロボロになっていた。場内の中央に蒸発濃縮装置が置かれているのが見え
る。だが、人間はひとりもいない。

車から降りてドアを閉めると、パタンという大きな音が響きわたった。あまりにも静かだ。
数歩進み、屋外に置かれている配電箱へ近づいてみる。箱は壊されていた。トマトを自動で運ぶ
コンベアにも穴が間いている。窓ガラスも割れていた。いったいここで何かあったのだろう? 
煙突や巨大タンクなどはそのまま残っている。まるで工場の亡骸だ。イタリア式の工場で、完成
してそれほど経っていないように見える。機械の購入や設置にかかったコストは数百万ユーロに
達しただろう。敷地内には100台ほどの工事車両が置かれていた。とくにパワーショベルの数
が多い。おそらく、土木技術を知り尽くした新疆生産建設兵団のものだろう。

倉庫へ行ってみる。なかには、消費期限切れのドラム缶入り濃縮トマトが並んでいた。トマトペ
ースト缶もたくさんある。「トリコローレ」のパッケージに、満面の笑みを浮かべたトマトのキ
ャラクターが描かれている。アフリカで一番よく売れているブランド、ジーノの缶詰だ。
倉庫から出て、さらに敷地内を歩く。工場の建物の脇に外階段があり、その上にドアがあるのが
見えた。あそこからなかに入れるのだろうか?行ってみよう。でもドアは開いているのか?階段
を登ってみる。カギがすでに壊されていた。よし、幸運の女神はわたしに微笑んだ。
ドアを開けると、なかは渡り廊下になっていた。片方の壁がガラス張りで、階下を見下ろせるよ
うになっている。入っ子ひとりいない。機械はすべて停まっている。それにしても見事な生産ラ
インだ。あらゆる設備がそろっている。だが、すべて埃にまみれていた。なんという奇妙な光景
だろう。

渡り廊下の先にまたドアがあった。ドアを開けると、再びガラス張りの渡り廊下が現れた。
だがその階下には、トマト加工工場にあるまじき光景が広がっていた。工事用の資材や機械がず
らりと並んでいる。どうやらここは工事のための機材置き場に使われているらしい。渡り廊下に
張られた床板がみしみしと音を立てる。一足進むごとに大きな音が鳴り響くので、誰かに見つか
りはしないかとハラハラする。
廊下にはいくつかドアが並んでいて、その奥に部屋があるようだった。掛け金がかかっているだ
けなので、はずしてなかへ入っていく。いくつもの事務机が、ひっくり返ったり、壊されたり、
穴が開けられたりしていた。床の上にはおびただしい数の帆翔が山になっている。中国語が印刷
されているが、埃と湿気で黒ずんでいる。まるで泥まみれの漂流物のようだ。おそらく、同じ部
屋にあるスチール製キャビネットの中身をぶちまけたのだろう。工場の写真も床に散らばってい
た。

隣の部屋へ入る。そこでもまた、さまざまなものが床に散らばっていた。加工工場のかつての様
子を偲ばせるものが多い。顔写真入りの従業員証や、数百枚もの証明写真が入った分厚い封筒。
写真をひとつひとつ見ていく。ウイグル入らしき顔はひとつもない。みな漢族の顔立ちだった。
おそらく、新疆生産建設兵団の従業員だろう。
棚の上に、軍用ヘルメットがひとつ置かれていた。それを見て、カルキスの工場では兵団員たち
が軍服で働いていたことを思いだした。ほかの棚の上には小さな赤い中国国旗や、たくさんのの
ぼり旗があった。

書類棚を開けてみると、工場の見取り図が入っていた。パルマで製造された機械の図面もある。
ほかには、文書が保管されたファイルが数十冊、古い電話機、旧式のコンピュータと関連機器、
未使用のパスポートのような赤い小冊子、優秀な従業員に授与される表彰状、工場のスローガン
が書かれたステッカー、そしてゴミも山積みになったさまざまなものの上に、いくつかの冊子が
積み重なっていることに気づいた。新人社員のための中国語の案内マニュアルや、ガルキスが運
営する14の工場を紹介する


                  
ブックレット。かなり立派な本もあった。タイトルは、『新疆中基実業股扮有限公司 10周年
記念[1]』。カルキス創立10周年の記念誌らしい。中国語と英語のニカ国語で書かれていて、
2004年に発行されている。表紙にはカルキスのロゴが刻印されている。開いてみると、最初
のページに、カルキスの創案者、リウ将官の大きな顔写真が掲載されていた。次のページ以降に
もリウ将官の写真がたくさん載っている。金正日風の分厚い黒メガネをかけた中国高官たちとい
っしょに写っている。
[1]Chalkis, monograph of celebration of the 10th  anniversary of Xinjiang Chalikis Industry Stock Co., Ltd, 2004

記念誌には、加エトマト産業における兵団の輝かしい業績が紹介されていた。南フランスの大手
トマト加エメーカー、ル・カバノンの買収について書かれたベージには、元代表のジョエル・ベ
ルナールの写真もあった。ベルナールはリウ将官と中国国旗の間に立っていた。
フランスのヴォクリューズ県の元下院議員、ティエリー・マリアーニとリウ将官が、笑顔で握手
を交わす写真もある。2004年4月9日、パリの高級ホテルであるロワイヤル・モンソーの大
広間で開催されたセレモニーでのI場面らしい。いったい何のセレモニーだったのだろ
う?解説を読んだところ、どうやら、フランスの食品メーカーに中国が初めて投資を行なったこ
とを祝ったのだそうだ。

カルキスの活動内容を紹介する写真が数十枚あった。たくさんのトマトを積んで走るトラックの
列、完成した商品を積んだコンテナ、工場の様子………リウ将官もあちこちに写っている。世界
地図を指さしているところ、ベンを片手に書類を見ながら考えこんでいるところ、販売戦略のた
めに部下に指示を出している。ところなど、何かしら重要なことをしているらしき写真が多い。
ページをさらに噪ると、ハインツの工場の前で、役員の誰かといっしょに写っているものもあっ
た。別の写真では、中国政府の役人といっしょにル・カバノンを訪問していた。さらにページを
進めると、テーブルを囲んだ男たちがグラスを持ち上げている写真があった。テーブルにはイタ
リア国旗と中国国旗の小旗が帥られている。リウ将官の隣にいるのは、ナポリ出身のトマト王、
アントニーノールッソだ。数ページ先にも、ルッソが書類に署名をしている写真があった。

解説によると、「ケチャップの輸出に関する契約を交わしたところ」だそうだ。そして、三枚目
のルッソの写真。また別のセレモニーらしい。解説には「中国にトマト加エラインを建設するた
めに白弁契約を結んだことを反って」とある。四枚目の写真では、リウ将官がナポリのルッソの
工場を訪れていた。新疆  ウイグル自港区の高官も同行したらしい。
さらに別の写真には、アントニーノ・ルッソのライバル、アントニオ・ベッティの姿もあった。
わたしは記念誌から顔を上げ、顔写真入り従業員証の山のほうへちらりと視線を向けた。よし、
これで用はすんだ。さっさとここから立ち去ろう。

                                    この項つづく

 
【完全人工光型植物工場篇:栽培環境による味の特徴を明らかに】

● 植物工場栽培のサニーレタスは旨み成分を多く含み、苦み成分が少ない

6月27日、国立大学法人筑波大学らの研究グループは、RGB(赤色、緑色、青色)LED独立制御
型植物工場で栽培したサニーレタスが、まったく同じ組成の液体肥料を用いて土壌栽培したもの
と比較したときに、見た目の違いだけでなく味や機能性などに関連する代謝物群の生産に影響す
ることを、統合メタボローム解析により世界で初めて明らかにした。屋内栽培型の植物工場にお
ける野菜は、一般的に土を使わず液体肥料を用いて栽培されている。本研究は、市場でよく出回
っている2品種のサニーレタスに対して、同じ液体肥料と光強度を用い、実際に市場に出荷する
野菜を栽培・出荷している植物工場および土壌で栽培し、それぞれ得られたレタスの葉について、
2種類の高性能質量分析計(GC-MSおよびLC-MS)による統合メタボローム解析を行う。その結果、
代謝物プロファイルの差異について、植物体の部位や品種の違いよりも栽培環境の違いが大きく
寄与する。また、メタボロームデータの詳細な解析により、商用植物工場で栽培したサニーレタ
スは、土壌栽培(自然土壌信仰?)したものよりも旨味成分であるアミノ酸類を多く蓄積し、苦
み成分であるセキステルペンラクトン類の蓄積は抑制されることも明らかにした。Nun. 27, 2018

トリスのおまけのディスペンダーを取り付けショットグラスでストレートあるいは炭酸で割りハ
イボールを楽しんでいる。これは愉快だ。

 

 


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