● いちご鮮度3倍に伸ばすケース!
農工融合ベンチャー、工農技術研究所は、鮮度を従来比で3倍以上長く保つ大粒完熟イチゴ専用の容器
を2015年に発売する。イチゴを弾性体に置き、茎を底部より引っ張りながら上からキャップをして搬送
することで、果肉が手に触れず傷まない(下図参照)。今回開発した専用容器は重さ約25グラム、高
さ約百ミリメートル、外径約70ミリメートル。ポリエチレンテレフタレート(PET)製キャップの
ほか、発泡ポリエチレン製クッション、アウター、インナーで構成する。輸送中は窒素ガスなどは使わ
ず、約6度Cで冷蔵保存する。これまでアジアや欧州に試験輸出し、損傷がなく、イチゴの品質上問題
がないとの結果を得た。容器は生産・流通販売業者に百個以上購入の場合1個200円程度(消費税抜
き)で販売する予定だと伝えている。
ここに関わったの企業や大学の保有技術は上の新規考案も驚くのだが、下図のように機械制御領域の技
術にも驚く。様々な場面で多種多様なロボットが活動しているが、移動中の自己位置を認識し自律移動
するロボットは、工場内やオフィス内、病院内などでの人間の手助として期待されている。自律移動さ
のための誘導方式の1つに、磁気マーカ法――典型的には、移動経路上に例えば磁気テープのマーカを
設置しロボットに磁気センサを設け、自己位置を認識するものがある。この方法では、事前に環境の磁
場分布を求め、磁気的なノイズの少ないところに磁気マーカを設置する必要があり、磁気マーカを設置
作業の負担が大きい。また、建屋の鉄骨や鉄筋、建屋内に設置される装置などの強磁性体は製造及び施
工の過程で不可避的に着磁され残留磁気を帯びる。この残留磁気は、時間の経過に対し強さが減衰しな
い。そこで、屋内外の環境の磁気を予め教示データ登録し、この教示データと移動時に計測される実測
データとを比較することで自己位置を認識して自律移動する手法もある。尚、この環境磁気は、地磁気
も含む。
図6の提案は、ステップ1:互いに反転して配置される第1センサ201及び第2センサ202で磁気、
方位を計測し、記録しておく。このデータを教示データ(第1教示データ、第2教示データ)という。
ステップ2:自律移動する際に、各々のセンサで磁気、方位を計測する。このデータを実測データと(
第1実測データ、第2実測データ)いう。ステップ3:実測データを教示データに照合して両データの
偏差が0になるように位置を制御する。この照合に際し、不安定な磁気要素を相殺することで、環境磁
場を利用する自律移動を屋外で行う場合でも、ロボットが自己位置を誤って認識するのを防ぐことがで
きるというもの。と、まぁ~これは蛇足だけれど面白い!
● 話題だと言う本 ピケティ箸『21世紀の資本』
資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生
み出す。本書の唯一の目的は、過去からいくつか将来に対する慎ましい鍵を引き出すことだという。
第1部 所得と資本(所得と産出;経済成長―幻想と現実)
第2部 資本/所得比率の動学(資本の変化;古いヨーロッパから新世界へ;長期的に見た資本/所得
比率;21世紀における資本と労働の分配)
第3部 格差の構造(格差と集中―予備的な見通し;二つの世界;労働所得の格差;資本所有の格差;
長期的に見た能力と相続;21世紀における世界的な富の格差)
第4部 21世紀の資本規制(21世紀の社会国家;累進所得税再考;世界的な資本税;公的債務の問題)
ポール・クルーグマンは本書を「素晴らしい」「不均衡についての考え方を一新するもの、さらには「
今年、そしておそらくこの10年間で最も重要な経済書」と称している[15]。彼は本書を、ベストセラー
になった他の経済書と比較して、「重大で、これまでとは異なる研究方法」で成り立っている点が異な
るとしているとし、次のようにも述べている。
富や収入が少数の人の手に集まっていることが中央政府の課題として再び問題視されるようになっ
てきたとき、ピケティは、歴史的に見ていったいどんなおかしなことが起きているかについて、資
料を出して教えてくれるだけではない。彼はまた、不均衡問題、すなわち平等な経済成長、資本家
と労働者の所得の分配、個々人の間での富と収入の分配、といった問題の統一的な理論となるもの
をも提示しているのだ。『21世紀の資本論』は、あらゆる面でとてつもなく重要である。ピケティ
は我々の経済言説を変えてしまった。我々はもはや、かつてのような切り口で富や不均衡について
語ることなど決してないであろう。
さらに、『アベノミクスの逆襲』の著者の高橋洋一は次のように要約する(「全く退屈しないデータ満
載の歴史書 ピケティの『21世紀の資本』を読む」ダイヤモンドオンライン「高橋洋一の俗論を撃つ!」
2014.12.25)。
本書のエッセンスだけをいえば、おそろしく簡単だ。資本収益率(ほぼ4~5%)が所得成長率(ほ
ぼ1%~2%)よりも高いことを、各国の歴史データで示している。これを高所得者と高資産保有者
がますます富むことの理由に挙げ、多くの国での格差拡大を証明したのである。格差社会を好まな
い彼はこの現状を打破するため、資本収益率を下げることが有効と考え、資本課税の強化を主張す
る。それも国際協調のもとですべての国で課税強化策を採用すべしという政策提言になる。
-中略-
さて、ピケティは日本に対してどのように見ているのだろうか。先日、日経新聞に興味深いインタ
ビューが出ていたので、まずそれを紹介しよう。それによれば、日本の現状をどう見ますかという
質問に、「財政面で歴史の教訓を言えば、1945年の仏独はGDP比2百%の公的債務を抱えていた
が、50年には大幅に減った。もちろん債務を返済したわけではなく、物価上昇が要因だ。安倍政権
と日銀が物価上昇を起こそうという姿勢は正しい。物価上昇なしに公的債務を減らすのは難しい。
2~4%程度の物価上昇を恐れるべきではない。4月の消費増税はいい決断とはいえず、景気後退
につながった」と、アベノミクスには及第点をつけている。きわめてまっとうな答えだろう。
日本のg(所得成長率)はここ二十数年間で世界の最低ランクだ。まずデフレ脱却して、2%程度
の物価上昇にするのは、g(所得成長率)を高めることの第一歩である。g(所得成長率)が高ま
れば、累進課税などによって、格差の問題を解決するのは、それほどたいした話でなくなるだろう。
ということだが、それでどうした!というとになる。国際的なデータは持ち合わせていないが基本的な
データでピケティの結論と、わたし(たち)とは同じなのだ。"日本的財政規律主義"という"阿片"を撲
滅し、さっさとネクスト・ステージに移してもらえば良いことなのだから。
昨夜の『地球温暖禍 多発顕在』の続き、「日本列島強靱化」や「分厚い中間層」政策の具体例として
これまで、「送電線・通信網地中化」や「融雪・除雪作業の自動化」などの防災・安全保障に関わる長
期的な財政出動(第二矢)として巻頭の記事の「いちご鮮度の外延」を提案している"工農技術研究所"
に刺激を受け、異常気象策と食糧安全保障(目標需給率達成)の「高度農林水産業整備の法」をイメー
ジ。これは「ソーラー・シュアリング」も深く絡むのだが、そのための「初期投資」を軽減する法整備
であり、その運用は民営化を前提としているものの国家社会主義的政策が特徴(対極に、国家資本主義
的政策が位置する)。そのスケルトンは(1)初期投資のゼロ金利融資支援、(2)同投資金額の半額
政府支援※、(3)不動産及び設備の譲渡に関わる規制の強化(あるいは最適化)、(4)投資支援と
して、"グリーン長期国債"による産助の4つである。その運用に現行の建築基準法ような法制整備が必
要だろう。立法までの許容時間はそう長くない、言い換えれれば、まったなしであると考えているが如
何に。^^;
※ あくまでも大胆な援助という例示としての数字