つい最近ののことだったと記憶しているが、車の中で、彼女が突然、あなたは農業をやらないのと尋ね
た。あ~ぁ、そのことは考えていたこともあったが、再生可能エネルギーの事業を優先させてたから、
やる気はないよ。たとえ、やるとしても、農業の工業や工学を取り入れた高度化した農業を考えている
から初期投資は従来とは比べものにならないが、一旦、関連プロジェクトが軌道に乗れば生産コストを
逓減し、供給力は安定させる自信はあるよ。勿論、産出する農産物は千差万別だから、その費用効果の
幅は大きい。工業製品もそうだけれど、農産物も百パーセント近く国内で生産可能だが、海外需要の消
費地への供給には、プラットフォームやシステムの輸出が、贈与で対応できる。このプロジェクトでは
人件費削減目的の委託生産は無用だ。それができないのは総合力のない経営(能力)の問題だと思って
いる。というふうなことを返事していた。
そのあと、酒の肴の焼きめざしを食べはじめてから?アレルギー発症(免疫機能の異常)の閾値が下がったことを
伝えると、それは中国製品だからよと言うので、ラベルを確認してもそれを否定する表示がない。そのような経過
から、 紀伊国屋書店の電子書籍をネット注文し、高橋五郎著の『日中食品汚染』を速読する。以下、書籍の紹介
と要約と感想を記載する。
● 本書は3つの骨格から成る。
危険な農薬、正体不明の加工品、杜撰な管理体制。日中同時に進む食品汚染の実態と業界のからくりに
現地事情に精通した研究者が迫り、国籍・原材料不明の加工食品が増えている。中国産ホウレン草が野菜エ
キスとなって輸入され、他の食材や添加物と混ざり、冷凍食品として日本で売られる。断ち切れない汚染連鎖の
実態、日本の甘い検査体制に警鐘を鳴らす。解決策はあるのか?チキンエキス、カレールー、麻婆豆腐の素、
チョコレート、昆布粉末…「中国産」と表示されない恐怖を解き明かす(※上図/上の「がんマップ」参照)。
・目 次
第一章 見えない食品の恐怖
第二章 中国の食品汚染地図
第三章 食品汚染のヒトへの影響
第四章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
第五章 重金属汚染という新たな難題
第六章 日本の食品は安全といえるか
● 増え続ける食品添加物
中国産食品には危険性がつきまとうがそれはなぜか。果たして日本産食品の安全性は確かなのか。今後
安全性を高めるにはどんな対策がありうるのか。これらに取り組むため著者が、改めて中国現地調査を
3度、日本のスーパーマーケットの食品売り場調査、日本の食品メーカーの工場見学、段ボール箱約3
個分の中国語と日本語の資料収集、食品汚染に関する中国語と日本語による著書・論文の精査、日本の
食品行政を所管する官庁へ数度にわたる取材を行う。
この過程で最も困ったのは中国の食品加工工場調査だったという。中国産食品を研究する日本人に、工
場内部をさらけ出してくれるところはほぼなかった。許される範囲で情報をかき集め、中国の大中小、
グレード別のスーパーマーケットの食品売り場の様子を眺め、加工食品の包装袋記載の成分、食品添加
物賞味期限などの表示を読み、家で試食することもあった。それで分かったことは、中国で販売されて
いる加工食品の種類や品目数が日本に比べて数段に多いことだった。もともと著者は中国の農村や食料
調査が本業で、これまでに集めて来た資料や現地調査が今回ほど役立ったことはない。農村では農薬、
水質、土壌、肥培管理、都市では食品販売、食品添加物、味付けなどに関心を寄せてきた。
● 地上と地下から汚染される
中国語表記の農薬、食品添加物を和訳するのに数日を費やしたことも。中国では日本にない農薬、食品
添加物が沢山使われている。中には違法なもの、すでに製造が禁止されたのに流通している農薬や食品
添加物があり、ほとんどの中日辞典では頼りにならなかったという。
本著書は3つから構成されている。1つは中国産食品の危険性について。ただ、危険、汚ないと指摘す
るだけでなく、構造的な問題を正面から掘り起こした。根底には、中国に於ける農薬、食品添加物、遺
伝子組換え、重金属、土壌や水質汚染、農業生産現場や流通、食品加工メーカー、食品行政、人々の食
に対する意識などの問題がある。農薬や抗生物質の薬剤耐性や交叉耐性の懸念が高まるほど、逆にそれ
らが大量に使われ、より強い薬剤を求める悪循環が始まっているのだ。次に、2つめは一見しただけで
は元の農畜林水産物が何であったのかわからない食品の品目数が増え続け、そのことが日本の食品輸入
先の分散と増加を誘発した。たとえば中国が北朝鮮から輸入したハマグリを加工して製造したエキスを
日本が輸入するような場合である。エキスに味噌、香料、食品添加物が加えられると元の姿は一層見え
なくなる。この仕組みを解明するため、著者が「食品モジュール」(下図/上)「食品アンブレラ」(}
下図/下などの表を独自に作成し、食品の原材料がたどる過程を目に見える形で示している。3つめは
金額で計ると日本の最大の食品輸入相手国はアメリカ。2番目は中国。金額ではアメリカに劣る中国だ
が、輸入品目数では世界トップで、2012年で700品目に達する。輸入加工食品が増えるほど、1つの食
品ができる間に超える国境の数も増える。生鮮食品は中国から直接来るが、中国が輸入した加工原材料を
現地で中間加工して輸出することも多く、それを繰り返えしている間に、残留農薬、食品添加物など身
体に害のあるものが混ざる危険性が高まると指摘する。
● 日本の検査体制は万全とはいえない
これをには、受け入れる側の日本の輸入食品検査制度にも問題があり、水際で厳重なフィルターを掛け
ているので安心だというのは本当だろうか? 日本産食品は安全だということも神話にすぎないのでは
ないか? 輸入検査制度、残留農薬基準の決め方には問題がないのか?、例えば、残留農薬問題は200
6年以降、制度が変わり、厳しく取り締まられてきたが、残留農薬の発見自体が十分にできる制度でなけ
れば効果は薄かろう。はじめから農薬は安全ということを前提としているような制度のような気がして
ならないと危惧している。また、被検対象の重金属はナマリ、ヒ素、カドミウム、同じく食品はトマト
キュウリ、コメなどに絞られていて、不安を払拭するには心もとない。日本産食品にも残留農薬、カド
ミウム汚染などの疑念が消えていない。
最後に、以上の考察を通じて浮かび上がった課題にどう対処したらいいのか、具体策を提案した。国レ
ベル、個人レベルの取り組み方があろう。前者は国際的なものでなければ意味が薄い。たとえば重金属
や食品添加物についてのポジティブリスト化、輸入加工食品工場の指定化など。個人レベルの取り組み
は家庭料理の見直し、加工食品摂取の頻度を下げるなど。日本人の食をめぐる危険性がますます高まる
中、本書が視野を広げて冷静に、安全とは何か? を考える機会になれば幸いであると結ぶ。
● 全てはコストを下げるため
流通の一翼を担ういわゆる中間業者組織も複雑で、個人経常のブローカーや代理商が現危を持って買い
付けに飛び回り、買い付けた農産物を自前の無蓋トラックで運ぶのが.一般的なスタイルになっている。
また、そういった簡素な装備で数千キロ先の消費地に運ぶことも少なくない。たとえばウルムチのリン
ゴを広州巾に運ぶには、6000キロを数日間かけて走り通さないと、鮮度が維持できない。中国の陸
上輸送業は競争が激しく、いかにコストを下げるかが生き残りに関わってくる。結局は、運転手の待遇
節約でなんとかしようということになる、炎天下、数日間も運転し続ける運転の中には、途中の町で逃
げ出す者も現れる始末だが、GPSによる運行管理が未発達の中国では、この方面の管理はほとんどで
きていない。中国のスーパーに行くと、わたしは良品売り場をのぞくが、いつも思うのは、野菜、肉、
魚の鮮度の悪さだ。氷の上に無造作に並べられた魚はどれもふやけたようにだらしなく寝ころび、カッ
トされたものも包装されたものも、鮮度が明らかに悪い。果物や野菜も同じで、シヤキッとした商品は非常に限
られている。日系のスーパーはよいほうだが、鮮度維持策は小売業者がいくらがんばっても限界があり、やはり
日本の店舗に並ぶ商品と比べると落ちる。これは、産地から小売店舗までの物流システムに問題があるためだ。
● 氾濫する遺伝子組み換え食品
遺伝子組換え食品に関する中国政府の姿勢は、日本やアメリカ、EU委員会と同様に安全だというもの
だ。中国政府も遺伝子組換え農作物が農地の節約や農業コストの低下につながり、生産量の大幅な増加
をもたらす点を宣伝している。「農業遺伝子組み換え生物安全管理条例」など法的な規制もかけている
ので、国民は何ら心配することはないという立場をとりている。2012年、フランスの学者が遺伝子
組み換え飼料を2年間与え続けたモルモットにガンが生じたと報じたとき、EU委員会が「実験データ
数や仮説実証過程が限られているので信用きない」と否定的な見解を示したことを援用し、中国政府も
これに同調した。
だが、この報道は遺伝子組み換え食品の危険性を論じた研究を、容認派がフクロ叩きにしたと読み取る
べきである。日本でも同様に、容認派がこの実験を非科学的だと批判したことで注目された『しかし容
認派は、遺伝子組み換え食品批判派から出されている―一安全性を実証せよ」という要求には、まだ、
目をつむり通したままでいる。遺伝子組換え食品が安全だという科学的な実証をした例は皆無だが、そ
れでも多くの国の政府は安全性を強調する点で一致している。これに反対する意見には、健康に対する
被害、安全性が実証されていない未知の食品を摂ることへの心理的な抵抗などさまざまある。
● 中国が遺伝子組換え食品に熱心なわけ
ではなせ、中国政府は遺伝子組み替え食品を守ろうとするのか?その答えは比較的単純で、農産物生産
の危機があるゆる角度度から迫っていることを自覚しているからだ、土壌は化学肥料やa薬のまきすぎ
その能さまざまな理由から破壊され、農業を継ぐ片も激減。水も枯渇し汚れている。しかし人口は今後
も増え続けるから、農産物生産は.を減らすことはできない、中国政府にとって遺伝子組換え食品は、
そのための救世主なのだ。
しかし、中国政府は遺伝子組換え良品の危険性を甘く見ていると思う。輸入管理ひとつとっても、国内
で許可していない種類の組み換え大豆がアメリカから大量に輸入されていることが判明するなど、輸出
国から足元を見られている、それは、国内の遺伝子組換え食品の反対派を抑え込むなど露骨な擁護策を
とりすぎたことで、輸出国側の節度や自制心を損なっているからではないだろうか。
遺伝子組み替え食品が品種改良食品と決定的に異なるのは、次の点につきる,遺伝子組換え食品は、原
理的に、サルの遺伝子を人間の遺伝子と入れ替え、サルを人間のような生き物に変えることに等しい,
これに対して品腫改良とは、サルはサルのまま健康体力を豊かにすることだ,遺伝子組換え大豆は、大
豆の形をした大豆ではない「大豆的な植物」と考えた方が良い。と指摘する。
この項つづく