天 瑞 てんずい
ことば --------------------------------------------------------------------------------
「いずくんぞわが今の死の、昔の生に愈らざることを知らんや」
「生は死を知らず、死は生を知らず、来は去を知らず、去は米を知らず」
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壷丘子林(こきゅうしりん)の教え
列子は鄭の圃というところに四十年住んでいたが、誰ひとりそれが列子とは気づかなかった。鄭の
国王や卿太夫(けいたいふ)も、列子を庶民のひとりとしか見ていなかった。
ある年、鄭が凶作にみまわれ、列子は衛に行こうとした。弟子たちは列子に頼んだ。
「いぢどお別れしてしまったら、あとはいつお会いできるかわかりません。お願いです。わたした
ちに、あとあとの心得となることばを残して行ってください。先生は壹丘子林(列子の師)に教え
を受けられたのでしょう」
「壷丘子林は別に何もいわなかった。だが、わたしは、先生が伯昏瞀人(はくこうぼうじん)に話
していたのを、そばで聞いていたことがある。そのことでも話そうか――万物の生成変化をつかさ
どるものは、それ自体、生成し変化することはない。だからこそ、生成変化の根源であり得るのだ。
だが万物は、生成変化をその本質とする。したがって、常に生まれ常に変
化し、寸秒のいとまもなく動きつづける。陰陽にせよ、四季にせよ、例外なくそうである。ただみ
すがらは生成せず変化せぬもののみが、絶対無窮の存在なのだ。
黄帝の書にこういっている。
『谷の神は無限の創迫力を持つ。これを玄妙不可思議な女性の門といってもいい。女性の門は天地
の根元だ。あらゆるものを生み続ける。だがそれは努力してそうしているのではない』
だから物を生み出すものは、ことさら意識して生み出すのではない。物を変化させるものは、こと
さら意識して変化させるのではない。物はみな、おのずから生じ、変化し、形をなし、色づき知を
そなえ、力となり、おとろえ、消えてゆき、そして終わる。だれがそうさせるわけでもない」
〈伯昏瞀人〉列子の兄弟子。ただし、壷丘子株とともに、実在の人物とは怠えない。
〈黄帝の書〉『漢書』芸文志に書名が見えるが、早くから散逸して今に伝わらない。この引用の部
分は『老子』第六章と全く同じである。
【エネルギー通貨制時代 23】
”Anytime, anywhere ¥1/kWh Era”
Mar. 3, 2017
❏ 特開2018-190053 センサモジュール及びこれを用いたセンサネットワーク
地球の金星化を食い止めるべく、再生可能エネルギー百パーセント社会実現に後ラスト・ワン・マ
イルに入り、制度設計(法制整備)化と関連技術システム整備/実証も最終段階に差し掛かってい
るように看えるが、そのなかでも、今夜は環境発電(エナジーハーベスティング)の最新技術事例
を確認よる。ところで、この発電システムとして、環境発電自己発電電力を用いて動作するセンサ
モジュールが実用化され、このようなセンサモジュールは、電源配線の敷設や電池の交換が困難な
アプリケーションにも好適に適用でき様々な用途での普及が見込まれる。
しかし、環境発電では、常に安定した発電電力が得られず、センサモジュールの間欠動作を必須と
するが、従来のセンサモジュールでは、電力不足によりデータの取得や送信が中断されるおそれが
あり、その動作安定性について更なる改善の余地があり、従来のセンサモジュールでは、その間欠
動作の周期が環境発電装置の発電電力とセンサモジュールの消費電力に依存するため、周期性を持
つデータの取得が難しい。そこで、特許文献1では、環境発電装置の発電量と蓄電量を検出し、シ
ステムマネージャに伝送し、ここからの指示に応じ計測周期の設定変更を行うセンサネットワーク
端末を開示されているが、このセンサネットワーク端末は、自ら計測周期の設定変更を行うのでは
なく、システムマネージャを別途必要としている。また、特許文献2では、所定の周期毎にデータ
を収集するとともに、振動発電により所望の蓄電電力を確保しているかどうか判定し、その判定結
果に応じてデータの無線送信を行うかどうかを決定する振動発電無線センサが開示されているが、
この振動発電無線センサは、電力不足のためにデータの無線送信が行われない場合であっても、デ
ータの収集は常に行われるため、その省電力化について更なる改善の余地がある。
本件によれば、下図2のごとく、センサモジュール1は、環境発電部11及び蓄電部12を含む電
源回路10と、電源回路10から電力供給を受けて間欠的に動作するセンサ回路20と蓄電部12
に蓄えられた入力電圧Vinを常時監視する電圧監視回路30と、を有する。センサ回路20は、
計測対象の計測及び計測結果の無線通信を行うアクティブ状態と、その動作を休止するスリープ状
態と、を交互に繰り返すものであり、スリープ状態では、所定の周期で電圧監視回路30の出力確
認を行い、入力電圧Vinが所定の基準電圧Vrefよりも高ければアクティブ状態に復帰し、入
力電圧Vinが基準電圧Vrefよりも低ければスリープ状態を維持することで、周期性を持つデ
ータを安定に取得できるセンサモジュール、及び、これを用いたセンサネットワークを提供する。
2018.11.29
● 超電導体を利用し環境発電機能を実証
微弱な環境揺らぎからの発電や微弱信号の検出素子に
11月29日、東北大学金属材料研究所らの研究グループは、第二種超電導体の渦糸液体状態を利用し
た環境発電機能を実証したことを公表。研究成果は微弱な環境揺らぎからの発電や、微弱信号を検
出する素子への応用できる。前述のように環境発電は、身近にある光や振動、熱といったわずかな
エネルギーを電力に変換でき、究極の省エネルギー技術として注目されている。わずかなエネルギ
ーから電力を得るために必要となるのが整流効果(代表的な素子にダイオード)。第二種超電導体
に特有な「渦糸」の液体状態を利用して、全く新しい整流素子を実証した。具体的には、磁性絶縁
体のイットリウム鉄ガーネット(Y3Fe5O12)基板上に、第二種超電導体――超伝導体にはある一定
の磁場(臨界磁場)を超えた場合、常伝導状態に移行する第一種超伝導体と、超伝導状態を保った
まま一定の磁束線が侵入する渦糸状態を経て、常伝導状態へ移行する第二種超伝導体とがある――
であるモリブデンゲルマニウム(MoGe)薄膜をスパッタリング技術で形成。この試料を一定の温度
に保ち、面内方向に磁場を印加し、ある特定の磁場値で、外部入力がなくてもMoGeの面内方向に直
流電圧が発生することを突き止め、直流電圧は電磁ノイズのある測定環境で、安定して観測され続
けた。
直流電圧が生じる温度と磁場の条件について調査した。この結果、MoGeが「渦糸液体相」にある場
合に、電圧が生じている。渦糸とは第二種超電導体特有の欠陥で、超電導体の内部に侵入する磁束
線。この渦糸が超電導体内部で自由に運動できる状態になっている部分が渦糸液体相。研究グルー
プによれば、実験で観測された直流電圧は、磁性絶縁体のY3Fe5O12がMoGeの片側に取り付けられた
ことにより生じたと推測。Y3Fe5O12が付いた表面とそうでない表面では、渦糸が超電導体内部へ入
り込むために必要なエネルギーが異なり、それぞれの表面近くで渦糸の量が不均衡となる。MoGe
薄膜の面内方向に電流を流すと、薄膜の面直方向に駆動される渦糸の数は、電流の正と負で異なる。
こうした渦糸の流れで面内方向に電圧が生じ、超電導の電気抵抗として観測される。測定された直
流電圧は、測定器内部にある電磁ノイズが、渦糸の量が不均衡となったことで整流された結果だと
してみている。
【成果ポイント】
・第二種超伝導体の性質を利用した環境発電機能を実証。
・試料の温度を一定に保ち、特定の磁場を印加するだけで、環境の"揺らぎ"から直流電圧が発生。
・微弱な環境揺らぎからの発電や、微弱信号を検出する素子に応用できる可能性がある。
❏ 特開2018-190582 リチウムイオン二次電池の製造方法 トヨタ自動車株式会社
先回はドーピング有りの高容量化技術を掲載、今回は同社公開の非ドーピング技術を掲載。従来、
負極活物質には黒鉛が使用されている。酸化珪素は、黒鉛よりも大きい比容量(単位質量あたりの
容量)をもつ。また、黒鉛と酸化珪素とが混合されて使用されることで、電池の高容量化が期待さ
れれもいるが、酸化珪素は、電解液と副反応を起こしやすく。酸化珪素は、耐久性(高温保存特性
)に課題を残す。酸化珪素の耐久性向上に、電解液にFEC(フルオロエチレンカーボネート)を添
加することが考えられ、初回充電時に、酸化珪素の表面においてFECが還元分解し、酸化珪素の表
面にFEC由来の被膜形成される皮膜はSEI(固体電解質相)とも称され、SEIの形成により、酸化珪
素と電解液との副反応が抑制され耐久性が向上する。しかし、黒鉛と酸化珪素との混合負極では、
黒鉛の表面にもFEC由来のSEIが形成され、FECの添加量に対して得られる耐久性向上効果が小さい
と考えられていた。
本件は、下図のごとく、リチウムイオン二次電池の製造方法は、以下の(A)~(E)を含む。(
A)少なくとも正極および負極を含む電極群が収納されたケースを準備する。(B)第1電解液を
電極群に含浸する。(C)負極の電位を第1電位まで下げる。(D)ケースにFECを注入する。
(E)負極の電位を第2電位まで下げる。負極は、少なくとも黒鉛および酸化珪素を含む。第1電
解液は、FECを含まない。添加剤は、0.5V(vs.Li+/Li)以上1.5V(vs.
Li+/Li)以下の還元分解電位を有する。第1電位は、0.2V(vs.Li+/Li)よりも
高く、還元分解電位以下である。第2電位は、0.2V(vs.Li+/Li)以下であるで、負
極に黒鉛および酸化珪素を含むリチウムイオン二次電池において、FECの添加量に対して得られ
る耐久性向上効果を大きくできる。
【符号の説明】
10 正極、11 正極集電体、12 正極活物質層、20 負極、21 負極集電体、22 負極活物
質層、30 セパレータ、50 電極群、80 ケース、81 缶、82 蓋、83 外部端子、84 注
液孔、85 集電板、100 電池(リチウムイオン二次電池)
【耐久性の評価】
下記表のごとく、たとえば、実施例1と比較例1との比較、実施例4と比較例4との比較、実施例
9と比較例7との比較等から、実施例では、FECの添加量に対して得られる耐久性向上効果が、比
較例に比して大きい(容量維持率が高い)傾向が認められる。実施例では、FEC由来のSEIが、黒鉛
の表面に形成され難く、酸化珪素の表面に形成されやすい。他方、比較例では、黒鉛と酸化珪素両
方において、VC(ビニレンカーボネート)とFECのSEIが形成されるため、酸化珪素の表面に形成される
FEC由来のSEIが少なくなる。
FECの添加量が多くなる程、ガス発生量が多くなる傾向がある。実施例では、比較例よりもガス発
生量が少ない傾向が認められ、実施例では、黒鉛の表面にVC由来のSEIが形成され、酸化珪素表面
にFEC由来のSEIが形成される。これによりガス発生反応が効率的に抑制される。実施例4~6、実
施例12~14の結果に示されるように、PS( ポリサルファイド)でもVCと同様の結果が得られて
いる。ES(エチレンサルファイト)でも同様の結果が得られる。さらにVC、PSおよびESのうち、2種以
上が使用された場合でも同様の結果が得られる。実施形態および実施例はすべての点で例示であっ
て制限的なものではない。特許請求の範囲の記載により確定される技術的範囲は、特許請求の範囲
の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
❏ 特開2018-113447 ドーピングシステム並びに電極、電池及びキャパシタの製造方法
今度はドーピング装置事例に焦点を当てみよう。
近年、電子機器の小型化・軽量化は目覚ましく、電子機器駆動用電源として用いられる電池も小型
化・軽量化進展している。また、リチウムより低コストで資源的に豊富なナトリウムを用いたナト
リウムイオン型の電池やキャパシタも知られているが、様々な目的のために、予めアルカリ金属を
電極にドープするプロセス(プレドープ)が採用され、アルカリ金属を電極にプレドープする方法
としている――例えば、切り取られた電極板とアルカリ金属板とを、セパレータを介して電解液中
に配置した状態でプレドープを行う、枚葉式の方法がある一方、帯状の電極板を電解液中で移送さ
せながらプレドープを行う連続式がある。連続式は枚葉式より生産性に優れるものの、局所的なプ
レドープが進んでしまうことにより、不良なSEI(Solid Electrolyte Interface)被膜が形成される、ア
ルカリ金属が電極上に析出する等、様々な不具合が生じるおそれがあり、アルカリ金属がプレドー
プされた高品質の電極を製造することができるドーピングシステム、並びに、電極、電池及びキャ
パシタの製造法が求められている。
本件は、下図のごとくドーピングシステムは、活物質を含む層を有する帯状の電極前駆体73にお
ける活物質にアルカリ金属をドープ。ドーピングシステムは、ドーピング槽3と、搬送ユニットと、
対極ユニット51と、接続ユニットと、多孔質絶縁部材53と、を備える。ドーピング槽は、アル
カリ金属イオンを含む溶液を収容する。搬送ユニットは、電極前駆体を、ドーピング槽内を通過す
る経路に沿って搬送する。対極ユニットは、ドーピング槽に収容される。接続ユニットは、電極前
駆体と対極ユニットとを電気的に接続する。
多孔質絶縁部材は、電極前駆体と対極ユニットとの間に配置され、電極前駆体と非接触で、アルカ
リ金属がプレドープされた高品質の電極を製造――活物質を含む層を有する帯状の電極前駆体にお
ける前記活物質にアルカリ金属のるドーピングシステムで、アルカリ金属イオンを含む溶液を収容
するドーピング槽と、電極前駆体を、ドーピング槽内を通過する経路に沿って搬送する搬送ユニッ
トと、ドーピング槽に収容される対極ユニットと、電極前駆体と対極ユニットとを電気的に接続す
る接続ユニットと、電極前駆体と対極ユニットとの間に配置、電極前駆体と非接触である多孔質絶
縁部材とを備えるドーピングシステムであり、また、このドーピンステムは、多孔質絶縁部材を備
え、多孔質絶縁部材は電極前駆体と対極ユニットとの間に配置され、電極前駆体が対極ユニットに
接触したり、過度に接近したりすることが生じにくいため、活物質へのアルカリ金属のドープ量を
コントロールすることが容易で、高品質の電極を製造することができる。さらに、多孔質絶縁部材
は電極前駆体と非接触であり、多孔質絶縁部材と接触することで電極前駆体が損傷してしまうこと
を抑制でき、高品質の電極を――製造できるド-ピングシステム、並びに、電極、電池及びキャパ
シタの製造方法を提供する。
【符号の説明】
1…ドーピングシステム、3、5…ドーピング槽、7…洗浄槽、9、11、13、15、17、19、21、
23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、305、307、309、
311、313、315、317、319、321、323…搬送ローラ、47…供給ロール、49…巻取
ロール、51、52…対極ユニット、53…多孔質絶縁部材、55…支持台、57…循環濾過ユニット、6
1…直流電源、63…ブロア、67、68、70…支持棒、69…仕切り板、71…空間、73…電極前駆
体、75…電極、77…導電性基材、79…アルカリ金属含有板、81…フィルタ、83…ポンプ、85…
配管、87、89…ケーブル、93…集電体、94…未形成部、95…活物質層、96…中央部、97…樹
脂板、99…収容ユニット、101…チャンバー、103…洗浄槽、104…軸受、104A…第1部、
104B…第2部、104C…孔、105…軸受、105A…第1部、105B…第2部、105C…孔、
107…空転防止ユニット、110…シャッター、111…シャッター、113…押圧ユニット、114…
ガス供給ユニット、115…棒状部材、116…ガス排気ユニット、118…根元、120…先端、121
…シール、122…前面蓋、123…スリット、127…レバー、129…空転防止ローラ、131…付勢
バネ、133…配管、135…供給弁、137…配管、139…排気弁、141…壁、143…支持部、
149…エアシャフト、150…孔、151…突出片、152…Oリング、201…電極製造システム、
203、205、207…電解液槽、217…本体部、301…電極製造装置、401、403…クリー
ニングユニット、501…第1のマスク部材、503…第2のマスク部材
この項つづく
● 今夜の一枚
このグラフィックは再エネのオールソーラーシステムだけでも電力総需要量満たせることが一目で
理解できるように描かれている(詳しくはクリック参照)。このような背景を盛り込みこの10年
「エネルギー革命」をブログ掲載してきたが、同時にエネルギー貯蔵革命も同時進行しており、も
はや、日本は輸入するもの(特定地下資源を除き)がなくなったとわたし(たち)は確信している。
また、この流れに逆らうものは"反知性”だけであるとも考えている。"諸君!RE100 ラストワンマ
イルだ”。
”The Last Mile” Song: Cinderella, Music Writer: Tom Keifer
Me and Billy boy and old lady Jane
We hitched a ride, took a fast movin' train
Got to the top with our heads spinnin' round
You never know just what you got until you're comin' back
Down on the farmland Mississippi shade
The folks down there they told me take it day by day
And walk the last mile before I sleep
It'll be a while before I get my peace
With the same style I walked for years
On the last mile I can rest my fears........