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ラストワンマイル20

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説  符  せつぷ
ことば----------------------------------------------------------------------
「大道は多岐なるをもって羊を亡う」
「岐路の中に、また岐あり。われ之くところを知らず」
「金を取るの時、人を見ず、ただ金を見たるのみ」
--------------------------------------------------------------------------------
善行せぬが君子
楊朱がいった───
善を行なうのは、名誉を得るためではないが、名誉がこれにともなってくる。名誉は利益
を目的としないが、利益がこれにともなってくる。利益は争いを目的としないが、利益を
追えばいつかは争いがもちあがる。だから君子は善を行なおうとしないのだ。

人間は蚊のための存在か
斉の田氏が、ある人のために送別会を開いて、道中の無事を祈った。この日、田氏の家に
集まった。
食客は千人をこえた。会の途中、魚と雁を献上した者がいた。田氏はこれを見て感嘆して
いった。
「ああ、天は恵み深い。人間のために、五穀をみのらせ、魚や鳥を繁殖させてくださる」

並み居る者は口をそろえて賛成した。その時ただ一人、末席につらなっていた十二歳にな
る鮑氏の息子が、進みでていった。

「ただ今のおことばは間違っています。あらゆる動植物は、みな人間と同じ生物です。生
物に貴賤の別はございません。ただ、知恵があり力がある者が、知恵がなく力がない者を
とって食うだけのことです。食われる者は、何も食われるために作られたのではありませ
ん。人間が食えるものを勝手にとって食うだけのことです。天は人間に食わせるためにそ
れらのものを作ったのでしょうか。蚊やぷよが、人間の血を吸うからといって、人間は蚊
やぶよのために作られたものでしょうか。虎や狼が動物の肉を食うからといって、その動
物は虎や狼のために作られたものでしょうか」
                                   この項了                               

 ● 読書日誌:カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』 No.33
     

第2部 第7章

「打ちのめされても不思議ではないほどの出来事の連続でしたから」とアクセルが言った,
「不屈の心は驚異的です,外に出たら、できるだけのことをしてやりましょう。ですが、
ガウェイン卿、教えてください。修道僧はなぜこんな無垢な少年を殺そうとするのです」
「わしがどう挑んでも、院長は少年を殺すと言い張る。だから、ホレスを森に残し、わし
はここへ引き返した……」
「ガウェイン卿、教えてください。これは悪鬼の傷と関係があるのですか。修道僧といえ
ばキリスト教を学ぶ人々なのに……」
「少年の負った傷は、悪鬼の噛み傷などではない。あの傷は竜がつけたものよ。昨日、あ
の兵士が少年のシャツをめくり上げたとき、わしにはすぐ分かった。どこでどう竜に出会
ったかは知らぬ。だが、あれは竜の噛み傷だ。やがて、あの少年の血の中で雌竜との出会
いへの欲望が湧き上がってくる。雌竜のほうも同じだ。少年のにおいを嗅げるほど近くに
来れば、少年に会いにくる。ウィスタンがあの少年をかわいがるのは、それが理由よ。い
ずれクエリグに導いてくれると信じておる。僧と兵Lらがあれを殺したいと思っておるの
も同じ理由からだ。見よ、少年はますます野性的になっていくぞ」

「たくさんの頭蓋骨はいったい何ですの、ガウェイン様」と、ベアトリスが唐突に尋ねた。
「なぜあれほどたくさん……みな赤ん坊のものですか。手のひらに収まるほど小さな頭蓋
骨もあります」
「やめなさい、お姫様。ここは埋葬地だ。それだけのことだ」
「何を言いたいのか、ご婦人。赤ん坊の頭蓋骨? わしは男と戦い、ベルゼブブと戦い、
竜と戦った。赤子の殺戮とな? 何ということを言う、ご婦人!」

突然、エドウィンが歌いながら三人の間をすり抜け、格子門まで行って立つと、鉄格子に
体を押しつけた。
「戻れ、少年一ガウェインはそう言いながら、エドウィンの両肩をつかんだ。「ここは危
ない。歌ももうやめよ」

エドウィンは両手で鉄格子をつかみ、老騎士ともみハロったが、一瞬ののち二人はさっと
離れ、門からも飛びのいた。ベアトリスもアクセルの胸元で小さく悲鳴をあげた。だが、
アクセルはエドウィンとガウェインに視野をさえぎられ、その瞬間を見損なった。やがて
獣が月の光の中にのそりと入ってきて、アクセルもそれをはっきりと見た。

「髪よ、お守りください」とベアトリスが言った。「大平野から抜け出してきた生き物よ。
空気まで冷たくなっていく……」
「心配はいらないよ、お姫様。この鉄格子は破れない」
ガウェインはもう剣を引き抜いていた。そして静かに笑い出した。「恐れていたほどもの
すごくはないな」と言い、また少し笑った。
「自分にものすごいですよ、ガウェイン卿」とアクセルが言った。「一人ずつ食い殺して
いくなど簡単でしょう」

目の前に見る大きな動物は、皮を剥がれているという形容がぴったりだったかもしれない
。腱や関節を密に覆っているのは毛皮ではなく、羊の胃袋の内県のような不透明の粘膜に
見える。いま月影に照らされたその姿は、大きさも形もほぼ雄牛のようだ。だが、頭だけ
は明らかに狼に似て、邑ないもほかの部分より黒ずんでいる。それも、自然な黒ずみとい
うより、印象としては炎で焼かれた黒さという感じだろうか,顎は巨人で、目は槌虫類を
思わせた。

ガウェインはまだ独り笑いをしていた。「あの陰気なトンネルを歩いてくる間、わしはも
っとひどいものをいろいろと想像しておった。かつてドウマムの沼で醜悪な老婆の顔を持
つ狼と戦い、カルウィッチ山では、雄叫びをあげながら血を吐きかけてくる双頭の鬼と対
決したわしだ。あやつらを思えば、そこにいるのはただの怒った犬っころにすぎぬ」
「ですが、それが行くfを通せんぼしています、ガウェイン卿」
「わかっておる。そこでだ、背後のトンネルから兵隊どもが来るまで、一時間ほどもこい
つをながめているか、それともいま門を上げて、さっさとかたをつけるかだ」
「わたしにはただの猛犬よりもっとすごい敵に見えますよ、ガウェイン卿。あまり油断な
さらないほうが・・・・・・」
「わしはもう年だ。怒りに任せてこの剣を振るったのは、もう何年前のことか。だが、い
まも鍛錬を積んだ騎士であることは変わらぬ。これがこの巨の獣であるならば、倒してみ
せよう」
「アクセル、あの獣、なんだかエドウィンを見ているみたいですよ」とベアトリスが言っ
た。

エドウィンは妙に静かになっていた。いま何かを試すように、まず左へ、つぎに石へと歩
いている。歩くエドウィンを獣は目で追いつづけ、その獣をエドウィンも見返しつづけて
いた。

「犬はあの子に飢えておるな。あの怪物の中で屯でも孵りつつあるのか……」とガウェイ
ンが政‥をひねりながら.一日った。
「どんな獣なのか、妙にや抱強くこちらの出方を待っているようです」とアクセルが言っ
た。
「では、こういうのはどうだ一とガウェインが言った。「狼をおびき寄せるには子山羊を
杭につないで餌に使う。このサクソンの少年を囮に使うのはいやなのだが、勇敢な子のよ
うだし、武器なしでその辺を歩きまわるのも危険度では変わらぬしな。だから少年に蝋燭
を持たせ、部屋の奥に立っていてもらおう。アクセル殿には、なんとかして門をもう.度
引き土げてもらう,良きご婦人も手を貸してくださるだろう。門がLがって通れるように
なれば、獣はまっしぐらに少年に向かっていく。突進の道筋がわかっておれば楽なものだ
わしがそこに立って、通り過ぎる瞬間にやつを切り殺す。この計画でいかがか、アクセル
殿」
「一か八かですね。ですが、このままでは、いずれ兵隊がこのトンネルを見つけるでしょ
う。やってみましょう、ガウェイン卿。妻とわたしがともにロープにぶら下がってでも、
なんとかして門を引きhげます。お姫様、エドウィンに計画を説明してくれるかい。やっ
てくれるか尋ねておくれ]
だが、説明されるまでもなく、エドウィンはすでにガウェインの作戦を飲み込んでいるよ
うだった。蝋燭を受け取り、また影の中に戻っていった。骨の上を大股で十歩歩いてこち
らを振り向いたとき、胸の前に保たれた蝋燭はほとんど揺れもせず、格fの向こうの獣に
ひたと当てられた燃えるような目を照らしていた。

「では、急ごう、お姫様」とアクセルが言った。「わたしの背中に登って、ロープの端を
つかんでおくれ。ほら、あそこにぶら下がっているやつだ]
最初はニ人一緒に転びそうになって、柱で体を支えるようにやり方を変えた。アクセルの
背中でしばらく手探りをしていたベアトリスが、「つかみましたよ、あなた」と言った。
「放して。ロープと一緒に下りていきます。いっぺんに落ちそうだったら、つかまえてく
ださいね」
「ガウェイン卿、準備はいいですか」とアクセルがそっと呼んだ。
「万端だ」
「もし獣を止められなかったら、その勇敢な少年は終わりです」
「わかっておる,通させはせぬ」
「ゆっくりドろしてね、アクセル。ロープを持って宙づりのままたったら、手を伸ばして
引っ張って」

アクセルは手を放した。だが、ベアトリスは宙に浮いたままで、門を引きhげるには体重
が足りないようだ。アクセルもロープに予を仲ばし、ベアトリスがつかんでいるすぐ下の
あたりを握って引っ張った。最初は何も起こらなかったが、やがて二人分の体重が何かに
打ち勝ち、振動音とともに門が上がりはじめた。だが、引っ張りつづけるアクセルには効
果のほどがわからず、「まだ足りませんか、ガウェイン卿」と呼んだ。

一瞬、間があって、声が返ってきた。
「犬はこっちをにらんでおる。いつでも出てこられるぞ」

アクセルが体をひねり、柱の向こう側を見たとき、ちょうど獣が飛び出してきた。月の光
の中で、驚いたような老騎士の顔が見えた。剣が振りドろされた。だが、遅すぎたのか・・・。
獣はガウェインの前を通り過ぎ、一直線にエドウィンに飛びかかった。少年は目を大きく
見開いたが、蝋燭を取り落とすこともなく、ただ横に動いた。まるで獣が自由に通れるよ
う、礼儀正しく道を譲ったように見えて、アクセルは驚いた。だが、道を譲られた獣が、
そのまま、四人がさっき出てきたトンネルの暗闇の中へ走り去ったことに、もっと驚いた。

「門は開いています。早くく向こうの部屋ヘ」とアクセルは叫んだ。

だが、横のベアトリスも、すでに剣を下ろしているガウェインも聞いていなかったようだ。
エドウィンでさえ、いま愉を走り抜けていった──だが、すぐに戻ってくるはずの──恐
ろしい獣を忘れてしまったかに見える。少年は胸の前に蝋燭を持ち、老騎士が立っている
場所まで行って、一緒に地面を見下ろした。

「ひとまずドろされよ、アクセル殿」とガウェインが顔も上げずに言った。「いずれまた
持ちhげればよい」

老騎士と少年の前の地面で何かがうごめいていて、二人がそれに見人っていることにアク
セルは気づいた。ロープを放し、門をまた落下させた。
ベアトリスが言った。

「ぞっとしますよ、アクセル。わたしは見たくありませんけど、あなたは見たければどう
ぞ。何が見えたか教えてくださいな」 
「トンネルの中に走っていったように見えたがな、お姫様」
「一部分はね。足音が止まったのもわかりましたよ。騎士様の足元にあるものだけでも見
ていらっしやいな」
アクセルが寄っていくと、ガウェインとエドウィンが夢から覚めた人のように身震いし、
場所を空けてくれた。月の光の中に獣の頭が転がっていた。

「顎がいつまでも動きおる」と顔をしかめながらガウェインが言った。「もう一度こいつ
に剣を振るうことも考えたが、死者の冒涜になって、さらなる悪を呼び寄せはしないかと
恐れる。だが、なんとか動きを止めたいものだ」

切り落とされた頭ながら、死んでいるとはとても信じがたかった。横向きに転がっていて、
見えるほうの目が海の生き物のようにぬめぬめと光っている。顎は不思議な力でも蓄えて
いるのか律動をつづけていて、歯の間から垂れ下がる舌も、つられるように、命あるもの
のようにうごめいていた.、

「おかげで助かりました、ガウェイン卿」とアクセルが言った。
「ただの犬だ。もっとすごいやつにも喜んで立ち向かったさ。だが、このサクソンの少年
の勇気はたいしたものだ。この子の役に立ててよかったよ。さて、急がねばな。しかも用
心深くだ。地Lで何が起こっているかわからぬし、ことによったらこの部屋の向こうに二
匹目がいるかもしれぬしな」

探すと、.本の柱の裏側に巻hげ機が見つかった。四人はロープの端をそれに巻きつけ、
今度は難なく門を引きLげることができた。獣の頭はそのままにして、落とし格子のドを
くぐった。剣を構えたガウェインがまた先頭に立ち、エドウィンが末尾に回った。
霊廟の二番目の部屋は、明らかに獣の県として使われていたようだ。古い骨に交じって最
近のものと思われる羊や鹿の骨があったし、ほかにもなんの動物かはわからないが、黒く
て悪臭を放つ大小の死骸があった。やがてまたトンネルが始まり、四人は腰をかがめ、息
を切らしながら、曲がりくねった道を進んでいった。もう途中で獣と出くわすこともなく、
ようやく鳥の鳴き声が聞こえてきた。遠くに光が見えて、とうとう森の中の地表に出た,
すでに政明けが始まっていた。 

めまいにも似た感覚があった,二本の巨木の間に何本もの根が盛り上がっているところが
あって、アクセルはベアトリスの手を取り、その根の一つに腰を下ろさせた。最初は息切
れでしやべれないほどだったベアトリスが、やがて顔を上げて、こう言った。

「ここにもすわれますよ、あなた。とりあえず安全なのでしょう? 一緒にすわって、消
えていく鼠を見ましょう。あの気味の悪いトンネルを無事に抜けられてよかった」そして、
ふと思い出して、「エドウィンはどこかしら、アクセル。見当たらないけど」と言った。

「薄明かりの中を見回すと、近くにガウェインの姿が見えた。夜明けを背景に、頭を垂れ、
片手を木の幹に置いて体を支えながら、息を静めようとしていた。だが、少年の気配はど
こにもなかった。
「たったいま後ろにいたんだがな。地表に出たとき、わっ、と大きな声を出したのも聞い
た」とアクセルが」と言った。
「少年なら、急ぎ足で行くのを見たぞ」とガウェインが振り返りもせずに言った。息はま
だ苦しそうだ。「わしらのような年寄りと違って、オークに寄りかかってハーハー、ゼー
ゼーする必要がない。おそらくウィスタンを助けに修道院に戻ったのではないか」
「止めてはくださらなかったんですか、ガウェイン卿。危険の真っただ中に戻るなんて。
ウィスタン殿はもう殺されたか、捕えられているでしょうに」

「わしにどうせよと言う。できることはすべてやったではないか。空気も通らぬ穴倉に隠
れ、勇敢な先人を多く食い殺してきた獣をほふり、ようやくここへたどり着いた。なのに、
助かった当の少年が修道院に駆け戻るとは・・・・・・! この重い甲冑をまとい、剣を吊るし
たまま追えと言うのか。もうへとへと、もう動けぬ。わしがいまなすべきことは何か、立
ち止まって考えねばならぬ。アーサー王なら、何をお命じになるか・・・・・・」「でも、ガウ
ェイン様」とベアトリスが言った。「そもそも、ウィスタン様が東国から来たサクソンの
戦士だということ、院長にお話しになったのはガウェイン様ではありませんか」

「なぜ蒸し返す、ご婦人。わしはそなたを助け出さなかったか。この甘い夜明けに逃れ出
るまで、多くの頭蓋骨を踏んでこなかったか。なんという多さだ。足元を見る必要すらな
い。一歩踏み出すごとに砕ける音がするのだからな。何人死んだ。百人か,千人か。数え
たか、アクセル殿。それとも、そなたはいなかったのか……」木のわきに立つ人影の言葉
は、鳥が早朝の合唱を始めたいま、ときに聞き取りにくかった。
「昨夜来の経緯がいかなるものだったにせよ、ガウェイン卿にはお礼の言葉もありません」
とアクセルが言った。「卿の勇気と技はまったく衰えておりません,一つお尋ねしてよろ
しいでしょうか」
「勘弁してくれ、アクセル殿。もうよかろう。森の斜面を行く敏捷な少年を、わしがどう
して追える? もう空っぽよ。息だけでなく、何もかもがだ」 
「ガウェイン卿、遠い昔、わたしたちが同志だったということはありませんか」
「勘弁してくれ。わしは、今晩、義務を果たした。それで十分ではないか。ホレスを見つ
けに行かねばならぬ。さまよわぬよう枝に結んではあるが、それはそれで狼や熊にやられ
ぬともかぎらぬ」
「わたしの過去は濃い霧に覆われています]とアクセルは言った。「ですが、最近、ある
任務を思い出すことがあるのです。わたしに託された重大な任務──あれは法だったのか,
あらゆる人間を神に近づける偉大な法だったのか………卿の存在と、卿の語るアーサー王
の話が、長く隠れていた記憶を騒がせます、ガウェイン卿」



「わしの哀れなホレスは夜の森をひどく嫌う。梟がホーと嗚き、狐がケンと鳴くだけで、
震えあがる。矢の雨だったら、身じろぎもせずに受け止めるのだがな。あいつを探してや
らねばならぬ。お二人には、あまりここに長居をせぬようにお勧めするぞ。サクソンの若
者二人のことは忘れるがよかろう。いまは、付でおニ人を時っている大切な息f殿のこと
だけを考えることだ。毛布も食べ物もなくされたいま、できるだけ早く先へ急がねばなる
まい。この近くに川があって、東へ流れている。
速い流れだ。孵が通るから、その船頭に.丁寧に頼み込めば、下流へ乗せていってもらえ
よう。ここでぐずぐずせぬがよい。兵隊がいつやってくるかわからぬからな。
では、神のご加護がありますように、友よ」

ガウェインの姿が賠い枝葉の中に消えていく。こすれる音と、地を踏む音がした。
やがてベアトリスが言った。
「お別れも言えませんでしたね、アクセル。なんだか申し訳ない気がしますよ.でも、変
な別れ方でした。唐突だったし」
「わたしもそう思ったよ、お姫様。だが、いい忠告をしてくれたのかもしれない。最近で
きた連れのことは忘れて、息子のもとへ急ごう。哀れなエドウィンのことは心配だが、自
分から修道院に戻るのでは、もうしてやれることもないしな」

「もう少しだけ休みましょう、アクセル。そしたら、また二人で出かけましょう。うまく
船が見つかって、旅が速まるといいけど。なぜ遅れているのかって、息子もきっと心配し
ているでしょう」

                                  この項つづく  

  

 【エネルギー通貨制時代 61】 
”Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 

【最新蓄電池技術#8:高速最強スパーキャパシタ】

  Feb. 19, 2019

【スイスで発売された太陽光発電売買ブロックチェーン市場】
2月19日、pv magazine Germanyはスイスで太陽光発電売買のブロックチェーン
(分散型ネットワーク)市場の実証事業───約377世帯と老人ホームが参加し、今月
上旬2週間で、太陽光発電会社が近隣地域電力の82%を売却。1年間の試運転の目的は、
太陽光発電の現地マーケティング実行可能な概念開発──ーがスタートしたと報じた。
スイスのサンクトガレン近郊にあるブロックチェーンをプラットフォームとした太陽光発
電市場が成功を収めている。参加世帯と老人ホームは、近隣から電力需要の4分の1を調
達。晴天時は発電量が37%に上昇、半分以下の電力消費し発電エネルギーの32%以上
が近隣で取引され、約18%を電力網Walenstadt Water and Electricity Companyに供給。尚、
スイス連邦エネルギー局の支援の「Quartierstrom」は、スイスの大学や企業で運営。

 ●顧客電力価格設定
プロジェクトパートナーによると、この方法はプロシューマー(生産消費者)は電力を送
電網に投入するよりも、近隣で電力販売し高収入を得られる。これは公益事業よりも近隣
の廉価な電力支払うことによる。取引は参加者間で直接行われ、ポータル(インターネッ
ト利用口)を使用し生産者は最低価格を、消費者は最高価格が設定できる。参加世帯には、
統合された電気メーターとブロックチェーンソフトウェアを備えたミニコンピューターを
設置され、これらのブロックチェーンノード(接合点)は、価格設定に従って15分ごと
に太陽光発電の購入または売却の入札を発行、オークションメカニズムに従い、誰が追加
料金をどの価格で受け取るかを自動計算。このシステムは、ETHチューリッヒのBits to En-
ergy Lab
St. Gallen大学の共同開発。

 Feb. 15, 2019

【最新蓄電池技術#9:蓄電池性能評価技術】

Energy Storage Europe会議は近日中に開催され、pv magazineは、同社の独立専門審査会で選
抜され”Energy Storage Highlights” としてトップ10の1つに本社をオスロにおくサービス・ブロバ
イザー会社NV GLが広大な蓄電池貯蔵環境をマッピング入札でランク付けを続け、顧客判断
決支援するシステムを選考する。DNV GLは、製品購入者にアドバイス提供に、最初の年次
電池性能評価証明を発行。試験及び認証機関は、このツールはバッテリー製品を個別にラン
ク付け評価するもの。この認定書は、独立した技術レビューとともに透明で簡単に検証でき
るデータ提供で、エネルギー貯蔵市場を支援。現在の形は、認定書はいくつかの基準で電池
システムを評価。 DNVは、製品の平均充電状態(SOC)がパフォーマンスに最適かどうかを
調べ、科学者はどのSOCウィンドウが最良の実績を示すかを調査し、その他の要因には、蓄
電池のC値(最大容量に対する蓄電池の放電率)や製品の温度特性が含まれる。被試験電池
のうち、89%がリチウムイオンニッケルマンガンコバルト化合物。これまで、購入者が利
用できる蓄電池寿命データのレベルは、しばしば変動し一貫性がなかった。 DNV GLでは、
投資家と開発者は製造業者に蓄電池種に関する情報要求し、独立した技術報告をで製品評価
する。このプロセスは数ヶ月かかることがあり、独立評価判定書は時魚開発を加速させる。
スコアカードは、蓄電池技術と最終的には品質提供と区別するための重要な第一歩でとなる。

 Sep. 26, 2018

【DNV GL Energy Transition Outlook(ETO 2018)】
●太陽光発電 2050年には65倍に続伸
DNV GL社の報告書によると、太陽光発電が世界のエネルギー転換の最大の勝者になると
指摘──他社の調査報告、エネルギー転換時に発生するコストが現在の化石燃料投資を上
回わらないと考え、低炭素社会への移行は段階的としており、すべての再生可能エネルギ
ー資源の急成長とエネルギー効率の積極的な進むにもかかわらず、2015年に設定され
たパリ協定の2℃目標を達成できないと結論付けている(上写真参照)。本件では、太陽
光発電は今後も拡大成長を遂げ、世界の設備容量は2050年までに65倍、累積容量は
19テラワット(TW)に達し、世界発電量の40%を占める。この容量の約30%が住
宅用または商業用の屋上/ファサードに設置される分散型であるのに対し、残りの13.3
テラワットは地上設置型の大規模型が占める。地上設置型システムの累積的面積は地球全
体の0.3%を占めると予測。特に、再生可能エネルギーと太陽光発電の成長は、世界電力
需要は現在から2050年までに2.5倍に増加する一方、石炭およびガス火力発電は60
%逓減する。 

●強力な成長

可変再生可能エネルギー資産導入が増加につれ、将来のエネルギーシステムでエネルギー
貯蔵システムが中心的な役割を果たし、ETO 2018は、2050年までに、可変エネルギ
ーの発生に対処するために約50テラワットアワー(TWh)の貯蔵容量を設置する必要が
あり、定置型ストレージシステムの数を減らには、グリッドサービスに電気自動車(EV)
蓄電池容量の10%を利用できると試算。EVの採用率とEV所有者の参加スキーム状況変
化し、2050年にヨーロッパのEVフリートがグリッドサービスに必要なエネルギー貯
蔵のすべてを賄えると新算する。

●PV由来でなく、グリッドの支出
現在、系統電力網(いわゆる「グリッド」)への支出は急増しているが、本件ではの増加
支出は再生可能エネルギーの増加ではなく、主に電力需要の増加に起因していると考え、
グリッド復元力対策コストは、総支出の3分の1より小さい額と計算しており、世界のグ
リッド支出は現在、年間5千億ドル弱から、2050年には年間約1兆55千億ドルまで
増加すると想定。この変動する再生可能エネルギー増加によるグリッド支出増加規模は、
年間約3千5百億ドル~4千億億ドルと試算。エネルギー効率向上ニーズを満たす努力に
もかかわらず、グリッド接続および機器のライフスタイルを享受する人口の増加で、世界
エネルギー需要は毎年0.9%増加し続け、世界エネルギーは、年間約400エクジュール
(EJ)を必要としエネルギー需要増加を考慮すると、世界のエネルギー需要は2035年
に年間470EJでピークに達すると推定する。その後、エネルギー需要は再び減少する可能性
があり、世紀半ばまでに年間450EJまで性があると予測。本件によると、インドと中国
は、2016年から2050年の間に一人当たりのエネルギー消費量が顕著に増加した唯
一の2つの地域になるでしょう。インドでは、同じ予測期間中に、消費量が26GJから、
43GJに増加する予定。対照的に、北米の消費量は297GJから136GJへそしてヨーロ
ッパでは137 GJから86 GJへと劇的に減少します。全体として、世界平均は一人当た
り78GJから一人当たり64GJに減少する。さらに、現在、サハラ以南のアフリカやイン
ドを中心としたエネルギー過剰のない地域では、主にオフグリッドPVシステムを通じて包
括的な供給が達成されます。これらの地域では、オフグリッドPVシステムが既存のオフグ
リッドディーゼル発電機に取って代わる可能性もあります。分析によると、オフグリッド
で、太陽光発電はこれらの地域でそれぞれ50%と30%のシェアを占め、これらの地域の人
口のエネルギー消費量は一般的に少ないですが、サハラ以南のアフリカとインドが20億
人以上を占め大規模市場になる。

●エネルギーシフト金融
さらに、2016年の化石燃料への投資は3.4兆ドルに達すると試算。これらは2050
年までに2兆1千億ドルになると予測されており、非化石エネルギー資源への投資は予測
期間を通し逆の傾向にある。2016年には、世界の化石燃料以外の投資は2069年ま
でに0.69兆ドルに達し、2.4兆ドルまで増加すると見込まれている。アナリストはま
た、世界全体のエネルギー消費が2016年の4.5兆ドルから2060年には最大6兆
ドルまで33%増加すると試算。しかし、世界のGDPもまた130%も大幅に増加すると
予想世界のエネルギーシステムは、2016年の6.5%から2050年には3.1%に減
少する。この報告書はで、再生可能エネルギー資産は設備投資が大きいことを強調。再生
可能エネルギー資産設備投資は、2029年までに化石燃料セクターのそれを上回わり、
例えば燃料の取得に関連する運営費から設備投資へのシフトにつながる。2016年には
エネルギー消費のわずか17%が設備投資を占めていたが、2050年までには47%に
達するが、支出増加をともなはず、シフトを意味する。また、太陽光発電と風力発電のシ
テムコストが、容量を2倍にすると16~18%の割合で低下すると想定。その点につい
て、「再生可能エネルギーや電力網からの設備投資が重いことを考慮すると、エネルギー
移行は経済的に困難な場合があるが、財政混乱を招く可能性は低い。世界のGDPがエネル
ギー消費に占める割合維持した場合、変化のペースを速める余地は十分にあると指摘。こ
のように世界電力需要が2.5倍に成長すると予測され、この需要の半分以上が2050
年までに再生可能エネルギーで賄われると予想、その前提としてエネルギー貯蔵は重要な
役割を果たが、グリッド整備支出増加需要には再生可能エネルギー資産にはあまり関連し
ないことを意味し、一方で、地球温暖化は2.6℃に達する可能性があることを警戒して
報告を結んでいる(2018.09.26)。

  ● 今夜の一枚

 ●今夜の一曲

君は太陽 スピット  Music Writers : 草野正宗
「君は太陽」(きみはたいよう)は、日本のロックバンド・スピッツの楽曲で、通算35作
目のシングル。2009年8月26日にユニバーサ。映画『ホッタラケの島 〜遥と魔法の鏡〜』
(2009年)主題歌。スピッツの新曲としては初のアニメタイアップとなる。前シングル「
若葉」と同時期にレコーディングされ、シングルリリースに伴い再ミックスされた。

 


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