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Channel: 極東極楽 ごくとうごくらく
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桜湖岸疾走りて知るは涙かな

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四、里 仁 りじん 
ことば---------------------------------------------------------------------------
「朝に避を聞かば、夕に死すとも可なり」(8)
「士、遜に志して、悪衣悪食を恥ずる者は、いまだともに議るに足らざるなり」(9)
「君子は綸に喩り、小人は別に喩る」(16)
「父母の年は知らざるべからず。一はすなわちもって喜び二はすなわちもって懼れる」(21)
「徳、孤ならず、必ず隣あり」(25)
 --------------------------------------------------------------------------------- 
3 純粋に人を爰し、純粋に人を僧むことのできるのほ、ただ仁者のみである。(孔子) 

子曰、惟仁者能好人、能惡人。

 Confucius said,
"Only the benevolent people can love or hate others truly (impartially)."

 知的生きかた文庫

【歳時記トレッキング:飛花落葉】

あの婦人が急にそんな病気になった事を考えると、実に飛花落葉(ひからくよう)の感慨で胸が
一杯になって───これは夏目漱石の『吾輩は猫である』の一説だが───咲いた花もやがては
散り、青葉も秋には色づいて枯れ落ちるということ。人生のはかなさや、世の無常である喩えで
ある。

飛花落花マウンテンバイクで駆け抜けろ  朝倉晴美 


 

「ラストワンマイル論」を書き挙げて、仕事仲間で守る会の辻社長と待ち合わせ、十年ぶりにな
ると思いつつ、久しぶりに、後三条は居酒屋食堂『さんかく』で食事をしながら市議会選挙の状
況を伺い───仲間も呼べばよかったのだがアルコールが入ると後半どうしても話しが拡散する
のでそれをさけ───意見交換し、財政危機下の現市長体制の危機的状況───過去にも、建設
会社と県知事の癒着結末を回想しつつ───それを確認する。ところで、女主人も今年で齢七十
三を数えこの店を始めて二十八年、四方山話しに花を咲かせる。そこでもこの十年の月日が不思
議なくらい信じられずにいることを話し───帰えりは妻を呼び寄せ店をあとにする。









桜湖岸疾走りて知るは涙かな


そして、朝から、いつものように朝のお勤めとトレッキングとホームページとブログ更新を済ま
せていると、疲れで集中できず、車を疾走(はし)らせ奥琵琶湖は海津大崎に向かう。桜湖岸(
はなこがん)は、生憎の薄曇りだが、花見のピークも終わり平日とあってゆっくりとオンシュワ
の鑑賞を楽しむことができた、現地に到着しオフトップさせ、スピッツの楽曲をオフにして迂り
くねった湖岸を疾走らせていると、風に吹かれ桜吹雪のトンネルに入り、いつしか、車が中を飛
び航行を続ける。

桜は日本人に歌を詠ませることを戦略として全国に広がった───これはこのブログで書いたこ
とではあるが、この異次元のようなドライブは私にその認識を誤りであることを知らしめる。花
吹雪に打たれる中で、わたしの目には涙がこみ上げてしばらくとまることはなかった。今日まで
生きてこられてよかった。来年もまた遭遇することはないだろう。爾り、一期一会はまた飛花落
葉なりと、遠くにみえるその島に木霊する。

 


 Mar. 12, 2019 

【再生医療事業篇:iPS細胞から作った網膜の細胞移植「安全性確認】

18日、理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーなどのグループは、おととし、拒絶反応
が起きにくい特殊なiPS細胞から作った網膜の細胞を、「加齢黄斑変性」という重い目の病気
の患者5人に移植する臨床研究を世界で初めて行っている。グループは1、東京で開かれた学会
で初めて、これまでの経過観察の結果を報告。それによると、1人の患者にiPS細胞の移植に
よると見られる軽い拒絶反応を示す検査結果がでたものの、症状は見られず、全体として目立った
拒絶反応は起きていない。また、いずれの患者も移植した細胞ががん化するなどの異常はなく、
「治療の安全性が確認された」と公表。グループは、視力の回復など治療の効果についても引き
続き調べる。高橋プロジェクトリーダーは、満足できる結果で、iPS細胞を使った治療の実用
化に向けて7合目の位置まで来たと話している。

 

 

  Apr. 17, 2019

【脳蘇生事業:代替血液で限定的に豚の脳蘇生に成功】

4月17日、米エール大などのチームは死後4時間たったブタの脳に血液の代わりをする液体を循環
させ、一部の細胞を働かせることに成功したことを英科学誌ネイチャーに穂\公表。脳は血流が止まり
酸素や栄養が途切れると、すぐに組織が壊れて回復しない登考えられてきたが、少なくとも数時間は
持ちこたえられる細胞があることを示した。意識や知覚を表す脳波は見られず、チームは「臨床的に
は死んだ脳に変わりない」と強調。だが生命倫理の専門家らは同誌で、将来的には人が脳死や心停止
した後でも、一定程度の脳蘇生ができるようになる可能性を指摘。

【要約】

人間や他の哺乳類の脳は血流の中断や酸素レベルの低下に対して非常に弱い。ここでは、死後4時間
までのex vivoでの正常体温条件下での無傷の豚の脳の微小循環と分子機能および細胞機能の回復と維
持について説明。無酸素状態からの回復を促進し、再灌流障害を軽減し、浮腫を予防し、代謝的に脳
のエネルギー要件をサポートする、体外拍動灌流システムおよびヘモグロビンベースの無細胞、非凝
固性、エコー原性、および細胞保護灌流液を開発。このシステムを用いて、細胞構造の保存を観察し
た。細胞死の減弱大域的な皮質電図活動がない場合の血管拡張性およびグリア性炎症反応、自発的シ
ナプス活動、ならびに活発な脳代謝の回復。これらの知見は、適切な条件下で、単離された無傷の大
型の哺乳動物の脳が、長期間の死後間隔の後に微小循環および分子的および細胞的活性を回復するた
めの過小評価された能力を有することを実証。



読書日誌:カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』 No.40 

     

第3部 ガウェインの追憶-そのI

第九章

赤ん坊殺し……それがあの日のわれらだったのだろうか。わしが戦場に付き添ったあの娘はどうなっ
たろう。そなたらのなかにあの娘がいるのか、ご婦人方。任務に赴くわしを、なぜこのように取り巻
く。この老人を悩ませず、ただ行かせてくれ。赤ん坊殺しか。だが、わしはその場にいなかったぞ。
たとえいたとしても、わしの叔父でもある偉大な王に文句など、つられぬ。わしは嘴の青い騎士にす
ぎなかった。それに、以来過ぎ去った一年一年が王の正しさを証明しているのではないか。そなたら
も平和の時代に年をとってきたのではないのか。ならば、背中に侮蔑の言葉など投げつけず、互いの
道を行こうではないか。無垢の法……偉大な法、人を神に近づける法であった。アーサー王ご自身が
そう言っておられた。いや、言ったのはアクセル殿だったか。当時はアクセラムかアクセラスの名で
通っていた。いまはアクセルか。いい奥さんがいる。

なぜわしをあざける、ご婦人方。そなたらが嘆き悲しむのはわしのせいなのか,

わしももう長いことはないが、そなたらのように舞い戻って、この地をうろつきまわったりはせぬぞ
。わしは満ち足りた心で船頭に挨拶し、揺れる舟に乗り込もう。舟瑞に打ちつける水の音を聞き、船
頭の裡の音を聞きながら、しばらく眠るかもしれぬ。やがて眠りから半分目覚め、太陽が水の向うに
沈むのを見る。岸はさらに遠ざかる。こっくりこっくり、また夢に戻り、船頭の柔らかな声がまた耳
の中に響くまで眠る。もし、噂どおり船頭が質問を投げかけてきたら、わしは正直に答えよう。隠す
ことなど何があろう。妻は───ときに望んだこともあったが───おらぬ。わしは最後まで忠実に
義務を果たした良き騎士であった。そう言おう。船頭には嘘でないことがわかるはずだ。船頭のこと
はもう気にすまい。日が穏やかに沈む。船頭が舟の右から左へ、左から右へと勤くたび、その影がわ
しにかかる。だが、こんな空想はあとでよい。いまはホレスとともにこの灰色の空に向かって上らね
ばならぬ。つぎの峰に向かって荒れ果てたこの斜面を進まねばなら ぬ。わが任務はいまだ終わらず、
クエリグがわれらを待っておる。




第十章

エドウィンが戦士をいつわろうとしたのではない。いわば、いつわりが そっとその場所を階い、一
人を包み込んだ。桶屋の小屋は深い溝のようなところに建てられていた。草葺きの屋根は地面に届き
そうなほど低く、エドウィンは頭を下げてその下をくぐりながら、まるで穴の中に入るようだと思っ
た。だから、中の暗さは予想していたが、むっとする暖かさと濃い煙に驚いて、激しく咳き込むこと
で到着を 知らせることになった。

「無事でいてくれてよかった。若き同志」

くすぶる火の向こうから、ウィスタンの声が暗闇を伝わってきた。目を 凝らすと、位のベッドの上
に戦士の体の輪郭が見えた。

「傷はひどいの、戦士さん」

ウィスタンの上体がゆっくりと起きて、火の明かりの中に入ってきた。 顔と首と両肩が汗にまみれ
ている。だが、火に向かって伸ばされた手は、寒くてたまらないように震えている,  

「傷自体はたいしたことがないが、そのせいで熱が出た。さっきまではも っとひどくてな、どうや
ってここへ連れてこられたかよく覚えていない。 坊さんたちの話では、馬の背に括りつけて運んで
くれたそうだ。道中、き っとうわごとを言いつづけたんだろうな。森の中で演技した痴呆を地でい
ったわけだ。君はどうだ、同志。怪我などしていないか……あの傷は別として」

「はい、大丈夫です、戦Lさん。でも、こうして前に霖っているのが恥ず かしいです。あなたが戦
っているのに眠りほうけていたなんて、同志とし て失格です。ののしって追い出してください。当
然の報いです」

「そう急ぐな、エドウィン。昨夜は期待外れでも、償いの方法はある。あ とで話そう」

戦士はそっと両足を上の床に下ろし、ドに手を伸ばして薪を一本とと、火の中に故った。そのとき、
左腕が麻布できつく巻かれ、顔の片側に は大きな青あざがあって、片目がほとんどつぶれているの
が見えた。

「確かにな」とウィスタンが言った。
「燃え盛る塔のてっぺんから下を見て、あれほど念人りに準備した荷車が来ていないと知ったときは
、れを呪いたい気持ちにもなったよ。この高さ、下は石を敷き詰めた地面、周りはもうもうたる熱い
煙。上がってくる敵の絶叫を聞きながら、わたしは自分に問うた。灰になって、やつらと混ざり合う
のがいいのか。夜空の下、一人だけ地面に叩きつけられるのがいいのか。だが、答えを決めるまえに
、なぜか荷車がやってきた。引いているのはわたしの雌馬で、手綱をにぎるのは坊さんだ。この坊さ
んは敵か味方かなどと考えもせず、煙突のてっぺんから飛んだ。事前の準備は十分に合格点だったぞ
同志。まるで水に飛び込んだみたいに干し草の中に沈んだが体に突き剌さるものは何もなかった。気
がついたらテーブルに寝かされていてジョナス神父の仲間の僧にずらりと囲まれていた。夕食に食わ
れるのかと思ったぞ。傷のせいか猛火のせいかはわからんが、もう熱が出ていたんだろうな。坊さん
たちが言うには、あんまり大声でわめきちらすから、安全なその場所に運び込まれるまでずっと猿轡
だったそうだま、神々のご加護で、熱は間もなく収まるだろう。そうしたらすぐ出発して、用事を終
わらせよう」

「それでもぼくの恥ずかしさは変わりません、戦士さん。目を覚まして、塔の周りに兵隊がいっぱい
いるのを見たのに、妖精に体を乗っ取られたまま、あのブリトン人の老夫婦にくっついて修道院から
逃げ出したんですから。どうぞ怒鳴りつけて、殴ってください。でも、償う方法がある。といまおっ
しやいました。昨夜の恥をすすぐ方法があるなら、それを教えてください、戦士さんどんなことでも
一所懸命やります」

エドウィンがこれを言おうとしたとき、母の声がして、小屋の中に響き渡った。だから、実際に目に
出して旨ったかどうかよくわからなかったが、たぶん言ったのだろう。ウィスタンがこう答えたから。

「君を勇気だけで選んだと思っているのか、若き同志。君にはすばらしい。勇気と戦士の魂がある。
今回の用事を無事終えることができたら、真の戦士になるために必要な技を教えよう。確かにいまの
君はまだ荒削りで、刃と呼べる段階にはない。それでも、ほかの誰でもなく君を選んだのはな、エド
ウィン、君が戦士の魂に劣らぬ狩人の才を持っていると見たからだ。このニつを持ち合わせる人間は
めったにいない」

「狩人の才? まさか、戦士さん。狩りのことなんか何も知りません」
「子狼は、母狼の乳を飲んでいるときから、山野にいる獲物のにおいを嗅ぎ分ける。それは天賦の才
だ。自然からの贈り物だと思う。わたしの熱が引いたら、一緒にあの山々に分け入ろう。どの道を行
くかは、きっと空か君にささやきかけてくれる。そして、わたしたちはすぐに雌竜の巣の真ん 前に立
っているだろう」  

「戦士さん、見当違いじやないかと思います。だって、ぼくの親族に狩りの技を誇った人はいません
し、ぼくを狩人とみなした人もいません。戦士 の魂があると言ってくれたステッフアだって、狩りの
技のことは何も言っ ていませんでした」

「では、わたし一人で思っていることにするよ、若き同志。少なくとも君 は自信通則ではなかった
、と言おう。熱がドがったらすぐ束の山に向かって出発だ。どんな噂でも、クエリグの渠はそこにあ
ることになっている。途中、分かれ道に出たら、わたしは常に君の行くほうに従うよ」

いつわりが始まったのは、そのときだ。エドウィンがいつわろうとした わけではなく、まるで小妖精
のようにするすると暗い隅から出てくるそれ を歓迎したわけでもない。母の呼びかけがつづいてい
た。

「わたしのために 強くなっておくれ、エドウィン。おまえはほとんど大人だ。強くなって助けにき
て」戦士の面前で名極‥を回復したい強い思いもあったが、それより むしろ母を慰めたくて、エド
ウィンはこう言っていた。

「妙です、戦士さん。あなたがそう言っただけで、ぼくにはもう雌竜の気 配が感じられます。風に
漂うにおいというより、風で届く味わいが。ぐず ぐずせずに出かけましょう。この感じがいつまで
つづくかわかりません」

 Mar. 5, 2015

そう言いながら、エドウィンは心の中に急速に広がるある光景を見てい た。野宿しているところに
踏み込んで、仰天させている。やつらはt円形 になってすわり、母が逃れようと必死でもがくとこ
ろを黙って見ている。いまではもう大人になっているだろう。たぶん髭を生や,でっぷりと大ってい
る。もう、あの日、威張りくさって村に入ってきたすばしこい若者たちではない。図体のでかい粗暴
な男ども。慌てて斧に手を伸ばすが、エドウィンの背後に戦士を見て、その目に恐怖が宿る……。だ
めだ、どうして戦士をいつわれるだろう。ぼくの師であり、ほかの誰よりも敬っている大、その戦士
をいつわるだろう?だが、目の前でウィスタンが満足げにうなずきながら言っている。「君を見てす
ぐにわかったよ、 エドウィン,川岸であの鬼どもから助け出したときにもうわかった」と。

エドウィンはやつらが野宿しているところに踏み込み、母を助ける。図体 のでかい男たちは殺され
る。いや、山の霧の中に逃げ込むなら見逃してや ってもいい。でも、そのあとどうなるだろう。ぼ
くは戦士に説明しなけれ ばならない。差し迫った用事をすませに急ぐ途中、ぼくがなぜ戦士をいつ
わることにしたのかを………撤回するにはもう遅すぎると感じその苦しい思いから気をそらそうとし
て、エドウィンは言った,

「戦士さん、お聞きしたいことがあります・生意気だと思われるかもしれませんが・・・・・」
ウィスタンはまた暗闇の中に退き、ベッドに崩たわろうとしていた。い まエドウィンに見えるのは、
ゆっくり左右に揺れる裸の片膝だけだ。

「言ってみろ、若き同志」
「不思議に思っているんです、戦士さん。あなたとブレヌス卿との間には 何か特別な遺恨があるん
でしょうか。さっさと修道院から逃げていれば、半日分はクエリグに近づいていられたはずなのに、
用事をわきに置いてまで兵隊と戦うことにしたのは、よほど大きな理由があったんでしょうか」

沈黙があまりに長くて、この息苫しい空気の中で戦士は気を失ったのか、とエドウィンは思った。だ
が、その間も膝はゆっくりと動きつづけていて、やがて暗闇の中から声が聞こえてきた。さっきまで
あった熱による かすかな震えが、いまはもう感じられなくなっていた。

「弁解の余地はないな、若き同志。ばかさ加減を白状するしかない。なす べきことを忘れるなとい
う神父からのありがたい忠告もあったのにな。君の師匠の決意などそれほど頼りないものだ。だが、
わたしは何よりもまず戦士なのだ,勝てるとわかってる戦いから逃げるのは難しい。君の言うとおり
、わたしたちはいまごろ雌竜の巣穴の前に立ち出てこいと叫んでいられたかもしれない。だが、相手
がブレヌスと知り、直接出向いてくることもありえたとなると、どうしてもとどまって歓迎してやら
ざるをえなかった」
「では、ぼくの思ったとおり、ブレヌス卿との間には遺恨があるんで ね、戦士さん」

                           カズオ・イシグロ 『忘れられた巨人』

                                      この項つづく 

  ● 今夜の一曲


                      
                                 

   


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