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ポストエネルギー革命序論19

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6.雍 也 ようや
ことば------------------------------------------------------------------  
力足らざる者は、中道にして廃す。いまなんじは画(かぎ)れり」(12)
「質、文に勝てば野。文、質に勝てば史。文質彬彬(びんびん)として、
然る後 に君子」(18)
「人の生くるや直し。これなくして生くるは、幸いにして免るるなり」
(19)
「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者
にしかず」(20)
「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」(23) 
------------------------------------------------------------------------- 
2 仲弓(雍)が孔子に、子桑伯子の人物評を求めた。「寛大で立派な人
物だよ」
「自分には厳しく、他人には寛大である、というなら政治家として申し分
ないと思います。しかし、他人に対して寛大で、自分にも寛大であるとす
れば、これはルーズなのではありませんか」   
孔子は言った。    
「そうだ。おまえの言うとおりだよ」   

〈子桑伯子〉 伝不詳。

仲弓問子桑伯子、子曰、可也、簡、仲弓曰、居敬而行簡、以臨其民、不亦
可乎、居簡而行簡、無乃大簡乎、子曰、雍之言然。

Zhong Gong asked about Zi Sang Bo Zi.
Confucius replied, "Not bad. He is generous."
Then Zhong Gong said, "If he is both prudent and generous, and he
associates with the people with prudence, he is quite good. But if 
he is only generous, he is too generous."
Confucius said, "I agree with you."

※問題なのは「自己評価」。往々にして、最適解がなく、日和る。



【ポストエネルギー革命序論19】



WO2017/138392 


 

生分解性プラスティク製造販売事業は広範である。わかりやすく言うと、
手術用縫合糸のように一定時間経過後に体内分解融合機能であり、フィル
ム、硬質容器、繊維など様々であり、「鋼→生分解+α(熱・光・触媒)」
の極端な変化をもつ自己・補助分解性をもつ次世代型材料・素材製造・販
売事業。コスト?技術や安全性がクリアできれば政府産助(支援)でクリ
アできる。




【シカゴ-クリーブランド間ハイパーループ 米政府資金援助へ】

5大湖ハイパーループシステムの連邦資金準備が整いつつある、最近可決
された予算法案はハイパーループのような新しい交通手段が規制指導と監
視が許認可される見通し。現在、実現可能性調査段階のシステムは、シカ
ゴ-クリーブラン間を時速730マイル(約1175キロので超高速で移動
できる、中西部全域の追加ルートへの道を開くことになる。 乗客は、部
分真空に保たれたパッシブ磁気浮上技術を使用して、閉じたチューブを通
ってほぼ音速でカプセル内を移動。米国下院は、米国運輸省(DOT)内の
ハイパーループプロジェクトの規制枠組み製造の資金提供を承認。2020年
の交通、住宅および都市開発の予算案では、非伝統的新興交通技術(NETT)
評議会に、規制上のギャップを特定し、ハイパーループプロジェクの安全
および環境プロトコル開発の500万ドルを提供。この法案は「運輸収用法
案に5大湖ハイパーループプロジェクトの前進資金が含まれる、また、議
会が、国の将来の交通システム上のハイパーループの認識を示し、クリー
ブランド-シカゴ間のNOACAとそのパートナー間の高速交通を変革する。
革新的交通ソリューションと最終的には5大湖地域を結ぶこの最先端の交
通事業に長年取り組んできたことによる。

オハイオ州の第9議会地区の代表氏は、これは、この重要事業を前進させ
重要なステップ。この地域にハイパーループをもたらすことは、経済成長
を促進し、雇用を創出、迅速かつ効率的に移動する能力を強化し、何百万
人ものアメリカ人の日常生活を改善すると語る。NOACAは、2019年秋まで
に完成予定のHyperloop Transportation Technologies(HTT)と提携し、
実行事前協議を実施する。それに伴いHTTは、ビブラニウム(?)と呼ばれ
る鋼鉄よりも強度が5倍で軽量の新素材カプセルの開発途上にある。

【単結晶ペロブスカイトで変換効率21.09%を記録】

5月7日、サウジアラビアのキングアブドゥラ科学技術大学(KAUST)の研
究グループは、単結晶ペロブスカイトの成膜方法を開発し、21.09%の記録
的な光電変換効率を達成したことを公表している。KAUSの最新のブレーク
スルーは、この技術開発のハードルの不安定性にあり、結晶が無秩序な成
長による結晶の粒界に現れる欠陥の克服に着目する。


【概説】

溶液空間制限逆温度結晶成長法を用いて、電荷選択接触上に成長させた
20μm厚の単結晶メチルアンモニウムアンモニウムトリヨージド(MAPbI3)
ペロブスカイト(吸収体層として)は21.09%に達する電力変換効率と最
大84.3%の充填率を有する太陽電池をもたらす。これらのデバイスは、
ペロブスカイト型単結晶太陽電池に新たな記録を打ち立て、ペロブスカイ
ト型太陽電池の高い曲線因子を達成の道を切り開いた。   過去数年間だけで、ハイブリッドメタルハライドペロブスカイト材料は、
低温処理太陽電池の分野に革命をもたらし、最も確立された数十年前の商
業用光起電力技術と競合する電力変換効率(PCE)を有する装置を提供。
今日まで、ペロブスカイト型太陽電池(PSC)研究は、主に多結晶PSC(Pc-
PSC)であった。(1)Pc-PSCの記録効率は、現在24.2%PCEであり、理論
的なShockley-Queisser限界(SQL)からはまだかけ離れているが、これは、
三ヨウ化メチルアンモニウム鉛をベースとする単接合セルのMAPEである
30.5%PCE,(2)SQLに近づくためには、デバイスのフィルファクタ(
FF)(MAPbI3 PSCのためのSQLでFF≒90%)の改善が不可欠であ
り、これは全体的なPCEに寄与。 FFの損失は主に無放射バルクと界面キャ
リアの再結合に関する理想係数によって支配され、FFはおそらくPc-PSCを
改善の最も困難な性能指数となる。多結晶薄膜は、その固有の結晶粒径と
表面欠陥のため、かなりの寄生的な無放射キャリア再結合を示す。

理論的には、単結晶ペロブスカイトは、多結晶体と比較して桁違いに低い
欠陥密度と長いキャリア拡散長を持ち、PSC 技術が多結晶薄膜の限界を克
服し、近づく機会を提供。残念なことに、厚さ制御や一般的にはデバイス
に適合しない溶液成長条件なため、単結晶ベースの PSC(SC)の開発には
ほんの一握りのグループしか関与せしていない。2017年のHuang らによる
報告では、SC-PSCが最も高くなった(PCE 17.8%、FF 78.6%))。

ここでは、PCEが21.09%に達し、FFが最大84.3%に達する(1日当たりAM
1.5Gの下で)非常に効率的なSC-PSCを実現しています。これらのデバイス
は、反転ピン構造の厚さ約20μm のMAPbI3単結晶吸収層をベースとする、
SC-PSC PCEの新しい記録と、PSCが目指すべき潜在的な FFの新しいベンチ
マークを打ち立てた。結晶は、単純な溶液空間限定逆温度結晶成長法を用
い成長させた。これらの結晶の結晶構造および光吸収端は典型的なMAPbI3
の単結晶のものである。MAPbI3  SC-PSC の走査型電子顕微鏡(SEM)断面
画像(図1a)は、活性領域がピンホールおよび粒界フリーである(図3
の上面図のSEM画像も参照)。滑らかな表面は電荷輸送層の完全な被覆
を可能にし、直接的な結晶 - 金属 - 電極接触を妨げる。このデバイスは、
ITO /ポリ(トリアリールアミン)(PTAA)/ MAPbI3 単結晶/ C 60 /バソ
クプロイン(BCP)/銅(Cu)のアーキテクチャを採用しており、対応する
エネルギーバンド図は図1bに示されています。デバイスの結晶の厚さは通
常約20μm。

尚、このブログでも掲載している東京大学らの研究グループが。7月4日
にペロブスカイト太陽電池ミニモジュールで20.7%の変換効率を達成して
いるが、❶カリウムドープペロブスカイトを用いることで小面積の単セル
(0.187cm2)で22.3%、三直列のミニモジュール(2.76cm2)で20.7%の
変換効率を達成。❷これまで、さまざまな組成のペロブスカイトを用いた
小面積のペロブスカイト太陽電池の単セル(0.1cm2以下の面積)で20%を
超える変換効率を示すペロブスカイト太陽電池は多数報告されていたが、
大きな面積の直列モジュールで20%を超える世界最高効率。❸高性能低コ
スト太陽電池として、世界的な研究開発競争が進められているペロブスカ
イト太陽電池の実用化に道を開く。

 



東大瀬川研究グルーの慣例特許事例を掲載しておく。

特開2019-046935 光電変換素子及び太陽電池モジュール
特開2018-147964 複合体の加熱方法、複合体の加熱装置及び光電変換素子



黄昏の日の丸太陽電池、もう結晶シリコンでは勝てない
タンデム型、ペロブスカイトは救世主になるか

❶太陽電池分野において、日系企業の影が一段と薄くなっている。生産・販
売量ともに減少、今後の生き残りの戦略が問われている。❷一方、に海外メ
ーカーは積極的な投資を展開しているが、中国勢でも淘汰の波が押し寄せて
いる。
❸今後の再生可能エネルギーの普及を考えれば、日本勢が太陽電池の分野か
ら手を引くのはまだ早い。

なぁ~に、知恵と気力で復元させようではないか ^^;。

   



【続・引き寄せられる混沌Ⅷ:7040問題を考える】 

第六章 債務問題はこう考えればいい
6-4 債務問題の正しい捉え方
6-4-1 債務問題は緊急課題ではない
じつは、小さな政府論者が重要視している「債務問題」は、ほとんど 「幻
影への恐れ」といえるもので、それを根拠にして「歳出削減」を唱える こ
とにはまったく合理性がありません。債務残高が問題だという主張の根拠な
るものは、「対GDP比債務残高」の大きさです。たしかに、日本の対GD
P比債務残高は世界的に見て驚異的に高くなっています。しかし、もしこれ
が「問題」だとしたら、日本の国情の金利は高くなっていなければなりませ
ん。なぜなら、「債務が問題だ」ということは、「デフオルトの危険が高い
と見なされて、低利での追加的な国債発行、つまり、新たな借金ができなく
なる可能性が高くなる」ということであるはずだからです,ところが、ご存
じのように、とくに、市場からの大量の国債買い付けを中心とする日銀の異
次元の金融緩和以降、日本国情の金利はなんと1パーセントを切って、(2
014年秋で)O・6パーセント程度という 「超低金利」が続いています。
その分、日銀が保有する国債の総額が大幅にふくらんでいます)金利が低い
ということは、「そうした低い金利でも国債を買おうとする経済主体、つま
り、日本政府に喜んでお金を貸そうとする経済主体が多い」ということです。
現実の日本国債の市場を見る限り、「他の国と比べて日本のデフオルトの危
険が高い」と見ている人はほとんどいないといえます。ここから明らかなこ
とは、「表面的な対GDP比債務残高の大きさは、デフオルトの可能性の大
きさとは無関係だ」ということです。なぜそうなのか。それは、「誰から借
金しているか」が重要だからです。第1章で、日本の国債保有者のほとんど
が「国内の金融機関ないし個人」だということを述べました。図表1‐1で
明らかなように、「海外投資家の国情保有残高」は2014年9月で4・8
パーセントにすぎません。政府短期証券を含めた「政府の借金全体」につい
て見ても、8・9パーセントです。ここ数年は、このくらいの割合で推移し
ています。もう一つ重要なのが、じつは「国内で保有されている国債」も、
その多くが「政府関連機関」によって保有されているということです。これ
には、日本銀行のほか、(政府が100パーセントの株主となっている)ゆ
うちょ銀行とかんぽ生命、それに「年金特別会計」と「年金基金」とがあり
ます。これらが保有している国債の割合を合計すると、全体の5割を超える
と推定されるのです。こうした保有主体の「国債の価値と信用」に関する利
害関心は政府とほとんど一心同体です。価値と信用を損なうような行動をと
る可能性はゼロといっていいでしょう。国内の民間金融機関も似たようなも
のです。日本の債務残高が問題で、日本財政が破綻するかもしれないと強く
警鐘を鳴らしているある著者自身が証言していることですが、ある国の財政
破綻が起こるのは、財政赤字の穴埋めを「外国投資家」からの借金に頼って
いて、その外国投資家が一斉に資金を引き揚げたり、追加的貸し出しをやめ
るときです(天達泰章『日本財政が破綻するとき国債金融市場とソブリンリ
スク』日本経済新聞出版社、2013年)。それはそうでしょう。外国投資
家にとっては、投資先の政府や国民がいかに困ろうとも、知ったことではあ
りません。金融テクノロジーを駆使していかに収益を土げるかだけが最大の
関心です。儲かると思えば投資しますが、いったん儲けの機会がなくなった
と思えば資金を引き揚げていきます。その上、なかには意図的に空売りを仕
掛けて投機的に儲けようとすることさえあります。幸いにして、日本の国債
のほとんどは、そのような不安定で投機的な投資家によっては保有されてい
ません。しかも、そのことは、市場も十分に知っています。だからこそ、超
低金利が維持されているのです。

6-4-2 政府の借金は国民の資産:未来へのツケではない
よく「国の借金総額は、国民一人当たり846万円にもなっており、これは
未来世代が抱え込む借金としてツケが回されることになる」というふうにい
われます,あたかも、親の借金がそのまま子どもに残ってしまい、その返済
に子どもが苦しめられる、という見方です。この見方は、完全に間違ってい
ます。にもかかわらず、世の中では「財政再建がなされないと、ツケが未来
世代に回されることになる」とか、「社会保障費を削減することで、未来世
代の負担を軽減することができる」というような考えが、「疑うべからざる
《真理》」としてまかり通っています。マスコミに登場する論者のほぼ10
0パーセントが、この前提で議論しています。キャスターたちもそうです。
この人たちは、国(本当は、政府)の借金を減らすことは、現在のわれわれ
世代が未来に対して負っている「道徳的責任」であり、それゆえにこそ、何
とかして社会保障費を削減したり「行政のムダ」を省いたりして、財政再建
を図らなければならないと考えています。それは「子どもに借金を残したま
ま死ぬわけにはいかない」という親の責任感と同じものです。  

たしかに、個人の場合には、子どもに借金を残して亡くなるのは、親として
よくありません。そうした親であってはならないという感覚は、正しいもの
です。しかし、国(本当は、政府)の借金問題を、個人のそれと同じような
ものだと考えるのは、決定的に間違いなのです。それが間違っている根本的
な理由は、「政府の借金は、国民の資産」だからです。国民が借金している
わけではありません。借金しているのは、あくまで政府です。そして、その
政府にお金を貸しているのが、まさに国民なのです。国民は、直接的にはご
くわずかですが、間接的に、銀行預金、ゆうちよ銀行への預金、各種保険会
社への保険債権、年金保険料の積立金(これは、特定の個人のものではあり
ませんが)などの形で膨大な資産を保有しています。資産を預けられている
そうした諸機関が、資産運用の一部として、国債を保有しているわけです。
したがって、間接的ではありますが、政府にお金を貸している最終的な主体
は国民にほかなりません。個人が借金する場合、通常、お金を貸してくれる
のは銀行であったり(家族外の)他の個人です。したがって、「親の借金」
は、「家族外の誰かからの借金」になります。それを返そうとすると、家族
の全員にその負担が生まれます。ところが政府の借金は、(あくまで日本の
場合ですが)国民から借りたものです。国民は貸している側であって、借り
ている側ではありません。したがって、かりに、政府の借金を返さなければ
ならない事態が生まれたとします,そのとき、その返済金は誰が受け取るの
でしょうか,それはほかでもありません。国民です。この構図は、家族のた
とえを用いると、「父親が子どもに借金している」ようなものです。その借
金がかりに1000万円という巨額であったとしても、それは決して「子ど
もの将来の負担」にはなりません。もし親がその借金を残したまま亡くなっ
たとしても、子どもはただ単に「親に貸していた1000万円が戻ってこな
い」ことになるだけです。むろん、それは困ったことですが、「1000万
円の借金を受け継ぐ」ことには決してなりません。このように、政府の借金
は決して未来世代へのツケではないのです。  

6-4-3 もっとも、債務は「制御下に置く」ことが重要
当然のことながら、今のたとえ話と追って、政府はこの国民への借金を「踏
み倒す」ようなことをしてはなりません。それは国民の資産なのですから、
もしそれが「踏み倒される」とすれば、国民の資産が消えることになってし
まいます。それは、国民経済に恐ろしい混乱をもたらすでしょう。その点こ
そがまさに「デフオルト」の問題と直結しています。「踏み倒す」とは一債
務不履行」ということであり、「デフオルト」にほかなりません。「踏み倒
さない」ということは、返済期限の来た債務を約束通りに返すということで
す,これが「国債の償還」です。償還が約束通りに実施され続けている限り、
国債への信頼は維持され、債務についての問題は何も発生しません、もっと
も、現在のところ、この償還は新たに国債を発行することで賄われています。
それはじつは年々100兆円を超える巨額に上っています。つまり「借り換
え」で凌いでいるわけです。これについては、当然、注意深く考える必要が
あります,現在は、償還を迎えている国債を保有している日本の金融機関は、
他に資金を運用するより良い選択肢が少ないため(つまり、民間の資金需要
=投資意欲が低迷しているため)、借り換えをすることに何の困難も生じて
いません。しかし、皮肉なことですが、もしも日本経済の景気が良くなって
くると民間の資金需要が増えてきますから、国債の借り換えの際の金利が上
がる可能性はあります。そうすると、歳出における「利払費」が増大します。

それを賄うためには、公債金収入を増やさなければなりません。それは、債
務残高の純増である「公債金収入-債務償還費」を増やすことになります。
つまり、債務の増大のしかたがさらに拡大してしまうということです。利払
い費が増え九分だけ公賃金収入が増えたとしても、プライマリー・バランス
には変化は生じませんが、債務の増大のしかたが拡大することは望ましいこ
とではありません。もっとも、利払い費が増えたとしても、その分税収が増
えていれば、公債金収入に頼らなくてすみます。税収が増えるということは、
すなわち、経済が着実に成長しているか、もしくは増税で税収基盤が拡大し
ているか、あるいはその両方があるということです。利払い費が増えても、
それに見合うだけの税収増加あれば、プライマリー・バランスの赤字も減少
していきます。このようにして、借金は必ずしも未来世代へのツケではあり
ませんが、やはり結局のところは、何らかの税収増によって、債務の増大を
コントロ ールすることは必要です。

6-4-4 もう一つの問題は、間違った政策の根拠にされること
以上見てきたように、債務問題については多くの誤解がつきまとっており、
それが「危機的状況にある」というのはまったくの間違いですが、問題が完
全にないかといえば、それも正しくないでしょう。基本的に、現在の政府の
財政構造は褒められたものではありません。ここでとくに注意しなければい
けないことは、「表面的な債務残高の多さ」と「財政における借金依存体質」
という事実から、「だから歳出削減が必要だ」という主張がもっともらしく
見えて説得力を持ってしまうことです。実際、すでに見たように、今日、多
くの経済学者たちが「社会保障費は削減すべきだ」と主張していて、その方
向で制度の改悪が行われる可能性は小さくありません。また、財源難問題の
ために、これまでずっと「少子化対策」や「介護問題」などの、国民生活に
とって重要度のきわめて高い政策の展開が妨げられてきました。  

このことを考えると、債務問題はなるべく早期にある種の「決着」をつけて
しまうのが望ましいといえます。つまり、主流派経済学からの間違った理論
に基づく間違った政策提言が出てくるのを防ぐためにも、その提言の一つの
根拠とされている「債務問題」をなくしておくことが、日本経済のために必
要なことなのです。債務問題を「決着」させるためには、「増税」は避けて
通れません。経済成長がないとした場合には、プライマリー・バランスをゼ
ロにするという目標だけでも18・O兆円分の増税が必要になります。消費
税にして、約7バーセントです。もちろん、実際にはある程度の経済成長が
あるでしょうし、本書が主張するような政策が展開されれば、より確実に経
済成長が見込めます。それに、「急いでゼロにする」必要もありません。し
たがって、近いうちに7パーセントもの消費税アップが必要になると考えな
くて大丈夫です。債務問題に対する当面の戦略は、「プライマリー・バラン
スの赤字を着実に減少させていく」という目標で十分です。ただ、この目標
を着実に遂行していくということは、毎年の税収の増元方が、政策的経費へ
の支出の増え方を上回っているということです。これだけを考えると、どう
しても「政策的経費の支出削減」という圧力が強くなります。しかし、それ
では「歳出削減路線」に逆戻りになってしまいます。この逆戻りを防ぐため
には、何らかの「中期的な計画」を示す必要かおるでしょう。それは法律と
してではなく、内閣の「方針」というレベルで十分ですが、中身としては、
「一定の控えめな経済成長と税の自然増の見通し」「段階的な消費税のアッ
プ」そして「社会保障を中心とする政策の充実の計画」とがセットになりま
す。一連の「シナリオ」といっていいでしょう。

何よりも重要なことは、そこにおいて、「社会保障を充実させながら、経済
を確実に成長させることができ、国民の生活がより豊かなものになっていく
」という見通しを明確に示すことです。それは決して不可能なことではあり
ません。しかし、残念ながら、1973年の第一次オイルショック以降の4
0年以上にもわたって、そうした「明るい展望のある将来見通し」が政府に
よって提示されることはありませんでした。むしろ逆に、「債務がどんどん
増えて大変だ」「国民負担率が上昇する」「年金が破綻する」などといった
「悲観的見通し」だけが政府(というよりも、個別の府省)から発信されて
きました。今や、少予筒齢化という現実的な課題を目の前にして、そうした
悪しき伝続から脱却すべき時期にさしかかっています。これは、少子高齢社
会という現実を踏まえながらも、日本経済の新しい発展を導くものになるで
しょう。

   盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』 
                第六章 債務問題はこう考えればいい

                           この項つづく    
               
         
 

●滋賀のパワースポット「絶景スポット」

 

    


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