彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫”と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
成のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクター。愛称
「ひこにゃん」
14 憲 問 けんもん
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「士にして居を懐(お)うは、もって士となすに足らず」(3)
「貧にして怨むことなきは難く、富みて馴ることなきは易し」(11)
「古の学者はおのれのためにし、今の学者は人のためにす」(25)
「君子は、その言のその行ないに過ぐるを恥ず」(29)
「人のおのれを知らざるを患えず。おのれの能無きを患う」(32)
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42 子張はたづねた。
「書経によると、殷の高宗は父の喪に服している三年間、政治につい
て発言しなかったそうですが、それでも支障はなかったのでしょうか」
孔子は答えた。
「高宗だけではない。むかしは例外なくそうであった。主君が喪に服
している三年間は、すべての役人は自分の責任で事務を処理し、指揮
は宰相に仰いだものだ」
子張曰、書云、高宗諒陰三年不言、何謂也、子曰、何必高宗、古之人
皆然、君薨、百官總己以聽於冢宰三年。
Zi Zhang asked, "In the Shu Jing, 'Gao Zhong never spoke for
three years in mourning' Why did not he speak?" Confucius
replied, "Not only Gao Zhong. All of the ancient people never
spoke in mourning. When a monarch passed away, all officers
finished their work and obeyed the regent's order for three
years."
❐ ポストエネルギー革命序論 224:アフターコロナ時代㉞
♘ 現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散の時代」>
⛨ コウモリが多数のウイルスを媒介するメカニズム
コウモリはエボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスや重症急性
呼吸器症候群(SARS)を引き起こすSARS-CoV、中東呼吸器症候群(
MERS)を引き起こすMERS-CoVなどを媒介する。ところで、2020年
を通し流行し続けている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を
引き起こすSARS-CoV-2もコウモリ由来のウイルス。
図1 In vitro AIM2再構成がコウモリ細胞のASCスペックを復元
ところで、細胞死や炎症を含む多数のプロセスにおいて中心的な
役割を果たす「カスパーゼ-1」や、炎症反応を引き起こす炎症
性サイトカインの一種である「インターロイキン-1β」のレベ
ルを低下させるメカニズムをコウモリは有していることを、シン
ガポール国立大学の研究グループが突き止めた。さらに、カスパ
ーゼ-1とインターロイキン-1βのバランスを細かく調整するこ
とで、インターロイキン-1βの成熟を阻害する機能をもつこと
も突き止めている。こうしたメカニズムがコウモリが人獣共通感
染症のウイルスを保有しつつ、感染しない要因になっていること
を説明しており、人間の場合は過活動性の炎症反応を抑制すると、
加齢による衰えを防いで長寿になることが知られています。今回
の発見は、人体における感染症の制御や治療に関する新たな戦略
の開発につながる可能性がある。
❏ Complementary regulation of caspase-1 and IL-1β
reveals additional mechanisms of dampened inflammation
in bats:カスパーゼ-1とIL-1βの相補的調節により、コウモリ
の炎症抑制の追加メカニズムの解明
【概要】コウモリは、最小限の臨床疾患で多様な範囲の非常に致
死的な人獣共通感染症ウイルスを宿すユニークな哺乳類ベクター
として登場。 AIM2の完全なゲノム喪失が持続しているにもかか
わらず、コウモリの下流インフラマソーム応答の調節は不明。細
胞質DNAのAIM2センシングは、ASC凝集を引き起こし、中心インフ
ラマソームエフェクター酵素であるカスパーゼ-1を動員し、IL-
1βなどのサイトカインの切断を引き起こし、GSDMDを介したアポ
トーシス細胞死を誘導する。コウモリ細胞におけるAIM2の回復は、
無傷のASCスペック形成をもたらしたが、カスパーゼ-1の欠如ま
たはその結果としてのIL-1β活性化をもたらした。さらに、Pt-
eropus alectoカスパーゼ-1で正の選択圧を受け、その酵素機能
を無効にし、ヒトカスパーゼ-1活性に重要な2つの残基を特定し
また。別のコウモリ系統の機能分析により、MyotisdavidiiIL-1β
切断の喪失の標的メカニズムが明らかにし、カスパーゼ-1とIL-
1βの間の逆相補関係を解明、両方のサブオーダーのコウモリ全
体でシグナル伝達が全体的に減少した。したがって、コウモリの
下流インフラマソームシグナル伝達をさらに弱体化させ、病原体
に対する過剰な免疫応答を制限する一方で、アテローム性動脈硬
化症、老化、神経変性などの疾患に耐性のある抗炎症状態を引き
起こす可能性がある戦略を提供する。
✔自然免疫機構は、病原体の構成成分をパターン認識受容体によ
り感知し、感染防御応答を誘導する。また、自然免疫機構は、過
栄養摂取により蓄積する自己代謝物や大気中の汚染物質に対して
もパターン認識受容体を介して反応するため、生活習慣病や肺炎
などの炎症性疾患の発症要因ともなる。パターン認識受容体によ
る異物の感知から炎症性サイトカインやI型インターフェロンの
産生に至るまでの情報伝達には、様々な翻訳後修飾系が関わって
いる。
⛨ 自己の細胞が何らかの傷害、ストレス等を受けることで内在
する自己分子の放出が起こると考えられる。U11snRNAはその際に
放出されるRNA の一つであり自己免疫疾患の病態と相関して血清
中で増加する。U11snRNAは他のRNAと比較して強いTLR7リガンド活
性を有しているため、TLR7を発現するさまざまな細胞において、
I型IFNや炎症性サイトカイン等を誘導することで病態の発症や増
悪に寄与すると考えられる。またKN69はU11snRNAに直接結合する
ことで、そのリガンド活性を抑制する。これらの発見、成果は、
TLR7が関与するさまざまな疾患の発症や増悪のメカニズム解明に
繋がることが期待される。また、化合物やアンタゴニストは、TL
R7の関与する疾患の治療薬として、アゴニストは感染症やがんに
対するワクチンの効果を高めるアジュバントとしての開発がそれ
ぞれ期待される。(自然免疫応答を活性化する新たな自己RNA を
同定— 自己免疫疾患、炎症性疾患の原因解明、治療薬開発に期待 —
東京大学 先端科学技術研究センタ)
⛨ ネアンデルタール人の遺伝子がコロナ重症化の原因
➲リスク3倍、東アジアとアフリカはほとんどなし
現在の人類と一時は共存し、4万年前に絶滅したネアンデルター
ル人。わたしたちの体内にある彼らの遺伝子が新型コロナの重症
化と深く関わっていることがわかったという(ネアンデルタール
人の遺伝子がコロナ重症化の原因 リスク3倍、東アジアとアフ
リカはほとんどなし、AERA dot.)。東アジアでなぜ、新型コロナ
ウイルスの死者数が少ないのかの「ファクターX」の謎に有力な
仮説が登場。約6万年前、ネアンデルタール人との交雑で受け取
った遺伝子が、重症化のリスク要因というもの。独マックス・プ
ランク進化人類学研究所の研究グループは、ヒトには23対、計46
本の染色体の、ここに全てのDNAが 収まっており。これまでの研
究で、新型コロナの患者約3千人から、重症化の遺伝的要因とし
て23対のうち3番目の染色体が関与している可能性があり、この
遺伝子領域を調べたところ、南欧で見つかった約5万年前のネア
ンデルタール人と類似していることが判明、この遺伝情報は約6
万年前にネアンデルタール人との交配によって現代人の祖先に渡
ったというから驚きである。
研究グループが世界各地の遺伝情報と比較した結果、少なくとも
両親のどちらかからこの遺伝子を受け継いだ人は欧州で16%、イ
ンドなど南アジアで50%。最も割合が高かったのはバングラデシ
ュの63%だった。一方、東アジアとアフリカにはほとんどいなか
った。この分布に従うと、新型コロナの死者数が東アジアで少な
い半面、欧米やインドなどでケタ違いに多く、英国では、バング
ラデシュにルーツを持つ人の新型コロナの死亡リスクが英国白人
より2倍高いと報告されている。同グループでは、ネアンデルタ
ール人の遺伝情報を持つひとは新型コロナ感染の重症化リスクが
最大3倍になる。ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子をめ
ぐっては、C型肝炎ウイルスに対する免疫力を高める。重症化の
一番の危険因子は年齢だが、その次にネアンデルタール人から受
け継いだ遺伝子で、もし両親のどちらかから受け継いだ場合、感
染により重症化するリスクは年齢が10歳上であるのと同等に両親
の両方から受け継いだ場合には20歳上であるのと同等になると推
測する。
🖰 高まる新薬開発の期待
特定の遺伝子やその遺伝子が作るたんぱく質の関与を突き止める
と、そのたんぱく質に結合する分子や抗体から治療薬を開発する
ゲノム創薬につながる。ファクターXの候補としてはBCGワクチン
接種の影響(➲交差免疫)も挙がっているが、ネアンデルタール人
由来の遺伝子領域がなぜ重症化リスクと関連するかはわかってい
ない上、遺伝子から作られるたんぱく質の量は「生活環境や食べ
物によって変わる」などの後天的要素も無視できないが HIV治療
薬の標的分子である「CCR5」遺伝子が骨の代謝も調節することで、
HIV治療薬が 骨粗鬆症を始めとする骨吸収性疾患へのメリットを
もたらす可能性が明らかなっている。
✔ 新型コロナをめぐる「ファクターX」は一つではないかもしれ
ないが、世界の研究者が多面的な切り口で相関関係を示すことは、
治療薬の開発に欠かせないプロセスでもある。