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吉野杉の面皮と常温核融合

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる "招き猫”と、井伊軍団のシンボルとも言える赤
備え(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編成のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ
ー。愛称「ひこにゃん」

                     

15 衛霊公 えいれいこう
-------------------------------------------------------------
「人、遠慮なければ、必ず近憂あり」(12)
「これをいかん、これをいかんといわざる者は、われこれをいかん
ともするなきのみ」(16)
「君子はこれをおのれに求む。小人はこれを人に求む」(21)
「過ちて改めざる、これを過ちと謂う」(30)
「仁に当たりては、師にも譲らず」(36)
-------------------------------------------------------------
40 異なる道をえらんだ人間に、自分の道を理解させることは至
難である。(孔子)

子曰、道不同、不相爲謀。
Confucius said, "You should not consult with a person that
doesn't have the same aspiration as you."

 

   

 

吉野杉は、国産材のブランドのひとつ。主に奈良県中南部の吉野林
業地帯(主に川上村、東吉野村、黒滝村)が産地の杉。日本三大美
林の1つであるが、わたしのふるさとの原風景でもある。
多々ある杉の中で、高級のブランド材の一つとして有名。産地は斜
面が多く、ヘリコプターなどを使用して搬出されることもある。伐
採後すぐに森から搬出せず、「葉枯らし」という乾燥処置を半年程
度行う。江戸時代から昭和初期にかけては酒樽や樽丸の生産を目的
としたため、植栽本数は1ha当たり8,000〜10,000本という超密植で
ある。その後、弱度の間伐を数多く繰り返し、長伐期とする施行で
行われてきた。年輪幅が狭く、完満直通、無節、色目の良さなどか
ら、用材としても高く評価されてきた。楢や桜と比較すると軽く、
加工しやすいが、乾燥によって割れたり歪んだりしやすいので、高
級家具には適さず、身の回りの品々に使われることが多い。代々間
伐を続けて育てえてきた「250年の森」は森林セラピーのスポット。
その歴史は、明治期の吉野林業技術書『吉野林業全書』に記される
とおり室町時代から始まり、大阪城や伏見城の築城にも吉野材が使
われたという。伝統ある吉野林業は、平成10(1998)年の台風7号に
より大きな被害を受け低迷するが、現在は、活性化を目指してさま
ざまな団体が活発である。



一番古い木は、推定樹齢400年。一般的に山単位で考えるので、ひと
山すべて400年間守り育てている。一人の人間よりも長く生きている。
100年なら、大体3代続けて山を守るということになるので、400年
になれば単純計算して12人が管理してきたことになる。気候風土
木を育てるための肥沃な地力など吉野の山そのものは々でも、木を
必要とする人の生活が変わった。今までどおり木を切り出すだけで
はお金にならないし、海外から安い木材も買え、強度や品質が安定
している集成材もある。また、木以外を使う鉄筋住宅などもあり、
素材の幅が広がったことで、吉野材の需要は減る一方であるが、吉
野杉はツヤがあり美しく強い木材。細かくいえばいろいろある。節
が無い、年輪の幅が狭く均一でまん丸なものが多く木目が美しい。
ずっと同じ太さで真っ直ぐ。他に、薫りがよい。何より経年の変化
が違うのが一番でしょう。木材は使う前の、建材として開封した時
は綺麗ですが、使うほどに汚れたり劣化したりしていくが、密集し
て植え間引きする独自の育成方法により育つ樹齢が古い吉野材は、
年数が経てば経つほど深みを増すといわれ、ツヤとともに味がでて
くるのが特徴。現在行政では、A材は建築用材 B材はパルプ用材、
集成材C材はバイオマスの材料といった区分けをして林産物の需要
を拡大するといった施策を講じている。A材の上に特A材というも
のが今の行政からは外され、このA材と特A材を需要に結び付けて
いく、また付加価値を上げていく模索をし需用を広げていく努力が
求められている。 



需用開拓として吉野杉の面皮細工と透かし彫り細工が話題となって
いる。「面皮(めんかわ)細工」は吉野杉の年輪に刃を入れ、一枚
一枚手で剥いで作る木材を使って、曲げて籠のようにしたり、花の
形にしたりして室内を飾るオブジェや花器、小さな髪飾りなどのア
クセサリーや、一点物の小物やオブジェをデザイン制作し商品価値
を高める販促する。透かし彫りは、サンドブラスターで細かい砂の
ようなガラスを吹き付け飛ばすことで、硬い冬目だけを残し、ボー
ダーのような透かし文様をつくりあげるもの。かって、わたしもプ
ラズマカラーテレビ受像装置の開発でつかっていたもので懐かしい
が、年輪の幅が狭く均一な吉野杉の特徴を生かして、細かな文様を
つくる。透かし彫り作品のほか、吉野杉の年輪に刀を入れて剥ぎと
った面皮(めんかわ)を材料に、アクセサリーや髪飾りなど、一点
物の小物やオブジェや、サイングリップなどのディスプレイ(看板
・表札)を制作する。具体的な高付加価値商品なども奈良県下市町
在住の花井慶子さんのような若いクリエイターがいれば拡大成長し
ていくことは間違いないだろう。

  

ポストエネルギー革命序論 257:アフターコロナ時代 67
♘ 現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散の時代」



❂ 常温核融合から凝縮系核反応Ⅱ
常温核融合技術開発の概歴
常温核融合(Cold Fusion)とは室温で、水素原子の核融合反応が
起きるとされる現象。もしくは、1989年にこれを観測したとする発
表にまつわる社会現象。常温での水素原子の核融合反応は、トンネ
ル効果や宇宙線に含まれるミューオンによって実際に起きるという
仮説。常温で目視でき、実用的なエネルギー源として活用できうる
規模で起きたと主張されていた核融合反応を扱っている。2019年5
月現在、高いエネルギーを発生し工業的に利用できるような常温核
融合は成功していない。1989年3月23日にイギリス・サウサンプトン
大学のマーティン・フライシュマン教授とアメリカ・ユタ大学のス
タンレー・ポンズ教授が、この現象を発見したとマスコミに発表。
マーティン・フライシュマン教授とスタンレー・ポンズ教授は、重
水を満たした試験管(ガラス容器)に、パラジウムとプラチナの電
極を入れ暫らく放置、電流を流したところ、電解熱以上の発熱(電
極の金属が一部溶解したとも伝えられた)が得られ、核融合の際に
生じたと思われるトリチウム、中性子、ガンマ線を検出したとした
が、1989年の発表直後より数多くの追試が試みられたものの、多く
は過剰熱の確認ができず、過剰熱の観測に成功したとする実験でも
再現性は低かった。1989年4月、アメリカ議会はポンズ博士を呼ん
で聴聞会を開き、常温核融合実験のレポートについて審問を行った。
その結果、常温核融合の存在そのものについての疑問が持たれエネ
ルギー省を中心とした調査団が組織された。調査の結果、ポンズ博
士の実験はあまりに安易で杜撰な内容であったことが指摘され、8
か月後には、常温核融合が観察されたという確かな証拠は存在せず、
将来的なエネルギー源として研究する必要性はないという内容の報
告書が提出された。数々の疑問点を突き付けられたポンズはユタ大
学教授の地位を失い、1990年、家族とともにアメリカを去った。各
学会でも全面的に否定され、疑似科学扱いされるようになった。
また、今世紀最大の科学スキャンダルとなる。

追試結果と結末​
当時の東京大学学長で原子核物理学者である有馬朗人が「もし常温
核融合が真の科学的現象ならば坊主になる」と発言したとされた。
事件の背後には、別の観点からミューオン触媒核融合を研究してい
たブリガムヤング大学のジョーンズ教授との研究の先取権争いや、
研究資金の獲得競争、化学者と物理学者の対立、マスコミの暴走、
ユタ州とユタ大学の財政難を解消するための大学当局の政治的策謀
など、様々な要因が挙げられている。
発表当初は過剰熱を主張するフライシュマンらより中性子のデータ
を示したジョーンズの報告を信頼する科学者が多かった。しかしジ
ョーンズが後に自ら神岡鉱山内の背景中性子がほとんどない環境で
実験したところ、中性子はほとんど観測されなかった。マスメディ
アの報道が沈静化した1994年になって日本では通商産業省資源エネ
ルギー庁が新水素エネルギー実証試験プロジェクト(NHE)をスター
トさせた。これは常温核融合であるかどうかは別として、過剰熱が
あるならそれを利用しようという意図のもとに行われたプロジェク
トである。約30億円が投入され1998年に終了したが、その最終報告
は「過剰熱現象は確認出来なかった」「ヘテロ構造のPdからは統計
上有意と考えられる中性子ならびに重陽子照射によるDD反応の異常
増加が認められた。」というものであった。 2004年にアメリカエ
ネルギー省による常温核融合の再評価が行われており、"supportive
of the claim that excess energy is generated in the deuterium/
palladium system" (過剰なエネルギーが重水素/パラジウム系で発
生しているとの主張を支持)という過剰熱を支持する査読者もいた
ものの、結論として、その評価は1989年のものと基本的に変わって
おらず「現象がおきたという根拠はない」というものであった。

主な研究事例
北海道大学の水野忠彦、大森唯義は1996年に、常温核融合の正体は
原子核が他の原子核に変化する「核変換」現象だったという、当初
考えられていた常温核融合に対する解釈とはまったく異なる内容の
論文を発表している。これは反応により電極の表面にホウ素, ケイ
素, カリウム, カルシウム, チタン, クロム,亜鉛, 臭素, 鉛などの
多くの元素が生成され、その同位体比率が天然のものと異なるとい
うものである。これをフランスの研究者が再現試験を行い、その結
果をインターネット上で公開している。同様な核変換事例はアメリ
カ・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のジョージ・マイリー
(en:George H. Miley)など多くから報告されている。

東京工業大学の岡本眞實らは電解実験で使用した5本のPd陰極のSIMS
による分析データを公表。電流値を大きく変動させたサンプルの3本
中3本全てから電解中に中性子を観測、このサンプルからはトリチウ
ムが検出。また電解中に中性子も発熱もなかったサンプルの内の1本
の高温になった熱履歴が残るものがあり、死後の熱を経験したサン
プルと考える。このサンプルのデータにはLiの同位体比異常が記録
されており電極内部から 6Liが生成されていることを明らかにする。

岩村康弘(当時・三菱重工、2015年現在・東北大学特任教授)は、2001
年にパラジウム、酸化カルシウムの多層基板上にセシウムをつけて
重水素ガスを透過させセシウムからプラセオジムへの核変換が生じた
と発表。同様にストロンチウムからモリブデンへの核変換も報告した。
この実験系の再現性は100%と言われ多くの追試がなされており、大
阪大学、静岡大学、イタリア国立核物理学研究所(INFN it:Istituto
nazionale di fisica nucleare)で再現実験に成功したと報告されて
いる。1990年代前半にNTT基礎研究所でパラジウムの板(3×3×0.1
センチ)にマンガン酸化物を片面に被覆して重水素ガスを吸収させた
後、冷却してからもう一方の面に金を200オングストロームまで被覆
し、重水素が抜け出ないように処理してからその試料に電流を流す
と、突然発熱し、サンプルが曲がり、ヘリウムとHTのガスが放出さ
れ、4.5〜6メガエレクトロンボルトのα粒子と3メガエレクトロン
ボルト以下の陽子の放出が確認された。

2014年3月21-23日にアメリカ・マサチューセッツ工科大学 (MIT) で
開催された、常温核融合学会(The 2014 LANR/CF Colloquium)におい
て、日本からは水野忠彦(水素技術応用開発株式会社、元・北海道
大学)と岩村康弘(東北大学特任教授、当時・三菱重工)が研究発
表している。水野は、「75ワットの過剰熱を35日以上連続で発生し
た」と発表。また、岩村は、「元素変換はマイクロ(100万分の1)
グラム単位で確認できた。」と報告している。

【関連特許技術】
特開2020-170020 常温核融合装置、常温核融合による発熱方法
                                       および発熱体 児玉紀行
【要点】図17のごとく常温核融合はTサイト内D-にD+が移動し
て((1)、(2))、そこでD2分子を形成し((3))、そのD2
分子が金属格子からの圧力で縮小されてフェムトD2分子に遷移す
る((3)、(4))。このフェムトD2分子の伸縮振動で核子間最短距
離が狭くなり核融合する((4)、(5))。本発明は、重水素ガ
スを吸蔵した水素吸蔵金属(101)の表面電位を対向電極(10
2)により制御し、金属表面(101a)の自由電子濃度を低下さ
せることで、核子間クーロン引力の自由電子による遮蔽を低減し、
かつフェムトD2分子の振動速度の低下を抑え、核融合の確率の高
くすることで、Tサイト内D+にD+が移動する確率を高くし、フェ
ムトD2分子の振動運動を持続させることで常温核融合を安定的か
つ再現性良く実現できる新規な常温核融合装置、発熱方法および発
熱体を提供する。


特許6712672 超臨界CO2ガスを用いた発電装置及び
                                 発電システム 石山新太郎 他>
【要点】<図3のごとく、超臨界CO2ガスタービン1は、一つの回転
軸の周りに回転可能な細長い回転軸体3を備える。超臨界CO2ガス
が回転軸体3に沿って流れる方向に直列に低圧圧縮機4と、高圧圧
縮機5と、バイパス圧縮機6とが同一の回転数で回転するように回
転軸体3に一軸連結される。これらの圧縮機は複数の段構造を備え、
段構造は径方向に延在する翼部を有する。発電装置2は、ガスター
ビン1とこれに連結された発電機15とをハウジング内に含み、超
臨界CO2ガスの閉循環システム30を構成する。閉循環システム
30は、熱エネルギーを得る主熱交換器20と、配管21~21と、
第1及び第2の再生熱交換器26a、26bと、冷却器28、29
とを備えていることで、工学的成立性が高く、低建設コスト化、高
経済性、易保守性、易製造性、商用電源としての高い適応性、及び
高い安全性を提供する超臨界CO2ガスタービンを用いた発電シス
テムを提供する。

【符号の説明】1 超臨界CO2ガスタービン 2、2a、2b 発
電装置 3 回転軸体 4 低圧圧縮機 5 高圧圧縮機 6 バイパ
ス圧縮機 7 ガスタービン部 8 段構造 9、10 ジャーナルベ
アリング 11 バランスピストン 12 翼部 13 ハウジング 
14 スラストベアリング 15 発電機 16 閉循環システムの少
なくとも一部(配管、再生熱交換器、冷却器)17 容器 20 主
熱交換器 21 第1の配管 22 第2の配管 23 第3の配管 
24 第4の配管 25 第5の配管 26 第6の配管 27a 第
1の再生熱交換器 27b 第2の再生熱交換器 28 前置冷却器 
29 中間冷却器 30 超臨界CO2ガスの閉循環システム(2次
循環系)
 

WO2019/138452 荷電粒子ビーム衝突型核融合炉 松本 一穂
【要点】プラズマ方式の核融合炉は、生成粒子の分離が難しく、ト
リチウムの漏えいが懸念され、いまだに核融合に至っていない。荷
電粒子ビーム衝突型核融合炉は、核融合を発生させることができる
が、粒子加速器の加速効率が低く、衝突率も低く、ブレークイーブ
ンに到達できないとされてきたが、下図のごとく、加速効率の高い
粒子加速器を使用し、未反応燃料粒子を循環させる構成とし、効率
を高めた。D—D反応炉で生成したトリチウムとヘリウム3を荷電
粒子の状態で分離し、トリチウムをD-T反応炉で直ちに消滅し、
膨大なエネルギーを得る連携型(50c)、並びに、D-3He反応
を行う放射性物質を伴わない簡易型(50s)の荷電粒子ビーム衝
突型核融合炉を考案。
また、中性子をリチウムなどに照射し、より多くのトリチウムを増
殖させ、出力を増倍させるトリチウム増倍を実現する。

特開2019-86291 凝縮集系核反応炉用反応体及びこれを用いた
  発熱方法た発熱方法 水野忠彦
【要点】
図3のごとくニッケルと、前記ニッケルに固定されたパラジウム及
び白金と、で構成されており、水素同位体、ニッケル、白金及びパ
ラジウムを主要構成材とする凝縮集系核反応炉で使用されること、
を特徴とする凝縮集系核反応炉用反応体、並びに、これを用いた発
熱方法で安全、安価に、大量の熱発生をする事の出来る凝縮集系核
反応炉で使用する多層膜構造を持つ反応体と、それを用いた発熱方
法を提供する。

【符号の説明】1 反応体 2 反応炉 3 熱電対 4 ヒータ
5 データ解析装置へ接続 6 真空排気装置へ接続 7 ガス注入
管 8 覗き窓 9 ニッケル網 10 白金 11 パラジウム

・特開2018-87574 重力を運動エネルギーに転換するシステム
   及び方法 ジー  パワー  プランツ  ディーエムシーシー 
【要点】図2のごとく、力方向あるいは重力方向と反対に、落下し
た対象物を元の位置に持ち上げ、周期を繰り返すために、2つの質
量の正味の質量差のみが入力パワー機構によって機能させられるよ
うに、一方で、重い質量の対象物の自由落下を可能にさせることに
より、重力によって行われる仕事を最大化し、他方で、他の同様の
質量によって重い質量をつり合わせることにより効率を最大化する
装置、システム、及び方法を提供する。
複数のユニットはタンデムに同期して使用され、高出力発電機に接
続するギア/フライホイール/シャフトの一定のRPMを維持する。
さらに、システムの効率を向上させる補助エネルギー生成機構が開
示される。


特開2018-031758 原子力施設の放射能汚染水無害化装置
  島安治
【要点】図2のごとく超臨界状態を利用して汚染水の水素結合
を切断し、重水素、トリチウムを発生させて、パラジウムの表
面で核融合反応を実現する原子力施設の放射能汚染水を無害化
すること。



【概説】近年、常温核融合の事例が散見される([非特許文献1,
2])。いずれも共通することは、重水素Dと金属のパラジウム
Pdの組合せである。パラジウムは水素を吸蔵し、その体積比率は
935倍と大きい。田中貴金属工業株式会社のパラジウム水素透過
薄膜は、水素だけを通す選択透過性を利用して水素ガスの精製を実
現している。水素分子はパラジウム薄膜の中で水素原子に分離し、
薄膜を通過して外に出ると水素分子に戻ると想定されている。三菱
重工からの報告では、重水素をパラジウム多層膜に透過させると、
その内部で、Cs原子が原子番号の大きい原子に核変換している(
図1)。
【非特許文献1】第12回凝集系核科学国際会議見聞、水素エネル
ギーシステム31巻、No.1(2006)
【非特許文献2】凝集系核科学の現状と将来、東京工業大学蔵前会
館セミナー、2015年4月図2のように、水分子は水素結合によ
って繋がり、巨大分子を構成している。水素結合H-Oの乖離熱は
~30KJ/molで、水素分子H-Hの乖離熱436KJ/mo
lよりずっと小さい。この関係は、水素ガスからよりも水からの方
が水素原子Hが容易に分離されることを示している。
そして、最強の活性酸素であるヒドロキシルラジカル・OHができ
る。ヒドロキシルラジカル・OHは、酸素原子の外側電子軌道に孤
立電子があり、反応相手から電子を奪い、電子対をつくる(反応相
手を酸化する)。この関係は、図2のように、重水素、トリチウム
が結合している場合も同じである。
超音波キャビテーションの気泡が圧壊する時、気液界面で水分子が
OHラジカルと水素原子Hに分解される。気泡圧壊点は高温高圧状
態になって居る。このことは、ベンゼン環に塩素原子3個が結合し
たトリクロロフェノールが分解されて、次第に透明な液が着色して
来ることから実証される。トリクロロフェノールの分解着色は、O
Hラジカルと塩素原子Clが発生する次亜塩素酸HOCl溶液の反
応で既に確認されている。
図2のような水分子の水素結合から、水素原子(さらに、重水素、
トリチウム)とOHラジカルを取り出す超音波キャビテーション気
泡圧壊方法とは別の方法は、水全体を高温高圧の超臨界状態にするこ
とである。超臨界状態の利用は炭酸ガスでも行われているが、水の
場合は、221気圧以上の高圧と374℃以上の高温にする。耐蝕
性のインコネル625、インコネル690等の金属反応容器を用い
て、ダイオキシン、PCB等の猛毒物質を分解することができる。
水の超臨界状態で核融合を実現するには、化学反応と同様に触媒が
必要である。それが金属パラジウムである。最も容易な核融合は、
図3の重水素とトリチウムからヘリウムができるD-T反応である。
中性子を含まない水素原子核よりも、中性子を余分に1個含む重水
素原子核の方が、さらに、中性子を余分に2個含むトリチウム原子
核の方が不安定であるからである。同様なことは、ウランやプルト
ニウムの核分裂から発生するより重いセシウムやストロンチウムの
放射性元素と重水素・トリチウムの組合せの場合にも想定される。
【発明が解決しようとする課題】
水の超臨界状態をつくる装置は既に造られ、稼働している。課題は
高圧高温容器の内部で、パラジウムの広い表面積を実現することで
ある。
福島第1原発の放射能汚染水は100万トンに近い大量である。
重い核分裂放射性元素を除いた70万トンのトリチウム水の放射能
強度は420万ベクレル/リットルである。これはその時々の崩壊
元素の数のみを示し、全トリチウム元素の数を示してない。
トリチウムの崩壊半減期12.3年から概算すると、崩壊前トリチ
ウム原子の個数は3×1014/リットルとなり、自然水の軽水分子
の個数3×1025/リットル、自然水に含まれる重水分子の個数4
×1021/リットルと比較すると、極端に薄い濃度である。密度は、
1011個/cc(1cc3当り千億個)濃度である。
D-T反応による発熱量と水温上昇の検討:
・D-T反応による放出エネルギー:3.5+14.1=17.6
Mev
・1eV=1.6×10-19J    1MeV=1.6×10-13J
・17.6Mev=17.6×1.6×10-13J=2.8×10-12J
・1cm3=1cc当りの発熱量は、2.8×10-12J×(
3×1011個/cc)、~1J/ccである。4.2J=1cal
なので、水温昇温は1℃以下である。
図3のD-T核反応の結果、中性子が放出される。この中性子が反
応容器の金属原子と核融合反応して放射化される懸念があるが、
前節同様に無視できる程度と見なす。
高温高圧の超臨界状態の汚染水の中に、触媒の金属パラジウムが存
在する。加圧水流が存在する場合でも、できるだけ大きい表面積を
維持しなければならない。
【課題を解決するための手段】
触媒の金属パラジウムの要件は、▲1▼大きい面積のために板状、
▲2▼圧力流を逃す開放構造、▲3▼損傷回避のための角落し、
▲4▼板の重なりを避ける構造、▲5▼破断回避の折筋無し、▲
6▼強度維持の厚み、等の条件を満たすことによって、反応槽内部
にヒータ等の構造物が在っても、▲7▼自在充填自在積載ができる
構造である。
以上の要件を満たす構造として触媒の金属パラジウムは図4の薄板
円筒構造を採用する。

【発明の効果】
原子力施設で発生する重水、トリチウム水が混合されている放射能
汚染水から、トリチウムがヘリウムに変換されて無害化される。ト
リチウム水、さらに原子番号の大きい核分裂放射性元素が含まれる
放射能汚染水の場合も核変換されて無害化が期待される

2018-031758 原子力施設の放射能汚染水無害化装置を含めもう少
しこの考察をつづける。 




【今夜の一冊:パンデミック・ニューディル考Ⅲ】



風蕭々と碧い時代:
セット・オン・ユー Got My Mind Set on You
(作詞/作曲)ルディ・クラーク



「セット・オン・ユー」(Got My Mind Set on You)は、ルデ
ィ・クラークによって書かれた楽曲。1962年にジェイムス・レ
イによって録音された音源が、「I've Got My Mind Set on You」
というタイトルで発売された。この音源にはハッチ・デイヴィ・
オーケストラ・アンド・コーラスが参加している。ビートルズ
のメンバー、ジョージ・ハリスンによるアルバム『クラウド・
ナイン』からのカバーがBillboard Hot 100において大規模な
プロモーションの効果もあり、1988年1月に1位を達成。ビル
ボード誌1988年年間ランキングでは第5位。イギリスでも4週
連続2位を記録した。ジョージ・ハリスンとエレクトリック・
ライト・オーケストラのメンバー、ジェフ・リンがプロデュー
スしたこの曲はハリスンにとって3曲目にして最後のアメリカ
におけるソロでのナンバーワン・ヒットとなった(1970年の「
マイ・スウィート・ロード」、1973年の「ギヴ・ミー・ラヴ」
に続く3曲目)。曲はまた、現在に至るまで、ソロになったビ
ートルズのメンバーがアメリカにおいて取った最後のナンバー
ワン・ヒットとなっている。



●今夜の寸評:




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