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欲望と野蛮の脅威

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  一昨朝も除雪。2週間ホームページを放置。

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん 」


沸騰する欲望と対峙する知恵
NASA predicts sea level rises to 2150
南極大陸を研究者・観光客が訪れると1人あたり83トン融雪する
 南極には研究者だけではなく多くの観光客も訪れており、 その数は
2019年~2020年シーズンで7万4000人以上。 チリ・サンチアゴ大学な
どの研究者グループの調査により、南極訪問にあたって利用される船
舶や飛行機、各国の南極基地で用いられるディーゼル発電機から生み
出されるブラックカーボン(黒色炭素)により、訪問者の多い地域では
毎夏、最大で融雪量が23mm多いことがわかつた。



 研究者によると、南極大陸北端・キングジョージ島(南緯62度)から
山脈(南緯79度)に至る 約2000kmの横断面の28カ所で、夏に4年連続で
採取された試料のブラックカーボン濃度を測定。その結果、各国の南
極基地や海岸にある人気の観光地では、他の場所に比べてブラックカ
ーボン濃度が高かったことがわかりました。ブラックカーボン濃度が
高い地域では放射強制力により融雪が加速し、毎夏の積雪量の減少が
最大23mmに到達していました。要するに、雪の上に灰や炭をまいてお
くと太陽光を吸収してよく雪が溶ける、という現象が南極でも起きて
おり、その量は1,000トン近くに達し、南極訪問者1人につき83トンに
相当する。つまり、南極のブラックカーボン濃度は人間の活動の活発
化に合わせて高まったと考えられ、南極観測実施責任者評議会と南極
条約事務局のデータによると、南極条約の地域内で76の研究施設が積
極的に利用されており、滞在可能な人数は約5500人。また、観光ツア
ーも行われていて、国際南極ツアーオペレーター協会によると、2019
年~2020年シーズンの観光客は7万4,000人。これは前シーズン比 32%
増で、10年前と比べると2倍の数字となる。
研究を行ったサンチアゴ大学のラウル・コルデロ博士は、ブラックカ
ーボンの影響による融雪量は地球温暖化で失われたものに比べれば少
ないものの、南極での研究を再生可能エネルギーを用いたものに移行
する必要性を浮き彫りにするものであると指摘。好例として、風力エ
ネルギーを用いているベルギーのプリンセス・エリザベス基地を挙げ、
「南極大陸は、多かれ少なかれ、汚染されていない最後の大陸。その
ままを保つように努めるべきだと思います」と語る。

News & Features ? NASA Sea Level Change Portal
https://sealevel.nasa.gov/news-features

【関連論文】
❏ 南極における人間の存在のブラックカーボンフットプリント
原題:Black carbon footprint of human presence in Antarctica , Cordero,
R.R., Sepúlveda, E., Feron, S. et al.  Nat Commun 13, 984 (2022).
https://doi.org/10.1038/s41467-022-28560-w  
【概要】化石燃料とバイオマス燃焼からのブラックカーボン(BC)は
雪を暗くし、雪をより早く溶かす。南極大陸での人間の存在がここ数
十年で急増したため、南極での研究活動と観光の紀元前の足跡はおそ
らく増加しました。 ここでは、南極大陸の北端(62°S)からエルス
ワース山脈南部(79°S)までの約2,000kmのトランセクトを横切る28
のサイトからの雪サンプル中のBC濃度の測定を報告。この調査による
と、研究施設や人気のある海岸の観光客の着陸地点を取り巻く雪のBC
含有量は、大陸の他の場所で測定されたバックグラウンドレベルを大
幅に上回っている。結果として生じる放射強制力は、南極半島のBCの
影響を受けた地域と関連する諸島で、毎年夏に最大23mmの水当量(w.e
)で融雪を加速し、積雪を縮小する。


図1.南極大陸における人間の存在はここ数十年で急増
a.青い点は、国立南極プログラム管理者評議会(COMNAP)の関心の
ある地域の研究基地を表示。点線は人気のある観光ルートを表示。
国際南極旅行業協会(IAATO)とともに南極に旅行する訪問者のほとん
どは、大陸の研究施設の約半分が位置する南極半島をクルージングす
るための船に乗り出する。すべての訪問者の約1%が南極大陸の内部
に飛び、ユニオングレイシャーキャンプなどのフィールドキャンプに
滞在。IAATOには現在50を超えるオペレーターがおり、その54隻の船隊
(6隻の大型クルーズ船を含む)は2019年から2020年のシーズンに合計
378隻の出港を登録した。
b.2011年から2012年にかけて、訪問者は着実に増加。IAATO会員と一
緒にこの地域を訪れた74,401人の訪問者のうち、約25%がクルーズ専
用船(つまり、500人以上乗客搭載しうる船)で旅行し、大陸に足を踏
み入れていない。
c.現在、南極大陸には76の研究基地(季節施設を含む)があり、合
計で約5,000床の収容能力(科学者とスタッフの両方)がある。キング
ジョージ島だけにの研究基地(合計700床)がある。
プロットはPythonのMatplotlibLibrary58を使用して生成されている。
 Black carbon pollution from tourism and research increasing Antarctic
snowmelt, study says,  The Guardian, Donna Lu ,2022.2.22 16:00

イヌワシ;Golden Eagle 
ワシのほぼ半数が「鉛中毒」、米国の2種、大規模調査で発覚
最大で3分の1が急性中毒にも、原因はシカなどに残る鉛弾
▶2022.2.22 ナショナルジオグラフィック日本版サイト

米国に生息するハクトウワシ(Haliaeetus leucocephalus)とイヌワ
シ(Aquila chrysaetos)の成鳥の半数近くが慢性的な鉛中毒に陥って
いることが、2月17日付けで学術誌「Sdence」で公表された。研究者ら
は38州における1210羽のワシの体内の鉛濃度を調査した。従来の研究
の域を越えた、北米ではこれまでで堡大の取り組みだ。その結果、成
鳥のほぼ半数で、骨の鉛濃度が10ppm(ppmは100万分の1)を超えた。
病理学者が慢性鉛中毒と定義する値だ。また、急性鉛中毒とされた状
態も約3割に及ぶ。
 汚染源は弾丸。ヮシはハンターが撃った動物の死骸を食べるのでラ
イフルや散弾銃の弾丸に含まれる鉛を摂取する可能性がある。しかも、
高濃度の鉛中毒は両種の個体数増加率を鈍らせていると、米モンタナ
州ポーズマンの研究機関コンサベーション・サイエンス・グローバル
の野生生物学者のビンセント・スレイブは、両種とも保全の対象であ
り、個体数を抑制する可能性のあることは大いに問題となると話す。
急性中毒の場合、体が動けなくなって、そのままゆっくり餓死するな
ど、恐ろしい死に方をすることになる一方で、慢性的に鉛にさらされ
ると、より見えづらい影響も生じる。運動や飛行の障害、精子の質の
低下、免疫力の低下、食物の飲み込みや消化ができなくなることなど
である。種や地域による鉛濃度のばらつさは少なかったが、北米の広
大な平原クレートプレーンズに沿った渡り鳥の移動ルートの1つであ
るセントラルフライウェイでは、わずかに高いところもあった。「我
々が調べたほぼ全ての個体が、鉛にさらされたことがあるとわかりま
した」と、米アイダホ州ボイシにある米国地質調査所の野生生物学者
で共著者のトッド・カッツナーは話す。
 
 自然保護活勤家たちは長い間、ハンターたちが高品質の鉛と価格の
変わらない鋼または銅製の弾薬に切り替えるよう、奨励金や法律の制
定を求めてきた。
「猛禽類の鉛中毒は50年以上も前からよく知られているのにほとんど
の国で鉛弾の使用を誠らす規制の動きが鈍いのは、本当にもどかしい
です」と言うのは、スペイン野生動物研究所のラファエル・マテオ・
ソリア研究員。なお、同氏は今回の論文には参加していない。ユーラ
シア大陸では、イヌワシ、オジロワシ、その他の大型猛禽類が、弾薬
の鉛によってやはり広く中毒になっている。日本でも同様の問題があ
り、北海道では鉛ライフル弾及び鉛散弾の使用が禁止されており、本
州以南でも2025年度以降に段階的に規制される予定。

安全なレベルはない
今回の研究では、生きている個体と死んだ個体の両方からサンプルが
採取され、前者の場合、研究のために捕獲した個体や、研究とは無関
係に獣医師の治療を受けていた個体で、血液中の鉛濃度が測定された。
死んだ個体の場合、骨、肝臓、羽毛が調べられた。
 重金属である鉛は骨に蓄えられる。その鉛はカルシウムと入れ替わ
って再び血液に放出される可能性がある。羽毛の分析から、野生での
寿命は最長で20年とされるハクトウワシとイヌワシの最大で3分の1
が、最近、急性鉛中毒になったことが示唆される。生きている620羽
のうち、血中鉛濃度が急性中毒を示すレベルにあり、死に至る可能性
があったのは ハクトウワシで29%、イヌワシで9%ではあったものの、
大半の個体で血中鉛濃度が1デシリットルあたり5マイクログラムを超
えていた。世界保健機関が人間に対して懸念すべさとしている値。数
十年にわたる入閣での研究により、鉛にさらされることに安全なレベ
ルなどないことがわかっていると、米南カリフォルニア大学ケック医
学校の医師で疫学者のハワード・フーは「ワシも人間と同じように鉛
による生物学的影響を受けやすいと思われる。」と話す。


図 赤い点は両生類の調査が行われた地域を示す。

水をくむだけの新しい両生類の調査法
神戸大学の坂田雅之学術研究員、源利文教授らと、長浜バイオ大学の
倉林敦准教授ら、いであ株式会社の中村匡聡ら、京都大学の西川完途
准教授など7つの機関からなる国際共同研究グループは両生類(カエ
ル類・イモリ類・サンショウウオ類)の体表の粘液や糞などとともに
水中に放出された微量なDNA(環境DNA)を分析可能な増幅してまとめ
て分析することによって、棲んでいる両生類の種類を判定する技術を
開発した。この技術は捕獲や目視などこれまで調査者の専門的知識や
天候・季節などに結果が左右されがちだった従来法に対し、水を汲む
だけで誰でもそこにすむ両生類を調べることができる画期的な手法と
なることが期待されている。
【要点】
・生物多様性のモニタリングは、自然生態系全般の保全に重要だが、
 特に個体数の減少が顕著な両生類は、その重要性が増す。
・しかし、両生類は、主に夜行性であること、幼生(オタマジャクシ
 )と成体では異なる環境に生息すること、個体の採捕や種の同定に
 は専門的な知識が必要なことなどから、調査ごとに結果のばらつき
 が生じ、統一規格での正確なモニタリングが難しいことが課題。
・近年、環境中に放出された生物外DNA(環境DNA)を解析する環境DNA
 分析手法を用いて生物のモニタリングが行われるようになっており、
 特に魚類では手法が確立されているため、一般的になりつつある。
 一方で、両生類においては標準的な分析手法が確立されておらず、
 発展途上であったため、両生類の 環境DNAをまとめて分析し、調査
 地点にどのような種が生息しているのかを調べるための分析手法を
 開発。
・まず、両生類を対象とした環境DNA分析の分析手法を複数設計し 性
 能を事前評価した。その後、そのうちの一つの手法を用いて、日本
 中の10の農業地域122地点において、環境DNA分析と従来法による調
 査(網を用いた採捕調査や目視調査)を同時に行い、検出された両
 生類を比較。
・新たに作成した分析手法では 両生類に分類される3目(有尾目・無
 尾目・無足目)を全て検出可能であることが示された。また、野外
 調査の結果、すべての地域で従来法による調査より今回開発した環
 境DNA分析の方が 多くの種を検出することができ、この手法の有効
  性が示された。
“Development and evaluation of PCR primers for environmental
DNA (eDNA) metabarcoding of Amphibia",
Masayuki K. Sakata, Mone U. Kawata, Atsushi Kurabayashi, Takaki
Kurita, Masatoshi Nakamura, Tomoyasu Shirako, Ryosuke Kakehashi,
Kanto Nishikawa, Mohamad Yazid Hossman, Takashi Nishijima,
Junichi Kabamoto, Masaki Miya, Toshifumi Minamoto 
Metabarcoding and Metagenomics,
DOI:10.3897/mbmg.6.76534

 
【ポストエネルギー革命序論 409: アフターコロナ時代 219】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
環境リスク本位制時代を切り開く  


世界初、可動部のない自動運転用ソリッドステートLiDAR
遠方や濃霧といった“霧の先”の状況と速度の同時検出を可能に
2月21日、NEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」で(株)
SteraVisionは 2019年12月から燃費効率の良い自動走行システムの実
現に向け「長距離・広視野角・高解像度・車載用 LiDARの開発」に取
り組んできたが、世界で初めてスキャナー(MultiPol®)の可動部を一
切なくし、量産性を向上させたソリッドステート LiDARの開発に成功
したことを公表。
【概要】自動車の自動運転が現実的な段階に入り、その実現を支える
技術としてレーザー光を照射・走査して対象物までの距離を計測した
り、性質を特定したりする光センサ技術(LiDAR)が 注目を集めてい
る。人間の目を超える 高性能LiDARによる自動運転車は、省力化や人
為的ミスによる事故の撲滅ばかりでなく、無駄な加減速を排除した予
知運転による、高い省エネルギー効果が期待されている。市販車に搭
載できる高性能なLiDARの開発が課題となっており、LiDARを含むレー
ザー機器の市場規模は2030年に約4,959億円と2017年の200倍に拡大す
ると予測されている。シンプルな構造とすることで量産性を向上させ
たソリッドステートLiDARは、可動部が一切ない液晶を用いた方式で、
光の偏光方向を高速でスイッチし光ビームスキャンすることで実現。
これにより、モーターやMEMS※3ミラーなどの可動部を動かして光ビー
ムをスキャンさせる従来方式で生じていた、金属疲労などによる動作
停止といった信頼性の問題や、外部振動からの不安定性を解決した。

■ ソリッド・ステートスキャナー(MultiPol®)を実現


図2.開発したソリッド・ステートスキャナーの動作原理

■ フォトニックICを用いた小型化・高性能化
これまでFMCWのボトルネックであった小型化・高性能化を実現するた
め、多くの光部品(光方向性結合器、Y分岐器など)を1チップに集積
し、これにより、同時に多くの光ビームをスキャンでき、小型化・低
価格化を可能にした。


図3 開発したフォトニックIC

■ カメラ画像とパーセプションAIとLiDARを融合した
                     重みづけスキャン
従来はLiDARとカメラは独立したセンサだったが 今回図4に示すよう
に、 LiDARによる物体検出とカメラ画像の自動運転車向け認識(パー
セプションAI)を融合した。これにより、カメラ画像だけでは検出困
難な遠方や“霧の先”の重要な物体を、パーセプションAIの指示のも
と選択的にLiDARでスキャンし物体を検出・追跡することで より信頼
性の高い視覚システムを実現。これにより、光ビームを一筆書きでア
ナログに操作し全シーンを計測した後にフレームをリフレッシュする
これまでの方式から、選択的に抽出した重要なシーンの計測後直ちに
フレームをリフレッシュできるため、高速での追跡が実現した。
“見たいところを好きなだけ詳しく見る”人の目のような効率的な視
覚システムが可能となる。


図4 カメラ画像・パーセプションAIと、LiDARを融合した重みづけ
   スキャンの例



ダイヤモンドガラス半導体事業が「超ムーア法則時代」を形成
米国エネルギー省傘下のアルゴンヌ国立研究所(Argonne National
Laboratory)は2014年に、ダイヤモンドをベースとした半導体技術の
実用化を目指す官民パートナーシップ協定の一環として、Akhan Semi
conductorとの間でIP(Intellectual Property)ライセンス契約を締
結したと発表した。Akhan Semiconductorは今や、 強力な特許ポート
フォリオをとりそろえ、ダイヤモンドをシリコンウエハー上で化学気
相成長(CVD)させるための パイロット設備を整えることにより、余
裕を持ってムーアの法則を確実に実行することが可能な、業界初とな
る技術の試験実施を目指している。
Akhanは、「当社のダイヤモンドガラス『Miraj Diamond』は、主要な
競合企業の製品と比べて強度が6倍で、硬度が10倍、冷却能力が800倍
以上である」と主張している。


【概要】他のシリコンや炭化ケイ素、窒化ガリウムといった半導体素
材と比べ、ダイヤモンドは絶縁耐圧や熱伝導率といった物理特性に優
れており、究極の半導体になると言われているが、その実用化は技術
的に実現不可能と思われてきた。しかし、近年物質・材料研究機構、
産業技術総合研究所などの日本の研究グループや日本国内の企業など
で高品質ダイヤモンド薄膜の合成に成功するなど、基礎技術が大いに
発展してきたことにより、実用化の可能性が開かれてきている。これ
に伴い、次世代の半導体候補として国家レベルの研究開発が開始する
など、この分野の研究が日本国内で活発となってきている。
1.物性
現在主流のシリコン半導体に比べ、数十倍から数百倍とも言われる大
幅な高速化が可能で基本性能自体が高いばかりか、耐熱性なども極め
て優れ過酷な環境下でも動作する。さらに大気中で安定な負性電子親
和力(Negative electron affinity: NEA)を示す唯一の材料である。
近年、超伝導特性も発見されている。
2.歴史
1980年代後半 米国で研究されるが断念
1995年 日本の通商産業省電子技術総合研究所(当時)で本格研究開始
2003年 NTT物性科学基礎研究所が独ウルム大共同で動作周波数として
    は世界最高の81GHzを達成
2004年 独立行政法人 物質・材料研究機構ナノマテリアル研究所を中
    心にした共同研究でダイヤモンド薄膜での超伝導を発見
2010年 独立行政法人 産業技術総合研究所ダイヤモンド研究センター
       が1インチサイズの単結晶ダイヤモンドウエハーの製造に成功
2021年 佐賀大学新動作原理によるダイヤモンド半導体パワーデバイス
       の作製に成功
3.課題
・現在、日本国内にて複数の研究機関、大学等で開発が進められてい
 るが、ダイヤモンド半導体の基盤となる大型単結晶基板を作ること
 が困難である。現在は主流の2mm角の基板を用いて単結晶ダイヤモン
 ド薄膜を合成することに成功している。今後は、この結晶基板サイ
 ズを大きくすることが重要な技術的な課題である。
・不純物を抑えることが半導体物性利用上重要であるが、コストを抑
 えての更なる高純度化技術の開発が望まれる。
・ホウ素およびリンなどをドープし、p型、n型制御を実現している。
 しかしダイヤモンド格子に欠陥を与えずにこれらのイオンをドープ
 する技術の開発が課題である。
・電極などの他の物質との接触部で、ナノレベルの不要な界面構造が
 生じる。今後はこれら接触界面の均一化が必要とされる。
4.想定される応用例:ダイヤモンド半導体は他の半導体材料に比べ
て耐久性が高く、宇宙などの苛酷環境での使用に向いている。また、
優れた物理特性により、ダイヤモンド半導体を用いたパワーデバイス
を電気自動車や産業機器などの制御モジュールに搭載することで、大
幅な省エネルギーが達成できる可能性がある。衛星通信分野では現状
宇宙空間の環境に耐えられる半導体増幅器が存在しない為、進行波管
(TWT)という真空管ベースの増幅器が使用されていたが ダイヤモンド
半導体が実用化されれば衛星の軽量化によるコスト削減、効率向上に
よるデータ転送量の増大で8Kの次世代デジタル放送においても現行方
式と同等水準の受信環境を実現する為に実用化は必須である。



 

【ウイルス解体新書 109】

序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第7節 新型コロナウイルス
7-1 新型コロナウイルスのライフサイクル
7-2 変異ウイルス
7-2-1 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コ
  ロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について(第9報)
7-2-2 オミクロン株の特徴
1.ワクチンを追加接種しないとオミクロン株に有効な中和抗体が十
 分に得られない
2.オミクロンはマウスで変異し人に感染したことが判明
3.モデルナワクチンのブースター接種で抗体が「83倍」に、ミクロ
  ン株の予防効果も確認される
4.ブースター接種後のさらなる追加接種で合計4回打ってもオミク
  ロン株対策には不十分
5.アルファの突然変異はオミクロンの洞察を提供する
6.オミクロン・スパイクタンパク質-ACE2複合体の抗体回避とクラ
  イオEM構造
7.オミクロン株の派生株「BA.2」はデルタ株の重症化率とオミク
 ロン株の感染力と同株の抗ワクチン性を兼ね備えている
  ▶2022.2.22 15:00 Gigazine
佐藤佳准東大教授らの研究チームが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
のオミクロン変異株のさらなる派生株「BA.2」に関する研究結果を発
表。佐藤氏らによると、BA.2はデルタ株の重症化率とオミクロン株の
抗ワクチン性を併せ持つ。今回の研究対象となった「BA.2」は、オミ
クロン株である「BA.1」から派生したとみられる変異株。検査での特
定が困難という特徴から「ステルスオミクロン」とも呼ばれるBA.2に
ついて、新たに佐藤氏らは「オミクロン株より強力なデルタ株に相当
する重症化率を示す」「オミクロン株同様にワクチンによる免疫応答
を回避する」という2点を明らかにした。

【関連情報】
❏ コロナウイルス:オミクロンのBA.2亜変異体が上昇するにつれ、
実験室での研究は重症度の兆候を示す;Coronavirus: As BA.2 subvariant
of Omicron rises, lab studies point to signs of severity: Brenda Goodman,
CNN 2022.2.19
【要約】BA.2ウイルス(オミクロンコロナウイルス変異株)は、遠く
同ウイルス株よりも速く広がるだけでなく、より重篤な病気を引き起
こす可能性があり、私たちが持つ主要な武器のいくつかを阻止できる
ようだと新しい研究は示唆する。日本からの新しい実験室実験はBA.2
がデルタを含むCovid-19の古い変種と同じくらい深刻な病気を引き起
こす特徴を持っているかもしれない。そして、オミクロンのように、
それはワクチンによって作成された免疫を大部分逃れるように見える。
ブースターショットは保護を回復し、感染後の病気の可能性を約74%
減らし、BA.2は、現在オミクロンに対して使用されているモノクロー
ナル抗体であるソトロビマブを含むいくつかの治療薬にも耐性がある。 
オハイオ州クリーブランドクリニックの微生物学部門長のダニエルロ
ードス博士は「人間の観点からは、BA.1よりも悪いウイルスであり、
感染が強く、病気を引き起こす可能性がある」と話す。また、米国疾
病予防管理センタ所長のロシェル・ワレンスキー博士は「BA.2系統が
BA.1系統よりも深刻であるという証拠はない。 CDCは、国内および国
際的に流通している亜種を引き続き監視している。私たちは、人間の
病気の重症度に関する新たなデータと、実験室で行われたこのような
論文からの発見を引き続き監視している。BA.2は、中国の武漢で発生
した元のCovidを引き起こすウイルスと比較して高度に変異しており、
また元のオミクロン株とは異なる数十の遺伝子変化があり、アルファ、
ベータ、ガンマ、デルタの亜種が互いに異なっていたのと同じように、
最新のパンデミックウイルスとは異なる」と話す。
調査を行った東京大学研究者の佐藤慶は、これらの調査結果は、BA.2
が一種のオミクロンと見なされるべきではなく、より綿密に監視され
る必要があると主張し、さらに、BA.2は「ステルスオミクロン」と呼
ばれているように、オミクロンのように、PCRテストでS遺伝子ターゲ
ットの障害として表示されず。したがって、ラボはこの亜種の追跡検
出・遺伝子解析する必要があり、BA.2の検出方法の確立がまず最初に
行われるだろう」と話す。ワシントン大学医学部のウイルス学者のデ
ボラ・フラーは「これは新しいギリシャ文字を見ることになるようだ
」と佐藤らの研究に加わっていないが、査読前論文をレビュ-し同意
を示した。(後略)

❏ Virological characteristics of SARS-CoV-2 BA.2 variant,:bioRxiv
SARS-COV-2 BA.2変異体のウイルス的特性(査読前論文)
doi: https://doi.org/10.1101/2022.02.14.480335
【概要】(SARS-CoV- 2)オミクロン系統BA.1(ref 1、2)の出現と
世界的な広がりの直後に、別のオミクロン系統BA.2がBA.1を打ち負か
し始めた。統計分析によると、BA.2の実効再生産数はBA.1の1.4倍。
中和実験は、ワクチン誘発性体液性免疫がBA.1のようにBA.2に対して
機能しないことを示し、特に、BA.2の抗原性はBA.1とは異なる。細胞
培養実験は、BA.2がヒトの鼻上皮細胞でより複製的であり、BA.1より
も融合性が高いことを示す。さらに、ハムスターを使用した感染実験
は、BA.2がBA.1よりも病原性が高いことを示す。マルチスケール調査
は、グローバルヘルスに対するBA.2のリスクがBA.1のリスクよりも
潜在的に高いことを示唆する。
--------------------------------------------------------------
The Sato Lab (Kei Sato) (@SystemsVirology) 
■ウイルス配列の数理統計解析によって、BA.2(ステルスオミクロン)の #伝
播力 は、BA.1(従来のオミクロン)よりも約1.4倍高いことを明らかにした。
実際、デンマークやインド、フィリピンなどの国では、すでにBA.2への置き
換わりが進んでいる。2/6
■ワクチン接種者の血清を使った中和試験の結果、BA.2(ステルスオミクロ
ン)は、BA.1(従来のオミクロン)と同様、ワクチンによって誘導される中和
抗体にきわめて抵抗性であることを明らかにた。3/6
■BA.1に感染して回復したハムスター、あるいは、BA.1のスパイクタンパク
質で免疫したマウスの血清を使った中和試験の結果、BA.1で獲得した免疫
は、BA.2に対して効きづらいことを明らかにした(実験動物の血清を使った
のは、ワクチン未接種のBA.1感染回復者の血清の収集が不充分なため)。4/6
■BA.1に感染して回復したハムスター、あるいは、BA.1のスパイクタンパク
質で免疫したマウスの血清を使った中和試験の結果、BA.1で獲得した免疫
は、BA.2に対して効きづらいことを明らかにした(実験動物の血清を使った
のは、ワクチン未接種のBA.1感染回復者の血清の収集が不充分なため)。
4/6
---------------------------------------------------------------------------------------------
  尚、米国内における感染症対策を主導する疾病予防管理センター(CDC)
のロシェル・ワレンスキー所長は「BA.2系統がBA.1系統よりも深刻であると
いう証拠はない。CDCは、国内外に流行している変異型の監視を続けてい
ると回答している。 via Gigagine
終 章 ウイルス感染症と戦略『後手の先』



《シリーズ現代三十六歌仙 29》 著者第26歌集
若い日に読んだ『荘子』の中に出てくる渾沌の逸話がいまも忘れず心
に残っている。しかもだんだん身にしみるものがある。(中略)この紀
元前四世紀の逸話には、そのまま現代の危機も潜んでいそうな凄さが
ある。(本書「あとがき」より) 砂子屋書房

【言の葉千夜千首】 
 『渾沌の欝』

 あんのんと七〇年もあんのんと生きてきぬ九条よさうだつたのだ

「短歌」二〇一五年六月号は特集・題詠「昭和九〇年」を企画した。
馬場あき子は「銀座の柳」七首を発表。「昭和とは何であつたか国家
とは何を強ひたか 焼けた桜よ」「青葉濃くかぐはしけれど沖縄のい
まは苦しき昭和丸十年」、一連には戦時と敗戦後の日本七十年の時間
が凝縮されて詠われている。
 一九四七年「まひる野」に入会、同時に能の喜多流宗家に入門、馬
場は十九歳だった。四六年十一月日本国憲法公布、翌四七年五月に施
行されており、まさに、短歌と能、新憲法の機を一にしての出発だっ
た。「私の原点は戦争」と言う馬場は、身の内に鍛えあげた思想を能
の舞のようにしなやかに肉体化しつつ昭和、平成を切り開いてきたと
いえよう。
 掲出の一首は、安穏を「あんのんと」とひらがなでやわらかく表現
し、もういちど「あんのんと」と繰り返す。敗戦によって得た憲法の
制度と精神に安穏と身を預けていたことを肯わざるを得ない、その現
実の哀しみを想うのだ。「あんのんと」のひらがな表記は、まさにそ
のことを喘み締めるものであり、「九条よさうだつたのだ」という呼
びかけにはいっそう直截に苦さが席む。戦争の悲惨を知り戦後を生き
てきた自身が問う七十年余の時間と憲法丸条。自身に刺さるような「
あんのんと」、これは馬場の世代が発する言葉として非常に重いもの
がある。

      茱萸坂をうねり上れる人波を見つつ車の中なりわれは

  また一人亡くなりわれは生き残る戦場のごとし老いて生くるは

 馬場は、茱萸坂に「うねる人波」に入ることなく、いつしか「戦場
のどとし」という人生の時間に到っていたことを思う。
 二〇一五年九月、「安保関連法」の強行採決の日、霞ケ間には雨が
降っていた。ちなみに、憲法への思いを長く詠いつづけてきた岩田正
には次のような一首がある。

   平和願ふこころを濡らす秋の雨わが憲法も濡れそぼつなり

                   (岩田正『泡立一途』)

 二〇〇五年刊行歌書の歌だが、岩田正の不安と懐疑は十年後の雨を
予感していたようだ。

   ゆたゆたと酸漿あかき一束の秋を手にせりさきはひふかし

『渾沌の欝』棹尾の歌。秋の陽に輝いている豊穣な赤い実に「さきは
ひ」を深く念じている。
                         (舟本恵美)
風蕭々と碧い時代

● 今夜の寸評:沸騰する欲望と対峙する知恵

我心匪石《がしんひせき》 不可轉也《ふかてんや》
我心匪席《がしんひせき》 不可卷也《ふかけんや》
              詩経国風:邶風篇「柏舟」 
          
我がこころ石にあらずば転ばすべからず。我がこころ茣蓙(ござ)で
あらずば巻くことべからず。高橋和巳(作家・中国文学者)が小説の
巻頭に引用。『孤立無援』(五月革命)の孤立を恐れず連帯表明する
スローガンとあわせ、野蛮なロシア軍の侵攻行為に異議をここに表す。 


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