春爛漫 ゆるりそろりと 船二艘
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん 」
【男子厨房に立ちて環境リスクを考える:時短ランチ篇】
オール電子レンジだけで、即席麺・レトルトカレーを試食。約1ヶ月、
フードロスと食卓ごみレスのゼロ実証実験を完了。自己評価で、85
点/百点満点を得る。15点は容器やパウチがどうしてもでるため減
点(メーカ・販売依存)。注意したのは、鶏卵でタンパク質、ニンジ
ン・緑黄野菜でビタミンAと免疫力を補強、乾燥椎茸パウダーでビタ
ミンDの補強、乾燥小魚パウダーでカルシウム・EPA・DHA補強、
オリーブオイルで腸内清掃、ガーリック・亜鉛・マグネシウムでテス
トステロン補強。後は調理中和剤(血圧逓減)として食酢を徴用。キ
ッチン・パーソナルSDGsは完了。
ところで、康志向の高まりを受けて、発売からおよそ1年で1,000万
本を売り上げるヒット商品。腐を棒状にした「豆腐バー」を豆腐メー
カー「アサヒコ」が開発。豆腐離れが進む比較的若い世代の購入者が
多く、サラダチキン感覚で利用されている。進化した豆腐の登場とし
て、SNS などで話題になっている。
【特徴】
「TOFU BAR」1本(68g)には良質な植物性たんぱく質が10gも含まれ、
これは絹ごし豆腐の約2.7倍のたんぱく質量。植物原料なのでコレステ
ロール摂取を控えられる。香料不使用で豆腐に合う和風だしで味付け
されている(和風だし)。
大豆のお肉 焼肉 レモン塩
大豆のお肉」を 爽やかなレモン塩タレで味付け、まるでお肉のような
焼肉。
⮚商品情報
原材料名 大豆加工品(台湾製造)(大豆たんぱく質、米粉、小麦グル
テン、ココア粉)、たれ(植物油、食塩、コショウ、レモンピール、
唐辛子、レッドベルペッパー、パセリ、マスタード)/調味料(アミノ
酸等)、乳化剤、酸化防止剤(V.C、V.E)、香料、カロチン色素、パ
プリカ色素)、(一部に小麦・大豆を含む)
⮚内容量 130g
⮚賞味期限 31日間
⮚保存方法 要冷蔵(10℃以下)
◆栄養成分表示 1包装(130g当たり)
⮚エネルギー 158kcal
⮚たんぱく質 16.6g
⮚脂質 8.2g
⮚炭水化物 5.5g
⮚糖質 3.5g
⮚-食物繊維 2.0g
⮚食塩相当量 3.1g
◆アレルゲン物質(28品目中)
⮚小麦・ごま・大豆
大豆のお肉の試食
ということで、大豆のお肉シリーズを試食する。
【関連文献】
❏JPWO2007013146A1 大豆タンパク加工食品用組成物及び畜肉含有また
は非含有加工食品用パテ、乾燥肉類似食品
【要約】本発明の目的は、テクスチャーが、畜肉に酷似しているだけ
ではなく、生体調節機能、或いは生理的機能がある植物性タンパク質
を主成分とした加工食品を提供し、もって畜肉加工食品の代替品とし
て、或いは一部をそれに置換することによって、直接的には畜肉の摂
取量を減らし、間接的には各種生活習慣病の予防に資することにある。
本発明の大豆タンパク加工食品用組成物は、大豆タンパクが、豆乳、
乾燥豆乳、大豆タンパクカード、粒状分離大豆タンパク、粒状濃縮大
豆タンパク、紡糸性繊維状大豆タンパク、構造性繊維状大豆タンパク、
粒状大豆タンパク、および塊状・フレーク状・棒状・サイコロ状大豆
タンパクから成る群から選択された1種であることを特徴とする。
❏WO2004013170A1 大豆蛋白の製造方法
【要約】大豆蛋白の製造工場における使用水量を節減し、排水量の減
少による環境への負荷を抑制すると共に、熱ゲル化特性に優れ、大豆
蛋白特有の苦味及び収斂味のない分離大豆蛋白をより一層効率的に得
る方法を提供するものである。 脱脂大豆にpH3.0~5.0の領
域で水性媒体による洗浄処理を行ってホエー成分を抽出除去する酸洗
浄工程と、酸洗浄工程により得られる酸洗浄大豆スラリーに中性~ア
ルカリ性領域で水性媒体による蛋白質の抽出処理を行って抽出残渣を
除去する抽出工程と、抽出工程により得られる抽出液を中性~アルカ
リ性の領域を保って水と蛋白に分離する分離工程とを備えた分離大豆
蛋白の製造法である。
❏JP2014143969A 組織状大豆蛋白の製造方法
【要約】脱脂大豆40〜85質量%、分離大豆蛋白8〜45質量%、
及び澱粉5〜17質量%を含有する原料を二軸エクストルーダーに供
給する工程と、前記原料100質量部に対し15〜50質量部の水を
記原料に添加する工程と、前記二軸エクストルーダーにより前記原料
と前記水とを加圧・加熱しながら混合・混練する工程と、を有する組
織状大豆蛋白の製造方法で、挽肉に近い硬さを有する上に、繊維感も
有し、しかも、肉や野菜等の他の食品原材料と馴染むことのできる組
織状大豆蛋白の製造方法を提供する。
❏大豆タンパク質の製造と食品への応用 崎田高史 油化学 第8巻(1
979)日清製油株式会社研究所(横浜市神奈川区千若町1-3)
※ 大豆タンパク製品の製造と利用について 油化学 第19巻第8号(
1970.2.2)山本子朗・吉富和彦 日清製油研究所
--------------------------------------------------------------
❏代替タンパク質の拡大と代替タンパク質をめぐる議論 SOMPO 未来研
レポート, 021. 3. Vol. 78
【概要】昨今、食と技術を融合させた「FoodTech(フードデック)」
の一領域として、「代替タンパク質」と呼 ばれる分野が注目を浴びて
いる。その代表例が植物肉であり、植物肉以外にも、培養技術を使っ
て製造 する肉や乳製品、昆虫食などが注目されている。新たなタンパ
ク質製品の開発を目指すスタートアップ 企業が世界中で続々誕生し、
投資も活発に行われている。
➲The GAFAs(The Global Alternative Food Awards)という団体が発
表している代替タンパク質市場への参入企業のカオスマップ。植物性
タンパクでみる と、2018 年 1 月時点(Ver.1.0)で 15 社だったの
が、1 年後の 2019 年 1 月(Ver2.5)には 100 社へと 増え、最新の
2020 年 7 月のマップ(Ver.3.0)には 200 社以上が掲載。
Ⅱ.代替タンパク質が注目を浴びる背景
1.食肉需要の増大によるタンパク質不足の懸念
(出典)World Economic Forum, “This is how many animals we eat each year”.
元データは国連食糧農業機関(2019)
2.畜産業の環境負荷と限界
食肉需要が増大しても畜産物の増産により供給が追い付けば問題はな
い。だが、現行の畜産業は地球 環境に与える負荷が大きく、持続可能
性に関する懸念がある。家畜の飼育には膨大な水と飼料が必要であり、
飼料作物を栽培する広大な土地を必要とする。
(出典)*1 Water Footprint Network *2 AT Kearney, “How will Cultured
Meat and Meat Alternatives Disrupt the Agricultural and Food Industry?”, 2019.
3.消費者の意識の変化
(1)健康志向
米国や欧州を中心に植物肉市場が拡大している要因の一つに健康志向
の高まりがある(《図表 4》)。欧 米における肥満率の増加は深刻な
レベルにあり(《図表 4》)、肉食中心の食生活を改め、健康によい
とさ れる植物由来の食品を多く摂取しようと考える消費者が増えてい
る。世論調査を手掛ける米 Gallup が 2020 年に実施した調査では、
米国人の 4 人に 1 人(23%)が過去 1 年間に肉を食べる量を減らし
たと 回答しており、食生活を変えた理由で最も多かったのは自身の健
康であった。
(2)環境問題や動物の福祉への関心
畜産業が地球環境に与える影響の観点や、動物の福祉(動物愛護)な
ど倫理的な観点から、植物肉を選択する消費者も増えている。前述の
Gallupの調査において食生活を変えた理由として自身の健康の次に多
かったのが環境問題であり、次いで食品の安全性、動物愛護であった。
また、肉の消費量を減らしたと回答した米国人の 3分の 1強(36%)
が、植物由来のハンバーガーやソーセージなどの代替肉製品を食べて
いると回答した。動物の福祉に関しては、その飼育方法が批判されて
いる。例えば鶏や豚は、狭い養鶏・養豚場で鶏や 豚がひしめきあうよ
うに飼育され、できるだけ早く出荷するために抗菌性物質やビタミン
剤を使って自然界ではあり得ないスピードで育てられている。植物肉
や培養肉のスタートアップには、ベンチャーキャピタルだけでなく多
くの資産家や著名人が投資を行っているが、彼らの関心も環境や動物
の福祉の問題解決であり、持続可能な食料生産システムの構築に期待
を寄せている。
Ⅲ.代替タンパク質のイノベーション
原料・製造手法の視点から分類した代替タンパク質の代表的なカテゴ
リーは、「植物性タンパク」「培 養肉」「微生物・発酵」「昆虫食」
「マイコプロテイン」「藻類」の 6つである(《図表 5》)。このほ
かにも、培養魚や培養エビなど、シーフードの代替品の研究開発が行
われている。
1.植物肉
植物肉市場を牽引するのは米国の Impossible Foods(インポッシブル
フーズ)と Beyond Meat(ビ ヨンドミート)の2社である。この2社の
製品の特筆すべき点は、これまでにあった大豆ミートやベジタリアン
向けのベジバーガーよりも格段に味、香り、食感が本物の肉に近いこ
とと、スーパーの精肉売り場で「生」の状態で販売されていることで
ある。Impossible Foods は、肉の見た目、香り、食感などを分子レベ
ルで解析し、これらを植物性原料のみ で再現している(《図表 6》
①)。赤い生肉を加熱すると茶色く変化するという視覚的なところま
で本物の肉に近づけている。製品のコア技術は、大豆から抽出したレ
グヘモグロビン「ヘム」である。ヘムは 肉の風味や色に影響する物
質で、同社では遺伝子を組み替えた酵母を使ってヘムを大量に生産し
ている。 なお、このヘムは 2019年 8月に米国食品医薬品局(FDA)に
よって安全性が承認されている。インポッシブルフーズの製品は、全
米のバーガーキングや小売チェーンをはじめ、香港、シンガポールな
ど海外の外食チェーンでも販売されている。最近では、肉以外の代替
タンパク質の開発にも乗り出しており、色も味も本物に近い植物性牛
乳「イ ンポッシブルミルク」を開発中との報道もある。もうひとつの
先端プレイヤーである Beyond Meat は、2013 年に「ビヨンドチキン
」を販売したのを皮切りに、バーガーパテ、ソーセージ、ミートボー
ルなど牛肉・豚肉・鶏肉を再現した植物肉をこれまで相次いで商品化
してきた(《図表 6》②)。看板商品である「ビヨンドバーガー」は、
エンドウ豆を主原料とし、霜降りはココナツオイルとココアバター、
肉の赤身はビーツ、風味や香りは酵母エキスなどを使って再現してい
る。原料はすべて植物由来のもので、遺伝子組み換え作物や大豆、グ
ルテンは一切使用されていないという。ビヨンドミートもまた、全米
のファストフードチェーンや食品スーパーに広く商品を供給している
ほか、海外展開にも積極的で、現在30か国以上に販路を広げている。
同社は 2019年5月に米ナスダック市場に上場している。
2.培養肉
培養肉とは、動物から採取した細胞を組織培養して人工的に製造さ
れた肉のことをいう。動物を屠殺する必要がなく、畜産業に付随する
倫理、環境、衛生面の問題を回避できることから、別名「クリーンミ
ート」と呼ばれている。製造方法は、牛、豚、鶏などから採取した筋
幹細胞を培養液に浸し、栄養素、成長因子を入れたバイ オリアクター
(培養装置)で増殖、筋繊維を組成し、その筋繊維を積み重ねて筋組
織を形成する方法が 一般的である。肉牛の生育には 2~3年かかるが
培養牛肉であれば数週間で製造できる。オランダの Mosa Meat(モサ
ミート)は、そのマルク・ポスト教授が2016年に設立したスタートア
ップ企業である(《図表 7》①)。同社は、培養プロセスを自動化す
るバイオリアクターの開発を進めるなど、現在生産コストの削減に取
り組んでいる。
3.微生物・発酵
動物から採取した細胞を使うのではなく微生物と発酵技術を使って牛
乳、鶏卵のタンパク質を製造するスタートアップ企業も登場している。
米 Perfect Day(パーフェクトデイ)は、牛の DNA 配列を組み入れた
遺伝子組み換え酵母を作り、この酵母の働きを利用して砂糖を発酵さ
せることによって乳タンパク質を組成することに成功した。生産過程
において牛は必要としないが、こうして生産されるタンパク質は牛乳
と全く同じ栄養をもつという。また、遺伝子組み換え酵母は最終的に
残さず除去するので、完成品は GMO フリー(遺伝子組み換えを し
ていない)食品となる。微生物(酵母)と発酵技術によるタンパク質
の組成は、環境・倫理の観点からだけでなく、動物の飼 育過程で生じ
る細菌汚染の心配がなく賞味期限の長期化が期待できるという点でも
メリットがある。
Ⅳ.代替タンパク質をめぐる議論
Ⅱ章で、健康志向や環境問題への関心の高まりが代替タンパク市場の
活況の背景にあると説明した。だが、代替タンパク質が本当に健康に
よいのか、環境によいのかには諸説ある。また、食の安全に疑問や不
安を持つ人もいる。
1.代替タンパク質は本当に健康によいのか
(1)タンパク源ごとの健康への影響度
赤肉(牛、豚、羊などの肉)や加工肉(ソーセージなど)を多く摂取
すると死亡リスクが高まることは多くの研究で認められている。また、
動物性タンパク質の代わりに大豆食品などの植物性タンパク質をより
多く摂取すると死亡リスクが低下するという研究も数多く報告されて
いる。《図表 8》の研究32では、牛、豚、鶏、大豆、培養牛肉、昆虫、
藻類などタンパク質を多く含む13種類の食材について、それぞれより
多く摂取した場合に健康にどう影響するかが分析されている。中央の
0%ラインより丸印が上にあるものは死亡リスクが高まり、下にある
ものは死亡リスクが低下することを示している。また、それぞれの棒
はプラスまたはマイナスに働くリスク要因を示している。この研究か
らは、たとえば、牛肉を多く摂取すると主にヘム鉄が要因で死亡リス
クが高まり、豆腐(大豆)を多く摂取すると繊維、カリウム、多価不
飽和脂肪酸の働きで死亡リスクが低下することがわかる。また、繊維
質が豊富なマイコプロテインやエンドウ豆は、死亡リスクをより低下
させる効果があることが見て取れる。
(出典)World Economic Forum ,“Meat: The Future Series. Alter-
native Proteins”, 2019.
これに対して新たなタンパク源として期待される培養牛肉は、本物の
牛肉とほぼ同じ結果である。また、藻類と昆虫は、死亡リスクだけみ
れば牛肉や豚肉よりも健康によさそうに見えるが、藻類には塩分が、
昆虫には塩分とコレステロールが多く含まれている。このため塩分や
コレステロールを気にする人にとっては、藻類と昆虫は必ずしもヘル
シーではなく、かえって健康に悪影響を及ぼす可能性がある。なお、
前述のインポッシブルバーガーのように「肉らしさ」を再現するため
に人工的な「ヘム」を注入している植物肉もあるが、本研究ではそう
した植物肉は分析対象に入っていない。
2.代替タンパク質は本当に環境に優しいのか
(1)温室効果ガスの排出
(出典)World Economic Forum , “Meat: The Future Series. Alternative Prot-
eins”, 2019
培養肉のイノベーターと投資家を結び付ける活動をしている非営利団体
The Good Food Institute に よると、「培養肉施設をクリーンエネルギー
で運用すれば、培養肉製造の全工程の CO2 排出量は 40%~ 80%減
少する」見通しだという。
(2)植物肉バーガーの評価
ビヨンドミートやインポッシブルフーズは、動物肉から植物肉に切り
替えることは、人体の健康、気候変動、資源枯渇、動物の福祉によい
影響をもたらすと主張。ビヨンドミートは、ミシガン大学の研究者と
共にバーガーパテのライフサイクルアセスメント(原料調達から廃棄
まで全工程における 環境影響評価)を行い、牛肉よりも水使用量が
99%、温室効果ガス排出量が90%、土地使用量が 93%、エネルギー使用
量が 46%少ないことが判明したと発表。イスラエルの Future Meat
Technologies(フューチャー・ミート・テクノロ ジーズ)がライフサ
イクルアセスメントの数値を公開しており、使用する土地が 99%、水
が 96%、排出する温室効果ガスが 80%少ないとしている。
3.代替タンパク質は本当に安全でクリーンなのか
(1)遺伝子組み換え技術
植物肉の中には遺伝子組み換え技術を使っているものがあるため安全
性に不安を持つ消費者もいる。インポッシブルフーズは肉の色や風味
を出すヘムという物質が使用しているが、このヘムは、大豆の根粒か
らレグヘモグロビンという物質の遺伝子を抽出し酵母に注入して培養
することで生成している。同社は 2017年に安全性が科学的に認められ
たとする研究報告書を米国食品医薬品局(FDA)に提出し、FDAもこれ
を安全だと結論付けているが、遺伝子組み換え作物(GMO)の反対論者
は「狐が鶏 舎を守る(注:信用ならないことのたとえ)のを許可した
ようなものだ」と批判している。GMO 製品は、連邦法(National Bio-
engineered Food Disclosure Law)により 2022年から表示が義務付け
られることになっている。インポッシブルフーズは前倒しでこれを実
施しており、スーパー等で販売されている同社製品には遺伝子工学を
用いていることを示す「bioengineered」と書かれたシールが 貼られ
ている。
尚、(2)食品汚染リスク、(3)抗生物質の項は省略。
以下の項目は複雑過ぎ参考にとどめ割愛する。
Ⅴ.代替タンパク質は消費者に受け入れられるのか
1.消費者の反応
(1)消費者は培養肉を食べたいと思うか
(2)普通の肉が買える場合でも植物肉や培養肉は選ばれるのか
2.植物肉と培養肉の未来を考える
Ⅵ.おわりに
この項了
書籍:大豆と人間の歴史
著者:クリスティン・デュボワ
【内容概説】
人類が初めて手にした戦略作物・大豆。その始まりは、日本が支配し
た満州大豆帝国だった。サラダ油から工業用インク、肥料・飼料、食
品・産業素材として広く使われ、南北アメリカからアフリカまで、世
界中で膨大な量が栽培・取引される大豆。大豆が人間社会に投げかけ
る光と影、グローバル・ビジネスと社会・環境被害の実態をあますと
ころなく描く。
--------------------------------------------------------------
第8章 毒か万能薬か
遺伝子組み換え食品議論のアイロニー
不運にも、製品や科学的立場の「象牙洗浄」はアメリカ国内やイン
ターネット上では目下最高潮だ。一例をあげれば、「中立的な」ウェ
ブサイト「Academics Review」にたびたび寄稿している食品微生物学
者がモンサント社から何万ドルもの研究費を受け取っていたことが明
らかになった。ウェブサイト上では金銭的な関係性は明らかになって
いないが、このウェブサイトは大いにGE寄りで、反GE派の運動家
らを盛んに嘲笑している。同様に、条件なしの2万5,000ドルの助成金
を出して「どんな論文でも書いてよし」というモンサント社に謝辞を
述べたフロリダ大学のある分子生物学者の電子メールが暴露されてい
る。⮜p259⮞
⮚ May 31,2018. Academics Review: The Making of a Monsanto Front Group;
US Right To Know - Pursuing truth and transparency for public health
この研究者はバイオテクノロジー業界のウェブサイト「GMO Answers」
に、見るからに冷静な解説者として参加しているが、実際のところは、
彼の回答のいくつかはモンサント社の社員がほぼ完全に書いている。
この「独立した立場の」研究者と企業との間のつながりが明らかにな
ると、モンサント社との関係を絶って、自分の資金を慈善団体の食料
庫のために寄付すると約束した。彼はGE技術を心から信奉しており、
彼にしても会社にしても何一つ法律に反することはしていないようだ。
しかし、透明性の欠如には驚かされる。議論のある技術について理解
したいと考える大衆が、ごちゃごちゃに混同された動機に対して憤り
を感じるのは至極当然だ。
モンサント社だけがこうした戦略を選んでいるのではない。多くの
バイオテクノロジー企業が自社に有利になるように大学教授だちとな
れ合いの関係を築いている。同時にGE反対の団体やオーガニック食
品の会社もまた、大学の研究者を広報活動に利用している。ワシント
ン州立大学の元教授はオーガニック食品会社から手厚い研究資金を得
ていたが、権威のある「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メ
ディシン」誌に、企業との関係を当初公表しないままでGE反対の解
説を共同執筆していた。彼の利益相反は明らかにはならなかった。大
学に所属しているということで、客観性が示唆されたからだ。考える
限りでは、企業からの潤沢な資金提供の影響にもかかわらず、彼とそ
の学問上の対立者は公平な立場に立っていることが可能なのかもしれ
ないが、PR合戦もここまでくると非常に気になる問題である。これ
によって、食物とは栄養と喜びと利益だけを積んでいるのではなく、
プロパガンダと偽書をも運んでくるものであることが強調されるので
ある。
結局は、知る権利とは本来的に、「知る」という権利なのだ。企業
や政治家、あるいはほんの一握りの学者がそうだということを単純に
推測したり信じたりするということではない。専門家の意見とか、道
徳的な正しさといった雰囲気によって、真実が見えなくなってしまう
ことでもないし、言葉巧みな広告や広範囲に広がっている陰謀論によ
って操られるのとも違うのである。私たちはGE技術を理解すること
ができる。GEの情報として現在のところ通っている、著しく歪めら
れた話を聞かされて、我慢していてはいけない。
私たちは学校で最新の科学が魅力的に教えられるように要求すべき
だ。子どもたちは科学者や活動家、企業の幹部、農民、政治家や陪審
員、有権者、調理人になるかもしれない。したがって、自分が親であ
るかどうかにかかわらず、子どもたちが何を学ぶかは重要なのだ。ど
んどん進歩していく科学やリスク、利益、関連する倫理的問題などを、
はっきりとした思慮深い言葉で説明してくれる情報源を、私たち自身
で探す必要がある。利害関係者全員に、広範囲に再現可能な証明をす
る責任を負わせる必要があるえるという証明はどこにあるか。被害を
与えるという証明はどこにあるか。
救援物資としての大豆
GE技術の議論は私たちの問題であるだけではなく、この惑星上の
最も弱い人々の問題なのだ。繰り返すが、この問題には二通りの見方
がある。GE作物は貧困層に強力な枚いの手となり得るという意見の
人々がいる。2009年、ベネディクト十六世----過激な考え方で有名だ
ったのではない----の教皇在位中、バチカンの学者たちの一派が貧困
問題解決のために注意深く行われるGE農業を支持するという文書を
発表した。続いて2016年には、医学研究者が多数を占めるノーベル賞
受賞者 100人以上が、公開でグリーンピースに書状を送って、特に低
栄養層を対象に企画されたGE作物への反対を取り下げるように依頼
した。
教皇庁もノーベル賞受賞者たちも、国際開発の専門家、ビル&メリ
ンダ・ゲイツ財団やその他多数の慈善団体、農学者たちも、GE技術
が障害に阻まれるのではなく、適切に規制される日の来ることを希望
している。
そうなれば、ビタミンAが強化された米や、干ばつや病虫害に強い
大豆、より栄養価を高めた根葉作物などで、低栄養状態で苦しんでい
る地球上の10人に1人を数うことができるのだ。GE賛成派、貧困問題
に関心の高い活動家たちは、低栄養状態で静かに苦しんでいる人口が
アメリカとEUを合わせた人口よりも多い点を指摘している。悲惨な
暮らしをしている人々に迅速な解決策を示す必要がある。支持者たち
はさらに、バイオテクノロジーを避けようとする先進工業国に暮らす
人々は根っからの理想主義者で、意識していないがエリート主義者た
ちだという。しっかりと栄養をつけた腹部は将来性のあるテクノロジ
ーを拒絶できるのだ。しかも、自分以外の、自分だちよりも恵まれて
いない人々に対しても、このテクノロジーを否定するのが当然だと考
えてさえいる。それにこたえて、GE反対運動家たちは、ビタミンや
ミネラルを強化したり、干ばつや病虫害に抵抗力を持った作物を作る
のには、伝統的な品種改良で十分有効だと対抗する。そうした品種改
良はすでにできつつある。
ゲイツ財団の出資によって、ハーベストプラス社は鉄分を強化した
大豆を作るために伝統的な品種改良の手法を使っており、それによっ
てアフリカの女性や子どもたちの貧血は減少している。そうした進歩
のスピードが遅すぎる場合には、非GE手法の研究に資金を手厚くす
れば、このタイムラグは解決できるというのが、GE反対連効家たち
の意見だ。彼らにとっては遺伝子組み換えによるスピードアップは正
しい答えではないのである。苦しんでいる人々にGE作物を導入する
のは良心的ではないと言う。すでに十分な困難を味わっている人々の
もとへ疑いのある製品を広げることは、倫理的でないという考えだ。
結局のところ、発展進上国の政府や消費者自身が、農業に問する異
なる選択肢の長所と短所をどう評価するかなのだ。最新のテクノロジ
ーが持っているリスクと、栄養不良による死とを比較考察しなければ
ならない。
経済的なコストとさまざまな手法で得られる利益を評価しなければな
らない。GE大豆を栽培するかどうかを決定する際には、貿易上の意
味合いも考慮する必要がある。この問題は次章で検証する。
GE技術に問する議論とは別に、大豆と貧困層との間には広範囲に
及ぶ関係が存在する。通常の大豆は連切なたんぱく質やカロリーが取
れない人々にとっては非常にすぐれた食品である。人手可能な幅広い
植物性の製品の中でも、大豆は最もすぐれたたんぱく資源であり、し
かも動物性たんぱく質よりもはるかに安価だ。したがって、大豆は困
窮している人々のために、難民や栄養失調の学童のために、配給食の
主な材料として利用されている。
写真1.大豆とトウモロコシをまぜたインスタント食品は完全に調理
済みだ。これはクラッカーの形に絞りだすことができる。また、さま
ざまなレシビで粉末状のものが使用されたり、ぬるま湯でお粥にもな
る。款援物資や開発事業でよく利用されている。⮜263⮞
さまざまな団体が災害救助や長期間にわたる食事提供プログラムに
大豆を使用している。国連の世界食糧計画、国境なき医師団、アメリ
カ合衆国国際開発庁(USAID) 国際赤十字赤新月桂連盟、キリスト数
団体のアクト・アライアンス、カトリック教会の国際カリタス、イン
ド・アクシャヤ・バトラ基金、その他多くの団体が大豆タンパク質に
トウモロコシや粉ミルクを混ぜたもの配給している。大豆のたんぱく
質ばかりで脂質とカロリーを供給できる。
数々の救済事業で大豆が利用されている話には元気を与えられる。
1996年シエラレオネのジンミという小さな町で食料が底をついた。非
道な戦闘状況のただ中に置かれて、人々は農地へ出ることも、その他
の地域から農産物を買うこともできなかった。意を決して町から出る
ことは非常に危険だった。紛争の両サイドとも、一般民衆へも銃口を
向けていたからだ。反乱軍兵士たちは農業に基盤を置いていた国家経
済をつぶすことによって、政府を屈服させようとしていたため、畑を
耕そうとした農民はしばしば処罰された。耕作を行ったとして、その
報復にその場で手足を切断される農民もいた。加えて両軍の戦闘員か
ら一般市民はひどい戦争犯罪行為を受けたのだ。農村の人々は敵軍に
味方したと疑われると、首をはねられたり、レイプされたり、内臓を
引き出されたりした。
銃撃されたり、唇を切り落とされたり、両方の唇を縫いつけられた
者もあった。眼球をえぐり出されたり、耳を切り落とされたり、火を
つけた建物の中に寄せ集められたりした。子どもたちが誘拐されるこ
ともたびたびたった。幼い男の子たちは偵官兵にされ、少し年上の少
年たちは麻薬を打たれて洗脳され、残虐な行為をさせられた。少女た
ちは兵士のために性的な行為や家事労働をさせられた。1996年初頭ま
でに、1万人が死亡し、ジンミ近郊の大多数、さらに数十万という人
々がより大きな町へと難民となって逃げだした。残った人々には飢餓
が襲いかかった。
三月の終わりに赤十字国際委員会(ICRC)は、次のような控えめな
表現のプレスリリースを発表した。
ジンミは……何年にもわたる戦闘によってこの国の他の地域から
文字どおり切り離されてきた。……1月20日から22日にかけてICRC
は初めてこの町に食料援助を行った。……道路を使うことは非常に
危険なので、ケネマとジンミの間の移動は赤十字のマークをつけた
ヘリコプターによって行われた。およそ40トンの油と粉来状のトウ
モロコシと大豆が5,600人の住民のもとに届けられた。
ICRCによる大豆のたんぱく質とカロリーの救授か人々の生死を分け
た。ここで、人々が失ってしまった安全な日常の暮らしを切望してい
るこの小さな場所で、大豆はまさに空から降ってきた奇跡の贈り物だ
ったのだ。もちろんこの国の多くの問題への万能薬ではなかったし、
また人々の健康を損なう危険な植物でもなかった。単によき食べ物で
あり、衰弱からの救出と、悪夢と化した世界での生き残りの可能性を
くれるものだった。
突然の大惨事が起きると大豆は何度も繰り返し被災地に届けられた。
2011年の日本での地震と津波、原発事故の後には、特に大豆は、非常
時の援助と助け合いの手段となった。日本が窮地に陥った時、日本政
府から何年こもわたって受け取っていた援助に対して、南米の農家が
お返しとして、援助を行ったのだ。国際協力機構(JICA)はその使命
の一つとして、日本人移民とその子孫たちの支援を行っている。その
互恵関係はすでに何年も前から行われていた。中南米では移民のコミ
ュニティー(日系人社会)を医療機関の建設 高齢者支援、日本語ク
ラスのための教師派遣、日本で勉強するための奨学金などで支援して
きた,またJICAは南米の日系人農家----偶然にも大豆栽培を行ってい
た----に資金貸与を行ってきた。2011年の大災害は日系人たちの中に
大きな共感を呼び起こした。地震は非常に強いもので、地軸を10~15
センチ移動させ、40メートルにもおよぶ津波を引き起こした。海水は
三基の原子炉で放射性物質の流出を引き起こした。同時に起きた災害
で2万5,000人もの犠牲者が出て、13万棟近くの建物が倒壊した。原子
力施設の周囲20キロが居住不可能な地域となった。漁船は2万6.000隻
が破壊され、港湾施設や道路、鉄道、空港施設には大きな被害が出た。
800万羽の鶏が死んだ。大豆を含む飼料の材料が届かなかったからだ。
ショックを受けた日系人たちの動きは素早かった。パラグアイでは、
大豆によって連帯を示した人々がい日系人大豆生産者たちの協同組織
が100トンもの大豆を寄付してくれたと、後日JICAが報告した。
パラグアイ日本入会連合会は、日系入が栽培した大豆を何年にも
わたって輸入してきた経験のある日本企業、株式会社ギアリンクス
の協力を得て、パラグアイ全土から輸送費と豆腐製造費用の寄付を
募った。大豆は豆腐の製造に使用され---東日本大震災の被災者の
もとに届けられた。2012年2月にはこのプロジェクトによって百万
パックの豆腐を製造できるだけの大豆が供給された。
さらに最近では、その他の自然災害時にも被災地に大豆が届けられ
ている。2016年のインド北東部を激しい嵐が襲い、河川が氾濫し、千
を超える村に水があふれた。水は普通なら生命をもたらすものだが、
何万ヘクタールもの作物をすっかりだめにしてしまった。人々は家を
失い、道路や橋の上、避難所にあふれた。
この項つづく
【ポストエネルギー革命序論 422: アフターコロナ時代 232】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
風蕭々と碧い時代
イマジン John Lennon
曲名: くちなしの花(1973年) 唄: 渡哲也
作詞⯍作曲: 水木かおる、遠藤実
いまでは指輪も まわるほど
やせてやつれた おまえのうわさ
くちなしの花の 花のかおりが
旅路のはてまで ついてくる
くちなしの 白い花
おまえのような 花だった
わがままいっては 困らせた
子供みたいな あの日のおまえ
くちなしの雨の 雨のわかれが
今でもこころを しめつける
くちなしの 白い花
おまえのような 花だった
くちなしの花」(くちなしのはな)は、渡哲也が1973年 8月21日に、
ポリドール・レコードから発表したシングル曲.。初回プレスは3千枚
だったが、翌1974年に入ってから有線放送などでじわじわヒット、週
間オリコンチャート最高で4位を記録、90万枚を売り上げる渡自身最大
のヒット曲となった[1]。同曲で1974年末の『第25回NHK紅白歌合戦』
に初出場を果たす。プロデューサーの山口光昭が「海軍特別攻撃隊
遺書」という朗読収録するアルバムを企画した際に、江田島の旧海軍
兵学校の資料館や防衛庁で集めた遺書の中に、作家の曽野綾子に紹介
された宅島徳光海軍飛行予備中尉の遺稿集「くちなしの花」があり、
花の歌に得意な水木かおるに作詞を依頼。遠藤実が編曲を斉藤恒夫に
編曲を依頼したというエピソードをもつ。
⫸ 大輪八重咲きクチナシが届き早速地植えする。11年前に他界し
た石井智幸さんの十八番だったことを思い出し胸が熱くなった。
●今夜の寸評:同床異夢の整理整頓
利権に獅噛附しがみつく新興財閥(オリガルヒ)の暗躍。ロシアのプーチン政
権に近いとされる新興財閥(オリガルヒ)のコンスタンチン・マロフ
ェーエフ(47)が、親プーチン派のプロパガンダを流し続け、ウクラ
イナ侵攻に関しても『聖戦』と表現している。我々は、世界中でロシ
アによる有害な活動に対抗していく」とし6日、米連邦捜査局(FBI)
は制裁逃れを図った罪などで起訴声明を公表。わたしたち、より開か
れた世界に向かってなにをすべきかを考え、二度とこの犯罪を繰り返
さぬようにしなければならない。