彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」
コロナ禍で出生数が急減、このまま我々は手をこまねき「小国」への
途を受容するのか。人口は国力の源である。国際関係の基本構造は、
「大国」が定め、「小国」はその中で生き残る方策を考えるしかない。
人口急減に直面する日本は、一億人国家の維持すら危うい状況にある。
このままでよいのか。本書は、介護保険の立案から施行まで関わり「
ミスター介護保険」と呼ばれた著者が、豊富なデータと学識、政策現
場での深い経験をベースに、危機的な日本の人口問題を正面から論じ
た超大作。 人口問題は、社会経済に深く関係し、国家存亡にも影響を
与える重要テーマ。それだけに我々の価値観に関わる根深い意見対立
も存在する。そこで様々な登場人物が異なる視点から語る小説形式を
とる。政府、政党、国会がどのように関わりながら政策・法案が練ら
れ、諮られていくのか、超リアルなストーリーに沿って、人口問題の
深刻さを知り、解決策の手がかりが得られるまったく新しいタイプの
書籍。 ※本書はフィクションである。登場人物は著者による創作で、
モデルは存在しない。しかし、登場人物が語り、取り組む人口減少問
題の内容は、すべて公開資料に基づく事実である。
『目次』
プロローグ 衝撃の海外レポート
第1章 一億人国家シナリオの行方
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
第3章 出生率向上のための「3本柱」
第4章 「地方創生」と「移民政策」
第5章 議論百出の人口戦略法案
第6章 波乱の「人口戦略国会」
エピローグ 「始まり」の終わりか、「終わり」の始まりか
【著者略歴】
山崎 史郎(やまさき しろう、1954年〈昭和29年〉12月17日 - )は、
日本の厚生・厚労官僚。リトアニア国駐箚日本国特命全権大使等を経
て、内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。
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【最後の読書録 Ⅲ】
新・国債の真実―99%の日本人がわかっていない
目次
はじめに
1章 まず「これ」を知らなくては始まらない―そもそも「国債」っ
て何だろう?(企業は金を借りて運営する、国も同じ;政府は予算
を立て、「足りない額の国債」を発行する ほか)
2章 世にはびこる国債のエセ知識―その思い込い込みが危ない(
何の知識もなく語っている人が多すぎる;「倹約をよしとする」と
「借金は悪」となる ほか)
3章 国債から見えてくる日本経済「本当の姿」―「バカな経済論」
に惑わされないために(なぜ財務省は「財政破綻する」と騒いで
いるのか?;財務省ロジックに乗っかる人々もいる ほか)
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第3章
「国情が暴落すれば日銀が大損する!」
というバカ報道
「政府の借金が増えているから問題」という偏った批判がある一方で、
「日銀が大損をするから問題」という偏った批判もある。たまたま、
ある新聞で目にしたときにはびっくりしたが、これも見当違いな批判
であることを、ここで説明しておこう。
まず「日銀が大損をする」というのは、次のようなことだ。
日銀が、民間金融機関から高値で大量に国債を買っているが、景気
がよくなれば国偵価格は下落する。そこで金融緩和策から金融引き締
め策へと転じれば、日銀には逆ザヤとなって巨額の損失が出てしまう。
要するに、日銀が高値で買った国債は、いずれ価格が下落するだろう
から、大きな評価損が生じる(下がった差額分、損をする)、といい
たいわけだ。
じつは20年ぱどまえから、こうした議論はあった。
元アメリカ財務長官のローレンス・サマーズ氏※や、FRB前議長
のペン・バーナンキ氏※が来日したときにも、日銀関係者なとがら「
日銀の評価損は問題ではないか?」
という質問が出ている。
それに対するサマーズ氏の答えはひとこと、「だから何?」たった。
もっともな答えだと膝を打ったが、素人には何のことやらわからない
だろう。
もう少し親切に説明するなら、バーナンキ氏の「日銀資産の評価損
は、政府負債の評価益だから問題ない。もし気にするなら、政府と日
銀の間で損失補填契約※を結べばいい」という答えがわかりやすい。
サマーズ氏はちょっと意地悪だったかもしれないが、バーナンキ氏
は誠実で親切丁寧な経済学者らしく、ちゃんと答えてくれたのだ。
この二人に共通しているのも、「統合政府バランスシート」で財政
を見ている、という点だ。
日銀と政府は、子会社と親会社であるかのように一体である。そし
て資産と負債は背中合わせである。したがって、日銀の「資産」であ
る国債の「評価損」は、政府の「負債」である国債の「評価益」とな
るため、政府と日銀のバランスシートを合算すれば問題ない。
サマーズ氏もバーナンキ氏も、こういうことがいいたかったのだ。
彼らにとっては常識中の常識だったから、サマーズ氏に至っては「だ
から何?」という笞えになったに過ぎない。
「統合政府バランスシート」は、それくらいスタンダードな考え方
なのである。
政府と日銀を一体と考えれば、どちらかの「資産」は、もう一方の
「負債」であり、どちらかの「損」は、もう一方の「益」になる。こ
れは編しのロジックでも何でもなく、財政の本当の姿がもっともよく
わかる見方であることを、ここで再度強調しておこう。
百歩譲って財政問題があるなら、
政府資産を売ればいい
日本に財政問題などないことは明らかだが、百歩、千歩譲って、財
政問題があるとしよう。あるいは将来的に、財政問題が生じたとしよ
う。
そこで真っ先にすることは、増税でも歳出カットでもない。資産の
処分である。要するに資産を売って、財政の足しにすることだ。
民間の企業でも、経営が苦ししくなってきたら、みずからの関連子
とを考える。人事な強みを手放していいのかという議論はさておき、
倒産を避けるために試算を処分する、というのは当たり前に行なわれ
ていることだ。
政府でも同じだ。
たとえば、2009年、政権交代を機に大変な財政赤字が発覚しかギリ
シャでは、大々的な政府資産の売却が行なわれた。だから日本だって
もし財政問題があるというのなら、まず資産を売ればいいこういうと
財務官僚から「資産には売れないものもある」という批判が出る可能
性がある。
たしかに、たとえば車を持っていても、誰も欲しがらないような車
だったら、お金が必要なときに売って、家計の足しにすることはでき
ない。国の資産でも、道路などの資産は「売りにくい」という問題が
ある。
ただ、日本政府の資産の大半は、金融資産だ。そのため、海外では
「日本政府は、売ろうと思えば売れる資産がたくさんあるのに、ぜん
ぜん売ろうとしないのだから財政破綻するはずがない」と見られてい
る。
「売ろうとしない」のは、もちろん日本に財政問題がないからだが、
じつは「売りたくない」という事情もある。
財務省のホームページを見ると、「資産を売れば借金が返済できる
という説もあるが?」という質問に対しヽあれこれと理由をつけて゛
資産を借金返済に当てることは困難」と回答している。
財務省は、基本的に「財政問題がある」というスタンスだ。それな
のに、「資産を売ることはできない」という。売れる資産があるのに
売らずに「増税で借金を返す」という、ふざけたロジックになってい
るのだ。
いったいなぜなのか。これにはウラがある。日本政府の金融資産は、
じつは天下り先への出資金、貸付金が非常に多いのだ。
となればもう明らかだろう。政府の資産を売るとなれば、当然、官
僚が天下り先として確保している特殊法人や政府子会社も処分するこ
とになる。「政府資産には、売れないものもある」というのは、せっ
かくの将来の落ち着き先がなくなっては困る、という官僚の泣き言に
過ぎないのである。
「自分たちの将来のために、資産は売りたくない」――これが、財
務官僚の本音なのだ。
同じ官僚出身の身としては、情けない話である。再就職先くらい、
自分で見つけたらどうかといいたい。
こういってもわかってもらえないのなら、法律で規制するしかない。
実際、払は第一次安倍政権の内閣参事官だったころに、天下りの法
規制の企画立案担当者だった。じつは私にも官僚時代に退職人事に関
わり、再就職斡旋を行なった経験がある。「天下り」とは、つまり「
不適切な再就職」ということだが、実際には各省庁で当たり前のよう
に、その「不適切な丙就職」の斡旋が積極的に行なわれているのだ。
天下りをするのは一定以上の管理職だ。
とはいえ、天下り先へ予算をつけたり監督権限行使の際に、天下り
先には手加減したりといった経験のある役人は多いはずだ。
こういうものも含めれば、天下りは各省庁の組織ぐるみのことであ
る。現行の法規制には抜け穴もある。だから、天下りはなかなか減ら
ないのである。組織の内側から正すことが難しい以上、やはりもっと
厳しい法規制が必要である。
たとえば、官僚の再就職は必ずハローワーク経由で行ない、手続き
を透明化する、官僚OBが直に行なう斡旋もしっかり捕捉し、罰則を
設ける、といったことだ。
こうして天下りが根絶やしにされていけば、「天下り先である資産
を売りたくない」なんて泣き言も聞こえなくなってくるだろう。
もとより、今の財政は安泰といえる状況だが、いざというときには、
その政府資産がまっさきに処分される対象となる。
なぜ、そんなにうるさく
「利払い」「償還」を気にするのか?
利払いや償還があるから、国債発行は問題とする見方もある。
国債は借金である以上、当然、借り手である政府は利子を払わなく
てはならない。
10年償なら10年、30年債なら30年というように(もっと短い国債も
ある)、期限がきたら、借金の元本も耳を揃えて返さなくてはならな
い。これらの費用が大変だから、国債をあまり出さないはうがいい、
というわけだ。
ただ、じつはこれも大した問題ではないのだ。
まず「利払い」から説明しよう。
1章で、国債の「基本のキ」として、日銀は国債の利子収入を国庫
納付金として政府に納めていると説明した。これが政府にとっては「
税外収入」となる。
さらに政府の資産は前項で見たように、金融資産が多くを占めてい
るからその利子収入も政府に入る。
じつはこの二つの利子収入で、国債の利払いはまかなえてしまうの
だ。
では償還費、つまり借金の元本の返済はどうか。
その財源はどうするかというと、民間金融機関に新たに国債を買っ
てもらえばいい。発行済の国債の償還のために、新たに国債を発行す
るということだ。これを「借換債」というが、前に説明した「建設国
債」「赤字国債」同様、政府内での便宜上の呼び分けだ。
お金に色はついていない。金融市場ではやはり「国債」は「国債」
である。
借金を返すために、別のところから借金をする。これを「自転車操
業」というのはお門違いだ。
企業だって、ずっとお金を借りて経営を続ける。期日が来たら、自
社のメインバンクで借り換えをして資金を借りて返済に充てるなど、
普通に行なわれているのだ。もし、「もうこれ以上、お金を貸せませ
ん」といわれたら大変だが、借り換えができている限りは問題ない。
政府の借金も企業の借金も、この点で同じである。そのうえ、国債
は民間金融機関としても「買い続けたい金融商品」だから、余計に問
題ないといえる。なぜなら、すでに説明したように、民間金融機関は
お金をお金のままではもっておきたくないからだ。
国債の利子収入はわずかだが、かといって、買うのが民間企業の株
や社債ばかりでは心もとない。破綻リスクという意味では、民間企業
より国のほうが、はるかに信用できる。企業はいつ倒産するかわから
ないのに対して、国は大抵のことでは倒れない。
民間金融機関は、ハイリスクハイリターンの株や社債より、ローリ
スクローリターンの国債を、つねに保有しておきたいものなのである。
そして、何より国債は金融市場の「コメ」だ。これも前に説明した
とおり、「お金」のような役割をする国債があるから、ばかの金融取
引もできる。国債がなくては、金融市場でやっていけないのだ。
だから民間金融機関は、いつだって国債を買いたい。借金を返され
るだけでは、じつは彼らは困ってしまうのである。
個人レベルで考えれば「借金を重ねるのは悪いこと』となるが、国
レベルでは、借金を返すために借金をするのは当然だし、何も悪いこ
とはないのだ。
民間金融機関は、国債の償還を受けたら、そのお金でまた新しく国
債を買う。
政府は、償還すると同時に新発国債を買ってもらえるのだから、借
金の返済で首が回らない、という事態には陥らない。
このように、国債の償還と新規国債の発行は、政府と数多の民間金
融機関の間で、つねにダルダルと巡っている。
ちなみに、国債入札できる民間金融機関は、銀行から信用金庫、保
険会社、証券会社まで240社あまりにのぼる。国債はつねに引く手数
多の状態で、240あまりの民間金融機関が、よってたかって「売ってく
れ」と入札していると考えていい。
【再エネ革命渦論 87: アフターコロナ時代 286】
● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)七月には海辺で