彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」。
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
特異点真っ直中 ⑯
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。
📑植物の狙った一細胞で遺伝子発現を誘導できる技術
6月8日、横浜市立大学・横浜市立大学・基礎生物学研究所・龍谷大
学の共同研究グループは、植物体の中の任意の一細胞で特定の遺伝
子発現を誘導することができる技術の確立に成功。
【要点】
1.植物体の中の任意の一細胞で特定の遺伝子発現を誘導すること
ができる技術を確立
2.狙った一細胞での遺伝子発現のON・OFFやゲノム編集なども可能
になることが想定され、植物多細胞組織での細胞と細胞のやりと
り(細胞間相互作用)を介したさまざまな生命活動のメカニズム
をこれまでにない精細さで理解できるようになることや、この技
術を用いた全く新しい研究手法の開発や品種改良につながる新た
な研究技術の開発など期待できる。
植物でのオプトジェネティクスに新時代到来
【概要】
多細胞生物である植物や動物は、からだを構成するたくさんの細胞
同士がオーケストラのように協調して働くことで生きている。受精
卵から個体が形作られていく過程も細胞間の相互作用が必要であり、
また、さまざまなストレス応答も同様。一般に、生命の設計図であ
る遺伝子一つ一つの機能は、その遺伝子が機能しない状態になった
生物(機能欠損変異体)を調べることで理解されてきた。一方で、
「無い状態」からその機能を予測するだけでなく、「ある状態」を
調べなければわからないことも多々あるため、その遺伝子を全身で
過剰に発現させるなどして、その影響を調べることも行われている。
➲多細胞生物の中で、どの細胞がどんな役割を果たしているのか
は生物学の中では古くからある大きな疑問であっあ。これは現代生
命科学で言えば、どの細胞で、どの遺伝子が、どんな役割を果たし
ているかということになる。遺伝学が発展しても、特定の遺伝子の
全身的な欠損や過剰発現だけではこういった細胞間の相互作用はな
かなかわからず、古くからキメラ*の作成などで各細胞の役割解明が
試みられてきた。近年では、遺伝子組換え技術を用いて、特定の遺
伝子をある特定の細胞種でのみ発現させたり、化学物質など特定の
刺激に応じて局所的に発現させる技術が大きな役割を果たしてきた
が、それでも細胞種の制限や化学物質処理技術の限界などもあり、
一細胞レベルで遺伝子発現を制御することは困難だった。近年、動
物分野では、植物由来の光受容体を人為的に改変して動物細胞で発
現させた上で特定の波長の光を一細胞などの局所に照射することに
より、一細胞レベルで遺伝子発現をコントロールするオプトジェネ
ティクス*が隆盛となっていたが、元々それら受容体を持つ植物では
可視光を使ったオプトジェネティクス技術の利用は困難を極めてい
た(図1)。
【関連技術情報】
1.論文情報:①原題:Targeted single-cell gene induction by optimiizng
the dually regulated CRE/loxP system by a newly defined heat- shock
promoter and the steroid hormone in Arabidopsis thaliana
②掲載誌:Frontiers in Plant Science 5 June 2023 Volume 14 - 2023
③ DOI:doi.org/10.3389/fpls.2023.1171531
2.キメラ:異種の細胞や同種で系統の異なる細胞が混ざった状態
の体をもつ生物。接ぎ木も異なる植物を繋いでいる場合は一種の
キメラと言える。
3.オプトジェネティクス:光で細胞状態を変化させるような外来
遺伝子を導入して発現させ、光によって細胞状態を操作する実験
技術の総称。光遺伝学ともいう。可視光を利用して動物の神経細
胞などを操作する技術を指す場合が多い。本研究では目に見えな
い赤外光を利用する技術開発を進めることで、オプトジェネティ
クス分野の発展に貢献することも目的の一つである。
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