彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
再エネのソーラー・ウインドウ・バイオマス・地熱につづき、メタネーシ
ョンを追加し、一世一代の大構想を打ち出そうととしている。
なんと面白いことか。メタネーションの続きは後ほどとして、まずは、最
新技術情報の整理整頓から。
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ナノロッド状の構造を持つ赤色透明な水分解用の窒化タンタル光電極世
界トップレベルの太陽光−水素変換効率10%を達成
今月18日、信州大学らの共同研究グループは、太陽光を利用して水を高い
効率で分解して酸素を生成できる赤色透明な光電極の開発に成功し。ナノ
ロッド状の構造を持つ窒化タンタル光電極を用いることで、世界トップレ
ベルの太陽光-水素変換効率(STH)10%を達成 。この成果は、光電極が
ナノロッド状であることに加え、赤色透明であることを活かして、タンデ
ム型セルを構築して得られた。ナノロッド状の窒化タンタルの表面に鉄-
ニッケル-コバルト系複合酸化物からなる助触媒を均一に修飾することで、
反応開始から7時間にわたって太陽光-水素変換効率を10%に維持させるこ
とに成功する。
【概要】
光触媒で、水分解を行い、水素と酸素を生成は、再エネは「グリーン水素」
安価なグリーン水素製造のためには、光触媒の太陽光−水素変換効率(STH)
向上が課題。人工光合成化学プロセス技術て、世界トップレベルの効率10
%を達成。これは、窒化タンタルをナノロッド状に成膜した赤色透明な酸
素生成用の光電極と水素生成用のPt/Ni電極触媒を備えた二直列CuInSe2太
陽電池(無機化合物系)とを組み合わせた水分解用タンデム型セルで。今
回、人工光合成の有用性を実証。
図3.図3 酸素生成用のナノロッド状窒化タンタル光電極と水素生成用Pt
/Ni電極を接続した二直列CuInSe2とからなるタンデム型セル(2段型)に
よる外部電源を用いない水の分解反応
図1.材料および構造的特性。 a)Ta3n5-nrs/ta3n5-thinフィルム/ganのSEM
画像(サイドビュー)。b、c)フェニクーx/ta3n5-nrsの高解像度透過電子
顕微鏡画像。 d)(b)の選択された領域のスポット電子回折パターン。
e)TA、N、O、FE、NI、およびCO要素の(B)の選択された領域のSTEM-ED
Sエレメンタルマッピング。 (c – e)では、境界色は(b)の選択された
領域に対応。
【展望】
より安価に水素製造が可能となる粉末型光触媒シートの太陽光-水素変換
効率の向上および光触媒を用いた水素製造技術の社会実装を目指す。
✔ 貴金属/希少元素の持続可能な製造技術的側面の考察が不可避となる。
【関連論文】
・Tantalum Nitride‐Enabled Solar Water Splitting with Efficiency Above 10%
・Advanced Energy Materials - Wiley Online Library
・ First published: 15 August 2023 https://doi.org/10.1002/aenm.202301327
画像:Furture Timeline
オールメタネーションシステム概論 ④
その前に、カーボンキャプチャー(直接空気回収:ADC)に触れておこう。こ
こで用いる技術工学方式は、液体ではCO2吸収液としてアミン系有機溶剤を
使用する方式と生石灰/消石灰もよる吸収剤があるが、後者は鍵語は硝子
繊維様態のフィルム(日本製品の特長的付加価値でもある)となるだろう。
両者とも連続再生回収で力は、再エネとメタネーション・エネ(燃料電池
と生成物燃料)となるだろうが、二酸化炭素)の増加を遅らせるだけでな
く、現在1,000ギガトン(Gt)を超えると推定されている大気中にすでに存在
するレガシー排出量にも対処する必要があるとされる(下図参照)。植林
と再植林スキームは、これを達成する1つの方法だが、木が成長するのに
何年もかかり、完熟する前に、干ばつや山火事などの気候変動の影響によ
って害を受ける可能性があり、その対策を考えておく必要がある。
出所:FutuerTimeline
因みに、米国エネルギー省(DOE)は、これまでで最も野心的な取り組みを発
表し、バイデン大統領の「アメリカへの投資」計画の一環として、ルイジ
アナ州とテキサス州の1つの大規模DAC施設に最大2億ドル投資----最初の
Project Cypressは、Climeworks Corporation、Heirloom Carbon Technologies、
Gulf Coast Sequestration、および非営利団体Battelleとのコラボレーションで
、ルイジアナ州南西部に位置し、毎年1万トン以上の既存のCO2を大気から
回収し、地下恒久的貯蔵を目指す、最大2,300人の新規雇用創出➲化石燃
料産業での総雇用労働者の10%に相当----が授与されている。
※目標処理費:100ドル/メートル-トン未満
7
「もしこの世界に完全なものが存在するとすれば、それはこの壁だ。誰
にもこの壁を越えることはできない。誰にもこの壁を壊すことはできない」
門衛はそう断言した。
壁は一見したところ、ただの古びた煉瓦塀のように見えた。次の強い嵐
だか地震だかであっさり崩れてしまいそうだ。どうしてそんなものを完全
と言えるのだろう?
私がそう言うと、門衛はまるで自分の家族について故のない悪口を言わ
れた人のような顔をした。
そして私の肘を掴み、
壁のそばまで連れて行った。
「近くからよく見てみな。煉瓦と煉瓦の間に目地がないだろう。それに
ひとつひとつの煉瓦の形もそれぞれに少しずつ違っているはずだ。そして
そのひとつひとつが、髪の毛一本入る隙間もないくらいぴったりとかみ合
っているはずだ」
そのとおりだった。
「このナイフで煉瓦を引っ掻いてみな」、門衛は上着のポケットから作
業用ナイフを取り出し、パチンと音を立てて刃を開き、私に手渡す。一見
古ぼけたナイフだが、刃は念入りに研ぎ上げられている。「傷ひとっつき
はしないはずだ」
彼の言う通りだ。ナイフの刃先はかりかりと乾いた音を立てるだけで、
煉瓦には白い筋一本もつかない。
「わかったかね。嵐も地震も大砲も、何ものもこの壁を崩すことはでき
ない。傷つけることもできない。今までもできなかったし、これから先も
できないだろう」
彼は記念写真のポーズでもとるみたいに、壁に手のひらをつけたまま、
顎をぐいと引いて私を得意そうに見た。
いや、この世界に完全なものなどありはしない、と私は心の中でつぶや
く。何らかの形を有するものであればどんなものにも、どこか必ず弱点な
り死角がある。でも声には出さない。
「この壁は誰がつくったのですか?」と私は尋ねた。
「誰もつくりやしない」というのが門衛の揺るぎない見解だった。「最初
からここにあったのさ」
最初の一週間が終わるまでに、私は君が選んでくれた〈古い夢〉をいく
つか手に取り、読もうと試みた。しかしそれらの古い夢は、私に何ひとつ
意味のあることを語ってはくれなかった。そこで耳にしたのは、もそもそと
いう不破かなつぶやきであり、目にしたのは焦点の合わないいくつもの細
切れなイメーージでしかなかった。断片を出鱈目に継ぎ合わせた録音テー
プやフィルムを遠回しに見せられているみたいだった。
図書館の書庫には、書籍の代わりに無数の古い夢が並んでいる。長い歳
月にわたって手を触れる者もいなかったらしく、どれも表面にうっすらと
白い埃をかぶっていた。古い夢は卵のような形をしており、サイズも色合
いもひとつひとつ違う。様々な種類の動物たちが産み落としていった卵の
ようだ。でも正確には卵形とは言えない。手に取って間近に眺めると、下
半分か上半分に比べてより膨らんでいることがわかる。重みのバランスも
いびつだ。しかしそのいびつさのせいで座り心地が安定し、支えがなくて
も棚から転げ落ちたりすることはない。
表面は大理石のように硬質で、つるりと滑らかだ。しかし大理石の重み
はない。それがどのような材質でできているのか、どれはどの強度を有す
るものなのか、私にはわからない。床に落としたら割れてしまうのだろう
か? 何はともあれ、それらはとても注意深く扱われなくてはならない。
希少な生物の卵を扱うのと同じように。
図書館には一冊の書籍も置かれていない----ただの一冊も。がってはそ
こに書籍がずらりと並び、街の人々は知識と楽しみを求めてここを訪れた
のだろう。普通の街の図書館のように、そんな雰囲気は残り香として、ま
だあたりに微かに漂っていた。しかしどこかの時点ですべての書籍が書棚
から取り除かれ、そのあとに古い夢が並べられたらしい。
そして〈夢読み〉はどうやら私の他にはいないようだ。少なくとも今の
ところは、私がこの街における唯一の夢読みであるらしい。私の前にはべ
つの夢読みがいたのだろうか? いたかもしれない。夢読みに関する規則
や手順がこのように絹かくこしらえられ、維持されているところを見ると、
たぶんいたのだろう。
図書館における君の職務は、そこに並ぶ古い夢を護り、適切に管理する
ことだ。読まれるべき夢を選び、それが読まれたという記録を帳簿に残す。
夕刻前に図書館の扉を開け、ランプの明かりを灯し、寒い季節であればス
トーブに火を入れる。そのための、なたね油と薪を切らさないようにして
おく。そして<夢読み>のために----つまりこの私のために----濃い緑色の
薬草茶を用意する。
「たとえば君はこの街のどこに住んでいるのだろう? そして誰と? ど
のようにして図書館の仕事をするようになったのだろう?」
君はしばし沈黙する。それから言う。
「私の家はそれほど遠くではありません」と君は言う。それだけ。でもそ
れはひとつの事実だ。
君は軍隊毛布のようなざらざらの生地で作った青いコートを着て、とこ
ろどころほつれた黒い丸首のセーターに、少し大きすぎる灰色のスカート
をはいている。どれもみんな誰かのお下がりみたいに見える。しかしそん
な貧しい衣服に身を包んでいても、君は美しい。君と肩を並べて夜の道を
歩いていると、私の心臓は強く締めつけられる。正しい呼吸ができなくな
るくらい。あの十七歳の夏の夕暮れと同じように。
「この街に来たばかりっておっしゃってましたが、どこからいらっしゃっ
たのですか?」
「ずっと来の方にある街から」と私は曖昧に答える。「とてもとても遠い
ところにある大きな街だよ」
「私はこの街以外の場所を知りません。ここで生まれて、壁の外には一度
も出たことがないから」
そう言う君の声は柔らかく優しい。君の目にする言葉は高さハメートル
ほどの堅固な壁にたりなく護られている。
「なぜわざわざここにやって来たのですか? よそからこの街にやって来
た人に会うのは、あなたが初めて」
「なぜだろう」と拡は言葉を濁す。
君に会うためにここまでやって来たんだよ、そう打ち明けることはでき
ない。それはまだ早すぎる。そうする前に拡は、この街に関するより多く
の事実を学ばなくてはならない。
我々は数も光量も乏しい街灯の下、川沿いの夜の道を東に向けて歩く。
かつてきみと歩いたのと同じように、二人肩を並べて。川の穏やかな水音
が耳に届く。夜啼鳥の短い澄んだ声が川向こ
うの林から聞こえる。
君は拡がこれまで住んでいた「遠くにある東の街」のことを知りたがる。
その好奇心が拡を君に少し近づけてくれる。
「そこはどんな街だったのかしら?」
そこはいったいどんな街だったのだろう、ほんの少し前まで拡が生活を
送っていたその街は?
そこでは多くの言葉が行き交い、それらがっくり出すあまりに多くの意
味が溢れていた。
しかしそんな説明をしたところで、いったいどれほどを理解してもらえ
るだろう? この動きを持たない、言葉少ない街で君は生まれて育った。
簡素で静謐で、そして完結した場所だ。電気もなくガスもなく、時計台は
針を持たず、図書館には一冊の書籍もない。人々の口にする言葉は本来の
意味しか持たず、ものごとはそれぞれ固有の場所に、あるいはその目に見
える周辺に揺るぎなく留まっている。
「あなたが住んでいたその街では、人々はどんな生活を送っているのかし
ら?」
私はその問いに上手く答えることができない。さて、私はそこでどんな
生活を送っていたのだろう?
君は尋ねる。「でもそこはこの街とはずいぶん違っているのでしょう?
大きさも成り立ちも、住んでいる人たちの暮らしぶりも。どんなところ
がいちばん違っているかしら?」
私は夜の大気を胸に吸い込み、正しい言葉と連切な表現を探す。そして
言う。「そこでは人々はみんな影を連れて生きていた」
この項つづく