● 今夜のダメ出しⅠ こんな軍事基地?はいらない。
Chaina says airstrip on Spratly islands is for ‘supply and maintenance only' , but it is no credibility.
同国主導で年内に設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に57カ国の参加
が決まり、創設メンバーが確定したと中国が発表。3月末の期限前に駆け込み申請
が相次いだ結果、日本と米国が最大出資国であるアジア開発銀行(ADB)の67
カ国・地域に迫る規模で発足することになったことで、さすがの日米政府も困惑を
隠せないようだ。結論的には、参加しても参加しなくてもどちらでも良いことで、
粛々と、新興国の経済発展を「贈与経済」的に下支えすればよいことだと既にコメ
ント済み(「独立自尊再考 アジアインフラ投資銀行(AIIB)問題」『進撃の
ヘーリオスⅠ』2015.04.02)だが、フィリピン軍が、20日朝、南シナ海・スプラト
リー(南沙)諸島での中国による埋め立ての様子を「緊張を高め、環境を破壊して
いる」と批判し撮影した20枚以上の写真や地図を公開しているように、軍事力を背
景に領土拡張する中国は、いまや自己矛盾の例の「社会帝国主義」的行動を公然化
させている以上、中国の覇権・専横へ警戒を怠らないのは至極当然なことだ。
「財政再建には順序がある 増税は最後の手段」(『高橋洋一の俗論を撃つ!』2015.
04.16 ダイヤモンド・オンライン)で、15日、参議院国民生活のためのデフレ脱
却及び財政再建に関する調査会での参考人発言を再度まとめ掲載していたので斜め
読みし、最後の設問に最上段の「デフレ脱却・名目経済成長」を選択せず、6段目
の「実質経済成長(潜在成長率の底上げ)」の中長期的な課題を重視し投票を済ま
せる。なお、今回の時評のエッセンスを下表にまとめたが、(1)「財政は経済の
後からついてくる」(2) 財政再建“5つの方法”とその順序、(3)日本の財
政状況は深刻ではない 再建には名目成長率が重要、(4)増収のための不公平是
正 税制をいじるより徴収漏れをなくせ、(5)消費増税が日本経済をぶち壊した
そもそも社会保障目的税化が間違い、(6)消費税は地方税とすべき地方分権との
関係で考えよ。とに要約している。
そこで、消費税制と社会保障と地方分権ということを考えさせられた。つまり、高
橋は、この3つの連関をつぎのように規定する。
こう考えると、消費税は、国の社会保障目的税ではなく、地方税とすべきとい
う結論になる。消費税は一般財源だが、国が取るか地方が取るかという問題に
なる。地方分権が進んだ国では、国でなく地方の税源と見なせることも多い。
これは、国と地方の税金について、国は応能税(各人の能力に応じて払う税)、
地方は応益税(各人の便益に応じて払う税)という税理論にも合致する。とい
うわけで、日本を含めて給付と負担の関係が明確な社会保険方式で運営されて
いる国が多い。もっとも保険料を払えない低所得者に対しては、税が投入され
ている。ただし、日本のように社会保険方式と言いながら、税金が半分近く投
入されている国はあまり聞かない。
消費税の社会保障目的税化は、社会保障を保険方式で運営するという世界の流
れにも逆行するものだ(ドイツのように消費税引き上げの増収分の一部を、特
定用途に使った国はある)。
消費税の社会保障目的税化が間違いというのは、1990年代までは大蔵省の主張
でもあった。しかし、1999年の自自公連立時に、財務省が当時の小沢一郎自由
党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使うと予算総則に書いた。なお、
平成12年度の税制改正に関する答申(政府税制調査会)の中で、「諸外国にお
いても消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述がある。
また、地方分権の進んだ国では、オーストラリアのように国のみが消費税を課
税し地方に税収を分与する方式、ドイツ、オーストリアのように国と地方が消
費税を共同税として課税し、税収を国と地方で配分する方式、カナダのように
国が消費税を課税し、その上に地方が課税する方式、アメリカのように国は消
費税を課税せず、地方が消費税を課税する方式がある。これらを見ると、世界
でも、分権度が高い国ほど、国としての消費税のウエイトが低い。
高橋洋一「財政再建には順序がある 増税は最後の手段」
つまり、景気高揚感のあった消費税導入当時の理由が、産業構造の変化(3次産業
の肥大下)では、「応益税」で「広く・薄く」徴収する消費税にシフトすべきだと
故吉本隆明らのインテリ層が主張しそれに追随したというわけだが、デフレ下では
寧ろ、「応能税」にシフトさせなければならないということを学習する。さらに、
所得税の累進制とともに、個人だけでなく、法人への「逆格差法人税制」(「地域
繁栄型法人税制」2014.12.19)の導入などを構想したわけであるが、彼の論旨を踏
まえることで、「税制と景気浮揚論」をより深めることができた。これは有り難い
ことだ。
「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件
を施設内で人工的に制御し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場
所にとらわれず、安全な野菜を効率的に生産できることから多方面で注目を集
めています。その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設備投
資・生産コストから、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や
図解を用いて様々な角度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技
術革新などによってもたらされるであろう将来像についても、アグリビジネス
的な視点や現状もふまえながら紹介、文字通り植物工場のすべてがわかる一書
となっています。
古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」
【目次】
巻 頭 町にとけ込む植物工場
第1章 植物工場とはどういうものか
第2章 人工光型植物工場とは
第3章 太陽光型植物工場とは
第4章 植物生理の基本を知る
第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
第6章 CO2/空調管理
第7章 培養液の管理
第8章 植物工場の魅力と可能性
第9章 植物工場ビジネスの先進例
第10章 都市型農業への新展開
第11章 植物工場は定着するか
世界の「太陽光型」事情
太陽光型はオランダが先進国
1960年代初頭にオーストリアのルスナー社が立体式植物工場の稼働を開
始して以降、太陽光型植物工場は規模・技術ともに発展を続け、現在では、世
界各地に普及している。
なかでもオランダは、1970年代から施設園芸の大型化・自動化・情報化
をすすめ、いまでは国内に約1万ヘクタールの太陽光型植物工場を有する世界
屈指の「太陽光型植物工場大国」となっている。アメリカ、カナダ、オースト
ラリア、中近東東南アジアに設置されている太陽光型植物工場は、オランダか
らの輸入またはオランダ式のものがほとんどである。
ちなみに、「植物工場」に対応する英語としては、太陽光型、人工光型を問
わず"Plant Factorys"という和製英語が浸透しつつある。ところが オランダでは
商業温室のほとんどすべてが太陽光型植物工場であり、「植物工場=いわゆる
普通 日本はこのままでいい?の温室」という感覚であるためか"Plant Factory"
という言葉を人工光型だけに使う。オランダが「太陽光型植物工場大国」たる
所以といえるだろう。
世界の動向と日本の現状
オランダ以外の国でも、太陽光型植物工場の導入・拡大の動きはすすんでい
る。日本の隣国の韓国では、農村振興庁が日本などへの果菜類の輸出を視野に
入れた床面積150ヘクタール規模の太陽光型植物工場事業計画を検討してい
る。同じく隣国の中国でも、北京市の郊外に合計1000ヘクタールを超える
大規模連棟温室および日光温室が設置され、イチゴを主とする野菜類などが生
産されている。さらに、ベトナムやマレーシアでも、台湾、フランス、タイな
どの企業が出資して設置した床面積10~20ヘクタール規模のオランダ式または
フランス式の太陽光型植物工場が稼働している。
日本はというと、太陽光型植物工場を含む園芸施設の床面積は過去10年ほ
とんど変化がない。また、太陽光型植物工場と呼び得る施設の合計床面積も数
百ヘクタール程度と、オランダに遠くおよばず、勢いでも近隣諸国に遅れをと
っている。
日本はこのままでいい?
中国、韓国、台湾、ベトナムやマレーシアの施設園芸地域では、日本に留学
して園芸を学んだ人々が多く活躍している。これは大変喜ばしいことであるが、
一方で"Plant Factorys"という言葉の生みの親である日本は、このま までよいの
か。今後どうしていくべきなのかを十分に考え、実行していく必要がある(巻
末の155頁参照)。
太陽光利用の「問題点」①
植物には「太陽光」が最適なのか
太陽光を利用する露地や温室、太陽光型植物工場などの植物生産システムは
きわめて有用であり、人工光型植物工場が台頭しようと、今後も植物 生産の
多くは太陽光が利用される。
ただ、それは生物多様性や景観、農村社会の維持など農作物生産以外にも重
要な役割があるからであり、太陽光下での生産がすべての植物にとってベスト
だからではない。
私たち人間は「養殖よりも天然≒添加物よりも無添加」と、体内に取り入れ
るものにおいてはとくに「自然であること」にありがたみを感じる傾向がある。
そのイメージの延長で 植物も「人工光よりも太陽光」と考える人は少なくな
い。ただ、植物が必要としているのは光源を問わず「成長するのに最適な光エ
ネルギー」であり、炎天下で熱中症になる人がいるように、植物によっては太
陽光が有害になることもある。
太陽光利用には問題点も多い
植物の成長に必須な光エネルギーとして、太陽光には具体的に以下のような
問題が存在する。
①天候や時期、時刻によって日射(光)の強さと方向・角度が異なる(次頁)。
②季節や天候(曇雨天)による日射の強さの変動に伴い、植物の成長が変動す
る。
③弱光を好む植物(菜もの野菜や苗など)にとって、夏の晴天昼間の光は強す
ぎる。
④逆に、朝夕や曇雨天時の日射は、弱光を好む植物にとっても弱すぎる。
⑤日射エネルギーの約50%は、光合成に利用されない近赤外放射エネルギーと
赤外放射エネルギーである(日射が強いときは、それらの放射の加熱作用の影
響で室内気温と菜温か高くなりやすい)
「太陽光利用=無料」ではない
前述の問題による植物生産速度の遅れを防ぐために、太陽光型植物工場には
遮光カーテンや保温カーテン、暖房設備、換気装置、かん水装置、防虫網の設
置および稼働が必要となる。ちなみに、これらの設備とその管理作業は人工光
型植物工場においては不要である。
つまり「無料」の太陽光を利用するには、相当の設備投資と運転費用(おも
に人件費と冬季の暖房費)が必要なのだ。
また、病害虫防除に関する作業とコストおよび病害虫の被害による収量・品
質低下も無視できない。
室内が過高温になりやすい
日本および中緯度・低緯度に位置するアジア、中近東、北米南部、ヨーロッ
パ南部の平野郎における夏は、比較的高温である。さらに、正午前後の日射も
比較的強い場合が多く(地域および時期によっては相対湿度も高い)、太陽光
型植物工場においては室内の過高温が問題となるが、このような気候条件下で
は昼間のヒートポンプ(エアコン)冷房は得策ではない。そのため、晴天の昼
間には換気窓を全開または換気扇をフル運転する(場合によっては遮光や細霧
発生による気化冷房もする)ことで室内気温を低下させる。
夏場の高温は、植物はもちろん室内作業者にも不適であり、また秋作のため
の育苗にも悪影響をおよぽすため、収量や晶 換気窓全開でもやれる二酸化
炭素施用法は質の向上、さらに快適労働のためにもそのょうな措置が必要であ
る。しかし一方で、この措置が、高収量・高品質を阻む別の問題の「引き金」
となることも知っておく必要がある。
二酸化炭素施用がやりにくい
植物の光合成の律速要因のひとつに二酸化炭素濃度がある。大気中の二酸化が
抑制される。逆に、これを700~1000ppmに高めるとほとんどの植物の光
合成速度が約1・5倍になる。ゆえに太陽光型植物工場においても、そのぐ
らいの二酸化炭素濃度を維持するのが望ましい。
しかし、その障壁となるのが、前述の「室内温度を低下させるための換気」
である。
二酸化炭素は、室内外の二酸化炭素度差にほぽ比例して、濃度の高いほうか
ら低いほうへと流出する。すなわち、大気中の二酸化炭素濃度が約400ppm
あるのに対し、換気窓を開けたまま室内の二酸化炭素濃度<を700~1000ppmに
維持しようとした場合、施用した二酸化炭素のほとんど全部が大気中に流出し
てしまう。これは、二酸化炭素施用コストが高くなり、二酸化炭素を多量に放
出することにもなる。
換気窓全開でもやれる二酸化炭素施用法
以上の理由により、換気窓を終日全開している日本の夏季における太陽光型
園芸施設では、二酸化炭素施用がほとんど行われていない。さらに冬季でも、
関東以西では最も二酸化炭素施用に効果的な晴天時の9~15時(冬季では光
強度が増すほど二酸化炭素濃度を高くすることによる光合成促進効果が高い)
に、室内の過高温防止のために換気窓を開けざるを得ない。
しかし、換気が必要な太陽光型でも、効果的に凪を施用し、室内温度を下げ
る方法がある(58頁)。
植物工場の生産実績が顕著になりつつある。これも関係者の努力のたまものであ
る。近くでは、電子部品などめっき加工の清川メッキ工業)が、自社の成分分析
技術と品質管理ノウハウを駆使してハーブを生産する植物工場を本社敷地内に設
け、本格稼働させた。一日当たり600株の生産能力があり、大手の青果関連会
社や洋菓子メーカー、外食チェーンに販売。今後は自社の専用サイトなどを通じ
て、乾燥品やバジル入りアイスなど一般消費者向けの販売にも力を入れていくと
いう(下/左写真)。また、岐阜県の北部にある奥飛騨温泉郷の「奥飛騨ファーム」
でバナナやコーヒーを生産する植物工場が3月中旬から稼働。温泉熱とLED照明を
組み合わせて、室内の温度を一定に保ちながら光合成を促進する仕組みだ。温泉
旅館の和室を改造した植物工場では、栽培に必要な電気代が月に1万3千円で済
むという(下/右写真)。
これを看ている、着実に新弥生時代の農産物生産システムはこの地に定着しつつ
あるようだ。これは実に面白い。
この項つづく