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人工光合成時代に突入

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝
えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の
軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ

   


【再エネ革命渦論 186 アフターコロナ時代 185】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
   特異点真っ直中 ㊿+⑰


図1. NTTグループ温室効果ガス排出量の削減イメージ(国内+海外)
● 人工光合成時代に突入?!
10月27日、日本電信電話(NTT)は,太陽光エネルギーを利用する半導体光
触媒と二酸化炭素(CO2)を還元する金属触媒を電極として組み合わせた人
工光合成デバイスを作製し,世界最長の350時間連続炭素固定を実現。人工
光合成はこれまでに世界中で様々な研究が進められており,特に高いCO2変
換効率を実現できる触媒に関する検討が盛んに行なわれている。
一方で,連続したCO2変換の試験時間は数時間から数十時間レベルに留まっ
ており,長時間化に向けた劣化抑制の技術確立が課題となっていた。 同社
では,長時間連続して気相中のCO2をより効率的に変換可能な人工光合成の
実現をめざし,光をエネルギーとして利用するための長寿命な半導体光触媒
電極と,気相のCO2を高効率に変換するために電解質膜と一体化した繊維状
の金属触媒電極により構成した人工光合成デバイスを設計した。半導体光触
媒として用いている窒化ガリウム(GaN)系電極は,GaN表面と水溶液の界面
で生じる劣化反応の抑制が課題だった。そこで,GaN表面の凹凸をより滑ら
かにし,光を十分に透過する厚さ2nmの}均一な酸化ニッケル(NiO)薄膜を
保護層として形成することでGaNと水溶液の接触を防ぎ,電極の劣化を大幅
に抑制することに成功。 また,従来の水溶液中に溶存しているCO2を変換す
る金属電極は板状の構造が主流だが,今回,気相のCO2を変換するために,C
O2拡散性の高い繊維状金属とCO2変換反応に必要なプロトン(H+)を反応場に
供給する役割を持つ電解質膜を一体化した電極構造を考案。 これにより水
溶液中に電極を浸漬させることなくCO2変換反応に必要なプロトン(H+)を反
応場に供給できるようになり,気相のCO2を直接変換することを可能にした。
これらの電極構造の工夫により,従来に比べ10倍以上のCO2変換効率を実現
した。 この人工光合成デバイスに疑似太陽光を照射し,気相のCO2変換試験
行なった結果,350時間連続してCO2がCOやHCOOHに変換されたことを確認し
た。生成したCOやHCOOHから算出した単位面積当たりの累積炭素固定量は420
g/m2に達し,半導体光触媒を用いた人工光合成において世界最長の350時間
連続動作を実現した。この検証による炭素固定量は,樹木(スギ)の木1本
が1m2当たり約1年間で固定するCO2を上回る量に相当するという。
【要点】
1.半導体光触媒電極の劣化反応抑制技術:半導体光触媒として用いている
 窒化ガリウム(GaN)系電極は、GaN表面と水溶液の界面で生じる劣化反応
 の抑制が課題でした。そこで、GaN表面の凹凸をより滑らかにし、光を十分
 に透過する厚さ2nmの均一な酸化ニッケル(NiO)薄膜を保護層として形成
 することでGaNと水溶液の接触を防ぎ(図2a)、電極の劣化を大幅に抑制
 することに成功。
2.従来の水溶液中に溶存しているCO2を変換する金属: 電極は板状の構造
 が主流ですが、今回、気相のCO2を変換するために、CO2拡散性の高い繊維
 状金属とCO2変換反応に必要なプロトン(H+)を反応場に供給する役割を持
つ電解質膜(※14)を一体化した電極構造を考案しました(図2b、左) 。
これにより水溶液中に電極を浸漬させることなくCO2変換反応に必要なプロト
ン(H+)を反応場に供給できるようになり、気相のCO2を直接変換することを
可能にしました。これらの電極構造の工夫により、従来に比べ10倍以上のCO2
変換効率を実現した。



図2.人工光合成デバイスの概略図


図3. 光照射時間に対する炭素固定量の変化【概要】
【展望】
<研究グループは,今後,より高性能な人工光合成反応を実現するために,
電極での反応の更なる高効率化,電極の長寿命化およびこれらの両立をめざ
す。
[関連特許]
特許7356067 二酸化炭素の気相還元装置、および、二酸化炭素の気相還元方法
[概要】
光触媒からなる酸化電極への光照射により、水の酸化反応と二酸化炭素の還
元反応を進行させる技術を人工光合成という。また、金属からなる酸化電極
と還元電極の間への電圧印加により、水の酸化反応と二酸化炭素の還元反応
を進行させる技術を二酸化炭素の電解還元という。太陽光を利用した人工光
合成技術や、再生可能エネルギー由来の電力を利用した電解還元技術は、二
酸化炭素を一酸化炭素、ギ酸、エチレン等の炭化水素やメタノール、エタノ
ール等のアルコールに再資源化することが可能な技術として注目され、近年
盛んに研究されている。従来、非特許文献1、2にあるように、人工光合成
技術や二酸化炭素の電解還元技術では、還元電極(Cu)を水溶液中に浸漬
させ、その水溶液中に溶解させた二酸化炭素(CO2)を当該還元電極に供
給し、還元する反応系が用いられてきた(非特許文献1の図2参照)。しかし、
この二酸化炭素の還元方法では、水溶液への二酸化炭素の溶解濃度や水溶液
中での二酸化炭素の拡散係数に限界があるため、還元電極への二酸化炭素の
供給量が制限されるという問題がある。

この問題に対し、還元電極への二酸化炭素の供給量を増加させるため、還元
電極に対して気相の二酸化炭素を供給する研究が進められている。非特許文
献3の図1に示された二酸化炭素の気相還元装置では、還元電極に対して気
相の二酸化炭素を供給できる構造を有する反応装置を用いることで、還元電
極への二酸化炭素の供給量が増大し、二酸化炭素の還元反応が促進する。
【非特許文献】
1.Satoshi Yotsuhashi、外6名、“CO2Conversion with Light and Water by GaN Pho-
toelectrode”、Japanese Journal of Applied Physics、51、2012年、p.02BP07-1-p.02B-
P07-3
2.Yoshio Hori、外2名、“Formation of Hydrocarbons in the Electrochemical Reduction
of Carbone Dioxide at a Copper Electrode in Aqueous Solution”、Journal of the Chemical
Society、85(8)、1989年、p.2309-p.2326
3.Ichitaro Waki、外2名、”Direct Gas-phase CO2 Reduction for Solar Methane Gener-
ation Using a Gas Diffusion Electrode with a BiVO4:Mo and a Cu-In-Se Photoanode”、
Chemistry Letter、47、2018年1月13日、p.436-p.439

(【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸化電極を含む酸化槽と、 二酸化炭素が供給される還元槽と、
イオン交換膜と還元電極とを積層したガス還元シートであり、前記イオン交
換膜を前記酸化槽に向け、前記還元電極を前記還元槽に向けて、前記酸化槽
と前記還元槽との間に配置されたガス還元シートと、 前記酸化電極と前記
還元電極とを接続する導線と、 前記還元槽を囲む熱源と、を備え、 前記酸
化電極に光を照射する光源、又は、前記酸化電極と前記還元電極との間に電
圧を印加する電源を備える二酸化炭素の気相還元装置。
【請求項2】 前記酸化電極は、 n型半導体である請求項1に記載の二酸化
炭素の気相還元装置。
【請求項3】 前記還元槽を囲む熱伝導性板及び断熱材を更に備える請求項1
又は2に記載の二酸化炭素の気相還元装置。
【請求項4】 二酸化炭素の気相還元装置で行う二酸化炭素の気相還元方法に
おいて、 前記二酸化炭素の気相還元装置は、 酸化電極を含む酸化槽と、 二
酸化炭素が供給される還元槽と、 イオン交換膜と還元電極とを積層したガス
還元シートであり、前記イオン交換膜を前記酸化槽に向け、前記還元電極を
前記還元槽に向けて、前記酸化槽と前記還元槽との間に配置されたガス還元
シートと、 前記酸化電極と前記還元電極とを接続する導線と、 前記還元槽
を囲む熱源と、を備え、 前記酸化槽に電解液を注水する第1の工程と、 前
記還元槽に熱を加える第2の工程と、 前記還元槽に前記二酸化炭素を流入す
る第3の工程と、 前記酸化電極に光を照射し、又は、前記酸化電極と前記還
元電極との間に電圧を印加する第4の工程と、 を行う二酸化炭素の気相還元
方法。
【請求項5】 前記第2の工程では、 前記還元電極の表面で起きた前記二酸
化炭素の還元反応により前記還元電極の表面に生成される液体の沸点よりも
高い温度の熱を加える請求項4に記載の二酸化炭素の気相還元方法。

【発明の概要】
しかしながら、非特許文献3に開示された二酸化炭素の気相還元装置では、
以下の式(1)-(4)に示すような二酸化炭素の還元反応が進行すると、
還元電極では水(H2O)、ギ酸(HCOOH)、メタノール(CH3OH)、
エタノール(C2H5OH)等の液体生成物が生成され、その液体生成物が
還元電極の表面に付着してしまう。そのため、還元電極の表面に対して気相
の二酸化炭素を直接供給できなくなり、二酸化炭素の供給量が減少すること
で二酸化炭素の還元反応の寿命が低下してしまう。

CO2+2H++2e-→CO+H2O ・・・(1)
CO2+2H++2e-→HCOOH ・・・(2)
CO2+6H++6e-→CH3OH+H2O ・・・(3)
2CO2+12H++12e-→C2H5OH+3H2O ・・・(4)

従って、二酸化炭素の還元反応により還元電極の表面に生成する液体生成物
を除去して還元電極に対して常に気相の二酸化炭素を直接供給することで、二
酸化炭素の供給量を維持し、二酸化炭素還元反応の寿命を向上させることが
課題である。 
また、液体生成物が還元電極に付着していると、液体生成物を回収するため
に一度還元槽を開放する必要があり、その作業を行う間装置の運転が停止さ
れる。したがって、装置を停止させることなく、液体生成物を簡便に回収す
ることが課題である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、二酸化炭
素の気相還元装置において、二酸化炭素の還元反応の寿命を改善し、還元電
極に付着した液体生成物を簡便に回収可能な技術を提供することである。

【課題を解決するための手段】
本発明の一態様の二酸化炭素の気相還元装置は、酸化電極を含む酸化槽と、
二酸化炭素が供給される還元槽と、イオン交換膜と還元電極とを積層したガ
ス還元シートであり、前記イオン交換膜を前記酸化槽に向け、前記還元電極
を前記還元槽に向けて、前記酸化槽と前記還元槽との間に配置されたガス還
元シートと、前記酸化電極と前記還元電極とを接続する導線と、前記還元槽
を囲む熱源と、を備え、前記酸化電極に光を照射する光源、又は、前記酸化
電極と前記還元電極との間に電圧を印加する電源を備える。 本発明の一態様
の二酸化炭素の気相還元方法は、二酸化炭素の気相還元装置で行う二酸化炭
素の気相還元方法において、前記二酸化炭素の気相還元装置は、酸化電極を
含む酸化槽と、二酸化炭素が供給される還元槽と、イオン交換膜と還元電極
とを積層したガス還元シートであり、前記イオン交換膜を前記酸化槽に向け、
前記還元電極を前記還元槽に向けて、前記酸化槽と前記還元槽との間に配置
されたガス還元シートと、前記酸化電極と前記還元電極とを接続する導線と、
前記還元槽を囲む熱源と、を備え、前記酸化槽に電解液を注水する第1の工
程と、前記還元槽に熱を加える第2の工程と、前記還元槽に前記二酸化炭素
を流入する第3の工程と、前記酸化電極に光を照射し、又は、前記酸化電極
と前記還元電極との間に電圧を印加する第4の工程と、を行う。

図1.実施例1~4に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図

【符号の説明】 1:酸化槽 2:酸化電極 3:水溶液 4:還元槽 5:還元
電極 6:イオン交換膜 7:導線 8:チューブ 9:光源 10:気体入力口
11:気体出力口 12:電源 20:ガス還元シート 40:熱伝導性板 41
:熱源 42:断熱材 51:槽 52:槽 71:めっき液 72:還元剤
100:二酸化炭素の気相還元装置

【発明の効果】
本発明によれば、二酸化炭素の気相還元装置において、二酸化炭素の還元反
応の寿命を向上し、還元電極に付着した液体生成物を簡便に回収可能な技術
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1~4に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図
【図2】無電解めっき法を用いたガス還元シートの作製方法を示す図
【図3】実施例5~8に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図
【図4】従来の二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図
【図5】従来の二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図
【発明を実施するための形態】
以下、図面を参照して発明の実施形態を説明する。図面の記載において同一
部分には同一の符号を付し説明を省略する。本発明は、下記実施例に限定さ
れるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。 
[発明の概要]
本発明は、光照射による二酸化炭素の還元反応を引き起こし、又は、二酸化
炭素の電解還元反応を引き起こし、当該還元反応の効率を向上させる二酸化
炭素の気相還元装置に関する発明であり、燃料生成技術や太陽エネルギー変
換技術の技術分野に属する。
本発明は、イオン交換膜上に還元電極を形成して得られるガス還元シートを
用いて、還元電極の表面に気相の二酸化炭素を直接供給して還元する。この
とき、二酸化炭素の還元反応により還元電極の表面に液体生成物が生成する
が、本発明では、還元槽の周りに熱源を配置し、その熱源によって還元電極
の温度を液体生成物の沸点以上又は沸点よりも高い温度に維持することで、
液体生成物を気化させて除去する。
これにより、還元電極の表面に生成される液体生成物を除去可能となり、常
に気相の二酸化炭素を還元電極に直接供給可能となることから、二酸化炭素
の還元反応の寿命を向上させることができる。また、液体生成物を気化させ
るので、液体生成物の回収が簡便になる。

[実施例1]
[二酸化炭素の気相還元装置の構成]
図1は、実施例1に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図であ
る。二酸化炭素の気相還元装置100は、酸化電極2を含む酸化槽1と、二
酸化炭素が供給される還元槽4と、イオン交換膜6と還元電極5とを積層し
たガス還元シート20であり、イオン交換膜6を酸化槽1に向け、還元電極
5を還元槽4に向けて、酸化槽1と還元槽4との間に配置されたガス還元シ
ート20と、酸化電極2と還元電極5とを接続する導線7と、還元槽4を囲
む熱伝導性板40、熱源41、断熱材42と、酸化電極2に光を照射する光
源9と、を備える。 酸化槽1には、電解液である水溶液3が注水される。酸
化槽1内の酸化電極2は、酸化槽1内に注入された水溶液3に浸漬される。
実施例1の酸化電極2は、半導体又は金属錯体からなる電極であり、例えば、
窒化物半導体である。実施例1の酸化電極2は、異なる種類の窒化物半導体
を積層した積層構造でもよく、インジウムやアルミニウムを含むような異な
る組成で構成してもよい。実施例1の酸化電極2は、窒化物半導体の代わり
に、酸化チタン、アモルファスシリコンのような光活性を示す化合物を用い
てもよい。 水溶液3は、酸化槽1に注水される電解液である。
水溶液3は、例えば、水酸化カリウム水溶液である。水溶液3は、水酸化カ
リウム水溶液の代わりに、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、塩化カリウム
水溶液、塩化ナトリウム水溶液等を用いてもよい。

ガス還元シート20は、イオン交換膜6と還元電極5とを積層した構造を備
える。イオン交換膜6は、例えば、炭素-フッ素からなる骨格を持つ電解質
膜であるナフィオン(商標登録)、フォアブルーSシリーズ、アクイヴィオ
ン等である。還元電極5は、例えば、銅である。還元電極5は、銅の代わり
に、金、白金、銀、パラジウム、ガリウム、インジウム、ニッケル、スズ、
カドニウム、それらの合金でもよく、それらの金属及び金属酸化物とカーボ
ンとの混合物質でもよい。還元電極5は、導線7で酸化電極2に接続される。
このガス還元シート20は、酸化槽1と還元槽4との間に配置され、イオン
交換膜6は酸化槽1に向けて配置され、還元電極5は還元槽4に向けて配置
される。 
光源9は、二酸化炭素の気相還元装置100を運転するための光源であり、
酸化電極2に対して対向配置される。光源9は、例えば、キセノンランプ、
擬似太陽光源、ハロゲンランプ、水銀ランプ、太陽光、これらの組み合わせ
等である。

[ガス還元シートの作製方法] 図2は、ガス還元シート20を作製する方
法として用いた無電解めっき法の反応系を示す図である。イオン交換膜6に
はナフィオンを用い、還元電極5には銅を用いた。イオン交換膜6の片面を
研磨し、イオン交換膜6を沸騰硝酸と沸騰純水とにそれぞれ漬け込む。左右
2つの槽51,52に、表1に示すめっき液71と還元剤72とをそれぞれ
満たす。 

図2.


槽51と槽52とは、イオン交換膜6によって隔てられている。イオン交換
膜6は、研磨面をめっき液71側にして配置する。めっき液71とイオン交
換膜6の研磨面との界面において、下記の酸化還元反応が起きて銅(Cu)
が析出することで、イオン交換膜6上に還元電極5が形成されたガス還元シ
ート20が得られる。

BH4-+4OH-BO2-+2H2O+2H2+4e-
Cu2+2e-→Cu
尚、ガス還元シート20の作製方法は、無電解めっき法以外に、例えば、電
気めっき法、物理蒸着法、化学蒸着法等でもよい。

[二酸化炭素の気相還元方法] 次に、二酸化炭素の気相還元装置100で
行う二酸化炭素の気相還元方法について説明する。電気化学測定結果、ガス・
液体生成量測定結果も併せて説明する。 
第1の工程; まず、酸化槽1に電解液である水溶液3を注水し、その水溶
液3に酸化電極2を浸水させる。酸化電極2には、サファイア基板上にn型
半導体であるn型窒化ガリウム(n-GaN)の薄膜と窒化アルミニウムガ
リウム(AlGaN)とをその順にエピタキシャル成長させ、その上にニッ
ケル(Ni)を真空蒸着して熱処理を行うことで酸化ニッケル(NiO)の
助触媒薄膜を形成した基板を用いた。水溶液3は、1mol/Lの水酸化カ
リウム(KOH)水溶液とした。酸化電極2の光照射面積(受光面積)は
2. 5cm2とした。

第2の工程; 次に、半導体光電極として機能する酸化電極2の酸化助触媒
形成面が照射面となるように光源9を固定する。光源9には、300Wの高
圧キセノンランプ(波長450nm以上をカット、照度6.6mW/cm2
)を用いた。

第3の工程; 次に、還元槽4の周囲を熱伝導性板40で囲い、その熱伝導
性板40の周囲に熱源41を配置し、更に熱源41の周囲を断熱材42で囲
う。熱効率を高めるため、それぞれは密着させることが好ましい。熱伝導性
板40には、銅板を用いた。熱源41には、ラバーヒーターを用いた。断熱
材42には、硬質ウレタンフォームを用いた。そして、還元電極5の表面近
傍温度が60℃となるように熱源41で還元槽4を加熱する。尚、還元電極
5の表面近傍温度は、例えば熱電対を用いて測定可能である。

第4の工程; 次に、酸化槽1に対してはチューブ8からヘリウム(He)
を、還元槽4に対しては気体入力口10から二酸化炭素(CO2)を、それ
ぞれ流量5ml/minかつ圧力0.18MPaで流入する。酸化槽1に
流入する気体は、アルゴン、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスでもよい。 

第5の工程; 次に、酸化槽1と還元槽4とをヘリウムと二酸化炭素とでそ
れぞれ十分に置換した後、光源9を用いて酸化電極2に均一に光を照射する。こ
の光照射により、酸化電極2と還元電極5との間に電気が流れる。酸化電極
2の表面では水の酸化反応が起こり、ガス還元シート20内の[イオン交換
膜6-還元電極5(銅)-気相の二酸化炭素]からなる三相界面では、二酸
化炭素の還元反応が進行する。このとき、還元電極5の表面には、水(H2
O)、ギ酸(HCOOH)、メタノール(CH3OH)、エタノール(C2
H5OH)等の液体生成物が付着するが、熱源41で還元槽4を加熱している
ため、付着した液体生成物は気化して還元電極5の表面から除去され、気相
の二酸化炭素と気化した液体生成物との混合気体が気体出力口11から流出
する。 

第6の工程; 最後に、光照射中の任意の時刻に酸化槽1及び還元槽4の各
気体を採取し、ガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ質量分析計にて
反応生成物を分析する。その反応生成物を分析した結果、酸化槽1内では、
水の酸化反応による酸素が生成され、還元槽4内では、プロトンの還元反応
による水素、及び、二酸化炭素の還元反応による一酸化炭素、ギ酸、メタン、
メタノール、エタノール、エチレンが生成していることを確認した。また、
光照射時の酸化電極2と還元電極5との間の電流値を、電気化学測定装置(
Solartron社製、1287型ポテンショガルバノスタット)を用いて測定した。

[実施例2]
実施例2では、還元電極5の表面近傍温度を100℃とした。これ以外の方
法及び二酸化炭素の気相還元装置100の構成は、実施例1と同様である。
[実施例3]
実施例3では、還元電極5の表面近傍温度を110℃とした。これ以外の方
法及び二酸化炭素の気相還元装置100の構成は、実施例1と同様である。
[実施例4] 実施例4では、還元電極5の表面近傍温度を130℃とした。
これ以外の方法及び二酸化炭素の気相還元装置100の構成は、実施例1と
同様である。
図3.
[実施例5]
[二酸化炭素の気相還元装置の構成]
図3は、実施例5に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図であ
る。実施例5では、光源9の代わりに、電源12を用いる。電源12は、導
線7の経路上に挿入される。実施例5では酸化電極2で光を受光する必要が
ないので、実施例5の酸化電極2は、白金(ニラコ製)を用いて構成した。
実施例5の酸化電極2は、白金の代わりに、例えば、金、銀、銅、インジウ
ム、ニッケル等の金属でもよい。実施例5の酸化電極2の表面積は、約0.
55cm2とした。その他の構成は、実施例1と同様である。

[ガス還元シートの作製方法]
ガス還元シートの作製方法は、実施例1と同様である。 
[二酸化炭素の気相還元方法]
第1の工程; まず、酸化槽1に電解液である水溶液3を注水し、その水溶
液3に酸化電極2(白金)を浸水させる。

第2の工程; 次に、還元槽4の周囲を熱伝導性板40で囲い、その熱伝導性
板40の周囲に熱源41を配置し、更に熱源41の周囲を断熱材42で囲う。
そして、還元電極5の表面近傍温度が60℃となるように熱源41で還元槽
4を加熱する。

第3の工程; 次に、酸化槽1に対してはチューブ8からヘリウム(He)を
還元槽4に対しては気体入力口10から二酸化炭素(CO2)を、それぞれ
流量5ml/minかつ圧力0.18MPaで流入する。 

第4の工程; 次に、酸化槽1と還元槽4とをヘリウムと二酸化炭素とでそ
れぞれ十分に置換した後、酸化電極2と還元電極5との間に電源12を導線
7でつなぎ、電圧1.5Vを印加する。 

第5の工程; 最後に、光照射中の任意の時刻に酸化槽1及び還元槽4の各気
体を採取し、ガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ質量分析計にて反
応生成物を分析する。 【0048】
---------------------------------------------------------------------
[脚注]
ナフィオン:




風蕭々と碧い時

John Lennon Imagine


 

 

● 今夜の寸評:

 

 


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