彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。
Anytime Anywhere ¥1/kWh era
【再エネ革命渦論 193 アフターコロナ時代 185】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
驚異的なエネルギー密度をもつナトリウムイオン電池の創製
2023年11月13日、東京理科大学らの共同研究グループは、ナトリウムイオン電池
やカリウムイオン電池用の新たな負極材料である「ZnO鋳型ハードカーボン(HC-Z
n)」を合成することに成功しました。このHC-Znを負極に使用したナトリウムイ
オン電池は、現行の商用リチウムイオン電池に匹敵するほど高いエネルギー密度
を示した。
【要点】
1.ナトリウムイオン電池・カリウムイオン電池の負極材料として優れた特性を
示す新たなハードカーボンの合成に成功
2.合成したハードカーボンを負極として使用したナトリウムイオン電池を作製
し、312Wh/kgという非常に高いエネルギー密度を示すことを実証
3.本研究をさらに発展させることで、希少元素を使わないナトリウムイオン電
池やカリウムイオン電池の実現が期待されている。
【概要】
ナトリウムイオン電池とカリウムイオン電池は、ユビキタスなリチウムイオン電
池 (LIB) の次世代代替電池として有望。 しかし、そのエネルギー密度は依然と
してLIBに比べて劣っている。 この問題に取り組むために、研究者らはハードカ
ーボンを優れた負極材料に変える革新的な戦略を模索。合成時に無機亜鉛ベース
の化合物をテンプレートとして使用して、両方の代替電池で優れた性能を示すナ
ノ構造ハードカーボンを調製。ナトリウムイオン電池とカリウムイオン電池は、
広く普及しているリチウムイオン電池 (LIB) の次世代代替電池として期待され
提訴のる。しかし、そのエネルギー密度は依然としてLIBに比べて劣っている。
この問題に取り組むために、ハードカーボンを優れた負極材料に変える革新的な
戦略を模索した。合成時に無機亜鉛ベースの化合物をテンプレートとして使用し
て、両方の代替電池で優れた性能を示すナノ構造ハードカーボンを調製。
リチウムイオン電池 (LIB) は、これまでのところ最も広く使用されているタイ
プの充電式電池であり、数多くの用途に広がっている。 これらには、家庭用電
化製品、電気自動車 (テスラ車など)、再生可能エネルギーシステム、宇宙船が
含まれている。LIB は他の充電式バッテリーと比較すると、多くの点で最高のパ
フォーマンスを発揮するが、相応の欠点もある。リチウムはかなり希少な資源で
あり、将来入手可能性が低下すると、その価格は急速に上昇する。 さらに、LIB
で一般的に使用される液体電解質は有毒で可燃性であるため、リチウムの抽出と
不適切に廃棄されたLIBは環境に大きな問題を引き起こす。 LIB の欠点により、
世界中の研究者が代替エネルギー貯蔵技術を模索するようになる。ナトリウム (
Na) イオン電池 (NIB) とカリウムイオン電池 (KIB) は、コスト効率が高く持続
可能な2つの急速に出現した選択肢。NIBとKIBはどちらも、20年末までに10億ド
ル規模の産業になると予測されている。米国、オーストリア、香港、ドイツ、オ
ーストラリアを含む世界中の政府は、この分野の研究とイノベーションを推進。
さらに、Faradion Limited、TIAMAT SAS、HiNa Battery Technology Co. Ltd. などの
企業がこの技術に多額の投資を行っている。Contemporary Amperex Technology Co.
Limited と Build Your Dreamsは、近々 NIB を搭載した電気自動車用バッテリーパ
ックを発売する予定だが、残念なことに、NIBおよび KIB で使用される電極材料
の容量は、依然としLIBの容量に及ばない。このような状況を背景に、日本の東
京大学理学部(TUS)の駒場真一教授率いる研究チームは、NIBおよびKIB用の画
期的な高容量電極材料の開発に取り組んでいる。
2023年11月9日に Advanced Energy Materialsに掲載された最新の研究では、前例の
ない性能を実現するナノ構造「ハードカーボン」(HC) 電極の新しい合成戦略を
報告。しかし、HCとは何か? また、なぜHCが NIBや KIB に役立つのか? グラフ
ェンやダイヤモンドなどの他の形態の炭素とは異なり、HCはアモルファス。明確
に定義された結晶構造がない。さらに、強度と耐久性にも優れている。2021年初
頭の研究で、NIB用のHC電極の合成中に酸化マグネシウム(MgO)をテンプレート
として使用し、最終的なナノ構造を変更する方法を発見。このプロセスにより、
MgO除去時に電極内にナノ細孔が形成され、その結果、Na+イオンを貯蔵する能力
が大幅に増加。以前の発見に動機づけられて、亜鉛(Zn)とカルシウム(Ca)か
ら作られた化合物がHC電極のナノテンプレートとしても有用であるかどうかを調
査。この目的を達成するために、酸化亜鉛 (ZnO) と炭酸カルシウム (CaCO3) を
使用し作成したさまざまな HCサンプルを体系的に調査し、それらの性能を酸化
マグネシウム (MgO) を使用して合成したものと比較。予備実験では、ZnO がNB
の負極として特に有望であることが示され、合成中にHCマトリックスに埋め込む
ZnOの濃度を最適化し、グルコン酸亜鉛のブレンドを利用し、カーボンマトリック
スに埋め込まれたZnOの濃度を最適化することで、出発物質として酢酸亜鉛を使
用すると、最適な ZnO テンプレート HC は、91.7% という高い初期クーロン効
率で 464 mAh g-1 (NaC4.8 に相当) の可逆容量を示す。平均電位は Na+/Naに対
し0.18 Vと低くなる。91.7%という高い初期クーロン効率と0.18という低い平均
電位を備えた464mAh g-1(NaC4.8に相当)のV 対 Na+/Na可逆容量を実証。強力
な電極材料を実際の電池に組み込むことで、目覚ましい成果を上げた。 「最適
化された ZnO テンプレートHC を負極として使用して製造された NIB は、312 W
h kg-1 のエネルギー密度を示した。 この値は、LiFePO4 とグラファイトを使用
した現在商業化されている特定の種類の LIB のエネルギー密度に相当し、2011
年に報告した最初のNIB のエネルギー密度 (192 Wh kg-1) の 1.6 倍以上。注目
すべきことに、ZnO テンプレート HC は、KIBに組み込まれた場合に 381 mAhg-1
という顕著な容量も示し、その可能性をさらに示した。
まとめると、この研究の結果は、無機ナノ粒子をテンプレートとして使用して細
孔構造を制御することが、HC電極開発の効果的なガイドラインを提供できる可能
性があることを示している。調査結果は、HCが黒鉛の代替として負極の有望な候
補であることを証明。 これにより、NIBは、持続可能な家庭用電化製品や電気自
動車、さらには太陽光発電や風力発電所からのエネルギーを貯蔵するための低炭
素排出量エネルギー貯蔵システムの開発などの実用化が可能になる。
【成果】【展望】
【掲載論文】
Journal Reference: 1.Daisuke Igarashi, Yoko Tanaka, Kei Kubota, Ryoichi Tatara, Hayato
Maejima, Tomooki Hosaka, Shinichi Komaba. New Template Synthesis of Anomalously
Large Capacity Hard Carbon for Na‐ and K‐Ion Batteries. Advanced Energy Materials,
2023; DOI: 10.1002/aenm.202302647